JPH08140693A - フェニルアラニン含量の少ないペプチド混合物の製造法 - Google Patents
フェニルアラニン含量の少ないペプチド混合物の製造法Info
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- JPH08140693A JPH08140693A JP6305635A JP30563594A JPH08140693A JP H08140693 A JPH08140693 A JP H08140693A JP 6305635 A JP6305635 A JP 6305635A JP 30563594 A JP30563594 A JP 30563594A JP H08140693 A JPH08140693 A JP H08140693A
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Abstract
プチド混合物の製造法であって、1種若しくは2種以上
の蛋白質からなる原料蛋白質の水溶液又は予め軽度に加
水分解した原料蛋白質の水溶液に、1種又は2種以上の
蛋白分解酵素を添加し、原料蛋白質又は予め軽度に加水
分解した原料蛋白質の加水分解を開始し、加水分解によ
り分解液中に遊離したフェニルアラニンの量を経時的
に、かつ短時間で測定し、原料蛋白質又は予め軽度に加
水分解した原料蛋白質に含まれるフェニルアラニンの総
量に対する遊離したフェニルアラニンの量の割合を算出
し、その算出した値が予め設定された特定の範囲内に達
したときに直ちに加水分解を停止し、分解液中の遊離し
たフェニルアラニンを除去することを特徴とするフェニ
ルアラニン含量の少ないペプチド混合物の製造法。 【効果】 本発明の方法によりフェニルアラニン含有量
が低い値で一定し、高品質の製品を簡便に製造すること
が可能であり、該製品は、フェニルケトン尿症の乳幼
児、成人、及び妊産婦の食事における蛋白源として広く
利用できる。
Description
取を制限する必要のあるアミノ酸代謝異常症、特にフェ
ニルケトン尿症患者が日常的に摂取することが可能であ
るフェニルアラニン含量の少ないペプチド混合物を、常
に安定した状態で、一定の品質で製造する方法に関す
る。本明細書において、百分率は、特に断りのない限り
重量による表示である。
することがある)は、アミノ酸の一つであるフェニルア
ラニン(以下Pheと記載することがある)をチロシン
に変換するフェニルアラニン水酸化酵素が先天的に欠如
しているため、Pheが、血中に蓄積され、神経系の障
害、発育障害を惹起する先天性代謝異常症である。従っ
て、PKU患者は、体内にPheが蓄積しないよう医師
の指導のもとに、Pheの摂取量を厳密に制御しなけれ
ばならないのである。
度含まれている普通のアミノ酸であるため、従来、PK
U患者は、食品若しくは乳児用調製乳の蛋白質成分の一
部又は全部を、Pheを含まないアミノ酸混合物に置換
して摂取しなければならなかった。しかしながら、この
ようなアミノ酸混合物は、アミノ酸特有の不快な風味を
呈するとともに、腸管での浸透圧が高いために下痢を惹
起する等の欠点があった。そのため、風味が良く、かつ
食事療法に好適なPKU患者用蛋白質源が、患者、その
家族又は医師から待望されていた。
質源としてκ−カゼイングリコマクロペプチド(以下G
MPと記載することがある)を用いる方法が開示されて
いる(特開平4−126051号公報)。GMPは、そ
のアミノ酸配列中にPheを全く含まず、また分子量が
8,000ダルトンと高く浸透圧上昇の問題もほとんど
ないためPKU患者用蛋白源として有効である。しかし
ながら、GMPを単離するための操作が極めて繁雑であ
り、工業的生産のためには不都合であった。しかも、最
近の栄養学的知見によれば、蛋白質よりもオリゴペプチ
ドの方が消化吸収に優れていることが明らかになってい
る。
用いた他の例として、蛋白質を蛋白分解酵素で分解し、
Phe含量の少ない画分をゲル濾過により回収し、低フ
ェニルアラニンペプチド(以下LPPと記載することが
ある)を用いる方法がある[ジャーナル・オブ・フード
・サイエンス(Journal of Food Science)、第41巻、
第1029〜1032ページ、1976年及び特開昭6
