JP3580258B2 - 意匠性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板とその製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建材、家電製品、自動車等に使用される溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、めっき皮膜表面に大きくかつ均一なスパングルを備えた意匠性に優れた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板は、優れた耐食性と耐候性をかね備えており、建材、家電、自動車等での適用が増している。特にAl 含有量が質量%で(以下、化学組成を表す%表示は質量%を意味する)40〜70%である溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板(以下、単に「溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板」と記す)は、その耐食性が、めっき厚さが同一の溶融Zn めっき鋼板と比較して、3〜6倍の優れた耐食性を有するうえ、耐久性、耐熱性、熱反射性が優れる。また、Si を含有させためっき浴を用いることにより、Fe−Al 合金層の発達を抑制してめっき皮膜の加工性を改善できることも知られている。
【0003】
上記溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板にはさらに、めっき表面が特徴的な銀白色のスパングル模様を呈し、意匠性にも優れるという特長がある。このため、この優れた意匠性を活用して、生地(無塗装)のまま、あるいは、その表面にクロメート処理や薄膜樹脂塗布処理を施して使用される場合が多い。
【0004】
従来、溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板は、溶融Zn めっき鋼板の製造に使用されるような連続式溶融めっき設備により製造されている。そこでは、母材(冷間圧延鋼板、熱間圧延鋼板など)を焼鈍し、スナウトを経て、大気に触れることなく溶融めっき浴に浸漬し、めっき浴から引き上げてガスワイピングなどの方法でめっき付着量を調整し、冷却ゾーンで凝固完了温度以下まで冷却して製造される。この冷却は通常は空冷である。冷却後は必要に応じてスキンパス圧延やレベラ通板などが施される。
【0005】
溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板を意匠性に富むものとするには、めっき皮膜の個々のスパングルが目視できるように、明瞭で、大きいスパングルを備えていることが重要とされている。また、スパングルが均一であることも求められている。
【0006】
溶融Zn めっき鋼板製造に際しては、スパングルを大きくする方法として、Pb などの低融点金属をめっき浴に少量添加してめっきするのが一般的である。しかしながらAl 含有量が高いAl−Zn 系合金めっき浴にPb などの低融点金属を混入させると、最終凝固位置となるスパングルの境界にこれらの元素が偏析し、めっき皮膜の加工性が損なわれる場合がある。従ってAl 含有量が高いAl−Zn 系合金めっきの場合には、めっき浴にPb を含有させる方法は必ずしも十分な方法とはいえない。
【0007】
スパングルの大きさが均一な溶融Al−Zn 合金めっき鋼板を製造する方法として、めっき母材、またはその表面の性状を調整してスパングル模様を調整する方法が提案されている。例えば、特開平10−18009号公報にはめっき前の母材の表面うねりを特定範囲以下に制限してめっきする方法、特開平10−18010号公報にはめっき前の母材の集合組織を変化させてめっきする方法、特開平10−18012号公報にはめっき前の母材表層の結晶粒の大きさを制御してめっきする方法、特開平10−18013号公報にはめっき前の母材の表面粗さを大きしくてめっきする方法がそれぞれ提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、めっき母材の性状は、めっき鋼板としての性能(例えばめっき鋼板の成形性など)を満たすために決められる場合が多く、めっき皮膜の意匠性を制御するために母材性状を変更する方法には限界がある。また、本発明者らの調査によれば、母材の表面粗さとスパングルの大きさとの間には明確な相関が見出せない場合もあり、上記方法は必ずしも十分なものではない。
【0009】
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、目視で明瞭に識別可能な均一で大きいスパングルを備えた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
スパングルの大きさが、その平均径で、0.7mmに満たない場合には、隣接するスパングルの境界の識別が難しく、めっき皮膜の外観をスパングル模様として視認するのが困難である。本発明者らは溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板の表面外観を種々調査した結果、意匠性に富むめっき鋼板としては、めっき皮膜表面のスパングルの大きさが、その平均径で0.8mm以上、かつ、その変動が特定限界以下である均一性を兼ね備えていることが重要であることを知った。
