JP2001279408A - 加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents
加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法Info
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Abstract
に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する。 【構成】 この合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、C:0.
005〜0.3%,Si:0.005〜0.1%,M
n:0.05〜0.5%,Al:0.005〜0.06
%,P:0.05%以下,必要に応じてB:0.000
1〜0.01%を含む鋼板の表面に、δ1相,Γ1相及び
厚み1μm以下のΓ相からなるめっき層が片面当り30
〜90g/m2の付着量で形成されている。ガス還元焼
鈍炉に通板して焼鈍した後、Al:0.10〜0.15
質量%を含む浴温490〜550℃の溶融亜鉛めっき浴
にインレット温度490〜600℃で浸漬して溶融亜鉛
めっきし、次いでガスワイピングによりめっき付着量を
片面当り30〜90g/m2に調整し、板温が400℃
以下になるまで冷却速度5〜15℃/秒で冷却すること
により製造される。Al:0.13〜0.20%を含む
溶融亜鉛めっき浴を使用する場合、ガスワイピング後に
490〜550℃に5〜30秒加熱保持する。
Description
溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法に関する。
塗装性,塗装後密着性,溶接性に優れていることから、
家電製品,自動車用車体を始めとする種々の分野で防錆
鋼板として汎用されている。このような用途では、通常
プレス成形により必要形状に加工して使用されることか
ら,耐食性に加えて加工性に優れていることも重要であ
る。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は,溶融めっきラインで
鋼板をガス還元した後、過度の合金化処理を抑制するた
めにAlを0.13〜0.15質量%添加した浴温45
0〜470℃の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度47
0〜500℃で浸漬して溶融亜鉛めっきした後、ガスワ
イピングノズルでめっき付着量を調整し、加熱合金化処
理することにより製造されている。加熱合金化処理に
は、一般にバーナ加熱方式,高周波誘導加熱方式,両者
を併用する加熱方式等を採用した合金化処理炉が使用さ
れている。
金化反応の進行と共にめっき層ではη−Zn相が消失
し、ζ相(FeZn13),δ1相(FeZn7),Γ1相
(Fe5Zn21),Γ相(Fe3Zn10)等が順次生成す
る。合金化溶融亜鉛めっき鋼板の加工性は,このめっき
層構造に大きく影響される。具体的には、めっき層表層
に軟質のζ相が厚く残存すると、プレス成形時に金型と
の摺動抵抗が大きくなり、板破断やめっき層が鱗片状に
剥離するフレーキング現象が発生する。逆に、ζ相が消
失し、めっき層と下地鋼板との界面に硬く脆いΓ相が厚
く生成すると、めっき層が粉状に剥離するパウダリング
現象が発生し、剥離しためっき層の粉末が金型に蓄積さ
れて金型やめっき層を損傷させる原因となる。
るめっき層剥離が著しいと、プレス成形作業に悪影響を
及ぼすばかりでなく、剥離部分を起点として腐食が進行
するため耐食性も低下する。このようなことから、加工
度の高い用途への使用が予定される合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板ではζ相の残存量及びΓ相の生成量を極力少なく
する必要がある。しかし、従来の溶融Znめっき後に加
熱合金化処理する製造法では、溶融めっき条件及び加熱
合金化処理条件とζ相の生成・消失挙動及びΓ相の生成
・成長挙動との関係が十分に解明されていない。その結
果、ζ相を消失させる条件下ではΓ相が厚く生成し、Γ
相の成長を抑制する条件下ではζ相の残存量が多くなり
がちとなり、加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板
の安定的な製造が困難であった。
低減する方法として、溶融Znめっき浴を高温保持し、
合金化処理に必要な熱量を溶融亜鉛めっき浴からめっき
原板に付与する方法が知られている(特開昭52−48
524号公報,特開平8−60327号公報参照)。こ
の方法によるとき、合金化処理炉を必要とせず、溶融亜
