JP3146251B2 - ペプチド組成物とその製造法 - Google Patents

ペプチド組成物とその製造法

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JP3146251B2 JP24987293A JP24987293A JP3146251B2 JP 3146251 B2 JP3146251 B2 JP 3146251B2 JP 24987293 A JP24987293 A JP 24987293A JP 24987293 A JP24987293 A JP 24987293A JP 3146251 B2 JP3146251 B2 JP 3146251B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コラーゲン成分を多く
含む動物結合組織を処理したもの、または、これらから
ある程度精製したコラーゲンあるいは変性コラーゲン
(ゼラチン)などを原材料として、コラゲナーゼ酵素で
選択的に加水分解することによって得られる、抗原性の
ない分子量が1,000以下のペプチド組成物と、その
製造方法に関する。
【0002】従来より、コラーゲンないしは変性コラー
ゲン(ゼラチン)が有する性質により、各種の産業分野
・領域における素材として利用されている。例えば、良
質の凝固性タンパク質ということによる各種食用ゼリー
素材をはじめとして、その保護コロイド性を利用した写
真印画紙用材料あるいは医薬用カプセル素材などとして
活用されてきた。また、最近は、免疫反応を誘発しにく
いという性質に注目した創傷治癒剤や人工血管用の素材
などへの応用も試みられている。
【0003】しかし、このような性質を有する反面、コ
ラーゲンは粘性が高く、またその変性体であるゼラチン
は凝固し易いなどの性質が有るため、その用途が限定さ
れてしまう傾向にある。そこで、保湿性が高いという本
来の性質を活用し、酸処理や化学修飾を施して水溶性を
付与させることで、一部、化粧品の成分材料として供給
されたり、また、プロナーゼやアルカラーゼによって部
分加水分解された低分子コラーゲンなども商品化されて
いる。本来、コラーゲン分子やゼラチン分子は、そのア
ミノ酸および立体構造上、他のタンパク質と大きく異な
った性質をもっている。本発明は、こうしたコラーゲン
成分やゼラチン成分のもっている特徴・特性を生かしつ
つ、これまで用途が制約されていた性質を克服させるこ
とで新たな機能性材料・素材としての用途開発を目指し
て鋭意研究を重ねて完成した。
【0004】
【従来の技術】近年、牛乳・卵白・大豆・米・小麦など
の5大アレルゲンをはじめとした各種食品に対する食物
アレルギーの患者が急増しており、これらアレルギー患
者に対する治療と予防、特に、代替え食品あるいはアレ
ルゲン性のない食品の開発が求められてきている。この
ような状況の下、乳製品メーカー各社は牛乳アレルギー
の乳幼児向けに、乳清タンパク質、カゼインあるいはラ
クトグロブリンなどの乳成分を酵素的に分解処理し低分
子化させた低アレルゲン性乳製品を供給している。ま
た、他の業界においても、米アレルギーの患者に対して
やはり酵素処理を行った低アレルゲン米を製造し、治療
や栄養補給などに活用している。
【0005】しかし、原材料として使用している素材が
もともと原因アレルゲンであり、その原因アレルゲンで
ある成分が未分解のまま混入していることがある。ま
た、分解の程度が不十分なためアレルゲン性が完全には
消失されていない等の原因によりどの食物アレルギー患
者にも充分な有効性を発揮しているとは言い難い状況と
なっている。その点、本来が抗原性の大変少ないコラー
ゲン成分ないしは変性コラーゲン(ゼラチン)成分ない
しはこれを含有する動物組織を原材料として使用し、更
に適当な処理を行って超低分子化し、アレルゲン性・抗
原性をなくした素材が開発されると、各種の食物アレル
ギー患者に適用できる優れた治療/健康用食品あるいは
栄養源としての可能性が期待される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、牛乳アレルギー
