JP4964650B2 - 加工後の耐食性に優れた溶融Al系めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は,屋根壁等の金属建材,家庭用,産業用電気器具,自動車の排気系部材,燃料タンク材等に使用される,耐食性,耐熱性に優れた溶融Al系めっき鋼板及びその製造方法に関する。特に加工後の耐食性に優れるために、加工の複雑な自動車燃料タンク、排気系部材等に好適である。
溶融Alめっき鋼板は,高い耐蝕性と耐熱性,美しい外観等から,自動車部品,建材,家電部品等に広範に使用されている。鋼帯を連続的にめっきする,連続溶融めっきプロセスとして古くは酸化炉方式が用いられていた。これは酸化炉で鋼板表面を弱く酸化させ,続く還元炉内で還元して表面のAlめっき浴との反応性を上げるものである。しかしこの方法では還元炉内での反応時間が必要なためにラインスピードを上げることができなかった。このため無酸化炉方式と呼ばれる,燃焼雰囲気中で極く弱く酸化させる方式が採用された。これによってラインスピード(生産性)を向上させることが可能になり,一般的な製造方法となった。
この無酸化炉方式においては,無酸化炉内で弱く酸化した際のスケールが炉内のロール等にピックアップして鋼板に疵をつける懸念があり,厳しい外観品位が求められる合金化Znめっき鋼板等の自動車外板の製造方法としては替わってRTF(Radiant Tube Furnace)法が用いられるようになった。これはラインの前面に脱脂設備を備え,脱脂された鋼板を還元炉内で加熱するもので,この方法により、スケール起因の疵を撲滅することが可能となった。この方法は設備が大型になる傾向があり初期設備費用が大きくなるために,外観品位を要求される用途に適用される。溶融Alめっき鋼板の最大用途は自動車の排気系部材であり,この用途で外観に求められる品位はそう高くないため,無酸化炉方式で製造されることも多い。
ところで一般的に溶融Alめっきは溶融Znめっきと比べて不めっきと呼ばれる微小な未被覆部が生じる欠陥が起こりやすい傾向にある。これは溶融Al自体の有する表面エネルギーが比較的高いことと,Alが極めて酸素,窒素,水素等のガス成分との親和性が高く溶融Al表面にこれらガス成分との化合物を形成して鋼板が溶融Al中に浸漬される際に巻き込みやすいことが原因として挙げられる。このため不めっきをなくすために様々な改善が図られてきた。例えば特開昭61-190056号公報にはスナウトと呼ばれる鋼板のめっき浴への侵入部の雰囲気を制御する技術が開示されている。また近年においてはCr含有鋼,ステンレス鋼へAlめっきするニーズも高まり,より不めっき等の表面欠陥の起こりやすいこれらの原板を使用した際にも不めっきを抑制する技術として,Fe,Ni等のプレめっきを施す技術(特開平1-28341号公報),焼鈍炉内の水素濃度を上昇する技術(特開平7-286252号公報),CGLの操業条件を適正化する技術(特開平5-311380号公報)等がこれまで開発されてきた。
加えて溶融Alめっき鋼板の大きな課題としてAlめっき層と鋼板の界面に生成する金属間化合物層(以降合金層と称する)がZnめっき鋼板等と比べて厚く,厳しい加工に耐えられないという点が挙げられる。この合金層は一般に極めて硬質でかつ脆性であるために加工した場合に破壊の起点となり,かつこの起点よりAlめっき層の割れが惹き起こされるという問題がある。更にこの合金層の破壊が甚だしい場合には界面の密着力を失いAlめっき層の剥離に至る。自動車燃料タンク材のような複雑な成形が必要な場合には特開2001-19902号公報に開示されているように表面に潤滑皮膜を施すことで成形しているが,Alめっき層内部に発生するクラックまでも完全に抑制できるわけではなく,Alめっき側からの改善が求められている。
特開昭61-190056号公報 特開平1-28341号公報 特開平7-286252号公報 特開平5-311380号公報 特開2001-19902号公報
