JP3377906B2 - プラズマ溶融炉における溶融スラグの流動性低下防止方法 - Google Patents

プラズマ溶融炉における溶融スラグの流動性低下防止方法

Info

Publication number
JP3377906B2
JP3377906B2 JP05285696A JP5285696A JP3377906B2 JP 3377906 B2 JP3377906 B2 JP 3377906B2 JP 05285696 A JP05285696 A JP 05285696A JP 5285696 A JP5285696 A JP 5285696A JP 3377906 B2 JP3377906 B2 JP 3377906B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
furnace
electrode
molten slag
ash
molten
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP05285696A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09243267A (ja
Inventor
正秀 西垣
良二 鮫島
考太郎 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takuma KK
Original Assignee
Takuma KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takuma KK filed Critical Takuma KK
Priority to JP05285696A priority Critical patent/JP3377906B2/ja
Publication of JPH09243267A publication Critical patent/JPH09243267A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3377906B2 publication Critical patent/JP3377906B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Gasification And Melting Of Waste (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Vertical, Hearth, Or Arc Furnaces (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】都市ごみや産業廃棄物は、焼
却処理によって無害化及び減容化した上、その焼却残渣
を埋立投棄することにより処理されているが、このよう
な焼却残渣や燃焼排ガスから集塵,除去された飛灰等に
は、重金属やダイオキシン等の有害物質が含まれている
ため、埋立投棄後に環境汚染を生じる虞れがある上、埋
立地の確保も困難になりつつあり、実務上様々な問題を
生じている。そこで、近時においては、焼却残渣や飛灰
等を溶融固化することにより、その無害化と一層の減容
化を図る方策が取られている。本発明は、このように焼
却残渣,飛灰等の被溶融灰をプラズマ溶融炉により溶融
処理する場合において出湯口に向かう溶融スラグの流動
性の低下を防止するための方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来のこの種のプラズマ溶融炉は、一般
に、図7及び図8に示す如く、円筒状をなしており、天
井壁7に主電極3及びスタート電極4を貫通支持させる
と共に底壁5に炉底電極5aを設けて、運転開始時にお
いては主電極3とスタート電極4との間で、また運転中
においては主電極3と炉底電極5aとの間で、夫々プラ
ズマ放電させることにより、炉内に供給された被溶融灰
8aを溶融処理させるように構成されている。ここに、
スタート電極4は、図7に示す如く、先端部を炉1内に
突出させない放電停止位置(実線位置)と先端部を主電
極3の先端部に近接させた状態で炉1内に垂下突出する
放電作用位置(鎖線位置)とに亘って昇降操作されるよ
うに構成されている。而して、主電極3と炉底電極5a
との間に導電性の溶融スラグ8が存在せず両電極3,5
a間でプラズマ放電させ得ない運転開始時においては、
