JPH07274995A - ペプチド製造法 - Google Patents

ペプチド製造法

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JPH07274995A
JPH07274995A JP6271862A JP27186294A JPH07274995A JP H07274995 A JPH07274995 A JP H07274995A JP 6271862 A JP6271862 A JP 6271862A JP 27186294 A JP27186294 A JP 27186294A JP H07274995 A JPH07274995 A JP H07274995A
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bitterness
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peptidase
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賢一 平野
Hiroshi Ito
浩史 伊藤
Takashi Fujiyoshi
隆司 藤吉
Tetsuo Nakamura
哲郎 中村
Yukitaka Yadonobe
幸孝 宿野部
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は、リゾプス属菌の生産するプロティナ
ーゼ及びペプチダーゼを含む複合酵素を有効成分とする
ペプチド製造用酵素剤を蛋白質または苦味ペプチドに作
用させて苦味のないペプチドを製造する方法に関する。 【効果】従来、酵素分解によって製造されたペプチドは
苦味が残り、この苦味をなくすことはできなかったが、
本発明では、リゾプス属由来のプロティナーゼ及びペプ
チダーゼを含む複合酵素を使用することによって苦味の
ないペプチドを製造することに成功した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リゾプス属菌の生産す
るプロティナーゼ及びペプチダーゼを含む複合酵素を用
いて、苦味のないペプチドを製造する方法及びペプチド
から苦味を消去する方法に関するものである。本発明に
よって調製されたペプチドは苦味を有しないので、非常
に食べ易くなり、ペプチドが本来有する栄養価を充分に
利用することができる。したがって本発明は、食品、栄
養食品、医療、飼料、微生物工業等の各種工業において
広範且つ有利に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】蛋白質を分解してペプチドとする方法に
おいて、酵素を用いる方法はマイルドな条件で操作が出
来る等の利点があるために工業的に多用されている。し
かしながら、このような方法によって製造したペプチ
ド、つまり酵素分解ペプチドには苦味が付随しており、
これを栄養食として投与しても極端な場合には幼児や病
人等によっては吐き出してしまう場合もあって、結局投
与することができないこととなり、ペプチドが本来有す
る栄養性その他の特性が利用できないことがしばしば生
じる。
【0003】これを改良する目的で、例えば苦味を生じ
ないような酵素をスクリーニングする方法が従来より行
われており、例えばペニシリウム・シトリナム等ペニシ
リウム属由来の中性及び/又はアルカリ性プロテアーゼ
を利用する方法が本発明者らによって開発されている
(特開昭62−14796号)。
【0004】しかしながら、本発明のようにリゾプス
(Rhizopus)属菌由来の酵素、しかもプロティナーゼと
ペプチダーゼを含む複合酵素を用いて苦味を消去したペ
プチドを製造する技術は従来全く知られておらず、新規
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した技
術の現状に鑑みてなされたものであって、従来の酵素分
解ペプチドの致令的欠陥であるところの苦味を除去する
技術を開発する目的でなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、各方面から検討の
結果、反応条件がマイルドであり、比較的容易に分解度
をコントロールすることができて目的とするペプチドが
自由に得られる等の利点があることから、生物学的方
法、特に微生物を用いる方法に着目した。そこで各種の
微生物について鋭意スクリーニングを行った結果、ある
種のリゾプス属菌に苦味のないペプチドを生成する作用
があることを発見した(第1表)。
【0007】
【表1】 第 1 表 ─────────────────────────── 菌 株 苦味生成 ─────────────────────────── Rhizopus pseudochinesis IAM 6042 − Rhizopus formosaensis No.3540 − Rhizopus peka No.3626 − Rhizopus hangchow No.3545 − Rhizopus javanicus No.3553 − Rhizopus niveus No.3593 − Aspergillus oryzae IAM 2686 + Aspergillus niger IAM 2020 + Bacillus cereus IAM 1229 + Bacillus subtilis IAM 1163 + ───────────────────────────
【0008】そして上記作用は1種の酵素ではなく複合
酵素が関与していること、そして更に苦味のないペプチ
ドを直接的に蛋白質から生成する作用のほかに、他の酵
素によって生成した苦味を有するペプチドから苦味を除
去する作用もある、という新規にして有用な知見も得
た。
【0009】そしてこれらの新知見に基づき更に検討の
結果、上記酵素がプロティナーゼとペプチダーゼを含む
複合酵素であり、またこれらの酵素を産生して苦味を除
去しうる微生物がリゾプス・シュードキネシス(Rhizop
us pseudochinesis)、リゾプス・フォルモサエンシス
(R. formosaensis)、リゾプス・ペーカ(R. peka)、
リゾプス・ハンショウ(R. hangchow)、リゾプス・ジ
ャバニクス(R. javanicus)、リゾプス・ニベウス(R.
