JP4600951B2 - 加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、耐食性,塗装性,塗装後密着性,溶接性に優れていることから、家電製品,自動車用車体を始めとする種々の分野で防錆鋼板として汎用されている。このような用途では、通常プレス成形により必要形状に加工して使用されることから,耐食性に加えて加工性に優れていることも重要である。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は,溶融めっきラインで鋼板をガス還元した後、過度の合金化処理を抑制するためにAlを0.13〜0.15質量%添加した浴温450〜470℃の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度470〜500℃で浸漬して溶融亜鉛めっきした後、ガスワイピングノズルでめっき付着量を調整し、加熱合金化処理することにより製造されている。加熱合金化処理には、一般にバーナ加熱方式,高周波誘導加熱方式,両者を併用する加熱方式等を採用した合金化処理炉が使用されている。
【0003】
めっき直後に加熱合金化処理を施すと、合金化反応の進行と共にめっき層ではη−Zn相が消失し、ζ相(FeZn13),δ1相(FeZn7),Γ1相(Fe5Zn21),Γ相(Fe3Zn10)等が順次生成する。合金化溶融亜鉛めっき鋼板の加工性は,このめっき層構造に大きく影響される。具体的には、めっき層表層に軟質のζ相が厚く残存すると、プレス成形時に金型との摺動抵抗が大きくなり、板破断やめっき層が鱗片状に剥離するフレーキング現象が発生する。逆に、ζ相が消失し、めっき層と下地鋼板との界面に硬く脆いΓ相が厚く生成すると、めっき層が粉状に剥離するパウダリング現象が発生し、剥離しためっき層の粉末が金型に蓄積されて金型やめっき層を損傷させる原因となる。
【0004】
フレーキング現象やパウダリング現象によるめっき層剥離が著しいと、プレス成形作業に悪影響を及ぼすばかりでなく、剥離部分を起点として腐食が進行するため耐食性も低下する。このようなことから、加工度の高い用途への使用が予定される合金化溶融亜鉛めっき鋼板ではζ相の残存量及びΓ相の生成量を極力少なくする必要がある。
しかし、従来の溶融Znめっき後に加熱合金化処理する製造法では、溶融めっき条件及び加熱合金化処理条件とζ相の生成・消失挙動及びΓ相の生成・成長挙動との関係が十分に解明されていない。その結果、ζ相を消失させる条件下ではΓ相が厚く生成し、Γ相の成長を抑制する条件下ではζ相の残存量が多くなりがちとなり、加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の安定的な製造が困難であった。
【0005】
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造コストを低減する方法として、溶融Znめっき浴を高温保持し、合金化処理に必要な熱量を溶融亜鉛めっき浴からめっき原板に付与する方法が知られている(特開昭52−48524号公報,特開平8−60327号公報参照)。この方法によるとき、合金化処理炉を必要とせず、溶融亜鉛めっき浴から与える熱量のみでめっき層の表層までを合金化処理するセルフガルバナイジングが可能なため、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安価に製造できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭52−48524号公報では差厚めっき鋼板を対象とし、片面当りめっき付着量30g/m2未満とした薄めっき側のみを合金化処理しており、汎用されている片面当りめっき付着量が30g/m2以上の溶融亜鉛めっき鋼板の両面を合金化処理することには不向きである。他方、特開平8−60327号公報では、セルフガルバナイジングする方法が紹介されているだけであり、ζ相の生成・消失挙動及びΓ相の生成・成長挙動に及ぼすめっき条件の影響については解明されていない。そのため、この方法によるも、加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安価に製造する技術が確立されているとはいえない。
