JP3356055B2 - 溶融Zn−Al系めっき鋼板のスパングル調整方法 - Google Patents

溶融Zn−Al系めっき鋼板のスパングル調整方法

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JP3356055B2
JP3356055B2 JP12065998A JP12065998A JP3356055B2 JP 3356055 B2 JP3356055 B2 JP 3356055B2 JP 12065998 A JP12065998 A JP 12065998A JP 12065998 A JP12065998 A JP 12065998A JP 3356055 B2 JP3356055 B2 JP 3356055B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建材、家電さらに
は自動車等に使用するのに適した溶融Zn−Al系めっき鋼
板の製造時におけるスパングル模様の調整方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】溶融Zn−Al系めっきは、鋼板の耐食性と
耐候性とをともに改善するために行われ、近年その適用
量が増大している。代表的なものに、Al含有量が0.2 %
(本明細書においては「%」は特にことわりがない限り
「重量%」を意味するものとする。) 未満である溶融亜
鉛めっき、Zn−5%Al合金めっき、Zn−55%Al合金めっ
き等がある。なお、本明細書においては、Al含有量が0.
2 %未満である溶融亜鉛めっきも含めて、これらを総称
して溶融Zn−Al系合金めっきと言う。
【0003】特に、Zn−55%Al合金めっき鋼板は、アル
ミニウムの有する耐久性、耐熱性および熱反射性と、亜
鉛の有する犠牲防食性とを併せ持った高性能のめっき鋼
板として、建材、家電さらには自動車部品等に広く使用
されている。かかるめっき鋼板は、代表的には、Al:55
%、Zn:43.4%およびSi:1.6 %からなる溶融めっき浴
を用いて製造される。AlとZnとの割合は、耐食性を考慮
して決定され、Siは、めっき密着性を阻害する鋼素地と
の合金化反応を抑制するために添加される。
【0004】このZn−55%Al合金めっき鋼板は、Al含有
率が少ない他のZn−Al合金めっき鋼板とは異なり、めっ
き表面が特徴的な銀白色のスパングル模様を呈し、その
意匠性から生地のままで、商工業用および一般用建造物
の屋根や壁等、あるいは器物等に広く利用されている。
【0005】Zn−55%Al合金めっき鋼板のめっき表面に
おけるスパングルの粒径は、溶融めっき条件、特に溶融
めっき後の凝固速度に応じて変動するが、一般に平均で
約0.8 mm以上であるため、スパングル模様は目視で識別
可能である。
【0006】特に、近年、スパングル模様を呈した溶融
Zn−Al系合金めっき鋼板は、外板パネル等に多く使用さ
れる傾向にあり、その多くは人目に容易に触れるため、
製品の納入に際しては、スパングル模様の大きさを管理
する必要性が増している。
【0007】一般に、溶融Zn−Al系合金めっき鋼板のス
パングル粒径は、溶融めっき後の強制冷却時の風量を増
大させて、冷却速度、すなわちめっき皮膜の凝固速度を
高めると小さくなり、逆に風量を低下させると大きくな
ることが知られている。しかし、大気を用いた強制冷却
のみではスパングル粒径に及ぼす効果に限界があり、そ
れ以上またはそれ以下にスパングル粒径をコントロール
するには、別の手段によって行う必要がある。特に、大
気を用いた強制冷却で得られるスパングル粒径よりも小
さくするには、下記に示す方法が一般的に知られてい
る。
【0008】すなわち、めっき皮膜が凝固した後にスキ
ンパス圧下を行ってスパングル模様を消去する方法があ
るが、この方法でスパングルを消去しようとすると、ス
パングルの残りによる外観劣化や、塗装後の外観むらを
生じ易い。また、めっき皮膜がスキンパスロールにピッ
クアップされることに起因して疵が発生したり、ユーザ
によるプレス加工時にスパングル模様が浮き出易いとい
った問題もある。
【0009】さらに、溶融めっき鋼板のめっき直後の未
凝固のめっき面に、固体または液体の微粒子を吹付けて
多数の凝固核を均一に発生させるとともに、急冷するこ
とによりスパングル模様を微細化する技術も種々提案さ
れている。特に、溶融アルミニウムめっき鋼板について
は、例えば、特開昭50−38638 号公報、同63−1432
49号公報さらには同63−153255号公報等に開示され
ている。
【0010】この方法によれば、確かに、Zn−55%Al合
金めっき鋼板のめっき表面の平均スパングル粒径を0.8
mmよりも小さくすることができるが、急冷に伴う前述し
ためっき皮膜の脆化や母材自体の時効劣化等の問題が依
然として解決され得ない。また、この方法を実施するに
は、慣用の溶融めっき設備に微粒子の吹付け装置を付加
する必要があり、コスト高になる。さらに、逆にスパン
グル粒径を大きくするためには、吹付け装置と空冷帯と
を入れ替える必要が生じ、時間的にも大きなロスを生じ
る。
【0011】また、特開昭59−56570 号公報には、めっ
き浴中にSi:3〜15%およびMg:3〜20%を添加するこ
とにより、スパングルが非常に微細で耐食性に優れた溶
融Zn−Al系合金めっき鋼板を製造する発明が開示されて
いる。しかし、このめっき鋼板では、比較的多量のSiと
Mgとがめっき皮膜中に共存することになるため、皮膜中
のSiおよびMgの析出により加工性が劣化するという問題
がある。また、逆にスパングル粒径を大きくするには、
めっき浴中のMg濃度を低減する必要があり、時間的なロ
スや製造量のロスを生じてしまう。
【0012】さらに、特開平9−25550 号公報および同
9−235661号公報のように、スナウト内のガス雰囲気を
制御するとともに母材鋼板の表面研削を行うことによ
り、スパングルの均一性を向上させる方法も開示されて
いるが、これらは、あくまでスパングルのバラツキを抑
制するだけの方法であって、スパングルの大きさを変化
させる制御方法ではない。したがって、この提案によっ
