JP4508378B2 - プレス成形性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、耐食性,塗装性,塗装後密着性,溶接性に優れていることから、家電製品,自動車用車体を始めとする種々の分野で防錆鋼板として汎用されている。このような用途では、通常プレス成形により必要形状に加工して使用されることから,耐食性に加えて加工性に優れていることも重要である。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は,溶融めっきラインで鋼板をガス還元した後、過度の合金化処理を抑制するためにAlを0.13〜0.15質量%添加した浴温450〜470℃の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度470〜500℃で浸漬して溶融亜鉛めっきした後、ガスワイピングノズルでめっき付着量を調整し、加熱合金化処理することにより製造されている。加熱合金化処理には、一般にバーナ加熱方式,高周波誘導加熱方式,両者を併用する加熱方式等を採用した合金化処理炉が使用されている。
【0003】
めっき直後に加熱合金化処理を施すと、合金化反応の進行と共にめっき層ではη−Zn相が消失し、ζ相(FeZn13),δ1相(FeZn7),Γ1相(Fe5Zn21),Γ相(Fe3Zn10)等が順次生成する。合金化溶融亜鉛めっき鋼板の加工性は,このめっき層構造に大きく影響される。具体的には、めっき層表層に軟質のζ相が厚く残存すると、プレス成形時に金型との摺動抵抗が大きくなり、板破断やめっき層が鱗片状に剥離するフレーキング現象が発生する。逆に、ζ相が消失し、めっき層と下地鋼板との界面に硬く脆いΓ相が厚く生成すると、めっき層が粉状に剥離するパウダリング現象が発生し、剥離しためっき層の粉末が金型に蓄積されて金型やめっき層を損傷させる原因となる。
【0004】
フレーキング現象やパウダリング現象によるめっき層剥離が著しいと、プレス成形作業に悪影響を及ぼすばかりでなく、剥離部分を起点として腐食が進行するため耐食性も低下する。このようなことから、加工度の高い用途への使用が予定される合金化溶融亜鉛めっき鋼板ではζ相の残存量及びΓ相の生成量を極力少なくする必要がある。
しかし、従来の溶融Znめっき後に加熱合金化処理する製造法では、溶融めっき条件及び加熱合金化処理条件とζ相の生成・消失挙動及びΓ相の生成・成長挙動との関係が十分に解明されていない。その結果、ζ相を消失させる条件下ではΓ相が厚く生成し、Γ相の成長を抑制する条件下ではζ相の残存量が多くなりがちであった。その結果、加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の安定的な製造が困難であった。また、従来の製造法は、合金化処理炉が必要なため設備負担が大きく、エネルギーコストも高くなることから、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安価に製造できないことが欠点である。
【0005】
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造コストを低減する方法として、溶融Znめっき浴を高温保持し、合金化処理に必要な熱量を溶融亜鉛めっき浴からめっき原板に付与する方法が知られている(特開昭52−48524号公報,特開平8−60327号公報参照)。この方法によるとき、合金化処理炉を必要とせず、溶融亜鉛めっき浴から与える熱量のみでめっき層の表層までを合金化処理するセルフガルバナイジングが可能なため、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安価に製造できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭52−48524号公報では差厚めっき鋼板を対象とし、片面当りめっき付着量30g/m2未満とした薄めっき側のみを合金化処理しており、汎用されている片面当りめっき付着量が30g/m2以上の溶融亜鉛めっき鋼板の両面を合金化処理することには不向きである。他方、特開平8−60327号公報では、セルフガルバナイジングする方法が紹介されているだけであり、ζ相の生成・消失挙動及びΓ相の生成・成長挙動に及ぼすめっき条件の影響については解明されていない。そのため、この方法によるも、加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安価に製造する技術が確立されているとはいえない。
