JP2007297700A - 燃料タンク用高強度溶融アルミニウムめっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高強度,加工性を両立させた燃料タンク用高強度溶融アルミニウムめっき鋼板を得る。
【解決手段】C:0.05〜0.15%,Si:1.5%以下,Mn:1.0〜2.5%,P:0.1%以下,Al:0.5%以下を含み、マルテンサイト及び残留オーステナイトが主相・フェライトに5〜25体積%分散した複相組織を有する鋼材をめっき原板とし、Al-Si合金めっき層が鋼板表面に設けられている。引張強さが590MPa以上で、プレス成形性にも優れている。めっき原板は必要に応じTi:0.2%以下,Nb:0.1%以下,Mo:1%以下,Cr:1%以下,B:0.01%以下の一種又は二種以上を含むことができ、溶融めっき前の焼鈍工程で複相組織が作り込まれる。
【選択図】なし
【解決手段】C:0.05〜0.15%,Si:1.5%以下,Mn:1.0〜2.5%,P:0.1%以下,Al:0.5%以下を含み、マルテンサイト及び残留オーステナイトが主相・フェライトに5〜25体積%分散した複相組織を有する鋼材をめっき原板とし、Al-Si合金めっき層が鋼板表面に設けられている。引張強さが590MPa以上で、プレス成形性にも優れている。めっき原板は必要に応じTi:0.2%以下,Nb:0.1%以下,Mo:1%以下,Cr:1%以下,B:0.01%以下の一種又は二種以上を含むことができ、溶融めっき前の焼鈍工程で複相組織が作り込まれる。
【選択図】なし
Description
本発明は、高強度で加工性,低温靭性に優れた燃料タンク用高強度溶融アルミニウムめっき鋼板及びその製造方法に関する。
自動車に搭載される燃料タンクは、ターンシートと称されるPb-Snめっき鋼板が従来から使用されてきたが、環境負荷の大きなターンシートに代えて溶融アルミニウムめっき鋼板の使用が進められている。
通常エンジンを搭載した自動車と燃費の向上を狙って開発されたハイブリッド車では、燃料タンクに要求される特性が異なる。ハイブリッド車では、電気エネルギーによる走行中にガソリンが消費されず蒸散するため、燃料タンクの内圧が上昇しがちである。また、内圧上昇時の変形を防止するため、通常のガソリン車に比較して厚い鋼板をハイブリッド車の燃料タンク用素材とする場合が多い。
しかし、燃費向上には車体の軽量化が効果的であり、ハイブリッド車の燃料タンクについても薄肉化が要求されるようになってきている。
通常エンジンを搭載した自動車と燃費の向上を狙って開発されたハイブリッド車では、燃料タンクに要求される特性が異なる。ハイブリッド車では、電気エネルギーによる走行中にガソリンが消費されず蒸散するため、燃料タンクの内圧が上昇しがちである。また、内圧上昇時の変形を防止するため、通常のガソリン車に比較して厚い鋼板をハイブリッド車の燃料タンク用素材とする場合が多い。
しかし、燃費向上には車体の軽量化が効果的であり、ハイブリッド車の燃料タンクについても薄肉化が要求されるようになってきている。
燃料タンクの作製に際しては、鋼材を複雑形状に加工することが多いので、ランクフォード値が高くプレス成形性に優れた270MPa級の極低炭素IF鋼が従来から使用されている(特許文献1,2)。また、軽量化の要求に応えるため、薄鋼板を使用しても十分な強度を有する鋼材が望まれている。更に、耐二次加工脆性や寒冷地での走行を考慮すると、溶接部の低温靭性も重要な特性である。
特開平9-156027号公報
特開平10-72641号公報
本発明者等は、軽量化しても必要強度を維持する燃料タンクに好適な鋼材について組成面,組織面から種々調査・検討した。その結果、Mn等を増量した成分設計で、マルテンサイト,残留オーステナイトが第二相として主相・フェライトに分散した複相組織に調整すると、燃料タンクの軽量化,要求特性を満足する溶融アルミニウムめっき鋼板が得られることを解明した。