鉛めっき浴から与える熱量のみでめっき層の表層までを
合金化処理するセルフガルバナイジングが可能なため、
合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安価に製造できる。
48524号公報では差厚めっき鋼板を対象とし、片面
当りめっき付着量30g/m2未満とした薄めっき側の
みを合金化処理しており、汎用されている片面当りめっ
き付着量が30g/m2以上の溶融亜鉛めっき鋼板の両
面を合金化処理することには不向きである。他方、特開
平8−60327号公報では、セルフガルバナイジング
する方法が紹介されているだけであり、ζ相の生成・消
失挙動及びΓ相の生成・成長挙動に及ぼすめっき条件の
影響については解明されていない。そのため、この方法
によるも、加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を
安価に製造する技術が確立されているとはいえない。
出されたものであり、めっき原板の組成,めっき条件を
及びめっき後のワイピング及び冷却条件を総合的に管理
することにより、Γ相の生成・成長及びζ相の残存を抑
制し、加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を高い
生産性で製造することを目的とする。
めっき鋼板は、その目的を達成するため、C:0.00
5〜0.3質量%,Si:0.005〜0.1質量%,
Mn:0.05〜0.5質量%,Al:0.005〜
0.06質量%,P:0.05質量%以下,必要に応じ
てB:0.0001〜0.01質量%を含み、残部が実
質的にFeの組成をもつ鋼板の表面に、δ1相,Γ1相及
び厚み1μm以下のΓ相からなるめっき層が片面当り3
0〜90g/m2の付着量で形成されていることを特徴
とする。
成の鋼板をガス還元焼鈍炉に通板して焼鈍した後、A
l:0.10〜0.15質量%を含む浴温490〜55
0℃の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度490〜60
0℃で浸漬して溶融亜鉛めっきし、次いでガスワイピン
グによりめっき付着量を片面当り30〜90g/m2に
調整し、板温が400℃以下になるまで冷却速度5〜1
5℃/秒で冷却することにより製造される。
を含む浴温490〜550℃の溶融亜鉛めっき浴にイン
レット温度490〜600℃で浸漬して溶融亜鉛めっき
し、次いでガスワイピングによりめっき付着量を片面当
り30〜90g/m2に調整し、490〜550℃に5
〜30秒加熱保持して合金化処理した後、板温が400
℃以下になるまで冷却速度5〜15℃/秒で冷却するこ
とにより製造される。
i添加鋼又はTi−Nb複合添加鋼をめっき原板に使用
し、Al:0.1〜0.2質量%を含む溶融亜鉛めっき
浴の浴温及びインレット温度をζ相の包晶点490℃以
上に設定して溶融亜鉛めっきし、めっき後に冷却速度5
〜15℃/秒で冷却するとき、ζ相の生成及びΓ相の成
長を抑制した合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られること
を特願平11−360424号で提案した。本発明者等
のその後の研究によると、この方法は低炭素鋼にも適用
でき、めっき原板の組成,溶融亜鉛めっき浴のAl濃
度,浴温,インレット温度,めっき付着量,めっき後の
加熱合金化条件,めっき後又は合金化処理後の冷却速度
を制御するとき,ζ相の生成及びΓ相の成長が抑制さ
れ、耐フレーキング性及び耐パウダリング性の双方を満
足する加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が製造
できることを見出した。
と、ζ相の包晶点が約530℃であることから、熱力学
的にはこの包晶点以上の温度でζ相は安定的に存在しな
い。すなわち、溶融亜鉛めっき浴の浴温及びめっき原板
のインレット温度を包晶点以上に設定すると、ζ相の生
成が抑制されることが判る。また、本発明者等の研究結
果から、溶融亜鉛めっき浴にAlを0.1〜0.2質量
%添加するとき包晶点が約490℃まで低下することが
判明している。
ζ相の生成・消失及びΓ相の生成・成長に及ぼすめっき
条件,溶融めっき後のワイピング条件,加熱合金化処理
条件,溶融亜鉛めっき後又は合金化処理後の冷却速度の
影響を種々調査検討した。その結果、前掲した組成の鋼
板をめっき原板とし、Al:0.1〜0.2質量%を含
む溶融亜鉛めっき浴を用い、浴温,インレット温度及び
溶融亜鉛めっき後の加熱合金化処理温度をζ相の包晶点
490℃以上に設定するとき、ζ相の生成が抑制される
ことを見出した。また、浴中Al濃度が0.10〜0.
