JP2001279408A - 加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法

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JP2001279408A JP2000089454A JP2000089454A JP2001279408A JP 2001279408 A JP2001279408 A JP 2001279408A JP 2000089454 A JP2000089454 A JP 2000089454A JP 2000089454 A JP2000089454 A JP 2000089454A JP 2001279408 A JP2001279408 A JP 2001279408A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ζ相の残存及びΓ相の成長を抑制し、加工性
に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する。 【構成】 この合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、C:0.
005〜0.3%,Si:0.005〜0.1%,M
n:0.05〜0.5%,Al:0.005〜0.06
%,P:0.05%以下,必要に応じてB:0.000
1〜0.01%を含む鋼板の表面に、δ1相,Γ1相及び
厚み1μm以下のΓ相からなるめっき層が片面当り30
〜90g/m2の付着量で形成されている。ガス還元焼
鈍炉に通板して焼鈍した後、Al:0.10〜0.15
質量%を含む浴温490〜550℃の溶融亜鉛めっき浴
にインレット温度490〜600℃で浸漬して溶融亜鉛
めっきし、次いでガスワイピングによりめっき付着量を
片面当り30〜90g/m2に調整し、板温が400℃
以下になるまで冷却速度5〜15℃/秒で冷却すること
により製造される。Al:0.13〜0.20%を含む
溶融亜鉛めっき浴を使用する場合、ガスワイピング後に
490〜550℃に5〜30秒加熱保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工性に優れた合金化
溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、耐食性,
塗装性,塗装後密着性,溶接性に優れていることから、
家電製品,自動車用車体を始めとする種々の分野で防錆
鋼板として汎用されている。このような用途では、通常
プレス成形により必要形状に加工して使用されることか
ら,耐食性に加えて加工性に優れていることも重要であ
る。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は,溶融めっきラインで
鋼板をガス還元した後、過度の合金化処理を抑制するた
めにAlを0.13〜0.15質量%添加した浴温45
0〜470℃の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度47
0〜500℃で浸漬して溶融亜鉛めっきした後、ガスワ
イピングノズルでめっき付着量を調整し、加熱合金化処
理することにより製造されている。加熱合金化処理に
は、一般にバーナ加熱方式,高周波誘導加熱方式,両者
を併用する加熱方式等を採用した合金化処理炉が使用さ
れている。
【0003】めっき直後に加熱合金化処理を施すと、合
金化反応の進行と共にめっき層ではη−Zn相が消失
し、ζ相(FeZn13),δ1相(FeZn7),Γ1
(Fe5Zn21),Γ相(Fe3Zn10)等が順次生成す
る。合金化溶融亜鉛めっき鋼板の加工性は,このめっき
層構造に大きく影響される。具体的には、めっき層表層
に軟質のζ相が厚く残存すると、プレス成形時に金型と
の摺動抵抗が大きくなり、板破断やめっき層が鱗片状に
剥離するフレーキング現象が発生する。逆に、ζ相が消
失し、めっき層と下地鋼板との界面に硬く脆いΓ相が厚
く生成すると、めっき層が粉状に剥離するパウダリング
現象が発生し、剥離しためっき層の粉末が金型に蓄積さ
れて金型やめっき層を損傷させる原因となる。
【0004】フレーキング現象やパウダリング現象によ
るめっき層剥離が著しいと、プレス成形作業に悪影響を
及ぼすばかりでなく、剥離部分を起点として腐食が進行
するため耐食性も低下する。このようなことから、加工
度の高い用途への使用が予定される合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板ではζ相の残存量及びΓ相の生成量を極力少なく
する必要がある。しかし、従来の溶融Znめっき後に加
熱合金化処理する製造法では、溶融めっき条件及び加熱
合金化処理条件とζ相の生成・消失挙動及びΓ相の生成
・成長挙動との関係が十分に解明されていない。その結
果、ζ相を消失させる条件下ではΓ相が厚く生成し、Γ
相の成長を抑制する条件下ではζ相の残存量が多くなり
がちとなり、加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板
の安定的な製造が困難であった。
【0005】合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造コストを
低減する方法として、溶融Znめっき浴を高温保持し、
合金化処理に必要な熱量を溶融亜鉛めっき浴からめっき
原板に付与する方法が知られている(特開昭52−48