【0007】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、めっき原板の組成,めっき条件を及びめっき後のワイピング及び冷却条件を総合的に管理することにより、Γ相の生成・成長及びζ相の残存を抑制し、加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を高い生産性で製造することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、その目的を達成するため、C:0.005〜0.3質量%,Si:0.005〜0.1質量%,Mn:0.05〜0.5質量%,Al:0.005〜0.06質量%,P:0.05質量%以下,必要に応じてB:0.0001〜0.01質量%を含み、残部が実質的にFeの組成をもつ鋼板の表面に、δ1相,Γ1相及び厚み1μm以下のΓ相からなるめっき層が片面当り30〜90g/m2の付着量で形成されていることを特徴とする。
【0009】
この合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、所定組成の鋼板をガス還元焼鈍炉に通板して焼鈍した後、Al:0.10〜0.15質量%を含む浴温490〜550℃の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度490〜600℃で浸漬して溶融亜鉛めっきし、次いでガスワイピングによりめっき付着量を片面当り30〜90g/m2に調整し、板温が400℃以下になるまで冷却速度5〜15℃/秒で冷却することにより製造される。
【0010】
或いは、Al:0.13〜0.20質量%を含む浴温490〜550℃の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度490〜600℃で浸漬して溶融亜鉛めっきし、次いでガスワイピングによりめっき付着量を片面当り30〜90g/m2に調整し、490〜550℃に5〜30秒加熱保持して合金化処理した後、板温が400℃以下になるまで冷却速度5〜15℃/秒で冷却することにより製造される。
【0011】
【作用】
本発明者等は、合金化速度が大きな極低炭素Ti添加鋼又はTi−Nb複合添加鋼をめっき原板に使用し、Al:0.1〜0.2質量%を含む溶融亜鉛めっき浴の浴温及びインレット温度をζ相の包晶点490℃以上に設定して溶融亜鉛めっきし、めっき後に冷却速度5〜15℃/秒で冷却するとき、ζ相の生成及びΓ相の成長を抑制した合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られることを特願平11−360424号で提案した。本発明者等のその後の研究によると、この方法は低炭素鋼にも適用でき、めっき原板の組成,溶融亜鉛めっき浴のAl濃度,浴温,インレット温度,めっき付着量,めっき後の加熱合金化条件,めっき後又は合金化処理後の冷却速度を制御するとき,ζ相の生成及びΓ相の成長が抑制され、耐フレーキング性及び耐パウダリング性の双方を満足する加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が製造できることを見出した。
【0012】
Fe−Zn系の平衡状態図(図1)をみると、ζ相の包晶点が約530℃であることから、熱力学的にはこの包晶点以上の温度でζ相は安定的に存在しない。すなわち、溶融亜鉛めっき浴の浴温及びめっき原板のインレット温度を包晶点以上に設定すると、ζ相の生成が抑制されることが判る。また、本発明者等の研究結果から、溶融亜鉛めっき浴にAlを0.1〜0.2質量%添加するとき包晶点が約490℃まで低下することが判明している。
【0013】
本発明者等は、このような前提に基づき、ζ相の生成・消失及びΓ相の生成・成長に及ぼすめっき条件,溶融めっき後のワイピング条件,加熱合金化処理条件,溶融亜鉛めっき後又は合金化処理後の冷却速度の影響を種々調査検討した。その結果、前掲した組成の鋼板をめっき原板とし、Al:0.1〜0.2質量%を含む溶融亜鉛めっき浴を用い、浴温,インレット温度及び溶融亜鉛めっき後の加熱合金化処理温度をζ相の包晶点490℃以上に設定するとき、ζ相の生成が抑制されることを見出した。また、浴中Al濃度が0.10〜0.15質量%の範囲では、溶融亜鉛めっき後の冷却過程で溶融亜鉛めっき層の表層まで合金化反応が進行し、セルフガルバナイジングできることを見出した。このようにして得られる合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき層全体が合金化処理されているため耐フレーキング性及び耐パウダリング性双方の品質特性を満足する。
【0014】
【実施の形態】
本発明で使用するめっき原板は、C:0.005〜0.3質量%,Si:0.005〜0.1質量%,Mn:0.05〜0.5質量%,Al:0.005〜0.06質量%,P:0.05質量%以下,必要に応じてB:0.0001〜0.01質量%を含んでいる。
