JPH05344847A - 不快味のない低抗原性たん白質分解物 及びその製造方法 - Google Patents

不快味のない低抗原性たん白質分解物 及びその製造方法

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JPH05344847A
JPH05344847A JP3119592A JP11959291A JPH05344847A JP H05344847 A JPH05344847 A JP H05344847A JP 3119592 A JP3119592 A JP 3119592A JP 11959291 A JP11959291 A JP 11959291A JP H05344847 A JPH05344847 A JP H05344847A
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lactoglobulin
protein
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Tetsuo Kaneko
哲夫 金子
Tei Kojima
禎 小島
Tamotsu Kuwata
有 桑田
Yoshiro Yamamoto
良郎 山本
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Meiji Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 β−ラクトグロブリンを加水分解酵素により
加水分解する。 【効果】 得られた加水分解物は、不快味がなくしかも
抗原性も非常に低いので、各種の飲食品に利用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、経口経腸栄養剤、栄養
補強食品、栄養飲料および食餌アレルギーの予防または
治療に有効な食品等の飲食品のたん白質源として利用す
るのに適した不快味のない低抗原性たん白質分解物及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】たん白質は、体内で吸収される場合、た
ん白質分解酵素の消化作用により低分子のオリゴペプチ
ドやアミノ酸にまで加水分解された後吸収される。ペプ
チドは、こうした優れた栄養特性に加えて、溶解性や熱
安定性も高く、アレルギー誘発性も低いといった特徴を
備えている。ペプチドのこれらの利点は、近年、食品や
医薬品の分野において経腸栄養剤や栄養補強食品、ある
いは食餌アレルギー用栄養食品等に活用されてきてい
る。
【0003】一般に、たん白質からペプチド組成物を得
る方法としては、たん白質原料を酵素反応、あるいは酵
素反応と他の処理、たとえば加熱処理などを組み合わせ
て加水分解することが行なわれている。しかしこのよう
にして得られたペプチド組成物は、多かれ少なかれ明瞭
な不快味を有する。たとえば、大豆たん白質や乳カゼイ
ンは酵素による加水分解で極めて顕著な苦味を有するペ
プチド組成物に転化することが知られている。
【0004】苦味や渋味を主体とする不快味は、たん白
質分解物の利用上障害となることが多く、こうした不快
味を減少または低減するためにいくつかの提案がなされ
てきた。苦味ペプチドは疎水性アミノ酸を多く、しかも
それらを互いに近位に存在する形で含有していることか
ら、加水分解物から苦味を除去する従来の方法は、疎水
性ペプチドを抽出除去するか、酵素により転化するかの
いずれかに基づいている。
【0005】たとえば前者では、活性炭や疎水性吸着剤
等による不快味ペプチドの吸着除去法(Ma.C.
Y.,Amantea,G.F.,Nakai,S.,
J.Food Sci.,48,897(1983)、
Lalasidis,G.,Sjoberg,L.,
J.Agric.Food Chem.,26,742
(1987))、有機溶剤による抽出(Ronald,
J.F.,Matiss,D.L.,Kiang,
S.,Alm,W.,J.Food Sci.,43,
1491(1978))などが提案されている。
【0006】後者では、たとえばプラスティン合成(F
ujimaki,M.,Yamashita,M.,A