【0011】
次いでこのような明瞭で意匠性に富むスパングル模様の形成方法に関して種々研究を重ねた結果、Si を含有する溶融Al−Zn 系合金めっきめっき浴にCa を適量含有させて溶融めっきを施すと、得られるめっき皮膜のスパングルが大きくなり、かつスパングルの均一性も改善できることを知った。
【0012】
溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板におけるスパングルは、溶融した合金めっき層が鋼板表面で凝固する過程において、めっき層のAl が選択的に凝固することにより形成されたデンドライト組織である。このスパングルはαAl 相(Zn を固溶したAl )のデンドライトが成長したものであり、その大きさは単位面積あたりのスパングルの数に関係する。従って、スパングルを大きくするには、めっき皮膜内でのαAl 相からなるデンドライトの生成起点となる凝固核を少なくするのが有効である。
【0013】
Al−Zn 合金を溶融めっきする際には、Fe−Al 合金層の発達を抑制するために、めっき浴にSi を含有させるが、このSi は、めっき皮膜が凝固する際に、αAl デンドライト組織に混在して、Si 結晶として晶出する場合がある。
【0014】
図1は、Al を55%、Si を1.6%含有し、さらに適量のCa を含有するめっき浴を用いて溶融めっきした溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板のスパングルを走査電子顕微鏡(SEM)で観察した像を示す写真の例である。
【0015】
図2は上記スパングル部分のSi の分布状況をオージェ電子分光法により調査した結果であるが、スパングル中心部にはSi 結晶が晶出している。
すなわち、めっき浴に適量のCa を含有させて溶融めっきすると、デンドライト組織が大きくなると共に、Si 結晶がスパングル中心部に粗大に晶出する頻度が高くなる傾向が認められた。
【0016】
その理由は必ずしも明確ではないが、Al が溶融相として安定に存在できる温度領域において、めっき浴の第四元素は次の二つの効果をもたらすものと推察される。その一はAl 凝固核の形成自体を促進する効果である。その二は、Si 結晶の晶出が促進されるためにその近傍の溶液におけるSi 濃度が低下し、その結果Al の凝固核形成が促進される効果である。これらの効果により、適量のCa を含有させることにより、適度な頻度でAl 凝固核を発生させ得る、と考えられる。
【0017】
この場合、スパングルの大きさとその均一性で判断される意匠性は、少なくともその長辺が10μm 以上の大きさのSi 結晶を備えたスパングルの比が、全体のスパングル数に対する個数比率で、30%以上である場合に良好であった。上記個数比率が50%以上であればさらに良好であった。
【0018】
さらに研究を進めた結果、Ca と同様の効果は、アルカリ土類金属であるSr 、Ba 、希土類元素であるLa 、Ce 、および希土類元素と同じIII族元素であるYにおいても認められた。
【0019】
本発明はこれらの知見を基にして完成されたものであり、その要旨は下記(1)〜(3)に記載の意匠性に優れた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板および(4)、(5)に記載のその製造方法にある。
【0020】
(1)質量%でAl を40%以上、70%以下、Si を0.5%以上、5.0%以下、Ca 、Sr 、Ba 、La 、Ce およびYからなる群の内の1種または2種以上を合計で0.01ppm 以上、10ppm 以下含有するAl−Zn 合金めっき皮膜を備えた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板であって、そのスパングル径の平均値が0.8mm以上であることを特徴とする意匠性に優れた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板。
【0021】
(2)質量%でAl を40%以上、70%以下、Si を0.5%以上、5.0%以下、Ca を0.01ppm 以上、10ppm 以下含有するAl−Zn 合金めっき皮膜を備えた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板であって、そのスパングル径の平均値が0.8mm以上であることを特徴とする意匠性に優れた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板。
【0022】
(3)スパングル径の標準偏差が0.20mm以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の意匠性に優れた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板。