【0015】
低炭素鋼では、通常0.005質量%以上のCを含んでいるが、C濃度が高くなりすぎるとセルフガルバナイジングが抑制され、絞り成形性が低下するので、本発明においてはC含有量の上限を0.3質量%に設定した。Si,Mnは,鋼板の強度向上に有効であるが,易酸化性元素であり不めっきの原因となるので、それぞれSi:0.005〜0.10質量%,Mn:0.05〜0.5質量%の範囲に設定した。Alは、固溶Nを固定し時効防止作用を呈するが、0.06質量%以上添加しても効果が飽和するので、Al:0.005〜0.06質量%の範囲に設定した。Pは、鋼板の強度向上に有効であるものの、合金化速度を著しく遅くするので、上限を0.05質量%に設定した。任意成分としてのBは、Alと同様にNを固定して時効防止作用を呈すると共に、絞り成形性の向上にも有効な合金成分であるが、0.01質量%以上添加しても効果が飽和するので、0.0001〜0.01質量%の範囲にB含有量を定めた。
【0016】
所定の成分・組成に調整された低炭素鋼は、ガス還元炉で焼鈍された後、Alを0.1〜0.2質量%添加した溶融亜鉛めっき浴に導入される。この溶融亜鉛めっき浴は、Al添加によって包晶点が490℃まで下げられている。0.1質量%未満のAl添加量では、包晶点が490℃まで下がらず、合金化処理速度が大きくなり、Γ相が成長しやすくなる。逆に0.2質量%を超える量のAlを添加すると、合金化処理速度が小さくなり、高温・長時間の加熱合金化処理が必要となるため製造コストが高くなり、生産性が低下する。
【0017】
前掲した組成をもつ低炭素鋼では、溶融亜鉛めっき浴の浴温を490℃以上に設定すると浴中Al濃度が0.15質量%まではセルフガルバナイジングできるが、浴中Al濃度が0.15質量%を超えると浴温490℃以上でも溶融亜鉛めっき後にη−Zn相が残存するので加熱合金化処理を施す。浴中Al濃度0.13〜0.15質量%の範囲ではセルフガルバナイジングできるものの、溶融亜鉛めっき浴中での局部的なAl濃度や浴温の変動,溶融亜鉛めっき後の幅方向及び長手方向に関する板温の変動等に起因する局部的なη−Zn相の残存やζ相の生成を防止し、品質が安定した合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造するため、溶融亜鉛めっき後に加熱合金化処理を施すことが好ましい。
【0018】
溶融亜鉛めっき浴は、ζ相の生成を抑制すると共にセルフガルバナイジングに必要な熱量を鋼板に付与するため、浴温の下限を490℃に設定している。しかし、浴温が550℃を超えるとΓ相が厚く成長し、溶融亜鉛めっき浴の高温保持に要するエネルギーコストも高くなる。また、浴温変動を抑制し、Γ相の成長を抑えるため、めっき原板のインレット温度を490〜600℃に設定する。
溶融亜鉛めっき浴から引き上げられためっき原板に付着している溶融めっき金属の片面当りめっき付着量を30〜90g/m2に調整する。めっき付着量が多すぎると本発明で規定した条件下でも合金化反応が進行せず、めっき層表面にη−Zn相が残存するので、ガスワイピングでめっき付着量を90g/m2以下にすることが必要である。めっき付着量の調整に採用されるガスワイピング法では絞れる下限が30g/m2である。
【0019】
ガスワイピング後にセルフガルバナイジングする場合には、そのまま鋼板温度が400℃に到達するまで鋼板を5〜15℃/秒の冷却速度で冷却する。15℃/秒を超える大きな冷却速度では、合金化反応が十分に進行せず、めっき層表層にη−Zn相が残存しやすくなる。逆に5℃/秒未満の冷却速度では、Γ相が成長しやすくなる。鋼板温度が400℃を下回ると合金化反応の進行に及ぼす冷却速度の影響はほとんど無視できるので、鋼板温度400℃以下の温度域では適宜の冷却速度で鋼板を冷却する。
【0020】
浴中Al濃度が0.13〜0.20質量%の範囲にあり、溶融亜鉛めっき後に加熱合金化処理する場合、ガスワイピングでめっき付着量を調整した後、鋼板を490〜550℃で5〜30秒加熱する。490℃未満の加熱温度ではζ相が生成し、550℃を超える加熱温度ではΓ相が成長しやすくなる。また、5秒に達しない加熱時間ではη−Zn相が残存し、30秒を超える長時間加熱ではΓ相が成長しやすくなる。なお、490〜550℃×5〜30秒の加熱条件が満足される限り加熱方式には特段の制約を受けず、バーナー加熱,高周波誘導加熱或いは両者の併用した加熱方式等を採用した合金化処理炉を使用できる。
【0021】