ても、スパングル粒径を所望の値に一定にすることはで
きない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、めっ
き皮膜中にMgのような他元素を存在させず、また微粒子
等の吹付を行うことなく、簡便な手段により、目標とす
るスパングル粒径を確実に得ることができる溶融Zn−Al
系めっき鋼板のスパングル調整方法を提供することであ
る。また、本発明の別の目的は、自動化を可能とする溶
融Zn−Al系合金めっき鋼板のスパングル調整方法を提供
することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した課
題を解決するためには、常にめっき後のスパングル粒径
をオンラインまたはオフライン位置にて測定し、その結
果を、めっき鋼板の製造条件の変更システムにフィード
バックすることで、短時間にスパングル粒径をその目標
粒径に近づけることができることに着目し、空冷以外の
スパングル粒径に寄与する製造条件を検討した。
【0015】ところで、溶融Zn−Al系合金めっき鋼板
は、溶融亜鉛めっきに使用されるような慣用の連続溶融
めっき設備により一般に製造される。代表的な連続溶融
めっき設備では、連続焼鈍炉で焼鈍した母材鋼板 (冷延
鋼板または熱延鋼板) を、スナウトを経て大気に触れる
ことなく溶融めっき浴中に浸漬し、めっき浴から出た直
後にガスワイピングにて所望のめっき付着量に制御し、
冷却帯(通常、空冷) で凝固が完了する温度 (Zn−55%
Al合金めっきでは約370 ℃) 以下まで冷却した後、必要
によりレベラーまたはスキンパスロールで軽く圧下して
巻取る。
【0016】本発明者らは、このような従来の連続溶融
めっき設備をそのまま利用して溶融Zn−Al合金めっき皮
膜のスパングル模様を制御する手段について鋭意検討し
た結果、特に、めっき皮膜組成がAl:0.05〜70%、Si:
0〜7.0 %、残部Znおよび不可避不純物元素から成る組
成である場合、めっき鋼板が冷却帯を通過した直後に、
例えば特願平10−24910 号に示すようなオンライン画像
処理の手段でもってスパングル粒径を計測すれば、フィ
ードバック制御であってもタイムラグは可及的最小限と
なって実質上無視でき、しかも、その結果、冷却帯での
冷却速度ばかりでなく、めっき浴温度、そして冷却帯も
しくはスナウトの露点をも制御因子として、スパングル
粒径を制御できることが判明し、かつ、それらの間にス
パングル粒径に及ぼす影響度および応答性が、冷却速
度、めっき浴温度、そして冷却帯もしくはスナウトの露
点の順に小さくなっていくことが判明し、これらの制御
を適宜組合せることにより、平均スパングル粒径が所望
の範囲であるめっき皮膜を形成することが可能となるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0017】確かに、スパングル模様に関しては、従来
にあっても、めっき後における鋼板巻取り時に、巻取り
の手前にてスパングル模様を確認し、その後に、冷却帯
の冷却条件を変更することが行われている。しかし、か
かる従来法ではスパングル模様の調節に対してタイムラ
グが大きく、目標から大きく外れたスパングル模様を大
量に製造する危険性があること、またスパングル模様の
調節に対して比較的短時間に調節できる冷却のみの使用
に限られてしまうことから、スパングル模様の調節幅が
非常に小さくなってしまう。実際上、スパングル模様を
制御しているとは言えない。
【0018】ここに、本発明は、次の通りである。 (1) Al:0.05〜70重量%、Si:0〜7.0 重量%、残部Zn
および不可避不純物元素から成る組成を有する溶融Zn−
Al系めっき浴に鋼板をスナウトを介して連続的に侵入さ
せて溶融めっきを行うことによりめっき鋼板とし、前記
溶融Zn−Al系めっき浴の上方に配置された冷却帯を有す
る冷却装置により冷却して、溶融Zn−Al系めっき鋼板を
製造する際のスパングルを調整する方法であって (i) 前記めっき鋼板のめっき皮膜表面に生じたスパング
ル粒径S 1 とその目標粒径Sとの偏差|S−S 1 |を求
める段階、 (ii)|S−S 1 |の大きさが所定値以下の場合、そのま
まめっき鋼板の製造を続ける段階、 (iii) |S−S 1 |の大きさが所定値を越える場合、そ
の大きさに応じて、1)めっき後の冷却速度を変化させる
こと、2)めっき浴のめっき浴温度を変化させること、3)
冷却帯もしくはスナウトの露点を変化させること、の順
序で行うこと|S−S 1 |の大きさを上記所定値以下と
する段階、 を含むことを特徴とする溶融Zn−Al系めっき
鋼板のスパングル調整方法。(2) Al:0.05〜70重量%、Si:0〜7.0 重量%、残部Zn
および不可避不純物元素から成る組成を有する溶融Zn−
Al系めっき浴に鋼板をスナウトを介して連続的に侵入さ
せて溶融めっきを行うことによりめっき鋼板とし、前記
溶融Zn−Al系めっき浴の上方に配置された冷却帯を有す
る冷却装置により冷却して、溶融Zn−Al系めっき鋼板を
製造する際のスパングルを調整する方法であって (i) 前記めっき鋼板のめっき皮膜表面に生じたスパング
ル粒径S 1 とその目標粒径Sとの偏差|S−S 1 |を求
める段階、 (ii)|S−S 1 |を予め定めた定数K 1 、K 2 (0<K 2
<K 1 )により、K 1 、K 1 +K 2 の場合分けを行う段階、 (iii) 前記偏差|S−S 1 |が所定値K 1 以下であると
きは、そのままめっき鋼板の製造を続ける段階、 (iv)前記偏差|S−S 1 |が前記所定値K 1 を越えると
きは、前記溶融Zn−Al系めっき浴のめっき浴温度、およ
び前記冷却帯もしくは前記スナウトの露点のいず れか一
つを変化させて、前記偏差|S−S 1 |を前記所定値K
1 以下とする段階、 (v) 前記偏差|S−S 1 |が所定値K 1 +K 2 を超える
ときは、めっき後の冷却速度に加えてめっき浴温度を変
化させて、前記偏差|S−S 1 |を前記所定値K 1 以下
とする段階、を含むことを特徴とする溶融Zn−Al系めっ
き鋼板のスパングル調整方法。 (3) Al:0.05〜70重量%、Si:0〜7.0 重量%、残部Zn