本発明は、上記に鑑み、Alめっき鋼板を製造する際の合金層の厚みも減じる技術を開示するものである。本発明を適用することで極めて加工後の耐食性に優れた溶融Alめっき鋼板が製造を可能となる。
本発明者らは多くの実験事実に熱力学的な検討を加えることで発明を完成させた。その技術的知見は主として3つの内容から成っている。第1番目に合金層の厚みを減じるような浴中Si量、浴温条件を見出したこと、第2番目は合金層厚みを減じるような炉内雰囲気を見出したこと、そして最後にAlめっき層のクラック伝播を抑制するようなめっき後の冷却条件を見出したことである。以下各知見について説明する。
溶融Alめっき工程において極めて合金層が成長しやすいために,通常浴中にSiが添加されている。これにより生成する合金層がAl-Fe系からAl-Fe-Si系に変化してその成長速度が小さくなるとされている。添加されるSi量は通常10%程度が多い。しかし本発明者らはAl-Fe-Si系の状態図の解析より最適なSi量を明確にした。なお特開2000-239819号公報においても同様にAl-Fe-Si系状態図より適正条件を提示しているが,θ相と平衡する条件が最適であるという開示であり,その内容が本願発明とは全く異なることを付記する。
図1に650℃におけるAl-Fe-Si三元状態図(Thermo-calcによる計算図)を示す。Siを含有しないAl-Fe二元反応ではθ(FeAl3),Fe2Al5,FeAl2の3種類のFe-Al金属間化合物が生成しうる。Al浴にSiを添加すると生成する金属間化合物はα,βの2種類がありうることを示している。しかしこれまでAlめっき鋼板の合金層としてどの化合物が適しているかについて何ら知見がなかった。α相はτ5あるいは〔AlFeSi〕H、Al8Fe2Si等と標記されることがある相で,その結晶構造は六方晶である。ASTMあるいはJCPDSカード番号では41-0894の化合物である。またその組成は第1図から分かるように約60%Fe,約9%Si,残部Alから成る。β相はτ6あるいは〔AlFeSi〕M相とも記述され,単斜晶の構造を有する。その組成は約60%Fe,約15%Si,残部Alで、ASTM/JCPDSカード20-0031に相当する。一方θ相はFeAl3という化学式を有する相で,Siを含有しない相である。
Al-10%Siと鋼板(Fe)が反応する時には,第1図のAl-10%SiとFeを結ぶ線によりその反応は表される。しかしAl-10%SiとFeを結ぶ線はα+L,β+Lの境界付近を通り,この状態ではα,βのどちらがAlめっきの合金層として生成するかは明らかではない。Si濃度が高いとβ相が,Si濃度が低いとα相が生成しやすくなることがこの図より見てとれるため,浴中Si量を変えて実験したところ,合金層をα相にしたときに合金層の成長は抑制されるという結果を得た。α相,β相の化学式,物性等は明確となっていないため,この理由は不明確であるが,この系においては金属間化合物中の空孔濃度が高いことが知られており,α相とβ相の間では空孔濃度に差があるために拡散挙動が異なるものと推定される。
更にこのような状態図を温度を変えて計算することにより,α相とβ相の安定性は浴中Si量のみならず温度にも依存していることが確認された。X軸を浴中Si量、Y軸を浴温としたときに適正な条件範囲は厳密には単純な長方形ではないが、近似的にSi:4〜8.5%、浴温640〜660℃である。
このような条件でAlめっきを施した時に生成する合金層はα相が主体となる。β相はα相よりも低温で安定な相のため、Alめっきの冷却過程で晶出する。このため凝固後のAlめっきを分析しても完全にα単相とはならない。本発明の条件で製造することでα相のX線回折のピーク強度は一定以上となることが確認された。このとき合金層のX線回折は表面のAl-Si層を剥離して行うものとする。例えばAl-Si層を3%NaOH-1%AlCl3・6H2O中で電解剥離することで合金層表面を露出させることができる。α相、β相共に金属間化合物で多くのX線回折ピークを持ち、どのピークを選定するかが問題となるが、α相の(112)、β相の(-327)を使用することで両者を明確に判定できた。これらはd値としてそれぞれ0.5604、0.1637nmという値を持ち、CuKα線で回折測定をするとそれぞれ15.8°、56.1°にピークを示す。
