JP2000125775A - 低アレルゲン性ゼラチン - Google Patents
低アレルゲン性ゼラチンInfo
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 食用、医薬用又は化粧品用に利用される低ア
レルゲン性ゼラチン及びペプチドを提供する。 【解決手段】 本発明は家禽類の皮、骨及び/又は腱由
来で、等電点が7〜10であり、ゼラチンアレルギー患
者血清と抗原抗体反応を生じない又は抗原抗体反応が低
値であることを特徴とする、食用、医薬用又は化粧品用
ゼラチン及び当該ゼラチンを加水分解したペプチドであ
る。本発明のゼラチン及びペプチドは、低アレルゲン性
であるので、ゼラチンアレルギー患者にも安全に供給で
き、従来のゼラチンの利用分野で特に安全性が求められ
る食品用、医薬品用、化粧品用として有用である。
レルゲン性ゼラチン及びペプチドを提供する。 【解決手段】 本発明は家禽類の皮、骨及び/又は腱由
来で、等電点が7〜10であり、ゼラチンアレルギー患
者血清と抗原抗体反応を生じない又は抗原抗体反応が低
値であることを特徴とする、食用、医薬用又は化粧品用
ゼラチン及び当該ゼラチンを加水分解したペプチドであ
る。本発明のゼラチン及びペプチドは、低アレルゲン性
であるので、ゼラチンアレルギー患者にも安全に供給で
き、従来のゼラチンの利用分野で特に安全性が求められ
る食品用、医薬品用、化粧品用として有用である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低アレルゲン性ゼラ
チン及びペプチドに関する。より詳細には、食用、医療
用(医薬用も含む)、化粧品用として利用され、アレル
ギー症状を引き起こすことのないゼラチン及びペプチド
に関する。
チン及びペプチドに関する。より詳細には、食用、医療
用(医薬用も含む)、化粧品用として利用され、アレル
ギー症状を引き起こすことのないゼラチン及びペプチド
に関する。
【0002】
【従来の技術】ゼラチンは、脊椎動物に最も多く含まれ
るタンパク質、コラーゲンを物理化学的処理により変性
して可溶性状態にした後、精製・乾燥したものである。
従って、ゼラチンはコラーゲン含有組織より製造され
る。コラーゲン含有組織としては動物(例えば、牛、
豚、兎、羊、鶏など)の皮、骨、軟骨、腱、胎盤などが
例示されるが、ゼラチンを商業的に生産する場合は、大
量且つ安価に入手可能な牛又は豚の骨と皮が使用されて
いる。従来よりゼラチンは原料をアルカリ又は酸で前処
理した後、温水にて抽出する方法で製造されている。近
年では効率化・高純度化という観点から酵素(プロテア
ーゼ)による前処理なども検討されている。
るタンパク質、コラーゲンを物理化学的処理により変性
して可溶性状態にした後、精製・乾燥したものである。
従って、ゼラチンはコラーゲン含有組織より製造され
る。コラーゲン含有組織としては動物(例えば、牛、
豚、兎、羊、鶏など)の皮、骨、軟骨、腱、胎盤などが
例示されるが、ゼラチンを商業的に生産する場合は、大
量且つ安価に入手可能な牛又は豚の骨と皮が使用されて
いる。従来よりゼラチンは原料をアルカリ又は酸で前処
理した後、温水にて抽出する方法で製造されている。近
年では効率化・高純度化という観点から酵素(プロテア
ーゼ)による前処理なども検討されている。
【0003】アルカリによる前処理とは、原料を1〜5
%石灰液などに30〜100日浸した後、中和水洗する
方法である。この処理によって不純物が除去され、ゼラ
チンが温水で容易に抽出される状態になる。アルカリ処
理中にアルギニン、グルタミン、アスパラギン側鎖のア
ミド基がカルボキシル化されるため、アルカリ処理ゼラ
チンの等電点はコラーゲンよりも低い4〜5.5であ
る。酸による前処理とは、原料を硫酸、塩酸などの希薄
な酸溶液に1〜2日程度浸した後、水洗する方法であ
る。酸処理ゼラチンの等電点は7〜10、通常7.5〜
9.5であり、コラーゲンとほぼ同じである。酵素処理
ゼラチンの等電点も酸処理ゼラチンとほぼ同じである。
%石灰液などに30〜100日浸した後、中和水洗する
方法である。この処理によって不純物が除去され、ゼラ
チンが温水で容易に抽出される状態になる。アルカリ処
理中にアルギニン、グルタミン、アスパラギン側鎖のア
ミド基がカルボキシル化されるため、アルカリ処理ゼラ
チンの等電点はコラーゲンよりも低い4〜5.5であ
る。酸による前処理とは、原料を硫酸、塩酸などの希薄
な酸溶液に1〜2日程度浸した後、水洗する方法であ
る。酸処理ゼラチンの等電点は7〜10、通常7.5〜
9.5であり、コラーゲンとほぼ同じである。酵素処理
ゼラチンの等電点も酸処理ゼラチンとほぼ同じである。
【0004】ゼラチンには、起泡性、皮膜形成能、保水
性、保護コロイド性、弾力性、熱可逆的ゾル・ゲル変換
特性(ゲル化特性)など多くの特性があり、また安価且
つ大量に入手可能なため、食用、医療用、化粧品用、写
真用、工業用など幅広い用途で利用されている。食用と
しては、そのゲル化特性を活かしたゼリーの原料として
利用される。ゼラチン以外にも寒天、カラギーナン、ペ
クチンなどの植物性多糖類がゲル化特性を有するが、こ
れらはすべて植物性であり消化吸収が悪く栄養価も低
い。一方、ゼラチンは消化吸収の良い代表的な動物性タ
ンパク質であり、ゼリー使用時の食感にも優れている。
さらに、起泡性を活かしてマシュマロの原料として利用
されている。その他にも、グミキャンディー、ヨーグル
ト、ハム、ソーセージ、スープ、ババロア、アイスクリ
ームなどの主原料あるいは副原料として広く利用されて
いる。
性、保護コロイド性、弾力性、熱可逆的ゾル・ゲル変換
特性(ゲル化特性)など多くの特性があり、また安価且
つ大量に入手可能なため、食用、医療用、化粧品用、写
真用、工業用など幅広い用途で利用されている。食用と
しては、そのゲル化特性を活かしたゼリーの原料として
利用される。ゼラチン以外にも寒天、カラギーナン、ペ
クチンなどの植物性多糖類がゲル化特性を有するが、こ
れらはすべて植物性であり消化吸収が悪く栄養価も低
い。一方、ゼラチンは消化吸収の良い代表的な動物性タ
ンパク質であり、ゼリー使用時の食感にも優れている。
さらに、起泡性を活かしてマシュマロの原料として利用
されている。その他にも、グミキャンディー、ヨーグル
ト、ハム、ソーセージ、スープ、ババロア、アイスクリ
ームなどの主原料あるいは副原料として広く利用されて
いる。
【0005】医療用としては、ハード及びソフトカプセ
ルに応用されている。これらは、粘性、ゲル化特性、皮
膜形成能などゼラチンの多様な特性に依存している。ま
た、皮膚に対する親和性や保水性、粘着性などに優れる
ことからパップ剤にも利用されている。その他にも、錠
剤の結合剤、止血材などに応用されている。化粧品用と
しては、保湿成分として乳液、パック剤などに配合され
ている。写真用としては感光物質であるハロゲン化銀の
結合剤に使用されている。ゲル化特性と保護コロイド性
の二点でゼラチンに代替できる物質は未だ開発されてい
ない。工業用としては合板、家具などの木工用接着剤と
して利用されている。
ルに応用されている。これらは、粘性、ゲル化特性、皮
膜形成能などゼラチンの多様な特性に依存している。ま
た、皮膚に対する親和性や保水性、粘着性などに優れる
ことからパップ剤にも利用されている。その他にも、錠
剤の結合剤、止血材などに応用されている。化粧品用と
しては、保湿成分として乳液、パック剤などに配合され
ている。写真用としては感光物質であるハロゲン化銀の
結合剤に使用されている。ゲル化特性と保護コロイド性
の二点でゼラチンに代替できる物質は未だ開発されてい
ない。工業用としては合板、家具などの木工用接着剤と
して利用されている。