(4)母材を、質量%でAl を40%以上、70%以下、Si を0.5%以上、5.0%以下、Ca 、Sr 、Ba 、La 、Ce およびYからなる群の内の1種または2種以上を合計で0.01ppm 以上、10ppm 以下含有する溶融Al−Zn 系合金めっき浴に浸漬して溶融めっきを施すことを特徴とする意匠性に優れた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板の製造方法。
【0023】
(5)めっき浴温度を580℃以上とし、めっき浴から引き上げた後570℃までの間の冷却速度を50℃/秒以下とすることを特徴とする請求項4に記載の意匠性に優れた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板の製造方法。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に述べる。
めっき皮膜の化学組成;
Al :めっき皮膜のAl 含有量が増すにつれて、その耐食性、耐候性、耐熱性、熱反射性、および銀白色のスパングル模様に代表される意匠性が向上するという効果が得られる。
【0025】
Al 含有量が40%に満たない場合には、めっき皮膜においてZn 含有量の高い合金相が増大し、粒界腐食や選択腐食が容易に生じるようになり耐食性が不足する。さらに、めっき皮膜のZn 含有量が増してスパングルを形成するαAl 相デンドライトが減少し、スパングル自体も不明瞭になる。また、Al 含有量が低くなりすぎるとαAl 相の成長が不安定になり、スパングルが十分に大きくならず、その均一性も損なわれる。これらの不都合を避けるために、Al 含有量は40%以上とする。好ましくは50%以上である。
【0026】
他方、Al 含有量が70%を超えるとZn による犠牲防食作用が弱くなり、耐食性が低下する。また、めっき浴の凝固点が高くなり、凝固反応が生じやすくなってスパングルが小さくなり、その均一性も損なわれる。これを避けるためにAl 含有量は70%以下とする。好ましくは60%以下である
Si :Si を含有させるとめっき皮膜と母材鋼板の界面に生成する脆いFe−Al 合金層の発達が抑制され、めっき皮膜の加工性を改善することができる。その含有量が0.5%に満たない場合には上記効果が得られない。また、Si 含有量を過度に低くすると、めっき浴の凝固点が高くなり、凝固反応が生じやすくなってスパングルが小さくなり、その均一性も損なわれる。これらのことからSi 含有量は0.5%以上とする。好ましくは1.0%以上である。
【0027】
Si 含有量が5.0%を超えると、めっき皮膜凝固時にSi 結晶が多数析出し、これに伴って、スパングルが小さくなり、スパングル径の均一性も損なわれる傾向がある。また、めっき皮膜の加工性も損なわれる。このためSi 含有量は5.0%以下とする。特に加工性が要求される場合には、Si 含有量を2.5%以下とするのが好ましい。
【0028】
Ca 、Sr 、Ba 、La 、Ce およびY:めっき浴にこれらの元素(第四元素)を適量含有させることにより、めっき皮膜のスパングルを大きく、かつ均一にすることができる。この効果を得るために、めっき浴には、Ca 、Sr 、Ba 、La 、Ce およびYからなる群の内の1種または2種以上を合計で0.01ppm 以上含有させる。望ましくは0.05ppm 以上である。ここで上記ppm は質量比を意味する。
【0029】
第四元素を過度に含有させると、凝固核形成頻度が増してスパングル径が小さくなり過ぎるのでよくない。これを避けるために、その含有量は10ppm 以下とする。望ましくは5ppm 以下である。従って第四元素のめっき皮膜での含有量は、0.01ppm 以上、10ppm 以下とする。望ましくは0.05ppm 以上5ppm 以下である。
【0030】
上記第四元素の内でも特にCa は、安価で入手しやすく、取り扱いが容易であるので、特に好ましい元素である。
残部はZn および不可避的不純物である。
【0031】
スパングルの大きさ:一般に、目視で認識可能なスパングルの大きさは、平均径で、0.7mmまでとされている。意匠性が重視される用途においてはスパングルを目視で明瞭に認識できる必要があるので、本発明の鋼板のスパングルの大きさは、スパングル径の平均値(平均スパングル径)で、0.8mm以上とする。より優れた意匠性を発揮させるには、1.0mm以上とするのが好ましい。
【0032】
平均スパングル径の上限は特に限定するものではないが、これが過度に大きくなると、スパングル模様の均一性を保つのが困難となり、意匠性が損なわれる場合がある。これを防止するために、特に優れた意匠性を得るには平均スパングル径を1.8mm未満とするのが望ましい。
【0033】
意匠性に優れたスパングル模様とするには、視認されるスパングルの大きさが一定範囲に揃っていることが重要である。そのために本発明のめっき皮膜は、複数箇所で測定した平均スパングル径の標準偏差が0.20mm以下のものとする。好ましくは標準偏差が0.05mm以下のものである。
【0034】
