JP4757622B2 - 外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は,外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼およびその製造方法に関するものである。より詳しくは,主として,高強度鋼板を基材とした合金化溶融亜鉛めっき鋼において,そのめっき後の外観が従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板よりも均一美麗で,また,塗装後の外観にも優れ,自動車用等に用いることができる,外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼の製造方法に関するものである。
合金化溶融亜鉛めっき鋼は,溶接性や塗装性,塗装後耐食性などに優れることから,自動車,家電製品,建材等に多用されている。この合金化溶融亜鉛めっき鋼は,鋼を溶融亜鉛めっきした後,加熱処理し,鋼中のFeとめっき中のZnを拡散させ,合金化反応を生じさせることで鋼材表面に鉄−亜鉛合金層を形成させたものである。この合金化反応は,鋼の結晶粒界から優先的に生じると言われるが,粒界に偏析しやすい元素が多く含まれる場合,局所的にFe,Znの拡散が阻害されるため合金化反応が不均一となり,外観にむらが発生する。このむらは,機械的性質や溶接性などに影響を与えるものではないが,外観不良として拒絶する消費者が多い。特に,近年,鋼の高強度化が進みPを多く含む鋼においてはむらが発生し易く,問題となっている。この原因は,Pが鋼加熱時に鋼材表面,粒界に不均一に濃化して,めっき合金化時におけるFeとZnの拡散を阻害し,局所的なFeとZnの合金化反応の速度差をもたらすことで,めっき厚み差が生じさせるからと考えられる。
このため,外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼が種々検討されている。例えば,(特許文献1)では,焼鈍した鋼板をめっきする前にFe,Ni,Co,Cuなどの金属被覆層を形成する方法が開示されている。また,(特許文献2)では,めっき浴中のAl濃度を鋼中のPとTiの濃度によって規定する方法が開示されている。さらに,(特許文献3)では,冷延焼鈍後の鋼板表面のX線回折からの{200}面と{222}面からの回折X線強度比,I(200)/I(222)を0.17未満とする鋼が開示されている。
さらにまた,(特許文献4)では,鋼中にCuを含ませる方法が開示されている。
特開平6−88187号公報 特開平5−132784号公報 特開平10−18011号公報 特開平6−17216号公報
しかし,特許文献1の方法では設備の増加を伴うためにコスト増,工程増となり,実用化は容易ではない。また,特許文献2の方法は,鋼中のPやTiの濃度は鋼種によって異なるため,鋼種に応じて浴中のAl濃度を制御することは困難であり,実現性は低い。さらに特許文献3の鋼は,結晶方位を制御するのは容易でなく,また,対象としている鋼材のP含有率が0.025%以下であるため,近年のPを多く含む高強度鋼板には適用できない。さらにまた,特許文献4の方法は,材質への影響が懸念され,汎用的な方法ではない。
以上のように,外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼として種々提案されているが,設備導入,工程増などの問題があるため実現が困難で,またPを多量に含むような高強度鋼に適用できるものでもない。そこで,本発明は,このような設備増や工程増といった問題を解決し,Pを多量に含む鋼であっても,外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために,本発明者らは,Pを0.02%〜0.2%含む鋼を基材とした合金化溶融亜鉛めっき鋼で,外観にむらが発生した鋼,外観にむらが発生しなかった鋼について,その鉄−亜鉛合金被覆中の濃化元素をGDSで詳細に調べた。その結果,外観にむらが発生した鋼はめっき中のPの濃化が大きいことが分かった。一方,外観にむらが発生しなかった鋼はめっき中のPの濃化が小さく,さらに,GDSによる鉄−亜鉛合金被覆中のPの積分強度と,鉄−亜鉛合金被覆中のFeとZnの積分強度の和の比,I(P)/I(Fe+Zn)が0.025以下であることを見出し,発明に至った。
すなわち,本発明は次の通りである。
質量%で,
C;0.01%以下,
Si;0.2%以下,