患者向けとして、前記のような牛乳成分の酵素分解物を
原料として用いるのではなく、合成アミノ酸を添加させ
た育児用ミルクなどが開発されている。しかし、遊離ア
ミノ酸は腸管における浸透圧を高め、輸送系の負担を引
き起こして栄養効率を低下させるなどの欠点があった。
その点、低分子量化したペプチドは、腸管吸収の面から
も優れ、蛋白質栄養源として極めて有効であることが明
らかになっている。従って、消化吸収、栄養生理および
免疫学的反応性などの面から、「遊離アミノ酸が少な
く、分子量が既定され、かつ抗原性がないペプチド」が
求められており、この点からも本発明の目的とするとこ
ろのペプチド組成物は有用性が高いといえる。
【0007】一方、動物結合組織から精製されたコラー
ゲン成分やゼラチン成分は、最近その抗原性の低さに注
目し、これを素材とした人工血管や創傷カバー材として
の開発が進みつつあり、この方面の研究は今後さらに進
展すると期待されている。本発明によるところのペプチ
ド組成物は、結合組織を形成しているコラーゲンの特徴
的なアミノ酸配列を保持していることから、将来、この
ような方面、特に骨折治療補助剤や外科的手術の創傷早
期治癒剤としても活用される可能性がある。従って、本
発明によるところの抗原性を無くした「コラーゲンのア
ミノ酸組成の特性を有した分子量の小さいペプチド組成
物」は産業的有用性はますます高まってくると考えられ
る。
【0008】ところが、従来、乳成分やカゼイン、大豆
あるいは米などのタンパク質成分を加水分解し、低分子
化する場合に用いられていた酵素類は、トリプシン、キ
モトリプシン、パパイン、ペプシン、パンクレアチンあ
るいはアクチナーゼ(特開昭62−171644号公
報、特開平2−182155号公報、特開平2−167
040号公報)などであり、未変性のコラーゲンに対し
てはほとんど作用しないため、本発明の目的である抗原
性の有しない超低分子量のコラーゲン分解物の製造には
適さない。また、動物組織より抽出・精製した変性コラ
ーゲン(ゼラチン)に関しては、これらの酵素は有る程
度作用するものの、抗原性が完全に消失すると考えられ
る一定分子量以下までには分解しない。事実、たとえば
中性プロテアーゼ(プロナーゼ)やアルカリ性プロテア
ーゼ(アルカラーゼ)などでは平均分子量が約7,00
0〜8,000以下のものを調製することは困難であっ
た。
【0009】細菌由来のコラーゲン酵素は、精製された
コラーゲンや変性コラーゲン(ゼラチン)を分解する酵
素としてよく知られてはいるが、コラーゲン成分ないし
はゼラチン成分を含有する動物結合組織などの原材料を
用いて、直接かつ特異的に、これら結合組織中のコラー
ゲン成分ないしは変性コラーゲン(ゼラチン)成分をコ
ラーゲン分子本来のアミノ酸配列を保持したままで分解
し、そして分子量が1,000以下で抗原性がないペプ
チド組成物を得る製造技術は開示されていなかった。
【0010】本発明者らは、前記のような実情に鑑み
て、食物アレルギーの予防や治療、並びに骨治療・骨代
謝改善あるいは外科手術時の創傷治癒などに有効である
素材を提供すべく、コラーゲン本来の特徴的なアミノ酸
配列である(Gly−X−Y)nを保持しつつ、抗原性
のない低分子量のペプチド組成物を開発するために鋭意
研究を行い、本発明を完成した。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記のような課題を解消
するために次のような手段を講じたものである。特許を
受けようとする第1の発明は、コラーゲン成分あるいは
ゼラチン成分を含有する原材料をコラゲナーゼ酵素を用
いて特異的に分解することによって得られる、分子量が
1,000以下で、抗原性がなく、アミノ酸配列が(G
ly−X−Y)n:n=1〜3であるペプチドが70%
以上含有することを特徴とするペプチド組成物である。
【0012】本発明によれば、コラゲナーゼ酵素を単独
ないしは各種の担体に固定化させた状態で、コラーゲン
成分ないしはゼラチン成分を含む原材料に直接作用さ
せ、特異的な酵素分解を行わせることで、コラーゲン本