【0006】ゼラチンを酸、アルカリ、酸素又は熱で加
水分解したペプチドも食用、医療用、化粧品用として広
く利用されている。食用としては、ゼラチンよりも溶け
やすく消化吸収も良いため栄養剤などのアミノ酸供給源
として添加されている。また、保護コロイド性を活か
し、清酒などアルコール飲料のオリ下げ剤などにも利用
される。医療用としては、代用血漿剤、ワクチン安定剤
などに利用されている。化粧品用としてはヘアケア原料
などに配合されている。
水分解したペプチドも食用、医療用、化粧品用として広
く利用されている。食用としては、ゼラチンよりも溶け
やすく消化吸収も良いため栄養剤などのアミノ酸供給源
として添加されている。また、保護コロイド性を活か
し、清酒などアルコール飲料のオリ下げ剤などにも利用
される。医療用としては、代用血漿剤、ワクチン安定剤
などに利用されている。化粧品用としてはヘアケア原料
などに配合されている。
【0007】
【発明が解決しようとしている課題】ゼラチンは、その
分子構造が種の違いにかかわらず極めて類似しているた
め、異種のものであっても抗原性はない又は少ないとさ
れてきた。食用ゼラチンは、FAO/WHO合同食品添
加物専門委員会によって「類制A(1)、ADI特定せ
ず」と評価され、また医薬品としては日本薬局方の3局
より収載されているなど、ゼラチンのヒトに対する安全
性は広く認められている。しかし、近年ゼラチンを含有
するワクチンや食品によってアレルギー反応を引き起こ
す乳幼児例が急増している。ワクチン被接種者の約50
0人に1例が即時型、約110人に1例が非即時型のゼ
ラチンアレルギーを引き起こすという報告もある(厚生
省予防接種副反応研究班・予防接種リサーチセンター:
予防接種の効果的実施と副反応に関する総合的研究、1
51−154、1998)。この感作の主要因として
は、三種混合ワクチンやゼラチン含有離乳食などが指摘
されている。
分子構造が種の違いにかかわらず極めて類似しているた
め、異種のものであっても抗原性はない又は少ないとさ
れてきた。食用ゼラチンは、FAO/WHO合同食品添
加物専門委員会によって「類制A(1)、ADI特定せ
ず」と評価され、また医薬品としては日本薬局方の3局
より収載されているなど、ゼラチンのヒトに対する安全
性は広く認められている。しかし、近年ゼラチンを含有
するワクチンや食品によってアレルギー反応を引き起こ
す乳幼児例が急増している。ワクチン被接種者の約50
0人に1例が即時型、約110人に1例が非即時型のゼ
ラチンアレルギーを引き起こすという報告もある(厚生
省予防接種副反応研究班・予防接種リサーチセンター:
予防接種の効果的実施と副反応に関する総合的研究、1
51−154、1998)。この感作の主要因として
は、三種混合ワクチンやゼラチン含有離乳食などが指摘
されている。
【0008】ゼラチンは食用、医療用、化粧品用、写真
用、工業用などに幅広い用途で利用されているが、ゼラ
チンアレルギー患者がこれらゼラチン含有製品を投与さ
れたり、又は摂取などした場合、アレルギー症状を引き
起こす可能性がある。特に重篤なゼラチンアレルギー
は、生ワクチンの接種によって生じる。生ワクチンには
力価の低下を防ぐためにタンパク質の安定剤、例えば、
ゼラチンもしくはその加水分解物又はヒト血清アルブミ
ンの添加が必要であった。しかし、ヒト血清アルブミン
には未知の病原体の存在など、広く使用するには問題が
多い。一方、乳糖、ソルビトール、ブドウ糖、精製白糖
及びデキストランなどの糖類では十分な安定化効果は得
られなかった。ここ数年間でゼラチン含有ワクチンの危
険性が広く認知され、ゼラチンフリーワクチンが開発さ
れてはいるものの、低力価で安定した効果の要求される
麻疹ワクチンにはタンパク質の安定剤の添加が不可欠で
ある。従って、代替の安定剤又はアレルギー症状を引き
起こすことなく、安定剤としての機能を果たすゼラチン
の開発が強く望まれていた。
用、工業用などに幅広い用途で利用されているが、ゼラ
チンアレルギー患者がこれらゼラチン含有製品を投与さ
れたり、又は摂取などした場合、アレルギー症状を引き
起こす可能性がある。特に重篤なゼラチンアレルギー
は、生ワクチンの接種によって生じる。生ワクチンには
力価の低下を防ぐためにタンパク質の安定剤、例えば、
ゼラチンもしくはその加水分解物又はヒト血清アルブミ
ンの添加が必要であった。しかし、ヒト血清アルブミン
には未知の病原体の存在など、広く使用するには問題が
多い。一方、乳糖、ソルビトール、ブドウ糖、精製白糖
及びデキストランなどの糖類では十分な安定化効果は得
られなかった。ここ数年間でゼラチン含有ワクチンの危
険性が広く認知され、ゼラチンフリーワクチンが開発さ
れてはいるものの、低力価で安定した効果の要求される
麻疹ワクチンにはタンパク質の安定剤の添加が不可欠で
ある。従って、代替の安定剤又はアレルギー症状を引き
起こすことなく、安定剤としての機能を果たすゼラチン
の開発が強く望まれていた。
【0009】ワクチン接種によるゼラチンアレルギーが
認知されつつあるものの、食品やその他の医薬品、化粧
品の使用によるゼラチンアレルギーには殆ど関心が払わ
れていない。従って、これらのゼラチンを含有する製品
の利用による重篤な事故の発生が危惧されている。故に
これを未然に回避することは社会的に重要である。ゼラ
チン含有食品には、ゼリー、ババロア、グミキャンディ
−、ヨーグルト、ハム、ソーセージ、スープ、アイスク
リームなど、日常摂取する多くの食品がある。また、ゼ
ラチン加水分解ペプチドも食品に利用されており、特に
近年ゼラチン加水分解ペプチドを大量に含有した食品、
例えば飲料などが市販されるようになった。これらの食
品のゼラチン加水分解ペプチドの含有量は、一回に5g
摂取する場合もある。この摂取量はアナフィラキシーシ
ョックを起こすには十分な量である。更に、医薬用のソ
フトカプセル、ハードカプセルもゼラチンが主原料であ
る。これらの食品、医薬品をゼラチンアレルギー患者が
摂取すると、口の中や目に痒み、鼻汁、発熱、嘔吐、頭
痛、下痢、皮膚炎、喘息などのアレルギー症状を生じ、
場合によってはアナフィラキシーショックを起こすこと
もある。一方、上述のようにゼラチンはこれらの食品や
医薬品の形状、物性、呈味などを保持する上で必須成分
であり、これに変わる安価な物質は開発されていなかっ
た。
認知されつつあるものの、食品やその他の医薬品、化粧
品の使用によるゼラチンアレルギーには殆ど関心が払わ
れていない。従って、これらのゼラチンを含有する製品
の利用による重篤な事故の発生が危惧されている。故に
これを未然に回避することは社会的に重要である。ゼラ
チン含有食品には、ゼリー、ババロア、グミキャンディ
−、ヨーグルト、ハム、ソーセージ、スープ、アイスク
リームなど、日常摂取する多くの食品がある。また、ゼ
ラチン加水分解ペプチドも食品に利用されており、特に
近年ゼラチン加水分解ペプチドを大量に含有した食品、
例えば飲料などが市販されるようになった。これらの食
品のゼラチン加水分解ペプチドの含有量は、一回に5g
摂取する場合もある。この摂取量はアナフィラキシーシ
ョックを起こすには十分な量である。更に、医薬用のソ
フトカプセル、ハードカプセルもゼラチンが主原料であ
る。これらの食品、医薬品をゼラチンアレルギー患者が
摂取すると、口の中や目に痒み、鼻汁、発熱、嘔吐、頭
痛、下痢、皮膚炎、喘息などのアレルギー症状を生じ、
場合によってはアナフィラキシーショックを起こすこと
もある。一方、上述のようにゼラチンはこれらの食品や
医薬品の形状、物性、呈味などを保持する上で必須成分
であり、これに変わる安価な物質は開発されていなかっ
た。
【0010】化粧品においてもゼラチンは保湿成分とし
て乳液やローションに配合され、使用されている。ま