Mn;2%以下,
P;0.02〜0.2%,
S;0.03%以下,
Al;0.005〜0.1%,
Ti;0.001〜0.05%,
Nb;0.001〜0.05%,
を含有し,残部がFeおよび不可避的不純物からなる低炭素鋼スラブを熱間圧延した後,酸洗し,さらに冷間圧延,焼鈍,溶融亜鉛めっき,加熱合金化処理を施して,合金化溶融亜鉛めっき鋼とする合金化溶融亜鉛めっき鋼の製造方法において,熱間圧延後のコイルの捲取温度を750℃以上とし,さらにその後,巻き取ったコイルの最外層部の表面温度が500℃以下となるまで空冷することを特徴とする外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼の製造方法。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼の製造方法を経た合金化溶融亜鉛めっき鋼は,外観品位に優れ,また,摺動性,密着性にも優れる。このため,自動車や家電製品,建材等に用いることができ,産業上の価値は極めて大きい。
以下,本発明を詳細に説明する。
まず,本発明の要点である,鉄−亜鉛合金被覆中のP含有率について説明する。Pは鋼の強度増加を目的に鋼中に添加される。また,Pは合金化加熱時にめっき中に拡散,濃化するが,このめっき中のP自体も外観に影響を与える元素である。発明者らが,合金化加熱後のめっき中のP量とめっき外観との関係を詳細に調査した結果,GDSによる鉄−亜鉛合金被覆中のPの積分強度I(P)が,(Fe+Zn)の積分強度I(Fe+Zn)の0.025以下である場合,外観が良好で,一方,GDSによる鉄−亜鉛合金被覆中のPの積分強度I(P)が,(Fe+Zn)の積分強度I(Fe+Zn)の0.025より大きい場合,外観が不良となることを見出した。この理由は定かではないが,GDSによる鉄−亜鉛合金被覆中のPの積分強度I(P)が,(Fe+Zn)の積分強度I(Fe+Zn)の0.025以下である場合,めっき中のPがZn,Feの合金化反応速度を均一化させる効果があると考えられる。好ましくは,GDSによる鉄−亜鉛合金被覆中のPの積分強度I(P)が,(Fe+Zn)の積分強度I(Fe+Zn)の0.020以下,より好ましくは,0.015以下である。なお,ここで言う,GDSによる鉄−亜鉛合金被覆中のPの積分強度I(P)とは,株式会社リガク製GDS(高周波グロー放電発光分析装置),GDA750を用い,分析径2.5mmで鉄−亜鉛合金被覆深さ方向の元素分布を測定した際の,鉄−亜鉛合金被覆中のPの強度を積分した値である。また,ここで言う鉄−亜鉛合金被覆とは,GDSによる測定でFeの強度が増加しなくなった深さまでと定義する。GDSによる鉄−亜鉛合金被覆中のPの積分強度I(P)を,(Fe+Zn)の積分強度I(Fe+Zn)の0.025以下とするには,めっき前の表面のP濃度を低減させておくことが望ましい。このためには,熱延時の捲取温度を高くする,また巻き取ったコイルを空冷する,めっき前の鋼を酸洗する,あるいは鋼材表面を研削する等の処理が有効である。
次に,本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼の鋼成分の限定理由について説明する。なお,各鋼成分において%は何れも質量%である。
C;0.01%以下
Cは鋼の強化に必要な元素である。しかし,C量が0.01%を超えると脆化しやすくなるため,C量は0.01%以下とする。
Si;0.2%以下
Siは鋼の強化,脱酸の効果を有する元素である。しかし,過剰に添加すると脆化しやすくなる。また,溶融亜鉛めっき時にめっきの濡れ性を阻害し,まためっき密着性も劣化させる。このため,Siは0.2%以下とする。
Mn;2%以下
Mnも鋼の強化,脱酸の効果を有する元素である。しかし,過剰に添加すると脆化しやすくなる。また,溶融亜鉛めっき時にめっきの濡れ性を阻害し,まためっき密着性も劣化させる。このため,Mnは2%以下とする。
P;0.02〜0.2%
Pは鋼の強化に必要な元素である。しかし,過剰に添加すると脆化しやすくなる。また,溶融亜鉛めっき後の合金化処理性を劣化させる。このため,Pは,0.02〜0.2%とする。尚,鋼板の強度と脆化のバランスを考慮すると,Pは,0.03〜0.05%とすることが好ましい。
S;0.03%以下
Sは不純物であり,加工性や熱間脆性を劣化させるため少ないほうが望ましい。このためSは0.03%以下とする。
Al;0.005〜0.1%