来の特徴的なアミノ酸配列である(Gly−X−Y)n
を保持した、抗原性のないペプチド組成物が高収率で得
られる。
【0013】特許を受けようとする第2の発明は、上記
第1の発明における分解に用いるコラゲナーゼ酵素が粒
径10μm以下の磁性担体に結合していることを特徴と
するのペプチド組成物である。
【0014】特許を受けようとする第3の発明は、前記
第1の発明における化学結合法によってコラゲナーゼ酵
素を結合させた担体を用いて酵素分解を行うことを特徴
とするペプチド組成物である。
【0015】特許を受けようとする第4の発明は、コラ
ーゲン成分あるいはゼラチン成分を含有する原材料をコ
ラゲナーゼ酵素を用いて特異的に分解することによって
得られる、分子量が1,000以下で、抗原性がなく、
アミノ酸配列が(Gly−X−Y)n:n=1〜3であ
るペプチドが70%以上含有するペプチド組成物の製造
法であって、出発原材料である動物由来の乾燥骨あるい
は生骨を砕骨し、この砕骨材料を酸処理した後、酵素処
理に適する大きさに細断あるいは破砕し、基質特異性を
有するコラゲナーゼ酵素により酵素分解するようにした
ことを特徴とするペプチド組成物の製造法である。
【0016】本発明によるところの出発原材料として
は、牛骨や豚の胸骨をはじめとした動物由来の乾燥骨あ
るいは生骨を砕いた後、酸処理などによって灰分を除去
したオセイン、牛皮や豚皮などの動物性皮原料あるいは
これらから脱毛処理や油脂層除去処理を行ったもの、あ
るいは牛や豚をはじめとした動物性の腱や軟骨などを酵
素処理に適する大きさに細断あるいは適当な方法で破砕
したものなどをそのまま使用する。
【0017】本発明における酵素分解に用いるコラゲナ
ーゼ酵素は、Clostridium histo-ticum, Streptomyces
parvulusなどの細菌、放線菌あるいは真菌など由来で、
コラーゲン特有のアミノ酸配列:(Gly−X−Y)n
のグリシンのアミノ基側を特異的に切断する酵素を用い
る。また、これらの酵素遺伝子を遺伝子工学的に特定の
ベクターに組み込んで、乳酸菌や酵母などの他の菌体あ
るいは動物に産生させて得られた遺伝子組み替えによる
酵素で、類似の基質特異性を有するコラゲナーゼ酵素で
あっても問題はない。
【0018】特許を受けようとする第5の発明は、上記
のペプチド組成物の製造法において、酸処理後に脱毛処
理や油脂層除去処理を行うと共に、細断あるいは破砕し
た後にアルカリ処理したり、プロテアーゼで前処理する
ようにしたことを特徴とするペプチド組成物の製造法で
ある。
【0019】この方法によれば、この方法により次工程
のコラゲナーゼ酵素による分解を容易にさせることが可
能となる。即ち、次工程のコラゲナーゼ酵素による分解
を容易にさせるため、これらの原料をさらに消石灰等で
アルカリ処理したり、場合によってはペプシン、トリプ
シン、パパインなどのコラゲナーゼ以外のプロテアーゼ
で前処理して使用しても良い。更にはコスト的に不利で
はあるが、このような原料からもう一段抽出・精製工程
を経て得られたコラーゲンないしはゼラチンを用いても
良い。その際における精製度合いは、使用するコラゲナ
ーゼ酵素の純度や特異性にも関係するが、本発明におい
ては特に問わない。むしろ、これら出発原材料の選択基
準は製造工程や本発明によるところのペプチド組成物の
用途と関係が重要であり、それに合わせて適宜選択する
必要があると言える。
【0020】本発明におけるコラゲナーゼ酵素を使用す
る際に特に留意すべき点は、コラゲナーゼ酵素の純度で
ある。通常、各種菌体から調製されたコラゲナーゼ酵素
には、他の蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)が混入して
いることがある。この不純酵素が多く含まれると原材料
中のコラーゲン成分以外のタンパク質も分解されてしま
うため、最終製品であるペプチド組成物の品質が低下し
てしまう原因となる。従って、使用するコラゲナーゼ酵
素の純度は、その基質特異性と共に、十分注意を払う必
要がある。
【0021】但し、同じ酵素名ではあるが、牛、豚、マ