た、ゼラチンはパップ剤に使用されている。これらの化
粧品やパップ剤をゼラチンアレルギー患者が使用する場
合には、痒み、紅班、丘疹、小水疱、表面剥離など、皮
膚の炎症を伴う可能性がある。しかし、皮膚に対する親
和性や保水性、粘着性を兼ね備えた安価な代替物質はな
かった。上述のように、食品、医薬品、化粧品などへの
ゼラチンの利用はその多様な特性に依存する場合が多
く、その殆どが代替のきかない利用法であるため、従来
のゼラチンの特性を有し、且つアレルギーを起こさない
安全で安価な物質の開発が望まれていた。
て乳液やローションに配合され、使用されている。ま
た、ゼラチンはパップ剤に使用されている。これらの化
粧品やパップ剤をゼラチンアレルギー患者が使用する場
合には、痒み、紅班、丘疹、小水疱、表面剥離など、皮
膚の炎症を伴う可能性がある。しかし、皮膚に対する親
和性や保水性、粘着性を兼ね備えた安価な代替物質はな
かった。上述のように、食品、医薬品、化粧品などへの
ゼラチンの利用はその多様な特性に依存する場合が多
く、その殆どが代替のきかない利用法であるため、従来
のゼラチンの特性を有し、且つアレルギーを起こさない
安全で安価な物質の開発が望まれていた。
【0011】このような点から、原料そのものの抗原性
に着目し、低抗原性であるII型コラーゲンを主成分と
したゼラチンが開発されている(特願平9−21007
5号参照)。しかし、軟骨などII型コラーゲンを含む
原料の大量入手は容易ではなく、牛又は豚の皮や骨と比
較して高価な上、ゼラチンの収率も悪いため商業的に生
産するには問題が多い。上記の発明以外にも、ゼラチン
の抗原性を除去するために加水分解を利用した発明が種
々提案されている(特公昭62−36495号公報、特
開平7−82299号公報、特開平8−193958号
公報、特開平9−176196号公報など参照)。しか
し、加水分解を行うと、ゼラチン特有の性質(例えば、
ゲル化特性、皮膜形成能など)が消失してしまうため、
利用範囲が極めて限定されてしまう。さらに、後記の実
施例で示すように、市販の牛又は豚の皮又は骨から抽出
されたゼラチンはアレルゲン性を有する。さらに、アル
カリ処理で調製されるゼラチンには原料の種類を問わず
にアレルゲン性があり、上記公報で調製されたゼラチン
加水分解ペプチドにはアレルゲン性が残存している可能
性が大きい。以上のように、これまでの発明は、本発明
の目的である従来のゼラチンの諸特性を有し且つ、アレ
ルギー症状を起こさない、安全で安価なゼラチン及びそ
の製造法とはいえない。本発明者等は上記の問題を解決
するために、従来のゼラチンと同様の加工適性、嗜好特
性などを有し且つゼラチンアレルギー患者の血清と抗原
抗体反応を生じない又は抗原抗体反応が低値であり、安
全なゼラチンを安価且つ大量に調製する方法を開発する
べく鋭意検討を重ねてきた。その結果、家禽類の皮、骨
及び/又は腱、好ましくは鶏の皮、骨及び/又は足よ
り、アルカリ処理することなく調製したゼラチンが所期
の目的を達成し得ることを見出した。本発明はかかる知
見に基づいてなされたもので、食用、医療用、化粧品用
等として利用する際にアレルギー症状を引き起こすこと
のないゼラチンを安価且つ大量に提供することを可能と
する。
に着目し、低抗原性であるII型コラーゲンを主成分と
したゼラチンが開発されている(特願平9−21007
5号参照)。しかし、軟骨などII型コラーゲンを含む
原料の大量入手は容易ではなく、牛又は豚の皮や骨と比
較して高価な上、ゼラチンの収率も悪いため商業的に生
産するには問題が多い。上記の発明以外にも、ゼラチン
の抗原性を除去するために加水分解を利用した発明が種
々提案されている(特公昭62−36495号公報、特
開平7−82299号公報、特開平8−193958号
公報、特開平9−176196号公報など参照)。しか
し、加水分解を行うと、ゼラチン特有の性質(例えば、
ゲル化特性、皮膜形成能など)が消失してしまうため、
利用範囲が極めて限定されてしまう。さらに、後記の実
施例で示すように、市販の牛又は豚の皮又は骨から抽出
されたゼラチンはアレルゲン性を有する。さらに、アル
カリ処理で調製されるゼラチンには原料の種類を問わず
にアレルゲン性があり、上記公報で調製されたゼラチン
加水分解ペプチドにはアレルゲン性が残存している可能
性が大きい。以上のように、これまでの発明は、本発明
の目的である従来のゼラチンの諸特性を有し且つ、アレ
ルギー症状を起こさない、安全で安価なゼラチン及びそ
の製造法とはいえない。本発明者等は上記の問題を解決
するために、従来のゼラチンと同様の加工適性、嗜好特
性などを有し且つゼラチンアレルギー患者の血清と抗原
抗体反応を生じない又は抗原抗体反応が低値であり、安
全なゼラチンを安価且つ大量に調製する方法を開発する
べく鋭意検討を重ねてきた。その結果、家禽類の皮、骨
及び/又は腱、好ましくは鶏の皮、骨及び/又は足よ
り、アルカリ処理することなく調製したゼラチンが所期
の目的を達成し得ることを見出した。本発明はかかる知
見に基づいてなされたもので、食用、医療用、化粧品用
等として利用する際にアレルギー症状を引き起こすこと
のないゼラチンを安価且つ大量に提供することを可能と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明は、 家禽類の皮、骨及び/又は腱由来で、等電点が7〜1
0であり、ゼラチンアレルギー患者血清と抗原抗体反応
を生じない又は抗原抗体反応が低値であることを特徴と
する、食用、医療用又は化粧品用ゼラチン; 上記に記載のゼラチン及び/又はその前駆体である
コラーゲンを加水分解することで得られる、食用、医療
用又は化粧品用ペプチド; である。
めになされた本発明は、 家禽類の皮、骨及び/又は腱由来で、等電点が7〜1
0であり、ゼラチンアレルギー患者血清と抗原抗体反応
を生じない又は抗原抗体反応が低値であることを特徴と
する、食用、医療用又は化粧品用ゼラチン; 上記に記載のゼラチン及び/又はその前駆体である
コラーゲンを加水分解することで得られる、食用、医療
用又は化粧品用ペプチド; である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は上記の構成よりなり、本
発明のゼラチンは、家禽類の皮、骨及び/又は腱由来の
ゼラチンであって、等電点が7〜10であり、従来のゼ
ラチンをアレルゲンとして認識する患者血清と抗原抗体
反応をさせるとき抗原抗体反応を生じない又は抗原抗体
反応が低値であることを特徴とする。なお、上記の抗原
抗体反応が低値であるとは、試験結果に基づき統計学上
の有意差検定を行ったとき、健常者血清と比較して有意
差が認められない状態を意味する。本発明に係わる低ア
レルゲン性ゼラチンの出発原料としては、家禽類の皮、
骨及び/腱が用いられる。こられの原料は食肉産業の副
生物などを利用できる。家禽類としては、鶏、アヒル、
ガチョウ、七面鳥などが例示できるが、鶏が原料的には
有利である。従って、本発明の出発原料としては、鶏の
皮、骨及び/又は足が好適に用いられる。なお、本発明
のゼラチンの由来は抗原抗体反応により確認することが
できる。
発明のゼラチンは、家禽類の皮、骨及び/又は腱由来の
ゼラチンであって、等電点が7〜10であり、従来のゼ
ラチンをアレルゲンとして認識する患者血清と抗原抗体
反応をさせるとき抗原抗体反応を生じない又は抗原抗体
反応が低値であることを特徴とする。なお、上記の抗原
抗体反応が低値であるとは、試験結果に基づき統計学上
の有意差検定を行ったとき、健常者血清と比較して有意
差が認められない状態を意味する。本発明に係わる低ア
レルゲン性ゼラチンの出発原料としては、家禽類の皮、
骨及び/腱が用いられる。こられの原料は食肉産業の副