次に炉内雰囲気について説明する。本発明における課題はAlめっき鋼板の合金層厚みの低減であり、合金層厚みに及ぼす種々の工程要因を検討したところ、焼鈍条件の影響が認められた。詳細な調査によると、焼鈍条件により鋼板最表面の結晶粒径が変化しており、焼鈍温度と焼鈍雰囲気、特に水素濃度が影響していた。合金層の厚みを減じるには最表面の結晶粒径をできるだけ大きくして粒界からの拡散を抑制することが好ましく、焼鈍温度を高めに、また水素濃度を低目にすることが重要である。水素濃度が表面粒径に影響する詳細な機構は未だ判明していないが、表面の析出物の量、形態が変化しているものと推定している。
最後にAlめっき層の亀裂抑制条件について説明する。Alめっき層はAl-Siの亜共晶組織であるが、Alめっき浴中に存在するFeが固溶しやすい。FeはAlの強化元素で、固溶することでAl相の硬度が上昇してめっきのクラックが発生しやすくなることが判明した。Al中のFeの固溶減は低いものの、急冷することでFeの固溶が促進されて加工後のクラックが発生しやすくなる。従って凝固時の冷却速度は遅い方が好ましい。但し遅すぎると冷却過程で合金層が成長するために適正値を有することになる。この適正な冷却速度で製造することでAlめっき層の硬度を低くすることができる。
本発明は以上の知見を基に完成された。その要旨は以下である。
(1)表面にAl-Fe-Si合金層を有し、該合金層表面をX線回折法で測定した際のAl8Fe2Siの(112)ピーク、β-AlSiFeの(-327)ピークの積分強度をそれぞれA、BとしたときにA/(A+B)が0.65以上、合金層厚みが2.5μm以下で、かつ合金層表面を被覆するAl-Si層中のAl部の硬度がヌープ硬度で50〜80であることを特徴とする加工後の耐食性に優れた溶融Alめっき鋼板。
(2)冷延鋼板または熱延鋼板を水素濃度1〜8体積%雰囲気内で到達板温750〜900℃となるように加熱した後にSi:5〜8.5%、Fe:0.5〜3%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、温度が640〜660℃である溶融金属に浸漬し、その後610〜500℃までの平均冷却速度が5〜25℃となるように冷却することを特徴とする加工後の耐食性に優れた溶融Alめっき鋼板の製造方法。
本発明はAlめっき鋼板の加工時のクラック発生という課題を解決するために、合金層を薄くすることでクラックの発生起点を極力低減し、なおかつAlめっき層も軟質化することでクラックの伝播を抑制した。こうしてクラックの起点、伝播を両方抑制することで総合的に極めて優れた加工後の耐食性を確保することが可能となった。
次に本発明の限定理由を詳細に説明する。
まずAl系めっき浴の組成としては前述したようにAlをベースとしてSiを添加するものであるが,浴中Si量を5〜8.5%、Fe量を0.5〜3%、浴温640〜660℃とする。この理由は先述したように生成する合金層を制御するためである。すなわちSi量が低すぎるとSiを含まないFe-Al系化合物、具体的にはθ相が生成し、Si量が多すぎるとβ相が生成する。浴温が低すぎると浴内にドロスが生成しやすく操業が困難となると共にβ相が生成しやすい。一方浴温が高いと合金層が成長して本来の目的から逸脱する。Fe量が少ない時にも合金層が成長しやすい傾向が認められ、一方Fe量が多すぎるとドロスと呼ばれるAl-Fe-Si化合物の表面付着が起こって外観不良となる。これらの条件内で製造することでα相主体の合金層が生成する。このときX線回折で合金層表面を測定すると、α相(Al8Fe2Si)の(112)ピーク強度A、β相の(-327)ピーク強度BとしたときのA/(A+B)が0.65以上となる。これらのピークはそう強度の強いピークではないため、ピーク強度は積分強度で計算し、バックグラウンド除去をして計算するものとする。このピーク比が0.65未満のときにはβ相が主体の合金層となり、厚み2.5μm以下を満足できない。