本発明は、特定された成分設計で所定の複相組織とすることにより、軽量化のために薄肉化しても590MPa以上の引張強さを呈する燃料タンク用高強度溶融アルミニウムめっき鋼板を提供することを目的とする。
本発明は、特定された成分設計で所定の複相組織とすることにより、軽量化のために薄肉化しても590MPa以上の引張強さを呈する燃料タンク用高強度溶融アルミニウムめっき鋼板を提供することを目的とする。
本発明の燃料タンク用高強度溶融アルミニウムめっき鋼板は、C:0.05〜0.15質量%,Si:1.5質量%以下,Mn:1.0〜2.5質量%,P:0.1質量%以下,Al:0.5質量%以下,残部がFe及び不可避的不純物の組成をもつ鋼板を下地鋼に使用している。該鋼板は、Ti:0.2質量%以下及び/又はNb:0.1質量%以下、更にはMo:1質量%以下,Cr:1質量%以下,B:0.01質量%以下の少なくとも一種を含むことができる。
金属組織は、第二相としてマルテンサイト,残留オーステナイトが主相のフェライトに分散した複層組織であり、第二相の分率が5〜25体積%の範囲に調整されている。
金属組織は、第二相としてマルテンサイト,残留オーステナイトが主相のフェライトに分散した複層組織であり、第二相の分率が5〜25体積%の範囲に調整されている。
この鋼板を下地鋼とし、Si:3〜13質量%を含む溶融Al-Si合金めっき層が形成されている。
所定組成の鋼材を熱間圧延し、酸洗,冷間圧延を経て片面当り付着量:2g/m2以上の鉄系の電気めっき層を形成した後、連続溶融めっき設備に通板して溶融アルミニウムめっきすることにより製造される。連続溶融めっき設備では、焼鈍温度:700〜900℃で焼鈍し、平均冷却速度:5℃/秒以上で冷却した後、溶融アルミニウムめっき浴に導入される。
所定組成の鋼材を熱間圧延し、酸洗,冷間圧延を経て片面当り付着量:2g/m2以上の鉄系の電気めっき層を形成した後、連続溶融めっき設備に通板して溶融アルミニウムめっきすることにより製造される。連続溶融めっき設備では、焼鈍温度:700〜900℃で焼鈍し、平均冷却速度:5℃/秒以上で冷却した後、溶融アルミニウムめっき浴に導入される。
一般に590MPa級以上の高強度を得るには0.05質量%以上のC量を必要とするが、Cの増量に伴い極低炭素IF鋼の特徴である高ランクフォード値が得られ難くなりプレス成形性が低下する。そこで、C:0.05質量%以上の成分系でプレス成形性,高強度を両立させる成分設計,金属組織を検討した。その結果、マルテンサイト、残留オーステナイトを第二相としてフェライトに分散させた複相組織において、第二相の分率を制御することにより、極低炭素IF鋼よりランクフォード値が低くなるものの、n値,伸びが高くプレス成形性に優れた590MPa級以上の溶融アルミニウムめっき鋼板が得られることを解明した。母材の高強度化により、溶接部の低温靭性も向上する。
以下、本発明で規定した合金成分,含有量等を説明する。
〔合金設計〕
C:0.05〜0.15質量%
鋼板の高強度化に必要な成分であり、0.05質量%未満では590MPa級以上の高強度が得られ難い。しかし、0.15質量%を超える過剰量は、加工性を低下させる。そのため、0.05〜0.15質量%(好ましくは、0.07〜0.13質量%)の範囲でC含有量を定める。
〔合金設計〕
C:0.05〜0.15質量%
鋼板の高強度化に必要な成分であり、0.05質量%未満では590MPa級以上の高強度が得られ難い。しかし、0.15質量%を超える過剰量は、加工性を低下させる。そのため、0.05〜0.15質量%(好ましくは、0.07〜0.13質量%)の範囲でC含有量を定める。