および不可避不純物元素から成る組成を有する溶融Zn−
Al系めっき浴に鋼板をスナウトを介して連続的に侵入さ
せて溶融めっきを行うことによりめっき鋼板とし、前記
溶融Zn−Al系めっき浴の上方に配置された冷却帯を有す
る冷却装置により冷却して、溶融Zn−Al系めっき鋼板を
製造する際のスパングルを調整する方法であって (i) 前記めっき鋼板のめっき皮膜表面に生じたスパング
ル粒径S 1 とその目標粒径Sとの偏差|S−S 1 |を求
める段階、 (ii)|S−S 1 |を予め定めた定数K 1 、K 2 、K 3 (0
<K 3 <K 2 <K 1 )により、K 1 、K 1 +K 2 、K 1 +K 2 +
3 の場合分けを行う段階、 (iii) 前記偏差|S−S 1 |が所定値K 1 以下であると
きは、そのままめっき鋼板の製造を続ける段階、 (iv)前記偏差|S−S 1 |が前記所定値K 1 を越えると
きは、前記溶融Zn−Al系めっき浴のめっき浴温度、およ
び前記冷却帯もしくは前記スナウトの露点のいずれか一
つを変化させて、前記偏差|S−S 1 |を前記所定値K
1 以下とする段階、 (v) 前記偏差|S−S 1 |が所定値K 1 +K 2 を超える
ときは、めっき後の冷却速度に加えてめっき浴温度を変
化させて、前記偏差|S−S 1 |を前記所定値K 1 以下
とする段階、 (vi)前記偏差|S−S 1 |が所定値K 1 +K 2 +K 3
超えるときは、めっき後の冷却速度を制御するととも
に、前記溶融Zn−Al系めっき浴へストリップが侵入する
以前の工程でストリップ表面の研削量を変更することに
より、前記偏差|S−S 1 |を前記所定値K 1 以下とす
る段階、を含むことを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼
板のスパングル調整方法。 (4) Al:0.05〜70重量%、Si:0〜7.0 重量%、残部Zn
および不可避不純物元素から成る組成を有する溶融Zn−
Al系めっき浴に鋼板をスナウトを介して連続的に侵入さ
せて溶融めっきを行うことによりめっき鋼板とし、前記
溶融Zn−Al系めっき浴の上方に配置された冷却帯を有す
る冷却装置により冷却して、溶融Zn−Al系めっき鋼板を
製造する際のスパングルを調整する方法であって (i) 前記めっき鋼板のめっき皮膜表面に生じたスパング
ル粒径S 1 とその目標粒径Sとの偏差|S−S 1 |を求
める段階、 (ii)|S−S 1 |を予め定めた定数K 1 、K 2 、K 3 (0
<K 3 <K 2 <K 1 )により、K 1 、K 1 +K 2 、K 1 +
3 、K 1 +K 2 +K 3 の場合分けを行う段階、 (iii) 前記偏差|S−S 1 |が所定値K 1 以下であると
きは、そのままめっき鋼板の製造を続ける段階、 (iv)前記偏差|S−S 1 |が前記所定値K 1 を越えると
きは、前記溶融Zn−Al系めっき浴のめっき浴温度、およ
び前記冷却帯もしくは前記スナウトの露点のいずれか一
つを変化させて、前記偏差|S−S 1 |を前記所定値K
1 以下とする段階、 (v) 前記偏差|S−S 1 |が所定値K 1 +K 3 を超える
ときは、めっき後の冷却速度に加えてめっき浴温度を変
化させて、前記偏差|S−S 1 |を前記所定値K 1 以下
とする段階、 (vi)前記偏差|S−S 1 |が所定値K 1 +K 2 を超える
ときは、めっき後の冷却速度に加えて、前記冷却帯もし
くは前記スナウトの前記露点を変化させて、前記偏差|
S−S 1 |を前記所定値K 1 以下とする段階、および (vii) 前記偏差|S−S 1 |が所定値K 1 +K 2 +K 3
を超えるときは、めっき後の冷却速度を制御するととも
に、前記溶融Zn−Al系めっき浴へストリップが侵入する
以前の工程でストリップ表面の研削量を変更することに
より、前記偏差|S−S 1 |を前記所定値K 1 以下とす
る段階、を含むことを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼
板のスパングル調整方法。 (5) さらに、前記スパングル粒径S 1 を冷却後可及的速
やかな時期に計測する段階を含む上記(1) ないし(4) の
いずれかに記載の溶融Zn−Al系めっき鋼板のスパングル
調整方法。 (6) 前記研削量を0.2g/m 2 以上に変更する上記(2) ない
し(5) のいずれかに記載の溶融Zn−Al系めっき鋼板のス
パングル調整方法。
【0019】上記の本発明にかかる溶融Zn−Al系めっき
鋼板のスパングル調整方法では、スパングル粒径S1
冷却後可及的速やかな時期に計測する段階を含むこと
が、フィードバック制御であってもタイムラグを実質上
無視できる程度に小さくできるために、望ましい。
【0020】これらの本発明にかかる溶融Zn−Al系めっ
き鋼板のスパングル調整方法では、偏差|S−S1
が所定値K1 +K2 (ただし0<K2 <K1 )を超える
ときは、めっき後の冷却速度に加えてめっき浴温度を変
化させること、偏差|S−S1 |が所定値K1 +K3
(ただし0<K3 <K1 ) を超えるときは、めっき後の
冷却速度に加えて、冷却帯もしくはスナウトの露点を変
化させることにより、いずれの場合にも、偏差|S−S
1 |を所定値K1 以下とすることが、望ましい。
【0021】さらに、これらの本発明にかかる溶融Zn−
Al系めっき鋼板のスパングル調整方法では、偏差|S−
1 |が所定値K1 +K2 +K3 (ただし0<K2 <K
1 )を超えるときは、めっき後の冷却速度を制御すると
ともに、溶融Zn−Al系めっき浴へストリップが侵入する
以前の工程でストリップ表面の研削量を例えば0.2 g/m2
以上へ変更することにより、偏差|S−S1 |を所定値
1 以下とすることが、偏差|S−S1 |が大きいため
に、めっき後の冷却速度、めっき浴温度および、冷却帯
もしくはスナウトの露点を変化させても目標の粒径Sが
得られない場合に、有効である。
【0022】ここに、目標とするスパングル粒径Sが、
例えば平均粒径0.8 mmであるとすると、所定値K1 は0.