Al-Si系めっき浴にはその他の元素としてMg,Ca,Sr,Ni,Cu,Ti,Ce,La,Mn,Cr,Co,Mo,Zn,Snの1種以上を0.001%以上1%以下添加することも可能である。Mg,Ca,Mn,Cr,Ni,Cu,Co,Mo,Zn,Sn等の元素はAlめっき鋼板の耐食性向上に寄与し,Sr,Ti,Ce,LaはAl-Si中のSiの分散状態を変えて耐食性に寄与する。その効果は0.001%以上で効力を発揮し,1%以上の添加はドロスと呼ばれる浴中に浮遊する金属間化合物量の増大,融点の上昇等を伴うため好ましくない。これらの元素を浴中に添加したときにはAl-Si系めっき層中あるいは合金層中に分配される。なお浴中への浸漬時間は特に限定しないが通常1〜5秒程度であることが多い。
Al-Si二元系においては共晶点が約12%Siであるため,Siを添加することで浴温が低下する効果も得られるものと従来考えられていた。しかし本発明において浴中にFeが1.5%以上含有されるAl-Si-Fe三元系においてはSi:5〜17%という広い範囲で初晶の晶出温度は殆ど変わらないとの知見も得られた。従って浴中Si量を減じてもドロスの発生が激しくなる等の懸念もない。
次に焼鈍条件についての限定理由であるが、水素濃度1〜8%、到達板温750〜900℃とする。理由は前述したように鋼板最表面の粒径を大きくする条件である。水素濃度が1%未満では鋼板表面に生成する酸化皮膜を還元することができずに不めっき等のめっき欠陥を起こしやすい。また水素濃度が8%超では粒径が小さく、合金層厚みが厚くなりやすい。鋼板の到達板温は低すぎると表面の粒成長が十分でなく、合金層が厚くなりやすい。一方到達板温が900℃を超えるとオーステナイト変態が起こり、r値が低下して十分な鋼板としての機械的特性が得られなくなる。これらの浴条件及び焼鈍条件を選定することで合金層厚み2.5μm以下が安定的に得られる。
次にAlめっき後の冷却条件であるが、610〜500℃間の平均冷却速度を5〜25℃とする。理由は前述した通りで、冷却速度を低下させすぎると合金層成長が起こり、冷却速度を上昇させすぎるとFeがAl相に固溶してAlめっき層の硬度が上昇する。温度域として合金層成長、AlへのFe固溶に寄与する温度は融点以下、概ね500℃以上であり、この温度域とする。これらの冷却条件を適用することでAlめっき層中の硬度を低くすることができる。このときの硬度はヌープ硬度計を使用するものとする。通常ビッカース圧子が使用されているが、ビッカース圧子は縦と横が同じ大きさで、薄いめっき層の断面硬度を測定するには不向きで、平坦な形状のヌープ圧子を使用することでめっき層の硬度を正確に測定することができる。またAlめっき層はAl-Siの亜共晶のため、測定はAl部を狙って測定するものとする。SiはAlに比べて硬度が高く、誤差要因となるためである。ヌープ硬度80超ではクラックの伝播を十分抑制することができず、通常の製造条件では硬度50未満とはならない。
Alめっき後の表面にクロメート,樹脂被覆,リン酸塩系無機皮膜等の後処理皮膜を設けることも本発明の趣旨を損なうものではない。これら皮膜は,初期防錆,加工性,溶接性等を向上させる効果を有する。本発明のめっき付着量は両面60〜250g/m2程度が可能であり,通常のAl系めっきと同様である。
Al-Si系めっき後の外観は特別な処理をしないとスパングル外観となる。アルミナ等の粉体吹付け,スキンパスによる圧下でスパングルを小さくするあるいは目立たなくなるような処理を施すことも可能である。