Alは鋼中のNとの親和力が強く,固溶しているNを析出物として固定し加工性を向上させる効果がある。また,脱酸の効果がある。しかし,多すぎると逆に加工性を劣化させる。このためAlは0.005〜0.1%とする。
Ti;0.001〜0.05%
TiはC,Nを固定し,鋼の加工性を向上させる効果がある。しかし,多すぎると逆に加工性を劣化させる。このため,Tiは0.001〜0.05%とする。
Nb;0.001〜0.05%
NbはCを固定し,鋼の加工性を向上させる効果がある。しかし,多すぎると逆に加工性を劣化させる。このため,Nbは0.001〜0.05%とする。
次に鉄−亜鉛合金被覆について説明する。鉄−亜鉛合金被覆の付着量の偏差は±7g/m以内であることが望ましい。標準偏差が±7g/mの範囲を超える場合,外観上の濃淡が助長されて,外観不良となりやすい。鉄−亜鉛合金被覆の付着量は特に規定するものではないが,耐食性および加工性の観点から,20〜150g/mであることが望ましい。
また,鉄−亜鉛合金被覆のΓ(ガンマ)層の平均厚みは1μm以下であることが望ましい。1μmを超える場合,めっき密着性に劣るため,プレスした際にめっきが剥離しやすくなる。
鉄−亜鉛合金被覆中のFe含有率は,質量%で,7〜11%であることが望ましい。7%未満であれば,めっき外観が不均一となりやすい。一方,11%を超える場合,外観は良好であるが,めっきが過合金となり密着性に劣る。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼は,低炭素鋼スラブを熱間圧延した後,酸洗し,さらに冷間圧延,焼鈍,溶融亜鉛めっき,加熱合金化処理を施して,製造する。スラブ加熱温度や熱間圧延条件は,特に規定するものでなく,一般的な鋼を製造する条件であればなんら問題ないが,仕上げ圧延後の捲取温度は750℃以上とする必要がある。高温で巻き取るほど鋼中のPが酸化され,その後の酸洗工程でそのPの酸化層が除去される。この表面のP濃化が小さい鋼を溶融亜鉛めっき,加熱合金化処理することで,本発明の外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼を製造できる。捲取温度が750℃よりも小さい場合は,Pの酸化が不十分であるため,めっき前の鋼板表面のP濃度も大きく,これを溶融亜鉛めっき,加熱合金化処理すると外観品位に劣る合金化溶融亜鉛めっきとなる。このため,熱間圧延後の鋼の捲取温度は750℃以上とする必要がある。一方,巻取温度が高すぎるとスケールが厚く成長し,その後の酸洗工程に負荷がかかるため,巻取温度の上限は810℃とすることが望ましい。好ましい巻取温度範囲は,760℃以上800℃以下,より好ましくは770℃以上790度以下である。
巻き取ってコイル状としたコイルは,そのコイルの最外層部の鋼板表面温度が500℃以下となるまで空冷する必要がある。500℃以下となるまで空冷することで鋼板中のPが十分に酸化され,その後の酸洗工程でPの濃化層が除去されるため,外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼を製造できる。一方,捲取後,直ちに水冷するなど,コイルの最外層部の鋼板表面温度が500℃よりも高温で急冷した場合,Pの酸化が不十分なため,外観品位に劣る合金化溶融亜鉛めっき鋼を生み出す原因となる。このため,巻き取ったコイルはその最外層部の表面温度が500℃以下となるまで空冷する必要がある。但し,巻き取ったコイルを,その最外層部の表面温度が極めて低温になるまで空冷した場合は,生産性を落とすことに繋がる。このため,空冷終了までの好ましい温度範囲は100℃以上500℃以下,より好ましい範囲は200℃以上400℃とする。
熱間圧延後は酸洗,冷間圧延をするが,これらの方法は従来から行われている方法で実施すればよい。例えば,酸洗では50℃以上の塩酸中に鋼を浸漬,冷間圧延は圧下率50〜90%で行えばよい。なお,酸洗に際しては,Pの濃化層をできるだけ除去するために,塩酸温度は高く,また鋼の塩酸中の浸漬時間は長い方が好ましい。酸洗前に熱間圧延材の表面にショットブラスト,サンドブラストなどを行うことはなお望ましい。
冷間圧延後は再結晶焼鈍を行う。これは連続式溶融亜鉛めっき設備(CGL)の前段に設置された焼鈍設備で行う。一般的な鋼を製造する条件であれば,焼鈍条件はなんら規定するものはないが,焼鈍温度が高すぎる場合は再結晶粒が粗大化し加工後の肌荒れの原因となるため,焼鈍温度は880℃以下とすることが望ましい。
