JP3496637B2 - 意匠性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板とその製造方法 - Google Patents

意匠性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板とその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建材、家電、自動
車等に使用される溶融Al-Zn 系合金めっき鋼板および
その製造方法に関する。さらに詳しくは、めっき皮膜表
面に大きくかつ均一なスパングルを備えた意匠性に優れ
た溶融Al-Zn 系合金めっき鋼板およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】溶融Al-Zn 系合金めっき鋼板は、優れ
た耐食性と耐候性をかね備えており、建材、家電、自動
車等での適用が増している。特にAl 含有量が質量%で
(以下、化学組成を表す%表示は質量%を意味する)4
0〜70%である溶融Al-Zn系合金めっき鋼板(以
下、単に「溶融Al-Zn 系合金めっき鋼板」と記す)
は、めっき厚さが同一の溶融Zn めっき鋼板の3〜6倍
の優れた耐食性を有するうえ、耐久性、耐熱性、熱反射
性が優れる。さらに、めっき表面が特徴的な銀白色のス
パングル模様を呈し、意匠性にも優れるという特長があ
り、この優れた意匠性を活用して、生地(無塗装)のま
ま、あるいは、その表面にクロメート処理や薄膜樹脂塗
布処理を施して使用される場合が多い。
【0003】上記意匠性としては、個々のスパングルが
目視で認識できるように明瞭で、大きく、かつ、均一で
あることが重要とされている。しかしながら、製造チャ
ンスや母材が異なると、同じめっき条件で溶融めっきを
施しても、得られるめっき鋼板のスパングルは同じにな
らない。また、母材が同一であっても、鋼板内の長手方
向や幅方向でスパングル模様のバラツキが不可避に発生
する。
【0004】溶融Zn めっき鋼板の場合には、個々のス
パングルを大きくするためにPb などの低融点金属をめ
っき浴に少量添加する方法が一般的である。しかしなが
らAl 含有量が高いAl-Zn 系合金めっき浴にPb など
の低融点金属を混入させると最終凝固位置となるスパン
グルの境界にこれらの元素が偏析して加工性が著しく劣
化する場合があるので、この方法は必ずしも有効な方法
ではない。
【0005】また、溶融Al-Zn 合金めっきに関して、
めっき母材またはその表面の性状を調整して、平均スパ
ングル径が1.8mm以上のめっき層を有するAl-Zn め
っき鋼板とその製造方法が提案されている。例えば、特
開平10−18009号公報にはめっき前の母材の表面
うねりを特定範囲以下に制限してめっきする方法、特開
平10−18010号公報にはめっき前の母材の集合組
織の発達度を変化させてめっきする方法、特開平10−
18012号公報にはめっき前の母材表層の結晶粒の大
きさを制御してめっきする方法、特開平10−1801
3号公報にはめっき前の母材の表面粗さを大きしくてめ
っきする方法などが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、めっき
母材の性状はめっき鋼板としての性能(例えば加工性な
ど)に大きく影響するものであるので、上記のように母
材の性状を調整してめっき後の表面意匠性を制御する方
法には限界がある。また、本発明者らの調査によれば、
母材の表面粗さとスパングルの大きさとの間には明確な
相関が見出せない場合もある。このように、従来の技術
では溶融Al-Zn 系合金めっきにおいてはスパングル模
様の制御が容易ではないうえ、得られる意匠性も必ずし
も満足なものではなかった。
【0007】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、その目的とするところは、目視で認識
できるように明瞭で、大きく、かつ、均一なスパングル
を備えた溶融Al-Zn 系合金めっき鋼板およびその製造
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは溶融Al-Z
n 系合金めっき鋼板の表面外観を種々調査した結果、め
っき皮膜表面のスパングルを意匠性に優れたスパングル
模様として目視で明瞭に認識するには、スパングルの平
均径が0.8mm以上、かつスパングル径の変動が小さ
く、均一性のよいことが重要であることを知った。平均