524号公報,特開平8−60327号公報参照)。こ
の方法によるとき、合金化処理炉を必要とせず、溶融亜
鉛めっき浴から与える熱量のみでめっき層の表層までを
合金化処理するセルフガルバナイジングが可能なため、
合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安価に製造できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭52−
48524号公報では差厚めっき鋼板を対象とし、片面
当りめっき付着量30g/m2未満とした薄めっき側の
みを合金化処理しており、汎用されている片面当りめっ
き付着量が30g/m2以上の溶融亜鉛めっき鋼板の両
面を合金化処理することには不向きである。他方、特開
平8−60327号公報では、セルフガルバナイジング
する方法が紹介されているだけであり、ζ相の生成・消
失挙動及びΓ相の生成・成長挙動に及ぼすめっき条件の
影響については解明されていない。そのため、この方法
によるも、加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を
安価に製造する技術が確立されているとはいえない。
【0007】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、めっき原板の組成,めっき条件を
及びめっき後のワイピング及び冷却条件を総合的に管理
することにより、Γ相の生成・成長及びζ相の残存を抑
制し、加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を高い
生産性で製造することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の合金化溶融亜鉛
めっき鋼板は、その目的を達成するため、C:0.00
5〜0.3質量%,Si:0.005〜0.1質量%,
Mn:0.05〜0.5質量%,Al:0.005〜
0.06質量%,P:0.05質量%以下,必要に応じ
てB:0.0001〜0.01質量%を含み、残部が実
質的にFeの組成をもつ鋼板の表面に、δ1相,Γ1相及
び厚み1μm以下のΓ相からなるめっき層が片面当り3
0〜90g/m2の付着量で形成されていることを特徴
とする。
【0009】この合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、所定組
成の鋼板をガス還元焼鈍炉に通板して焼鈍した後、A
l:0.10〜0.15質量%を含む浴温490〜55
0℃の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度490〜60
0℃で浸漬して溶融亜鉛めっきし、次いでガスワイピン
グによりめっき付着量を片面当り30〜90g/m2
調整し、板温が400℃以下になるまで冷却速度5〜1
5℃/秒で冷却することにより製造される。
【0010】或いは、Al:0.13〜0.20質量%
を含む浴温490〜550℃の溶融亜鉛めっき浴にイン
レット温度490〜600℃で浸漬して溶融亜鉛めっき
し、次いでガスワイピングによりめっき付着量を片面当
り30〜90g/m2に調整し、490〜550℃に5
〜30秒加熱保持して合金化処理した後、板温が400
℃以下になるまで冷却速度5〜15℃/秒で冷却するこ
とにより製造される。
【0011】
【作用】本発明者等は、合金化速度が大きな極低炭素T
i添加鋼又はTi−Nb複合添加鋼をめっき原板に使用
し、Al:0.1〜0.2質量%を含む溶融亜鉛めっき
浴の浴温及びインレット温度をζ相の包晶点490℃以
上に設定して溶融亜鉛めっきし、めっき後に冷却速度5
〜15℃/秒で冷却するとき、ζ相の生成及びΓ相の成
長を抑制した合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られること
を特願平11−360424号で提案した。本発明者等
のその後の研究によると、この方法は低炭素鋼にも適用
でき、めっき原板の組成,溶融亜鉛めっき浴のAl濃
度,浴温,インレット温度,めっき付着量,めっき後の
加熱合金化条件,めっき後又は合金化処理後の冷却速度
を制御するとき,ζ相の生成及びΓ相の成長が抑制さ
れ、耐フレーキング性及び耐パウダリング性の双方を満
足する加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が製造
できることを見出した。
【0012】Fe−Zn系の平衡状態図(図1)をみる
と、ζ相の包晶点が約530℃であることから、熱力学
的にはこの包晶点以上の温度でζ相は安定的に存在しな
い。すなわち、溶融亜鉛めっき浴の浴温及びめっき原板
のインレット温度を包晶点以上に設定すると、ζ相の生
成が抑制されることが判る。また、本発明者等の研究結
果から、溶融亜鉛めっき浴にAlを0.1〜0.2質量
%添加するとき包晶点が約490℃まで低下することが
判明している。
【0013】本発明者等は、このような前提に基づき、
ζ相の生成・消失及びΓ相の生成・成長に及ぼすめっき
条件,溶融めっき後のワイピング条件,加熱合金化処理
条件,溶融亜鉛めっき後又は合金化処理後の冷却速度の
影響を種々調査検討した。その結果、前掲した組成の鋼
板をめっき原板とし、Al:0.1〜0.2質量%を含
む溶融亜鉛めっき浴を用い、浴温,インレット温度及び
溶融亜鉛めっき後の加熱合金化処理温度をζ相の包晶点
490℃以上に設定するとき、ζ相の生成が抑制される
ことを見出した。また、浴中Al濃度が0.10〜0.
