JP3639820B2 - 一定品質のペプチド混合物の製造方法 - Google Patents

一定品質のペプチド混合物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛋白質を加水分解して得られるペプチド混合物を、遊離アミノ酸の生成量に関わりなく、常に安定した状態で、一定の品質で製造する方法に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、1種若しくは2種以上の蛋白質からなる原料蛋白質の水溶液、又は予め軽度に加水分解した原料蛋白質の水溶液(以下これらの水溶液をまとめて原料水溶液と記載することがある)に、蛋白質分解酵素を添加し、これらの原料蛋白質の加水分解を開始し、加水分解により刻々変化する分解液の味を経時的に測定し、その味測定値が予め設定された特定の範囲内に達したとき直ちに加水分解を停止することを特徴とするペプチド混合物の新規な製造方法、に関するものである。
本明細書において、百分率は、特に断りのない限り、重量による表示である。
【0002】
【従来の技術】
一般に、動物性蛋白質(例えば、獣乳、卵、肉類、魚類等)又は植物性蛋白質(例えば、大豆、小麦等)を蛋白質分解酵素で加水分解して得られるペプチド混合物には、例えば、増粘性、起泡性、抗酸化性、易消化吸収性、ミネラル可溶化性、低抗原性等の性質や、上皮細胞成長因子活性、細胞増殖因子活性、カルシウム吸収促進機能、オピオイド様活性等の生理活性機能が知られており(食品と開発、第26巻、第11号、第28〜36ページ、1991年)、該ペプチド混合物は、各種の食品及び医薬品、例えば、畜肉、水産練り製品、パン、菓子、ミネラル強化食品、乳幼児用食品、スポーツ飲料、一般栄養食品、経腸栄養剤、蛋白アレルギー対応食品、特殊栄養食品、医薬品等の製造に不可欠な原料の一つとなっている。
【0003】
従来、これらの食品又は医薬品の製造に使用されるペプチド混合物の製造方法は、その用途に応じてそれぞれ異なるが、それらの方法としては、以下の方法;
(a)遊離のアミノ酸の生成をできるだけ制限するために、原料蛋白質をエンドペプチダーゼのみで分解して目的のペプチド混合物を製造する方法、
(b)原料蛋白質をエンドペプチダーゼとエキソペプチダーゼの組み合わせで分解し、所定量の遊離アミノ酸を含有させたペプチド混合物を製造する方法、及び、
(c)これらのペプチド混合物からウルトラフィルトレーション(UF)、リバースオスモシス(RO)、ゲル濾過、イオン交換樹脂法等の分離操作により、更に目的とするペプチド混合物を精製、分取する方法、
等に大別することができる。
【0004】
それらの方法の従来技術の幾つかを例示すれば、次のとおりである。
(1)蛋白質をエンド型プロテアーゼ及びエキソ型プロテアーゼ共存水系下に、0.5〜10時間酵素分解し、苦味の極めて少ない平均鎖長3〜10のオリゴペプチドを得ることを特徴とするオリゴペプチド混合物の製造法(特開昭62−143697号公報)。
(2)任意の起源のタンパク質原料を水に5〜20%(w/v)となるように分散させ、酸によってpHを1〜4に調整し、2種以上の酸性プロテアーゼを同時に又は逐次的に添加して25〜60℃の温度で8〜72時間遊離のアミノ酸の生成をおさえつつ酵素分解反応を行い低分子ペプチド組成物を製造する方法(特公昭57−45560号公報)。
(3)カゼイン溶液をカラムに詰めた固定化酵素で部分分解する方法において、カゼイン溶液の通液速度を制御してカゼインの部分分解物を製造する方法(特公平3−31421号公報)。
(4)溶解水等に蛋白質又は蛋白質を含有する物質と溶解促進剤を混合溶解した後、単数もしくは複数の蛋白質分解酵素を添加し消化反応せしめて蛋白分解物を製造するに際し、少なくとも前記蛋白分解物を添加した後の溶液の粘度を経時的に計測し、該粘度が大きく上昇して下降するその下降前に消化反応を停止することを特徴とする不溶解物の生成を防止した蛋白質分解物の製造方法(特公平3−58252号公報)。
【0005】
(5)獣乳κ−カゼイン由来のグリコポリペプチドのプロテアーゼ加水分解物であって、フィッシャー値が30から60の範囲であるペプチド混合物を製造する方法において、分解率が5〜25%となった時点で加熱処理して酵素を失活させる方法(特開平2−300137号公報)。
(6)乳蛋白質を固定化プロテアーゼで分解して蛋白分解物を製造する方法において、ペプチドセンサーでペプチド濃度を測定する方法及びペプチドの平均鎖長を測定する方法(食品産業バイオリアクターシステム技術研究組合編、「実践バイオリアクター」、第166〜184ページ、食品産業バイオリアクターシステム技術研究組合発行、1990年)。
