JP4751168B2 - 加工性に優れた溶融Al系めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、屋根壁等の金属建材、家庭用、産業用電気器具、自動車の排気系部材、燃料タンク材等に使用される、耐食性、耐熱性に優れた溶融Al系めっき鋼板及びその製造方法に関する。
一般に、溶融Alめっき鋼板は、高い耐蝕性と耐熱性、美しい外観等から、自動車部品、建材、家電部品等に広範に使用されている。鋼帯を連続的にめっきする、連続溶融めっきプロセスとして古くは酸化炉方式が用いられていた。これは酸化炉で鋼板表面を弱く酸化させ、続く還元炉内で還元して表面のAlめっき浴との反応性を上げるものである。しかし、この方法では還元炉内での反応時間が必要なためにラインスピードを上げることができなかった。このため無酸化炉方式と呼ばれる、燃焼雰囲気中で極く弱く酸化させる方式が採用された。これによってラインスピード(生産性)を向上させることが可能になり、一般的な製造方法となった。
この無酸化炉方式においては、無酸化炉内で弱く酸化した際のスケールが炉内のロール等にピックアップして鋼板に疵をつける懸念があり、厳しい外観品位が求められる合金化Znめっき鋼板等の自動車外板の製造方法としては替わってRTF(Radiant Tube Furnace)法が用いられるようになった。これはラインの前面に脱脂設備を備え、脱脂された鋼板を還元炉内で加熱するもので、この方法により、スケール起因の疵を撲滅することが可能となった。この方法は設備が大型になる傾向があり初期設備費用が大きくなるために、外観品位を要求される用途に適用される。溶融Alめっき鋼板の最大用途は自動車の排気系部材であり、この用途で外観に求められる品位はそう高くないため、無酸化炉方式で製造されることも多い。
ところで、一般的に溶融Alめっきは溶融Znめっきと比べて不めっきと呼ばれる微小な未被覆部が生じる欠陥が起こりやすい傾向にある。これは溶融Al自体の有する表面エネルギーが比較的高いことと、Alが極めて酸素、窒素、水素等のガス成分との親和性が高く溶融Al表面にこれらガス成分との化合物を形成して鋼板が溶融Al中に浸漬される際に巻き込みやすいことが原因として挙げられる。このため不めっきをなくすために様々な改善が図られてきた。例えば特開昭61−190056号公報(特許文献1)にはスナウトと呼ばれる鋼板のめっき浴への侵入部の雰囲気を制御する技術が開示されている。
また、近年においてはCr含有鋼、ステンレス鋼へAlめっきするニーズも高まり、より不めっき等の表面欠陥の起こりやすいこれらの原板を使用した際にも不めっきを抑制する技術として、Fe、Ni等のプレめっきを施す技術として、特開平1−28341号公報(特許文献2)、焼鈍炉内の水素濃度を上昇する技術として、特開平7−286252号公報(特許文献3)、CGLの操業条件を適正化する技術として、特開平5−311380号公報(特許文献4)等がこれまで開発されてきた。
加えて溶融Alめっき鋼板の大きな課題として、Alめっき層と鋼板の界面に生成する金属間化合物層(以下、合金層と称する)がZnめっき鋼板等と比べて厚く、厳しい加工に耐えられないという点が挙げられる。この合金層は一般に極めて硬質でかつ脆性であるために加工した場合に破壊の起点となり、かつこの起点よりAlめっき層の割れが惹き起こされるという問題がある。更に、この合金層の破壊が甚だしい場合には界面の密着力を失いAlめっき層の剥離に至る。自動車燃料タンク材のような複雑な成形が必要な場合には、特開2001−19902号公報(特許文献5)に開示されているように、表面に潤滑皮膜を施すことで成形しているが、Alめっき層内部に発生するクラックまでも完全に抑制できるわけではなく、Alめっき側からの改善が求められている。
特開昭61−190056号公報 特開平1−28341号公報 特開平7−286252号公報 特開平5−311380号公報 特開2001−19902号公報 特開2000−239819号公報