Si:1.5質量%以下
固溶強化能が大きく、過度の加工性劣化なく鋼板の高強度化に寄与する成分である。また、セメンタイトに固溶せず、セメンタイトの生成を抑制することで残留オーステナイトの生成を促進させる作用を呈する。このような効果は、0.5質量%以上のSiで顕著になる。しかし、1.5質量%を超える過剰量のSiが含まれると、Siの添加効果が飽和するだけでなく、鉄系電気めっきを施しても溶融アルミニウムめっきが困難になる。
固溶強化能が大きく、過度の加工性劣化なく鋼板の高強度化に寄与する成分である。また、セメンタイトに固溶せず、セメンタイトの生成を抑制することで残留オーステナイトの生成を促進させる作用を呈する。このような効果は、0.5質量%以上のSiで顕著になる。しかし、1.5質量%を超える過剰量のSiが含まれると、Siの添加効果が飽和するだけでなく、鉄系電気めっきを施しても溶融アルミニウムめっきが困難になる。
Mn:1.0〜2.5質量%
オーステナイトを安定化させると共に、めっきラインにおける加熱後の冷却時にパーライトの生成を抑制する作用があり、マルテンサイト,残留オーステナイトの生成に寄与する。パーライトの生成を抑制する作用は1.0質量%以上でみられるが、2.5質量%を超える過剰Mnはバンド組織を著しく発達させて加工性劣化の原因にもなる。好ましくは、1.4〜2.0質量%の範囲でMn含有量を定める。
オーステナイトを安定化させると共に、めっきラインにおける加熱後の冷却時にパーライトの生成を抑制する作用があり、マルテンサイト,残留オーステナイトの生成に寄与する。パーライトの生成を抑制する作用は1.0質量%以上でみられるが、2.5質量%を超える過剰Mnはバンド組織を著しく発達させて加工性劣化の原因にもなる。好ましくは、1.4〜2.0質量%の範囲でMn含有量を定める。
P:0.1質量%以下
Siと同様に固溶強化によって鋼板を高強度化する成分であるが、0.1質量%を超える過剰量は溶接部の低温靭性を低下させる。
Al:0.5質量%以下
Siと同様にセメンタイトに固溶せずセメンタイトの生成を抑制することで、残留オーステナイトの生成を促進させる作用がある。このような作用は、0.1質量%以上で顕著になるが、0.5質量%で飽和し、それ以上添加しても製造性の低下やコストの上昇を招く。
Siと同様に固溶強化によって鋼板を高強度化する成分であるが、0.1質量%を超える過剰量は溶接部の低温靭性を低下させる。
Al:0.5質量%以下
Siと同様にセメンタイトに固溶せずセメンタイトの生成を抑制することで、残留オーステナイトの生成を促進させる作用がある。このような作用は、0.1質量%以上で顕著になるが、0.5質量%で飽和し、それ以上添加しても製造性の低下やコストの上昇を招く。
Ti:0.2質量%以下,Nb:0.1質量%以下
何れも組織微細化に有効な任意成分であり、炭窒化物の生成による析出強化で鋼材を高強度化する作用を呈する。しかし、過剰添加は、延性低下や残留オーステナイトの減少を引き起こすので、上限をTiで0.2質量%,Nbで0.1質量%とした。
Mo:1質量%以下,Cr:1質量%以下,B:0.01質量%以下
必要に応じて添加される合金成分であり、焼入れ性を向上させる作用があり、低温変態相の生成を促進する。このような効果はMo:0.1質量%以上,Cr:0.1質量%以上,B:0.0005質量%以上で顕著になるが、過剰添加しても添加効果が飽和し却ってコスト上昇を招くのでMo:1質量%(好ましくは、0.5質量%),Cr:1質量%(好ましくは、0.5質量%),B:0.01質量%(好ましくは、0.005質量%)を上限とした。
何れも組織微細化に有効な任意成分であり、炭窒化物の生成による析出強化で鋼材を高強度化する作用を呈する。しかし、過剰添加は、延性低下や残留オーステナイトの減少を引き起こすので、上限をTiで0.2質量%,Nbで0.1質量%とした。