(7)小麦グルテンを固定化プロテアーゼで分解してグルテン分解物を製造する方法において、グルテン分解物の疎水性を逆相高速液体クロマトグラフィー(以下高速液体クロマトグラフィーをHPLCと記載する)で経時的に計測して泡末安定性に優れたグルテン分解物を製造すること(食品産業バイオリアクターシステム技術研究組合編、「実践バイオリアクター」、第106〜126ページ、食品産業バイオリアクターシステム技術研究組合発行、1990年)。
【0006】
上記従来技術に示されるように、従来、蛋白質分解酵素で原料の蛋白質を加水分解してペプチド混合物を製造する場合、分解反応の終点を、反応時間、蛋白質溶液の通液速度等を基礎的な指標とし、更に分解物の粘度、分解率、疎水度等を測定する方法により決定していた。しかしながら、通常のペプチド混合物の製造の場合、酵素量に対して基質となる蛋白質量が十分に大きく、酵素反応の初速度は最大速度に近いため、分解反応は、短時間のうちに分解が急速に進み、以後、更に徐々に分解が進行するという双曲線型の形式をとるため、加水分解反応により刻々変化する分解物の理化学的性状の変化が分解反応の終点付近では小さくなり、上記の測定方法では、分解反応の終点の時機を決めるのが困難になる場合があるという欠点があった。また、上記の測定方法では、特に遊離のアミノ酸量を正確に把握することは極めて困難であった。これらのことから、従来のペプチド混合物の製造方法においては、製造バッチごとにペプチド混合物に含まれる遊離アミノ酸量及び組成が異なり、その結果、ペプチド混合物の品質が一定しないという欠点があった。
【0007】
このような状況をふまえ、本発明者らは、前記従来技術の問題を解決するために、加水分解反応により分解液中に遊離した特定のアミノ酸の量を、経時的に、かつ短時間で測定し、その量と原料蛋白質に含まれている該特定のアミノ酸の量との割合を算出し、その値が、特定の範囲内に達したときに直ちに加水分解を停止するという方法を開発し、既に特許出願を行なっている(特開平8−112064号公報。以下、この方法を従来技術1と記載する)。
【0008】
前記従来技術1の方法は、一定の遊離アミノ酸量及び組成を含有するペプチド混合物を製造することができる点では優れているが、加水分解反応により分解液中にアミノ酸が遊離しない場合、あるいは遊離アミノ酸の生成量が非常に少ない場合には、好適に適用し得ないという問題を有していた。
また、前記従来技術として例示した方法及び従来技術1の方法は、ペプチド混合物を食品として利用する場合に最も重要な要素であるペプチド混合物の風味については、何ら直接的な制御をしておらず、分解率や遊離アミノ酸等を指標として、結果的に風味を一定の範囲に収めようとするものであり、これらの方法では、ペプチド混合物の製造方法における前記指標を種々揃えたにもかかわらず、例えば、原料の季節差、産地差、製造ロット差及びペプチド混合物の製造方法における製造スケールや製造設備の相違等により、異なった風味のペプチド混合物が得られる場合が多々あるという問題があった。
従って、当該技術分野においては、ペプチド混合物の製造方法として、分解液中の遊離アミノ酸の生成量の大小に関係なく、一定の品質の製品を得ることができ、且つペプチド混合物の味を直接的に制御することができる新しいペプチド混合物の製造方法を開発することが待望されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、前記従来技術の問題を確実に解決し得る新しい方法を開発することを目的として鋭意研究を行なった結果、1種若しくは2種以上の蛋白質からなる原料蛋白質の水溶液又は予め軽度に加水分解した原料蛋白質の水溶液に、1種若しくは2種以上の蛋白質分解酵素を添加し、原料蛋白質又は予め軽度に加水分解した原料蛋白質の加水分解を開始し、加水分解により刻々変化する分解液の味を経時的に、かつ短時間で測定し、その味測定値が予め設定された特定の範囲内に達したとき直ちに加水分解を停止することにより、所望のペプチド混合物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、ペプチド混合物の製造方法として、分解液中の遊離アミノ酸の生成量の大小に関係なく、好適に適用することができ、且つペプチド混合物の味が一定である良好な品質のペプチド混合物を簡便な工程で製造し得る、新規なペプチド混合物の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明は、(1)遊離アミノ酸の生成量に関わりなく、常に安定した状態で、一定品質のペプチド混合物を製造する方法であって、1種若しくは2種以上の蛋白質からなる原料蛋白質の水溶液又は予め軽度に加水分解した原料蛋白質の水溶液に、1種若しくは2種以上の蛋白質分解酵素を添加し、原料蛋白質又は予め軽度に加水分解した原料蛋白質の加水分解を開始し、加水分解反応により刻々変化する分解液の味をセンサー応答により経時的に測定し、その味測定値が予め設定された特定の範囲内に達したとき直ちに加水分解を停止するにより、予め設定した品質を有する所望の品質のペプチド混合物を安定して製造することことを特徴とするペプチド混合物の製造方法、である。