生物などを利用できる。家禽類としては、鶏、アヒル、
ガチョウ、七面鳥などが例示できるが、鶏が原料的には
有利である。従って、本発明の出発原料としては、鶏の
皮、骨及び/又は足が好適に用いられる。なお、本発明
のゼラチンの由来は抗原抗体反応により確認することが
できる。
【0014】本発明のゼラチンは上記原料を用いて調製
されるが、生産する上で重要な点としてはアルカリ処理
を施さないことが挙げられる。市販ゼラチンの多くはア
ルカリによる前処理が施されているが、後記試験例でも
示すようにアルカリ処理を施すと畜種、部位に係わらず
ゼラチンのアレルゲン性が上昇する。従って前処理には
十分注意を払う必要がある。アルカリ処理の有無はゼラ
チンの等電点を調べることにより確認できる。酸処理ゼ
ラチンの等電点はコラーゲンとほぼ同じの7〜10程
度、通常7.5〜9.5であるのに対し、アルカリ処理
ゼラチンの等電点はアルギニン、グルタミン、アスパラ
ギン側鎖のアミド基がカルボキシル化されているためコ
ラーゲンよりも低い4〜5.5である。等電点以外にも
アミノ酸分析によるオルニチンの検出によりアルカリ処
理の有無を確認できる。アルカリ処理を施すとアルギニ
ンの一部がオルニチンに変化する。これはアミノ酸10
00残基中に数残基存在するためアミノ酸分析により確
認が可能である。一方、未変性コラーゲン及び酸処理ゼ
ラチンではオルニチンは検出されない。
されるが、生産する上で重要な点としてはアルカリ処理
を施さないことが挙げられる。市販ゼラチンの多くはア
ルカリによる前処理が施されているが、後記試験例でも
示すようにアルカリ処理を施すと畜種、部位に係わらず
ゼラチンのアレルゲン性が上昇する。従って前処理には
十分注意を払う必要がある。アルカリ処理の有無はゼラ
チンの等電点を調べることにより確認できる。酸処理ゼ
ラチンの等電点はコラーゲンとほぼ同じの7〜10程
度、通常7.5〜9.5であるのに対し、アルカリ処理
ゼラチンの等電点はアルギニン、グルタミン、アスパラ
ギン側鎖のアミド基がカルボキシル化されているためコ
ラーゲンよりも低い4〜5.5である。等電点以外にも
アミノ酸分析によるオルニチンの検出によりアルカリ処
理の有無を確認できる。アルカリ処理を施すとアルギニ
ンの一部がオルニチンに変化する。これはアミノ酸10
00残基中に数残基存在するためアミノ酸分析により確
認が可能である。一方、未変性コラーゲン及び酸処理ゼ
ラチンではオルニチンは検出されない。
【0015】より具体的に本発明のゼラチン製造法の一
例を示すと、前記の原料を酸溶液(好ましくは3%程度
の塩酸溶液)に2日間程度浸漬する。その後、沈殿物を
回収し水洗を行った後、pH4程度の酸溶液(好ましく
は塩酸溶液)を加えて加熱し抽出を行う。得られた抽出
物を濾過、脱塩、乾燥することにより本発明のゼラチン
が得られる。かくして得られたゼラチンは必要に応じて
慣用のタンパク質精製法に準じて更に精製してもよい。
後記試験例でも示すように本発明のゼラチンは従来のゼ
ラチンと同等のゼリー強度を有する。更に、起泡性、皮
膜形成能、保水性、保護コロイド性、弾力性などを有し
ており、従来のゼラチンが用いられている各種の用途に
利用することができる。特に好適には食用、医療用、化
粧品用に利用される。
例を示すと、前記の原料を酸溶液(好ましくは3%程度
の塩酸溶液)に2日間程度浸漬する。その後、沈殿物を
回収し水洗を行った後、pH4程度の酸溶液(好ましく
は塩酸溶液)を加えて加熱し抽出を行う。得られた抽出
物を濾過、脱塩、乾燥することにより本発明のゼラチン
が得られる。かくして得られたゼラチンは必要に応じて
慣用のタンパク質精製法に準じて更に精製してもよい。
後記試験例でも示すように本発明のゼラチンは従来のゼ
ラチンと同等のゼリー強度を有する。更に、起泡性、皮
膜形成能、保水性、保護コロイド性、弾力性などを有し
ており、従来のゼラチンが用いられている各種の用途に
利用することができる。特に好適には食用、医療用、化
粧品用に利用される。
【0016】食用としてはゼリー、グミキャンディー、
ヨーグルト、ハム、ソーセージ、スープ、ババロア、ア
イスクリームなどに利用される。本発明のゼラチンを用
いることにより、嗜好性を変えることなくアレルゲン性
の非常に低い食品を製造することが可能となる。医療用
としてはカプセル、パップ剤、ワクチン安定剤などに利
用される。本発明のゼラチンを用いることにより従来の
ゼラチンの基本的性質を変更することなく、これらの安
全性を確保することが可能となる。また、ワクチンの製
造において毒素の無毒化の際に使用しても良い。化粧品
用としてはクリーム、軟膏、化粧水などに配合される。
本発明のゼラチンはアレルゲン性がない、又は非常に低
いため、これらの化粧品に含有されるゼラチンに起因し
た皮膚の炎症などを回避することができる。なお、低ア
レルゲン性が確保される限りにおいて、本発明のゼラチ
ンに他のゼラチン(例えば、アルカリ処理ゼラチン、家
禽類以外の動物種由来のゼラチンなど)を混和して使用
してもよく、これにより、加工適性及び/又は嗜好特性
の維持が図れ、より一層安価な製品の供給が可能とな
る。
ヨーグルト、ハム、ソーセージ、スープ、ババロア、ア
イスクリームなどに利用される。本発明のゼラチンを用
いることにより、嗜好性を変えることなくアレルゲン性
の非常に低い食品を製造することが可能となる。医療用
としてはカプセル、パップ剤、ワクチン安定剤などに利
用される。本発明のゼラチンを用いることにより従来の
ゼラチンの基本的性質を変更することなく、これらの安
全性を確保することが可能となる。また、ワクチンの製
造において毒素の無毒化の際に使用しても良い。化粧品
用としてはクリーム、軟膏、化粧水などに配合される。
本発明のゼラチンはアレルゲン性がない、又は非常に低
いため、これらの化粧品に含有されるゼラチンに起因し
た皮膚の炎症などを回避することができる。なお、低ア
レルゲン性が確保される限りにおいて、本発明のゼラチ
ンに他のゼラチン(例えば、アルカリ処理ゼラチン、家
禽類以外の動物種由来のゼラチンなど)を混和して使用
してもよく、これにより、加工適性及び/又は嗜好特性
の維持が図れ、より一層安価な製品の供給が可能とな
る。
【0017】本発明のペプチドは、上記のゼラチンを常
法に準じて加水分解した低分子物質である。そして、本
発明のペプチドは、牛又は豚の骨と皮から製造された従
来のゼラチンをアレルゲンとして認識する患者血清と抗
原抗体反応をさせるとき抗原抗体反応を生じない又は抗
原抗体反応が低値であることを特徴とする。本発明のペ
プチドは、本発明のゼラチン及び/又はその前駆体であ
るコラーゲンを、常法に準じて酵素、酸などで加水分解
することにより得ることができる。分子量は用途によっ
て適宜選択することができるが、500から50000
が適当である。本発明のペプチドは、従来のゼラチン加
水分解物又はコラーゲン加水分解物の基本的性質を変更
することなく、さらに安全性を付与しているため、従来
のゼラチン加水分解物又はコラーゲン加水分解物が用い
られている各種用途にも利用できる。特に低分子ペプチ
ドは水に非常によく溶け、低温下においてもゲル化特性
がないことから、飲料、菓子などの食品、ワクチン用安
定剤、パップ剤、代用血漿剤などの医薬品及びシャンプ
ーなどの化粧品にも利用できる。
法に準じて加水分解した低分子物質である。そして、本
発明のペプチドは、牛又は豚の骨と皮から製造された従
来のゼラチンをアレルゲンとして認識する患者血清と抗
原抗体反応をさせるとき抗原抗体反応を生じない又は抗
原抗体反応が低値であることを特徴とする。本発明のペ
プチドは、本発明のゼラチン及び/又はその前駆体であ
るコラーゲンを、常法に準じて酵素、酸などで加水分解