径が0.8mmに満たない場合にはスパングル粒界の視認
が困難であり、粒径変動が大きいスパングル模様は意匠
性が好ましくない。
【0009】次いでこのような明瞭で意匠性に富むスパ
ングル模様の形成方法に関して種々研究を重ねた結果以
下の知見も得た。 a.溶融Al-Zn 系合金めっき鋼板におけるスパングル
は、溶融した合金めっき層が鋼板表面で凝固する過程に
おいて、めっき層のAl が選択的に凝固することにより
形成されたデンドライト組織である。このスパングルは
αAl 相(Znを固溶したAl )のデンドライトが成長
したものであり、その大きさは単位面積あたりのスパン
グルの数に関係し、母材界面でのαAl 相デンドライト
の成長起点(凝固核)の状態に影響される。従って、こ
のスパングルを大きくするには、母材界面でのαAl 相
デンドライトの凝固核を少なくするのが有効である。
【0010】b.スパングルが小さいめっき皮膜を詳細
に調査した結果、スパングル生成起点を含む直径数ミク
ロン程度の領域において、Sの偏析が高い確率で認めら
れた。S偏析位置あるいはその近傍にはC、Oなどの元
素が存在する場合もあった。これらのことから、αAl
相のデンドライトの凝固核の形成には母材との界面にお
けるSの偏析が寄与しているものと考えられた。
【0011】本発明者らは上記推論を検証するために、
以下に述べるめっき皮膜のS含有量を種々変更してめっ
きを施す実験をおこなった。すなわち、厚さが3.2mm
の熱延鋼板を酸洗し、これを厚さが0.80mmになるま
で冷間圧延した。その際の圧延油として、Sを含有する
市販の冷間圧延用潤滑油を使用し、圧延油中のSの鋼板
表面への付着状況を変化させるために冷間圧延時の圧延
パス回数などの圧延条件を種々変化させた。
【0012】得られた冷間圧延板の表面を種々の条件で
洗浄し、溶融めっき実験装置により、還元雰囲気中で焼
鈍した後、Al :55%、Si :1.6%を含有する6
00℃の溶融Al-Zn 系めっき浴に浸漬して引き上げ、
めっき付着量を両面で150g/m2に調整して溶融めっ
きを施した。上記実験においてはめっき前のめっき母材
の洗浄条件を種々変更したが、それ以外の条件は全て同
一である。得られためっき鋼板のめっき皮膜のS含有量
を燃焼赤外線吸収法により調査し、めっき皮膜の平均ス
パングル径とその標準偏差を測定した。
【0013】めっき皮膜のS含有量は母材の洗浄状況と
対応があり、焼鈍前に母材を十分に洗浄した場合には、
めっき皮膜のS含有量は0.001%以下になるが、洗
浄が不十分であった場合にはS含有量が高くなった。
【0014】図1は上記実験により得られためっき皮膜
のS含有量とスパングルの大きさおよびその均一性との
関係を示すグラフである。図1で、スパングルの大きさ
は平均スパングル径が1.0mm以上を◎(極めて良
好)、1.0mm未満、0.80mm以上を○(良好)、
0.80mm未満を×(不良)として表示した。スパング
ルの均一性は、その均一性はスパングルの直径の標準偏
差が0.05mm以下の場合を◎(極めて良好)、0.0
5mmを超え、0.20mm以下の場合を○(良好)、0.
20mmを超える場合を×(不良)として表示した。
【0015】ここで、平均スパングル径は、めっき皮膜
表面の拡大写真上において、任意に選んだ一定長さの線
分を横切るスパングル境界線の数を数え、線分の長さを
境界線の数で除して1つの平均値(個々の平均値)を求
める。このようにして平均値を10個求め、その平均値
を本発明の規定する平均スパングル径とする。標準偏差
は、上記個々の平均値の標準偏差である。
【0016】図1に示すように、めっき皮膜のS含有量
が少ないほどスパングルが大きくなり、かつ、平均スパ
ングル径の変動が著しく小さくなった。特にめっき皮膜
のS含有量が0.005%以下である場合にスパングル
の大きさおよびその均一性が所望の範囲となることが確
認された。
【0017】めっき母材の洗浄が不十分である場合には
圧延油に含まれていたSが鋼板表面に不均一に残存し、
これがめっき皮膜のS源となり、スパングルの核生成頻
度やその分布に影響したものと考えられた。Sが凝固核
の生成を促進する理由は明確ではないが、Sがめっき融
液を不安定化させ、αAl が晶出しやすくなるのではな
いかと推測される。
【0018】c.溶融めっき皮膜へのS供給源として
は、めっき浴や母材鋼板に含有されるSも考えられるが
これらの影響は僅かであり、めっき工程に先んずる上工
程での何らかの原因により母材表面に付着したS、例え
ば、熱間圧延、酸洗、冷間圧延、洗浄、保管など、母材