また、本発明の好ましい実施態様は、(2)分解液の味を味測定装置により経時的に、かつ短時間で測定する、前記(1)のペプチド混合物の製造方法、(3)味測定値が、その測定データの主成分分析による二次元座標表示の所定領域に達したとき、加水分解を停止する、前記(1)のペプチド混合物の製造方法、(4)味測定値とペプチド混合物の品質との関係を予備的な試験で確認しておき、味測定値が、所望の品質の値の範囲に達したとき加水分解を停止する、前記(1)のペプチド混合物の製造方法、(5)加水分解液中の酵素を失活又は除去して加水分解を停止する、前記(1)〜(4)のいずれかに記載のペプチド混合物の製造方法、である。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明の方法において、出発原料として使用する原料蛋白質は、動物性蛋白質(例えば、獣乳由来、卵由来、魚肉由来、畜肉由来等)、植物性蛋白質(例えば、穀類由来、海草由来、種子由来等)又はこれらの任意の混合物であり、その種類は特に限定されるものではない。また、蛋白質を予め軽度に加水分解した分解物であって、更に蛋白質分解酵素により分解し得る大きい分子量のペプチド混合物を出発原料として使用することもできる。
原料水溶液は、上記原料蛋白質又は予め軽度に加水分解した原料蛋白質を、蛋白質換算で10%前後の濃度で水に溶解し、溶解液のpHをアルカリ溶液又は酸溶液を用いて、使用する蛋白質分解酵素の至適pH付近に調整して、調製される。
【0012】
次いで、前記原料水溶液に、動物由来の蛋白質分解酵素(例えば、パンクレアチン、ペプシン、トリプシン等)、植物由来の蛋白質分解酵素(例えば、パパイン、ブロメライン等)、微生物(例えば、かび、放線菌、細菌、乳酸菌等)由来の蛋白質分解酵素又はこれらの任意の組合わせの蛋白質分解酵素を使用目的に応じて適宜選択し、所定量を添加する。この場合、例えば、エンドペプチダーゼを原料蛋白質1g当たり2000〜5000PUN単位、エキソペプチダーゼを原料蛋白質1g当たり20〜100活性単位で添加することが、望ましい態様として例示される(PUN単位及び活性単位については、後記する)。
所定量の酵素を添加した原料水溶液は、通常は酵素の至適温度に所定時間保持して蛋白質の加水分解を行うが、分解反応中に微生物の増殖が懸念される場合は、必要に応じて酵素の至適温度より高温域又は低温域の温度に所定時間保持して蛋白質の加水分解を行うこともできる。
【0013】
原料蛋白質の加水分解を開始し、加水分解反応により刻々変化する分解液の味を経時的に、かつ短時間で測定する。分解液の味は、適宜の味測定手段により測定することができる。この場合、味測定手段としては、好適には、例えば、液体&味識別センサーシステム(アルファ・モス社製。商品名「αASTREE」)、味認識装置(アンリツ社製)などが用いられる。これにより、分解液の味を経時的に、かつ短時間に測定し、その味測定値が予め設定された特定の範囲に達したとき直ちに反応液中の酵素を失活又は除去して加水分解を停止する。前記予め設定された特定の範囲とは、味測定値とペプチド混合物の品質との関係が、例えば、目的とするペプチド混合物、使用する原料、使用する酵素等により異なるため、予め予備試験を行い、所定の条件のもとに味を測定し、味測定値とペプチド混合物の品質との関係を確認して、前記特定の範囲を決定し、設定することを意味する。味測定値は、例えば、前記味識別センサーシステム「αASTREE」の場合、それぞれ特定の味を認識する7本の味識別センサーにより2〜3秒でセンサー応答があり、そうして得られた測定値を、付属のデータ処理装置を用いて短時間で多変量解析手法の一つである主成分分析を行ない、第一主成分と第二主成分とから成る二次元座標にプロットすることによって、視覚的に容易に捉えることができる。
【0014】
本発明において、反応液中の酵素を失活又は除去して加水分解を停止する方法については、特に限定されるものではなく、適宜の方法が使用される。この場合、該加水分解を停止するまでに、時間的ずれを伴う場合もあり(例えば、ある量の分解液を加熱し、酵素を失活させるまで、30〜60分を要する場合もある)、その際に、加水分解が進行するおそれがあるので、予め予備試験を行い、所定の条件のもとに、分解の進行の程度を測定し、酵素の失活又は除去に要する時間を考慮して、前記特定の範囲を決定し、設定することが望ましい。
