JP3367442B2 - 意匠性に優れたZn−Al−Si合金めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

意匠性に優れたZn−Al−Si合金めっき鋼板の製造方法

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JP3367442B2 JP02425799A JP2425799A JP3367442B2 JP 3367442 B2 JP3367442 B2 JP 3367442B2 JP 02425799 A JP02425799 A JP 02425799A JP 2425799 A JP2425799 A JP 2425799A JP 3367442 B2 JP3367442 B2 JP 3367442B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建材、家電用途に
適した、高耐食性で意匠性に優れた溶融Al−Zn系めっき
鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】建材、家電用途には、従来より溶融亜鉛
めっき鋼板が使用されていたが、近年、より高耐食性・
高耐久性を有する溶融Al−Zn系めっき鋼板の使用量が増
加している。このうち、めっき皮膜中にAlを約55%、Si
を1〜2%含有する溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板は、
表面に美麗なスパングル模様を有していることから、意
匠性もひとつの特徴である。
【0003】しかし、この溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼
板を連続式溶融めっき設備で製造する場合、表面のスパ
ングル模様には、製造チャンスごとにコイル間で、さら
には同じコイル内でも長手方向および幅方向で、大きさ
のバラツキがよく見られる。例えば、母材コイルが変わ
ると、同じめっき条件でめっきしても、スパングルの大
きさが異なることがしばしばある。特に、非常に微細な
スパングルが形成される場合があり、このような製品は
意匠性が劣るため、外観が重要視される用途には通常用
いることができない。
【0004】この溶融Zn−Al−Si合金めっきのスパング
ル模様のバラツキを抑える技術としてこれまでに下記の
手法が提案されている。まず、母材鋼板に関しては次の
提案がある: (1) 特開平9−235661号公報:鋼板表面を0.05μm以上
研削する、 (2) 特開平10−18009 号、同10−18013 号各公報:鋼板
表面の粗さとうねりを制御する、 (3) 特開平10−18010 号、同10−18012 号各公報:鋼板
表面の集合組織、結晶粒径を制御する。
【0005】めっき条件に関しては、次の提案がある: (4) 特開平9−241814号公報:めっき浴浸漬時間を2秒
以上とする、 (5) 特開平9−25550 号公報:めっき設備のスナウト内
の露点、水素濃度、浴温を管理する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記手法はそ
れぞれ以下のような問題がある。まず、(1) 、(2) 、
(3) の手法では、圧延工程などの、連続式めっき設備の
前の工程に制約をかけることになり、また、条件に外れ
た鋼板をめっき原板として用いることができなくなる。
【0007】(4) の手法は、めっき条件だけでスパング
ル模様を制御できる点で好都合であるが、浴中ロールの
昇降装置等の設備を新たに設ける必要があり、コスト的
に不利である。また、浸漬時間を長くしすぎると、スパ
ングルが全体に微細化し、本来の溶融Zn−Al−Si合金め
っき鋼板の持つ意匠性が損なわれる。
【0008】(5) の手法は、スナウト内の雰囲気制御に
より、めっき浴からの亜鉛蒸気の発生を抑えるものであ
る。めっき浴から蒸発した亜鉛蒸気がスナウト壁面で凝
縮して付着し、鋼板表面やめっき浴に落下付着して、め
っきの欠陥もしくはスパングルのムラの原因となる。従
って、この手法は、例えばめっき母材(例、コイルの変