本発明は、上記に鑑み、Alめっき鋼板を製造する際の合金層の厚みも減じる技術を開示するものである。また、このとき副次的な作用として不めっきの発生も抑制することが可能で、総合的に極めて優れた特性を有する溶融Alめっき鋼板を製造することを可能とする。
本発明者らは多くの実験事実に熱力学的な検討を加えることで以下の知見を得た。
すなわち、溶融Alめっき工程において極めて合金層が成長しやすいために、通常浴中にSiが添加されている。これにより生成する合金層がAl−Fe系からAl−Fe−Si系に変化してその成長速度が小さくなるとされている。添加されるSi量は通常10%程度が多い。しかし、本発明者らはAl−Fe−Si系の状態図の解析より最適なSi量を明確にしたものである。なお、特開2000−239819号公報(特許文献6)においても同様に、Al−Fe−Si系状態図より適正条件を提示しているが、θ相と平衡する条件が最適であるという開示であり、その内容が本発明とは全く異なることを付記する。
図1に650℃におけるAl−Fe−Si三元状態図(Thermo−calcによる計算図)を示す。Siを含有しないAl−Fe二元反応ではθ(FeAl3 )、Fe2 Al5 、FeAl2 の3種類のFe−Al金属間化合物が生成しうる。Al浴にSiを添加すると生成する金属間化合物はα,βの2種類がありうることを示している。α相はτ5あるいは〔AlFeSi〕H等と標記されることがある相で、その結晶構造は六方晶である。
また、その組成は図1から分かるように約60%Fe、約9%Si、残部Alから成る。β相はτ6あるいは〔AlFeSi〕M相とも記述され,単斜晶の構造を有する。その組成は約60%Fe、約15%Si、残部Alである。これら化合物の明確な化学式は明らかとなっていない。θ相はFeAl3 という化学式を有する相で、Siを含有しない相である。
Al−10%Siと鋼板(Fe)が反応する時には、図1のAl−10%SiとFeを結ぶ線によりその反応は表される。しかし、Al−10%SiとFeを結ぶ線はα+L、β+Lの境界付近を通り、この状態ではα,βのどちらがAlめっきの合金層として生成するかは明らかではない。Si濃度が高いとβ相が、Si濃度が低いとα相が生成しやすくなることがこの図より見てとれるため、浴中Si量を変えて実験したところ、合金層をα相にしたときにめっき濡れ性は向上し、合金層の成長は抑制されるという結果を得た。α相、β相の化学式、物性等は明確となっていないため、この理由は不明確であるが、この系においては金属間化合物中の空孔濃度が高いことが知られており、α相とβ相の間では空孔濃度に差があるために拡散挙動が異なるものと推定される。更にα相の方が生成自由エネルギー上安定なために濡れ性も向上させているものと考えている。
更に、このような状態図を温度を変えて計算することにより、α相とβ相の安定性は浴中Si量のみならず温度にも依存していることが確認された。温度、Si量を変えたときに生成する合金層がどのように変わるかを計算した状態図より読み取ったものが図2である。この図よりα相が合金層となる領域が分かる。しかし、実際にはこのα相が合金層となる領域全てで操業することは困難である。すなわち、浴温が低すぎると浴の粘度が高くなってめっき付着量の制御が困難になる。一方、浴温が高すぎると浴中機器の溶損が激しく、頻繁な交換を必要とする。このような条件を考慮して本発明は完成されたものである。
かかる知見を基に完成された本発明は、次の通りである。
(1)鋼板に連続溶融Alめっきするに際し、Alめっき浴中のSi量(質量%)、浴温(℃)を以下に示す四辺形ABCD内の内部とし、浴温をT℃としたときに、Alめっき浴中のFe量を0.03T−17.6質量%以上、鋼板の浴への侵入板温をT−25℃以上、T+25℃以下とし、めっき後580℃までの冷却時間を20秒以下とすることを特徴とする、加工性に優れた溶融Alめっき鋼板の製造方法。