スタート電極4を放電作用位置に下降させて、これと主
電極3との間でプラズマ放電させて、炉内に供給された
被溶融灰8aを溶融させる。かかるプラズマ放電により
主電極3と炉底電極5aとの間に導電性の溶融スラグ8
が生じて、両電極3,5a間でのプラズマ放電が可能と
なると、スタート電極4は放電停止位置に上昇し、爾後
は、主電極3と炉底電極5aとの間でプラズマ放電させ
て、これにより被溶融灰8aの溶融処理を行なう。な
お、主電極3と炉底電極5aとの間のプラズマ放電によ
り溶融処理を行なう運転中においては、スタート電極4
は放電停止位置に保持されていて、電極として機能する
ことはない。つまり、スタート電極4は、運転開始時に
おいてのみ、電極として使用されるものである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、プラズマ溶
融炉にあっては、一般に、炉が円筒状のものであり、そ
の中心線上に主電極3(及び炉底電極5a)が配置され
ていることから、主電極3と炉底電極5aとの間で発生
するプラズマ電流は炉の略中心線上を流れることにな
り、これによる熱エネルギは炉の中心部(以下「炉心
部」という)に供給されることになる。したがって、炉
心部が最高温度となり、熱エネルギは炉心部から炉の周
壁6に向かって伝達されていくことになる。一方、炉の
周壁6には、図7及び図8に示す如く、径方向に対向し
て、被溶融灰8aを炉内に供給する灰供給口9と溶融ス
ラグ8を炉外に溢流排出させる出湯口10とが設けられ
ている。すなわち、炉心部から外れた箇所であって、炉
心部を挟んで径方向に対向する箇所において、溶融スラ
グ8に比して低温の被溶融灰8aの供給と溶融スラグ8
の流出とが行なわれることになる。これらのことから、
溶融スラグ8の温度分布は一様ではなく、熱エネルギの
伝播も均一とならない。 【0004】さらに、焼却処理される都市ごみ等の被焼
却物の性状(成分構成等)は区々であり一様ではないこ
とから、当然に、その焼却残渣等である被溶融灰8aの
成分も一様ではなく、炉内に供給される被溶融灰8aの
性状(特に、融点)が供給状況により変化することにな
る。したがって、融点の高い被溶融灰8aが炉内に供給
されたときは、溶融スラグの粘性が増加して、その流動
性が悪くなる。 【0005】このように、溶融スラグ8の温度分布,挙
動や被溶融灰8aの融点が一様でないことから、従来の
プラズマ溶融炉にあっては、特に冷え易い出湯口10の
周辺領域において溶融スラグ8の流動性が悪くなり、極
端な場合には冷却固化して出湯口10を堰き止めてしま
う虞れがある。このため、溶融スラグ8が出湯口10か
ら連続的且つ円滑に行なわれない事態が発生する虞れが
あり、被溶融灰8aの溶融処理を効率よく良好に行い得
ないといった問題があった。 【0006】そこで、従来からも、炉内温度を高く維
持しておく、出湯口10から排出される排ガス中の不
完全燃焼成分(CO等)を酸素,空気の補給により燃焼
させて、出湯口10の周辺領域を加熱する、化石燃料
(ガス,石油等)の燃焼により出湯口10の周辺温度を
高温維持する、といった解決策が提案されている。 【0007】しかし、これらの解決策は、何れの
場合にも欠点があり、実用上問題がある。 【0008】すなわち、の解決策では、炉内全体の温
度を必要以上に高く維持しておくため、溶融処理能力が
著しく低下すると共に、炉体からの放熱損失が極めて大
きくなって、熱効率的に望ましくないといった問題があ
る。また、の解決策では、燃焼設備を別途必要とす
ることから、構造が徒に複雑化すると共に経済的にも問
題がある。しかも、出湯口10の周辺における燃焼によ
り炉内の還元性雰囲気に悪影響を及ぼすため、還元性雰
囲気の維持が困難となるといった問題があり、余分な化
石燃料が必要となって、ランニングコストが高騰すると
いった問題もある。 【0009】本発明は、このような問題を生じることな
く、出湯口に向かう溶融スラグの流動性低下を防止し
て、溶融スラグの連続出湯を円滑且つ良好に行なわしめ
る溶融スラグの流動性低下防止方法を提供することを目
的とするものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明のプラズマ溶融炉
における溶融スラグの流動性低下防止方法にあっては、
炉の運転開始時においては主電極とスタート電極との間
で、また炉の運転中においては主電極と炉底電極との間
で、夫々プラズマ放電させることにより、炉内に供給さ