3 mmを、所定値K2 は0.2 mmを、そして所定値K3 は0.
15mmをそれぞれ例示することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。図1は、本発明にかかるスパングル調整方法を実
施するための溶融Zn−Al系めっきライン10の模式的説明
図である。
【0024】図1において、焼鈍炉11において予め加熱
された鋼板 (ストリップ) 12は、スナウト13を経て大気
に触れることなく、めっき槽14に収容された溶融Zn−Al
系のめっき浴15に連続的に侵入し、めっき浴15内に浸漬
配置された浸漬ロール16を周回してめっき槽外へ引上げ
られてめっき鋼板12' とされ、適宜冷却装置を備えた冷
却帯17へ送られ、ここでめっき皮膜は冷却され、所定の
スパングル模様を形成し、後段の巻取り工程 (図示しな
い。) へ送られてコイルに巻取られる。
【0025】ここに、本発明の好適態様によれば、冷却
帯17を出た時点でオフラインまたはオンラインでスパン
グル粒径S1 が計測される。このときのデータS1 は、
演算機18へ送られ、予め入力されている目的とするスパ
ングル粒径等のデータSと比較されて、偏差|S−S1
|が求められる。
【0026】本発明では、求めた偏差|S−S1 |に基
づいて、演算機18から、(1) 溶融Zn−Al系めっき浴15の
めっき浴温度、および冷却帯17もしくはスナウト13の露
点のいずれか一つ、(2) めっき後の冷却速度に加えてめ
っき浴温度、(3) めっき後の冷却速度に加えて、冷却帯
17もしくはスナウト13の露点、さらには(4) めっき後の
冷却速度を制御するとともに、溶融Zn−Al系めっき浴15
へ鋼板12が侵入する以前の工程で鋼板12の表面の研削量
を変更することを行う制御信号cが、各機器に出力され
る。
【0027】これにより、冷却帯17を有する冷却装置に
よる鋼板12' に対する冷却力が変更され、冷却帯17を出
た時点におけるめっき鋼板12' のスパングル粒径が、目
標値に近づくように制御される。
【0028】(めっき皮膜およびめっき浴組成)本発明に
よれば、めっき浴15の組成は、Al:0.05〜70%、Si:0
〜7.0 %、残部Znおよび不可避不純物である。得られる
めっき皮膜の組成は、このめっき浴15の組成と実質的に
同一となる。
【0029】Al:0.05〜70% 本発明では、めっき浴14のAl含有率は0.05%以上70%以
下と限定する。Al含有率が0.05%未満では、溶融亜鉛め
っきにおいて母材である鋼板12のZnめっき浴中のZnが合
金化を起こし易くなり、加工性が劣化する。一方、Al含
有率が70%を超えると、Alリッチ相が増大するため、Zn
の犠牲防食性が小さくなり、耐食性が再び低下する。そ
こで、本発明では、Al含有率は0.05%以上70%以下と限
定する。同様の観点から、Al含有量は、0.10%以上0.20
%以下、または40%以上60%以下が好ましい。
【0030】Si:0〜7.0 Siは、めっき皮膜と鋼板12との界面に生成する脆いFe−
Al合金層の発達を抑制するために従来よりZn−Al系合金
めっき浴に添加されてきた。前述したように、Zn−55%
Al合金溶融めっきでは、この目的で1.6 %程度のSiを含
有させるのが普通であった。本発明では、次に述べる理
由により、Si含有率を0〜7.0 %に限定する。
【0031】溶融Znめっきにおいては、AlがFe−Zn合金
層の発達抑制を行うために、Siは必要ない。逆にSiを添
加すると、めっき浴温度がZn−55%Al合金めっきの場合
よりも低いために、不めっき等のめっき欠陥を引き起こ
す原因となる。一方、高Alを含有するZn−Al系合金めっ
きでは、Si濃度はAlとの重量比で2.0 〜7.0 %混入させ
るのが適当である。
【0032】例えばZn−55%Al系合金めっきでは、Siの
適正配合量は2〜4%である。2%未満であると、上述
のように脆いFe−Al合金層が異常発達し加工性に悪影響
を与える。また、4%超の場合、合金層が非常に薄くな
り、さらにめっき皮膜中にSiの針状析出物が多量に析出
するために加工性を劣化させる。
【0033】そこで、本発明では、Si含有率は、0%以
上7.0 %以下と限定する。同様の観点から、Si含有率
は、好ましくは0〜5.0 %である。なお、本発明では、
溶融Znめっきの場合には、Siの含有量は不可避混入分程
度であることが望ましく、高Al−Zn系合金めっきの場合
には、Al濃度の2.0 %以上3.5 %以下であることが望ま
しい。
【0034】(スパングル粒径の測定)Al含有率が40〜70
%のZn−Al系合金めっき皮膜の表面に現れるスパングル
とは、凝固時に核から伸びているAlリッチの一次デンド
ライト結晶 (Al一次デンドライト晶) に囲まれた領域で
ある。したがって、本発明では、この領域の径がスパン
グル粒径S1 である。なお、この一次デンドライト晶か
ら伸びているのが、Al二次デンドライト晶である。
【0035】本発明における、冷却帯17を出た時点にお
けるスパングル粒径S1 の測定は、オフラインで測定す
る場合、めっき鋼板12' が冷却帯17を通過した直後に、
例えば特願平10−24910 号に示すようなオンライン画像
処理手段 (図示しない。) により、例えばめっき鋼板1
2' の表面拡大写真 (例えば3倍拡大) または拡大像を
用いて、一定距離 (例えば100 mm) 間のスパングル個数
を測定することにより計測され、 [測定距離/スパング