【0007】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、めっき原板の組成,めっき条件を及びめっき後のワイピング及び冷却条件を総合的に管理することにより、Γ相の生成・成長及びζ相の残存を抑制し、加工性に優れた安価な合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、その目的を達成するため、C:0.01質量%以下,Si:0.005〜0.10質量%,Mn:0.05〜0.5質量%,Al:0.005〜0.06質量%,P:0.025質量%以下,Ti:0.005〜0.1質量%を含み、必要に応じてNb:0.005〜0.1質量%及びB:0.0001〜0.01質量%の1種又は2種を含み、残部が実質的にFeの組成を持つ鋼板をガス還元炉に通板して焼鈍した後、Al:0.1〜0.2質量%を含む浴温490〜550℃の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度490〜600℃で浸漬して溶融亜鉛めっきを施し、次いでガスワイピングで片面当りのめっき付着量を30〜90g/m2に調整し、鋼板温度が400℃になるまで冷却速度5〜15℃/秒で冷却することを特徴とする。
合金化処理する場合には、めっき付着量調整後、450〜550℃に5〜60秒加熱保持する。
【0009】
【作用】
Fe−Zn系の平衡状態図(図1)をみると、ζ相の包晶点が約530℃であることから、熱力学的にはこの包晶点以上の温度でζ相は安定的に存在しない。すなわち、溶融亜鉛めっき浴の浴温及びめっき原板のインレット温度を包晶点以上に設定すると、ζ相の生成が抑制されることが判る。また、本発明者等の研究結果から、溶融亜鉛めっき浴にAlを0.1〜0.2質量%添加するとき包晶点が約490℃まで低下することが判明している。
【0010】
本発明者等は、このような前提に基づき、ζ相の生成・消失及びΓ相の生成・成長に及ぼすめっき条件,溶融めっき後のワイピング・冷却条件及びめっき原板の組成の影響を種々調査検討した。その結果、Al:0.1〜0.2質量%を含む溶融亜鉛めっき浴を用い、浴温及びインレット温度をζ相の包晶点490℃以上に設定してζ相の生成を抑制し、且つ合金化処理速度が大きな極低炭素Ti添加鋼又はTi−Nb複合添加鋼をめっき原板に使用するとき、溶融めっき後の冷却過程でめっき層の表層まで合金化処理反応が進行することを見出した。このようにして得られる合金化溶融亜鉛めっき鋼板は,合金化処理炉を必要としないため安価に製造でき、めっき層全体が合金化処理されているため耐フレーキング性及び耐パウダリング性双方の品質特性を満足する。
また、めっき付着量調整後に450〜550℃×5〜60秒の合金化処理を施すと、ζ相の生成を抑制しながら合金化反応が適度に進行した合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。生成した合金化溶融亜鉛めっき層は、合金化処理していないものに比較してFe濃度が高いにも拘らず、Γ相が厚く成長していない。この合金化溶融亜鉛めっき鋼板をプレス加工すると、加工時に多数の微細なクラックが合金化溶融亜鉛めっき層に発生してめっき原板の拘束力が小さくなる。したがって、耐パウダリング性を低下させることなく、絞り加工性等の加工性が改善される。
【0011】
【実施の形態】
めっき原板には、清浄化度が高く合金化処理速度の大きな極低炭素Ti添加鋼又はTi−Nb複合添加鋼が使用される。極低炭素Ti添加鋼又はTi−Nb複合添加鋼は、絞り成形性に優れており、高加工度の部材として多用される鋼材である。本発明で使用する極低炭素Ti添加鋼は、C:0.01質量%以下,Si:0.005〜0.10質量%,Mn:0.05〜0.5質量%,Al:0.005〜0.06質量%,P:0.025質量%以下,Ti:0.005〜0.1質量%を含む。極低炭素Ti−Nb複合添加鋼は、極低炭素Ti添加鋼と同量のC,Si,Mn,Al,P,Tiを含む組成で,Nbを0.005〜0.1質量%に調整している。極低炭素Ti添加鋼及び極低炭素Ti−Nb複合添加鋼共に、0.0001〜0.01質量%のBを含むことができる。
【0012】