niveus)等のリゾプス属菌であることも併せ確認した
(第2表)。
【0010】
【表2】 第 2 表 ─────────────────────────── 菌 株 苦味生成 ─────────────────────────── Rhizopus pseudochinesis IAM 6042 − Rhizopus formosaensis No.3540 − Rhizopus peka No.3626 − Rhizopus hangchow No.3545 − Rhizopus javanicus No.3553 − Rhizopus niveus No.3593 − Rhizopus arrhizus IAM 6056 + Rhizopus delmer IAM 6062 + Rhizopus oryzae IAM 6060 + ───────────────────────────
【0011】本発明は、これらの新規知見を基礎とし、
更に研究の結果完成されたものであって、リゾプス属菌
が生成する複合酵素(プロティナーゼ、ペプチダーゼ)
によるペプチドからの苦味除去システムに関するもので
ある。
【0012】本発明に係る複合酵素剤を製造するには、
リゾプス属菌を培養し、培養物から酵素を取得すればよ
い。これらの処理は常法によって行えばよく、例えばリ
ゾプス属菌の培養は、ふすま等を用いる固体培養法ある
いは液体培養法といった糸状菌において常用される培養
技術が適宜用いられる。
【0013】培養によって産生された酵素は常法によっ
て取得することができる。つまり酵素が菌体内に産生蓄
積される場合には菌体を分離した後これを破壊した後、
また菌体外酵素の場合には培養液から酵素を抽出し、常
法にしたがった塩析、限外濾過、逆滲透膜、分子篩、イ
オン交換樹脂等の処理を行って精製する。
【0014】このようにして得られた酵素はそのまま
で、あるいは乾燥した後、酵素剤として使用する。また
場合によっては、精製することなく粗製酵素ないし粗製
酵素液として、粗製のまま酵素剤として使用してもよ
い。必要ある場合には他の酵素を添加したり、あるいは
酵素製剤上容認される成分を常法にしたがって添加配合
することも可能である。またこれとは逆に各酵素を各々
分離しておき、必要に応じてこれを併用してもよい。
【0015】本発明の酵素剤は、蛋白質を分解して苦味
を生成しない特徴を有しているが、その特徴を明確にす
る為に酵素剤中に含まれるプロティナーゼ及びペプチダ
ーゼを各々精製しその特性について検討を行なった。な
お、用いた酵素粉末のペプチダーゼはプロティナーゼ1
単位当り24.3単位混在していた。
【0016】(1)プロティナーゼの特性 酵素粉末を酢酸緩衝液(pH4.0)に溶解後、ペプチ
ダーゼを失活させる為に50℃で30分間加温を行な
い、その後透析を行なった。リン酸緩衝液(pH7.