Mo:1質量%以下,Cr:1質量%以下,B:0.01質量%以下
必要に応じて添加される合金成分であり、焼入れ性を向上させる作用があり、低温変態相の生成を促進する。このような効果はMo:0.1質量%以上,Cr:0.1質量%以上,B:0.0005質量%以上で顕著になるが、過剰添加しても添加効果が飽和し却ってコスト上昇を招くのでMo:1質量%(好ましくは、0.5質量%),Cr:1質量%(好ましくは、0.5質量%),B:0.01質量%(好ましくは、0.005質量%)を上限とした。
〔複相組織〕
以上の組成を有する鋼材は、強度,加工性を両立させるため、溶融めっき前の焼鈍条件を制御することにより、マルテンサイトや残留オーステナイトが第二相として主相・フェライトに5〜25体積%分散した複相組織に調質している。5%未満の分散量では590MPa級以上の引張強さが得られず、逆に25%を超える分散量では過度に高強度化し目標タンク形状への加工が困難になる。残留オーステナイトが多いほどプレス成形性がよくなるが、マルテンサイト単独の第二相であっても必要な加工性を確保できる。
以上の組成を有する鋼材は、強度,加工性を両立させるため、溶融めっき前の焼鈍条件を制御することにより、マルテンサイトや残留オーステナイトが第二相として主相・フェライトに5〜25体積%分散した複相組織に調質している。5%未満の分散量では590MPa級以上の引張強さが得られず、逆に25%を超える分散量では過度に高強度化し目標タンク形状への加工が困難になる。残留オーステナイトが多いほどプレス成形性がよくなるが、マルテンサイト単独の第二相であっても必要な加工性を確保できる。
〔プレめっき〕
溶融アルミニウムめっきに先立ち、電気めっき法で鉄系のプレめっきが施される。鋼板表面に形成される鉄系の電気めっき層は、Si,Mn起因の悪影響を抑制する。すなわち、Si,Mnは、高強度化に必要な成分であるが、加熱時に酸化物を生成してめっき性を阻害する。そこで、鉄系の電気めっき層を設けておくと、酸化物の生成が防止され、Si,Mnで高強度化した鋼材でありながら良好なめっき性が確保される。このような効果は、片面当り付着量:2g/m2以上の鉄系めっき層で顕著になる。
溶融アルミニウムめっきに先立ち、電気めっき法で鉄系のプレめっきが施される。鋼板表面に形成される鉄系の電気めっき層は、Si,Mn起因の悪影響を抑制する。すなわち、Si,Mnは、高強度化に必要な成分であるが、加熱時に酸化物を生成してめっき性を阻害する。そこで、鉄系の電気めっき層を設けておくと、酸化物の生成が防止され、Si,Mnで高強度化した鋼材でありながら良好なめっき性が確保される。このような効果は、片面当り付着量:2g/m2以上の鉄系めっき層で顕著になる。
〔連続溶融めっきライン〕
プレめっきされた鋼帯は連続溶融めっき設備に送り込まれ、700〜900℃の焼鈍後、溶融アルミニウムめっき浴に浸漬される。焼鈍温度:700〜900℃は、第二相が5〜25体積%分散した複相組織を得る上で必要な条件である。700℃に達しない加熱温度では、セメンタイトが完全に固溶せず加熱時のオーステナイト量も少なくなり、めっき後のマルテンサイトや残留オーステナイト量が減少する。逆に900℃を超える加熱温度では、Si,Mn系酸化物の生成によりめっき性が低下する。好ましくは、750〜850℃の範囲で焼鈍温度を設定する。
プレめっきされた鋼帯は連続溶融めっき設備に送り込まれ、700〜900℃の焼鈍後、溶融アルミニウムめっき浴に浸漬される。焼鈍温度:700〜900℃は、第二相が5〜25体積%分散した複相組織を得る上で必要な条件である。700℃に達しない加熱温度では、セメンタイトが完全に固溶せず加熱時のオーステナイト量も少なくなり、めっき後のマルテンサイトや残留オーステナイト量が減少する。逆に900℃を超える加熱温度では、Si,Mn系酸化物の生成によりめっき性が低下する。好ましくは、750〜850℃の範囲で焼鈍温度を設定する。