鋼中のCは、亜鉛めっき層の合金化処理反応を遅延させセルフガルバナイジングを抑制する作用がある。また、絞り成形性を劣化させることから,本発明ではC含有量の上限を0.01質量%に設定した。Si,Mnは,鋼板の強度向上に有効であるが,易酸化性元素であり不めっきの原因となるので、それぞれSi:0.005〜0.10質量%,Mn:0.05〜0.5質量%の範囲に設定した。Alは、固溶Nを固定し時効防止作用を呈するが、0.06質量%以上添加しても効果が飽和するので、Al:0.005〜0.06質量%の範囲に設定した。Ti,Nbは、固溶C,Nを固定し絞り成形性を向上させる合金成分であるが、0.1質量%以上添加しても効果が飽和するので、Ti,Nb共に0.005〜0.1質量%の範囲に設定した。Bは、鋼板の脆化防止に有効であるが、0.01質量%以上添加しても効果が飽和するので、0.0001〜0.01質量%の範囲に設定した。Pは、鋼板の強度向上には有効であるが、合金化処理速度を著しく遅くするので、0.025質量%以下に規制した。
【0013】
所定の成分・組成に調整された極低炭素Ti添加鋼又はTi−Nb複合添加鋼は、ガス還元炉で焼鈍された後、Alを0.1〜0.2質量%添加した溶融亜鉛めっき浴に導入される。この溶融亜鉛めっき浴は、Al添加によって包晶点が490℃まで下げられている。0.1質量%未満のAl添加量では、包晶点が490℃まで下がらず、合金化処理速度が大きくなり、Γ相が成長しやすくなる。逆に0.2質量%を超える量のAlを添加すると、合金化処理速度が小さくなり、セルフガルバナイジングできなくなり、また合金化処理を含む製造プロセスでは合金化処理に要するエネルギーコストが高くなる。
【0014】
溶融亜鉛めっき浴は、ζ相の生成を抑制すると共に合金化反応に必要な熱量を鋼板に付与するため、浴温の下限を490℃に設定している。しかし、浴温が550℃を超えるとΓ相が厚く成長し、溶融亜鉛めっき浴の高温保持に要するエネルギーコストも高くなる。また、浴温変動を抑制し、Γ相の成長を抑えるため、めっき原板のインレット温度を490〜600℃に設定する。
溶融亜鉛めっき浴から引き上げられためっき原板に付着している溶融めっき金属の片面当りめっき付着量を30〜90g/m2に調整する。めっき付着量が多すぎると本発明で規定した条件下でも合金化反応が十分に進行せず、めっき層表面にη−Zn相が残存するので、ガスワイピングでめっき付着量を90g/m2以下にすることが必要である。めっき付着量の調整に採用されるガスワイピング法では絞れる下限が30g/m2である。
【0015】
めっき付着量調整後に合金化処理する場合、めっき原板を450〜550℃に5〜60秒加熱することにより合金化反応を適度に進行させる。合金化処理されるめっき原板の溶融亜鉛めっき層は、めっき付着量調整までの処理条件によってη−Zn相が消失し、めっき層表層までδ1相が成長した組織になっている。そのため、450〜550℃に加熱してもζ相が生成することはない。しかし、450℃未満加熱温度や5秒未満の短時間加熱では合金化反応が十分に進行せず、逆に550℃を超える加熱温度や60秒を超える長時間加熱ではΓ相の成長がみられる。
【0016】
ガスワイピングでめっき付着量が調整された鋼板は、鋼板温度が400℃に到達するまで5〜15℃/秒の冷却速度で冷却される。15℃/秒を超える大きな冷却速度では、合金化処理反応が十分に進行せず、めっき層表層にη−Zn相が残存しやすくなる。逆に5℃/秒未満の冷却速度では、Γ相が成長しやすくなる。合金化処理が施された鋼板も同様な条件で冷却される。この場合、15℃/秒を超える冷却速度ではΓ相成長抑制効果が飽和し、逆に5℃/秒未満の冷却速度では却ってΓ相が成長しやすくなる。
鋼板温度が400℃を下回ると合金化処理反応の進行に及ぼす冷却速度の影響はほとんど無視できるので、鋼板温度400℃以下の温度域では適宜の冷却速度で鋼板を冷却する。
【0017】
【実施例1】
表1に示した組成をもつ極低炭素Ti添加鋼及びTi−Nb複合添加鋼を溶製し、熱延,酸洗,冷延工程を経て板厚0.7mm,板幅1000mmの冷延鋼板を製造した。
【0018】
Figure 0004508378
【0019】
この冷延鋼板をめっき原板とし、50体積%H2−N2の雰囲気に維持したガス還元焼鈍炉で800℃に40秒加熱した後、ラインスピード100m/分で溶融めっき浴に送り込んだ。溶融めっき条件は、表2に掲げた範囲から選定し、具体的には表3の条件を採用した。
【0020】
Figure 0004508378
【0021】
Figure 0004508378
【0022】
製造された各合金化溶融亜鉛めっき鋼板から試験片を切り出し、めっき層の層構成を観察すると共に、耐パウダリング試験及び耐フレーキング試験に供した。めっき層の層構成:
走査型電子顕微鏡を用いて幅10mm,長さ20mmの試験片の表面組織及び断面組織を倍率5000倍で観察し、η−Zn相,ζ相の有無及びΓ相の厚みを測定した。観察結果を次のように分類した。
η−Zn残存:めっき層表層まで合金化せずη−Zn相が残存している層構成
ζ+δ1+Γ1:ζ相が残存しΓ相が観察されなかった層構成
δ1+Γ1:ζ相が観察されず、Γ相の厚みが1μm以下の層構成
δ1+Γ1+Γ:ζ相が観察されず、Γ相の厚みが1μm以上の層構成
【0023】
耐パウダリング試験:
板厚×6の直径の円弧が試験面に形成されるように幅20mm,長さ50mmの試験片を180度曲げした後、試験片を平板状に曲げ戻した。曲げ・曲げ戻しを受けた部分に感圧接着テープを貼り付けた後、感圧接着テープを引き剥がし、感圧接着テープに付着しためっき層の量を目視観察した。観察結果を次のように分類した。評点3以上であれば、品質特性に問題がないものといえる。
Figure 0004508378
【0024】
耐フレーキング試験:
幅25mm,長さ250mmの試験片に防錆油を塗布し、図2に示すように金型に挟み、ドロービード試験した。次いで、試験片に感圧接着テープを貼り付け、引き剥がした後、感圧接着テープに付着しためっき層の量を化学分析法で測定した。めっき層の付着量が5g/m2以下であれば、耐フレーキング性が良好で品質特性に問題がないといえる。
表4〜7の調査結果にみられるように、本発明で規定した条件下で得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、何れもζ相が生成しておらず、Γ相の厚みも1μm以下であった。また、耐パウダリング試験及び耐フレーキング試験の双方共に試験結果が良好で、加工性に優れていることが判る。
【0025】
Figure 0004508378
【0026】
Figure 0004508378
【0027】
Figure 0004508378
【0028】
Figure 0004508378
【0029】
【比較例1】
各条件が加工性に及ぼす影響を調査するため、鋼種A〜Dのめっき原板を使用し、本発明で規定した範囲から外れる溶融めっき条件(表8)で合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。
【0030】
Figure 0004508378
【0031】
製造された各合金化溶融亜鉛めっき鋼板から試験片を切り出し,実施例と同様にめっき層の層構成を観察すると共に、耐パウダリング性及び耐フレーキング性を調査した。表9の調査結果にみられるように、Al濃度,浴温,インレット温度,冷却速度が本発明で規定した範囲を外れる試験番号109〜126では,Γ相の厚い成長により耐パウダリング性が低下し,或いはζ相の残存により耐フレーキング性が低下したため、何れも加工性が不良であった。また、Al濃度,冷却速度,めっき付着量が本発明で規定した範囲を超える試験番号127〜133では、めっき層の表層まで合金化処理反応が進行せず、η−Zn相が残存していたので耐パウダリング試験及び耐フレーキング試験に供さなかった。
【0032】
Figure 0004508378
【実施例2】
実施例1と同じ冷延鋼板をめっき原板とし、50体積%H2−N2の雰囲気に維持したガス還元焼鈍炉で800℃に40秒加熱した後、ラインスピード100m/分で溶融めっき浴に送り込んだ。溶融めっき条件は、表10に掲げた範囲から選定し、具体的には表11の条件を採用した。
【0033】
Figure 0004508378
【0034】
Figure 0004508378
【0035】
製造された各合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、実施例1と同様にめっき層の層構成及び耐パウダリング性を調査すると共に、次の絞り成形試験で絞り加工性を調査した。
絞り成形試験:
次の条件で円筒絞り試験を行い、成形可能最大皺押え力を測定した。
ブランク径:70mm ダイ半径:35mm ダイ肩半径:2.5mm
パンチ径:33mm パンチ肩半径:5mm 成形高さ:20mm
成形速度:60mm/分 潤滑油:防錆油塗布
【0036】
表12の調査結果にみられるように、本発明で規定した条件下で得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、何れもζ相のないδ1+Γ1相のめっき層になっており、成形可能最大皺押え力が8〜10kNと大きく、耐パウダリング性も評点3以上であった。すなわち、この合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、絞り加工に耐える十分な特性をもっていることが判る。