15質量%の範囲では、溶融亜鉛めっき後の冷却過程で
溶融亜鉛めっき層の表層まで合金化反応が進行し、セル
フガルバナイジングできることを見出した。このように
して得られる合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき層全
体が合金化処理されているため耐フレーキング性及び耐
パウダリング性双方の品質特性を満足する。
0.005〜0.3質量%,Si:0.005〜0.1
質量%,Mn:0.05〜0.5質量%,Al:0.0
05〜0.06質量%,P:0.05質量%以下,必要
に応じてB:0.0001〜0.01質量%を含んでい
る。
のCを含んでいるが、C濃度が高くなりすぎるとセルフ
ガルバナイジングが抑制され、絞り成形性が低下するの
で、本発明においてはC含有量の上限を0.3質量%に
設定した。Si,Mnは,鋼板の強度向上に有効である
が,易酸化性元素であり不めっきの原因となるので、そ
れぞれSi:0.005〜0.10質量%,Mn:0.
05〜0.5質量%の範囲に設定した。Alは、固溶N
を固定し時効防止作用を呈するが、0.06質量%以上
添加しても効果が飽和するので、Al:0.005〜
0.06質量%の範囲に設定した。Pは、鋼板の強度向
上に有効であるものの、合金化速度を著しく遅くするの
で、上限を0.05質量%に設定した。任意成分として
のBは、Alと同様にNを固定して時効防止作用を呈す
ると共に、絞り成形性の向上にも有効な合金成分である
が、0.01質量%以上添加しても効果が飽和するの
で、0.0001〜0.01質量%の範囲にB含有量を
定めた。
は、ガス還元炉で焼鈍された後、Alを0.1〜0.2
質量%添加した溶融亜鉛めっき浴に導入される。この溶
融亜鉛めっき浴は、Al添加によって包晶点が490℃
まで下げられている。0.1質量%未満のAl添加量で
は、包晶点が490℃まで下がらず、合金化処理速度が
大きくなり、Γ相が成長しやすくなる。逆に0.2質量
%を超える量のAlを添加すると、合金化処理速度が小
さくなり、高温・長時間の加熱合金化処理が必要となる
ため製造コストが高くなり、生産性が低下する。
鉛めっき浴の浴温を490℃以上に設定すると浴中Al
濃度が0.15質量%まではセルフガルバナイジングで
きるが、浴中Al濃度が0.15質量%を超えると浴温
490℃以上でも溶融亜鉛めっき後にη−Zn相が残存
するので加熱合金化処理を施す。浴中Al濃度0.13
〜0.15質量%の範囲ではセルフガルバナイジングで
きるものの、溶融亜鉛めっき浴中での局部的なAl濃度
や浴温の変動,溶融亜鉛めっき後の幅方向及び長手方向
に関する板温の変動等に起因する局部的なη−Zn相の
残存やζ相の生成を防止し、品質が安定した合金化溶融
亜鉛めっき鋼板を製造するため、溶融亜鉛めっき後に加
熱合金化処理を施すことが好ましい。
ると共にセルフガルバナイジングに必要な熱量を鋼板に
付与するため、浴温の下限を490℃に設定している。
しかし、浴温が550℃を超えるとΓ相が厚く成長し、
溶融亜鉛めっき浴の高温保持に要するエネルギーコスト
も高くなる。また、浴温変動を抑制し、Γ相の成長を抑
えるため、めっき原板のインレット温度を490〜60
0℃に設定する。溶融亜鉛めっき浴から引き上げられた
めっき原板に付着している溶融めっき金属の片面当りめ
っき付着量を30〜90g/m2に調整する。めっき付
着量が多すぎると本発明で規定した条件下でも合金化反
応が進行せず、めっき層表面にη−Zn相が残存するの
で、ガスワイピングでめっき付着量を90g/m2以下
にすることが必要である。めっき付着量の調整に採用さ
れるガスワイピング法では絞れる下限が30g/m2で
ある。
グする場合には、そのまま鋼板温度が400℃に到達す
るまで鋼板を5〜15℃/秒の冷却速度で冷却する。1
5℃/秒を超える大きな冷却速度では、合金化反応が十
分に進行せず、めっき層表層にη−Zn相が残存しやす
くなる。逆に5℃/秒未満の冷却速度では、Γ相が成長
しやすくなる。鋼板温度が400℃を下回ると合金化反
応の進行に及ぼす冷却速度の影響はほとんど無視できる
ので、鋼板温度400℃以下の温度域では適宜の冷却速
度で鋼板を冷却する。
の範囲にあり、溶融亜鉛めっき後に加熱合金化処理する
場合、ガスワイピングでめっき付着量を調整した後、鋼
板を490〜550℃で5〜30秒加熱する。490℃
未満の加熱温度ではζ相が生成し、550℃を超える加
熱温度ではΓ相が成長しやすくなる。また、5秒に達し
ない加熱時間ではη−Zn相が残存し、30秒を超える