700〜900℃に加熱された後、高強度化,加工性に必要な複相組織が維持されるように平均冷却速度:5℃/秒以上で冷却される。5℃/秒に達しない緩慢な冷却では、冷却中にパーライトが生成し強度低下,n値低下,ひいては加工性の低下を引き起こす。
Al-Si合金めっき層は、3〜13質量%の範囲にSi含有量を調整することが好適である。めっき層のSi含有量はめっき浴組成を反映しているので、めっき浴管理によってAl-Si合金めっき層のSi含有量を調整できる。硬質で脆弱なAl-Fe系合金層の生成・成長を抑制するため3質量%以上のSiが必要であるが、13質量%を超える過剰Siを添加してもAl-Fe系合金層の生成・成長抑制効果が飽和し却ってめっき層の耐食性,密着性に及ぼす悪影響が懸念される。
表1の組成をもつスラブを1250℃に加熱した後、仕上げ圧延温度:880℃,巻取り温度:550℃で板厚:2.4mmまで熱間圧延し、焼鈍・酸洗を経て冷延率:50%の冷間圧延で板厚:1.2mmの冷延鋼帯を製造した。
次いで、各冷延鋼帯に片面当り付着量:2g/m2以上で鉄系の電気めっき層を設けた後、連続溶融めっき設備に通板し、表2の条件で焼鈍し、浴温:660℃のAl-9質量%Si溶融めっき浴に浸漬し、片面当りめっき付着量:60g/m2で溶融アルミニウムめっきした。
製造された溶融アルミニウムめっき鋼板の板厚1/4を化学研磨で除去した後、Co管球を用いたX線回折でフェライト相の{200},{211},残留オーステナイト相の{200},{200},{220},{311}各面の回折強度比から残留オーステナイト量を演算した。マルテンサイト量については、画像解析から求めた。
更に、溶融アルミニウムめっき鋼板から採取した試験片を室温引張試験,二次加工試験,溶接強度試験に供した。
更に、溶融アルミニウムめっき鋼板から採取した試験片を室温引張試験,二次加工試験,溶接強度試験に供した。
室温引張試験では、コイル幅方向の両端からw/4(wはコイル幅)の距離にある位置で圧延直角方向にJIS Z2201の5号引張り試験片採取し、JIS Z2241に準じて引張試験した。n値は、5〜10%の範囲で測定した。鋼板の全伸び≧26%,n≧0.20であれば、590MPa以上の高強度鋼板についても燃料タンクのような複雑形状へのプレス成形が可能になる。
二次加工試験では、溶融アルミニウムめっき鋼板から切り出した試験片をポンチ径:33mm,ダイス径:35.4mm,絞り比:2.0でコニカルカップに絞り加工し、6.3kgの重錘を2.3mの高さからコニカルカップに落下させた。そして、脆性破壊する温度で耐二次加工脆性を評価した。
溶接強度試験では、燃料タンクのフランジ部を模擬するため、図1の形状をもつ長さ:200mm,幅:65mmの試験片をシーム溶接で作製し、-40℃で引張り試験し、破断荷重から溶接部の低温靭性を評価した。
溶接強度試験では、燃料タンクのフランジ部を模擬するため、図1の形状をもつ長さ:200mm,幅:65mmの試験片をシーム溶接で作製し、-40℃で引張り試験し、破断荷重から溶接部の低温靭性を評価した。
表3の調査結果にみられるように、本発明例No.1〜11は引張強さ:590MPa以上で伸び:26%以上,n値:0.2以上とプレス成形性にも優れており、耐二次加工脆性や溶接部の低温靭性も良好な結果を示した。