15質量%の範囲では、溶融亜鉛めっき後の冷却過程で
溶融亜鉛めっき層の表層まで合金化反応が進行し、セル
フガルバナイジングできることを見出した。このように
して得られる合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき層全
体が合金化処理されているため耐フレーキング性及び耐
パウダリング性双方の品質特性を満足する。
【0014】
【実施の形態】本発明で使用するめっき原板は、C:
0.005〜0.3質量%,Si:0.005〜0.1
質量%,Mn:0.05〜0.5質量%,Al:0.0
05〜0.06質量%,P:0.05質量%以下,必要
に応じてB:0.0001〜0.01質量%を含んでい
る。
【0015】低炭素鋼では、通常0.005質量%以上
のCを含んでいるが、C濃度が高くなりすぎるとセルフ
ガルバナイジングが抑制され、絞り成形性が低下するの
で、本発明においてはC含有量の上限を0.3質量%に
設定した。Si,Mnは,鋼板の強度向上に有効である
が,易酸化性元素であり不めっきの原因となるので、そ
れぞれSi:0.005〜0.10質量%,Mn:0.
05〜0.5質量%の範囲に設定した。Alは、固溶N
を固定し時効防止作用を呈するが、0.06質量%以上
添加しても効果が飽和するので、Al:0.005〜
0.06質量%の範囲に設定した。Pは、鋼板の強度向
上に有効であるものの、合金化速度を著しく遅くするの
で、上限を0.05質量%に設定した。任意成分として
のBは、Alと同様にNを固定して時効防止作用を呈す
ると共に、絞り成形性の向上にも有効な合金成分である
が、0.01質量%以上添加しても効果が飽和するの
で、0.0001〜0.01質量%の範囲にB含有量を
定めた。
【0016】所定の成分・組成に調整された低炭素鋼
は、ガス還元炉で焼鈍された後、Alを0.1〜0.2
質量%添加した溶融亜鉛めっき浴に導入される。この溶
融亜鉛めっき浴は、Al添加によって包晶点が490℃
まで下げられている。0.1質量%未満のAl添加量で
は、包晶点が490℃まで下がらず、合金化処理速度が
大きくなり、Γ相が成長しやすくなる。逆に0.2質量
%を超える量のAlを添加すると、合金化処理速度が小
さくなり、高温・長時間の加熱合金化処理が必要となる
ため製造コストが高くなり、生産性が低下する。
【0017】前掲した組成をもつ低炭素鋼では、溶融亜
鉛めっき浴の浴温を490℃以上に設定すると浴中Al
濃度が0.15質量%まではセルフガルバナイジングで
きるが、浴中Al濃度が0.15質量%を超えると浴温
490℃以上でも溶融亜鉛めっき後にη−Zn相が残存
するので加熱合金化処理を施す。浴中Al濃度0.13
〜0.15質量%の範囲ではセルフガルバナイジングで
きるものの、溶融亜鉛めっき浴中での局部的なAl濃度
や浴温の変動,溶融亜鉛めっき後の幅方向及び長手方向
に関する板温の変動等に起因する局部的なη−Zn相の
残存やζ相の生成を防止し、品質が安定した合金化溶融
亜鉛めっき鋼板を製造するため、溶融亜鉛めっき後に加
熱合金化処理を施すことが好ましい。
【0018】溶融亜鉛めっき浴は、ζ相の生成を抑制す
ると共にセルフガルバナイジングに必要な熱量を鋼板に
付与するため、浴温の下限を490℃に設定している。
しかし、浴温が550℃を超えるとΓ相が厚く成長し、
溶融亜鉛めっき浴の高温保持に要するエネルギーコスト
も高くなる。また、浴温変動を抑制し、Γ相の成長を抑
えるため、めっき原板のインレット温度を490〜60
0℃に設定する。溶融亜鉛めっき浴から引き上げられた
めっき原板に付着している溶融めっき金属の片面当りめ
っき付着量を30〜90g/m2に調整する。めっき付
着量が多すぎると本発明で規定した条件下でも合金化反