0)にて緩衝化したDEAEセファロースに吸着させ、
洗浄後NaClにて濃度勾配法で溶離し、活性画分を分
取し分子量10,000分画の限外濾過膜にて濃縮し精
製した。この標品の夾雑ペプチダーゼはプロティナーゼ
1単位当り0.016単位であり約1500倍純度が上
がった。
【0017】得られた標品を用いた酸カゼインの分解を
行い、ペプチダーゼ活性を多く含むカビ起源の市販酵素
剤である「プロテアーゼP」(天野製薬(株)製)と、
分解物の分子量分布の比較を行なった。分子量分布の結
果を図1に示した。この図面から明らかなように、ペプ
チダーゼを含まない本発明の酵素剤に含まれるプロティ
ナーゼ(B)は、ペプチダーゼを多く含む市販酵素剤
(A)より蛋白質をより低分子化する作用が強いことが
判る。
【0018】(2)ペプチダーゼの特性 酵素粉末を精製水に溶解し透析をした後、リン酸緩衝液
(pH8.0)にて緩衝化したDEAEセファロースカ
ラムに吸着させ、洗浄後NaClにて濃度勾配法で溶離
を行なった。活性画分を分取し、その後プロティナーゼ
を失活させる為にpH9.0で50℃、30分加温処理
を行い、透析後エバポレーターで濃縮し精製した。この
標品の夾雑ペプチダーゼはプロティナーゼ1単位当り換
算で約3000倍純度が上がった。
【0019】このペプチダーゼ(リゾプス・ハンショウ
No.3545菌ペプチダーゼ)の酵素的性質に関し
て、至適pH、pH安定性、至適濃度、温度安定性につ
いて検討を行い、図2の結果を得た。この結果から明ら
かなように、この酵素は、pH及び温度安定性にすぐ
れ、至適pH及び至適温度域も広くて、使用しやすい酵
素であり工業的用途に適していることが判る。
【0020】次に、得られた標品を用いて、苦味の消去
実験を行なった。市販酵素剤である「プロテアーゼA」
(天野製薬(株)製)」を用いて酸カゼインを分解し、
苦味を生成させた後、本標品を4000単位添加し45
℃で3時間反応した結果、ペプチダーゼ無添加では(+
2)の苦味であったのが本ペプチダーゼを添加した場合
は苦味が無くなった。
【0021】以上記したように、本発明の酵素剤に含ま
れるプロティナーゼは蛋白質を低分子化する作用が強
く、また同時に含まれるペプチダーゼは苦味を消去する
作用が強いという特色を持っており、その両者の作用で
蛋白質を高度に分解しても従来検討されてきた酵素剤に
比較して、苦味の生成が無い理由であろうと考えられ
る。
【0022】本発明に係る複合酵素剤を蛋白質に作用さ
せれば、苦味のない蛋白分解物つまりペプチドを直接得
ることができる。処理対象蛋白質としては、カゼインそ
の他の乳蛋白、魚肉蛋白、畜肉蛋白等の動物性蛋白;大
豆蛋白、小麦蛋白、米蛋白、落花生蛋白、菜種蛋白、ヒ
マワリ蛋白等の植物性蛋白;酵母蛋白等の微生物蛋白そ
の他すべての蛋白が単用又は併用できる。これらの蛋白
質は、変性したものでも未変性のものでもよいし、精製
されたものでも粗製のものでもよく、また更に不純物を
多く含んだ例えば豚肉の煮汁のようなものでもよい。
【0023】また、本発明に係る酵素剤は、これを、他
の酵素によって製造した苦味を有するペプチドに作用さ
せれば、これから苦味を除去することができる。酵素剤
を作用させる条件については格別の限定はなく、通常、
蛋白ないしペプチド濃度として約1〜30%、温度は3
0〜58℃程度が適当であって、酵素濃度は酵素力価及
び基質濃度等によって適宜選択すればよい。
【0024】
【実施例】以下、本発明を試験例、製造例及び実施例に
より更に詳しく説明する。
【0025】試験例1 (蛋白質の部分分解における苦味生成の比較実験)5%
酸カゼイン溶液(pH7.0)に市販酵素剤(天野製薬
(株)製)及び本発明の菌株より得られた粗製酵素を添
加し、45℃で1時間反応させた分解率15%の部分分
解溶液を得、苦味を官能試験して第3表の結果を得た。
分解率は反応液を酢酸でpH4.6に調整し可溶画分を
ケルダール定量し、全体に対する比較として表わした。
又、苦味の判定はカフェインによる苦味を指標として、
カフェイン濃度0.10%の苦味を(+5)、0.08
%を(+4)、0.06%を(+2)、0.02%を
