JP3360594B2 - 溶融Zn−Al系めっき鋼板のスパングル調整方法 - Google Patents
溶融Zn−Al系めっき鋼板のスパングル調整方法Info
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Description
車等に使用するのに適した、溶融ZnまたはZn−Al系合金
めっき鋼板のスパングル模様の製造時における調整方法
に関する。
耐候性を改善するために行われるが、近年その適用量が
増大している。代表的なものに、溶融亜鉛めっき (Al<
0.2 %) 、Zn−5%Al合金めっき、Zn−55%Al合金めっ
き等がある。以下、上記溶融亜鉛めっきも含めてこれら
を総称して溶融Zn−Al系合金めっきとも言う。
ミニウムのもつ耐久性、耐熱性、熱反射性と、亜鉛のも
つ犠牲防食性とを併せもった高性能のめっき鋼板とし
て、建材、家電、自動車部品などに広く使用されてい
る。かかるめっき鋼板は、代表的には、重量%で、Al:
55%、Zn:43.4%、Si:1.6 %からなる溶融めっき浴を
用いて製造される。AlとZnの割合は耐食性を考慮して決
定され、Siは、めっき密着性を阻害する鋼素地との合金
反応を抑制するために添加される。
率が少ない他のZn−Al合金めっき鋼板とは異なり、めっ
き表面が特徴的な銀白色のスパングル模様を呈し、その
意匠性から生地のままで、商工業用および一般用建造物
の屋根・壁等、あるいは器物などに広く利用されてい
る。
スパングルの粒径は、溶融めっき条件、特に溶融めっき
後の凝固速度に応じて変動するが、一般に平均で約0.8
mm以上であり、目視でスパングル模様を識別することが
可能である。
Zn−Al系合金めっき鋼板は、外板パネル等に多く使用さ
れる傾向があり、その多くは人目に容易に触れるため
に、製品の納入に際しスパングル模様の大きさを管理す
る必要性が増してきているのが現状である。
ングル粒径は、溶融めっき後の強制冷却時の風量を増大
させて、冷却速度 (従って、めっき皮膜の凝固速度) を
高めると小さくなり、逆に風量を低下させると大きくな
ることが知られている。しかし、大気による冷却のみで
はスパングル粒径に及ぼす効果に限界があり、それ以上
またはそれ以下にコントロールするには別の手段をもっ
て行うしか方法がない。特にスパングル粒径を小さくす
るには下記に示すような方法が一般的に知られている。
めっき皮膜が凝固した後スキンパス圧下を行ってスパン
グル模様を消去することも行われてきたが、この方法だ
けでスパングルを消去しようとすると、スパングル残り
による外観劣化、塗装後の外観むらを生じ易い。また、
めっき皮膜がスキンパスロールにピックアップされるこ
とによる疵発生が起こり易い、ユーザにおけるプレス加
工時にスパングル模様が浮き出やすい、といった問題も
ある。
凝固のめっき面に、固体または液体の微粒子を吹付け
て、多数の凝固核を均一に発生させると共に急冷するこ
とにより、スパングル模様を微細化する技術も種々提案
されている (溶融アルミニウムめっき鋼板については、
例えば、特開昭50−38638 号公報、特開昭63−143249号
公報、特開昭63−153255号公報などを参照) 。
っき鋼板のめっき表面の平均スパングル粒径を0.8 mmよ
り小さくすることは可能であるが、急冷に伴う前述した
めっき皮膜の脆化や母材自体の時効劣化等の問題は依然
として解決され得ない。また、この方法は慣用の溶融め
っき設備に微粒子の吹付け装置を付加する必要があり、
コスト高になる。さらに逆にスパングル粒径を大きくす
るためには、吹付装置と空冷帯を入れ替える必要が生じ
時間的にも大きなロスを生じる。
にSi:3〜15wt%と共にMg:3〜20wt%を添加すること
からなる、スパングルが非常に微細で耐食性に優れた溶