長時間加熱ではΓ相が成長しやすくなる。なお、490
〜550℃×5〜30秒の加熱条件が満足される限り加
熱方式には特段の制約を受けず、バーナー加熱,高周波
誘導加熱或いは両者の併用した加熱方式等を採用した合
金化処理炉を使用できる。
℃/秒の範囲に設定される。5℃/秒未満の冷却速度で
はΓ相が成長し、15℃/秒を超える冷却速度ではΓ相
の成長を抑制する効果が飽和する。この場合も、板温が
400℃を下回ると合金化反応の進行に及ぼす冷却速度
の影響がほとんど無視できるので、400℃以下の温度
域では適宜の冷却速度で鋼板を冷却する。以上のよう
に、本発明では490℃以上の高温に保持した溶融亜鉛
めっき浴で溶融亜鉛めっきしているので、ζ相の生成が
抑制されると共に合金化反応も促進されるため、浴中A
l濃度が0.18〜0.20質量%の溶融亜鉛めっき浴
でも合金化溶融亜鉛めっき鋼板製造できる。したがっ
て、浴温を490℃以上とすることにより、合金化溶融
亜鉛めっき鋼板を製造しながら溶融亜鉛めっき浴から合
金化溶融亜鉛めっき浴に浴中Al濃度を切り替えること
ができ、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の生産性も向上す
る。
めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する従
来法では、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造時に浴中A
l濃度を0.13〜0.15質量%とし、溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造時に浴中Al濃度を0.18〜0.20質
量%と比較的高く設定している。浴中Al濃度を変更す
る場合、溶融めっきラインの操業を停止して溶融亜鉛め
っき浴を一定量汲み出した後でZn又はAlを添加する
方法,塗装鋼板用の溶融亜鉛めっき鋼板を製造しながら
Zn又はAlを添加する方法等が採用されている。何れ
の方法によるも,浴中Al濃度の変更に長時間を要し、
生産性が低下する原因となっている。
熱延,酸洗,冷延工程を経て板厚0.7mm,板幅10
00mmの冷延鋼板を製造した。
ピード100m/分で通板し、50体積%H2−N2の雰
囲気に維持したガス還元焼鈍炉で700℃に40秒加熱
した後、溶融めっき及び加熱合金化処理した。溶融めっ
き条件及び加熱合金化処理条件は、表2に掲げた範囲か
ら選定し、具体的にはめっき付着量ごとに表3〜5の条
件を採用した。なお、加熱合金化処理には、バーナー加
熱方式の合金化処理炉を使用した。
ら試験片を切り出し、めっき層の層構成を観察すると共
に、耐パウダリング試験及び耐フレーキング試験に供し
た。 めっき層の層構成:走査型電子顕微鏡を用いて幅10m
m,長さ20mmの試験片の表面組織及び断面組織を倍
率5000倍で観察し、η−Zn相,ζ相の有無及びΓ
相の厚みを測定した。観察結果を次のように分類した。 η−Zn残存:めっき層表層まで合金化せずη−Zn相
が残存している層構成 ζ+δ1+Γ1:ζ相が残存しΓ相が観察されなかった層
構成 δ1+Γ1:ζ相が観察されず、Γ相の厚みが1μm以下
の層構成 δ1+Γ1+Γ:ζ相が観察されず、Γ相の厚みが1μm
以上の層構成
弧が試験面に形成されるように幅20mm,長さ50m
mの試験片を試験面を内側にして180度曲げした後、
試験片を平板状に曲げ戻した。曲げ・曲げ戻しを受けた
部分に感圧接着テープを貼り付けた後、感圧接着テープ
を引き剥がし、感圧接着テープに付着しためっき層の量
を目視観察した。観察結果を次のように分類した。評点
3以上であれば、品質特性に問題がないものといえる。 パウダリング評点1:曲げ・曲戻し時点で多量のめっき層が粉状に剥離 〃 評点2:感圧接着テープに多量のめっき層が付着 〃 評点3:感圧接着テープに中程度のめっき層が付着 〃 評点4:感圧接着テープに少量のめっき層が付着 〃 評点5:感圧接着テープにめっき層が付着せず
50mmの試験片に防錆油を塗布し、図2に示すように
金型に挟み、ドロービード試験した。次いで、試験片に
感圧接着テープを貼り付け、引き剥がした後、感圧接着
テープに付着しためっき層の量を化学分析法で測定し
た。めっき層の付着量が5g/m2以下であれば、耐フ
レーキング性が良好で品質特性に問題がないといえる。
表6〜11の調査結果にみられるように、本発明で規定
した条件下で得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、何