加熱合金化処理後の冷却速度は、5〜15℃/秒の範囲に設定される。5℃/秒未満の冷却速度ではΓ相が成長し、15℃/秒を超える冷却速度ではΓ相の成長を抑制する効果が飽和する。この場合も、板温が400℃を下回ると合金化反応の進行に及ぼす冷却速度の影響がほとんど無視できるので、400℃以下の温度域では適宜の冷却速度で鋼板を冷却する。
以上のように、本発明では490℃以上の高温に保持した溶融亜鉛めっき浴で溶融亜鉛めっきしているので、ζ相の生成が抑制されると共に合金化反応も促進されるため、浴中Al濃度が0.18〜0.20質量%の溶融亜鉛めっき浴でも合金化溶融亜鉛めっき鋼板製造できる。したがって、浴温を490℃以上とすることにより、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造しながら溶融亜鉛めっき浴から合金化溶融亜鉛めっき浴に浴中Al濃度を切り替えることができ、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の生産性も向上する。
【0022】
この点、同一亜鉛めっきラインで溶融亜鉛めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する従来法では、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造時に浴中Al濃度を0.13〜0.15質量%とし、溶融亜鉛めっき鋼板の製造時に浴中Al濃度を0.18〜0.20質量%と比較的高く設定している。浴中Al濃度を変更する場合、溶融めっきラインの操業を停止して溶融亜鉛めっき浴を一定量汲み出した後でZn又はAlを添加する方法,塗装鋼板用の溶融亜鉛めっき鋼板を製造しながらZn又はAlを添加する方法等が採用されている。何れの方法によるも,浴中Al濃度の変更に長時間を要し、生産性が低下する原因となっている。
【0023】
【実施例】
表1に示した組成をもつ低炭素鋼を溶製し、熱延,酸洗,冷延工程を経て板厚0.7mm,板幅1000mmの冷延鋼板を製造した。
【0024】
Figure 0004600951
【0025】
この冷延鋼板をめっき原板とし、ラインスピード100m/分で通板し、50体積%H2−N2の雰囲気に維持したガス還元焼鈍炉で700℃に40秒加熱した後、溶融めっき及び加熱合金化処理した。溶融めっき条件及び加熱合金化処理条件は、表2に掲げた範囲から選定し、具体的にはめっき付着量ごとに表3〜5の条件を採用した。なお、加熱合金化処理には、バーナー加熱方式の合金化処理炉を使用した。
【0026】
Figure 0004600951
【0027】
Figure 0004600951
【0028】
Figure 0004600951
【0029】
Figure 0004600951
【0030】
製造された各合金化溶融亜鉛めっき鋼板から試験片を切り出し、めっき層の層構成を観察すると共に、耐パウダリング試験及び耐フレーキング試験に供した。
めっき層の層構成:
走査型電子顕微鏡を用いて幅10mm,長さ20mmの試験片の表面組織及び断面組織を倍率5000倍で観察し、η−Zn相,ζ相の有無及びΓ相の厚みを測定した。観察結果を次のように分類した。
η−Zn残存:めっき層表層まで合金化せずη−Zn相が残存している層構成
ζ+δ1+Γ1:ζ相が残存しΓ相が観察されなかった層構成
δ1+Γ1:ζ相が観察されず、Γ相の厚みが1μm以下の層構成
δ1+Γ1+Γ:ζ相が観察されず、Γ相の厚みが1μm以上の層構成
【0031】
耐パウダリング試験:
板厚×6の直径の円弧が試験面に形成されるように幅20mm,長さ50mmの試験片を試験面を内側にして180度曲げした後、試験片を平板状に曲げ戻した。曲げ・曲げ戻しを受けた部分に感圧接着テープを貼り付けた後、感圧接着テープを引き剥がし、感圧接着テープに付着しためっき層の量を目視観察した。観察結果を次のように分類した。評点3以上であれば、品質特性に問題がないものといえる。
Figure 0004600951
【0032】
耐フレーキング試験:
幅25mm,長さ250mmの試験片に防錆油を塗布し、図2に示すように金型に挟み、ドロービード試験した。次いで、試験片に感圧接着テープを貼り付け、引き剥がした後、感圧接着テープに付着しためっき層の量を化学分析法で測定した。めっき層の付着量が5g/m2以下であれば、耐フレーキング性が良好で品質特性に問題がないといえる。
表6〜11の調査結果にみられるように、本発明で規定した条件下で得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、何れもζ相が生成しておらず、Γ相の厚みも1μm以下であった。また、耐パウダリング試験及び耐フレーキング試験の双方共に試験結果が良好で、加工性に優れていることが判る。