分解を終了したペプチド混合物を含有する分解液を、公知の方法により濃縮し、濃縮液とすることもでき、また、この濃縮液を公知の方法により乾燥し、粉末とすることもできる。更に、ペプチド混合物を含有する液を、限外濾過、ゲル濾過等の公知の方法により精製し、公知の方法により濃縮し、濃縮液とすることもでき、また、この濃縮液を公知の方法により乾燥し、粉末とすることもできる。また、加水分解を行う反応容器の形状(例えば、タンク式、チューブ式、カラム式等)、分解処理方式(例えば、回分式、連続式、逐次式等)、酵素の失活、分離又は除去方法、ペプチドの精製方法等は、公知の方法及び装置を使用することが可能であり、特に限定されるものではない。
以上のようにして、本発明では、味が一定であり、かつ品質が変動しないペプチド混合物を製造することができる。
【0015】
次に、前記PUN単位及び活性単位について説明する。
エンドペプチダーゼのPUN単位については、カゼイン(ハマーシュタイン。メルク社製)にエンドペプチダーゼを作用させ、30℃で1分間に1μgのチロシンに相当するアリルアミノ酸のフォリン試薬での呈色反応を示す酵素活性が1PUN単位である。
また、エキソペプチダーゼの活性単位については、次の方法により求めた。エキソペプチダーゼを含有する粉末を0.2g/100mlの割合で0.1モルのリン酸緩衝液(pH7.0)に分散又は溶解し酵素溶液とする。一方、ロイシルパラニトロアニリド(国産化学社製。以下、Leu−pNAと記載する)を0.1モルのリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解して2mMの基質溶液を調製する。酵素溶液1mlに基質溶液1mlを加え、37℃で5分間反応させた後、30%の酢酸溶液2mlを加えて反応を停止させる。反応液をメンブランフィルターで濾過し、波長410nmで濾液の吸光度を測定する。エキソペプチダーゼの活性単位は、1分間に1μmolのLeu−pNAを分解するのに必要な酵素量が1活性単位であり、次式により算出される。
活性単位(粉末1g当たり)=20×(A/B)
(ただし、前記の式において、A及びBは、それぞれ波長410nmにおける試料の吸光度及び0.25mMパラニトロアニリンの吸光度である)
【0016】
次に、試験例を示して本発明を具体的に説明するが、本試験例においては、次の測定方法等を採用した。
(1)分解率
分解率(%)は、原料蛋白質溶液の全窒素量当たりの分解溶液のホルモル態窒素量の百分率であり、次の方法により求めた。蛋白質分解溶液4mlと蒸留水30mlを混合し、0.2N水酸化ナトリウム溶液又は塩酸溶液でpHを6.8に調整する。この溶液を0.2N水酸化ナトリウム溶液でpHを8.0に調整したホルマリン溶液5mlを添加し、0.1N水酸化ナトリウム溶液でpHが7.9に達するまで滴定する。この時の滴定量をAml、0.1N水酸化ナトリウム溶液のファクターをF、原料蛋白質溶液の蛋白濃度をB(%)として、分解率を次式から算出した。
分解率(%)=22.3×A×F/B
【0017】
(2)アミノ酸組成の測定方法
トリプトファン、システイン及びメチオニン以外のアミノ酸については、試料を6N塩酸で110℃、24時間加水分解し、トリプトファンについては、水酸化バリウムで110℃、22時間アルカリ分解し、システイン及びメチオニンについては、過ぎ酸で処理後、6N塩酸で110℃、18時間加水分解し、それぞれアミノ酸分析機(日立製作所製。835型)により分析し、アミノ酸の質量を測定した。
【0018】
(3)遊離アミノ酸組成の測定方法
スルホサリチル酸で試料を除蛋白処理し、アミノ酸分析機(日立製作所製。835型)により分析し、遊離アミノ酸の質量を測定した。そして、前記アミノ酸組成の分析で得られた各アミノ酸の質量に対する遊離アミノ酸質量の百分率を算出した。
【0019】
(4)味測定装置による測定方法
分解液の味を味識別センサーシステム「αASTREE」(アルファ・モス社製)を用いて測定した。測定データはシステム付属の解析ソフトウエアにより統計解析を行ない、2次元座標上の点として視覚的に表示した。
【0020】
(5)遊離リジン含量の測定方法
リジン測定用酵素電極、20mML−リジン標準液、0.1M燐酸L−リジン測定用緩衝液及び洗浄用界面活性剤(いずれも旭化成工業社製)を用い、バイオテックアナライザー(旭化成工業社製)により遊離リジン濃度を測定し、原料蛋白質のリジン含有量に対する分解溶液のリジン含有量から全リジンに対する遊離リジンの量の割合を算出した。