ル個数] により、平均スパングル粒径S1 が、冷却後可
及的速やかな時期に算出される。
【0036】ここで、特願平10−24910 号に示すオンラ
イン画像処理手段とは、略述すれば、光源からめっき表
面に光を照射した際にスパングルからの反射光のみを取
り込むことにより撮像される拡大静止画像でもって、個
々のスパングルの濃淡を読み取り、粒度分布より平均ス
パングル径を算出する画像処理手段であって、拡大静止
画像では、撮像領域の背景が略黒色であってスパングル
のみが略白色として、抽出される。この画像処理手段に
よって、スパングル粒径S1 を計測すれば、フィードバ
ック制御であってもそのタイムラグを実質上無視できる
程度に可及的最小限とすることができる。そのため、ス
パングル粒径S1 の調整に、これまでも用いられてきた
冷却帯17での冷却速度以外に、めっき浴温度、そして冷
却帯17もしくはスナウト13の露点をも制御因子として用
いることを可能とする。
【0037】一方、オンラインで冷却帯17を出た時点に
おけるスパングル粒径S1 を測定するには、例えば光学
的な画像処理装置 (図示しない。) によって、デンドラ
イト組織で囲まれたスパングルの平均粒径S1 を計測す
る等により測定してもよい。また、測定位置は、めっき
鋼板12' の板幅方向に関してはある幅位置で固定した
り、スキャンしたりしてもよく、また、めっき鋼板12'
の長さ方向に関しては、めっき層が凝固してから巻取る
までの間であれば測定可能である。望ましくは、めっき
皮膜の凝固位置に近いほど、操業条件変更へのフィード
バックを早期に行うことができ、フィードバック制御の
タイムラグを最小限とすることができ、有効である。
【0038】このように、本発明の好適態様にあっては
めっき鋼板12' が冷却帯17を通過した直後であって可及
的速やかな時期に、スパングル粒径S1 を測定する。こ
のようにして、冷却後に測定されたスパングル粒径S1
は、演算機17等を有する操業システムに入力する等によ
り、目標とするスパングル粒径Sとの偏差|S−S1
を求め、この偏差|S−S1 |の大きさにしたがって、
演算機17から各機器へ制御信号cを出力することにより
操業条件の自動変更を行い、計測したスパングル粒径S
1 を目標とするスパングル粒径Sに収束させていく。
【0039】目標とするスパングル粒径Sとの偏差|S
−S1 |を0とするようにスパングル粒径S1 を調節す
る製造条件としては各種あるが、本発明では、スパング
ル粒径S1 に対する影響度から、特に、(1) 溶融Zn−Al
系めっき浴15のめっき浴温度、および冷却帯17もしくは
スナウト13の露点のいずれか一つ、(2) めっき後の冷却
速度に加えてめっき浴温度、(3) めっき後の冷却速度に
加えて、冷却帯17もしくはスナウト13の露点、さらには
(4) めっき後の冷却速度を制御するとともに、溶融Zn−
Al系めっき浴15へ鋼板12が侵入する以前の工程で鋼板12
の表面の研削量を、それぞれ変更する。
【0040】すなわち、スパングル粒径S1 に対する影
響度は、めっき浴温度、および冷却帯17もしくはスナウ
ト13の露点のいずれか一つが最も小さく、次は、これら
とめっき後の冷却速度、およびめっき浴温度と、めっき
後の冷却速度、および冷却帯17もしくはスナウト13の露
点とが略均等であり、さらに、これらと、めっき後の冷
却速度、および溶融Zn−Al系めっき浴15へ鋼板12が侵入
する以前の工程で鋼板12の表面の研削量とが最も大き
い。
【0041】そこで、本発明では、偏差|S−S1 |の
大きさに応じて、上記の各制御因子(1) 〜(4) のいずれ
かを用いることにより、目標とするスパングル粒径S
を、偏差|S−S1 |の大きさにかかわらず、常に迅速
に実現することができる。
【0042】ここで、本発明においてこれらの製造条件
を変更する理由を、各条件毎に詳細に説明する。
【0043】(めっき浴15のめっき浴温度)めっき浴15の
温度の変更によってスパングル粒径S1 を制御するもの
であるが、めっき浴15の温度が高くなると、鋼板12とめ
っき層との界面に生成する合金層が不均一に成長し易く
なり、その結果として、Alのデンドライト成長が阻害さ
れてスパングル粒径が小さくなる。また、めっき後の冷
却開始温度 (ストリップ温度) が高くなるために、空冷
時の核発生が多くなり、スパングル粒径S1 が小さくな
る。
【0044】逆に、めっき浴15の温度が低くなると、鋼
板12とめっき層との界面に生成する合金層は比較的薄く
均一に成長するため、Alのデンドライト成長がスムーズ
に進行し、スパングル粒径S1 が大きくなる。
【0045】めっき浴15の温度は、585 〜620 ℃の範囲
で変化させ、好ましくは590 〜610℃の範囲で変化させ
る。めっき浴15の温度が620 ℃を越えると、鋼板12とめ
っき層との界面に生成する合金層が厚くなり過ぎ、加工
性に悪影響を与える。さらに、スナウト13内でのZnの蒸
発量が多くなり、炉内壁面等に凝集してめっき浴15の侵
入前の鋼板12の表面に付着し、不めっき等の欠陥を誘発
させるおそれがある。
【0046】一方、めっき浴15の温度が585 ℃を下回る
と、めっき浴15の凝固温度(570℃)に近くなり、めっき
浴15の鋼板12との界面との反応性が著しく減少し、めっ
き密着性が劣化する。さらに、めっき浴15の粘度も上昇
し、表面性状が悪化する。
【0047】めっき浴15のめっき浴温度を調整すること
により、本発明の場合には、目標(例えば平均粒径:0.