1−68426号公報]。
ーゼで処理するか、又はエンドペプチダーゼで処理後エ
キソペプチダーゼで処理し、芳香族アミノ酸をほとんど
含まないポリペプチドと遊離芳香族アミノ酸又は芳香族
アミノ酸を末端に有する低分子ペプチドを活性炭を用い
て吸着し、逆浸透膜又はイオン交換性電気透析膜を用い
て低分子物質を分離し、LPPを製造する方法が開示さ
れている(特公平2−54070号公報)。これらの方
法により、LPPを工業的に製造することが可能となっ
た。
してペプチドを製造する場合、いくつかの従来技術を例
示すれば次のとおりである。 1)蛋白質をエンド型蛋白分解酵素及びエキソ型蛋白分
解酵素共存の水系下で、0.5〜10時間酵素分解し、
苦味の極めて少ない平均鎖長3〜10のオリゴペプチド
を得ることを特徴とするオリゴペプチド混合物の製造法
が開示されている(特開昭62−143697号公
報)。
化酵素で部分分解する方法において、カゼイン溶液の通
液速度を制御してカゼインの部分分解物を製造する方法
が開示されている(特公平3−31421号公報)。
で、かつ、原料蛋白質に含まれる芳香族アミノ酸が、9
0%以上遊離アミノ酸になるまで分解し、ゲル濾過法に
よりペプチド部分を回収することことにより、抗原性を
呈さず、分子量1,000ダルトン以下、遊離アミノ酸
含有量が20%以下、芳香族アミノ酸含有量が全アミノ
酸の1.0%以下の低分子量ペプチドの製造法が開示さ
れている(特開平2−138991号公報)。
プチドの蛋白分解酵素加水分解物であって、フィッシャ
ー値が30から60の範囲であるペプチド混合物を製造
する方法において、分解率が5〜25%となった時点で
加熱処理し、酵素を失活させる方法が開示されている
(特開平2−300137号公報)。
蛋白質消化をシミュレーションし得る蛋白質分解酵素と
接触させることにより、加水分解を、生成物中に残留蛋
白質がほとんど含有しなくなるまで、即ち、12%トリ
クロル酢酸に沈殿しうる窒素を含有しなくなるまで、及
び少なくとも50%のペプチドが2〜5のアミノ酸を含
有し、遊離アミノ酸の量が15%以下であるペプチド混
合物を得るまで継続することを特徴とする牛乳ホエー蛋
白質からのペプチド混合物の製造法が開示されている
(特公昭62−61039号公報)。
000以下であり、芳香族アミノ酸の90%以上が遊離
アミノ酸であって、ヒト皮膚細胞に対して増殖賦活作用
を有し乳蛋白質の抗原性を有しないことを特徴とする化
粧料及び皮膚外用剤が開示されている(特開平4−26
604号公報)。
して蛋白分解物を製造する方法において、ペプチドセン
サーでペプチド濃度を測定する方法及びペプチドの平均
鎖長を測定する方法が開示されている(食品産業バイオ
リアクターシステム技術研究組合編、「実践バイオリア
クター」、第166〜184ページ、食品産業バイオリ
アクターシステム技術研究組合発行、1990年)。
分解してグルテン分解物を製造する方法において、グル
テン分解物の疎水性を逆相クロマトグラフィーで経時的
に計測して泡末安定性に優れたグルテン分解物が製造で
きることが開示されている(食品産業バイオリアクター
システム技術研究組合編、「実践バイオリアクター」、
第106〜126ページ、食品産業バイオリアクターシ
ステム技術研究組合発行、1990年)。
ン、グルタミン酸等のアミノ酸発酵における工程管理に
おいて、目的生産物である遊離アミノ酸量を測定するこ
とが知られている(食品工業、第34巻、第16号、第
1〜11ページ、1991年)。
るように、従来、蛋白質分解酵素で原料の蛋白質を分解
してペプチド混合物を製造する場合、分解反応の終点
を、反応時間、蛋白溶液の通液速度等を指標とするか、
又は分解物の分解率、疎水度等の測定により決定する
か、のいずれかであったが、これらの方法では、刻々変
化する分解物の理化学的性状、特に遊離のアミノ酸量を
正確に把握することが極めて困難であった。
おいては、製造バッチごとにペプチド混合物が含有する
遊離アミノ酸量及び組成が異なり、ペプチド混合物の品
質が一定しないという致命的な欠点があった。しかも、
酵素反応を再現性よく実施するためには、反応温度、p
H、酵素力価、基質濃度等を厳密に制御しなければなら
ず、そのため工業的スケールでは作業性も劣り、一定の
アミノ酸遊離率を得ることは事実上困難であった。