【0021】
(6)各試料の味の官能試験方法
各試料を、20歳から40歳までの男女各20人からなるパネルにより、呈味の有無及びその強さについて、次の評価方法により官能的に試験した。
各試料を、以下の評価点;
0点:原料由来の味
1点:原料由来の味に加えて弱い苦味が感じられる
2点:原料由来の味が消え強い苦味が感じられる
3点:苦味が減り遊離アミノ酸に由来する味が感じられる
4点:苦味は感じられず遊離アミノ酸由来の味が強く感じられる
の4段階で判定し、各試料の評価点の平均値を算出し、味の官能値とした。
【0022】
試験例1
この試験例では、従来から採用されているペプチド混合物の製造方法、即ち、1)反応時間を指標にして酵素分解を停止する方法、2)分解率を指標にして酵素分解を停止する方法、及び、3)従来技術1の遊離する特定アミノ酸(L−リジン)を指標にして酵素分解を停止する方法と、本発明の方法とにより、特定の理化学的性質を有するペプチド混合物を目標生成物として製造し、これらの方法が、得られたペプチド混合物の品質(分解率、アミノ酸遊離率及び味)に及ぼす影響を比較検討した。
【0023】
(1)試料の調製
予め品質を設定した乳清蛋白質分解物の試料を調製するために、次に示す4種類の方法により、乳清蛋白質溶液の加水分解をそれぞれ5回反復して実施し、合計20種類の試料を調製した。品質としては、分解率が22±1%、遊離アミノ酸量が乾燥物100g当り11.5±1.0g、アミノ酸由来のウマ味とごく僅かな苦味を有すること、を設定した。
試料1:本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質分解物
試料2:前記1)の方法により、酵素分解を4時間で停止したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質分解物
試料3:前記2)の方法により、酵素分解を分解率が22%に達した時に停止したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質分解物試料4:前記3)の従来技術1の方法により、リジンの遊離率が15%に達した時点で酵素分解を停止したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質分解物
【0024】
(2)試験方法
各試料の分解率、アミノ酸遊離率及び味を前記の方法により測定した。分解率及びアミノ酸遊離率については、5回の測定結果の平均値と標準偏差を算出した。
【0025】
(3)試験結果
この試験結果を表1に示す。表1から明らかなように、各方法で製造したペプチド混合物の分解率及び遊離アミノ酸の合計量の平均値には多少の差はあったが、分解率の標準偏差は、2)の方法のものが最も小さく、安定しており、次いで、本発明の方法のものが変動が少なく、1)の方法のものは最も変動が大きく、分解率が不安定であることが認められた。一方、遊離アミノ酸量の合計の標準偏差は、3)の方法のものが最も小さく、安定しており、次いで、本発明の方法のものが変動が少なく、1)の方法のものは最も変動が大きく、遊離アミノ酸量の合計が不安定であることが認められた。また、味の官能試験では、本発明の方法及び3)の方法では毎回ほとんど変わらない味が得られ、1)の方法では苦味がやや強いことが2回、2)の方法ではアミノ酸由来のウマ味がやや強いことが1回あり、味の品質面で不安定であることが認められた。
これらのことから、本試験例のように、所定量の分解率及び遊離アミノ酸を含有し、且つ遊離アミノ酸量が乾燥物100g当り11gと中程度のペプチド混合物を常に安定した状態で、一定の品質で製造する方法としては、本発明の方法及び3)の方法が優れていることが判った。
【0026】
【表1】
Figure 0003639820
【0027】
試験例2
この試験例では、試験例1とは異なる原料蛋白質及び分解条件で、加水分解を実施した場合の各方法を比較検討した。
(1)試料の調製及び試験方法
予め品質を設定したカゼイン分解物の試料を調製するために、試験例1と同様に、4種類の方法により、カゼイン溶液の加水分解をそれぞれ5回反復して実施し、合計20種類の試料を調製した。品質としては、分解率が25±1%、遊離アミノ酸量が乾燥物100g当り4.5±0.3g、さわやかな苦味とさっぱりした後味を有すること、を設定した。
試料5:本発明の実施例2と同一の方法により製造したカゼイン分解物
試料6:前記1)の方法により、酵素分解を8時間で停止したことを除き、本発明の実施例2と同一の方法により製造したカゼイン分解物