A(4.2%、635℃),B(7%、635℃),C(10%、680℃),D(6.5%、680℃)
(2)鋼板に連続溶融Alめっきする際に、Alめっき浴中のSi量(質量%)、浴温(℃)を以下に示す五辺形ABCDE内の内部とし,浴温をT℃としたときに、Alめっき浴中のFe量を0.03T−17.6質量%以上、鋼板の浴への侵入板温をT−25℃以上、T+25℃以下とし、めっき後580℃までの冷却時間を20秒以下とすることを特徴とする、加工性に優れた溶融Alめっき鋼板の製造方法。
A(4.2%、635℃),B(7%、635℃),C(9%、664℃),D(9%、680℃),E(6.5%、680℃)
)連続溶融Alめっき前の焼鈍炉に入る際の鉄粉付着量が片面当たり0.5g/m2以下とすることを特徴とする、前記(1)または(2)項に記載の加工性に優れた溶融Alめっき鋼板の製造方法。
)鋼板とAlめっき層の界面に存在する金属間化合物層中のSi量が質量%で5〜12%で、かつその平均的な厚みが2.5μm以下であることを特徴とする加工性に優れた溶融Alめっき鋼板にある。
本発明は、めっき欠陥の少なく、かつ合金層の厚みも低減した溶融Al系めっき鋼板及びその製造方法を提供するものである。
次に本発明の限定理由を詳細に説明する。
まず、Al系めっき浴の組成としては前述したようにAlをベースとしてSiを添加するものであるが、浴中Si量を浴温との関係でA(4.2%、635℃),B(7%、635℃),C(9.5%、670℃),D(6.2%、670℃)の四辺形内とする。これらの条件は図2に示されたα相領域の少し内部側で、浴温の上下限を定めたものに対応している。
なお、図2は状態図から求めたα相の安定領域を示すが、実際に実験してみるとα相の安定領域は特にSiの高い方でやや狭まる傾向を示した。これは状態図が平衡状態を扱うものであるのに対して溶融めっきは高速で反応する系を扱うものであり、このずれが生じたものと考えられる。このような理由からA(4.2%、635℃),B(7%、635℃),C(9%、664℃),D(9%、680℃),E(6.5%、680℃)の五辺形内とした方がより安定してα相合金層を得ることができる。浴温の上下限を定めたのは,先述したように浴粘度の増大、浴中機器の溶損といった操業上の課題を回避するためである。
また、本発明において侵入板温を浴温−25℃以上、浴温+25℃以下にすることが望ましい。図2はSi量と温度の関係を示すもので、温度は溶融めっきにおいては主として浴温に対応するが、浴へ鋼板が浸漬されるときの温度もまた重要な因子である。このときの侵入板温が高すぎると図2の温度が高い状態に対応し、θ相が生成しやすくなる。一方、侵入板温が低すぎると浴温と板温の差異によりドロスと呼ばれる表面欠陥が発生しやすくなる。ドロスとは溶融金属中から晶出した金属間化合物が浴中を浮遊し、これが鋼板表面に付着したもので、合金層と成分は同じものである。浴温よりも侵入板温が著しく低いと鋼板近傍で溶融金属が冷却されてこのドロスを生成する。
次に、浴中のFe量について説明する。通常Alめっき浴には鋼板あるいは浴中機器から溶損したFeが溶解している。熱力学的には浴温が決まれば、ある一定値のFeの飽和濃度が定まるが、実際のFe濃度は熱力学的な飽和濃度にはならず、飽和濃度よりも若干低い値をとる。この理由は未だ不明確ではあるが、めっき浴内の温度分布の影響を受けて温度の低い箇所の飽和濃度の影響を受けているものと考えている。このとき浴中Fe濃度が低いと合金層が成長しやすいという知見が得られた。従って、浴中Fe濃度は高目にすることが望ましく、これは浴内の温度分布を小さくすることで達成される。具体的には浴温をT℃としたときに浴中Feの質量%が0.03T−17.6%以上にする必要がある。これは浴温660℃で2.2%に相当する。