【0037】
Figure 0004508378
【0038】
【比較例2】
めっき条件及び/又は合金化処理条件が絞り加工性に及ぼす影響を調査するため、鋼種A〜Dのめっき原板を使用し、本発明で規定した範囲から外れる溶融めっき条件(表13)で合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。
【0039】
Figure 0004508378
【0040】
製造された各合金化溶融亜鉛めっき鋼板から試験片を切り出し,実施例2と同様にめっき層の層構成を観察すると共に、耐パウダリング性及び絞り加工性を調査した。表14の調査結果にみられるように、溶融めっき時の浴温,インレット温度が本発明で規定した範囲を外れる試験番号25〜28では、加熱合金化処理してもめっき層表面にζ相が残存し、成形可能最大皺押え力が3kN以下になった。加熱合金化処理時の加熱温度,保持時間及び冷却速度が本発明で規定した範囲を外れる試験番号29〜33では、耐パウダリング性が評点2以下になった。すなわち、表14に掲げた合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、表12との比較から明らかなように何れも絞り加工性に劣っていた。
【0041】
Figure 0004508378
【0042】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明においては、めっき原板の組成,めっき条件,ワイピング条件及び冷却条件を総合的に制御することにより、ζ相の残存及びΓ相の成長を抑制した合金化溶融亜鉛めっき鋼板が製造される。また、溶融亜鉛めっき後に合金化処理を施さなくても溶融亜鉛めっき層を表層まで合金化処理できるため、加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が安価に提供される。他方、合金化処理を施したものでは、合金化反応を適度に調整することによって溶融めっき鋼板の加工時に溶融めっき層に生成する微細なクラックを制御できるため、加工性の更なる向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Fe−Zn二元状態図の一部
【図2】 ドロービード試験の説明図

Claims (3)

  1. C:0.01質量%以下,Si:0.005〜0.10質量%,Mn:0.05〜0.5質量%,Al:0.005〜0.06質量%,P:0.025質量%以下,Ti:0.005〜0.1質量%を含み、残部が実質的にFeの組成を持つ鋼板をガス還元炉に通板して焼鈍した後、Al:0.1〜0.2質量%を含む浴温490〜550℃の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度490〜600℃で浸漬して溶融亜鉛めっきを施し、次いでガスワイピングで片面当りのめっき付着量を30〜90g/m2に調整し、鋼板温度が400℃になるまで冷却速度5〜15℃/秒で冷却することを特徴とする加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. C:0.01質量%以下,Si:0.005〜0.10質量%,Mn:0.05〜0.5質量%,Al:0.005〜0.06質量%,P:0.025質量%以下,Ti:0.005〜0.1質量%を含み、残部が実質的にFeの組成を持つ鋼板をガス還元炉に通板して焼鈍した後、Al:0.1〜0.2質量%を含む浴温490〜550℃の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度490〜600℃で浸漬して溶融亜鉛めっきを施し、次いでガスワイピングで片面当りのめっき付着量を30〜90g/m2に調整し、450〜550℃に5〜60秒加熱する合金化処理を施した後、鋼板温度が400℃になるまで冷却速度5〜15℃/秒で冷却することを特徴とする加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 更にNb:0.005〜0.1質量%及びB:0.0001〜0.01質量%の1種又は2種を含む鋼板を使用する請求項1又は2記載の製造方法。
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