【0033】
Figure 0004600951
【0034】
Figure 0004600951
【0035】
Figure 0004600951
【0036】
Figure 0004600951
【0037】
Figure 0004600951
【0038】
Figure 0004600951
【0039】
【比較例】
各条件が加工性に及ぼす影響を調査するため、鋼種A〜Cのめっき原板を使用し、本発明で規定した範囲から外れる溶融亜鉛めっき条件及び加熱合金化処理条件(表12)で合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。
【0040】
Figure 0004600951
【0041】
製造された合金化溶融亜鉛めっき鋼板から試験片を切り出し、実施例と同様に溶融亜鉛めっき層の層構成を観察すると共に、耐フレーキング性及び耐パウダリング性を調査した。表13の調査結果にみられるように、溶融亜鉛めっき条件及び加熱合金化条件が本発明で規定した範囲を外れる試験番号46〜55では、Γ相の厚い成長に起因して耐パウダリング性が低下し、或いはζ相の残存に起因して耐フレーキング性が低下したため、何れも加工性が不良であった。また、Al濃度,冷却速度,めっき付着量が本発明で規定した範囲を外れる試験番号56〜58及び浴温,加熱合金化処理時の保持時間が本発明で規定した範囲を外れる試験番号59,60では溶融亜鉛めっき層の表層まで合金化反応が進行せず、η−Zn相が残存していたので、パウダリング試験及びフレーキング試験に供さなかった。
【0042】
Figure 0004600951
【0043】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明においては、めっき原板の組成,めっき条件,ワイピング条件,冷却条件及び加熱合金化処理条件を総合的に制御することにより、ζ相の残存及びΓ相の成長を抑制し、加工性を向上させた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が製造される。また、溶融亜鉛めっき浴から合金化溶融亜鉛めっき浴に浴中Al濃度を切り替える際にも合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造できるので、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Fe−Zn二元状態図の一部
【図2】 ドロービード試験の説明図

Claims (3)

  1. C:0.005〜0.3質量%,Si:0.005〜0.1質量%,Mn:0.05〜0.5質量%,Al:0.005〜0.06質量%,P:0.05質量%以下、および残部がFe及び不可避的不純物からなる組成をもつ鋼板をガス還元焼鈍炉に通板して焼鈍した後、Al:0.10〜0.15質量%を含む浴温490〜550℃の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度490〜600℃で浸漬して溶融亜鉛めっきし、次いでガスワイピングによりめっき付着量を片面当り30〜90g/m2に調整し、板温が400℃以下になるまで冷却速度5〜15℃/秒で冷却することを特徴とする加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. C:0.005〜0.3質量%,Si:0.005〜0.1質量%,Mn:0.05〜0.5質量%,Al:0.005〜0.06質量%,P:0.05質量%以下、および残部がFe及び不可避的不純物からなる組成をもつ鋼板をガス還元焼鈍炉に通板して焼鈍した後、Al:0.13〜0.20質量%を含む浴温490〜550℃の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度490〜600℃で浸漬して溶融亜鉛めっきし、次いでガスワイピングによりめっき付着量を片面当り30〜90g/m2に調整し、490〜550℃に5〜30秒加熱保持して合金化処理した後、板温が400℃以下になるまで冷却速度5〜15℃/秒で冷却することを特徴とする加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 更にB:0.0001〜0.01質量%を含む鋼板を使用する請求項又は記載の製造方法。
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