合においても次のような致命的な欠点を有することを意
味している。前記のとおり、蛋白質を蛋白分解酵素で分
解する工程を含むLPPの製造法において、ペプチド混
合物のPhe含量を低下させるための方法は、蛋白分解
酵素により蛋白質を加水分解することにより蛋白質から
十分量のPheを遊離させ、遊離したPheをゲル濾
過、活性炭吸着等により除去するという原理に基づいて
おり、蛋白質の蛋白分解酵素による加水分解工程の制御
が高品質のLPPを製造するための重要な技術となって
いる。
には、酵素分解反応に続くゲル濾過又は活性炭処理によ
り除去されるPhe量が少なくなるため、ペプチド混合
物のPhe含量が高くなり、これはPKU患者用として
不適当なものとなる。また、Pheの遊離が過剰の場合
(換言すれば酵素分解反応が過度に進行した場合)、P
he以外のアミノ酸遊離率も高くなるために風味が著し
く悪化し、浸透圧も高くなるため、不快な味、下痢症状
の発生等のため治療効果が極めて低下する不都合があ
り、その改善が強く要請されている状況にあった。即
ち、高品質のLPPを製造するためには、蛋白質の蛋白
分解酵素による加水分解工程において得られるペプチド
混合物の遊離Phe量が、常に一定となることが極めて
重要な課題である。
ペプチド混合物の製造法を発明し、既に特許出願(出願
番号未着。以下先願と記載することがある)した。先願
の方法は、「一定品質のペプチド混合物の製造法であっ
て、1種若しくは2種以上の蛋白質からなる原料蛋白質
の水溶液又は予め軽度に加水分解した原料蛋白質の水溶
液に、1種若しくは2種以上の蛋白分解酵素を添加し、
原料蛋白質又は予め軽度に加水分解した原料蛋白質の加
水分解を開始し、加水分解により分解液中に遊離した特
定アミノ酸の量を経時的に、かつ短時間で測定し、原料
蛋白質又は予め軽度に加水分解した原料蛋白質に含まれ
る特定アミノ酸の総量に対する遊離した特定アミノ酸の
量の割合を算出し、その算出した値が予め設定された特
定の範囲内に達したとき直ちに加水分解を停止すること
を特徴とするペプチド混合物の製造法。」である。
記従来技術に鑑みて、常に安定した状態で、一定の品質
のフェニルアラニン含量の少ないペプチド混合物を得る
ために、鋭意研究を行なった結果、蛋白質の蛋白分解酵
素による加水分解工程において、分解液中に遊離したP
heの量を、経時的、かつ短時間で測定し、原料蛋白質
に含まれているPheの総量との割合を算出し、その値
が予め設定した特定の範囲内に達したときに直ちに分解
反応を停止し、遊離したPheを除去することにより、
簡便に、Phe含量が一定のフェニルアラニン含量の少
ないペプチド混合物が得られることを見い出し、本発明
を完成した。
し、特にPKU患者が日常的に摂取することが可能であ
る、品質が良好なフェニルアラニン含量の少ないペプチ
ド混合物を簡便に製造し得る新規な方法を提供すること
にある。
明は、フェニルアラニン含量の少ない一定品質のペプチ
ド混合物の製造法であって、1種若しくは2種以上の蛋
白質からなる原料蛋白質の水溶液又は予め軽度に加水分
解した原料蛋白質の水溶液に、1種又は2種以上の蛋白
分解酵素を添加し、原料蛋白質又は予め軽度に加水分解
した原料蛋白質の加水分解を開始し、加水分解により分
解液中に遊離したフェニルアラニンの量を経時的に、か
つ短時間で測定し、原料蛋白質又は予め軽度に加水分解
した原料蛋白質に含まれるフェニルアラニンの総量に対
する遊離したフェニルアラニンの量の割合を算出し、そ
の算出した値が予め設定された特定の範囲内に達したと
きに直ちに加水分解を停止し、分解液中の遊離したフェ
ニルアラニンを除去することを特徴とするフェニルアラ
ニン含量の少ないペプチド混合物の製造法であり、遊離
したフェニルアラニンの量の測定が、酵素膜センサーを
用いて行われることを望ましい態様としてもいる。
発原料として使用する原料蛋白質は、獣乳、卵、魚肉、
畜肉等に由来する動物性蛋白質、大豆、小麦等に由来す
る植物性蛋白質、又はこれらの任意の混合物であり、特
に限定されるものではない。また、蛋白質を予め軽度に
加水分解した分解物であって、更に蛋白分解酵素により
分解し得る大きい分子量のペプチド混合物を出発原料と
することもできる。
料蛋白質を、蛋白質換算で10%前後の濃度で水に溶解