れた被溶融灰を溶融処理させると共に、その溶融スラグ
を炉壁に設けた出湯口から溢流排出させるように構成さ
れたプラズマ溶融炉において、上記の目的を達成すべ
く、特に、炉の運転中においては、必要に応じて主電極
とスタート電極との間でプラズマ放電させることによ
り、出湯口周辺領域における溶融スラグを加熱するよう
にすることを提案する。 【0011】而して、運転中においては、主電極と炉底
電極との間でのプラズマ放電により被溶融灰の溶融処理
を行なうが、何らかの事情(例えば、供給された被溶融
灰が融点の高いものであったり、冷たい被溶融灰の投入
により溶融スラグの液面温度が低下したりする等)によ
り出湯口周辺領域における溶融スラグの流動性が低下し
たときには、主電極とスタート電極との間でプラズマ放
電させて、出湯口周辺領域における溶融スラグを加熱す
る。このように、必要に応じて主電極とスタート電極と
の間で発生させたアークにより出湯口周辺領域を高温加
熱させることによって、溶融スラグの流動性低下が防止
されて、溶融スラグの連続出湯が円滑に行われることに
なる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
〜図6に基づいて具体的に説明する。 【0013】まず、本発明の方法を実施するためのプラ
ズマ溶融炉の構成について説明する。図1〜図3に示す
プラズマ溶融炉1において、2は炉壁、3は主電極、4
はスタート電極、5は炉底電極である。 【0014】炉壁2は、図1〜図4に示す如く、円筒状
の周壁6と天井壁7と後述する如く炉底電極に構成され
た底壁5とからなる。周壁6には、焼却残渣,飛灰等の
被溶融灰8aを供給するための灰供給口9と、炉1の直
径方向において灰供給口9と直対向する位置に位置する
溶融スラグ8の出湯口10と、灰供給口9の直下位であ
って底壁5の上面近傍位に位置するタップホール11
と、が穿設されている。灰供給口9は被溶融灰8aの供
給源(図示せず)に接続されていて、被溶融灰8aを適
宜の定量供給装置12により炉1内に定量的に連続供給
させうるようになっている。出湯口10は、炉1内の溶
融スラグ8を溢流排出させると共に炉1内の排ガス8b
を排出させるためのもので、水砕スラグ生成用冷却水槽
等のスラグ処理系13a及び二次燃焼室等の排ガス処理
系13bに接続されている。タップホール11は、必要
に応じて、底壁5上に沈降する溶融金属を取り出すべく
開口できるようになっている。すなわち、炉1内での溶
融処理の進行に伴い溶融スラグ8は比重差により上下2
層に分離される(比重の小さいスラグ層と比重の大きい
溶融金属層とに分離される)が、タップホール11を開
口させることにより、溶融金属のみを取り出しうるよう
になっている。なお、炉壁2は一般に1600〜180
0℃の高温に耐え得る耐火材で構成されている。例え
ば、周壁6及び天井壁7は、溶融スラグ8に対する耐食
性,耐熱性,断熱性に優れた非導電性のアルミナ系耐火
材等で構成されている。また、炉壁2の外周面は適宜の
断熱材カバーで被覆されているが、必要に応じて、その
断熱材カバーを更に水冷ジャケットで囲繞するようにし
てもよい。 【0015】主電極3は、図1に示す如く、炉1の中心
線上に配して天井壁7に貫通支持されている。この主電
極3は、従来炉におけると同様に、炉1内の液位(溶融
スラグ8の液面位置)に応じて昇降操作されるようにな
っている。なお、主電極3は、直流電源(図示せず)の
陰極に接続されている。 【0016】スタート電極4は、図1〜図3に示す如
く、給排口9,10及び主電極3を通過する鉛直面X−
X(図4,図5参照)上であって主電極3の出湯口10
側近傍位に配して、天井壁7に形成した貫通穴7aに傾
斜状に挿通支持されている。貫通穴7aは、図1〜図3
及び図5に示す如く、縦断面形状が下方へと漸次拡大す
る台形状をなし且つ横断面形状が鉛直面X−Xに平行す
る方向に長尺な長円形状をなすものとされていて、スタ
ート電極4を昇降自在且つ揺動自在に挿通支持する。そ
して、スタート電極4は、適宜の昇降・揺動手段(図示
せず)により、前記鉛直面X−X上において、先端部を
炉1内に突出させない上昇位置である放電停止位置(図
1位置)と先端部を主電極3の先端部が略同一高さ位置
に位置する下降位置であって選択された第1放電作用位
置(図2位置,図4鎖線位置,図5鎖線位置)又は第2
放電作用位置(図3位置,図4実線位置,図5実線位
置)とに亘って昇降・揺動操作されるようになってい