試料7:前記2)の方法により、酵素分解を分解率が25%に達した時に停止したことを除き、本発明の実施例2と同一の方法により製造したカゼイン分解物
試料8:前記3)の従来技術1の方法により、リジンの遊離率が6%に達した時点で酵素分解を停止したことを除き、本発明の実施例2と同一の方法により製造したカゼイン分解物
【0028】
(2)試験結果
この試験結果を表2に示す。表2から明らかなように、各方法で製造したペプチド混合物の分解率及び遊離アミノ酸の合計量の平均値には多少の差はあったが、分解率の標準偏差は、2)の方法のものが最も小さく、安定しており、次いで、本発明の方法のものが変動が少なく、3)の方法のものは最も変動が大きく、分解率が不安定であることが認められた。一方、遊離アミノ酸量の合計の標準偏差は、2)の方法のものと本発明の方法のものとがほぼ同程度で最も小さく、安定しており、1)及び3)の方法のものはほぼ同程度で最も変動が大きく、遊離アミノ酸量の合計が不安定であることが認められた。また、味の官能試験では、本発明の方法及び2)の方法では毎回ほとんど変わらない味が得られ、1)の方法ではカゼイン由来の味がすることが1回あった。また、3)の方法では毎回ほとんど変わらない味が得られたものの、苦味があり、過熱臭味っぽい後味を有する傾向があった。また、3)の方法では、分解を終了させるまでの時間が他の方法に比べて平均6時間長かった。
これらのことから、本試験例のように、所定量の分解率及び遊離アミノ酸を含有し、且つ遊離アミノ酸量が乾燥物100g当り4.5gと低いペプチド混合物を常に安定した状態で、一定の品質で製造する方法としては、本発明の方法及び2)の方法が優れていることが判った。
【0029】
【表2】
Figure 0003639820
【0030】
試験例1及び試験例2の結果より、ペプチド混合物を、遊離アミノ酸の生成量に関わりなく、常に安定した状態で、一定の品質で製造する方法としては、本発明の方法が優れていることが判った。
尚、蛋白質原料を畜肉、魚肉、卵等に変更して、同様に試験したが、いずれの場合にも、分解率、遊離アミノ酸量及び味について、本発明の方法は、遊離アミノ酸量の大小に関わらず、適用することができ、得られる品質も安定していることが判明した。
【0031】
参考例1
コーンスティープリカー20部(重量。以下同じ)に、水道水100部及び石灰5部を添加し、コーンスティープリカーに含まれている酸を中和し、濾過助剤としてセライト50部を添加して濾過し、濾液Aを得た。これとは別に、フィッシュリバー20部、モラセス35部及び水道水200部の混合液に、セライト50部を添加して濾過し、濾液Bを得た。
前記濾液A及び濾液B当量混合液500部に、グルコース5部、リン酸一カリウム2.5部、リン酸二カリウム2.5部及び酢酸ナトリウム5部を添加し、30%水酸化ナトリウムでpHを6.4に調整し、水を添加して1000部に調整した。
滅菌した前記組成の培地10lに、ラクトバシラス・ヘルベチカスを培養し、得られた培養液を遠心分離して乳酸菌菌体を回収し、滅菌水に菌体を懸濁し、遠心分離して乳酸菌菌体を回収する操作を2回反復して菌体を洗浄し、次いで、20%の濃度で菌体を滅菌水に懸濁し、超音波破砕機(ブランソン社製。SONIFIER model 250)により菌体を破砕し、凍結乾燥し、乳酸菌由来のエキソペプチダーゼ粉末約25gを得た。
【0032】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
乳清蛋白質含量75%の市販乳清蛋白質粉末(商品名カルプロ。カリフォルニア・プロテイン社製)1kgを、脱イオン水9kgに溶解し、70℃に5分間保持して殺菌し、pHを9.0に調整した。この乳清蛋白質溶液に市販のプロテアーゼNアマノ(天野エンザイム社製)150万PUN単位(乳清蛋白質1g当たり2000PUN単位)及び前記参考例1と同一の方法で調製したラクトバシラス・ヘルベチカス菌体破砕物4万活性単位(乳清蛋白質1g当たり60活性単位)を添加し、50℃に保持して加水分解を開始した。続いて、αASTREE(アルファ・モス社製)を用いて経時的に、かつ短時間で分解液の味を測定し、その味測定値が主成分分析による二次元座標表示の所定領域(図1のW−3)に達した時点で、上記加水分解液を80℃で6分間加熱して酵素を失活させ、酵素分解を停止させ、次いで、常法により凍結乾燥し、乳清蛋白質からのペプチド混合物約950gを得た。
【0033】
図1にαASTREE(アルファ・モス社製)を用いた測定データの主成分分析により第一主成分を横軸、第二主成分を縦軸に配した二次元座標表示の結果を示した。予め、所望する品質が図1のW−3の領域で得られることを予備的な試験で確認しておいた。加水分解液の表示は経時的にW−0、W−1、W−2、W−3と変動し、W−3の領域に達した時点で酵素反応の停止を開始した。尚、この主成分分析の寄与率は、第一主成分97.64%、第二主成分2.36%であった。