し、殺菌及び蛋白質の酵素分解を効率よく行うため、6
5〜90℃の温度範囲で5〜30分間加熱処理してもよ
い。次いで溶液のpHをアルカリ又は酸溶液を用いて使
用する蛋白分解酵素の至適pH付近に調整し、原料水溶
液を調製する。
添加するが、蛋白分解酵素の添加は一括添加、又は少量
に分割して添加する逐次添加であってもよい。使用する
蛋白分解酵素としては、動物由来(例えば、パンクレア
チン、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン等)、植
物由来(例えば、パパイン、ブロメライン等)、微生物
由来(例えば、酵母、カビ、細菌、放線菌、乳酸菌等)
のエンドプロテアーゼ及びエキソプロテアーゼがあげら
れるが、エンドプロテアーゼとしては、Phe等の芳香
族アミノ酸に対して親和性のあるものが好ましく、例え
ば、ペプシン、キモトリプシン等が望ましい。エキソプ
ロテアーゼとしては、Phe等の芳香族アミノ酸を末端
に有するペプチドに対してペプチダーゼ活性を示すもの
が好ましく、黒麹菌、放線菌、酵母等に由来するエキソ
ペプチダーゼを好適な例として示すことができる。
のエンドプロテアーゼとエキソプロテアーゼとを組み合
わせて用いることが望ましく、原料蛋白質溶液に一括添
加により、又はエンドプロテアーゼを添加した後一定時
間経過後にエキソプロテアーゼを添加し、段階的に、分
解反応を実施することもできる。添加する酵素量は、例
えば、エンドペプチダーゼを原料蛋白質1g当たり50
00〜10000PUN単位、エキソペプチダーゼを原
料蛋白質1g当たり10〜50活性単位の添加を、望ま
しい態様として例示することができる(PUN単位及び
活性単位については後記する)。
常、酵素の至適温度に所定時間保持して蛋白質の酵素に
よる分解を開始するが、分解中に微生物の増殖が懸念さ
れる場合は、必要に応じて酵素の至適温度より高温域ま
たは低温域の温度に所定時間保持して蛋白質の酵素によ
る加水分解を行なうこともできる。しかしながら、酵素
の至適温度よりも極端に異なる温度範囲では、加水分解
反応の効率が低下するので、通常40〜60℃の温度範
囲が望ましい。
heの量を経時的に、かつ短時間に測定するが、例え
ば、高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと記載
することがある)、酵素膜センサー[例えば、バイオテ
ックアナライザー(旭化成工業社製)]等を用いること
ができ、特に望ましい態様としてオンラインにより測定
する方法を例示することができる。これらにより、分解
液中に遊離したPheの量を経時的に、かつ短時間に測
定し、出発原料である蛋白質又は予め軽度に加水分解し
た蛋白質に含まれるPheの総量に対する遊離したPh
eの量の割合が予め設定された特定の範囲に達したと
き、ただちに分解液中の酵素を失活又は除去し、加水分
解を停止する。該ペプチド混合物をPKU患者に供する
ことを考慮すると、原料蛋白質又は予め軽度に加水分解
した蛋白質に含まれるPheを高度に遊離して除去する
必要があるので、前記特定の範囲は、85〜95%を例
示することができ、望ましくは88〜92%である。
よる加熱処理、限外濾過膜等を用いる分解液からの酵素
の除去等により実施することができる。加熱処理の加熱
温度と保持時間は使用した酵素の熱安定性を考慮し、十
分に失活できる条件を適宜設定することができる。加熱
処理又は濾過処理による酵素の失活又は除去工程には、
相当の時間を要し、この間に分解が進行するおそれがあ
る場合には、所定の条件のもとに、分解の進行程度(P
heの遊離速度)を、試験により予め測定し、その結果
に基づいて加水分解を停止する前記特定の範囲を決定
し、設定するのが望ましい。
より分解液を冷却し、セライト濾過、精密濾過、限外濾
過、遠心分離等の方法により分解液から沈殿を除去す
る。得られた分解液からのPhe等の芳香族アミノ酸の
除去は、適宜の方法、例えば、ゲル濾過法、吸着樹脂
法、活性炭吸着法等を単独又は組合わせて実施すること
ができる。ゲル濾過剤としては、排除限界分子量10,
000ダルトン以下、望ましくは2,500ダルトン以
下のものを使用し、芳香族アミノ酸に吸着性をもつ疎水
性側鎖、例えば、カルボキシル基、ブチル基、フェニル