鋼板製造過程で鋼板表面に付着、あるいは固着したSま
たはS含有物質が主たるものであろうと推測された。特
に圧延油や潤滑油に含有されているSや、または母材に
固着した圧延油や潤滑油のざんさとしてのS含有物質が
原因となる場合が多い。
【0019】母材表面のSがめっき皮膜表面で認められ
る原因としては次のことが考えられる。すなわち、母材
がめっき浴に浸漬された段階で母材表面と溶融合金との
間で相互拡散が生じ、母材表面の溶解に伴って母材表面
にあったSがめっき浴に供給される。Sはめっき浴構成
元素とほとんど反応しないため、最終的には凝固前のめ
っき皮膜表面付近に到達するものと推察された。
【0020】めっき皮膜のS含有量を一定量以下に規制
することにより、スパングルの生成起点となる凝固核数
を低減し、スパングルを大きく均一に成長させることが
できる。この方法によれば、母材表面の性状を損なうこ
となく、母材表面の性状に影響されることなく、めっき
皮膜のスパングルを調整することが可能である。
【0021】本発明はこれらの知見を基にして完成され
たものであり、その要旨は下記(1)に記載の表面意匠
性に優れた溶融Al-Zn 系合金めっき鋼板および
(2)、(3)に記載のその製造方法にある。
【0022】(1)質量%でAl を40%以上、70%
以下、Si を0.5%以上、5.0%以下を含有し、残
部がZn および不可避的不純物からなるめっき皮膜を備
えた溶融Al-Zn 系合金めっき鋼板であって、上記不可
避的不純物としてのS含有量が0.005%以下であ
り、その平均スパングル径が0.8mm以上、かつ、平均
スパングル径の標準偏差が0.20mm以下であることを
特徴とする意匠性に優れた溶融Al-Zn 系合金めっき鋼
板。
【0023】(2)母材を、質量%でAl を40%以
上、70%以下、Si を0.5%以上、5.0%以下を
含有し、残部がZn および不可避的不純物からなる溶融
めっき浴に浸漬して溶融めっきを施すめっき鋼板の製造
方法であって、めっき皮膜に含まれるS含有量が質量%
で0.005%以下となるように、めっき浴へのSの混
入を防止して溶融めっきを施し、次いで付着量を調整し
てからスパングルを生成させることを特徴とする意匠性
に優れた溶融Al-Zn 系合金めっき鋼板の製造方法。
【0024】(3)めっき浴に浸漬する前の母材表面
に、洗浄および/またはブラッシング処理を施すことを
特徴とする上記(2)に記載の意匠性に優れた溶融Al-
Zn 系合金めっき鋼板の製造方法。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細
に述べる。 めっき皮膜の化学組成; Al :めっき皮膜のAl 含有量が増すにつれて、その耐
食性、耐候性、耐熱性、熱反射性および銀白色のスパン
グル模様に代表される意匠性が向上するという効果が得
られる。Al 含有量が40%に満たない場合には、所望
の耐食性と耐候性が得られないうえ、めっき皮膜のZn
含有量が増すために、スパングルを形成するαAl デン
ドライト相が減少し、スパングル自体が不明瞭になっ
て、本発明で目的とするスパングルにより与えられる美
麗な外観、即ち、目的とする意匠性が得られなくなる。
【0026】また、Al 含有量が少ない場合には、αA
l 相の成長が不安定になり、スパングルが十分に大きく
ならず、その均一性も損なわれる。さらに、めっき皮膜
でZn 含有量の高い合金相が増大し、粒界腐食や選択腐
食が容易に生じるようになり耐食性が不足する。以上の
理由からAl 含有量は40%以上とする。好ましくは5
0%以上である。
【0027】他方、Al 含有量が70%を超えると、A
l 含有量の高い合金相が増してZnによる犠牲防食作用
が弱くなり、耐食性が低下する。また、過度にAl 含有
量を高くするとめっき浴の凝固点が高くなり、凝固反応
が促進されてスパングルが小さくなり、その均一性も損
なわれる。これを避けるためにAl 含有量は70%以下
とする。好ましくは60%以下である Si :Si には、めっき皮膜と母材鋼板の界面に生成す
る脆いFe-Al 合金層の発達を抑制する作用がある。従
ってSi を含有させることにより、めっき皮膜の加工性
を改善することができる。その含有量が0.5%に満た
ない場合には上記合金層の抑制効果が得られない。ま
た、Si 含有量を過度に低くすると、めっき浴の凝固点
が高くなり、凝固反応が促進されるためにスパングル径
が小さくなり、その均一性も損なわれる。これらのこと
からSi 含有量は0.5%以上とする。好ましくは1.