rai,S.,Kato,H.,Agric.Bio
l.Chem.,34,1325(1970))、エキ
ソペプチダーゼを用いる方法(Umetsu,H.,M
atsuoka,H.,Ichishima,E.,
J.Agric.Food Chem.,31,50
(1983))、あるいはジぺプチダーゼを用いる方法
(特開平2−234642号)などが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】不快味ペプチドを抽出
除去する前者の方法では、栄養素としての窒素成分の損
失があるので経済的にも栄養面においても不利であっ
て、この方法は実用的ではない。
【0008】一方、酵素を用いて転化する後者の方法で
は、窒素成分の損失がないので抽出除去法より興味深い
が、やはり問題点が残されている。
【0009】すなわち、先ずプラスティン合成は、ペプ
チドからたん白質様組成物を合成するものであることか
ら、ペプチド組成物を得ようとする目的を達成する手段
とは成り難い。エキソペプチダーゼを用いる方法では、
苦味ペプチドの減少は遊離アミノ酸の増加により得られ
るものであることから、ペプチド含有の減少を意味し、
不快味のないペプチド組成物を得るための解決手段とは
成り難いばかりか、遊離アミノ酸の不快味の増大といっ
た新たな問題が副生する。ジペプチダーゼを用いる方法
は、ペプチドの中でもとりわけ吸収されやすいジペプチ
ド、トリペプチドを多く得るための酵素的手段であり、
Phe−PheやLeu−Phe、Phe−Leuをは
じめ、多数の苦味ジペプチドの存在が示すように、苦味
ジペプチドの苦味を低減する解決手段とは成り難い。加
えて、ジペプチダーゼが大変高価であるために商業的規
模での使用に適さないことにも注意すべきである。
【0010】経済性その他の種々の理由から、一般的
に、たん白質原料として乳カゼイン、大豆たん白質、卵
白、そして最近では乳清たん白質が使用されているが、
複数のたん白質より構成されるこれらたん白質材料を加
水分解し、経済的でしかも食品としての安全性に関し何
ら問題のない風味佳良なペプチド組成物を商業的規模で
製造する方法は得られていない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような技
術の現状に鑑みてなされたものであって、本発明者ら
は、たん白質分解物の苦味の強さが、用いるたん白質材
料により差がある点にはじめて着目し、純化された各種
のたん白質標品を酵素分解し、得られた各ペプチド組成
物の風味を検討した結果、β−ラクトグロブリンの加水
分解物には不快味が無いことを発見するに至った。そし
て更に研究の結果、β−ラクトグロブリンをエンド型プ
ロテアーゼあるいはエキソ型プロテアーゼ共存水系下に
おいてpH6〜11、好ましくは7〜9の範囲で加水分
解したところ、全く予期せざることに、不快味がなく、
しかも抗原性の低減されたたん白質分解物が、腐敗の心
配の少ないごく短時間内に得られるという新規にしてき
わめて有用な知見を得て、本発明を完成すに到った。
【0012】以下、本発明について詳しく説明する。
【0013】本発明を実施するには、たん白質原料とし
てのβ−ラクトグロブリンを加水分解する必要がある。
β−ラクトグロブリンとしては、純品が使用できること
はもとより、不純物ないしその含有物も適宜使用でき
る。β−ラクトグロブリンは、母乳中には存在せずしか
も抗原性を有して牛乳アレルギーの源ともなるため、例
えば牛乳を主原料とする育児用調製粉乳の製造に際して
は、分離除去されていたものであるが、この工程におい
て分離除去されてきたβ−ラクトグロブリン(含有物)
は、本発明の原料として使用するのに好適なもののひと
つである。従来、β−ラクトグロブリンは有効利用の途
に乏しく廃棄されることもあったのであるが、本発明に
よってβ−ラクトグロブリンに新たな有効利用の途が拓
かれることとなったのである。
【0014】上述のβ−ラクトグロブリンは続いて加水
分解するが、加水分解剤としてはβ−ラクトグロブリン
を加水分解しうる物質であれば、酵素、微生物、化学薬
品等すべてのものが適宜使用できる。例えば酵素として
は、たん白質分解酵素が広く使用でき、なかでも特に中
性プロテアーゼの使用が好適である。