基、疎水性部位をもつゲル担体を、特に好適な例として
示すことができる。このようなゲル濾過剤としては、セ
ファデックスG−10(ファルマシア社製)、セルロフ
ァインGCL−25(生化学工業社製)等、また、活性
炭としては、例えば、白鷺(武田薬品工業社製)等を例
示することができる。
このカラムに分解液を通液し、水又は芳香族アミノ酸の
吸着性を高めるため2〜15%のエタノール水溶液を溶
出液として溶出することができる。芳香族アミノ酸の除
去操作は、分解液にゲル濾過剤又は活性炭を投入し、所
定時間静置し、芳香族アミノ酸を吸着させるバッチ法式
により実施することもできる。
ニン含量の少ないペプチド混合物の溶液を、公知の方法
により濃縮して濃縮液とすることもでき、また、この濃
縮液を公知の方法により乾燥して粉末とすることもでき
る。得られたフェニルアラニン含量の少ないペプチド混
合物の溶液、その濃縮液又はその粉末は、通常の食品原
料と同様にPKU患者用の食品原料として使用し、各種
PKU患者用の食品を製造することができる。
りである。エンドペプチダーゼのPUN単位は、カゼイ
ン[ハマーシュタイン(Hammerstein) 。メルク社製]に
エンドペプチダーゼを作用させ、30℃で1分間に1μ
gのチロシンに相当するアリルアミノ酸のフォリン試薬
での呈色反応を示す酵素活性が1PUN単位である。
次の方法により測定した。エキソペプチダーゼを含有す
る粉末を0.2g/100mlの割合で0.1モルのリ
ン酸緩衝液(pH7.0)に分散又は溶解し酵素溶液と
する。一方、ロイシルパラニトロアニリド(国産化学社
製。以下Leu−pNAと記載する)を0.1モルのリ
ン酸緩衝液(pH7.0)に溶解して2mMの基質溶液
を調製する。酵素溶液1mlに基質溶液1mlを加え3
7℃で5分間反応させた後、30%の酢酸溶液2mlを
加えて反応を停止させる。反応液をメンブランフィルタ
ーで濾過し、波長410nmで濾液の吸光度を測定す
る。エキソペプチダーゼの活性単位は、1分間に1μm
olのLeu−pNAを分解するのに必要な酵素量が1
活性単位であり、次式により算出した。 活性単位(粉末1g当たり)=20×(A/B) (ただし、前記の式において、A及びBは、それぞれ波
長410nmにおける試料の吸光度及び0.25mMパ
ラニトロアニリンの吸光度である)
本発明においては、次の試験方法を採用した。 (1)アミノ酸組成の測定方法 トリプトファン、システイン及びメチオニン以外のアミ
ノ酸については、試料を6N塩酸で110℃、24時間
加水分解し、トリプトファンについては、水酸化バリウ
ムで110℃、22時間アルカリ分解し、システイン及
びメチオニンについては、過ぎ酸処理後、6N塩酸で1
10℃、18時間加水分解し、それぞれアミノ酸自動分
析機(日立製作所製。835型)により分析し、アミノ
酸の質量を測定した。
機(日立製作所製。835型)により分析し、遊離アミ
ノ酸の質量を策定した。そして前記アミノ酸組成の分析
で得られた各アミノ酸の質量に対する遊離アミノ酸質量
の百分率を算出した。
製)を装着したバイオテックアナライザー(旭化成工業
社製)により遊離アミノ酸量を測定し、この値と予め予
備実験により(2)で求めた遊離Phe率との相関値か
ら分解液中の遊離Phe量を測定した。
5×250mm)をHPLC(島津製作所製)に装着
し、分解液0.1mlを供給し、溶離液(0.1%トリ
フルオロ酢酸溶液)に対する溶離B(0.1%トリフル
オロ酢酸溶液)の割合が100分間で50%となる濃度
勾配で1.5ml/分の流速で溶出を行った。
により試料のホルモール態窒素を、それぞれ測定し、こ
れらの値から次式により算出した。 分解率(%)=(ホルモール態窒素)/(全窒素)×1
00
製造方法、即ち、反応時間を指標にして酵素分解を停
止する方法、分解率を指標にして酵素分解を停止する
方法、及び本発明の方法[酵素膜センサー(バイオテ
ックアナライザー。旭化成工業社製)]とにより、ペプ
チド混合物を製造し、得られたペプチド混合物中の遊離
Phe、及びこのペプチド混合物から遊離Pheを除去
して得られるPhe含量の少ないペプチド混合物のPh
e含量に及ぼす影響を比較検討した。
こと、前記の方法では、酵素分解を分解率が30%に
達したときに停止したこと、及び前記の本発明の方法