る。第1放電作用位置は、図2に示す如く、主電極3に
対するスタート電極4の相対位置が両電極3,4間に運
転開始時の灰溶融に必要なアークA0 を発生させるに最
適な位置関係となるように設定されている。すなわち、
冒頭で述べた従来炉における放電作用位置(図7鎖線位
置)と同様に、スタート電極4の先端部が主電極3の先
端部に近接する位置に設定されている。一方、第2放電
作用位置は、図3及び図4に示す如く、両電極3,4間
にアークA2 を発生させ得る範囲であってスタート電極
4の先端部が主電極3の先端部から可及的に離間する位
置、つまり両電極3,4間のプラズマ放電により出湯口
10の周辺領域における溶融スラグ8を良好に加熱しう
るような位置に設定されている。なお、貫通穴7aが形
成されている天井壁7部分には、スタート電極4の揺動
に対応しうるべく、可撓性継手14が設けられている。
また、スタート電極4は、前記直流電源の陽極に接続さ
れている。また、主電極3及びスタート電極4は中空軸
状のものとされていて、その中空部から窒素ガスを供給
して、炉1内を還元雰囲気に保持するように工夫されて
いる。 【0017】炉底電極5は炉1の底壁に設けられたもの
であり、主電極4との間で所定のアークA1 を発生させ
る限りにおいて任意に構成することができる(例えば、
図7に示す如く、底壁5の中心部に棒状電極体5aを貫
通支持させておく)が、この例では、特に、炉1の底壁
全体を炉底電極に構成してある。すなわち、この例の炉
底電極5は、図1〜図3及び図6に示す如く、集電板1
5上に形成した断熱材層16と、断熱材層16上に形成
された導電性耐火材17と、断熱材層16に埋設された
導電体18とからなる。集電板15は、図1に示す如
く、炉壁2の下面部に設けられた金属円板であり、前記
直流電源の陽極に接続されている。断熱材層16は、断
熱性に優れた耐火材で構成されている。一般には、例え
ばアルミナ系の耐火材で構成しておくことが好ましい。
導電性耐火材層17は、導電性及び溶融スラグ8に対す
る耐浸食性に優れた耐火材で構成されている。特に、耐
浸食性については、溶融スラグ8つまり被溶融灰8aの
性状を考慮することが必要である。導電性耐火材層17
の構成材としては、このような導電性及び耐浸食性に優
れたものであれば、これを任意に選定することができる
が、一般には、カーボン系耐火材(カーボン煉瓦,カー
ボンペースト)を使用することが好ましい。導電体18
は、図1に示す如く、断熱材層16に埋設されていて、
集電板15と導電性耐火材層17とを通電可能に接続す
る金属体である。具体的には、導電体18は、図1及び
図6(A)に示す如く、複数の金属製(例えば鉄製)の
コ字形部材181 …を並列状に溶着連結してなり、該部
材181 …の上下片で構成される一連の上下面部18
a,18bが導電性耐火材層17の下面及び集電板15
の上面に全面的ないし略全面的に接触されている。な
お、導電体18の構成は任意であり、上記したものの
他、図6(B)〜(D)に例示するものが考えられる。
すなわち、図6(B)に示す導電体18は、金属製のI
字形部材182 …を並列状に溶着連結して、該部材18
2 …の上下片で構成される一連の上下面部18a,18
bが導電性耐火材層17の下面及び集電板15の上面に
全面的ないし略全面的に接触するようになっている。ま
た、図6(C)に示す導電材18は、金属製のL字形部
材183 …を並列状に溶着連結して、部材183 …の下
片で構成される一連の下面部18bが集電板15の上面
に全面的ないし略全面的に接触すると共に、部材183
…の下端部が導電性耐火材層17の下面に部分的に接触
するようになっている。また、図6(D)に示す導電材
18は、図6(C)に示すものを上下逆にして使用した
もので、金属製の倒立L字形部材184 …の上片で構成
される一連の上面部18aが導電性耐火材層17の下面
に全面的ないし略全面的に接触すると共に、部材183
…の下端部が集電板15の上面に部分的に接触するよう
になっている。このように、導電体18の上下部は、導
電性耐火材層17ないし集電板15に全面的ないし略全
面的に接触させておいても(図6(A)(B)参照)、
部分的に接触させておいても(図6(C)(D)参
照)、何れでもよく、要は、導電体18により集電板1
5と導電性耐火材層17とが電気的に接続されればよい
のである。したがって、両者15,17間を電気的に接
続できる限りにおいて、導電体18ないしその構成部材