更)に起因するような一般に見られるスパングル模様の
バラツキをそれ以上には悪化させないというだけであ
り、めっき母材に起因するバラツキそれ自体を抑えるこ
とはできない。
【0009】本発明の課題は、上記のような問題点を伴
わずに、連続式溶融めっき設備で、スパングル模様のバ
ラツキの少ない溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板を製造す
る方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、溶融Zn−
Al−Si合金めっき鋼板のスパングル模様のバラツキを抑
える操業条件について検討した結果、めっき密着性の確
保に必要なめっき金属との合金化反応を促進するため、
めっき前の鋼板表面を活性化する目的で還元雰囲気下に
行われる焼鈍において、鋼板の反応性を抑制した方がス
パングル模様が全体として均一な大きさに揃う傾向があ
ることを見出した。
【0011】例えば、鋼板を酸化性の大気雰囲気で焼鈍
した後、溶融めっき浴に浸漬すると、安定して美麗なス
パングルを得ることができる。しかし、この場合には、
鋼板表面の反応性が大きく阻害されてしまい、鋼板表面
とめっき浴がほとんど反応しなくなるため、めっき密着
性が全く得られず、不めっきも発生しやすくなる。
【0012】そこで、めっき密着性を確保し、かつ不め
っきを発生させない範囲で、鋼板表面の反応性を適度に
抑制することにより、スパングル模様のバラツキを抑え
るという観点から検討した結果、焼鈍炉内に水または水
蒸気を導入して、炉内の還元雰囲気ガスの露点を−40℃
〜+10℃、好ましくは−30℃〜0℃の範囲に管理するこ
とにより、これが可能となることが判明した。
【0013】本発明は、Al:30〜70重量%、Si:0.05〜
3.5 重量%、残部:Znおよび不可避不純物からなるめっ
き組成を有する溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板を、ライ
ン内焼鈍炉を備えた連続式溶融めっき設備で製造する際
に、焼鈍炉内の還元雰囲気ガスの露点を−40℃〜+10℃
に管理することによりめっき表面のスパングルを均一に
開華させることを特徴とする、スパングル模様の意匠性
に優れた溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板の製造方法であ
る。ただし、還元処理の雰囲気ガスの露点が−30℃であ
ってAl:52.0を含む溶融亜鉛めっき浴を使用する場合を
除く。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の溶融Zn−Al−Si
合金めっき鋼板の製造方法について詳しく説明する。
【0015】本発明の方法に従って溶融Zn−Al−Si合金
めっきを施す母材鋼板の鋼種については特に制限されな
い。例えば、Alキルド鋼、Ti, Nb等を添加した極低炭素
鋼、C、P、Si、Mn等を加えた410N級以上の高強度鋼等
を用いることができる。また、母材鋼板は冷延鋼板と熱
延鋼板のいずれでもよく、それらの圧延条件についても
特に制限されない。
【0016】母材鋼板は、必要に応じてアルカリ脱脂等
の前処理を施した後、ライン内焼鈍装置を備えた連続式
溶融めっき設備を用いてZn−Al−Si合金めっきを施す。
Zn−Al−Si合金めっきの組成はAl:30〜70重量%、Si:
0.05〜3.5 重量%、残部:Znおよび不可避不純物であ
る。Al含有量は、これより高くても低くても表面の美
麗なスパングル模様が発現せず、Si含有量は低すぎると
やはりスパングル模様が発現せず、高すぎると不めっき
の表面欠陥が生じやすくなる。好ましい範囲は、Al:45
〜65重量%、Si: 1.0〜2.0 重量%で、さらに好ましく
はAl:50〜60重量%である。
【0017】使用する連続式溶融めっき設備は、ライン
内焼鈍炉を備えているものであればどのようなものでも
よい。この種の連続式溶融めっき設備は溶融亜鉛めっき
用に開発されたのものであり、一般に、主要装置とし
て、鋼板表面清浄化装置 (酸化炉、無酸化炉等) 、焼鈍
炉、溶融めっき装置、冷却装置、化成処理装置を備えて