ウス、ヒトなどの動物由来のコラゲナーゼ酵素ないしは
これらのコラゲナーゼ酵素遺伝子を放線菌、大腸菌、酵
母などに導入させて作成したコラゲナーゼ酵素で、前記
のような基質特異性を有さず、未変性のコラーゲンに作
用し大きな断片を生じせしめるようなコラゲナーゼ酵素
は含まれない。
【0022】コラゲナーゼ酵素による酵素分解の方法に
は(a)バッチ法、(b)カラム法あるいは(c)これ
らを組み合わせた方法などがある。また、この両者にお
ける製造ラインと使用するコラゲナーゼ酵素の形態との
組み合わせはいろいろな方式を採用することが可能であ
る。たとえば、前者のバッチ法の場合、コラゲナーゼ酵
素を単独で用いたり、回収を容易にするためコラゲナー
ゼ酵素を種々の担体や磁性化した粒子あるいは金属性粒
子担体などに結合させて用いたりできる。また、原材料
・コラゲナーゼ酵素と分解産物との分離については、酵
素分解が終了した後ないしは分解過程全体を通じて、両
者の分子量差を利用して分離する方式を用いることがで
きる。特に、限外濾過膜などの分離膜を備えた装置をバ
ッチ法の製造システムに組み込むことによって、酵素分
解で生じた分解産物をその都度あるいは常時酵素反応系
外へ排除する方式は、分解産物による酵素反応のフィー
ドバックを掛かりにくくすることができる為大変有効な
手段であると言える。
【0023】また、後者のカラム法の場合、コラゲナー
ゼ酵素を物理吸着法あるいは化学結合法によって各種の
担体に結合させ、クロマト用のカラムに充填した通常の
システムを用いることができる。しかし、このカラム法
によって本発明によるところのペプチド組成物をより効
率的に製造するためには、いくつかの工夫を加えた方が
良い場合がある。例えば、コラゲナーゼ酵素による分解
の過程で生じてくるジペプチドあるいは若干のアミノ酸
などのため、反応液のpHが酵素の至適pHより大きく
外れてしまうことがある。また、コラゲナーゼ酵素の基
質親和性との関係もあるが、バッチ法の場合と同様に、
酵素反応の過程で生じる分解産物が酵素反応をフィード
バック阻害することがある。これらへの対策として、製
造装置を多連式のカラムにして、各カラムの間にpHの
モニターと至適pHの維持が行える装置ないしはフロー
システムによる分解産物の除去装置などを組み込む必要
が生じてくる場合もある。
【0024】カラム法で使用するコラゲナーゼ酵素を固
定化する担体としては、本発明に関係する業者なら知っ
ている、一般的な市販のカラムクロマト用各種充填剤、
予め活性化されてあるカラムクロマト用充填剤あるいは
種々の化学合成樹脂剤で作成した各種担体などがある。
また、前述(a)のバッチ法で使用する磁性化粒子とし
ては、磁性粒子を合成樹脂などで被膜したもの、金属コ
ロイドと合成ポリマーの重合体および金属粒子あるいは
細胞内にマグネタイトを有した磁性細菌などが活用でき
る。通常、各種担体への酵素の固定化方法に関しては、
固定化させた酵素の脱着や保存安定性の面を考慮した化
学結合による固定化の方が有利であるといえる。
【0025】なお、バッチ法とカラム法の他に、この両
者を組み合わせた方法も採用できる。たとえば、まずバ
ッチ法で中間段階まで酵素分解させた中間製品を次のカ
ラム法の工程で最終製品まで仕上げる、等の方法が行わ
れる。これら酵素分解の方式の選択については、生産
量、工程(品質)管理、最終製品の用途あるいは前述の
出発原材料との関係で適宜選択する必要がある。
【0026】酵素分解時の、出発原材料とコラゲナーゼ
酵素の割合は原材料の形態やコラゲナーゼ酵素の活性と
の関係で変化する。たとえば、出発原材料が石灰処理さ
れたオセインをバッチ法とカラム法を組み合わせて処理
する場合は、原材料に対してバッチ法では概ね重量比で
1〜10%のコラゲナーゼ酵素を必要とする。但し、コ
ラゲナーゼ酵素の再利用を図った場合には、酵素の必要
量を半分以下に抑えることが可能であるが、もちろん、
それは酵素反応時間や酵素活性との関係で変化する。
【0027】次に、本発明で得られたペプチド組成物の
抗原性を検定する方法について概略を説明する。 (1) 抗血清の調製(IgGタイプ抗体) 本発明によって得られたペプチド組成物100mgを1