8mm)に対し±0.2mm 程度のスパングル粒径を変更するこ
とができる。
【0048】(冷却帯17もしくはスナウト13内の露点)冷
却帯17もしくはスナウト13内の露点を変化させることに
より、還元された鋼板12またはめっき鋼板12' の表面に
新たに、薄い酸化皮膜を生成させ、その厚みをコントロ
ールする。
【0049】露点が高いと、還元された鋼板12またはめ
っき鋼板12' の表面に生成するミクロポアを有した酸化
皮膜厚みが大きくなり、その結果、鋼板12とめっき層と
の間の界面に生成する合金層の結晶が小さくなり、Alの
デンドライト成長がスムーズになり、スパングル粒径S
1 が大きくなる。一方、露点が低いと、還元された鋼板
12またはめっき鋼板12' との反応性が主となり、その結
果、鋼板12のフェライト粒界と粒内での反応性の違いか
ら、合金層が不均一に生成し、Alのデンドライト成長が
阻害され、スパングル粒径S1 が小さくなる。
【0050】変化させる露点の範囲は、−15℃〜−75℃
であり、好ましくは−20℃〜−70℃である。露点が−15
℃より高いと、鋼板12の表面に生成する酸化皮膜が厚く
なり過ぎ、不めっきの発生やトップドロスの増加が起こ
る。一方、露点が−75℃より低いと、スナウト13内の浴
面からのZn蒸発量が多くなり、炉内壁面等に凝集して、
めっき浴15へ侵入する前の鋼板12上に付着し、不めっき
等の欠陥を誘発させるおそれがある。
【0051】冷却帯17もしくはスナウト13内の露点を調
整することにより、本発明の場合には、目標(例えば平
均粒径:0.8mm)に対し±0.3mm 程度のスパングル粒径を
変更することができる。
【0052】(めっき後冷却速度)めっき後冷却速度の変
更によってスパングル粒径S1 の制御を行うものである
が、これは一般的に用いられている強制空冷帯が冷却帯
17としてそのまま使用される。したがって、めっき後の
冷却速度を増加させるためには、冷却帯17における風量
を増加させ、冷却速度を低下させるためには、風量を低
下すればよい。冷却帯17の冷却能力は、冷却設備の送風
能力、めっき鋼板12' との間の距離、長さ等に依存し、
通過するめっき鋼板12' の温度、板厚さらには速度等に
依存する。操業中には、めっき鋼板12' の板厚および通
過速度等の条件が変化し易いために、冷却帯17は、操業
可能な範囲で約30℃/sの冷却速度を得ることが可能な設
備であることが望ましい。
【0053】しかし、めっき後のめっき鋼板12' の冷却
速度が25℃/s超になると、スパングルの小径化が起こり
難くなってしまい (後述する図2参照) 、急冷によるめ
っき自体の硬度上昇のために加工性が劣化し、さらに
は、設備が肥大化してコストアップの原因にもなる。そ
こで、冷却帯17の設備能力は、25℃/s以下であることが
望ましい。
【0054】このような冷却速度の範囲において、スパ
ングル粒径S1 を迅速にかつ有効に変化させることが可
能なスパングル粒径は、目標 (例えば平均粒径:0.8 m
m) に対し約±0.3 mmである。したがって、目標スパン
グル粒径の±0.3 mm以内に対しては、迅速にかつ有効に
スパングル粒径を変化させることが可能な、冷却帯17の
風量調節によるスパングル粒径制御が有効である。
【0055】(鋼板12の表面の研削量)鋼板12の表面の研
削量を変化させることは、鋼板12の表面層の均一反応活
性面を生成させ、反応面積を増加させる。
【0056】そのために、鋼板12とめっき層との界面の
合金層が均一に生成し、Alのデンドライト成長がスムー
ズになり、スパングル粒径S1 が大きくなる。ここで、
変化させる鋼板12の表面の研削量の範囲は、0.2 g/m2
上であり、好ましくは0.5 g/m2以上14g/m2以下である。
研削量が0.2 g/m2より小さいと、表面の活性面が逆に不
均一に出現するために、スパングル粒径S1 を大きくす
る効果は小さい。また、研削量が14g/m2超であると、ス
パングル粒径S1 に対する影響が小さくなるとともに、
鋼板12の板厚の減少も無視できないレベルになり、さら
に研削ブラシ等のコストアップも発生する。
【0057】以上詳細に説明した本発明により、めっき
皮膜中にMgのような他元素を存在させず、また微粒子等
の吹付を行うことなく、簡便な手段により、目標とする
スパングル粒径を確実に得ることができる溶融Zn−Al系
めっき鋼板のスパングル調整方法を提供することができ
る。この方法の実施に際しては、図1に示すように、自
動制御を行うことも可能である。
【0058】
【実施例】[実施例1]本例では、溶融55%Al−Zn浴15を
有する、図1に示す連続式溶融めっきライン10におい
て、片面当たりのめっき付着量が75mg/m2 である溶融め
っきを施した後、冷却帯17にてライン速度90m/min の鋼
板12を冷却速度15〜25℃/sで変化させ、目標とするスパ
ングル粒径Smm(0.8mm) に、めっき後測定されたスパン
グル粒径S1 の情報より制御調節した。なお、本例は、
得られているスパングル粒径S1がK1 ≦|S−S1
(ただし、K1=0.3mm)の場合である。
【0059】結果を、図2にグラフにまとめて示す。な
お、図2および後述する図3〜図5においては、実線は
冷却装置の冷却能力を制御した本発明例を示し、一点鎖
線は制御しない従来例をそれぞれ示す。図2から、従来
例に比較すると、本発明例によれば、スパングル粒径S
1 の制御精度が向上し、目標とするスパングル粒径Sに
大幅に近づけることができた。
【0060】[実施例2]本例では、溶融55%Al−Zn浴15
を有する、図1に示す連続式溶融めっきライン10におい
て、片面当たりのめっき付着量が75mg/m2 である溶融め
っきを施した後、冷却帯17にてライン速度90m/min の鋼
板12を冷却速度15〜25℃/sで変化させ、さらに、目標と
するスパングル粒径Smm(0.8mm) に、めっき後測定され