することにより得ることができる。分子量は用途によっ
て適宜選択することができるが、500から50000
が適当である。本発明のペプチドは、従来のゼラチン加
水分解物又はコラーゲン加水分解物の基本的性質を変更
することなく、さらに安全性を付与しているため、従来
のゼラチン加水分解物又はコラーゲン加水分解物が用い
られている各種用途にも利用できる。特に低分子ペプチ
ドは水に非常によく溶け、低温下においてもゲル化特性
がないことから、飲料、菓子などの食品、ワクチン用安
定剤、パップ剤、代用血漿剤などの医薬品及びシャンプ
ーなどの化粧品にも利用できる。
【0018】
【発明の効果】本発明のゼラチン及びペプチドは、従来
のゼラチンやゼラチン分解ペプチドの特性を損なうこと
なく、しかもアレルゲン性がない又は非常に低い。従っ
て、従来のゼラチンやゼラチン分解ペプチドの利用分野
で特に安全性が求められる食品用、医薬品用、化粧品用
などとして有用である。しかも、本発明のゼラチン及び
ペプチドの原料である家禽類の皮、骨及び/又は腱は食
肉産業の副生物であり、それを利用できるため資源の有
効活用が図れ、更に収量もよいため大量且つ安価に製造
することができる。
のゼラチンやゼラチン分解ペプチドの特性を損なうこと
なく、しかもアレルゲン性がない又は非常に低い。従っ
て、従来のゼラチンやゼラチン分解ペプチドの利用分野
で特に安全性が求められる食品用、医薬品用、化粧品用
などとして有用である。しかも、本発明のゼラチン及び
ペプチドの原料である家禽類の皮、骨及び/又は腱は食
肉産業の副生物であり、それを利用できるため資源の有
効活用が図れ、更に収量もよいため大量且つ安価に製造
することができる。
【0019】
【実施例】以下、実施例及び試験例に基づいて本発明を
より詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定され
るものではない。 実施例1低アレルゲン性ゼラチンの調製(1) 鶏足を粉砕後、5倍量の3%塩酸溶液に浸漬した。48
時間後沈殿物を回収し、水洗にて過剰の酸を除去した。
5倍量の塩酸溶液(pH4)を加え、60℃4時間加熱
抽出し、蒸留水で洗浄した混床イオン交換樹脂(バイオ
ラッド社製、AG501-X8)カラムにかけ、パス画分を回収
し、凍結乾燥を行って、本発明の低アレルゲン性ゼラチ
ンを得た。
より詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定され
るものではない。 実施例1低アレルゲン性ゼラチンの調製(1) 鶏足を粉砕後、5倍量の3%塩酸溶液に浸漬した。48
時間後沈殿物を回収し、水洗にて過剰の酸を除去した。
5倍量の塩酸溶液(pH4)を加え、60℃4時間加熱
抽出し、蒸留水で洗浄した混床イオン交換樹脂(バイオ
ラッド社製、AG501-X8)カラムにかけ、パス画分を回収
し、凍結乾燥を行って、本発明の低アレルゲン性ゼラチ
ンを得た。
【0020】実施例2グミキャンディーの製造 水(配合成分混合物100重量部当り14部)にヨーグ
ルトパウダー(6部)を加え加熱溶解した溶液に、砂糖
(25部)、水あめ(30部)及び実施例1で得た低ア
レルゲン性ゼラチン(25部)を加え20分間煮詰め
た。これを適当なケーシングに充填、成形した後、冷却
してグミキャンディーを製造した。
ルトパウダー(6部)を加え加熱溶解した溶液に、砂糖
(25部)、水あめ(30部)及び実施例1で得た低ア
レルゲン性ゼラチン(25部)を加え20分間煮詰め
た。これを適当なケーシングに充填、成形した後、冷却
してグミキャンディーを製造した。
【0021】実施例3ゼリーの製造 熱水(85部)に、実施例1で得た低アレルゲン性ゼラ
チン(3部)及び砂糖(10部)を加え溶解し、更に輪
切りのレモン汁(2部)を加えて20分間煮た。これを
型に流し、冷却してゼリーを製造した。
チン(3部)及び砂糖(10部)を加え溶解し、更に輪
切りのレモン汁(2部)を加えて20分間煮た。これを
型に流し、冷却してゼリーを製造した。
【0022】実施例4ハードカプセルの製造 実施例1で得た低アレルゲン性ゼラチンの5%溶液をカ
プセル型のピンに付着させた後、冷却、乾燥を行った。
水分含量15〜18%まで乾燥させた時点でピンを引き
抜き、更に水分含量12〜15%まで乾燥させてハード
カプセルを製造した。
プセル型のピンに付着させた後、冷却、乾燥を行った。
水分含量15〜18%まで乾燥させた時点でピンを引き
抜き、更に水分含量12〜15%まで乾燥させてハード
カプセルを製造した。
【0023】実施例5低アレルゲン性ゼラチンの製造(2) 実施例1の鶏足に代えて鶏皮を使用する以外は実施例1
と同様な方法で、本発明の低アレルゲン性ゼラチンを得
た。
と同様な方法で、本発明の低アレルゲン性ゼラチンを得
た。
【0024】実施例6低アレルゲン性ゼラチン加水分解物ペプチドの調製 実施例1で得た低アレルゲン性ゼラチン10gを3%塩
酸溶液500mlに溶解した後、70℃3時間加水分解
を行った。中和後、これを、蒸留水で洗浄した混床イオ
ン交換樹脂(バイオラッド社製、AG501-X8)カラムにか
け、パス画分を回収し、スプレードライを行って本発明
のペプチドを得た。
酸溶液500mlに溶解した後、70℃3時間加水分解
を行った。中和後、これを、蒸留水で洗浄した混床イオ
ン交換樹脂(バイオラッド社製、AG501-X8)カラムにか
け、パス画分を回収し、スプレードライを行って本発明
のペプチドを得た。
【0025】実施例7果汁飲料の製造 水(56.8部)にクエン酸(0.2部)、オレンジ果
汁(35部)、砂糖(5部)及び実施例6で得たゼラチ
ン加水分解ペプチド(3部)を加えて加熱溶解させ、冷
却後、充填及び85℃30分間の加熱殺菌を行って果汁
飲料を製造した。
汁(35部)、砂糖(5部)及び実施例6で得たゼラチ
ン加水分解ペプチド(3部)を加えて加熱溶解させ、冷
却後、充填及び85℃30分間の加熱殺菌を行って果汁
飲料を製造した。
【0026】実施例8低アレルゲン性ゼラチンの製造(3) 実施例1の鶏足に代えてアヒル皮を使用する以外は実施
例1と同様な方法で、本発明の低アレルゲン性ゼラチン
を得た。
例1と同様な方法で、本発明の低アレルゲン性ゼラチン
を得た。
【0027】試験例1低アレルゲン性の証明(1) 実施例1、5及び6記載の方法で調製した本発明のゼラ
チン及びゼラチン加水分解ペプチド並びに市販ゼラチン
に対するゼラチンアレルギー患者血清中の抗原特異Ig
E抗体との反応性について調べた。 供試試料 上記の本発明のゼラチン及びゼラチン加水分解ペプチド
と、市販の食用ゼラチン、医薬用ゼラチン、化粧品用ゼ
ラチン及び医薬用ゼラチン加水分解ペプチドを供試試料
とした。供試試料の性状を表1に示す。なお、ゼリー強
度及びpHの測定は、日本工業規格JIS K 6503-1977に
記載の方法に準じて行った。
チン及びゼラチン加水分解ペプチド並びに市販ゼラチン
に対するゼラチンアレルギー患者血清中の抗原特異Ig
E抗体との反応性について調べた。 供試試料 上記の本発明のゼラチン及びゼラチン加水分解ペプチド
と、市販の食用ゼラチン、医薬用ゼラチン、化粧品用ゼ
ラチン及び医薬用ゼラチン加水分解ペプチドを供試試料
とした。供試試料の性状を表1に示す。なお、ゼリー強
度及びpHの測定は、日本工業規格JIS K 6503-1977に
記載の方法に準じて行った。
【0028】
【表1】
【0029】試料液の調製 本発明のゼラチン及びゼラチン加水分解ペプチド並びに
市販ゼラチンは、0.1%(W/V)溶液となるようにPB
S(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.2)で希釈し、湯
煎しながら十分に撹拌して溶解した。これらの溶液を試