では、分解液中の遊離Phe濃度を経時的に、かつ短時
間で測定し、Pheの遊離率が90%に達した時点で酵
素分解を停止したことを除き、実施例1と同一の方法に
より牛乳乳清蛋白質溶液の加水分解をそれぞれ5回反復
して実施し、合計15種類のペプチド混合物を調製し
た。更に、これらの3種類の方法により得られた分解液
から、それぞれ、実施例1と同一の方法により遊離Ph
eを除去し、試料を調製した。
れぞれ前記の方法により測定し、5回の結果の平均値と
標準偏差を算出した。
かなように、各方法で得られた試料の遊離Phe量の標
準偏差は、の本発明の方法が最も小さく、5回反復し
て製造した場合でも品質が安定しており、次いでの方
法の変動が少なく、の方法は最も変動が大きく品質が
不安定であることが認められた。また、これらの3種類
の方法により製造した試料中の全Pheの値及び標準偏
差も、の本発明の方法が最も低値を示し、品質が安定
していることが認められた。尚、酵素の種類、原料蛋白
質の種類を変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得ら
れた。
件で加水分解を行った場合の各方法を比較するために実
施した。 1)試料の調製 前記試験例1のの方法では、酵素分解反応を20時間
で停止したこと、前記試験例1のの方法では、酵素分
解を分解率が35%に達したときに停止したこと、前記
試験例1のの本発明の方法では、分解液中の遊離Ph
e濃度を経時的に、かつ短時間で測定し、Pheの遊離
率が90%に達した時点で酵素分解を停止したこと、を
除き、実施例2と同一の方法により牛乳カゼインの加水
分解をそれぞれ5回反復して実施し、合計15種類の分
解液を調製した。更に、これらの3種類の方法により得
られた分解液から、それぞれ、実施例2と同一の方法に
より遊離Pheを除去して試料を調製した。
かなように、各方法で製造した分解液の遊離Phe量の
標準偏差は、の本発明の方法が最も小さく、の本発
明の方法が最も小さく、5回反復して製造した場合でも
品質が安定しており、次いでの方法の変動が少なく、
の方法は最も変動が大きく品質が不安定であることが
認められた。また、これらの3種類の方法により製造し
た試料中の全Pheの値及び標準偏差も、の本発明の
方法が最も低値を示し、品質が安定していることが認め
られた。尚、酵素の種類、原料蛋白質の種類を変更して
試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 市販の乳清蛋白質濃縮物(ラクプロダン80。デンマー
クプロテイン社製。蛋白質含量75%)100gを10
%の濃度で脱イオン水に溶解し、65℃で30分間加熱
殺菌し、45℃に保持し、水酸化ナトリウムでpHを
8.5に調整し、パンクレアチンF(天野製薬社製)1
5万PUN単位(乳清蛋白質1g当たり2000PUN
単位)、プロテアーゼNアマノ(天野製薬社製)15万
PUN単位(乳清蛋白質1g当たり2000PUN単
位)、アクチナーゼAS(科研ファルマ社製)単位(乳
清蛋白質1g当たり5000PUN単位)、プロテアー
ゼAアマノ(天野製薬社製)800活性単位(乳清蛋白
質1g当たり10.7活性単位)を添加し、加水分解を
開始し、酵素膜センサー[バイオテックアナライザー
(旭化成工業社製)]を用いて経時的に、かつ短時間で
この分解液の遊離Phe量を測定し、遊離Phe率が9
0%に達した時点で85℃、10分間加熱して酵素を失
活させ、酵素分解を停止し、セライト濾過法により沈殿
物を除去し、常法により凍結乾燥し、ペプチド混合物約
73gを得た。
水に溶解し、セファデックスG−10(ファルマシア社
製)を充填した5cm×15cmカラムに通液し、脱イ
オン水を用いて溶出し、フェニルアラニン含量の少ない
ペプチド混合物を回収し、溶出液を凍結乾燥し、フェニ
ルアラニン含量の少ないペプチド混合物約2.2gを得
た。
ルアラニン含量の少ないペプチド混合物を前記試験方法
により試験した結果、Phe含有量は全アミノ酸当たり
0.2%であり、3回の製造におれるPheの量にはほ
とんど差異が認められなかった。
イリーボード製。蛋白質含量90%)200gを脱イオ
ン水に懸濁し、10%水酸化ナトリウムでpH8.0に