いる。
【0018】このような設備を用いた典型的なめっき操
作では、鋼板をまず酸化炉または無酸化炉で加熱して、
鋼板表面に付着した油分を除去し、表面を清浄化する。
この加熱により鋼板表面が酸化状態または弱酸化状態に
なるので、次の焼鈍炉内で還元雰囲気下に焼鈍を行う。
この還元雰囲気での焼鈍により、歪みの除去という焼鈍
本来の作用に加えて、鋼板表面の酸化鉄が還元されて表
面が活性化される。それにより鋼板表面とめっき金属と
の合金化反応が容易になり、めっき密着性が確保され
る。従って、還元雰囲気での焼鈍はめっき密着性を得る
のに必要な処理である。
【0019】焼鈍炉内の還元雰囲気は、一般に乾燥H2
スと乾燥N2ガスとを一緒に焼鈍炉に供給することにより
保持される。従来は、鋼板表面をできるだけ活性化する
ように、焼鈍炉には乾燥H2ガスと乾燥N2ガスだけを供給
して、焼鈍炉内の還元雰囲気ガスの露点をなるべく低く
なるように管理していた。焼鈍炉は厳密な密閉系ではな
いため、いくらかの水分が混入するが、それでも従来の
焼鈍炉内ガスの露点は−40℃を下回るのが普通である。
【0020】しかし、このように表面を活性化して表面
の反応性を高めてしまうと、鋼板を溶融めっき槽に浸漬
した時に、恐らく鋼板とめっき金属との反応が速く起こ
りすぎることが原因で、スパングルが不均一に開華する
ことを本発明者らは見出した。そのため、本発明では、
スパングルを均一に開華させる目的で、鋼板表面の反応
性を、不めっきやめっき密着性の低下が発生しない範囲
で抑制する。即ち、還元雰囲気に保持されている焼鈍炉
内のガスの露点を、−40℃〜+10℃という従来より高い
露点範囲に管理する。その結果、焼鈍された鋼板表面の
反応性が適度に抑えられて、めっき金属との反応が均一
に進行するようになり、スパングルの大きさが均一で、
意匠性に優れためっき鋼板が製造される。
【0021】焼鈍炉内のガスの露点が+10℃を超える
と、鋼板表面の還元による活性化が不十分となり、鋼板
−めっき界面に成長する合金層が十分または均一に成長
しないため、めっきの密着性に劣り、甚だしい場合には
不めっきが発生する。一方、この露点が−40℃を下回る
と、鋼板表面の反応性が高すぎて、反応が不均一に起こ
り易くなるため、スパングルの大きさが不均一になり、
バラツキが大きくなる。スパングル不均一化の機構の詳
細は不明だが、本発明者らは鋼板表面の還元の進行でめ
っき浴との反応性が高くなりすぎるためと推定してい
る。操作条件や測定バラツキを考えると、焼鈍炉内の露
点を−30℃〜0℃の範囲に管理して溶融めっきを行うこ
とが好ましい。
【0022】前述したように、焼鈍炉に乾燥H2ガスと乾
燥N2ガスだけを供給すると、焼鈍炉内の露点は−40℃を
下回る。従って、焼鈍炉内の露点を−40℃〜+10℃、好
ましくは−30℃〜0℃の範囲に管理するために、焼鈍炉
に水分を水および/または水蒸気の形で供給する必要が
ある。この水分は、H2ガスまたはN2ガスの一方または両
方に未乾燥のガスを使用することでも供給できるが、露
点を厳密に管理することが困難となるので、焼鈍炉に乾
燥H2ガスと乾燥N2ガスの配管系とは別に、制御された量
の水および/または水蒸気を供給できる配管系を付設し
て、露点を計測しながら露点管理に必要な量の水分を制
御した量で供給することが好ましい。
【0023】焼鈍炉内の雰囲気ガスの組成は従来と同様
でよい。即ち、通常はH2とN2との混合ガスであり、H2
度は5〜15%の範囲内とすることが好ましい。
【0024】焼鈍温度 (焼鈍炉内の最高板温度) は、め
っき浴侵入時の鋼板温度以上であればよい。好ましい焼
鈍温度は 650〜800 ℃である。焼鈍炉内の温度プロファ
イルも特に制限されない。焼鈍温度がめっき浴侵入時の
鋼板温度と同一温度である場合には、焼鈍炉内は一定温
度に保持されることになる。それより焼鈍温度が高くな
ると、焼鈍炉内には加熱、冷却といった温度変化が見ら
れるので、炉内は、冷却帯、または加熱帯と冷却帯、ま
たは加熱帯と均熱帯と冷却帯、に区分される。冷却帯の
後に、めっき槽侵入温度に保持する低温保持帯を有する
場合もある。
【0025】本発明において「焼鈍炉内」とは、焼鈍炉