料液とした。 アレルギー患者血清 ゼラチンアレルギーと診断され、RAST(radio aller
gosorbent test)陽性を示したアレルギー患者15人
(男6人、女9人)から医師が少量の血液を採取し、常
法により血清を分離して凍結保存したものを使用した。 健常者血清 新生児6人(男女同数)の臍帯血を採取し、常法により
血清を分離して凍結保存したものを使用した。
市販ゼラチンは、0.1%(W/V)溶液となるようにPB
S(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.2)で希釈し、湯
煎しながら十分に撹拌して溶解した。これらの溶液を試
料液とした。 アレルギー患者血清 ゼラチンアレルギーと診断され、RAST(radio aller
gosorbent test)陽性を示したアレルギー患者15人
(男6人、女9人)から医師が少量の血液を採取し、常
法により血清を分離して凍結保存したものを使用した。 健常者血清 新生児6人(男女同数)の臍帯血を採取し、常法により
血清を分離して凍結保存したものを使用した。
【0030】試験方法 上記の各試料液に対するゼラチンアレルギー患者血清中
の抗原特異IgE抗体との反応性(抗原特異IgE抗体
値)はELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)法に
より調べた。因みにELISAは「藤原大美ら編,免疫研究
法ハンドブック,199-206, 1992, 中外医学社, 東京」に
記載された方法に準じて行った。ELISA法の操作概要を
以下に示す。 (1)上記の試料液を96穴ELISA用マイクロプレートに
加え、抗原蛋白質をプレートに固定化する。 (2)プレート洗浄後、検体や標識抗体の非特異的吸着
を防ぐため、ヒト血清アルブミンを加えてブロッキング
する。 (3)プレート洗浄後、検体としてアレルギー患者血清
と健常者血清をそれぞれ別個のウエルに加えて抗原と反
応させる。 (4)プレート洗浄後、アルカリホスファターゼ標識抗
ヒトIgEε鎖ヤギ抗体を加えて反応させる。 (5)プレート洗浄後、基質(ルミホス530;4-Methoxy
-4-(3-phosphatephenyl)spiro[1,2-dioxetane-3,2'-ada
mantane]disodium salt, 和光純薬工業)を加え、アル
カリホスファターゼの脱リン酸化反応により生じた発光
量を測定する。 (6)測定は、プレートリーダー(LUMINOUS CT-9000
D、ダイアヤトロン社)にて行う。段階的に希釈した標
準抗体によるELISAを同時に行い、これにより作成した
標準曲線より抗原特異IgE抗体濃度を算出する。
の抗原特異IgE抗体との反応性(抗原特異IgE抗体
値)はELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)法に
より調べた。因みにELISAは「藤原大美ら編,免疫研究
法ハンドブック,199-206, 1992, 中外医学社, 東京」に
記載された方法に準じて行った。ELISA法の操作概要を
以下に示す。 (1)上記の試料液を96穴ELISA用マイクロプレートに
加え、抗原蛋白質をプレートに固定化する。 (2)プレート洗浄後、検体や標識抗体の非特異的吸着
を防ぐため、ヒト血清アルブミンを加えてブロッキング
する。 (3)プレート洗浄後、検体としてアレルギー患者血清
と健常者血清をそれぞれ別個のウエルに加えて抗原と反
応させる。 (4)プレート洗浄後、アルカリホスファターゼ標識抗
ヒトIgEε鎖ヤギ抗体を加えて反応させる。 (5)プレート洗浄後、基質(ルミホス530;4-Methoxy
-4-(3-phosphatephenyl)spiro[1,2-dioxetane-3,2'-ada
mantane]disodium salt, 和光純薬工業)を加え、アル
カリホスファターゼの脱リン酸化反応により生じた発光
量を測定する。 (6)測定は、プレートリーダー(LUMINOUS CT-9000
D、ダイアヤトロン社)にて行う。段階的に希釈した標
準抗体によるELISAを同時に行い、これにより作成した
標準曲線より抗原特異IgE抗体濃度を算出する。
【0031】結果 上記の試験の結果は、図1に示す(何れも平均値±標準
誤差)。なお、黒塗りは各試料液に対するゼラチンアレ
ルギー患者血清の特異IgE抗体値、白抜きは健常者血
清の特異IgE抗体値を示す。図1に示されるように、
ゼラチンアレルギー患者血清及び健常者血清を用いて、
本発明のゼラチン及びゼラチン加水分解ペプチド並びに
市販ゼラチンに対する抗原抗体反応について調べたとこ
ろ、本発明のゼラチン及びゼラチン加水分解ペプチドに
対するゼラチンアレルギー患者血清の特異IgE抗体反
応性は低値であり、それらに対する健常者血清の特異I
gE抗体値との間に有意な差は認められなかった。一
方、市販の食用ゼラチン、医薬用ゼラチン、化粧品用ゼ
ラチン及び医薬用ゼラチン加水分解ペプチドでは、その
何れに対してもゼラチンアレルギー患者血清の特異Ig
E抗体値は高く、それらに対する健常者血清の特異Ig
E抗体値との間に有意な差が認められた。
誤差)。なお、黒塗りは各試料液に対するゼラチンアレ
ルギー患者血清の特異IgE抗体値、白抜きは健常者血
清の特異IgE抗体値を示す。図1に示されるように、
ゼラチンアレルギー患者血清及び健常者血清を用いて、
本発明のゼラチン及びゼラチン加水分解ペプチド並びに
市販ゼラチンに対する抗原抗体反応について調べたとこ
ろ、本発明のゼラチン及びゼラチン加水分解ペプチドに
対するゼラチンアレルギー患者血清の特異IgE抗体反
応性は低値であり、それらに対する健常者血清の特異I
gE抗体値との間に有意な差は認められなかった。一
方、市販の食用ゼラチン、医薬用ゼラチン、化粧品用ゼ
ラチン及び医薬用ゼラチン加水分解ペプチドでは、その
何れに対してもゼラチンアレルギー患者血清の特異Ig
E抗体値は高く、それらに対する健常者血清の特異Ig
E抗体値との間に有意な差が認められた。
【0032】試験例2低アレルゲン性の証明(2) 畜種及び製法の違いによるアレルゲン性を検討するた
め、鶏足、牛皮又は豚皮より常法に準じて酸処理ゼラチ
ン又はアルカリ処理ゼラチンを調製し、これらのゼラチ
ンに対するゼラチンアレルギー患者血清中の抗原特異I
gE抗体との反応性について調べた。なお、鶏足由来酸
処理ゼラチンとは実施例1記載の方法で調製した本発明
のゼラチンを指す。 供試試料 鶏足、牛皮又は豚皮より常法に準じて調製した酸処理ゼ
ラチン又はアルカリ処理ゼラチンを供試試料とした。得
られたゼラチンのオルニチン数(1000残基中)及び
等電点を表2に示す。
め、鶏足、牛皮又は豚皮より常法に準じて酸処理ゼラチ
ン又はアルカリ処理ゼラチンを調製し、これらのゼラチ
ンに対するゼラチンアレルギー患者血清中の抗原特異I
gE抗体との反応性について調べた。なお、鶏足由来酸
処理ゼラチンとは実施例1記載の方法で調製した本発明
のゼラチンを指す。 供試試料 鶏足、牛皮又は豚皮より常法に準じて調製した酸処理ゼ
ラチン又はアルカリ処理ゼラチンを供試試料とした。得
られたゼラチンのオルニチン数(1000残基中)及び
等電点を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】試料液の調製 試験例1と同様な方法で調製した。 アレルギー患者血清 試験例1と同じ血清を用いた。 試験方法 試験例1と同様な方法で試験を行った。
【0035】結果 上記の試験の結果は、図2に示す(平均値±標準誤
差)。黒塗りは各原料より調製した酸処理ゼラチンに対
するゼラチンアレルギー患者血清の特異IgE抗体値、