0m〓のPBSに溶解(10mg/m〓)後、0.22μmの
フィルターで濾過滅菌を行った溶液1m〓をPBSで5
0倍希釈( 200μg/m 〓)し、フロイント完全アジュバ
ントと等量づつ混和してエマルジョンを調製し、7匹の
マウス腹腔内にその0.2mlずつ注射した。その2週
間後、同じペプチド組成物の溶液を等量のフロイント不
完全アジュバントと共にエマルジョンを作成し、同様に
マウスの腹腔内に注射し、1週間後に全採血を行って抗
血清を調製した。
【0028】(2) 酵素免疫測定法によるペプチド組成物
抗体の検定(抗原性試験−1) 活性エステルで活性化されたキトパール(K-62、富士紡
績)と本発明によるところのペプチド組成物とを混合し
て調製したペプチド組成物固定化担体と、(1)で調製し
たマウス抗血清とを37℃で2時間反応させた後、洗浄
し、山羊抗マウスIgG抗体の西洋ワサビパーオキシダ
ーゼ(HRP)標識複合体(コスモ・ハ゛イオ)を2次反応させ
る。37℃で1時間反応後、キトパール担体に結合して
残っているHRP標識複合体の活性を測定する事によっ
て、抗血清中に含まれているペプチド組成物に対する抗
体の力価を検定した。本試験を行う事によって、本ペプ
チド組成物が生体に投与されたときに免疫系を刺激し、
特異抗体を誘導し得るか否かを検定する。
【0029】(3) 受身皮膚アナフィラキシー(Passive
Cutaneous Anapylaxis:PCA)(抗原性試験−2) 滅菌生理食塩水を用い、一般に市販されているマウス抗
牛・ コラーゲン(typeI)抗血清の1/2希釈系列(1/10,
1/20, 1/40, 1/80, 1/160 )を作成し、各希釈血清5
0μ〓を背毛を刈った2匹のSD系ラット(オス、8週
齢)の背部皮内に注射した。24時間後、このうちの1
匹に、本発明によるところのペプチド組成物の1mgを
含む0.6%エバンスブルー溶液1.0m〓を尾静脈よ
り注射した。また、ペプチド組成物に対する陽性コント
ロールとして、2匹目のSD系ラットにも同様に牛・ コ
ラーゲン(type I)の1mgを含む0.6%エバンスブル
ー溶液1.0m〓を尾静脈より注射した。60分後2匹
とも屠殺し、背部皮膚を剥いで紫斑を観察し、それらの
大きさを測定した。判定は、紫斑径が10mm以上を
(〓)、9mm〜5mmを(+)、4mm〜1mmを
(±)とし、紫斑が生じない場合を(−)とした。
【0030】(4) RAST−阻害試験(抗原性試験−
3) 卵白、牛乳、大豆、米および小麦アレルギーの患者各1
0人づつから採血された血清中のアレルゲン特異IgE
抗体を測定するRAST試験法を実施する際に、本発明
によるところのペプチド組成物によってRAST試験法
で陽性となった患者の特異IgE抗体の力価が阻害され
るか否かについて検討した。本試験を行う事によって、
〓型アレルギーを誘導するアレルゲン特異IgEと本ペ
プチド組成物が反応し得るかどうかについて検討する。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、これらの実施例は、本発明の範囲を何ら制限す
るものではない。
【0032】
【実施例1】 <Step 1> 変性コラーゲン(ゼラチン、宮城化学工業)50gを5
00m〓の20mMHEPES緩衝液(pH7.0)に
加温しながら溶解後、50℃に冷却した。0.2gのコ
ラゲナーゼ酵素(コスモ・ハ゛イオ、ABC Form III)を50mM
HEPES緩衝液100m〓に溶解した酵素溶液を、
変性コラーゲン溶液にすばやく加えて強く撹拌した。両
者の混合液30℃下、20時間加温した。この混合液は
約1〜2時間を経過する頃から粘性が低下し、約5〜6
時間経過するとほぼ完全に水溶液の状態となった。 <Step 2>Step 1 で得られたコラゲナーゼ酵素による部
分溶解液のpHを再調整した後、30℃下でさらに酵素
分解を約18〜20時間継続させた。この間、酵素反応
液のpHを1時間毎にモニターしながら、反応液のpH
を7.0に調整した。反応終了後、酵素分解溶液を2.