181 ,182 ,183 ,184の形状は任意であり、
上記以外にも種々のものを使用することができる。特
に、導電体18は、同一形状の部材181 ,182 ,1
3 ,184 を連結したものとせず、異形部材を組み合
わせて構成したものでもよい。但し、導電体18を、導
電性耐火材層17ないし集電板15に全面的ないし略全
面的に接触する一連の上下面部18a,18bを有する
ものとしておけば、導電性耐火材層17ないし集電板1
5との間に一部隙間が生じている場合にも、両者15,
17間の通電性が充分に確保されることになる。換言す
れば、炉底電極5としての機能上、導電体18と導電性
耐火材層17ないし集電板15との間に部分的な隙間が
あっても何らの支障がなく、それだけ底壁5の施工を容
易に行いうることになる。 【0018】炉底電極5をこのように構成しておくと、
図1に示す如く、導電性の溶融スラグ8が存在する状態
では主電極3との間で良好にアークA1 を発生させうる
が、更に、次のような効果も生じる。すなわち、炉底電
極5の上面部分は、浸食性の強い高温の溶融スラグ8と
接触するものの、耐浸食性に優れた導電性耐火材層17
で構成されており、しかも導電性耐火材層17には第1
及び第2従来炉における如き耐火材以外の異物やこれを
保持しておくための穴が全く存在しないことから、溶融
スラグ8中の低粘性で低融点の溶融金属が滲入するよう
なことがなく、炉底電極5ないし底壁が溶融スラグ滲入
により侵食,損傷される等の問題は生じない。したがっ
て、炉底電極5ないし炉底(底壁)を含めた炉1の耐久
性を大幅に向上させることができる。しかも、炉底電極
5を構成する底壁が上下2層構造をなし、その上層部分
は熱伝導性の高い導電性耐火材層17で構成されている
ものの、その下層部分は断熱材層16で構成されている
ことから、底壁全体としての放熱は、これを必要以上に
厚くせずとも、効果的に抑制されることなる。 【0019】次に、上記したプラズマ溶融炉1を使用し
て、本発明の方法を具体的に説明する。 【0020】溶融処理を行なうに当たっては、まず、運
転開始時において、スタート電極4を放電停止位置から
第1放電作用位置に下降させて、このスタート電極4と
主電極3との間に電圧印加によりアークA0 を発生さ
せ、これにより炉1内の被溶融灰8aを溶融させる(図
2参照)。これは、主電極3と炉底電極5との間に導電
性の溶融スラグ8が介在せず、非導電性の被溶融灰8a
が介在するにすぎない運転開始状態においては、両電極
3,5間にアークA0 を発生させ得ないからである。 【0021】しかる後、炉1内に溶融スラグ8が生じる
と、スタート電極4を放電停止位置に上昇させて該位置
に保持させると共に、主電極3と炉底電極5と間に電圧
印加によりアークA1 を発生させた状態で、被溶融灰8
aを定量供給装置12により炉1内に連続供給させつ
つ、被溶融灰8aの溶融処理を開始する(図1)。主電
極3と炉底電極5との間に発生するアークA1 による加
熱により被溶融灰8aが溶融されるに従って、溶融スラ
グ8が出湯口10からスラグ処理系13aへと順次溢流
排出されていくと共に、炉1内の排ガス8bも出湯口1
0から排ガス処理系13bへと排出されていく。なお、
被溶融灰8aの溶融は、一般に、直流電源から600〜
1000KW(被溶融灰1トン当たり)を供給して、こ
れによるプラズマ電流により被溶融灰8aを1400〜
1800℃に加熱することによって行なわれる。 【0022】而して、このような炉の運転中において、
灰供給口9から供給される被溶融灰8aの性状変化(高
融点の被溶融灰8aが供給される)や何らかの事情によ
る出湯口周辺温度の低下等により、出湯口10に向かう
溶融スラグ8の流動性が低下したり、冷却固化する虞れ
が生じたときには、スタート電極4を放電停止位置から
第2放電作用位置へと下降させて、スタート電極4にも
通電させることにより、主電極3と炉底電極5との間で
のプラズマ放電を継続しつつ主電極3とスタート電極4
との間にもアークA2 を発生させ、出湯口10の周辺領
域における溶融スラグ8を格別に加熱する(図3参
照)。このようにすることによって、出湯口10に向か
う溶融スラグ8の流動性の低下が確実に防止され、その
冷却固化も未然に回避されることになる。なお、両電極
3,4間でのプラズマ放電による溶融スラグ8の加熱が
必要なくなった場合には、スタート電極4を放電停止位
置に上昇,保持させて、再び通常運転を行なう。つま