再結晶焼鈍後は溶融亜鉛めっき,加熱合金化処理を行う。亜鉛めっき浴の温度は445℃〜500℃,加熱合金化温度は450〜580℃とすることが望ましい。
以下に実施例に基づき本発明について説明する。表1に示す組成の鋼を転炉で溶製し,連続鋳造してスラブとした。そのスラブを1200℃で1時間加熱後,熱間圧延して板厚5mmの熱延鋼板とした。熱延時の仕上げ温度は900℃,捲取温度は725℃〜785℃である。また捲取後の冷却は,コイルの最外層部が500℃以下となるまで空冷した場合と,コイルの最外層部が500℃以上の状態で水冷した場合との2水準実施した。得られた熱延鋼板を10%塩酸中で酸洗した後,冷間圧延して板厚1mmの冷延鋼板とした。その冷延鋼板を,連続溶融めっき設備を用い,均熱温度800℃,均熱時間20秒で焼鈍し,冷却速度20℃/秒で465℃まで冷却した後,浴温460℃のZn−0.13%Alめっき浴に3秒間浸漬し,ワイピングで付着量が45g/mとなるように調整し,その後,温度540℃〜580℃で加熱合金化処理し,合金化溶融亜鉛めっき鋼を製造した。
作製した合金化溶融亜鉛めっき鋼の外観は下記の評価をした。
(1)外観
目視観察し,外観むらの程度に応じてグレード1から6まで,0.5刻みで11段階に分類した。3.5以上が合格である。
(2)鉄−亜鉛合金層中のP濃化量
GDSで鉄−亜鉛合金被覆層の深さ方向の元素分布を測定し,鉄−亜鉛合金被覆層中のPの積分強度,FeとZnの積分強度の和を求めた。用いたGDSは,リガク製高周波グロー放電発光分析装置,GDA750であり,分析径は2.5mmである。
(3)鉄−亜鉛合金被覆層の付着量
鉄−亜鉛合金被覆の付着量を求め,その偏差および組成を測定した。測定は,板幅方向,長手方向の任意の位置から数箇所選び,インヒビターを添加した塩酸で鉄−亜鉛合金被覆を溶解し,ICPで分析して行った。
(4)Γ層厚み
板幅中央,長手方向の任意の位置から25×10mmの大きさに切り出し,SEM(走査型電子顕微鏡)でその断面組織を観察し,Γ層の厚みを測定した。用いたSEMは,日立製S−2460Nである。
(5)鉄−亜鉛合金被覆層の密着性
密着性を60度V曲げ後のテープ剥離試験で評価した。これは,V曲げ部に貼り付けたテープに付着した鉄−亜鉛合金の付着量(付着した部分の長さ)を測定する方法で,付着した部分の長さが6mm以下であれば合格,それよりも大きければ不合格とした。
Figure 0004757622
各評価結果を表2および表3に示す。No.1〜4は,鋼Aを種々の温度で捲取り,鉄−亜鉛合金被覆中のP濃化量を変化させた場合である。捲取温度が低く,鉄−亜鉛合金被覆中のPと(FeとZn)の積分強度比が0.025を超える場合(No.4),外観グレードは5.5であり,外観品位に劣る。No.5〜8は,鋼Bを種々の温度で捲取り,鉄−亜鉛合金被覆中のP濃化量を変化させた場合である。捲取温度が低く,鉄−亜鉛合金被覆中のPと(FeとZn)の積分強度比が0.025を超える場合(No.8),外観グレードは5.0であり,外観品位に劣る。No.9〜12は,鋼Cを種々の温度で捲取り,鉄−亜鉛合金被覆中のP濃化量を変化させた場合である。捲取温度が低く,鉄−亜鉛合金被覆中のPと(FeとZn)の積分強度比が0.025を超える場合(No.11および12),外観グレードは4.0および5.0であり,外観品位に劣る。No.13〜15は,鋼Dを種々の温度で捲取り,鉄−亜鉛合金被覆中のP濃化量を変化させた場合である。捲取温度が低く,鉄−亜鉛合金被覆中のPと(FeとZn)の積分強度比が0.025を超える場合(No.14および15),外観グレードは4.5および5.5であり,外観品位に劣る。なお,No.1〜15の鋼はいずれもコイルに巻き取った後の冷却はコイル最外層部の鋼表面温度が500℃以下となるまで空冷した。
No.16〜23は,鋼A〜Dを種々の温度で捲取り,さらにコイルに巻き取った後の冷却をコイル最外層部の鋼表面温度が500℃より高温の状態で水冷し,鉄−亜鉛合金被覆中のP濃化量を変化させた場合である。このようにして製造したNo.16〜23の鋼は,いずれもめっき後の外観グレードが4.0以上であり,外観品位に劣る。
Figure 0004757622
Figure 0004757622
図1は,No.1〜23の鋼における鉄−亜鉛合金被覆中のPと,(FeとZn)の積分強度比I(P)/I(Fe+Zn)に対する外観グレードの関係である。鉄−亜鉛合金被覆中のPと(FeとZn)の積分強度比I(P)/I(Fe+Zn)は,外観グレードと線形関係にあり,積分強度比I(P)/I(Fe+Zn)が0.025以下であると外観グレードは3以下であり,良好な外観を有する。