融Zn−Al系合金めっき鋼板が記載されている。しかし、
比較的多量のSiとMgがめっき皮膜中に共存するため、こ
のめっき鋼板には皮膜中のSiおよびMgの析出による加工
性の劣化という問題がある。また、逆にスパングル粒径
を大きくすることは浴中のMg濃度の減少を必要とするた
めに時間的ロスおよび製造量のロスを生じてしまう。
き皮膜中にMgのような他元素を存在させず、また微粒子
等の吹付を行うことなく、簡便な手段でもって目標とす
るスパングル粒径を得ることができるスパングル粒径制
御方法を提供することである。本発明の別の目的は、自
動化を可能とする溶融Zn−Al系合金めっき鋼板のスパン
グル粒径の制御方法を提供することである。
な課題達成のためには、常にめっき後のスパングル粒径
をオンラインまたはオフライン位置にて測定し、その結
果を、めっき鋼板の製造条件の変更システムにフィード
バックすることで、短時間にスパングル粒径をその目標
粒径に近づけることのできることに着目し、空冷以外の
スパングル粒径に寄与する製造条件を検討した。
は、溶融亜鉛めっきに使用されるような慣用の連続溶融
めっき設備により一般に製造される。代表的な連続溶融
めっき設備では、連続焼鈍炉で焼鈍した母材鋼板 (冷延
鋼板または熱延鋼板) を、スナウトを経て大気に触れる
ことなく溶融めっき浴中に浸漬し、めっき浴から出た直
後にガスワイピングにて所望のめっき付着量に制御し、
冷却帯( 通常、空冷) で凝固が完了する温度 (Zn−55%
Al合金めっきでは約370 ℃) 以下まで冷却した後、必要
によりレベラーまたはスキンパスロールで軽く圧下して
巻取る。
備をそのまま利用して溶融Zn−Al合金めっき皮膜のスパ
ングル模様を制御する手段について鋭意検討した結果、
特に、めっき皮膜組成がAl:0.05〜70%、Si:0〜7.0
%、残部Znの組成を有する場合、めっき鋼板が冷却帯通
過直後に、例えば特願平9−252515号に示すようなオン
ライン画像処理の手段でもってスパングル粒径を計測す
れば、フィードバック制御であってもタイムラグは可及
的最小限となって実質上無視でき、しかも、その結果、
冷却帯の冷却速度ばかりでなく、冷却開始時点、つまり
冷却装置とめっき浴面との距離、そして侵入材温度をも
制御因子として用いることができることが判明し、か
つ、それらの間にスパングル粒径に及ぼす影響度および
応答性が、冷却速度、冷却装置とめっき浴面との距離、
そして侵入材温度の順に小さくなっていくことが判明
し、これらの制御を組合せることで、平均スパングル粒
径が所望のめっき皮膜を形成することができることを見
出し、本発明を完成した。
来にあっても、めっき後鋼板巻取り時、巻取りの手前に
てスパングル模様を確認し、その後に、めっき後空冷帯
の冷却条件を変更することが行われている。しかし、か
かる従来法ではスパングル模様の調節に対しタイムラグ
が大きく、目標から大きく外れたスパングル模様を大量
に製造する危険性があること、またスパングル模様の調
節に対して比較的短時間に調節できる空冷帯のみの使用
に限られてしまうことから、スパングル模様の調節幅が
非常に小さくなってしまう。実際上、スパングル模様を
制御しているとは言えない。
i:0〜7.0 wt%、残部亜鉛および不可避混入不純物元
素から成る組成を有する溶融Zn−Al合金系めっき浴に鋼
板を連続的に侵入させ、溶融めっきを行う際に、めっき
皮膜表面に生じたスパングル粒径と、目標粒径との差異
を求め、その差異が所定範囲内のときはそのまま製造を
続け、その差異が該所定範囲を越えるときは製造条件を
変化させ、目標とするスパングル粒径に反映させるスパ
ングル調整方法である。
段は次のようにして行えばよい。 (1) 得られた前記めっき鋼板のスパングル粒径をS1 m
m、目標とするスパングル粒径をSmmとすると、 K1 ≧|S−S1 |の場合、製造条件は現状のまま K1 <|S−S1 |の場合、めっき後の冷却装置と浴面
の距離、および鋼板のめっき浴への侵入材温度の少なく
とも一つの製造条件を変化させて、K1 ≧|S−S1 |
となるようにする。
をS1 mm、目標とするスパングル粒径をSmmとすると、 K1 ≧|S−S1 |の場合、製造条件は現状のまま K1 +K2 <|S−S1 |の場合( ただし、0<K2 <
K1)、めっき後の冷却速度に加えて、めっき後の冷却装
置と浴面の距離を変化させて、K1 ≧|S−S1 |とな
るようにする。
をS1 mm、目標とするスパングル粒径をSmmとすると、 K1 ≧|S−S1 |の場合、製造条件は現状のまま K1 +K3 <|S−S1 |の場合( ただし、0<K3 <
K1)、めっき後の冷却速度に加えて、鋼板のめっき浴へ
の侵入材温度を変化させて、K1 ≧|S−S1 |となる
ようにする。
を冷却後速やかな時期、例えば冷却帯通過直後に計測す
るとともに、めっき後の冷却速度、めっき後の冷却装置
と浴面の距離と、鋼板のめっき浴への侵入材温度との調
整を行うことで、目標とするスパングル粒径を得るよう
にしてもよい。
整手段は次のようにして行えばよい。 (1) 得られた前記めっき鋼板のスパングル粒径をS1 m
m、目標とするスパングル粒径をSmmとすると、 K1 ≧|S−S1 |の場合、製造条件は現状のまま K1 <|S−S1 |の場合、めっき後の冷却速度、めっ
き後の冷却装置と浴面の距離、および鋼板のめっき浴へ
の侵入材温度の少なくとも一つの製造条件を変化させ
て、K1 ≧|S−S1 |となるようにする。
をS1 mm、目標とするスパングル粒径をSmmとすると、 K1 ≧|S−S1 |の場合、製造条件は現状のまま K1 +K2 <|S−S1 |の場合( ただし、0<K2 <
K1)、めっき後の冷却速度に加えて、めっき後の冷却装
置と浴面の距離を変化させて、K1 ≧|S−S1 |とな
るようにする。
をS1 mm、目標とするスパングル粒径をSmmとすると、 K1 ≧|S−S1 |の場合、製造条件は現状のまま K1 +K3 <|S−S1 |の場合( ただし、0<K3 <
K1)、めっき後の冷却速度に加えて、鋼板のめっき浴へ
の侵入材温度を変化させて、K1 ≧|S−S1 |となる
ようにする。
えば平均粒径0.8mm であるとすると、K1は0.3mm 、K2は
0.2mm 、そしてK3は0.15mmとすることができる。
する。なお、以下の説明においては、%は特に指定のな
い限りwt%である。
法を実施するためのめっきラインの模式的説明図であ
る。図1において、焼鈍炉10において予め加熱された鋼
板( ストリップ) は、めっき浴に侵入し、浸漬ロールを
周回して引上げられ、適宜冷却装置を備えた冷却帯に送
られ、ここでめっき皮膜は冷却され、所定のスパングル
模様を形成し、後段の巻取り工程に送られて巻取られ
る。
後速やかな時期、例えば冷却帯を出た直後の時点でオフ
ラインまたはオンラインでスパングル粒径が計測され
る。このときのデータは演算機に送られ、予め入力され
ている目的とするスパングル粒径などのデータと比較さ
れ、その結果に基づいて、冷却装置の能力、つまり冷却
速度、冷却開始時点、つまりめっき浴面からの冷却装置
の位置、そして侵入材温度、つまり焼鈍炉の加熱温度の
うち、必要により1以上、変更することで目標とするス
パングル粒径を得るように製造条件を変更する。
ば、めっき浴組成をAl:0.05〜70%およびSi:0〜7.0
%とする。めっき浴の残部は、亜鉛および不可避不純物
である。めっき皮膜の組成は、めっき浴組成と実質的に
同一となる。
10〜0.20%または40〜60%とする。Al含有率が0.05%未
満では、溶融亜鉛めっきにおいて母材鋼板のFeめっき浴
中のZnが合金化を起こしやすくなり、加工性が劣化す
る。一方、Al含有率が70%を超えると、Alリッチ相が増
大するため、Znの犠牲防食性が小さくなり、耐食性が再
び低下する。
る脆いFe−Al合金層の発達を抑制するために従来よりZn
−Al系合金めっき浴に添加されてきた。前述したよう
に、Zn−55%Al合金溶融めっきでは、この目的で1.6 %
程度のSiを含有させるのが普通であった。本発明では、
次に述べる理由により、Si含有率を0〜7.0 %に、好ま
しくは0〜5.0 %に抑える。
層の発達抑制を行うために、Siは必要ない。逆にSiを添
加すると、浴温がZn−55%Al合金めっきの場合よりも低
いために、不めっき等のめっき欠陥を引き起こす原因と
なる。一方、高Alを含有するZn−Al系合金めっきでは、
Si濃度はAlとの重量比で2.0 〜7.0 %混入させるのが適
当である。つまり、Zn−55%Al系合金めっきにおいての
Siの適正配合量は、2〜4%である。2%未満の場合、
上述のように脆いFe−Al合金層が異常発達し加工性に悪
影響を与える。また、4%超の場合、合金層が非常に薄
くなり、さらにめっき皮膜中にSiの針状析出物が多量に
析出するために加工性を劣化せしめる。本発明では、溶
融Znめっきの場合、Siの含有量は不可避混入分が望まし
く、高Al−Zn系合金めっきの場合は、Al濃度の2.0 〜3.
5 %が望ましい。
〜70%のZn−Al系合金めっき皮膜の表面に現れるスパン
グルとは、核から伸びているAlリッチの一次デンドライ
ト結晶 (Al一次デンドライト晶)に囲まれた領域であ
る。従って、この領域の径がスパングル粒径である。な
お、この一次デンドライト晶から伸びているのが、Al二
次デンドライト晶である。
オフラインで測定する場合、例えばめっき鋼板の表面拡
大写真 (例えば3倍拡大) または拡大像を用いて、一定
距離(例えば100 mm) 間のスパングル個数を測定するこ
とにより行われ、 [測定距離/スパングル個数] により
平均スパングル粒径が算出される。
な画像処理装置によって、上記デンドライト組織で囲ま
れたスパングルの平均粒径を用いるなどして測定しても
よい。また測定位置は、板幅方向であればある幅位置で
固定したり、スキャンしたりしてもよく、鋼板長さ方向
の場合はめっきが凝固してから巻取るまでの間であれば
測定可能である。望ましくは、めっき皮膜の凝固位置に
近いほど、操業条件変更へのフィードバックが早くなり
有効である。したがって、本発明の好適態様にあっては
めっき鋼板が冷却帯通過直後に測定する。
ステムに入力するなどし、目標とするスパングル径との
差より、操業条件の自動変更を行い、目標とするスパン
グル粒径に収束させていく。
径との差異に基づいて調節する製造条件としては各種あ
るが、スパングル粒径に対する影響度から、特に、本発
明にあっては、冷却速度、冷却装置とめっき浴面との距
離、そして鋼板の侵入温度を変更する。
に近いほうがそれだけフィードバック制御におけるタイ
ムラグが小さくなるため、第一の制御因子は冷却帯の冷
却速度である。したがって、本発明の好適態様にあって
は、第一に制御するのは冷却帯の冷却速度、それでもス
パングル粒径が許容範囲外のときには、冷却帯の冷却装
置とめっき浴面との距離を変更し、さらにそれでもスパ
ングル粒径が許容範囲外であるときには、侵入板材温度
を変更する。換言すれば、例えば、目標とするスパング
ル粒径が0.8mm の場合、実測値との差異が±0.3mm 程度
の変動であれば、冷却速度を変更することで目標値に近
づけることができ、さらにその差異が±0.3mm +±0.2m
m 程度になった場合には、冷却速度のほかに冷却装置と
めっき浴面との距離を変更する。このような差異が±0.
3mm +±0.2mm +±0.15mmとなったときには、冷却速度
と、冷却装置とめっき浴面との距離とのほかに、めっき
浴への侵入板温度を変更することで、目標とするスパン
グル粒径を常に実現することができる。
件を変更する理由についてさらに説明する。 (めっき後冷却速度)めっき後冷却速度の変更によってス
パングル粒径の制御を行うものであるが、本発明の場
合、冷却帯を出た直後のめっき鋼板のスパングル粒径を
計測しており、この点において従来技術から区別され
る。本発明にあっては一般的に用いられている強制空冷
帯がそのまま使用される。したがって、めっき後の冷却
速度を増加させるためには、強制冷却帯の風量を増加さ
せ、冷却速度を低下させるためには、風量を低下すれば
よい。強制冷却帯の冷却能力は、冷却設備の送風能力、
鋼板との距離、長さ等に依存し、通過する鋼板であれば
温度、板厚、速度に依存する。操業中には、鋼板の板
厚、通過速度等の条件が変化しやすいために、操業可能
な範囲で、約30℃/sの冷却速度を得ることが可能な設備
が望ましい。しかし、めっき後の冷却速度が25℃/s超に
なると、 スパングルの小径化が起こりにくくなってしまう (後
述する図2参照) 、 急冷によるめっき自体の硬度上昇のために加工性劣
化、 設備が肥大化しコストアップの原因にもなる。 したがって、強制冷却帯の設備能力は、25℃/s以下が望
ましい。
ングル粒径を迅速にかつ有効に変化させることが可能な
スパングル粒径は、目標 (例えば平均粒径:0.8 mm) に
対し約±0.3 mmである。したがって、目標スパングル粒
径の±0.3 mm以内に対しては、迅速にかつ有効にスパン
グル粒径を変化せしむることが可能な強制冷却帯の風量
調節によるスパングル粒径制御が有効となる。
と浴面との距離は、すなわちめっき後の冷却開始温度を
変化させる要因である。かかる制御手段とスパングル粒
径制御との関係は本発明において初めて知見され、利用
されるものであって、したがって、その場合には、スパ
ングル粒径の計測時期は制限されない。
却装置と浴面との距離が短い場合は、母材鋼板表面のめ
っきは未だ凝固段階にあらず、その段階で冷却を開始す
ると、スパングルの核発生の増加および結晶構造の微細
化が起こるためにスパングル粒径は小さくなる。一方、
強制冷却装置と浴面との距離が長い場合には、母材鋼板
表面のめっきは凝固温度域に入っているために、若干の
核発生とそこからの結晶成長が起こっており、その時点
から冷却を開始した場合、核発生よりも結晶成長が優先
的に起こるために、結晶成長が促進され、その結果スパ
ングル粒径が大きくなる。
で、本発明の場合には、目標 (例えば平均粒径:0.8 m
m) に対し±0.2mm 程度のスパングル粒径を変更するこ
とができる。
温度を一定にする場合、母材鋼板の板厚、めっき浴温、
母材鋼板のめっき浴への侵入材温度、通板速度等で変化
するために、それぞれの条件における標準適正距離をあ
らかじめ決定しておく。
侵入材温は、強制冷却帯迅速にかつ有効にはスパングル
粒径に効果的でないものの、スパングル粒径に影響を及
ぼす有効な操業条件因子の一つである。この場合も、上
述の強制冷却装置と浴面の距離を制御する場合と同様
に、スパングル粒径の計測時期は制限されない。
き浴温に対し高温になるほど、スパングル粒径は減少
し、低温になるほどスパングル粒径が増加することが判
った (後述する図3参照) 。その原因として、鋼板−め
っき界面で反応量が多くなり、その結果、合金層が一部
不均一に成長しやすくなるために、その合金層の凸部が
結晶成長を阻害し、核発生の増加もあいまってスパング
ル粒径が減少すると推定される。めっき浴侵入材温度を
調整することで、本発明の場合には、目標 (例えば平均
粒径:0.8 mm) に対し±0.15mm程度のスパングル粒径を
変更することができる。
ストリップを導入浸漬し、めっき後の冷却帯をめっき後
鋼板の通過位置に設置した連続式溶融めっきラインに
て、片面めっき付着量を75mg/m2 の溶融めっきを施した
後、冷却帯にてライン速度90m/min の鋼帯を冷却速度15
〜25℃/sで変化させ、目標とするスパングル粒径S1 mm
(0.8mm)に、めっき鋼板が冷却帯を出た直後測定された
スパングル粒径の情報より制御調節した。この場合、得
られているスパングル粒径がK1 ≦|S−S1 |(K1 =
0.3mm)のときであるとする。
らも分かるように、冷却帯を制御しない場合に比べ、制
御すると目標とするスパングル粒径S1 mmを得ることが
可能となった。
にストリップを導入浸漬し、めっき後の冷却帯をめっき
後鋼板の通過位置に設置した連続式溶融めっきラインに
て、片面めっき付着量を75mg/m2 の溶融めっきを施した
後、冷却帯にてライン速度90m/min の鋼帯を冷却速度15
〜25℃/s、めっき後の冷却装置と浴面の距離を変化さ
せ、目標とするスパングル粒径S1 mm(0.8mm) に、めっ
き鋼板が冷却帯を出た直後測定されたスパングル粒径の
情報より制御調節した。この場合、得られているスパン
グル径がK1 +K2 ≦|S−S1 |のときであるとす
る。ただし、K1=0.3mm 、K2=0.2mm とする。
るように、冷却帯を制御しない場合に比べ、制御すると
目標とするスパングル粒径K1 ≦|S−S1 |mmを得る
ことが可能となった。本例ではめっき鋼板の巻取り時に
スパングル粒径を測定して同様の制御をも行ったが、そ
の場合にも同様の結果が得られた。
にストリップを導入浸漬し、めっき後の冷却帯をめっき
後鋼板の通過位置に設置した連続式溶融めっきラインに
て、片面めっき付着量を75mg/m2 の溶融めっきを施した
後、冷却帯にてライン速度90m/min の鋼帯を冷却速度15
〜25℃/s、鋼板のめっき浴への侵入材温を変化させ、目
標とするスパングル粒径S1 mmに、めっき鋼板が冷却帯
を出た直後測定されたスパングル粒径の情報より制御調
節した。この場合、得られているスパングル粒径がK1
+K3 ≦|S−S1 |のときであるとする。ただし、K1
=0.3mm 、K3=0.15mmとする。
るように、冷却帯を制御しない場合に比べ、制御すると
目標とするスパングル粒径K1 ≦|S−S1 |mmを得る
ことが可能となった。本例ではめっき鋼板の巻取り時に
スパングル粒径を測定して同様の制御をも行ったが、そ
の場合にも同様の結果が得られた。
備を改造せずにそのまま利用して、加工性や耐食性を劣
化させることなく、製造時に目標とする溶融Zn−Al系合
金めっき鋼板のスパングル模様を得ることが可能とな
る。
き鋼板で代表される優れた耐食性と、過酷な曲げ加工に
耐える良好な加工性とを有しており、意匠性の高い外観
を有するため、塗装せずに生地のまま、建材、家電製
品、その他の器物などに使用できる。また、スパングル
模様が均一であるために無塗装のまま、建材、家電等の
外板パネル類に最適である。
ケルトン図である。
もに示すグラフである。
もに示すグラフである。
もに示すグラフである。
Claims (6)
- 【請求項1】 Al:0.05〜70wt%、Si:0〜7.0 wt%、
残部亜鉛および不可避不純物元素から成る組成を有する
溶融Zn−Al系めっき浴に鋼板を連続的に侵入させて溶融
めっきを行いめっき鋼板を製造する方法であって、得ら
れためっき鋼板のめっき皮膜表面に生じたスパングル粒
径と、その目標粒径との差異を求める段階、および、得
られた前記めっき鋼板のスパングル粒径をS 1 mm、目標
とするスパングル粒径をSmm、目標とするスパングル粒
径Sによって決まる定数K 1 (mm) とすると、 K 1 ≧|S−S 1 |の場合、製造条件は現状のまま K 1 <|S−S 1 |の場合、めっき後の冷却装置と浴面
の距離、および鋼板のめっき浴への侵入材温度の少なく
とも一つの製造条件を変化させて、K 1 ≧|S−S 1 |
となるように めっき鋼板の製造条件を変化させる段階を
含むことを特徴とする溶融Zn-Al 系めっき鋼板のスパン
グル調整方法。 - 【請求項2】 得られためっき鋼板のスパングル粒径を
S1 mm、目標とするスパングル粒径をSmm、目標とする
スパングル粒径Sによって決まる定数K 1 、K 2 (mm)と
すると、 K1 ≧|S−S1 |の場合、製造条件は現状のまま K1 +K2 <|S−S1 |の場合( ただし、0<K2 <
K1)、めっき後の冷却速度に加えて、めっき後の冷却装
置と浴面の距離を変化させて、K1 ≧|S−S1 |とな
るようにする請求項1記載のスパングル調整方法。 - 【請求項3】 得られためっき鋼板のスパングル粒径を
S1 mm、目標とするスパングル粒径をSmm、目標とする
スパングル粒径Sによって決まる定数K 1 、K 3 (mm)と
すると、 K1 ≧|S−S1 |の場合、製造条件は現状のまま K1 +K3 <|S−S1 |の場合( ただし、0<K3 <
K1)、めっき後の冷却速度に加えて、鋼板のめっき浴へ
の侵入材温度を変化させて、K1 ≧|S−S1 |となる
ようにする請求項2記載のスパングル調整方法。 - 【請求項4】 Al:0.05〜70wt%、Si:0〜7.0 wt%、
残部亜鉛および不可避不純物元素から成る組成を有する
溶融Zn−Al系めっき浴に鋼板を連続的に侵入させて溶融
めっきを行いめっき鋼板を製造する方法であって、得ら
れためっき鋼板のめっき皮膜表面に生じたスパングル粒
径を冷却後可及的速やかな時期に計測する段階、このよ
うにして計測されたスパングル粒径と、その目標粒径と
の差異を求める段階、および、得られた前記めっき鋼板
のスパングル粒径をS 1 mm、目標とするスパングル粒径
をSmm、目標とするスパングル粒径Sによって決まる定
数K 1 (mm) とすると、 K 1 ≧|S−S 1 |の場合、製造条件は現状のまま K 1 <|S−S 1 |の場合、めっき後の冷却速度、めっ
き後の冷却装置と浴面の距離、および鋼板のめっき浴へ
の侵入材温度の少なくとも一つの製造条件を変化させ
て、K 1 ≧|S−S 1 |となるように めっき鋼板の製造
条件を変化させる段階を含むことを特徴とする溶融Zn-A
l 系めっき鋼板のスパングル調整方法。 - 【請求項5】 得られためっき鋼板のスパングル粒径を
S1 mm、目標とするスパングル粒径をSmm、目標とする
スパングル粒径Sによって決まる定数K 1 、K 2 (mm)と
すると、 K1 ≧|S−S1 |の場合、製造条件は現状のまま K1 +K2 <|S−S1 |の場合( ただし、0<K2 <
K1)、めっき後の冷却速度に加えて、めっき後の冷却装
置と浴面の距離を変化させて、K1 ≧|S−S1 |とな
るようにする請求項4記載のスパングル調整方法。 - 【請求項6】 得られためっき鋼板のスパングル粒径を
S1 mm、目標とするスパングル粒径をSmm、目標とする
スパングル粒径Sによって決まる定数K 1 、K 3 (mm)と
すると、 K1 ≧|S−S1 |の場合、製造条件は現状のまま K1 +K3 <|S−S1 |の場合( ただし、0<K3 <
K1)、めっき後の冷却速度に加えて、鋼板のめっき浴へ
の侵入材温度を変化させて、K1 ≧|S−S1 |となる
ようにする請求項4記載のスパングル調整方法。
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