(+1)、そして苦味無しを(0)と表示した。
【0026】第3表の酸カゼインの部分分解物の苦味試
験の結果からも明らかなように、市販酵素剤での酸カゼ
イン分解液は苦味があったが、本発明の菌株の産生する
酵素での分解液は、苦味が無かった。
【0027】
【表3】 第 3 表 ─────────────────────────── 酵 素 剤 苦 味 ─────────────────────────── プロテアーゼA +2 プロテアーゼP +3 プロテアーゼS +2 プロテアーゼN +1 プロレザー +1 パンクレアチンF +3 トリプシン +3 ブロメライン +2 パパインW−40 +1 (本発明の菌株) Rhizopus pseudochinesis 0 Rhizopus formosaensis 0 Rhizopus peka 0 Rhizopus hangchow 0 Rhizopus javanicus 0 Rhizopus niveus 0 ───────────────────────────
【0028】試験例2 (蛋白質の高度分解における苦味生成の比較試験)5%
酸カゼイン及び5%大豆蛋白溶液(pH7.0)に市販
酵素剤及び本発明により得られた粗製酵素を蛋白質1g
当りプロティナーゼ活性で300単位添加し、45℃で
16時間反応した。苦味を官能試験して第4表の結果を
得た。
【0029】第4表の各種蛋白質の高度分解における苦
味生成の比較実験結果からも明らかなように、市販酵素
剤による分解液は苦味があったが、本発明の酵素による
分解液は苦味が酸カゼイン、大豆蛋白とも無かった。
【0030】
【表4】 第 4 表 ───────────────────────────────── 酵 素 剤 乳蛋白(酸カゼイン) 大豆蛋白 ───────────────────────────────── プロテアーゼA +1 +1 プロテアーゼP +2 +2 プロテアーゼS +4 +2 プロテアーゼN +4 +2 プロレザー +4 +2 パンクレアチンF +2 +4 トリプシン +4 +4 ブロメライン +4 +4 パパインW−40 +4 +4 (本発明の菌株) Rhizopus pseudochinesis 0 0 Rhizopus formosaensis 0 0 Rhizopus peka 0 0 Rhizopus hangchow 0 0 Rhizopus javanicus 0 0 Rhizopus niveus 0 0 ─────────────────────────────────
【0031】試験例3 (苦味の消去実験)5%酸カゼイン(pH7.0)に
「プロテアーゼA」、「プロテアーゼP」、「プロテア
ーゼS」、「プロレザー」及び「パンクレアチンF」
(各々天野製薬(株)製)を酸カゼイン1g当りプロテ
ィナーゼ活性で200単位添加し、45℃で16時間反
応した。反応液の苦味を官能試験した結果、(+5)か
ら(+2)の苦味であった。各々の分解液に本発明の酵
素をペプチダーゼ活性として、酸カゼイン1g当り20
00単位、4000単位、8000単位添加し、45℃
にて3時間反応した結果、第5表に示した様に顕著な苦
味の消去が認められた。
【0032】
【表5】 第 5 表 ───────────────────────────────── 本発明のペプチダーゼ添加量 無 添 加 2000単位 4000単位 8000単位 ───────────────────────────────── プロテアーゼA +2 +1 0 0 プロテアーゼP +4 +3 +1 0 プロテアーゼS +5 +4 +3 +2 プロレザー +5 +4 +3 +2 パンクレアチンF +2 +1 +1 0 ─────────────────────────────────
【0033】〔製造例1〕ふすま180gに水を150
ml添加し殺菌後、Rhizopus pseudochinesis IAM 6042
の種麹を接種し25℃で4日間培養した。培養後得られ
た麹に20mM、pH7、リン酸バッファーを500m
l加え、低温室にて一夜抽出を行い300mlの粗製酵
素液を得た。遠心分離後、凍結乾燥を行い酵素粉末3.