0μmと次いで0.45μmのフィルターで濾過を行っ
た。この濾液を初めに分画分子量5,000の限外濾過
膜にアプライしてコラゲナーゼ酵素を除き、次いで分画
分子量1,000の限外濾過膜にアプライして濾液を採
取し、コラゲナーゼ酵素によるペプチド組成物とした。
【0033】
【実施例2】10mM PBS緩衝液(pH7.2)1
00m〓にコラゲナーゼ酵素(和光純薬)5gを溶解さ
せた酵素溶液に活性化キトパール(富士紡績)20m〓
を加え、4℃で8時間振盪させてコラゲナーゼ酵素固定
化担体を調製した。未結合酵素を濾過して除いた後、酵
素固定化担体は緩衝液で十分に洗浄し、4℃で保存し
た。使用時には、本酵素固定化担体を、カラムとカラム
の間にpHセンサーを設置した3連式のカラムへ充填
し、50mM HEPES緩衝液で良く洗浄・平衡化を
行った。pHの測定は本3連式カラムのカラム間に設置
したpHセンサーが変化を感知して、繋いであるチュー
ブから濃厚HEPES緩衝液が流入するシステムとなっ
ている。担体への結合量は結合前後の280nmにおけ
る吸光度の変化を計測して算出した。
【0034】
【実施例3】 <Step 1>変性コラーゲン(ゼラチン、宮城化学工業)5
0gを500m〓の20mMHEPES緩衝液(pH
7.0)に加温しながら溶解後、50℃に冷却した。
0.2gのコラゲナーゼ酵素(コスモ・ハ゛イオ、ABC Form II
I)を50nM HEPES緩衝液100m〓に溶解し
た酵素溶液を、変性コラーゲン溶液にすばやく加えて強
く撹拌した。両者の混合液は30℃下、20時間加温し
た。この混合液は約1〜2時間を経過する頃から粘性が
低下し、約5〜6時間経過するとほぼ完全に水溶液の状
態となった。 <Step 2>Step 1 で得られたコラゲナーゼ酵素による部
分溶解液のpHを7.0に再調整した後、実施例2で調
製した縦型3連式のコラゲナーゼ酵素固定化カラムにア
プライし、カラム法による酵素分解を行った。この間、
流速は毎分5〜8mlに、またカラムの温度は30±1
℃にコントロールした。最終(3連目)のカラムから出
てきた酵素反応終了液を分取し、pHを7.0に再度調
整した後、実施例1と同様の処理を行って、カラム法に
よるペプチド組成物とした。
【0035】
【実施例4】カルボキシ変性磁性粒子(日本ペイント)
を蒸留水(pH 9.0, 1N NaOH で調製)に懸濁させ(1 g/
100m〓)、一度洗浄したのち、同量(100m〓)の5
0mM MES緩衝液に再懸濁させた。次いで、使用直
前に同緩衝液に溶解させた100mg/m〓水溶性カル
ボジイミド(栄研化学、1-エチル-3-(3-シ゛メチルアミノフ゜ロヒ゜ル)カル
ホ゛シ゛イミト゛-HCl:EDC)5m〓を加え、室温下で30分間反
応させた。冷却させたMES緩衝液100m〓で3回洗
浄を行った後100m〓の5mM MES緩衝液に懸濁
させ、これに50mM PB(pH7.5)緩衝液に溶
解させたコラゲナーゼ酵素12mg/m〓(コスモ・ハ゛イオ、
ABC Form III)10m〓を添加してすばやく撹拌させ、
室温下で2時間ロータリー式に回転させながら反応させ
た。未結合のコラゲナーゼ酵素は除去し、調製された酵
素−磁性粒子結合体を洗浄後、50mM MES緩衝液
100m〓に再懸濁させ、防腐剤などを添加して使用す
るまで4℃で保存した。
【0036】
【実施例5】 <Step 1>膨潤・石灰処理工程を経て、充分に中和・洗浄
を行った牛骨オセイン(3/8インチ500g)を50
mM HEPES緩衝液500m〓に浸した。これに、
実施例4で調製したコラゲナーゼ酵素−磁性粒子結合体
20m〓を加え、25〜30℃で24±1 時間反応させ
た。反応終了液中の未消化原料を除くため粗い篩で濾過
した後、磁石を用いて濾液から結合体を回収し、綿栓で
再濾過を行った。 <Step 2>Step 1で得られたコラゲナーゼ酵素−磁性粒子
結合体による部分溶解液のpHを調整した後、実施例2
で調製した縦型3連式のコラゲナーゼ酵素固定化カラム
にアプライし、カラム法による2段階目の酵素分解を行
った。この間、流速は毎分5〜8m〓に、またカラムの
温度は30±1 ℃にコントロールした。最終(3連目)
のカラムから出てきた酵素反応終了液を分取し、pHを
7.0に再度調整した後、実施例1と同様の処理を行っ
て、カラム法によるペプチド組成物とした。
【0037】