れもζ相が生成しておらず、Γ相の厚みも1μm以下で
あった。また、耐パウダリング試験及び耐フレーキング
試験の双方共に試験結果が良好で、加工性に優れている
ことが判る。
め、鋼種A〜Cのめっき原板を使用し、本発明で規定し
た範囲から外れる溶融亜鉛めっき条件及び加熱合金化処
理条件(表12)で合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造し
た。
試験片を切り出し、実施例と同様に溶融亜鉛めっき層の
層構成を観察すると共に、耐フレーキング性及び耐パウ
ダリング性を調査した。表13の調査結果にみられるよ
うに、溶融亜鉛めっき条件及び加熱合金化条件が本発明
で規定した範囲を外れる試験番号46〜55では、Γ相
の厚い成長に起因して耐パウダリング性が低下し、或い
はζ相の残存に起因して耐フレーキング性が低下したた
め、何れも加工性が不良であった。また、Al濃度,冷
却速度,めっき付着量が本発明で規定した範囲を外れる
試験番号56〜58及び浴温,加熱合金化処理時の保持
時間が本発明で規定した範囲を外れる試験番号59,6
0では溶融亜鉛めっき層の表層まで合金化反応が進行せ
ず、η−Zn相が残存していたので、パウダリング試験
及びフレーキング試験に供さなかった。
は、めっき原板の組成,めっき条件,ワイピング条件,
冷却条件及び加熱合金化処理条件を総合的に制御するこ
とにより、ζ相の残存及びΓ相の成長を抑制し、加工性
を向上させた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が製造される。
また、溶融亜鉛めっき浴から合金化溶融亜鉛めっき浴に
浴中Al濃度を切り替える際にも合金化溶融亜鉛めっき
鋼板を製造できるので、生産性が向上する。
Claims (5)
- 【請求項1】 C:0.005〜0.3質量%,Si:
0.005〜0.1質量%,Mn:0.05〜0.5質
量%,Al:0.005〜0.06質量%,P:0.0
5質量%以下を含み、残部が実質的にFeの組成をもつ
鋼板の表面に、δ1相,Γ1相及び厚み1μm以下のΓ相
からなるめっき層が片面当り30〜90g/m2の付着
量で形成されていることを特徴とする加工性に優れた合
金化溶融亜鉛めっき鋼板。 - 【請求項2】 鋼板が更にB:0.0001〜0.01
質量%を含む請求項1記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼
板。 - 【請求項3】 C:0.005〜0.3質量%,Si:
0.005〜0.1質量%,Mn:0.05〜0.5質
量%,Al:0.005〜0.06質量%,P:0.0
5質量%以下を含み、残部が実質的にFeの組成をもつ
鋼板をガス還元焼鈍炉に通板して焼鈍した後、Al:
0.10〜0.15質量%を含む浴温490〜550℃
の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度490〜600℃
で浸漬して溶融亜鉛めっきし、次いでガスワイピングに
よりめっき付着量を片面当り30〜90g/m2に調整
し、板温が400℃以下になるまで冷却速度5〜15℃
/秒で冷却することを特徴とする加工性に優れた合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 C:0.005〜0.3質量%,Si:
0.005〜0.1質量%,Mn:0.05〜0.5質
量%,Al:0.005〜0.06質量%,P:0.0
5質量%以下を含み、残部が実質的にFeの組成をもつ
鋼板をガス還元焼鈍炉に通板して焼鈍した後、Al:
0.13〜0.20質量%を含む浴温490〜550℃
の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度490〜600℃
で浸漬して溶融亜鉛めっきし、次いでガスワイピングに
よりめっき付着量を片面当り30〜90g/m2に調整
し、490〜550℃に5〜30秒加熱保持して合金化
処理した後、板温が400℃以下になるまで冷却速度5
〜15℃/秒で冷却することを特徴とする加工性に優れ
た合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 - 【請求項5】 更にB:0.0001〜0.01質量%
を含む鋼板を使用する請求項3又は4記載の製造方法。
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