【0015】たん白質分解酵素としては、エンド型及び
/又はエキソ型が適宜使用され、動物起源(トリプシ
ン、キモトリプシン等)、植物起源(パパイン、ブロメ
リン、フィシン等)、微生物起源(カビ、酵母、細菌等
のプロテアーゼ)のものが自由に単用ないし併用でき
る。たん白質分解酵素は、純品でも不純物でも使用可能
であって、市販されている各種酵素製剤も自由に使用で
きる。また微生物起源の酵素の場合は、単離精製した酵
素自体が使用できるほか、微生物の培養物、培養物から
菌体を除去した培養液、微生物菌体自体も自由に使用す
ることができる。
【0016】β−ラクトグロブリンを加水分解するに
は、加水分解の常法にしたがって処理すればよく、使用
する酵素に最適の作用pH及び作用温度で酵素(及び/
又はその含有物)と所定時間接触させればよい。通常
は、β−ラクトグロブリンをエンド型及び/又はエキソ
型プロテアーゼ共存水系下において、pH6〜11好ま
しくはpH7〜9の範囲で、必要あれば撹拌しながら加
水分解するのが良い。
【0017】加水分解終了後は、中和、酵素失活化、不
溶物除去、分離精製、凍結乾燥等、ペプチド製造上の常
法にしたがって適宜処理を行い、目的とするβ−ラクト
グロブリンの分解物を得る。
【0018】本発明によって得られたβ−ラクトグロブ
リンの加水分解物は、後記するところからも明らかなよ
うに、たん白質の加水分解物であるにもかかわらず、従
来技術からは当然に予測される苦味や渋味等の不快味が
なく、更にそればかりでなく、抗原性を有するβ−ラク
トグロブリンを原料として使用したにもかかわらず、そ
の抗原性は著しく低く、しかも更に、加水分解に要する
時間が短いために原料や加水分解物の変質や腐敗も生じ
ることがないことが確認された。
【0019】本発明に係るたん白質分解物は、不快味が
なく且つ低抗原性であるために、経口経腸栄養剤、栄養
補強食品、栄養飲料、食餌アレルギーの予防又は治療用
食品、機能性食品その他の各種飲食品として、それのみ
であるいは他の食品と混合して用いることができる。ま
た、例えば従来法によって加水分解製造された不快味を
有するペプチド類に本発明に係るたん白質分解物を添加
することによって、苦味や渋味等の不快味をマスクない
し希釈することができ、従来法によって製造されたペプ
チド類も無駄にすることなく有効に利用することができ
る。
【0020】以下、実施例及び比較例により本発明を説
明するが、本発明の加水分解物の組成およびその製造方
法は、実施例に限定されるものではない。
【0021】
【例1(実施例A)】限外ろ過法により得られた75%
たん白質含有乳清たん白質濃縮物を公知の方法(Pea
rce.R.J.,Austr.J.Dairy Te
chnol.38,1444(1983))に従って処
理し、たん白質濃度3%(重量)のβ−ラクトグロブリ
ン溶液100kgを調製した。10%水酸化カルシウム
懸濁液を用いてpH8.0、45℃に調整後、ブタトリ
プシン(PTN6.0S、ノボノルデック社)18gを
加え、撹拌しながら90分間反応させた。この間2.5
N 水酸化ナトリウム溶液を用いて反応初期のpHを維
持した。反応終了後2.5N 塩酸を用いてpH6.5
〜7.0に調整し、90〜95℃で5分間加熱し、酵素
を失活した。20℃に冷却後、遠心分離により不溶物を
除去し、更に限外ろ過装置(DDS−20,TYPE
GR 61−PP)を用いて高分子成分を除去した。透
過液の電気伝導度が初期値の10%以下となるまで電気
透析(Chemomat、Ionics社)後、凍結乾
燥によりβ−ラクトグロブリンの加水分解物A2.2k
gを得た。
【0022】
【例2(比較例B)】限外ろ過法により得られた75%
たん白質含有乳清たん白質濃縮物を前述のPearce
の方法に従ってβ−ラクトグロブリンを除去し、α−ラ
クトアルブミンに富むたん白質濃度3%(重量)の溶液
100kgを調製した。10%水酸化カルシウム懸濁液
を用いてpH8.0、45℃に調整後、ブタトリプシン
(PTN6.0S、ノボノルディック社)18gを加
え、撹拌しながら90分間反応させた。この間、2.5
N 水酸化ナトリウム溶液を用いて反応初期のpHを維
持した。反応終了後、2.5N 塩酸を用いてpH6.