調整して溶解し、脱イオン水で12%の濃度に調整し、
90℃で5分間加熱殺菌し、50℃に保持し、パンクレ
アチンF(天野製薬社製)72万PUN単位(カゼイン
蛋白質1g当たり4000PUN単位)を添加して加水
分解を開始し、開始5時間後にアクチナーゼAS(科研
ファルマ社製)90万単位(カゼイン蛋白質1g当たり
5000PUN単位)を添加し、加水分解を継続し、H
PLC(島津製作所製)を用いて、経時的に、かつ短時
間でこの分解液の遊離Phe量を測定し、遊離Phe率
が90%に達した時点で、85℃で10分間加熱して酵
素を失活し、酵素分解を停止させ、分画分子量が300
0ダルトンの限外濾過膜(旭化成工業社製)により沈殿
物を除去し、常法により凍結乾燥し、ペプチド混合物約
165gを得た。
度で水に溶解し、粉末活性炭[白鷺(武田薬品社製)]
35gを投入し、4℃で15時間静置し、のち濾過して
活性炭を除去し、吸着樹脂(KS−35。北越炭素工業
社製)190mlを充填したカラムに5ml/分の流速
で通液し、溶出液を凍結乾燥し、フェニルアラニン含量
の少ないペプチド混合物約112gを得た。
ルアラニン含量の少ないペプチド混合物を前記試験方法
により試験した結果、Phe含有量は全アミノ酸当たり
0.3%であり、3回の製造におれるPheの量にはほ
とんど差異が認められなかった。
クプロテイン社製。蛋白質含量75%)500g及び市
販の大豆蛋白粉末(SUPRO。不二製油社製。蛋白質
含量90%)500gを脱イオン水に10%の濃度で溶
解し、70℃で5分間加熱殺菌し、55℃に保持し、水
酸化カリウムでpHを9に調整し、パンクレアチンF
(天野製薬社製)123万7500PUN単位(蛋白質
1g当たり1500PUN単位)、パパインW−40
(天野製薬社製)165万PUN単位(蛋白質1g当た
り2000PUN単位)、アクチナーゼAS(科研ファ
ルマ社製)330万PUN単位(蛋白質1g当たり40
00PUN単位)及びプロテアーゼAアマノ(天野製薬
社製)16500活性単位(蛋白質1g当たり20活性
単位)を添加して加水分解を開始し、酵素膜センサー
(バイオテックアナライザー(旭化成工業社製))を用
いて経時的に、かつ短時間でこの分解液の遊離Phe量
を測定し、遊離Phe率が88%に達した時点で、90
℃で10分間加熱して酵素を失活させ、セライト濾過法
により沈殿物を除去し、常法により凍結乾燥し、ペプチ
ド混合物約720gを得た。
度で水に溶解し、セルロファインGCL−25(生化学
工業社製)を充填した37cm×15cmカラムに通液
し、脱イオン水を用いて溶出し、フェニルアラニン含量
の少ないペプチド混合物を回収し、凍結乾燥し、フェニ
ルアラニン含量の少ないペプチド混合物約52gを得
た。
ルアラニン含量の少ないペプチド混合物を前記試験方法
により試験した結果、Phe含有量は全アミノ酸当たり
0.4%であり、3回の製造におれるPheの量にはほ
とんど差異が認められなかった。
ルケトン尿症患者の摂取に適当したフェニルアラニン含
量の少ないペプチド混合物の新規な製造法であり、本発
明の方法により、フェニルアラニン含有量が低い値で一
定し、高品質の製品を簡便に製造することが可能であ
り、本発明方法により製造されるフェニルアラニン含有
量の少ない一定品質のペプチド混合物は、従来製品にみ
られるような風味及び浸透圧上の欠点がなく、フェニル
ケトン尿症の乳幼児、成人、及び妊産婦の食事における
蛋白源として広く利用できる。
質源としてκ−カゼイングリコマクロペプチド(以下G
MPと記載することがある)を用いる方法が開示されて
いる(特開平4−126051号公報)。GMPは、そ
のアミノ酸配列中にPheを全く含まず、また分子量が
8,000ダルトンと大きく浸透圧上昇の問題もほとん
どないためPKU患者用蛋白源として有効である。しか
しながら、GMPを単離するための操作が極めて繁雑で
あり、工業的生産のためには不都合であった。しかも、
最近の栄養学的知見によれば、蛋白質よりもオリゴペプ
チドの方が消化吸収に優れていることが明らかになって
いる。
記従来技術に鑑みて、常に安定した状態で、一定の品質
のPhe含量の少ないペプチド混合物を得るために、鋭
意研究を行なった結果、蛋白質の蛋白分解酵素による加
水分解工程において、分解液中に遊離したPheの量