【実施例6】 <Step 1>膨潤・石灰処理工程を経て、充分に中和・洗浄
を行った牛骨オセイン(3/8インチ1000g)を5
0mM HEPES緩衝液1,000m〓に浸した。こ
れに、実施例4で調製したコラゲナーゼ酵素−磁性粒子
結合体40m〓を加え、25〜30℃で18±1時間ロ
ータリー式に回転させながら反応させた。この間、反応
液のpHをモニターして5N NaOHでpHを調製し
た。次いで、反応液から磁石を用いてコラゲナーゼ酵素
−磁性粒子結合体を除いた後、ポアサイズ=0.2μm
のセラミック性連続濾過システムに通して濾過液を分取
した。 <Step 2>実施例2で調製されたコラゲナーゼ酵素固定化
担体を充填した算盤式の分離型バイオリアクター(東京
理化器械)を用いて、Step 1で得られた濾過液の2次酵
素分解を行った。25〜30℃前後で18〜20時間の
2次酵素分解を行った後、反応終了液を分画分子量1K
のメンブレンをセットした限外濾過装置にシステムに通
した。この限外濾過メンブレンからは、分子量1K以下
のコラゲナーゼ酵素による分解産物(ペプチド組成物)
が得られた。なお、濾過されなかった画分は保存し、次
回の酵素分解材料として混合して用いた。
【0038】
【実施例7】実施例1、3、5、6で得られた、本発明
によるところのペプチド組成物の分子量分布を高速液体
クロマトグラフィー:HPLC(日本分光 UVIDEC-100
v、カラム:GS-620)で測定した。各試料は、HPLC
カラムへインジェンションする前に0.2μmのメンブ
レンフィルターで濾過を行った。実施例1、3、5、6
から得られた各ペプチド組成物の平均分子量値、分子量
1,000以下のペプチドの割合および遊離アミノ酸の
割合を表1にまとめた。
【0039】
【表1】
【0040】
【実施例8】実施例3において得られたペプチド組成物
をエバポレーターで濃縮した後、逆相高速液体クロマト
グラフィーにアプライし、全ペプチドの70%以上を占
める主要な5画分を分取した。ついで、それぞれのNH
2末端のアミノ酸をアミノペプチダーゼ分解法で検定し
たところ、すべてのNH2末端側のアミノ酸はグリシン
であった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61L 15/16 A61P 17/00 27/00 A61K 37/18 A61P 17/00 A61L 15/01

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コラーゲン成分あるいはゼラチン成分を
    含有する原材料をコラゲナーゼ酵素を用いて特異的に分
    解することによって得られる、分子量が1,000以下
    で、抗原性がなく、アミノ酸配列が(Gly−X−Y)
    n:n=1〜3であるペプチドが70%以上含有するこ
    とを特徴とするペプチド組成物。
  2. 【請求項2】 分解に用いるコラゲナーゼ酵素が粒径1
    0μm以下の磁性担体に結合していることを特徴とする
    請求項1記載のペプチド組成物。
  3. 【請求項3】 化学結合法によってコラゲナーゼ酵素を
    結合させた担体を用いて酵素分解を行うことを特徴とす
    る請求項1記載のペプチド組成物。
  4. 【請求項4】コラーゲン成分あるいはゼラチン成分を含
    有する原材料をコラゲナーゼ酵素を用いて特異的に分解
    することによって得られる、分子量が1,000以下
    で、抗原性がなく、アミノ酸配列が(Gly−X−Y)
    n:n=1〜3であるペプチドが70%以上含有するペ
    プチド組成物の製造法であって、出発原材料である動物
    由来の乾燥骨あるいは生骨を砕骨し、この砕骨材料を酸
    処理した後、酵素処理に適する大きさに細断あるいは破
    砕し、基質特異性を有するコラゲナーゼ酵素により酵素
    分解するようにしたことを特徴とするペプチド組成物の
    製造法。
  5. 【請求項5】 ペプチド組成物の製造法において、酸処
    理後に脱毛処理や油脂層除去処理を行うと共に、細断あ
    るいは破砕した後にアルカリ処理したり、プロテアーゼ
    で前処理するようにしたことを特徴とする請求項4記載
    のペプチド組成物の製造法。
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