たスパングル粒径S1 の情報より制御調節した。なお、
本例は、得られているスパングル径S1 がK1 +K2
|S−S1 | (K1=0.3mm 、K2=0.2mm)の場合である。
【0061】結果を、図3にグラフにまとめて示す。図
3から、従来例に比較すると、本発明例によれば、スパ
ングル粒径S1 の制御精度が向上し、目標とするスパン
グル粒径Sに大幅に近づけることができた。
【0062】[実施例3]本例では、溶融55%Al−Zn浴15
を有する、図1に示す連続式溶融めっきライン10におい
て、片面当たりのめっき付着量が75mg/m2 である溶融め
っきを施した後、冷却帯17にてライン速度90m/min の鋼
板12を冷却速度15〜25℃/sで変化させるとともに、スナ
ウト13内の露点を変化させ、目標とするスパングル粒径
Sに、めっき後測定されたスパングル粒径S1 の情報よ
り制御調節した。なお、本例は、得られているスパング
ル径S1 がK1 +K3 ≦|S−S1 | (K1=0.3mm 、K3
=0.15mm) の場合である。
【0063】結果を、図4にグラフにまとめて示す。図
4から、従来例に比較すると、本発明例によれば、スパ
ングル粒径S1 の制御精度が向上し、目標とするスパン
グル粒径Sに大幅に近づけることができた。
【0064】[実施例4]本例では、溶融55%Al−Zn浴15
を有する、図1に示す連続式溶融めっきライン10におい
て、片面当たりのめっき付着量が75mg/m2 である溶融め
っきを施した後、冷却帯17にてライン速度90m/min の鋼
板12を冷却速度15〜25℃/sで変化させるとともに、鋼板
12に対する研削量を変化させ、目標とするスパングル粒
径Sに、めっき後測定されたスパングル粒径S1 の情報
より制御調節した。なお、本例は、得られているスパン
グル径S1 がK1 +K2 +K3 ≦|S−S1 | (K1=0.
3mm 、K2=0.2mm 、K3=0.15mm) の場合である。
【0065】結果を、図5にグラフにまとめて示す。図
5から、従来例に比較すると、本発明例によれば、スパ
ングル粒径S1 の制御精度が向上し、目標とするスパン
グル粒径Sに大幅に近づけることができた。
【0066】
【発明の効果】本発明により、従来の連続溶融めっき設
備を改造せずにそのまま利用して、加工性や耐食性を劣
化させることなく、製造時に目標とする溶融Zn−Al系合
金めっき鋼板のスパングル模様を得ることが可能とな
る。
【0067】このめっき鋼板は、Zn−55%Al系合金めっ
き鋼板で代表される優れた耐食性と、過酷な曲げ加工に
耐える良好な加工性とを有しており、意匠性の高い外観
を有するため、塗装せずに生地のまま、建材、家電製
品、その他の器物などに使用できる。また、スパングル
模様が均一であるために無塗装のまま、建材、家電等の
外板パネル類に最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する連続式溶融めっきラインのス
ケルトン図である。
【図2】実施例1によるスパングル制御効果を比較例と
ともに示すグラフである。
【図3】実施例2によるスパングル制御効果を比較例と
ともに示すグラフである。
【図4】実施例3によるスパングル制御効果を比較例と
ともに示すグラフである。
【図5】実施例4によるスパングル制御効果を比較例と
ともに示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−25550(JP,A) 特開 平5−125515(JP,A) 特開 平8−269664(JP,A) 特開 昭54−21759(JP,A) 特開 昭61−133371(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al:0.05〜70重量%、Si:0〜7.0 重量
    %、残部Znおよび不可避不純物元素から成る組成を有す
    る溶融Zn−Al系めっき浴に鋼板をスナウトを介して連続
    的に侵入させて溶融めっきを行うことによりめっき鋼板
    とし、前記溶融Zn−Al系めっき浴の上方に配置された冷
    却帯を有する冷却装置により冷却して、溶融Zn−Al系め
    っき鋼板を製造する際のスパングルを調整する方法であ
    って (i) 前記めっき鋼板のめっき皮膜表面に生じたスパング
    ル粒径S1 とその目標粒径Sとの偏差|S−S1 |を求
    める段階、 (ii)|S−S1 |の大きさが所定値以下の場合、そのま
    まめっき鋼板の製造を続ける段階、 (iii) |S−S1 |の大きさが所定値を越える場合、そ
    の大きさに応じて、1)めっき後の冷却速度を変化させる
    こと、2)めっき浴のめっき浴温度を変化させること、3)
    冷却帯もしくはスナウトの露点を変化させること、の順
    序で行うこと|S−S1 |の大きさを上記所定値以下と
    する段階、 を含むことを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼板のスパ
    ングル調整方法。
  2. 【請求項2】 Al:0.05〜70重量%、Si:0〜7.0 重量
    %、残部Znおよび不可避不純物元素から成る組成を有す
    る溶融Zn−Al系めっき浴に鋼板をスナウトを介して連続
    的に侵入させて溶融めっきを行うことによりめっき鋼板
    とし、前記溶融Zn−Al系めっき浴の上方に配置された冷
    却帯を有する冷却装置により冷却して、溶融Zn−Al系め
    っき鋼板を製造する際のスパングルを調整する方法であ
    って (i) 前記めっき鋼板のめっき皮膜表面に生じたスパング
    ル粒径S1 とその目標粒径Sとの偏差|S−S1 |を求
    める段階、 (ii)|S−S1 |を予め定めた定数K1 、K2(0<K2