溶融めっき工程においては通常冷延鋼板を再結晶焼鈍後、溶融金属中に浸漬してめっきを行う。通常の冷延工程においては鋼板表面に若干の鉄粉が残存してしまうが、このような鉄粉は浴内で溶融金属と反応して合金層と同じ成分となる。鉄粉は表面積が大きいため速やかに反応し、実質的な合金層を増大させ、加工性を低下させる。このような意味から焼鈍炉に入る時点で鋼板表面から鉄粉を除去することは重要である。本発明において焼鈍炉に入る際の表面の鉄粉付着量を片面0.5g/m2 以下とすることが望ましい。洗浄方法は特に限定するものではないが、油も同時に除去するためにアルカリ溶液中での電清や、更にブラシの併用等が通常用いられる。
Al−Si系めっき浴にはその他の元素としてMg,Ca,Sr,Ni,Cu,Ti,Ce,La,Mn,Cr,Co,Mo,Zn,Snの1種以上を0.001%以上1%以下添加することも可能である。Mg,Ca,Mn,Cr,Ni,Cu,Co,Mo,Zn,Sn等の元素はAlめっき鋼板の耐食性向上に寄与し、Sr,Ti,Ce,LaはAl−Si中のSiの分散状態を変えて耐食性に寄与する。その効果は0.001%以上で効力を発揮し、1%以上の添加はドロスと呼ばれる浴中に浮遊する金属間化合物量の増大、融点の上昇等を伴うため好ましくない。これらの元素を浴中に添加したときにはAl−Si系めっき層中あるいは合金層中に分配される。なお、浴中への浸漬時間は、特に限定しないが通常1〜5秒程度であることが多い。
Al−Si二元系においては共晶点が約12%Siであるため、Siを添加することで浴温が低下する効果も得られるものと従来考えられていた。しかし、本発明において浴中にFeが1.5%以上含有されるAl−Si−Fe三元系においては、Si:5〜17%という広い範囲で初晶の晶出温度は殆ど変わらないとの知見も得られた。従って、浴中Si量を減じてもドロスの発生が激しくなる等の懸念もない。
このような方法で製造された溶融Al系めっき鋼板の合金層はα相から成るためにSi量を分析すると5〜12%となる。このSi濃度はα相のSi濃度に対応している。また、その合金層厚みは2.5μm以下となる。α相の生成条件内で浴温をできるだけ低下させることで1.5μm程度という極めて薄い合金層を得ることも可能である。合金層の組成は断面よりEPMA、FE−SEM−EDS等の機器分析を用いることで分析が可能である。但し、合金層の厚みが2〜2.5μmに対してこれら機器分析の分析範囲は1μm程度あるため、分析部位によっては地鉄あるいはAlめっき層の情報も含有することに注意すべきである。
一例として図3、図4に本発明による方法によって製造した溶融Alめっき鋼板の断面組織と組成の分析結果を示す。図3は、6.5%Si−2%Fe、浴温650℃、侵入板温650℃での光学顕微鏡写真等によるAlめっき鋼板の断面組織と分析部位を示す図であり、図3(a)は光学顕微鏡写真であり、図3(b)はFE−SEM−EDS機器分析を用いて断面より合金層の断面組織を示す図である。図4は、FE−SEM−EDSによる組織分析結果を示す図であり、図中の数字は図3(b)に示した部位に相当する。
部位2〜5が合金層に対応するが、このうちの3〜5は三元状態図上のαあるいはα+Lに該当し、Si濃度は8〜9%である。部位4及び5についてはα相に加えてAlめっき層の情報を含むためにα相とL(液相)の間に位置していると考えられる。合金層がβ相であれば分析値はβあるいはβ+Lに位置する筈で、このような手法により簡便に合金層の同定をすることができる。なお、部位2は部位1と3を結ぶ線上に位置し、α相と鋼板(bcc)の両方の情報を含んでいるものと判断できる。
却過程においても合金層の成長は続いているため、冷却は早い方が好ましい。この意味からめっき後580℃までの冷却時間が20秒以下であることが好ましい。