の入側または加熱帯から冷却帯までの間である。従っ
て、低温保持帯は焼鈍炉内に含まれない。焼鈍炉内の鋼
板の滞在時間 (即ち、焼鈍時間) は通常は3〜5分間程
度である。
【0026】なお、焼鈍炉内の露点を、炉内の全帯域に
ついて発明で規定する範囲に管理する必要はないが、炉
内は露点のそれほど変動しないので、できれば全帯域を
そのように管理する。露点が変動する場合には、最高到
達板温度域付近で露点が本発明で規定する範囲内となる
ようにすることが好ましい。
【0027】焼鈍炉内で還元雰囲気下での焼鈍により表
面が活性化された鋼板は、必要により冷却帯で冷却され
た後、鋼板を周囲雰囲気から遮断する目的で設置された
スナウトを経て、めっき浴に浸漬され、Zn−Al−Si合金
めっきが施される。このスナウト内でも、必要により鋼
板はさらにめっき浴侵入温度まで冷却される。めっき浴
侵入温度は、通常はめっき浴温度と同じ温度から約30℃
高温までの温度範囲である。
【0028】このスナウトは、めっき前の鋼板表面の酸
化を防止するために、不活性雰囲気に保持される。この
スナウト内の雰囲気ガスの露点が高すぎると、めっき前
の鋼板表面に酸化膜が厚く形成されるため、密着性不良
や不めっきを生じやすくなる。一方、この露点が低すぎ
ると、低沸点成分である亜鉛の溶融めっき浴からの蒸発
が激しくなり、スナウト壁面に亜鉛粉が付着し、鋼板表
面に落下することで、不めっきが生じやすくなる。本発
明者らが検討した結果、スナウト内の雰囲気ガスの露点
を−60℃〜−10℃の範囲で制御することで、めっき密着
性と不めっき抑制が両立できることが判明した。スナウ
ト内露点のより好ましい範囲は−20℃〜−50℃である。
【0029】このように、スナウトの露点はめっき鋼板
の不めっきやめっき密着性といった品質には影響を及ぼ
す。しかし、スナウト内は不活性ガス雰囲気に保持さ
れ、かつ鋼板の滞在時間が短いので、鋼板表面の反応
性、従ってスパングルへの影響は小さい。即ち、スパン
グルの開華状況は、スナウトより前の焼鈍炉において決
定されるのである。
【0030】本発明では、前述したように、焼鈍炉には
通常の乾燥H2と乾燥N2の配管系に加えて、露点上昇のた
めに水および/または水蒸気の配管系を設置することが
できる。その場合には、スナウトに別に乾燥H2と乾燥N2
を投入できる配管系を設けることで、スナウト内の露点
を焼鈍炉とは別に制御することが好ましい。その結果、
スパングルが均一に開華した意匠性に優れた溶融Zn−Al
−Si合金めっき鋼板を、密着性や不めっきの問題を伴わ
ずに得ることができる。
【0031】上記以外のめっき条件については、表面品
質、性能、操業に影響を及ぼさない限り特に制限され
ず、従来より溶融Zn−Al−Si合金めっきに採用されてい
る条件と同様でよい。めっき付着量は、普通には片面当
たり30〜150 g/m2の範囲内である。めっきは通常は鋼板
の両面に施すが、既知の手段で片面めっきにすることも
可能である。
【0032】本発明の方法により溶融Zn−Al−Si合金め
っきを施した鋼板は、化成処理せずに使用しても、高い
耐食性を示すことができる。しかし、連続式溶融めっき
設備に設置されている化成処理装置において、適当な化
成処理を施してもよく、それによりさらに耐食性が向上
する。化成処理は、リン酸亜鉛処理とすることも可能で
あるが、クロメート処理の方が耐食性改善に有効である
ので好ましい。
【0033】クロメート処理は、塗布型、反応型、電解
型のいずれの処理法でもよく、また処理液組成や処理方
法も特に制限されず、従来のものから適当に選択するこ
とができる。好ましいクロメート処理法は、短い処理時
間で耐食性の向上効果が大きい塗布型クロメート処理で
ある。クロメート処理により形成するクロメート皮膜の
付着量は、Cr金属換算量として3〜150 mg/m2 の範囲内
でよい。
【0034】溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板は、上記の
ようにクロメート処理を施し、または施さずに、薄膜の
樹脂被覆を施すこともできる。被覆に適した樹脂種とし
ては、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、エポキ