0%以上である。
【0028】Si 含有量が5.0%を超えると、めっき
皮膜中に比較的大きなSi 単体が多数析出し、これに伴
って、スパングルが小さくなり、平均スパングル径の均
一性も損なわれる傾向がある。また、めっき皮膜の加工
性も損なわれる。このためSi 含有量は5.0%以下と
する。特に加工性が要求される場合には、Si 含有量を
2.5%以下とするのが好ましい。
【0029】残部はZn および不可避的不純物である。
不可避的不純物としてのS含有量が増すと平均スパング
ル径が小さくなる。平均スパングル径が0.8mm以上の
大きなスパングルを得るために、めっき皮膜のSは0.
005%以下とする。平均スパングル径で1.0mm以上
のスパングルとする場合には、Sは0.003%以下と
するのが好ましい。
【0030】スパングル:本発明のめっき鋼板のスパン
グルは、意匠性に優れたスパングル模様として目視で明
瞭に認識できるように、平均スパングル径を0.8mm以
上とする。目視で識別可能なスパングルの限界平均径は
0.7mmであるので、平均スパングル径が0.8mmに満
たない場合には意匠性が好ましくない。好ましくは1.
0mm以上である。
【0031】スパングル径の上限は特に規定するもので
はないが、過度に大きくすると均一性をにくくなるの
で、特に優れた意匠性を得るには平均径は1.8mm未満
とするのが望ましい。
【0032】スパングルの大きさの変動が大きくなる
と、スパングル模様がむらになって観察され、意匠性が
よくない。従って本発明のスパングル模様は、平均スパ
ングル径の標準偏差(σ)が0.20mm以下のものとす
る。好ましくはσで0.05mm以下である。
【0033】製造方法:本発明の溶融Al-Zn 系合金め
っき鋼板は、めっき皮膜のS含有量が上記範囲になるよ
うにしてめっき浴へのS混入を防止してめっきすること
以外は、公知の方法に従って、母材鋼板を所望の合金組
成を有するめっき浴に浸漬して製造される。
【0034】めっき皮膜のAl およびSi 含有量はほぼ
めっき浴と同一組成となる。従ってめっき浴の化学組成
は、所望のめっき皮膜の化学組成に応じて、Al および
Siを含有するものとすればよい。
【0035】めっき浴へのS混入防止には、少なくとも
めっき浴に浸漬される寸前のめっき母材表面においてS
またはS源となる物質を除去するのがよい。また、めっ
き浴にSが含有されないようにめっき浴の構成物質を選
択するのがよい。
【0036】めっき母材に関しては、めっきに先立っ
て、Sの存在程度や存在形態に応じて適度の前処理を施
す、などの方法で母材表面からSまたはS源となる物質
を除去すればよい。除去方法は、母材表面のブラッシン
グを併用した水洗あるいは湯洗、酸性溶液やアルカリ性
溶液などの洗浄溶液を用いた前処理、ショットブラスト
や研削砥石などによる母材表面の研削などが適用でき
る。
【0037】めっき方法は任意であり、従来の溶融Al-
Zn 合金めっき鋼板の製造、例えばゼンジマー式の連続
溶融めっき方法に限らず、バッチ式の浸漬めっき方法な
ど、従来用いられているいかなる方法でも同様に実施で
きる。
【0038】代表的な連続溶融めっき方法としては、連
続焼鈍炉で焼鈍した母材鋼板(冷延鋼板または熱延鋼
板)を、大気に触れることなく溶融めっき浴に浸漬し、
めっき浴から引き上げてガスワイピングなどの方法でめ
っき付着量を調整する。その後、凝固温度以下まで冷却
する際にめっき皮膜表面に所望の意匠性に優れたスパン
グル模様が形成される。冷却後には必要によりレベラま
たはスキンパスロールで軽く圧延して巻取るなどの方法
が知られている。めっき後の冷却雰囲気は通常は空冷で
ある。
【0039】母材鋼板の化学組成は特に制限はなく、例
えばAl キルド鋼、Ti などの炭窒化物を含有させた極
低炭素鋼、あるいは、さらに強化元素を含有させた高強
度鋼板など種々の鋼種の鋼板が使用できる。鋼板の種類
や厚さも任意であり、熱間圧延鋼板、冷間圧延鋼板など
公知のものを用いることができる。また、その形状は成
形、加工されたものでも差し支えない。
【0040】
【実施例】表1に示す化学組成を有する厚さが3.2mm
の熱延鋼板を冷間圧延して厚さが0.80mmの冷延鋼板
とした。冷間圧延用潤滑油としては、Sを含有する市販
の潤滑油を使用した。
【0041】
【表1】
【0042】得られた冷延鋼板にアルカリ脱脂とブラッ
シングによる洗浄を施した。洗浄に際してはアルカリ脱
脂条件とブラッシング条件を種々変更して洗浄程度を種
々変更した。これらの鋼板は溶融めっき実験設備を用い
て、水素ガス:10体積%、残部が窒素ガスからなる還
元雰囲気中で750℃に加熱し、この温度で60秒間焼
鈍した後、溶融Al-Zn 系めっき浴に浸漬して引き上げ
た後、ガスワイピング法でめっき付着量を両面で150
g/m2 となるよう調整した。その後、空冷してめっき
皮膜表面にスパングルを形成させた。めっき浴の温度は
600℃、組成はAl :55%、Si :1.6%、残部
はZn および不可避不純物となるよう調製した。
【0043】これらのめっき皮膜のスパングルの平均直
径と均一性を以下の方法で評価した。めっき皮膜表面を
倍率2倍で撮影し、その画面上の任意に描いた長さ30
mmの線分を横切るスパングル境界線の数を測定してスパ
ングル径を算出した。さらに、この測定を1試料につき
10視野繰り返し、その平均値を平均スパングル径とし
て算出し、スパングル径が1.0mm以上の場合には◎
(極めて良好)、1.0mm未満、0.80mm以上の場合
には○(良好)、0.80mm未満の場合に不良(×)と
して評価した。スパングルの均一性は、スパングル径の
標準偏差(σ)が0.05mm以下の場合には◎(極めて
良好)、0.05mmを超えて0.20mm以下の場合には
○(良好)、0.20mmを超える場合には×(不良)と
して評価した。
【0044】表2に、めっき浴の化学組成、得られため
っき皮膜のS含有量およびスパングル測定結果を示す。
【0045】
【表2】
【0046】表2からわかるように、本発明の規定する
条件を満足するめっき鋼板は、いずれもスパングルの平
均径が0.80mm以上であり、その均一性も良好であっ
た。これに対し、本発明の規定する条件を外れるもの
は、スパングルの平均径が小さいか、均一性がよくな
く、意匠性がよくなかった。
【0047】
【発明の効果】本発明の溶融Al-Zn 系合金めっき鋼板
は、高いAl 含有量による優れた耐久性、耐熱性、熱反
射性と共に、めっき表面が大きくかつ均一性にも優れた
良好なスパングル模様を備えているので、極めて優れた
意匠性を備えている。従ってこのような意匠性が最大の
商品価値となる建材、家電、自動車等の用途に好適であ
る。特に、生地のまま、さらに、クロメート処理あるい
は薄膜樹脂塗布処理のみを施して使用される場合に好適
である。また、本発明の鋼板は、めっき前の母材表面の
清浄度を高めることにより製造することができるので、
その実施が容易であり工業的に大きい価値を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】めっき皮膜のS含有量と平均スパングル径およ
びそのばらつき(標準偏差)との関係を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23C 2/40 C23C 2/40 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/06 - 2/40 C22C 38/00 301 C22C 38/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%でAl を40%以上、70%以
    下、Si を0.5%以上、5.0%以下を含有し、残部
    がZn および不可避的不純物からなるめっき皮膜を備え
    た溶融Al-Zn 系合金めっき鋼板であって、上記不可避
    的不純物としてのS含有量が0.005%以下であり、
    その平均スパングル径が0.8mm以上、かつ、平均スパ
    ングル径の標準偏差が0.20mm以下であることを特徴
    とする意匠性に優れた溶融Al-Zn 系合金めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 母材を、質量%でAl を40%以上、7
    0%以下、Si を0.5%以上、5.0%以下を含有
    し、残部がZn および不可避的不純物からなる溶融めっ
    き浴に浸漬して溶融めっきを施すめっき鋼板の製造方法
    であって、めっき皮膜に含まれるS含有量が質量%で
    0.005%以下となるように、めっき浴へのSの混入
    を防止して溶融めっきを施し、次いで付着量を調整して
    からスパングルを生成させることを特徴とする意匠性に
    優れた溶融Al-Zn 系合金めっき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 めっき浴に浸漬する前の母材表面に、洗
    浄および/またはブラッシング処理を施すことを特徴と
    する請求項2に記載の意匠性に優れた溶融Al-Zn 系合
    金めっき鋼板の製造方法。
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