白抜きは各原料より調製したアルカリ処理ゼラチンに対
するゼラチンアレルギー患者血清の特異IgE抗体値を
示す。図2に示されるように、畜種別酸処理ゼラチンに
ついて調べたところ、ゼラチンアレルギー患者血清の本
発明のゼラチンに対する特異IgE抗体値は低値であっ
たが、豚皮及び牛皮由来酸処理ゼラチンに対する特異I
gE抗体値は有意に高値であった。また、前処理として
アルカリ処理を行うと、アレルギー患者血清の特異Ig
E抗体値はどれも一様に上昇した。更に、別途行った試
験において、ゼラチンアレルギー患者血清の本発明のゼ
ラチンに対する特異IgE抗体値と、これらに対する健
常者血清の特異IgE抗体値との間に有意な差は認めら
れなかった。
差)。黒塗りは各原料より調製した酸処理ゼラチンに対
するゼラチンアレルギー患者血清の特異IgE抗体値、
白抜きは各原料より調製したアルカリ処理ゼラチンに対
するゼラチンアレルギー患者血清の特異IgE抗体値を
示す。図2に示されるように、畜種別酸処理ゼラチンに
ついて調べたところ、ゼラチンアレルギー患者血清の本
発明のゼラチンに対する特異IgE抗体値は低値であっ
たが、豚皮及び牛皮由来酸処理ゼラチンに対する特異I
gE抗体値は有意に高値であった。また、前処理として
アルカリ処理を行うと、アレルギー患者血清の特異Ig
E抗体値はどれも一様に上昇した。更に、別途行った試
験において、ゼラチンアレルギー患者血清の本発明のゼ
ラチンに対する特異IgE抗体値と、これらに対する健
常者血清の特異IgE抗体値との間に有意な差は認めら
れなかった。
【0036】即ち、ゼラチンアレルギー患者血清中に
は、本発明のゼラチンを抗原(アレルゲン)として認識
する特異IgE抗体は殆ど認められなかった。しかし、
本発明のゼラチンの原料である鶏足からアルカリ処理に
より調製したゼラチンは特異IgE抗体が認められた。
また、牛皮及び豚皮より調製したゼラチンは、前処理を
問わずアレルゲン性を有していた。アルカリ処理ゼラチ
ンのアレルゲン性が酸処理ゼラチンと比較して高い理由
としては、アルカリ処理によりゼラチン分子の一次構造
が変化し、ヒトコラーゲン(ゼラチン)との配列の類似
性が失われたためと推察される。
は、本発明のゼラチンを抗原(アレルゲン)として認識
する特異IgE抗体は殆ど認められなかった。しかし、
本発明のゼラチンの原料である鶏足からアルカリ処理に
より調製したゼラチンは特異IgE抗体が認められた。
また、牛皮及び豚皮より調製したゼラチンは、前処理を
問わずアレルゲン性を有していた。アルカリ処理ゼラチ
ンのアレルゲン性が酸処理ゼラチンと比較して高い理由
としては、アルカリ処理によりゼラチン分子の一次構造
が変化し、ヒトコラーゲン(ゼラチン)との配列の類似
性が失われたためと推察される。
【0037】なお、図示はしていないが、市販のグミキ
ャンディー、ゼリー、ハードカプセルについても試料液
を調製して試験したところ、市販ゼラチンとほぼ同様な
結果であった。これに対して、実施例2、実施例3、実
施例4及び実施例7において、本発明のゼラチン又はペ
プチドを使用し作製したグミキャンディー、ゼリー、ハ
ードカプセル及び果汁飲料では、ゼラチンアレルギー患
者血清中の抗原特異的IgE抗体との反応性は殆ど認め
られなかった。これらの結果から、ゼラチンアレルギー
患者にとって、市販の食用ゼラチン、医薬用ゼラチン、
化粧品用ゼラチン及び医薬用ゼラチン加水分解ペプチド
は血中の抗原特異IgE抗体との反応性が高く、利用を
回避しなければならない場合が多いのに対し、本発明の
ゼラチンは抗原特異IgE抗体との反応性が低く安全で
ある。また、本発明のゼラチン又はペプチドを使用して
作製されたグミキャンディー、ゼリー及び果汁飲料など
はゼラチンアレルギー患者においても安全に利用できる
と考えられる。
ャンディー、ゼリー、ハードカプセルについても試料液
を調製して試験したところ、市販ゼラチンとほぼ同様な
結果であった。これに対して、実施例2、実施例3、実
施例4及び実施例7において、本発明のゼラチン又はペ
プチドを使用し作製したグミキャンディー、ゼリー、ハ
ードカプセル及び果汁飲料では、ゼラチンアレルギー患
者血清中の抗原特異的IgE抗体との反応性は殆ど認め
られなかった。これらの結果から、ゼラチンアレルギー
患者にとって、市販の食用ゼラチン、医薬用ゼラチン、
化粧品用ゼラチン及び医薬用ゼラチン加水分解ペプチド
は血中の抗原特異IgE抗体との反応性が高く、利用を
回避しなければならない場合が多いのに対し、本発明の
ゼラチンは抗原特異IgE抗体との反応性が低く安全で
ある。また、本発明のゼラチン又はペプチドを使用して
作製されたグミキャンディー、ゼリー及び果汁飲料など
はゼラチンアレルギー患者においても安全に利用できる
と考えられる。
【0038】なお、市販のゼラチン加水分解ペプチドで
は、低分子化によるアレルゲン性の低下が期待されてい
たが、上記試験結果でも明らかなようにその効果は不十
分であった。一方、本発明のペプチドにおいては、元来
低アレルゲン性である、請求項1に記載のゼラチンを加
水分解し低分子化しているため、投与時のアレルギー反
応の防止により有効である。
は、低分子化によるアレルゲン性の低下が期待されてい
たが、上記試験結果でも明らかなようにその効果は不十
分であった。一方、本発明のペプチドにおいては、元来
低アレルゲン性である、請求項1に記載のゼラチンを加
水分解し低分子化しているため、投与時のアレルギー反
応の防止により有効である。
【図1】本発明ゼラチン(鶏足ゼラチン及び鶏皮ゼラチ
ン)及びゼラチン加水分解ペプチド(鶏足ゼラチン加水
分解物)並びに市販食用ゼラチン、医薬用ゼラチン、化
粧品用ゼラチン及びゼラチン加水分解物(医薬用ゼラチ
ン加水分解物)に対するゼラチンアレルギーと診断され
た患者血清(黒塗り)と健常者血清(白塗り)の抗原特異I
gE抗体値を示す図である。
ン)及びゼラチン加水分解ペプチド(鶏足ゼラチン加水
分解物)並びに市販食用ゼラチン、医薬用ゼラチン、化
粧品用ゼラチン及びゼラチン加水分解物(医薬用ゼラチ
ン加水分解物)に対するゼラチンアレルギーと診断され
た患者血清(黒塗り)と健常者血清(白塗り)の抗原特異I
gE抗体値を示す図である。
【図2】鶏足、牛皮又は豚皮より調製した酸処理ゼラチ
ン(黒塗り)又はアルカリ処理ゼラチン(白塗り)に対する
ゼラチンアレルギーと診断された患者血清の抗原特異I
gE抗体値を示す図である。
ン(黒塗り)又はアルカリ処理ゼラチン(白塗り)に対する
ゼラチンアレルギーと診断された患者血清の抗原特異I
gE抗体値を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23L 1/305 A23L 1/305 4C076 2/38 2/38 N 4H045 A61K 7/00 A61K 7/00 J 38/17 47/42 F 47/42 C07K 14/46 C07K 14/46 A61K 37/12 (72)発明者 高畑 能久 茨城県つくば市緑ケ原3丁目3番 日本ハ ム株式会社中央研究所内 (72)発明者 森松 文毅 茨城県つくば市緑ケ原3丁目3番 日本ハ ム株式会社中央研究所内 (72)発明者 重久 保 茨城県つくば市緑ケ原3丁目3番 日本ハ ム株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4B014 GB07 GK08 GL09 4B017 LG01 LK15 LK17 LP18 4B018 LB01 LB03 LB05 LB06 LB07 LB08 MD20 MD37 ME07 MF10 4B035 LC06 LG15 LK04 LP59 4B041 LC10 LD02 LD03 LK13 LK17 LP25 4C076 AA54 CC40 DD43 DD67 EE38 EE41 EE42 FF67 4H045 AA10 AA20 AA30 EA22 FA16