Alめっき後の表面にクロメート、樹脂被膜、リン酸塩系無機皮膜等の後処理皮膜を設けることも本発明の趣旨を損なうものではない。これら皮膜は、初期防錆、加工性、溶接性等を向上させる効果を有する。本発明のめっき付着量は両面60〜250g/m2 程度が可能であり、通常のAl系めっきと同様である。
Al−Si系めっき後の外観は特別な処理をしないとスパングル外観となる。アルミナ等の粉体吹付け、スキンパスによる圧下でスパングルを小さくするあるいは目立たなくなるような処理を施すことも可能である。
本発明のめっき原板としては、従来使用していたものが使用可能で、Al−k鋼、Ti−IF鋼、Ti−Nb−IF鋼、中炭素鋼(0.1〜0.3%C鋼)、Cr含有鋼、Nb含有鋼、低Al−固溶N含有鋼等が挙げられる。また、前述したようにAlめっきプロセスとしてRTF方式、無酸化炉方式があるが、どちらの方式においても本発明は効果を発揮する。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
表1に示す成分の鋼を通常の転炉−真空脱ガス処理により溶製し、鋼片とした後、通常の条件で熱間圧延、酸洗、冷間圧延を行い、板厚1.2mmの冷延鋼板を得た。これらの鋼板に無酸化炉−還元炉タイプの溶融めっきラインでAl−Siめっきを施した。焼鈍炉の前面でアルカリ浴とブラシを使用した洗浄を付与し、このときの鉄粉の付着量は片面0.06g/m2 であった。めっき付着量は両面80g/m2 とした。無酸化炉はコークスガスと空気を混合して燃焼させ、空気比(完全燃焼に必要な空気量に対する供給空気量の比率)は0.95とした。また、還元炉の雰囲気は窒素−15vol%水素で露点は−30℃とした。最高到達板温は805℃、浸漬時間は2.6秒である。このときめっき浴組成、浴温、侵入板温を変化させて試料を製造した。侵入板温の測定は浴より1mの位置、めっき浴温については浴面より500mm位置とした。また、めっき後の冷却はミスト冷却とし、580℃までの冷却時間は5〜15秒であった。この試料の断面観察することで合金層厚みを測定し、また、上述したような手法で視野3箇所において合金層の同定を行った。また、めっき外観、めっき加工性を以下に示す方法で評価した。これらの関係を表2に示す。
Figure 0004751168
Figure 0004751168
(1)めっき外観
100×100mmの試料を剪断し、その両面を観察してめっきの欠陥(通常不めっきと呼ばれる)の個数を計測した。観察に当たって、20%NaOH中でAl−Siめっき層を剥離し、合金層を露出した後に測定し、両面の平均値を算出した。合金層を露出させることで黒っぽい合金層と光沢を持つ素地の判別が容易になり、かつ、合金層は生成していないがAl−Siめっきのみ被覆しているような箇所も計測可能である。
[評価基準]
○:不めっき2個以下
△:不めっき3〜5個
×:不めっき6個以上
(2)めっき加工性
30×300mmの試料を図5に示すようなSKD11製のビード引抜き金型で圧着し、引張試験機を用いて上方向に引抜いた。押付け力を500kgfとしたとき、板厚減としては10〜13%であった。この条件で引抜いたときのめっき層、合金層の亀裂状況を断面より顕微鏡観察した。観察長は0.5mmで、この間のAl−Si系めっき層を貫通した亀裂の数を評価した。
[評価基準]
○:1個以下
△:2〜5個
×:6個以上
ここで使用した鋼はSi、Mn量が比較的高く、不めっきが若干でやすい成分である。No.1〜6、7〜10において浴温を一定にしてSi量を変化させた。するとSi量が低い場合にはθ相が、また、Si量が多い場合にはβ相が生成し、合金層も厚く成長した。No.13、14は浴内の温度バラツキが大きく浴中Fe量が低い場合であるが、このときも合金層が成長しやすい傾向を示した。このとき合金層はα相、β相の両者が存在し、下層にα相、上層にβ相が観察された。
No.15、16は侵入板温の影響を示す。侵入板温が低すぎると表面にドロスが付着しやすく、侵入板温が高いと合金層が成長しやすくなる。これらの条件が適正な場合には合金層は2.5μm以下、α相が主体となり、良好な外観、加工性を示した。
なお、表2において合金層の種類は断面からの組成分析及び状態図上へのプロットにより求めたものである。α相としてSi:5〜12%、β相としてSi:12〜18%、θ相としてSi:0〜3%の値が得られた。
(実施例2)
表3に示す成分の鋼を通常の転炉−真空脱ガス処理により溶製し、鋼片とした後、通常の条件で熱間圧延、酸洗、冷間圧延を行い、板厚0.8mmの冷延鋼板を得た。この鋼板に実施例1と同じ条件でAlめっきを施した。めっき浴の組成はAl−7%Si−2%Fe、浴温は650℃、侵入板温は655℃、浴への浸漬時間は1.7秒とした。但し鋼Cを通板する際のみ空気比を1.2に調整した。評価方法並びに基準も実施例1と同一である。表2に示すように、この条件で製造した際にはめっき外観、密着性ともに良好であった。但し鋼種CのみはCrが約11%含有されているため、他の鋼種に比べると若干欠陥が多い傾向が認められた。
Figure 0004751168
(実施例3)
表3のBに示す成分の鋼を通常の転炉−真空脱ガス処理により溶製し、鋼片とした後、通常の条件で熱間圧延、酸洗、冷間圧延を行い、板厚0.8mmの冷延鋼板を得た。この鋼板に実施例1と同じ条件でAlめっきを施した。但し、焼鈍前の洗浄条件を変えて鉄粉の量を数水準に調整した。めっき浴の組成はAl−7%Si−2%Fe、浴温は650℃、侵入板温は655℃、浴への浸漬時間は1.7秒とした。評価方法並びに基準も実施例1と同一である。表4は供試材の特性を示すものである。また、表5に示すように鉄粉の付着量が多くなると、鉄粉とAlめっき浴の反応物が表面に残存する傾向を示した。このときにはこの反応物を起点としてめっきの亀裂が発生した。
Figure 0004751168
Figure 0004751168
650℃におけるAl−Fe−Si系三元状態図である。 浴中Si量、浴温度と生成する合金層の関係を示す図である。 光学顕微鏡写真等によるAlめっき鋼板の断面組織と分析部位を示す図である。 FE−SEM−EDSによる組織分析結果を示す図である。 ビード引抜き金型を示す図である。

Claims (4)

  1. 鋼板に連続溶融Alめっきするに際し、Alめっき浴中のSi量(質量%)、浴温(℃)を以下に示す四辺形ABCD内の内部とし、浴温をT℃としたときに、Alめっき浴中のFe量を0.03T−17.6質量%以上、鋼板の浴への侵入板温をT−25℃以上、T+25℃以下とし、めっき後580℃までの冷却時間を20秒以下とすることを特徴とする、加工性に優れた溶融Alめっき鋼板の製造方法。
    A(4.2%、635℃),B(7%、635℃),C(10%、680℃),D(6.5%、680℃)
  2. 鋼板に連続溶融Alめっきするに際し、Alめっき浴中のSi量(質量%)、浴温(℃)を以下に示す五辺形ABCDE内の内部とし、浴温をT℃としたときに、Alめっき浴中のFe量を0.03T−17.6質量%以上、鋼板の浴への侵入板温をT−25℃以上、T+25℃以下とし、めっき後580℃までの冷却時間を20秒以下とすることを特徴とする、加工性に優れた溶融Alめっき鋼板の製造方法。
    A(4.2%、635℃),B(7%、635℃),C(9%、664℃),D(9%、680℃),E(6.5%、680℃)
  3. 連続溶融Alめっき前の焼鈍炉に入る際の鉄粉付着量が片面当たり0.5g/m2 以下とすることを特徴とする、請求項1または2項に記載の加工性に優れた溶融Alめっき鋼板の製造方法。
  4. 鋼板とAlめっき層の界面に存在する金属間化合物層中のSi量が質量%で5〜12%で、かつその平均的な厚みが2.5μm以下であることを特徴とする加工性に優れた溶融Alめっき鋼板。
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