り、主電極3と炉底電極5との間でのプラズマ放電のみ
によって被溶融灰8aの溶融を行なう。 【0023】したがって、炉の運転中において、必要に
応じて、第2放電作用位置に位置させたスタート電極4
によるアークA2 により出湯口10の周辺領域を加熱さ
せることにより、溶融スラグ8の出湯口10からの連続
流出を円滑且つ良好に行なうことができ、被溶融灰8a
の溶融処理を効率よく行なうことができる。 【0024】しかも、出湯口周辺領域の加熱手段が、格
別のものではなく、プラズマ溶融炉1の運転中において
は使用されないスタート電極4を使用したものであるか
ら、冒頭で述べた従来の解決策における如き問題
は生じない。 【0025】すなわち、出湯口10の周辺領域のみを加
熱するにすぎないから、のように炉内全体を必要以上
に高温維持させる場合と異なって、溶融処理能力が低下
したり、炉体からの放熱損失が大きくなることがなく、
熱効率的にも問題がない。また、プラズマ溶融炉1の必
須構成部材であるスタート電極4を利用するため、
のように格別の燃焼設備を必要とする場合と異なって、
構造の複雑化や設備投資の高騰といった問題は全く生じ
ない。しかも、溶融スラグ8の加熱を電極3,4間のア
ークA2 により行なうため、その加熱によっては炉1内
の還元性雰囲気に何らの悪影響を及ぼすことがない。ま
た、スタート電極4の使用に伴い電力消費量が増加する
ものの、のように余分な燃料(化石燃料)を必要とす
る場合に比して、ランニングコストも低い。 【0026】 【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明によれば、炉の運転中において、出湯口に向かう溶融
スラグの流動性が低下したり冷却固化したりするような
虞れが生じた場合にも、主電極とスタート電極との間で
のプラズマ放電により出湯口周辺領域を加熱することに
よって、溶融スラグの流動性低下や冷却固化を確実に防
止することができる。したがって、溶融処理状況の変動
(炉内に供給される被溶融灰の性状変化等)に拘わら
ず、常に、溶融スラグを出湯口から円滑且つ良好に連続
して流出させることができる。しかも、本発明では、出
湯口周辺領域の加熱手段として、プラズマ溶融炉の必須
構成部材であるスタート電極を利用するため、冒頭で述
べた従来の解決策における諸問題は全く生じな
い。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る方法を実施するためのプラズマ溶
融炉の一例を示したもので、通常の運転状態を示す縦断
側面図である。 【図2】運転開始状態を示す図1相当の一部切欠縦断側
面図である。 【図3】出湯口周辺領域の加熱状態を示す図1相当の縦
断側面図である。 【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。 【図5】図3のV−V線に沿う断面図である。 【図6】炉底電極の構成部材(導電体)を示す要部の斜
視図である。 【図7】従来のプラズマ溶融炉を示す一部切欠の縦断側
面図である。 【図8】図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。 【符号の説明】 1…プラズマ溶融炉、2…炉壁、3…主電極、4…スタ
ート電極、5…炉底電極(炉の底壁)、6…炉の周壁、
7…炉の天井壁、8…溶融スラグ、8a…被溶融灰、9
…灰供給口、10…出湯口、A0 ,A1 ,A2 …アー
ク。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F23J 1/00 B09B 3/00 ZAB F27B 3/08 303L (56)参考文献 特開 平5−253557(JP,A) 特開 平8−5247(JP,A) 特開 平8−57441(JP,A) 特開 平7−243768(JP,A) 特開 平7−280448(JP,A) 特開 平7−248188(JP,A) 特開 平9−210339(JP,A) 特開 平9−229559(JP,A) 特開 平9−72519(JP,A) 実開 平7−26691(JP,U) 特表 平9−506696(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F27B 3/19 B09B 3/00 B09B 3/00 ZAB F23G 5/00 115 F23G 5/00 ZAB F23J 1/00 F27B 3/08