5〜7.0に調整し、90〜95℃で5分間加熱し、酵
素を失活した。20℃に冷却後遠心分離により不溶物を
除去し、更に限外ろ過装置(DDS−20,TYPE
GR 61−PP)を用いて高分子成分を除去した。透
過液の電気伝導度が初期値の10%以下となるまで電気
透析(Chemomat、Ionics社)後、凍結乾
燥によりα−ラクトアルブミンに富む乳清たん白質の加
水分解物B2.2kgを得た。
【0023】
【例3(比較例C)】限外ろ過法により得られた75%
たん白質含有乳清たん白質濃縮物を、たん白質濃度3%
(重量)となるように100kg調製した。10%水酸
化カルシウム懸濁液を用いてpH8.0、45℃に調整
後、ブタトリプシン(PTN6.0S、ノボノルディッ
ク社)18gを加え、撹拌しながら90分間反応させ
た。この間、2.5N 水酸化ナトリウム溶液を用いて
反応初期のpHを維持した。反応終了後、2.5N 塩
酸を用いてpH6.5〜7.0に調整し、90〜95℃
で5分間加熱し、酵素を失活した。20℃に冷却後遠心
分離により不溶物を除去し、更に限外ろ過装置(DDS
−20,TYPE GR 61−PP)を用いて高分子
成分を除去した。透過液の電気伝導度が初期値の10%
以下となるまで電気透析(Chemomat、Ioni
cs社)後、凍結乾燥により乳清たん白質の加水分解物
C2.3kgを得た。
【0024】
【例4(比較例D)】例1(実施例A)と同様の方法で
調製したβ−ラクトグロブリンの3%溶液100kg
を、10%水酸化カルシウム懸濁液を用いてpH8.
0、45℃に調整後、アマノA(アスペルギルス・オリ
ーゼ(Aspergillus oryzae)由来プ
ロテアーゼ、天野製薬社)75gを加え、撹拌しながら
90分間反応させた。この間2.5N 水酸化ナトリウ
ム溶液を用いて反応初期のpHを維持した。反応終了後
2.5N 塩酸を用いてpH6.5〜7.0に調整し、
90〜95℃で5分間加熱し、酵素を失活した。20℃
に冷却後、実施例1に記述した方法と同様に遠心分離、
限外ろ過、脱塩、凍結乾燥を行ない、β−ラクトグロブ
リンの加水分解物D2.4kgを得た。
【0025】
【例5(実施例E)】上記A、B、CおよびDの呈味性
について、20代〜40代の男女各5人ずつ、計30人
の熟練したパネラーを選び、テストを行なった。A、
B、CおよびD粉末は、0.5%および5%(重量)と
なるように還元してテストに使用した。その結果を下記
の表1で表わされる第1表に示した。
【0026】
【表1】
【0027】第1表に示したパネルテスト結果にみられ
るとおり、本発明の方法により調製されたβ−ラクトグ
ロブリンの加水分解物(試料AとD)は、β−ラクトグ
ロブリンを除去した残りとして得られるα−ラクトアル
ブミンに富む乳清たん白質の加水分解物(試料B)、お
よびβ−ラクトグロブリンを分画する前の乳清たん白質
の加水分解物(試料C)に比して、不快味なしとした人
が男女差なく圧倒的に多く、β−ラクトグロブリンのみ
を加水分解して得られるペプチド組成物には不快味のな
いことがわかる。更に、相対的にα−ラクトアルブミン
の加水分解物を多く含む試料Bの方が試料Cに比して不
快味を強く感じる人が多い結果は、従来調製されてきた
乳清たん白質の加水分解物が有する不快味はα−ラクト
アルブミンの加水分解物の寄与が大きいことを示唆して
おり、本発明の方法により調製される試料AおよびDの
佳良な風味を支持するものである。
【0028】
【例6(実施例F)】本発明の方法で調製されたたん白
質加水分解物(試料AとD)の抗原性をラット受身皮膚
アナフィラキシー(以下PCA)反応法で評価した結果
を後記の表2で表わされる第2表に示した。
【0029】
【(A)実験方法】PCA反応はMotaとWongの
方法(Life Sciences,8,813,(1
969))に準じて実施した。即ち毛を刈ったSD系ラ
ット背部にβ−ラクトグロブリン特異的マウス抗血清5
0μlを皮内注射し、24時間受動感作した。2%エバ
ンスブルー(Evans Blue)色素含有試料溶液
0.5mlをラット尾静脈より負荷し、30分後にと殺
した。背部の皮膚におけるエバンスブルー色素の出現を
皮膚の裏側より観察し、その大きさを測定した。
【0030】
【(B)結果】上記により得られた結果を、下記の表2
で表わされる第2表に示す。
【0031】
【表2】
【0032】上記第2表に示すように、本発明の方法に
より調製された加水分解物(試料AとD)は、β−ラク
トグロブリンの抗原性が著しく低減されていることが明
らかとなった。即ち、ラットPCA反応法は0.005
mgのβ−ラクトグロブリン抗原を検出し得る感度を有
するものであったが、試料AおよびD10mgの負荷量
によっても陽性反応は得られなかった。たん白質原料と