応が進行せず、めっき層表面にη−Zn相が残存するの
で、ガスワイピングでめっき付着量を90g/m2以下
にすることが必要である。めっき付着量の調整に採用さ
れるガスワイピング法では絞れる下限が30g/m2
ある。
【0019】ガスワイピング後にセルフガルバナイジン
グする場合には、そのまま鋼板温度が400℃に到達す
るまで鋼板を5〜15℃/秒の冷却速度で冷却する。1
5℃/秒を超える大きな冷却速度では、合金化反応が十
分に進行せず、めっき層表層にη−Zn相が残存しやす
くなる。逆に5℃/秒未満の冷却速度では、Γ相が成長
しやすくなる。鋼板温度が400℃を下回ると合金化反
応の進行に及ぼす冷却速度の影響はほとんど無視できる
ので、鋼板温度400℃以下の温度域では適宜の冷却速
度で鋼板を冷却する。
【0020】浴中Al濃度が0.13〜0.20質量%
の範囲にあり、溶融亜鉛めっき後に加熱合金化処理する
場合、ガスワイピングでめっき付着量を調整した後、鋼
板を490〜550℃で5〜30秒加熱する。490℃
未満の加熱温度ではζ相が生成し、550℃を超える加
熱温度ではΓ相が成長しやすくなる。また、5秒に達し
ない加熱時間ではη−Zn相が残存し、30秒を超える
長時間加熱ではΓ相が成長しやすくなる。なお、490
〜550℃×5〜30秒の加熱条件が満足される限り加
熱方式には特段の制約を受けず、バーナー加熱,高周波
誘導加熱或いは両者の併用した加熱方式等を採用した合
金化処理炉を使用できる。
【0021】加熱合金化処理後の冷却速度は、5〜15
℃/秒の範囲に設定される。5℃/秒未満の冷却速度で
はΓ相が成長し、15℃/秒を超える冷却速度ではΓ相
の成長を抑制する効果が飽和する。この場合も、板温が
400℃を下回ると合金化反応の進行に及ぼす冷却速度
の影響がほとんど無視できるので、400℃以下の温度
域では適宜の冷却速度で鋼板を冷却する。以上のよう
に、本発明では490℃以上の高温に保持した溶融亜鉛
めっき浴で溶融亜鉛めっきしているので、ζ相の生成が
抑制されると共に合金化反応も促進されるため、浴中A
l濃度が0.18〜0.20質量%の溶融亜鉛めっき浴
でも合金化溶融亜鉛めっき鋼板製造できる。したがっ
て、浴温を490℃以上とすることにより、合金化溶融
亜鉛めっき鋼板を製造しながら溶融亜鉛めっき浴から合
金化溶融亜鉛めっき浴に浴中Al濃度を切り替えること
ができ、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の生産性も向上す
る。
【0022】この点、同一亜鉛めっきラインで溶融亜鉛
めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する従
来法では、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造時に浴中A
l濃度を0.13〜0.15質量%とし、溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造時に浴中Al濃度を0.18〜0.20質
量%と比較的高く設定している。浴中Al濃度を変更す
る場合、溶融めっきラインの操業を停止して溶融亜鉛め
っき浴を一定量汲み出した後でZn又はAlを添加する
方法,塗装鋼板用の溶融亜鉛めっき鋼板を製造しながら
Zn又はAlを添加する方法等が採用されている。何れ
の方法によるも,浴中Al濃度の変更に長時間を要し、
生産性が低下する原因となっている。
【0023】
【実施例】表1に示した組成をもつ低炭素鋼を溶製し、
熱延,酸洗,冷延工程を経て板厚0.7mm,板幅10
00mmの冷延鋼板を製造した。
【0024】
【0025】この冷延鋼板をめっき原板とし、ラインス
ピード100m/分で通板し、50体積%H2−N2の雰