    <K1)により、K1 、K1+K2 の場合分けを行う段階、 (iii) 前記偏差|S−S1 |が所定値K1 以下であると
    きは、そのままめっき鋼板の製造を続ける段階、 (iv)前記偏差|S−S1 |が前記所定値K1 を越えると
    きは、前記溶融Zn−Al系めっき浴のめっき浴温度、およ
    び前記冷却帯もしくは前記スナウトの露点のいずれか一
    つを変化させて、前記偏差|S−S1 |を前記所定値K
    1 以下とする段階、 (v) 前記偏差|S−S1 |が所定値K1 +K2 を超える
    ときは、めっき後の冷却速度に加えてめっき浴温度を変
    化させて、前記偏差|S−S1 |を前記所定値K1 以下
    とする段階、を含むことを特徴とする溶融Zn−Al系めっ
    き鋼板のスパングル調整方法。
  3. 【請求項3】 Al:0.05〜70重量%、Si:0〜7.0 重量
    %、残部Znおよび不可避不純物元素から成る組成を有す
    る溶融Zn−Al系めっき浴に鋼板をスナウトを介して連続
    的に侵入させて溶融めっきを行うことによりめっき鋼板
    とし、前記溶融Zn−Al系めっき浴の上方に配置された冷
    却帯を有する冷却装置により冷却して、溶融Zn−Al系め
    っき鋼板を製造する際のスパングルを調整する方法であ
    って(i) 前記めっき鋼板のめっき皮膜表面に生じたスパ
    ングル粒径S1 とその目標粒径Sとの偏差|S−S1
    を求める段階、 (ii)|S−S1 |を予め定めた定数K1 、K2 、K3(0
    <K3 <K2 <K1)により、K1 、K1+K2 、K1+K2+
    3 の場合分けを行う段階、 (iii) 前記偏差|S−S1 |が所定値K1 以下であると
    きは、そのままめっき鋼板の製造を続ける段階、 (iv)前記偏差|S−S1 |が前記所定値K1 を越えると
    きは、前記溶融Zn−Al系めっき浴のめっき浴温度、およ
    び前記冷却帯もしくは前記スナウトの露点のいずれか一
    つを変化させて、前記偏差|S−S1 |を前記所定値K
    1 以下とする段階、 (v) 前記偏差|S−S1 |が所定値K1 +K2 を超える
    ときは、めっき後の冷却速度に加えてめっき浴温度を変
    化させて、前記偏差|S−S1 |を前記所定値K1 以下
    とする段階、 (vi)前記偏差|S−S1 |が所定値K1 +K2 +K3
    超えるときは、めっき後の冷却速度を制御するととも
    に、前記溶融Zn−Al系めっき浴へストリップが侵入する
    以前の工程でストリップ表面の研削量を変更することに
    より、前記偏差|S−S1 |を前記所定値K1 以下とす
    る段階、 を含むことを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼板のスパ
    ングル調整方法。
  4. 【請求項4】 Al:0.05〜70重量%、Si:0〜7.0 重量
    %、残部Znおよび不可避不純物元素から成る組成を有す
    る溶融Zn−Al系めっき浴に鋼板をスナウトを介して連続
    的に侵入させて溶融めっきを行うことによりめっき鋼板
    とし、前記溶融Zn−Al系めっき浴の上方に配置された冷
    却帯を有する冷却装置により冷却して、溶融Zn−Al系め
    っき鋼板を製造する際のスパングルを調整する方法であ
    って (i) 前記めっき鋼板のめっき皮膜表面に生じたスパング
    ル粒径S1 とその目標粒径Sとの偏差|S−S1 |を求
    める段階、 (ii)|S−S1 |を予め定めた定数K1 、K2 、K3(0
    <K3 <K2 <K1)により、K1 、K1+K2 、K1+
    3 、K1+K2+K3 の場合分けを行う段階、 (iii) 前記偏差|S−S1 |が所定値K1 以下であると
    きは、そのままめっき鋼板の製造を続ける段階、 (iv)前記偏差|S−S1 |が前記所定値K1 を越えると
    きは、前記溶融Zn−Al系めっき浴のめっき浴温度、およ
    び前記冷却帯もしくは前記スナウトの露点のいずれか一
    つを変化させて、前記偏差|S−S1 |を前記所定値K
    1 以下とする段階、 (v) 前記偏差|S−S1 |が所定値K1 +K3 を超える
    ときは、めっき後の冷却速度に加えてめっき浴温度を変
    化させて、前記偏差|S−S1 |を前記所定値K1 以下
    とする段階、 (vi)前記偏差|S−S1 |が所定値K1 +K2 を超える
    ときは、めっき後の冷却速度に加えて、前記冷却帯もし
    くは前記スナウトの前記露点を変化させて、前記偏差|
    S−S1 |を前記所定値K1 以下とする段階、および (vii) 前記偏差|S−S1 |が所定値K1 +K2 +K3
    を超えるときは、めっき後の冷却速度を制御するととも
    に、前記溶融Zn−Al系めっき浴へストリップが侵入する
    以前の工程でストリップ表面の研削量を変更することに
    より、前記偏差|S−S1 |を前記所定値K1 以下とす
    る段階、 を含むことを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼板のスパ
    ングル調整方法。
  5. 【請求項5】 さらに、前記スパングル粒径S1 を冷却
    後可及的速やかな時期に計測する段階を含む請求項1な
    いし4のいずれかに記載の溶融Zn−Al系めっき鋼板のス
    パングル調整方法。
  6. 【請求項6】 前記研削量を0.2g/m2 以上に変更する請
    求項2ないし5のいずれかに記載の溶融Zn−Al系めっき
    鋼板のスパングル調整方法。
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