前記の製造法を5回反復して得られたペプチド混合物を、前記試験方法により試験した結果、分解率、遊離アミノ酸の合計量及び味にはほとんど差異が認められなかった。
【0034】
実施例2
蛋白質含量90%の市販カゼイン(商品名アラシド。ニュージーランド・デーリー・ボード製)1kgを、脱イオン水9kgに溶解し、70℃に5分間保持して殺菌し、pHを9.0に調整した。 このカゼイン溶液に市販のPTN6.0S(ノボザイム・ジャパン社製)45万PUN単位(蛋白質1g当たり500PUN単位)、ニュートラーゼ(ノボザイム・ジャパン社製)180万PUN単位(蛋白質1g当たり2000PUN単位)及びビオプラーゼsp−20(長瀬生化学工業社製)90万PUN単位(蛋白質1g当たり1000PUN単位)を添加し、50℃に保持して加水分解を開始した。続いて、αASTREE(アルファ・モス社製)を用いて経時的に、かつ短時間で分解液の味を測定し、その味測定値が主成分分析による二次元座標表示の所定領域(図2のC−2)に達した時点で、上記加水分解液を80℃で6分間加熱して酵素を失活させ、酵素分解を停止させ、清澄濾過し、次いで、常法により凍結乾燥し、カゼインからのペプチド混合物約800gを得た。
【0035】
図2にαASTREE(アルファ・モス社製)を用いた測定データの主成分分析による第一主成分を横軸、第二主成分を縦軸に配した二次元座標表示の結果を示した。予め所望する品質が図2のC−2の領域で得られることを予備的な試験で確認しておいた。加水分解液の表示は経時的にC−0、C−1、C−2と変動し、C−2の領域に達した時点で酵素反応の停止を開始した。尚、この主成分分析の寄与率は、第一主成分70.32%、第二主成分21.63%であった。
前記の製造法を5回反復して得られたペプチド混合物を、前記試験方法により試験した結果、分解率、遊離アミノ酸の合計量及び味にはほとんど差異が認められなかった。
【0036】
実施例3
蛋白質含量90%の市販大豆蛋白質粉末(商品名フジプロ。不二製油社製)1kgを、脱イオン水9kgに溶解し、70℃に10分間保持して殺菌し、pHを7.0に調整した。この大豆蛋白質溶液に市販のプロテアーゼN(天野エンザイム社製)180万PUN単位(大豆蛋白質1g当たり2000PUN単位)及び前記参考例1と同一の方法で調製したラクトバシラス・ヘルベチカス菌体破砕物5.4万活性単位(乳清蛋白質1g当たり60活性単位)を添加し、50℃に保持して加水分解を開始した。続いて、αASTREE(アルファ・モス社製)を用いて経時的に、かつ短時間で分解液の味を測定し、主成分分析による二次元座標表示の所定領域に達した時点で、上記加水分解液を85℃で10分間加熱して酵素を失活し、酵素分解を停止させ、次いで、常法により凍結乾燥し、大豆蛋白質からのペプチド混合物約950gを得た。
前記の製造法を5回反復して得られたペプチド混合物を、前記試験方法により試験した結果、分解率、遊離アミノ酸の合計量及び味にはほとんど差異が認められなかった。
【0037】
実施例4
蛋白質含量80%の市販小麦蛋白質粉末(商品名エマソフト。理研ビタミン社製)1kgを、脱イオン水9kgに溶解し、pHを7.0に調整し、70℃で5分間保持して殺菌した。この小麦蛋白質溶液に市販のパンクレアチン(天野エンザイム社製)を160万PUN単位(小麦蛋白質1g当たり2000PUN単位)及び前記参考例1と同一の方法で調製したラクトバチルス・ヘルベチカス菌体破砕物4万活性単位(小麦蛋白質1g当たり50活性単位)を添加し、50℃に保持して加水分解を開始した。続いて、αASTREE(アルファ・モス社製)を用いて経時的に、かつ短時間で分解液の味を測定し、主成分分析による二次元座標表示の所定領域に達した時点で、上記加水分解液を80℃で10分間加熱して酵素を失活させ、酵素分解を停止させ、次いで、凍結乾燥し、小麦蛋白質からのペプチド混合物約950gを得た。
前記の製造法を5回反復して得られたペプチド混合物を、前記試験方法により試験した結果、分解率、遊離アミノ酸の合計量及び味にはほとんど差異が認められなかった。
【0038】
実施例5