を、経時的、かつ短時間で測定し、原料蛋白質に含まれ
ているPheの総量との割合を算出し、その値が予め設
定した特定の範囲内に達したときに直ちに分解反応を停
止し、遊離したPheを除去することにより、簡便に、
Phe含量の少ないペプチド混合物が得られることを見
い出し、本発明を完成した。
に摂取することが可能である、品質が良好なフェニルア
ラニン含量の少ないペプチド混合物を簡便に製造し得る
新規な方法を提供することにある。
このカラムに分解液を通液する。溶出液としては水又は
芳香族アミノ酸の吸着性を高めるため2〜15%のエタ
ノール水溶液を使用することができる。芳香族アミノ酸
の除去操作は、分解液にゲル濾過剤又は活性炭を投入
し、所定時間静置し、芳香族アミノ酸を吸着させるバッ
チ法式により実施することもできる。
製)を装着したバイオテックアナライザー(旭化成工業
社製)により遊離アミノ酸量を測定し、この値と予め予
備実験により求めた遊離Phe率との相関値から分解液
中の遊離Phe量を測定した。
製造方法、即ち、反応時間を指標にして酵素分解を停
止する方法、分解率を指標にして酵素分解を停止する
方法、及び本発明の方法[酵素膜センサー(バイオテ
ックアナライザー。旭化成工業社製)]とにより、ペプ
チド混合物を製造し、得られたペプチド混合物中の遊離
Phe量、及びこのペプチド混合物から遊離Pheを除
去して得られるPhe含量の少ないペプチド混合物のP
he含量に及ぼす影響を比較検討した。
それぞれ前記の方法により測定し、5回の結果の平均値
と標準偏差を算出した。
かなように、各方法で製造した分解液の遊離Phe量の
標準偏差は、の本発明の方法が最も小さく、5回反復
して製造した場合でも品質が安定しており、次いでの
方法の変動が少なく、の方法は最も変動が大きく品質
が不安定であることが認められた。また、これらの3種
類の方法により製造した試料中の全Pheの値及び標準
偏差も、の本発明の方法が最も低値を示し、品質が安
定していることが認められた。尚、酵素の種類、原料蛋
白質の種類を変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得
られた。
Claims (2)
- 【請求項1】 フェニルアラニン含量の少ない一定品質
のペプチド混合物の製造法であって、1種若しくは2種
以上の蛋白質からなる原料蛋白質の水溶液又は予め軽度
に加水分解した原料蛋白質の水溶液に、1種又は2種以
上の蛋白分解酵素を添加し、原料蛋白質又は予め軽度に
加水分解した原料蛋白質の加水分解を開始し、加水分解
により分解液中に遊離したフェニルアラニンの量を経時
的に、かつ短時間で測定し、原料蛋白質又は予め軽度に
加水分解した原料蛋白質に含まれるフェニルアラニンの
総量に対する遊離したフェニルアラニンの量の割合を算
出し、その算出した値が予め設定された特定の範囲内に
達したときに直ちに加水分解を停止し、分解液中の遊離
したフェニルアラニンを除去することを特徴とするフェ
ニルアラニン含量の少ないペプチド混合物の製造法。 - 【請求項2】 遊離したフェニルアラニンの量の測定
が、酵素膜センサーを用いて行われる請求項1に記載の
フェニルアラニン含量の少ないペプチド混合物の製造
法。
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
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JP2008278822A (ja) * | 2007-05-11 | 2008-11-20 | Olympus Corp | 生体組織分解方法 |
CN110229858A (zh) * | 2019-06-04 | 2019-09-13 | 兰州天禾生物催化技术有限公司 | 用于苯丙酮尿症药用食物的生物多肽的制备方法及其用途 |
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1994
- 1994-11-15 JP JP30563594A patent/JP3682994B2/ja not_active Expired - Lifetime
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