これに対し、C量の少ない試験No.12は引張強さが590MPaに達しておらず、Mn量が多い試験No.13は引張強さが高すぎ伸び,n値が低くなってプレス成形性に劣っていた。過剰量のPを含む試験No.14は、590MPaを超える引張強さを示したものの溶接部の低温靭性に劣っていた。加熱温度が低い試験No.15は、マルテンサイトや残留オーステナイトが生成しないため、引張強さやn値が低い値を示している。焼鈍後に緩慢に冷却した試験No.16では、冷却中にパーライトが生成してマルテンサイトや残留オーステナイト量が減少したため、引張強さ,n値共に低い値であった。
この対比から明らかなように、特定された成分・組成の鋼材を所定の複相組織にすることにより、590MPa級以上の燃料タンク用高強度溶融アルミニウムめっき鋼板が得られることが確認された。
この対比から明らかなように、特定された成分・組成の鋼材を所定の複相組織にすることにより、590MPa級以上の燃料タンク用高強度溶融アルミニウムめっき鋼板が得られることが確認された。
Claims (5)
- C:0.05〜0.15質量%,Si:1.5質量%以下,Mn:1.0〜2.5質量%,P:0.1質量%以下,Al:0.5質量%以下,残部がFe及び不可避的不純物の組成をもち、マルテンサイト及び残留オーステナイトが第二相として主相・フェライトに5〜25体積%分散した複相組織を有する鋼材に、Si:3〜13質量%を含むAl-Si合金めっき層が設けられており、引張強さが590MPa以上であることを特徴とする燃料タンク用高強度溶融アルミニウムめっき鋼板。
- C:0.05〜0.15質量%,Si:1.5質量%以下,Mn:1.0〜2.5質量%,P:0.1質量%以下,Al:0.5質量%以下,Ti:0.2質量%以下及び/又はNb:0.1質量%以下,残部がFe及び不可避的不純物の組成をもち、マルテンサイト及び残留オーステナイトが第二相として主相・フェライトに5〜25体積%分散した複相組織を有する鋼材に、Si:3〜13質量%を含むAl-Si合金めっき層が設けられており、引張強さが590MPa以上であることを特徴とする燃料タンク用高強度溶融アルミニウムめっき鋼板。
- C:0.05〜0.15質量%,Si:1.5質量%以下,Mn:1.0〜2.5質量%,P:0.1質量%以下,Al:0.5質量%以下を含み、更にMo:1質量%以下,Cr:1質量%以下,B:0.01質量%以下の少なくとも一種を含み、残部がFe及び不可避的不純物の組成をもち、マルテンサイト及び残留オーステナイトが第二相として主相・フェライトに5〜25体積%分散した複相組織を有する鋼材に、Si:3〜13質量%を含むAl-Si合金めっき層が設けられており、引張強さが590MPa以上であることを特徴とする燃料タンク用高強度溶融アルミニウムめっき鋼板。
- C:0.05〜0.15質量%,Si:1.5質量%以下,Mn:1.0〜2.5質量%,P:0.1質量%以下,Al:0.5質量%以下,Ti:0.2質量%以下及び/又はNb:0.1質量%以下を含み、更にMo:1質量%以下,Cr:1質量%以下,B:0.01質量%以下の少なくとも一種を含み、残部がFe及び不可避的不純物の組成をもち、マルテンサイト及び残留オーステナイトが第二相として主相・フェライトに5〜25体積%分散した複相組織を有する鋼材に、Si:3〜13質量%を含むAl-Si合金めっき層が設けられており、引張強さが590MPa以上であることを特徴とする燃料タンク用高強度溶融アルミニウムめっき鋼板。
- 請求項1〜4何れかに記載の組成を有する鋼材を熱間圧延し、酸洗,冷間圧延後に片面当り付着量:2g/m2以上で鉄系の電気めっき層を形成し、次いで連続溶融めっき設備に通板し、700〜900℃で焼鈍した後、5℃/秒以上の平均冷却速度で冷却し、Si:3〜13質量%を含む溶融アルミニウムめっき浴に導入することを特徴とする燃料タンク用高強度溶融アルミニウムめっき鋼板の製造方法。
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