Claims (2)
- 【請求項1】 家禽類の皮、骨及び/又は腱由来で、
等電点が7〜10であり、ゼラチンアレルギー患者血清
と抗原抗体反応を生じない又は抗原抗体反応が低値であ
ることを特徴とする、食用、医療用又は化粧品用ゼラチ
ン。 - 【請求項2】 請求項1記載のゼラチン及び/又はそ
の前駆体であるコラーゲンを加水分解することで得られ
る、食用、医療用又は化粧品用ペプチド。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10319929A JP2000125775A (ja) | 1998-10-23 | 1998-10-23 | 低アレルゲン性ゼラチン |
PCT/JP1999/005890 WO2000024267A1 (fr) | 1998-10-23 | 1999-10-25 | Gelatines a faible pouvoir allergisant |
US10/270,607 US20030044456A1 (en) | 1998-10-23 | 2002-10-16 | Hypoallergenic gelatin |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10319929A JP2000125775A (ja) | 1998-10-23 | 1998-10-23 | 低アレルゲン性ゼラチン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000125775A true JP2000125775A (ja) | 2000-05-09 |
Family
ID=18115823
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10319929A Pending JP2000125775A (ja) | 1998-10-23 | 1998-10-23 | 低アレルゲン性ゼラチン |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000125775A (ja) |
WO (1) | WO2000024267A1 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1361476A1 (en) * | 2002-05-08 | 2003-11-12 | Eastman Kodak Company | Photographic element containing acid processed poultry gelatin |
JP2008195702A (ja) * | 2007-02-14 | 2008-08-28 | Matsunaga Hiroko | 鶏由来コラーゲン高含有物およびその抽出方法 |
JP2012121864A (ja) * | 2010-12-10 | 2012-06-28 | Nippi:Kk | 一重項酸素消去剤 |
JP5878669B1 (ja) * | 2015-08-19 | 2016-03-08 | 三生医薬株式会社 | 腸溶性カプセル |
WO2018198430A1 (ja) * | 2016-06-16 | 2018-11-01 | 学校法人藤田学園 | アレルギーの抗原およびそのエピトープ |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2625412B1 (fr) * | 1987-12-30 | 1990-06-29 | Mero Rousselot Satia | Procede continu d'obtention de gelatine a partir de poudre d'os et gelatine obtenue |
SE501028C2 (sv) * | 1993-03-19 | 1994-10-24 | Ellco Food Ab | Förfarande för framställning av gelatin |
JP3146251B2 (ja) * | 1993-09-10 | 2001-03-12 | 宮城化学工業株式会社 | ペプチド組成物とその製造法 |
JP3197823B2 (ja) * | 1996-07-03 | 2001-08-13 | 宮城化学工業株式会社 | 抗原性成分の除去方法、非抗原性ペプチド組成物、非抗原性安定化剤および生理活性物質 |
JP3586686B2 (ja) * | 1997-07-18 | 2004-11-10 | 日本ハム株式会社 | 低アレルゲン性ゼラチン |
-
1998
- 1998-10-23 JP JP10319929A patent/JP2000125775A/ja active Pending
-
1999
- 1999-10-25 WO PCT/JP1999/005890 patent/WO2000024267A1/ja active Application Filing
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1361476A1 (en) * | 2002-05-08 | 2003-11-12 | Eastman Kodak Company | Photographic element containing acid processed poultry gelatin |
US6824941B2 (en) | 2002-05-08 | 2004-11-30 | Eastman Kodak Company | Photographic element containing acid processed gelatin |
US6911071B2 (en) | 2002-05-08 | 2005-06-28 | Eastman Kodak Company | Photographic element containing acid processed gelatin |
JP2008195702A (ja) * | 2007-02-14 | 2008-08-28 | Matsunaga Hiroko | 鶏由来コラーゲン高含有物およびその抽出方法 |
JP2012121864A (ja) * | 2010-12-10 | 2012-06-28 | Nippi:Kk | 一重項酸素消去剤 |
JP5878669B1 (ja) * | 2015-08-19 | 2016-03-08 | 三生医薬株式会社 | 腸溶性カプセル |
JP2017039657A (ja) * | 2015-08-19 | 2017-02-23 | 三生医薬株式会社 | 腸溶性カプセル |
WO2018198430A1 (ja) * | 2016-06-16 | 2018-11-01 | 学校法人藤田学園 | アレルギーの抗原およびそのエピトープ |
JPWO2018198430A1 (ja) * | 2016-06-16 | 2020-03-12 | 学校法人藤田学園 | アレルギーの抗原およびそのエピトープ |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2000024267A1 (fr) | 2000-05-04 |
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Legal Events
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