6gを得た。この粉末の酵素活性はプロティナーゼ12
5u/gであり、ペプチダーゼは37500u/gであ
った。
【0034】〔製造例2〕グルコース0.5%、大豆蛋
白2.0%、ポリペプトン0.2%、酵母エキス0.2
%、リン酸二カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.
05%の組成の培地100mlにRhizopus javanicus N
o.3553の胞子を接種し30℃で3日間振とう培養を行な
った。遠心分離により菌体分離をし、酵素溶液を得た。
この溶液の酵素活性はプロティナーゼ2.4u/ml、
ペプチダーゼ20.4u/mlであった。
【0035】〔製造例3〕ふすま1800gに水を15
00ml添加し殺菌後、Rhizopus hangchow No.3545の
種麹を接種し30℃で3日間培養した。得られた麹に2
0mM、pH7リン酸バッファーを10リットル加え低
温室にて一夜抽出を行い7350mlの粗製酵素液を得
た。遠心分離後、ホローファイバー(旭化成(株)AI
L−1010)を用いて濃縮を行なった後、凍結乾燥を
し酵素粉末15.5gを得た。この粉末の酵素活性はプ
ロティナーゼ2100u/gであり、ペプチダーゼは9
3500u/gであった。また、活性収率は各々68
%、61%であった。
【0036】〔実施例1〕 「酸カゼインの分解」5%酸カゼイン溶液(pH7)9
0mlに「製造例3」で得た酵素粉末640mgを10
mlの精製水に溶解した酵素液を添加し(酸カゼイン1
g当りプロティナーゼ活性で300単位)、45℃にて
16時間静置反応した。反応後100℃で10分間加熱
した後、遠心分離を行い清澄な溶液を得た。この溶液に
ついて苦味を官能試験で測定したところ、苦味は無かっ
た。またファルマシア社製FPLCシステム(カラム:
スーパーロース12)を用いて、分子量分布を分析した
結果を図3に示したが、ほとんど分子量1000以下の
ペプチド及びアミノ酸であった。
【0037】〔実施例2〕 「大豆蛋白の分解」5%大豆蛋白溶液(pH7)100
0mlに「製造例3」で得た酵素粉末7.1gを添加
し、45℃にて17時間撹拌しつつ反応した。反応後1
00℃で10分間加熱した後遠心分離を行い清澄な溶液
を得、ついで凍結乾燥を行い42.5gの微黄色の粉末
を得た。この粉末について苦味を官能試験した結果、苦
味は無かった。また「実施例1」と同様に分子量分布を
分析した結果を図4に示したが、ほとんど分子量100
0以下のペプチド及びアミノ酸であった。
【0038】〔実施例3〕 「肉煮汁の分解」豚肉の煮汁(蛋白質濃度10%)10
00mlに「製造例3」で得られた酵素粉末を480m
g添加した後、55℃にて4時間反応した。反応後酵素
の失活と殺菌の目的で100℃で10分間加熱後、官能
試験したところ苦味は感じられなかった。
【0039】〔実施例4〕 「苦味の消去」5%酸カゼイン溶液(pH7)90ml
に「プロテアーゼP−1」(天野製薬(株)製)90m
gを10mlの精製水に溶解した溶液を添加し(酸カゼ
イン1g当りプロティナーゼ活性で200単位)、45
℃にて16時間静置反応した。反応後「製造例3」で得
られた酵素粉末を190mg添加し(酸カゼイン1g当
りペプチダーゼ活性として4000単位)、45℃で5
時間更に反応した。反応後加熱処理を行なった後、苦味
を官能試験した。その結果、本発明の酵素添加前の溶液
は+4の苦味であったが、酵素添加処理後は苦味は無か
った。
【0040】なお本明細書において、酵素活性及び分子
量分布の測定は、それぞれ次のようにして行った。酵素活性測定法 1.プロティナーゼ 0.75%ミルクカゼイン(メルク社製)を基質として