蛋白質含量80%の市販小麦蛋白質粉末(商品名エマソフト。理研ビタミン社製)500g及び蛋白質含量90%の市販大豆蛋白質粉末(商品名スプロ。プロテイン・テクノロジー・インターナショナル社製)500gを脱イオン水9kgに溶解し、pHを7.0に調整し、70℃で5分間保持して殺菌した。この混合蛋白質溶液に市販のパンクレアチン(天野エンザイム社製)85万PUN単位(蛋白質1g当たり1000PUN単位)、プロテアーゼNアマノ(天野エンザイム社製)170万PUN単位(蛋白質1g当たり2000PUN単位)及び前記参考例1と同一の方法で調製したラクトバチルス・ヘルベチカス菌体破砕物4万活性単位(蛋白質1g当たり47活性単位)を添加し、50℃に保持して加水分解を開始した。続いて、αASTREE(アルファ・モス社製)を用いて経時的に、かつ短時間で分解液の味を測定し、主成分分析による二次元座標表示の所定領域に達した時点で、上記加水分解液を80℃で10分間加熱し、酵素を失活させ、酵素分解を停止させ、次いで、凍結乾燥し、ペプチド混合物約950gを得た。
前記の製造法を5回反復して得られたペプチド混合物を、前記試験方法により試験した結果、分解率、遊離アミノ酸の合計量及び味にはほとんど差異が認められなかった。
【0039】
実施例6
乳清蛋白質含量75%の市販乳清蛋白質粉末(商品名ラクプロダン。アーラ・フーズ・イングレディエンツ社製)500g及び蛋白質含量90%の市販大豆蛋白粉末(商品名プロファム。アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社製)500gを脱イオン水9kgに溶解し、70℃に5分間保持して殺菌し、pHを9.0に調整した。この混合蛋白質溶液に市販のプロテアーゼN(天野エンザイム社製)371.25万PUN単位(蛋白質1g当たり4500PUN単位)及び前記参考例1と同一の方法で調製したラクトバチルス・ヘルベチカス菌体破砕物4.125万活性単位(蛋白質1g当たり50活性単位)を添加し、50℃に保持して加水分解を開始した。続いて、αASTREE(アルファ・モス社製)を用いて経時的に、かつ短時間で分解液の味を測定し、主成分分析による二次元座標表示の所定領域に達した時点で、上記加水分解溶液を80℃で6分間加熱し、酵素を失活し、酵素分解を停止させ、次いで、凍結乾燥し、ペプチド混合物約950gを得た。
前記の製造法を5回反復して得られたペプチド混合物を、前記試験方法により試験した結果、分解率、遊離アミノ酸の合計量及び味にはほとんど差異が認められなかった。
【0040】
【発明の効果】
以上詳記したとおり、本発明は、ペプチド混合物の新規な製造法に係り、本発明によって、次のような効果が奏される。
(1)分解液の味の測定値を指標として一定品質のペプチド混合物を製造することを可能とする新しいペプチド混合物の製造方法を提供することができる。
(2)遊離アミノ酸の生成量に関わらず、分解率、遊離アミノ酸の合計量及び味がほぼ一定のペプチド混合物を製造することができる。
(3)予め設定した品質を有する所望の品質のペプチド混合物を安定して製造することができる。
(4)一定の品質のペプチド混合物を簡便な方法で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のαASTREEを用いた測定データの主成分分析により第一主成分を横軸、第二主成分を縦軸に配した二次元座標表示の結果を示す。
【図2】実施例2のαASTREEを用いた測定データの主成分分析により第一主成分を横軸、第二主成分を縦軸に配した二次元座標表示の結果を示す。

Claims (5)

  1. 遊離アミノ酸の生成量に関わりなく、常に安定した状態で、一定品質のペプチド混合物を製造する方法であって、1種若しくは2種以上の蛋白質からなる原料蛋白質の水溶液又は予め軽度に加水分解した原料蛋白質の水溶液に、1種若しくは2種以上の蛋白質分解酵素を添加し、原料蛋白質又は予め軽度に加水分解した原料蛋白質の加水分解を開始し、加水分解反応により刻々変化する分解液の味をセンサー応答により経時的に測定し、その味測定値が予め設定された特定の範囲内に達したとき直ちに加水分解を停止することにより、予め設定した品質を有する所望の品質のペプチド混合物を安定して製造することを特徴とするペプチド混合物の製造方法。
  2. 分解液の味を味測定装置により経時的に、かつ短時間で測定する、請求項1記載のペプチド混合物の製造方法。
  3. 味測定値が、その測定データの主成分分析による二次元座標表示の所定領域に達したとき、加水分解を停止する、請求項1記載のペプチド混合物の製造方法。
  4. 味測定値とペプチド混合物の品質との関係を予備的な試験で確認しておき、味測定値が、所望の品質の値の範囲に達したとき加水分解を停止する、請求項1記載のペプチド混合物の製造方法。
  5. 加水分解液中の酵素を失活又は除去して加水分解を停止する、請求項1から4のいずれかに記載のペプチド混合物の製造方法。
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