本発明のめっき原板としては,従来使用していたものが使用可能で,Al-k鋼,Ti-IF鋼,Ti-Nb-IF鋼,中炭素鋼(0.1〜0.3%C鋼),Cr含有鋼,Nb含有鋼,低Al-固溶N含有鋼等が挙げられる。また前述したようにAlめっきプロセスとしてRTF方式,無酸化炉方式があるが,どちらの方式においても本発明は効果を発揮する。
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
表1に示す成分の鋼を通常の転炉−真空脱ガス処理により溶製し,鋼片とした後,通常の条件で熱間圧延,酸洗,冷間圧延を行い,板厚1.2mmの冷延鋼板を得た。これらの鋼板に無酸化炉-還元炉タイプの溶融めっきラインでAl-Siめっきを施した。焼鈍炉の前面でアルカリ浴とブラシを使用した洗浄を付与した。めっき付着量は両面80g/m2とした。無酸化炉はコークスガスと空気を混合して燃焼させ,空気比(完全燃焼に必要な空気量に対する供給空気量の比率)は0.95とした。また還元炉の雰囲気は窒素-水素で水素濃度を変動させ、露点は-30℃とした。浸漬時間は2.6秒、侵入板温は浴温と同じ温度とした。このとき到達板温、めっき浴組成,浴温を変化させて試料を製造した。めっき浴温については浴面より500mm位置で測定した。まためっき後の冷却はフォグ冷却とした。この試料の断面組織を観察することで合金層厚みを測定し,合金層表面からX線回折を行った。合金層を露出させるため、試料をアノード、ステンレス鋼をカソードとして電解剥離法を使用した。溶液は3%NaOH-1%AlCl3・6H2O、電流密度は20mA/cm2とした。また加工後の耐食性を以下に示す方法で評価した。これらの関係を表2に示す。
<加工後耐食性評価方法>
30×300mmの試料を右に示すようにSKD11製の金型で圧着し,引張試験機を用いて上方向に引抜いた。押付け力を500kgfとしたとき,板厚減としては10〜13%であった。この条件で引抜いた後、25×100mmの評価面積でJIS Z2371に定める塩水噴霧試験を20日間行い、赤錆発生面積を評価した。
<評価基準>
◎:赤錆3%以下、○:赤錆10%以下、△:赤錆30%以下、×:赤錆30%超
Figure 0004964650
Figure 0004964650
表2から分かるように、加工後の耐食性は合金層の厚みが薄く、めっきのヌープ硬度が低い状態で良好となっている。合金層の厚みは到達板温、水素濃度、浴温、浴組成で決定され、めっきの硬度はめっき後の冷却速度で決定される。比較例5は合金層自体は非常に薄かったものの、浴温を下げすぎたために浴内でドロスが発生して鋼板に付着したために、ドロスを起因とした耐食性低下が生じた。冷却速度を低下させると冷却過程でもβ相晶出が起こるために見かけ上β相の比率が上昇する傾向を示した。
650℃におけるAl-Fe-Si三元状態図(Thermo-calcによる計算図)である。 本発明の実施例に用いたビード引抜き金型を示す図である。

Claims (2)

  1. 鋼板表面にAl-Fe-Si合金層を有し、該合金層表面をX線回折法で測定した際のAl8Fe2Siの(112)ピーク、β-AlSiFeの(-327)ピークの積分強度をそれぞれA、BとしたときにA/(A+B)が0.65以上、合金層厚みが2.5μm以下で、かつ合金層表面を被覆するAl-Si層中のAl部の硬度がヌープ硬度で50〜80であることを特徴とする加工後の耐食性に優れた溶融Alめっき鋼板。
  2. 冷延鋼板または熱延鋼板を水素濃度1〜8体積%雰囲気内で到達板温750〜900℃となるように加熱した後にSi:5〜8.5%、Fe:0.5〜3%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、温度が640〜660℃である溶融金属に浸漬し、その後610〜500℃までの平均冷却速度が5〜25℃となるように冷却することを特徴とする加工後の耐食性に優れた溶融Alめっき鋼板の製造方法。
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