表1に示すAの組成の鋼を転炉で溶製し,連続鋳造してスラブとした。そのスラブを1200℃で1時間加熱後,熱間圧延して板厚5mmの熱延鋼板とした。熱延時の仕上げ温度は900℃,捲取温度は780℃であり,捲取後はコイルの最外層部が500℃以下となるまで空冷した。作製した熱延鋼板を10%塩酸中で酸洗した後,冷間圧延して板厚1mmの冷延鋼板とした。その冷延鋼板を,連続溶融めっき設備を用い,均熱温度800℃,均熱時間20秒で焼鈍し,冷却速度20℃/秒で465℃まで冷却した後,浴温460℃のZn−0.13%Alめっき浴に3秒浸漬し,ワイピングで付着量が40〜50g/mとなるように調整し,その後,加熱温度480〜560℃で合金化処理した。作製した合金化溶融亜鉛めっき鋼は,実施例1と同様の方法で各種評価した。評価結果を表4に示す。
No.24とNo.25は,鉄−亜鉛合金層付着量の偏差が異なる場合である。偏差が7g・m-2以下であるNo.24は,偏差が8g・m-2のNo.25よりも外観グレードに勝る。また,No.24とNo.26,No.27はFe含有率,Γ層厚みの違いである。Fe含有率,Γ層厚みが最も小さいNo.24は,No.26,No.27より外観グレード,密着性に優れる。また,No.26とNo.27の比較では,Fe含有率,Γ層厚みがより小さいNo.26の方が外観グレード,密着性に優れる。
Figure 0004757622
表1に示すAの組成の鋼を転炉で溶製し,連続鋳造してスラブとした。そのスラブを1200℃で1時間加熱後,熱間圧延して板厚5mmの熱延鋼板とした。熱延時の仕上げ温度は900℃,捲取温度は780℃である。捲取後はコイルの最外層部が,所定の温度となるまで空冷し,その後水冷した。所定の温度は,約100℃,250℃,350℃,450℃,600℃の5水準実施した。作製した熱延鋼板を10%塩酸中で酸洗した後,冷間圧延して板厚1mmの冷延鋼板とした。その冷延鋼板を,連続溶融めっき設備を用い,均熱温度800℃,均熱時間20秒で焼鈍し,冷却速度20℃/秒で465℃まで冷却した後,浴温460℃のZn−0.13%Alめっき浴に3秒浸漬し,ワイピングで付着量が40〜50g/mとなるように調整し,その後,加熱温度540℃で合金化処理した。作製した合金化溶融亜鉛めっき鋼は,実施例1と同様の方法で各種評価した。評価結果を表5に示す。
No.28〜No.31は,捲取後にコイルの最外層部が500℃以下となるまで空冷した場合で,いずれも外観品位に優れる。低温になるまで空冷した方が外観グレードに優れる傾向にあるが,約100℃まで空冷した場合(No.28)は,その温度になるまで48時間かかり,生産性を大きく落とすことに繋がる。一方,約250℃と約350℃となるまで空冷した場合(それぞれ,No.29,No.30)は,その温度になるまでに要する時間も24時間以内であり,外観品位も良好で,バランスに優れる。また,約600℃となるまで空冷し,その後水冷した場合(No.32)は,外観品位に劣る。
Figure 0004757622
本発明は,例えば自動車,家電製品,建材等に用いられる合金化溶融亜鉛めっき鋼板に適用できる。
実施例1における積分強度比I(P)/I(Fe+Zn)と外観グレードの関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 質量%で,
    C;0.01%以下,
    Si;0.2%以下,
    Mn;2%以下,
    P;0.02〜0.2%,
    S;0.03%以下,
    Al;0.005〜0.1%,
    Ti;0.001〜0.05%,
    Nb;0.001〜0.05%,
    を含有し,残部がFeおよび不可避的不純物からなる低炭素鋼スラブを熱間圧延した後,酸洗し,さらに冷間圧延,焼鈍,溶融亜鉛めっき,加熱合金化処理を施して,合金化溶融亜鉛めっき鋼とする合金化溶融亜鉛めっき鋼の製造方法において,熱間圧延後のコイルの捲取温度を750℃以上とし,さらにその後,巻き取ったコイルの最外層部の表面温度が500℃以下となるまで空冷することを特徴とする外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼の製造方法。
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