37℃で反応し、0.4モルのトリクロロ酢酸を反応液
と等量添加し、濾紙で濾過後(東洋濾紙No.131)濾液に
ついてフォーリン試薬で発色させた。濾液1ml当り6
0分間に100マイクログラムのチロシン相当量の発色
量を1単位とした。 2.ペプチダーゼ 0.125mMロイシン・グリシル・グリシンを基質と
し(pH7.0)、30℃にて反応しニンヒドリン法に
て行なった。1分間に1マイクロモルのアミノ酸生成量
を1単位とした。
【0041】分子量分布の測定法 ファルマシア社製「スパーロース12」ゲル濾過用カラ
ムを用いた。なお分子量の標準としては、25000は
キモトリプシノーゲン、12300はチトクロームC、
6500はトリプシンインヒビターをまた1450はバ
シトラシンを用いた。
【0042】
【発明の効果】本発明は、リゾプス属菌が産生するプロ
ティナーゼ及びペプチダーゼを有効成分とする酵素剤を
用いることによってはじめて成功したものであって、本
発明により各種蛋白質から苦味のないペプチドを直接製
造することができるほか、他の酵素によって生成した苦
味を有するペプチドから苦味を除去することもできる。
このように本発明によれば苦味のないペプチドを効率よ
く調製することができるので、栄養性その他の有用性を
有するペプチドであっても苦味を有するが故に自由に使
用することができなかった飲食品、経口投与剤、栄養
剤、飼餌料等にも広く利用することができ、ペプチドの
用途が飛躍的に拡大される。
【0043】その具体例としては、医療食、経腸栄養
剤、乳児食、低アレルギー育児粉乳、バランス栄養食、
健康食品、機能性食品といったヒト用の栄養源のほか、
飼料、餌料、培地用ペプトンといったヒト以外の栄養源
が挙げられる。したがって本発明によれば、ペプチドを
投与しても、乳幼児や病弱者が苦味の故にこれを吐き出
してしまうというようなこともなくなり、人類の健康や
医療に本発明は大いに寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸カゼイン分解物の分子量分布を図示したもの
であるが、(A)はプロテアーゼPによる分解物、
(B)は本発明のプロティナーゼによる分解物の分子量
分布を図示したものである。
【図2】Rhizopus hangchow No.3545菌由来のペプチダ
ーゼの酵素的性質を図示したものである。
【図3】酸カゼイン分解物の分子量分布を図示したもの
である。
【図4】大豆蛋白質分解物の分子量分布を図示したもの
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/06 C12R 1:845) (72)発明者 中村 哲郎 埼玉県入間市下藤沢580−5 (72)発明者 宿野部 幸孝 埼玉県川越市古谷上6083−8、B2−205

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リゾプス属菌の生産するプロティナーゼ
    及びペプチダーゼを含む複合酵素を有効成分とするペプ
    チド製造用酵素剤を蛋白質に作用させることを特徴とす
    る苦味のないペプチドを製造する方法。
  2. 【請求項2】 リゾプス属菌の生産するプロティナーゼ
    及びペプチダーゼを含む複合酵素を有効成分とするペプ
    チド製造用酵素剤を苦味ペプチドに作用させて苦味を消
    去することを特徴とする苦味のないペプチドを製造する
    方法。
JP6271862A 1994-10-12 1994-10-12 ペプチド製造法 Expired - Lifetime JP2631202B2 (ja)

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