してβ−ラクトグロブリンを使用する限りにおいて、そ
の抗原がゼロであることは証明し得ないものの、本発明
の方法により調製された加水分解物の抗原性は極めて低
いことが明らかとなった。
【0033】
【例7(実施例G)】本発明で調製されたβ−ラクトグ
ロブリンの加水分解物(試料A)の抗原性につき、イン
ヒビションELISA(Inhibition Enz
yme−linked immunosorbent
assay)法で評価した結果を図1に示す。
【0034】
【(A)実験方法】96ウエルマイクロプレート(NU
NC社)に、精製β−ラクトグロブリンのリン酸緩衝化
生理食塩水(以下PBS)溶液(10μg/ml)10
0μlを分注し、4℃で20時間静置することによりβ
−ラクトグロブリン抗原を固相化した。20μg/ml
〜2ng/ml濃度の1/10希釈系列となるように試
料あるいは精製β−ラクトグロブリンをPBSに溶解
し、ビオチン(Biotin)標識したβ−ラクトグロ
ブリン特異的マウスIgG抗体の0.1%トゥイーン−
20(Tween−20)含有PBS溶液と1:1(容
積)で混合し、4℃、20時間反応させた。反応液を遠
心分離(10,000rpm、15分)後、上清100
μlをβ−ラクトグロブリン抗原の固相化されたウェル
に添加し、室温で2時間反応させた。0.1%トゥイー
ン20含有PBSで各ウェルを十分洗浄後、アビジン
(Avidin)化アルカリフォスファターゼの0.1
%トゥイーン20含有PBS溶液100μlを各ウェル
に加え、室温で2時間反応後、0.1%トゥイーン20
含有PBSで十分洗浄した。パラ−ニトロフェニル フ
ォスフェイト ジソディウム(p−Nitrophen
yl Phosphate Disodium、シグマ
社)の1mg/ml溶液(0.01%塩化マグネシウム
含有1Mジエタノールアミン(Diethanolam
ine)−塩酸緩衝液)100μlを添加し、室温しゃ
光下で30分間反応後、3N水酸化ナトリウム溶液50
μlを添加することにより反応を停止した。各ウェルの
波長405nmにおける吸光値を測定し(MTP−2
2、コロナ社)、以下に示す数式1によりインヒビッシ
ョンを求めた。
【0035】
【数1】
【0036】
【(B)結果】上記により得られた結果を図1に示した
が、この図1に示すとおり、本発明の方法により調製さ
れたβ−ラクトグロブリンのトリプシンによる加水分解
物(試料A)は、その抗原性において未処理β−ラクト
グロブリンに比して著しく低減されていることが明らか
となった。即ち、試料Aが未処理β−ラクトグロブリン
と同等の抗原性を発現するためには未処理β−ラクトグ
ロブリンの1万倍以上の量が必要であった。
【0037】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明により不快味
が無く抗原性の低減されたペプチド組成物を、腐敗の心
配もなく、極めて実用的な方法で容易に得ることが可能
となったものであり産業の発達に多いに寄与するもので
ある。
【0038】また、β−ラクトグロブリンは抗原性を有
しているため、例えばホエー又はホエーたん白質濃縮物
を原料とする育児用調製粉乳の製造時にβ−ラクトグロ
ブリンを分離除去して母乳に近似させているが、本発明
は、このように有効な用途に乏しく不要成分とされてい
たβ−ラクトグロブリンに有効利用の途を拓いた点でも
大いに評価されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】インヒビションELISA法によるβ−ラクト
グロブリン加水分解物(試料A)の残存抗原を図示した
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 良郎 東京都東村山市栄町1の21の3 明治乳業 株式会社中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 たん白質原料を中性プロテアーゼを用い
    て加水分解することによりペプチド組成物を製造するに
    際し、たん白質原料としてβ−ラクトグロブリンを用い
    これを加水分解することを特徴とする不快味のない低抗
    原性たん白質分解物の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の方法によって製造されてなる
    不快味のない低抗原性たん白質分解物。
JP3119592A 1991-03-01 1991-03-01 不快味のない低抗原性たん白質分解物 及びその製造方法 Pending JPH05344847A (ja)

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