シ、ビニルブチラール等が挙げられる。この樹脂被覆
は、溶剤系の樹脂塗料も使用できるが、樹脂を水に分散
ないし溶解させた水系の樹脂塗料を用いて行うことが好
ましい。樹脂の被覆厚みは5μm以下とすることが好ま
しい。樹脂被覆がこれより厚膜になると、コスト増大に
加えて成形時に樹脂カスが発生し、外観が悪化する。よ
り好ましい被覆厚みは 0.5〜3.0 μmの範囲である。
【0035】
【実施例】溶融めっき めっき母材として、低炭素Alキルド鋼の冷延鋼帯 (板厚
0.6 mm×幅920 mm) を用いた。この鋼帯に、無酸化炉と
焼鈍炉とを備えた連続式溶融めっき設備を用いて、表1
に示す条件 (詳細な焼鈍条件は表3に示す) で溶融Zn−
Al−Si合金めっきを施した。焼鈍炉は加熱帯域と冷却帯
域を備え、炉内の最高到達板温度域付近の位置に、乾燥
H2、乾燥N2、水蒸気用の流量制御可能な配管系をそれぞ
れ独立に設置し、近接して設置した水素濃度計および露
点計で炉内のガス雰囲気および露点を計測しながら、そ
れぞれの流量を調整することで、炉内雰囲気と露点を所
定値に制御した。焼鈍温度は焼鈍炉内の最高到達板温度
を意味する。
【0036】
【表1】
【0037】得られた溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板の
スパングル均一性、めっき密着性および不めっきを、次
に説明するようにして評価した。これらの試験結果を、
焼鈍炉内およびスナウト内の露点および焼鈍温度と共に
表3以下にまとめて示す。
【0038】スパングル均一性の評価方法 まず、明らかにスパングルの異なる9段階の標準サンプ
ルを準備し、これらのサンプルを、そのスパングルの大
きさにより、0 (非常に微細) から8 (非常に粗大) に
分類した。この数値をスパングルコードとする。
【0039】一方、各標準サンプルの表面拡大写真を撮
影し、その写真上で、実際の長さで30 mm に相当する線
分を横切るスパングル境界線の数をカウントして、次式
によりスパングル径を求めた: スパングル径=30mm/境界線の数 このスパングル径の測定を、1標準サンプルあたり5回
繰り返し、その平均値を「スパングル径」とした。この
スパングル径とスパングルコードとの対応は、表2のよ
うになる。
【0040】実施例で得られた各溶融めっき鋼板のスパ
ングルの大きさ (スパングル径) は、上記標準サンプル
と目視で比較対照して、スパングルの大きさが最も近い
標準サンプルのスパングルコードを記録したものであ
る。目視結果が、2つの標準サンプルの中間である場合
には、その2つの標準サンプルのコードの中間値(例、
コード2と3の中間の場合は2.5)であるとした。
【0041】スパングル均一性の評価は、30 mm 長さに
相当する線分を横切る全部のスパングルについて、1つ
づつ球形近似してその直径 (等積球径) を求め、全ての
スパングルの直径の標準偏差値 (σ) を算出し、σ値の
大きさによって、表2に示すように、0 (非常に均一)
から5 (非常にバラツキ大) までの6段階で評価した。
2以下が合格レベルである。
【0042】
【表2】
【0043】めっき密着性と不めっきの評価方法 めっきの密着性は、得られためっき鋼板の試験片 (めっ
きされた鋼帯の全幅)について、ロックフォーマーを用
いて密着曲げを行い、板幅方向で全幅にわたって剥離の
生じないものだけを合格 (○) とし、残りを不合格
(×) とした。
【0044】不めっきは、目視で評価し、約0.1 mm以上
の不めっき欠陥が認められないものを合格 (○) とし、
この不めっきが認められるものを不合格 (×) とした。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】図1〜3には、それぞれ表3〜5の試験結
果を、焼鈍炉内のガスの露点とスパングル均一性の結果
(コード番号) との関係として示す。上の表およびこれ
らの図面から分かるように、本発明に従って露点を管理
した焼鈍炉内で焼鈍してから溶融Zn−Al−Si合金めっき
することにより、めっき密着性を損なわずに、スパング
ルをほぼ均一に開華させることができる。