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 炉の運転開始時においては主電極とスタ
    ート電極との間で、また炉の運転中においては主電極と
    炉底電極との間で、夫々プラズマ放電させることによ
    り、炉内に供給された被溶融灰を溶融処理させると共
    に、その溶融スラグを炉壁に設けた出湯口から溢流排出
    させるように構成されたプラズマ溶融炉において、炉の
    運転中においては、必要に応じて主電極とスタート電極
    との間でプラズマ放電させることにより、出湯口周辺領
    域における溶融スラグを加熱するようにしたことを特徴
    とするプラズマ溶融炉における溶融スラグの流動性低下
    防止方法
JP05285696A 1996-03-11 1996-03-11 プラズマ溶融炉における溶融スラグの流動性低下防止方法 Expired - Fee Related JP3377906B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05285696A JP3377906B2 (ja) 1996-03-11 1996-03-11 プラズマ溶融炉における溶融スラグの流動性低下防止方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05285696A JP3377906B2 (ja) 1996-03-11 1996-03-11 プラズマ溶融炉における溶融スラグの流動性低下防止方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09243267A JPH09243267A (ja) 1997-09-19
JP3377906B2 true JP3377906B2 (ja) 2003-02-17

Family

ID=12926510

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05285696A Expired - Fee Related JP3377906B2 (ja) 1996-03-11 1996-03-11 プラズマ溶融炉における溶融スラグの流動性低下防止方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3377906B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100449240C (zh) * 1998-12-25 2009-01-07 昭和电工株式会社 稀土类磁铁废屑的熔炼方法和熔炼装置以及稀土类磁铁废屑的一次熔炼合金
JP4667665B2 (ja) * 2001-07-16 2011-04-13 三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社 プラズマ式灰溶融炉およびその運転方法
FI110873B (fi) * 2001-10-26 2003-04-15 Outokumpu Oy Laitteisto ja menetelmä sulafaasin laskemiseksi sulatusuunista
JP4446429B2 (ja) * 2003-02-25 2010-04-07 財団法人電力中央研究所 廃棄物処理用プラズマ溶融処理装置の運転方法
JP4283035B2 (ja) * 2003-05-13 2009-06-24 株式会社荏原製作所 溶融炉及びプラズマアークの再着火方法
JP5594972B2 (ja) * 2009-01-09 2014-09-24 株式会社タクマ 電気式プラズマ灰溶融炉の炉底電極構造
CN107246614B (zh) * 2017-06-09 2019-02-05 加拿大艾浦莱斯有限公司 一种等离子体熔融化灰炉

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09243267A (ja) 1997-09-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8241391B2 (en) Process and equipment for the treatment of loads or residues of non-ferrous metals and their alloys
JP3377906B2 (ja) プラズマ溶融炉における溶融スラグの流動性低下防止方法
JP3970542B2 (ja) 電気溶融炉の炉壁構造及び炉壁耐火物の損耗抑制方法
JP3393002B2 (ja) 電気溶融炉
JP2007071509A (ja) 電気溶融炉の炉底電極構造
JP3280265B2 (ja) 焼却残渣と飛灰の溶融処理装置及びその溶融処理方法
JP3535571B2 (ja) 直流アーク炉
JP2747983B2 (ja) 都市ごみ焼却灰の溶融処理方法及びその装置
JPH11108330A (ja) 溶融炉
JP3576468B2 (ja) 電気式灰溶融炉と電気式灰溶融炉の固化物除去方法
JP3575570B2 (ja) 灰溶融炉
JP4095774B2 (ja) プラズマ灰溶融炉の再起動方法
JP3505065B2 (ja) プラズマ溶融炉及びその運転方法
JP4467769B2 (ja) 電気抵抗式溶融炉
JP3757409B2 (ja) 灰溶融炉および灰溶融炉の炉底電極の形成方法
JP2000320826A (ja) 溶融炉の出滓口の構造
JP3714383B2 (ja) 灰溶融炉およびその運転方法
JP3542263B2 (ja) 電気溶融炉の炉壁構造
JP3831930B2 (ja) 灰溶融炉の電極シール装置
JPH11237018A (ja) プラズマ溶融炉及びその運転方法
JP3325480B2 (ja) プラズマ溶融炉
JPH11230518A (ja) プラズマアーク溶融炉及びこれを用いた被溶融物の溶融処理方法
JPH10292908A (ja) ごみ焼却灰の電気抵抗溶融炉
JPH1019230A (ja) ごみ焼却灰の溶融処理方法及びその溶融炉
JP4174716B2 (ja) 灰溶融炉内の塩排出方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081206

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091206

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101206

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101206

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111206

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111206

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121206

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121206

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131206

Year of fee payment: 11

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees