JP3159135B2 - 微小スパングル溶融亜鉛合金めっき鋼板と製造方法 - Google Patents

微小スパングル溶融亜鉛合金めっき鋼板と製造方法

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JP3159135B2 JP19400197A JP19400197A JP3159135B2 JP 3159135 B2 JP3159135 B2 JP 3159135B2 JP 19400197 A JP19400197 A JP 19400197A JP 19400197 A JP19400197 A JP 19400197A JP 3159135 B2 JP3159135 B2 JP 3159135B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家電、建材、自動
車等に使用される表面処理鋼板およびその製造方法であ
って、微小スパングル模様の意匠性に優れた溶融Zn−Al
系合金めっき鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融Zn−Al系合金めっきは、鋼板の耐食
性と耐候性を改善するために適用されるものであるが、
近年その適用量が増大している。代表的なものに、溶融
アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板、例えばアルミニウ
ムが4〜75重量%で残りがZn、ならびにSi、Mg、Ce−La
等の第三成分が微量含有される合金によってめっきされ
たアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板がある。
【0003】現在製品化されているものとしてはアルミ
ニウムを4〜10重量%、残りの大半を亜鉛および微量の
MgまたはCe−Laを配合した合金をめっきした低アルミニ
ウム−亜鉛合金めっき鋼板と、アルミニウムを55重量
%、亜鉛を43.4重量%、Siを1.6 %前後配合した合金を
めっきした高アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板の2種
類がある。
【0004】そして、耐食性に関しては、従来の溶融亜
鉛めっき鋼板と同一のめっき厚みで比較して、低アルミ
ニウム−亜鉛合金めっき鋼板で1.5 〜2倍、高アルミニ
ウム−亜鉛合金めっき鋼板では3〜6倍の優れた性質を
有している。しかも、高アルミニウム−亜鉛合金めっき
鋼板は耐熱性や熱反射性においても優れている。
【0005】このようにアルミニウム−亜鉛合金めっき
鋼板は優れた性質を有するため最近特に注目され、屋根
材、壁材等の建築部材、ガードレール、配線配管、支持
枠、防音壁、排水溝等の土木製品の材料、乾燥機、電子
レンジ等の家電製品、産業機器等の材料、さらには塗装
鋼板の基板等として急速に普及しつつある。
【0006】中でも、Zn−55%Al合金めっき鋼板は、ア
ルミニウムのもつ耐久性、耐熱性、熱反射性と、亜鉛の
もつ犠牲防食性とを併せもった高性能のめっき鋼板とし
て、建材、家電、自動車部品などに広く使用されてい
る。このめっき鋼板は、代表的には、重量%でAl:55
%、Zn:43.4%、Si:1.6 %からなる溶融めっき浴を用
いて製造される。AlとZnの割合は耐食性を考慮して決定
され、Siは、めっき密着性を阻害する鋼素地との合金反
応を抑制するために添加される。
【0007】このZn−55%Al合金めっき鋼板は、Al含有
率が少ない他のZn−Al合金めっき鋼板とは異なり、めっ
き表面が特徴的な銀白色のスパングル模様を呈し、その
意匠性から生地のままで、商工業用および一般用建造物
の屋根・壁等、或いは器物などに広く利用されている。
【0008】Zn−55%Al合金めっき鋼板のめっき表面の
スパングルの粒径は、溶融めっき条件、特に溶融めっき
後の溶融めっき皮膜の凝固速度に応じて変動するが、一
般に平均で約0.8 mm以上であり、目視でスパングル模様
を識別することができる。しかし、用途によっては、ス
パングル模様が目視で識別できない、即ち、平均スパン
グル粒径が0.7 mm以下の微小スパングル(ミニマムスパ
ングルまたはゼロスパングル) が好まれる場合がある。
【0009】一般に溶融めっき鋼板のスパングル粒径
は、溶融めっき後の強制冷却時の風量を増大させて、冷
却速度 (従って、めっき皮膜の凝固速度) を高めると小
さくなることが知られている。しかし、このようにめっ
き後に急冷しても、Zn−55%Al合金めっき鋼板の平均ス
パングル粒径を安定して0.8 mmより小さくすることは困
難であった。しかも、急冷により、めっき皮膜中の残留
応力が増加し、めっき皮膜が脆くなり、その加工性が低
下する上、母材鋼板自体にも、急冷により硬化や時効劣
化の増大などが起きて、成形性、加工性が悪影響を受け
る。
【0010】溶融めっき鋼板のスパングルに関しては、
めっき皮膜が凝固した後スキンパス圧下を行ってスパン
グル模様を消去することも行われてきたが、この方法だ
けでスパングルを消去しようとすると、スパングル残り
による外観劣化、塗装後の外観むらを生じ易い。また、
めっき皮膜がスキンパスロールにピックアップされるこ
とによる疵発生が起こり易く、ユーザにおけるプレス加
工時にスパングル模様が浮き出やすい、といった問題も
ある。
【0011】さらに、溶融めっき鋼板のめっき直後の未
凝固のめっき面に、固体または液体の微粒子を吹付け
て、多数の凝固核を均一に発生させると共に急冷するこ
とにより、スパングルを微細化する技術も種々提案され
ている (溶融アルミニウムめっき鋼板については、例え
ば、特開昭50−38638 号公報、特開昭63−143249号公
報、特開昭63−153255号公報などを参照) 。
【0012】この方法を採用すれば、Zn−55%Al合金め
っき鋼板のめっき表面の平均スパングル粒径を0.8 mmよ
り小さくすることは可能であるが、急冷に伴う前述した
めっき皮膜の脆化や母材自体の時効劣化等の問題は依然
として解決され得ない。また、この方法は慣用の溶融め
っき設備に微粒子の吹付け装置を付加する必要があり、
コスト高になる。
【0013】特開昭59−56570 号公報には、めっき浴中
にSi:3〜15wt%と共にMg:3〜20wt%を添加すること
からなる、スパングルが非常に微細で耐食性に優れた溶
融Zn−Al合金めっき鋼板が記載されている。しかし、比
較的多量のSiとMgがめっき皮膜中に共存するため、この
めっき鋼板には皮膜中のSiおよびMgの析出による加工性
の劣化という問題がある。
【0014】さらに、特開平8 −49055 号公報には、A
l:20〜80wt%、Si:0.1 〜2.0 wt%、Zn残量よりなる
めっき浴中に0.001 〜0.5 wt%のTiを含有させることに
より、Tiが冷却凝固過程の際の核となり微細のスパング
ルを形成できることが記載されている。しかし、Tiを添
加すると、めっき浴中にドロスが発生して、めっき作業
性が低下するだけでなく、めっき皮膜の耐食性も低下す
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、めっ
き皮膜中にMg、Tiのような他元素を存在させずに、成形
性や加工性が良好で、微細なスパングルを持った意匠性
に優れた溶融Zn−Al合金めっき鋼板とその製造方法を提
供することである。
【0016】本発明の別の目的は、めっき皮膜や鋼板の
成形性や加工性を損ない、現状の溶融めっき設備の変更
が必要となる微粒子の吹付けを行わずに、Alキルド冷延
鋼板上に微細なスパングルを持った溶融Zn−Al合金めっ
き皮膜を有した溶融Zn−Al合金めっき鋼板とその製造方
法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】溶融Zn−Al合金めっき鋼
板は、溶融亜鉛めっきに使用されるような慣用の連続溶
融めっき設備により一般に製造される。代表的な連続溶
融めっき設備では、連続焼鈍炉で焼鈍した母材鋼板 (冷
延鋼板または熱延鋼板) を、スナウトを経て大気に触れ
ることなく溶融めっき浴中に浸漬し、めっき浴から出た
直後にガスワイピングにて所望のめっき付着量に制御
し、冷却ゾーン (通常、空冷) で凝固が完了する温度
(Zn−55%Al合金めっきでは約370 ℃) 以下まで冷却し
た後、必要によりレベラまたはスキンパスロールで軽く
圧下して巻き取る。
【0018】本発明者らは、このような従来のめっき設
備をそのまま利用して溶融Zn−Al合金めっき皮膜のスパ
ングルを微細化する手段について鋭意検討した結果、Al
キルド鋼を熱間圧延および冷間圧延した後、得られた冷
延鋼板を母材として、連続焼鈍してから、Si含有量を調
整したAl−Zn合金溶融浴中で溶融めっきを行うことによ
り、平均スパングル粒径が0.7 mm以下の微細なスパング
ルを持っためっき皮膜を形成することができることを見
出し、本発明を完成した。
【0019】すなわち、めっき−鋼板界面の合金層を制
御するすなわち、めっき皮膜からめっき−鋼板界面に存
在する合金層を除いた部分のSi含有量を1%以下にする
ことによりめっき表面の平均スパングル粒径が0.7 mm以
下のめっき表面を有する溶融Zn−Al系合金めっき鋼板が
得られる。
【0020】ここに、本発明は、Al:40〜70wt%及びS
i:0.5 〜2.0 wt%を含有し、残部Znからなる平均めっ
き皮膜組成を有する溶融Zn−Al系合金めっき鋼板であっ
て、めっき−鋼板界面に存在する合金層を除いた領域の
めっき皮膜のSi濃度が1wt%以下であって、前記平均め
っき皮膜組成のSi濃度より低く、かつめっき皮膜表面の
平均スパングル径が0.7mm 以下であることを特徴とする
微小スパングルを有する溶融Zn−Al系合金めっき鋼板で
ある。
【0021】本発明の実施態様にあっては、前記めっき
皮膜組成が、さらに、Zr、Hf、およびV から成る群から
選んだ少なくとも1種をそれぞれ0.01〜0.4 wt%を含有
してもよい。
【0022】別の面からは本発明は、焼鈍温度650 〜69
0 ℃で焼鈍処理した鋼板に、Al:40〜70wt%、Si:0.5
〜2.0 wt%、残部Znからなる組成を有する溶融Zn−Al系
合金めっき浴で浸漬めっきを行うことを特徴とする、め
っき−鋼板界面に存在する合金層を除いた領域のめっき
皮膜のSi濃度が1wt%以下であって、前記めっき浴のSi
濃度より低く、かつめっき皮膜表面の平均スパングル径
が0.7mm 以下である微小スパングルを有する溶融Zn−Al
系合金めっき鋼板の製造方法である。
【0023】本発明の実施態様にあっては、前記めっき
浴が、さらに、Zr、Hf、およびV から成る群から選んだ
少なくとも1種をそれぞれ0.01〜0.4 wt%を含有しても
よい。さらに本発明の実施態様にあっては、前記合金層
のSi含有量が1.5 〜20%であり、該合金層の付着量が3
〜6g/m2である。
【0024】
【発明の実施の形態】次に、本発明について詳細に説明
する。なお、本明細書においては、「%」は特に指定の
ない限りwt%である。
【0025】(めっき皮膜および浴組成)めっき浴組成を
Al:40〜70%およびSi: 0.5〜2.0 %とする。所望によ
り、めっき浴中にさらに、Zr、Hf、Vの1種もしくは2
種以上をそれぞれ0.01〜0.4 %を含有させてもよい。め
っき浴の残部は、亜鉛および不可避不純物である。めっ
き皮膜の組成は、めっき浴組成と実質的に同一となる。
ただし、本発明の場合、合金層を除いた残りの領域で
は、Si濃度が浴組成のSi濃度と異なるため、めっき皮膜
全体の組成を便宜上「平均めっき皮膜組成」と言う。な
お、従来技術においては特別の理由がない限り、この合
金層の生成は可及的に少となるから、めっき皮膜組成は
実質上めっき浴組成に同一であると言うことができる。
【0026】Al含有率は40〜70%、好ましくは50〜60%
とする。Al含有率が40%未満では、浴の溶融温度が低下
し、めっき皮膜の凝固開始温度が500 ℃以下になるた
め、凝固完了までの時間が増大し、スパングル径が大き
くなり、平均で0.7 mm以下のスパングル径とすることが
困難となる。その上、相対的に皮膜中のZn含有率が増加
するため、スパングルを形成するAlデンドライト相が減
少し、スパングル自体が不明瞭になって、本発明で目的
とする微細なスパングルにより与えられる美麗な外観、
即ち、目的とする意匠性が得られなくなる。さらに、め
っき層中のZnリッチ相が増大し、粒界腐食の助長や選択
腐食の促進により、耐食性も劣化する。一方、Al含有率
が70%を超えると、Alリッチ相が増大するため、Znの犠
牲防食性が小さくなり、耐食性が再び低下する。
【0027】Si:Siは、めっき皮膜−母材界面に生成す
る脆いFe−Al合金層の発達を抑制するために従来よりZn
−Al合金めっき浴に添加されてきた。前述したように、
Zn−55%Al合金溶融めっきでは、この目的で1.6 %程度
のSiを含有させるのが普通であった。本発明では、さら
に後に述べる合金層の点から、Zn−Al合金めっき浴のSi
含有率を 0.5〜2.0 %、好ましくは0.7 〜1.2 %とす
る。
【0028】めっき皮膜における平均めっき皮膜組成は
めっき浴のそれに同じであるが、後述するように合金層
を除いためっき皮膜のSi濃度は1%以下となる。これは
充分な凝固速度を確保することで平均スパングル径を0.
7mm 以下とするためである。
【0029】Zr、Hf、V:これらの元素は、めっき皮膜
の加工性をさらに向上させるために、必要に応じてZn−
Al合金めっき皮膜中に含有させてもよい。加工性の改善
は、添加元素がめっき皮膜中で均一に分散し、皮膜中に
析出するSiを球状化し、加工時のめっき皮膜中の応力集
中を緩和することで達成される。
【0030】これらの元素を添加する場合、それぞれ0.
01〜0.4 %、好ましくは0.05〜0.2%の範囲の量で含有
させる。その添加量が0.01%以下では、均一分散による
皮膜の均質化の効果が少なく、また0.4 %を超えると、
皮膜均質化の効果が飽和するばかりでなく、操業時のめ
っき浴からのドロス発生量が増大し、めっき品質とコス
トの悪化を招く。
【0031】合金層:めっき−鋼板界面に生成する合金
層は通常Fe−Al−Siの3元素からなり、Si濃度の低い順
にθ、τ5 、τ6 、およびSiである。それぞれの化学量
的な組成は表1に示すとおりである。
【0032】本発明者らは、合金層組成と膜厚の関係を
詳細に調べたところ以下のような関係のあることを見出
した。すなわち、浴中Siが高くなる等の変化で生成する
合金層はθから、τ5 、τ6へと変化し、合金層中のSi
濃度は高くなる。
【0033】一方、浴中Si濃度が高くなり、合金層中の
Si濃度が高くなるにつれ、Feとの反応は抑えられるので
その厚みは薄くなる。合金層中のトータルのSi量はこれ
らの積で表わされる。
【0034】さらに、めっき前の予備処理としての焼鈍
処理による鋼板表面の活性化の程度によって合金層の形
成速度が影響を受けるために、得られる合金層の厚さは
鋼板表面のそのような活性化の程度、具体的には焼鈍温
度によっても影響を受けるのである。つまり、浴温度、
鋼板温度、焼鈍温度等の処理条件、特に焼鈍温度は合金
層の厚さ、したがって合金層中のSi量に影響を与える。
【0035】このことから、めっき皮膜における合金層
以外の領域の残りの領域の溶融液中のSi濃度( 以下、単
に残部Si濃度とも言う) は、合金層の厚さ、そのSi量に
よって決まる。
【0036】スパングル径はこの合金層が生成したあと
の溶融液の凝固により決まるから、合金層の組成、厚み
をコントロールすることにより、残部溶融のSi、つまり
残部Si量をある値以下に制限し、スパングル径を制御出
来るのである。これを式で示せば次の通りである。
【0037】残部Si量(%) =[(浴Si含有率(%)×めっき
付着量)−(合金層Si含有率(%)×合金層付着量)]/(めっ
き付着量−合金層付着量)≦1.0(%) したがって、スパングル粒径を小さくする、すなわち凝
固速度を速くするには、凝固の際の駆動力を大きくすれ
ば良い。そのためには、固液界面の液相平衡Si濃度と液
相バルクのSi濃度の差を大きくしてやれば良い。つま
り、合金相が生成した後の残部溶融液中のSi濃度が低い
方が凝固速度が速くなりスパングル粒径が小さくなると
考えられる。
【0038】本発明者らは、鋭意研究した結果、この残
部溶融液中のSi濃度を1wt%以下にすれば、めっき表面
の平均スパングル粒径が0.7 mm以下のめっき表面を有す
る溶融Zn−Al系合金めっき鋼板が得られることを見いだ
した。
【0039】残部溶融液中のSi濃度を1wt%以下にする
には、例えば焼鈍温度を650 〜690℃にするととも、め
っき溶中Si濃度を0.5 〜2.0 %とすることにより、適正
な合金層が適正な量だけ生成するようにすればよい。め
っき溶中Si濃度について言えば、好ましくは、0.7 〜1.
2 %である。
【0040】本発明における合金層のSi含有率は、一般
には1.5 〜20%の範囲にあり、そのときの合金層付着量
は3〜6g/m2である。好ましくは、それぞれ2〜16%、
3〜5g/m2である。より好ましい範囲は、それぞれ2〜
8%、3.5 〜5g/m2である。
【0041】
【表1】
【0042】(スパングル径)本発明におけるスパングル
径の測定は、めっき鋼板の表面拡大写真 (例えば3倍拡
大) を用いて、一定距離 (例えば100 mm) 間のスパング
ル個数を測定することにより行われ、 [測定距離/スパ
ングル個数] により平均スパングル径が算出される。
【0043】平均スパングル径が0.7 mmより大きいと、
目視でスパングル模様が識別可能となり、本発明で目的
とする微細なスパングルによる意匠性を得ることができ
ない。一方、平均スパングル径が0.7 mm以下では、目視
でのスパングル模様の識別が困難となり、本発明で目的
とする微細なスパングルからなる美麗なめっき表面を持
った意匠性を得ることができる。
【0044】本発明の方法によれば、C:0.02〜0.08wt
%の低炭素Alキルド鋼スラブまたはC:0.006 wt%以下
の極低炭素Alキルド鋼スラブを素材として、これを特定
の条件下で熱間圧延および冷間圧延した後、得られた冷
延鋼板を母材とし、特定条件下で連続焼鈍し、次いで上
記組成のAl−Zn合金溶融浴中で溶融めっきを行うことに
より、平均スパングル粒径が0.7 mm以下の微細スパング
ルのめっき表面を持った溶融Zn−Al合金めっき鋼板が製
造される。
【0045】溶融めっき自体は、常法により実施すれば
よく、特に制限されない。Alを40〜70%含有する溶融Zn
−Al合金めっき浴の浴温は普通 530〜600 ℃である。連
続焼鈍した冷延鋼板は、外気に触れないように不活性雰
囲気下に保持されたスナウトを通す間に、この浴温付近
まで冷却され、溶融めっき浴に浸漬される。浴から出た
直後、ガスワイピングノズル等の慣用の付着量制御手段
により、めっき付着量を制御する。付着量は特に制限さ
れないが、通常は片面当たり35〜100 g/m2、好ましくは
45〜90 g/m2 である。溶融めっきは、普通には両面めっ
きであるが、周知の方法を利用して片面めっきとするこ
ともできる。
【0046】付着量を制御した後、めっき鋼板を冷却し
て、めっき皮膜を凝固させる。この時の冷却は、通常の
空冷でよく、従来の微細スパングル技術で採用されたよ
うな急冷 (例、送風量の極端な増大、水冷、微粒子の吹
付け等) を行う必要はない。従って、従来の連続溶融め
っき設備を改造する必要がない。通常の空冷でも、熱間
圧延、冷間圧延、めっき前の連続焼鈍等の各加工、処理
条件、あるいはめっき浴組成等を適宜制御して、好まし
くは焼鈍温度を650 〜690 ℃に、そしてめっき浴Si濃度
を0.5 〜2.0wt %に制限して、残部Si濃度を1%以下に
することにより、平均スパングル径が0.7 mm以下という
微細スパングル表面を持った溶融Zn−Al合金めっき皮膜
を得ることができる。
【0047】冷却後、必要であれば、前焼鈍や溶融めっ
き中に生じた歪みを除去するために、めっき鋼板をレベ
ラーまたはスキンパスロールで軽く圧下してから巻き取
る。スパングルが粗大であると、この圧下時にスパング
ルが不均一になって外観が劣化し、或いは塗装後の外観
むらを生ずる原因となっていた。しかし、本発明ではス
パングルが微細化されているため、スキンパス圧下を行
っても、このような外観劣化や塗装時の外観むらがほと
んどみられない。次に、実施例によって本発明の作用効
果についてさらに具体的に説明する。
【0048】
【実施例】低炭素Alキルド鋼スラブ (C:0.04%) を、
熱間圧延した後、冷間圧延することにより、0.8 mm厚の
冷延鋼板を得た。
【0049】この0.8 mm厚の冷延鋼板を、アルカリ脱脂
により表面清浄化した後、N2+H2ガス雰囲気の焼鈍炉で
表1に示す焼鈍温度において60秒の連続焼鈍を施し、続
いて表2に示した浴組成 (残部:亜鉛および不可避不純
物) の溶融Zn−Al合金めっき浴を用いて両面溶融めっき
を施し、ワイピングノズルで片面当たり約70 g/m2 のめ
っき付着量に制御し、通常の空冷(送風量500 Nm3/分)
により冷却して、溶融Zn−Al合金めっき鋼板を得た。
【0050】得られた溶融Zn−Al合金めっき鋼板の平均
スパングル径、加工性および耐食性を次のようにして評
価した結果を、総合評価と共に、表2に併せて示す。
【0051】合金層の分析 めっき皮膜を10%ヨウ素−エタノールで溶解後、残った
合金層を塩酸で溶かし溶液分析により、組成を定量し
た。
【0052】平均スパングル径 めっき表面の2倍拡大写真を用いて、100 mm長さ当たり
のスパングル個数を測定し、[100/スパングル個数] に
より平均スパングル径 (mm) を算出した。
【0053】図1にこのようにして得られた平均スパン
グル径に対し残部Si濃度をグラフ上にプロットして示
す。
【0054】加工性 めっき鋼板の試験片の 180°2T曲げ試験において、曲
げ部のめっき皮膜の割れ幅および割れ数をSEM (走査
型電子顕微鏡) で観察し、下記基準により評価した。 ×:割れ大、一部剥離あり、 △:割れ中、剥離なし、 ○:割れ小、剥離なし、 ◎:割れ極少、剥離なし。
【0055】耐食性 めっき鋼板の試験片の塩水噴霧試験 (JIS Z2371)を2500
時間行った後、赤錆発生面積率を目視判定により求め、
下記基準により評価した。 ×:50%以上の赤錆発生、 △:5〜50%の赤錆発生、 ○:5%以下の赤錆発生、 ◎:赤錆全くなし。
【0056】総合評価 ×:2項目以上×のもの、 △:1項目×のもの、 ○:1または2項目が○で、残りが◎のもの、 ◎:すべて◎のもの。 (但し、平均スパングル径0.7 mm以下を◎、0.7 mm超を
×とする) 。
【0057】
【表2】
【0058】表2からわかるように、本発明に従って溶
融Zn−Al合金めっき鋼板を製造すると、平均スパングル
径が0.7 mm以下で、加工性や耐食性も良好であった。こ
れに対し、めっき浴 (めっき皮膜) 中のAl含有率が40%
未満であるか、めっき皮膜からめっき−鋼板界面に存在
する合金層を除いた部分のSi濃度が1%を超えると、平
均スパングル径は1.0 mmを超え、スパングルが著しく粗
大となった。めっき浴のAl含有率が40〜70%の範囲外、
またはSi含有率が0.5 %未満では、加工性や耐食性が著
しく劣化した。
【0059】
【発明の効果】本発明により、従来の連続溶融めっき設
備を改造せずにそのまま利用して、加工性や耐食性を劣
化させることなく、ミニマムスパングル化された、意匠
性に優れた溶融Zn−Al合金めっき鋼板を得ることが可能
となる。
【0060】このめっき鋼板は、Zn−55%Al合金めっき
鋼板で代表される優れた耐食性と、過酷な曲げ加工に耐
える良好な加工性とを有しており、しかも目視で判別で
きない微細スパングルからなる意匠性の高い外観を有す
るため、塗装せずに生地のまま、建材、家電製品、その
他の器物などに使用できる。また、スパングルが微細で
あるため、塗装を施した後の外観むらが少ないので、自
動車車体のように塗装用途にも使用でき、それにより従
来の亜鉛めっき鋼板に比べてさらに高い耐食性を自動車
車体に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】めっき皮膜中の合金層を除いた領域のSi濃度と
スパングル径との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al:40〜70wt%、Si:0.5 〜2.0 wt%、
    残部Znからなる平均めっき皮膜組成を有する溶融Zn−Al
    系合金めっき鋼板であって、めっき−鋼板界面に存在す
    る合金層を除いた領域のめっき皮膜のSi濃度が1wt%以
    下であって、前記平均めっき皮膜組成のSi濃度より低
    く、かつめっき皮膜表面の平均スパングル径が0.7mm 以
    下であることを特徴とする微小スパングルを有する溶融
    Zn−Al系合金めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 前記めっき皮膜組成が、さらに、Zr、H
    f、およびV から成る群から選んだ少なくとも1種をそ
    れぞれ0.01〜0.4 wt%を含有する請求項1記載の溶融Zn
    −Al系合金めっき鋼板。
  3. 【請求項3】前記合金層のSi含有量が1.5 〜20%であ
    り、該合金層の付着量が3〜6g/m2である請求項1また
    は2記載の溶融Zn−Al系合金めっき鋼板。
  4. 【請求項4】 焼鈍温度650 〜690 ℃で焼鈍処理した鋼
    板に、Al:40〜70wt%、Si:0.5 〜2.0 wt%、残部Znか
    らなる組成を有する溶融Zn−Al系合金めっき浴で浸漬め
    っきを行うことを特徴とする、めっき−鋼板界面に存在
    する合金層を除いた領域のめっき皮膜のSi濃度が1wt%
    以下であって、前記めっき浴のSi濃度より低く、かつめ
    っき皮膜表面の平均スパングル径が0.7mm 以下である微
    小スパングルを有する溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記めっき浴が、さらに、Zr、Hf、およ
    びV から成る群から選んだ少なくとも1種をそれぞれ0.
    01〜0.4 wt%を含有する請求項4記載の溶融Zn−Al系合
    金めっき鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】前記合金層のSi含有量が1.5 〜20%であ
    り、該合金層の付着量が3〜6g/m2である請求項4また
    は5記載の溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製造方法。
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