【0049】一方、焼鈍炉内のガスの露点が本発明の範
囲より高くなると、密着性不良や不めっきが発生する。
逆に、この露点が本発明の範囲より低くなると、スパン
グルのバラツキが大きくなり、めっき外観 (意匠性) が
悪化する。
【0050】
【発明の効果】本発明により、コイル間もしくはコイル
内のスパングルのバラツキ (特にスパングルの微細化)
が抑制され、めっき密着性が良好で意匠性に優れた溶融
Zn−Al−Si合金めっき鋼板を安定的して製造することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表3に示した実施例での溶融Zn−Al−Si合金め
っき (焼鈍温度600 ℃) の結果を、焼鈍炉内のガスの露
点とスパングルバラツキの関係について示す。
【図2】表4に示した実施例での溶融Zn−Al−Si合金め
っき (焼鈍温度700 ℃) の結果を、焼鈍炉内のガスの露
点とスパングルバラツキの関係について示す。
【図3】表5に示した実施例での溶融Zn−Al−Si合金め
っき (焼鈍温度800 ℃) の結果を、焼鈍炉内のガスの露
点とスパングルバラツキの関係について示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23C 22/30 C23C 22/30 C25D 3/56 C25D 3/56 Z (72)発明者 辰己 斉正 和歌山市湊1850番地 住友金属工業株式 会社和歌山製鉄所内 (72)発明者 安東 義一 和歌山市湊1850番地 住友金属工業株式 会社和歌山製鉄所内 (56)参考文献 特開 平7−97670(JP,A) 特開 平8−81748(JP,A) 特開 平5−306446(JP,A) 特開 平9−235661(JP,A) 特開 平9−25550(JP,A) 特開 平9−59753(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al:30〜70重量%、Si:0.05〜3.5 重量
    %、残部:Znおよび不可避不純物からなるめっき組成を
    有する溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板を、ライン内焼鈍
    炉を備えた連続式溶融めっき設備で製造する際に、焼鈍
    炉内の還元雰囲気ガスの露点を−40℃〜+10℃に管理す
    ることによりめっき表面のスパングルを均一に開華させ
    ることを特徴とする、スパングル模様の意匠性に優れた
    溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板の製造方法。ただし、還
    元処理の雰囲気ガスの露点が−30℃であってAl:52.0を
    含む溶融亜鉛めっき浴を使用する場合を除く。
  2. 【請求項2】 焼鈍炉内のガスの露点を−30℃〜0℃に
    管理する、請求項1記載の溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼
    板の製造方法。
  3. 【請求項3】 焼鈍炉内のガスの露点を水および/また
    は水蒸気の添加により管理する請求項1または2記載
    溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の方法で製造された溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板に、
    クロメート処理を施すことを特徴とする、化成処理溶融
    Zn−Al−Si合金めっき鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の方法で製造された溶融Zn−Al−Si合金めっき鋼板また
    は請求項4記載の方法で製造された化成処理溶融Zn−Al
    −Si合金めっき鋼板に、厚さ5μm以下の薄膜樹脂被覆
    を施すことを特徴とする、有機被覆溶融Zn−Al−Si合金
    めっき鋼板の製造方法。
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