本発明でのスパングル径は、めっき皮膜表面を写真撮影し、これを拡大した写真上において、任意に選んだ一定長さの線分を横切るスパングル境界線を数え、上記線分の長さを境界線の数で除して求める。めっき鋼板の10箇所以上の部位において上記方法でスパングル径を測定し、これらの平均値を平均スパングル径とし、スパングル径の平均値に対する標準偏差をスパングル径変動の指標とする。
【0035】
製造方法;本発明の溶融めっき鋼板の好適な製造方法を以下に記す。
母材:母材の化学組成は特に限定する必要はない。例えばAl キルド鋼、Ti などの炭窒化物を含有させた極低炭素鋼、Si 、Mn 、その他種々の強化元素を含有させた高強度鋼板など、公知の種々の化学組成を備えた鋼板が使用できる。鋼板の種類も任意であり、熱間圧延鋼板、冷間圧延鋼板など公知のものを用いることができる。また、その形状は成形、加工されたものでも差し支えない。
【0036】
めっき方法:めっき方法は特に限定するものではなく、例えばゼンジマー式の連続溶融めっき方法や、バッチ式の浸漬めっき方法など、従来の溶融Al−Zn 合金めっき鋼板の製造に用いられている方法によればよい。
【0037】
代表的な連続溶融めっき方法としては、連続焼鈍炉などにより還元性雰囲気中で焼鈍もしくは加熱処理した母材鋼板を、大気に触れることなく溶融めっき浴温度近傍まで冷却し、溶融めっき浴に浸漬してめっきし、次いでめっき浴から引き上げてガスワイピングなど、公知の方法でめっき付着量を調整する。
【0038】
めっき皮膜のAl 、Si 、第四元素などの含有量は、ほぼめっき浴と同一の組成となる。従ってめっき浴の化学組成は、所望のめっき皮膜の化学組成に応じて、これらの元素を含有するものとすればよい。
【0039】
めっき浴に第四元素を含有させる方法は特に限定するものではないが、例えばCa を含有させる場合には、Al−Ca 合金としてめっき浴に添加するのが好適である。また、Ca を含有する物質を母材表面に予め付着させておいて、これにめっきを施す、などの方法も好ましい。
【0040】
めっき浴温度は、めっき浴に含有されるAl が溶融相として安定に存在できる温度領域(およそ560℃以上)において、第四元素によるαAl のデンドライトの成長促進効果を十分に発揮させるため、580℃以上とするのが望ましい。より望ましくは590℃以上である。過度に高温になるとめっき浴表面での酸化物が増して表面欠陥となる。これを避けるためにめっき浴温度は640℃以下とするのが望ましい。
【0041】
母材鋼板を溶融めっき浴から引き上げた後は、付着量を調整する。その際、Al が溶融相として安定に存在できる温度領域(およそ560℃以上)において、αAl の凝固核形成時間をできる限り長く確保するのが望ましい。この意味で、母材鋼板がめっき浴から引き上げられたときから570℃まで冷却される間の冷却速度を50℃/秒以下の徐冷却とするのが望ましい。より望ましくは30℃/秒以下である。570℃未満の温度領域に関しては、スパングルを成長させるために徐冷するのが望ましく、通常の大気中での冷却(徐冷却)を施せばよい。上記の方法により、大きいスパングルが均一に揃った意匠性に優れたスパングル模様を有する溶融めっき鋼板を得ることができる。
【0042】
冷却後には必要によりレベラまたはスキンパスロールで軽度の圧延を施したり、さらには、耐食性や塗装密着性を向上させるために、クロメート処理あるいは薄膜樹脂塗布処理等の公知の後処理を施しても構わない。
【0043】
【実施例】
質量%でC:0.033%、Si :0.016%、Mn :0.14%、P:0.012%、S:0.007%、sol.Al :0.030%、残部がFe および不可避的不純物からなる化学組成を有する厚さが3.2mmの熱延鋼板を冷間圧延し、厚さが0.80mmの冷延鋼板とした。得られた冷延鋼板にアルカリ脱脂とブラッシングを施した後、洗浄水で洗浄した。これらの鋼板から得た長さ:200mm、幅:80mmの試験片を採取し、溶融めっき実験設備を用いて、水素ガス:10体積%、残部が窒素ガスからなる還元雰囲気中で750℃に加熱し、この温度で60秒間焼鈍した後、溶融Al−Zn 系めっき浴に浸漬した。
【0044】
めっき浴はAl−Zn 系合金めっき浴とし、めっき浴への第四元素の添加は、第四元素:0.1%、残部がAl であるAl 合金をめっき浴に添加しておこなった。一部は従来例として第四元素を添加しないめっき浴を用いた。めっき浴温度は600℃を基準とし、比較のために575℃の場合も評価した。
【0045】
その後、めっき浴から引き上げてガスワイピング法でめっき付着量を両面で150g/mに調整した。めっき浴から引き上げた後570℃までの冷却速度は、30〜70℃/秒の間で種々変更した。
【0046】
得られためっき鋼板のこれらのめっき皮膜の化学組成を分析し、また、スパングルの平均径(直径)と均一性を以下の方法で評価した。めっき皮膜表面を倍率2倍で写真撮影し、その画面上の任意に描いた長さ30mmの線分を横切るスパングル境界線の数を測定してスパングル径を算出し、これを1つのめっき条件につき5枚の試験片について繰り返し、5個の平均値を平均径とした。同時にこれらの標準偏差(σ)を求めてスパングルの均一性を以下の基準で評価した。
【0047】
スパングル平均径;
1.0mm以上:極めて良好(◎)、
1.0mm未満、0.80mm以上:良好(○)、
0.80mm未満:不良(×)。
スパングルの均一性(σ);
σが0.05mm以下:極めて良好(◎)、
0.05mmを超えて0.20mm以下:良好(○)、
0.20mmを超える場合:不良(×)。
【0048】
また、得られためっき鋼板の外観を目視検査して判定し、スパングル模様が明瞭で均一なものを良好(○)、スパングル模様が不明瞭である場合やばらつきがある場合を不良(×)として評価した。
【0049】
これらの結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
Figure 0003580258
【0051】
表1からわかるように、試験番号2〜7、9、13〜15、19〜24の本発明の規定する条件を満足するめっき鋼板は、いずれもスパングルが0.80mm以上でそのσも小さく、良好な意匠性を備えていた。Si とCa の含有量がいずれも好適範囲であった試験番号4、5は意匠性が特に優れていた。これに対し、めっき皮膜に第四元素を含有させなかった試験番号1、Si 含有量が本発明の規定する条件から外れた試験番号12、16およびAl 含有量が本発明の規定する条件から外れた試験番号17、18は、意匠性がよくなかった。
【0052】
これらのめっき鋼板のSi の晶出形態を以下の方法で評価した。めっき試験片の任意の15mm四方の領域に含まれるスパングルの成長起点近傍をSEMにて観察した。さらに上記15mm四方の領域の最表面にイオンスパッタリングを施して、めっき皮膜最表層に通常存在するAl 酸化物層と、大気との接触により生じる炭化水素物質などの表面汚染物質を除去し、上記起点近傍のSi の晶出状況をオージェ電子分光法により調査した。その結果、スパングル平均径が1.0mm以上であった試験番号3〜6、14、19〜24のめっき皮膜には、長辺が10μm 以上のSi が晶出しているのが確認された。
【0053】
【発明の効果】
本発明の溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板は、高いAl 含有量による優れた耐久性、耐熱性、熱反射性と共に、めっき表面が均一で良好なスパングル模様を備えているので、極めて優れた意匠性を備えている。このため、意匠性が最大の商品価値となる建材、家電、自動車等の用途に好適である。本発明の鋼板は、溶融めっき条件を特定することにより、容易かつ安定して所望のめっき鋼板を得ることができる。従って本発明は極めて大きい工業的価値を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融Al−Zn 系合金めっき皮膜のSEM観察写真である。
【図2】図1と同じ部分のSi 分布をオージェ電子分光法で観察した写真である。

Claims (5)

  1. 質量%でAl を40%以上、70%以下、Si を0.5%以上、5.0%以下、Ca 、Sr 、Ba 、La 、Ce およびYからなる群の内の1種または2種以上を合計で0.01ppm 以上、10ppm 以下含有するAl−Zn 合金めっき皮膜を備えた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板であって、そのスパングル径の平均値が0.8mm以上であることを特徴とする意匠性に優れた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板。
  2. 質量%でAl を40%以上、70%以下、Si を0.5%以上、5.0%以下、Ca を0.01ppm 以上、10ppm 以下含有するAl−Zn 合金めっき皮膜を備えた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板であって、そのスパングル径の平均値が0.8mm以上であることを特徴とする意匠性に優れた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板。
  3. スパングル径の標準偏差が0.20mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の意匠性に優れた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板。
  4. 母材を、質量%でAl を40%以上、70%以下、Si を0.5%以上、5.0%以下、Ca 、Sr 、Ba 、La 、Ce およびYからなる群の内の1種または2種以上を合計で0.01ppm 以上、10ppm 以下含有する溶融Al−Zn 系合金めっき浴に浸漬して溶融めっきを施すことを特徴とする意匠性に優れた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板の製造方法。
  5. めっき浴温度を580℃以上とし、めっき浴から引き上げた後570℃までの間の冷却速度を50℃/秒以下とすることを特徴とする請求項4に記載の意匠性に優れた溶融Al−Zn 系合金めっき鋼板の製造方法。
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