囲気に維持したガス還元焼鈍炉で700℃に40秒加熱
した後、溶融めっき及び加熱合金化処理した。溶融めっ
き条件及び加熱合金化処理条件は、表2に掲げた範囲か
ら選定し、具体的にはめっき付着量ごとに表3〜5の条
件を採用した。なお、加熱合金化処理には、バーナー加
熱方式の合金化処理炉を使用した。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】製造された各合金化溶融亜鉛めっき鋼板か
ら試験片を切り出し、めっき層の層構成を観察すると共
に、耐パウダリング試験及び耐フレーキング試験に供し
た。 めっき層の層構成:走査型電子顕微鏡を用いて幅10m
m,長さ20mmの試験片の表面組織及び断面組織を倍
率5000倍で観察し、η−Zn相,ζ相の有無及びΓ
相の厚みを測定した。観察結果を次のように分類した。 η−Zn残存:めっき層表層まで合金化せずη−Zn相
が残存している層構成 ζ+δ1+Γ1:ζ相が残存しΓ相が観察されなかった層
構成 δ1+Γ1:ζ相が観察されず、Γ相の厚みが1μm以下
の層構成 δ1+Γ1+Γ:ζ相が観察されず、Γ相の厚みが1μm
以上の層構成
【0031】耐パウダリング試験:板厚×6の直径の円
弧が試験面に形成されるように幅20mm,長さ50m
mの試験片を試験面を内側にして180度曲げした後、
試験片を平板状に曲げ戻した。曲げ・曲げ戻しを受けた
部分に感圧接着テープを貼り付けた後、感圧接着テープ
を引き剥がし、感圧接着テープに付着しためっき層の量
を目視観察した。観察結果を次のように分類した。評点
3以上であれば、品質特性に問題がないものといえる。 パウダリング評点1:曲げ・曲戻し時点で多量のめっき層が粉状に剥離 〃 評点2:感圧接着テープに多量のめっき層が付着 〃 評点3:感圧接着テープに中程度のめっき層が付着 〃 評点4:感圧接着テープに少量のめっき層が付着 〃 評点5:感圧接着テープにめっき層が付着せず
【0032】耐フレーキング試験:幅25mm,長さ2
50mmの試験片に防錆油を塗布し、図2に示すように
金型に挟み、ドロービード試験した。次いで、試験片に
感圧接着テープを貼り付け、引き剥がした後、感圧接着
テープに付着しためっき層の量を化学分析法で測定し
た。めっき層の付着量が5g/m2以下であれば、耐フ
レーキング性が良好で品質特性に問題がないといえる。
表6〜11の調査結果にみられるように、本発明で規定
した条件下で得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、何
れもζ相が生成しておらず、Γ相の厚みも1μm以下で
あった。また、耐パウダリング試験及び耐フレーキング
試験の双方共に試験結果が良好で、加工性に優れている
ことが判る。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【比較例】各条件が加工性に及ぼす影響を調査するた
め、鋼種A〜Cのめっき原板を使用し、本発明で規定し
た範囲から外れる溶融亜鉛めっき条件及び加熱合金化処
理条件(表12)で合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造し
た。
【0040】
【0041】製造された合金化溶融亜鉛めっき鋼板から
試験片を切り出し、実施例と同様に溶融亜鉛めっき層の
層構成を観察すると共に、耐フレーキング性及び耐パウ
ダリング性を調査した。表13の調査結果にみられるよ
うに、溶融亜鉛めっき条件及び加熱合金化条件が本発明
で規定した範囲を外れる試験番号46〜55では、Γ相
の厚い成長に起因して耐パウダリング性が低下し、或い
はζ相の残存に起因して耐フレーキング性が低下したた
め、何れも加工性が不良であった。また、Al濃度,冷
却速度,めっき付着量が本発明で規定した範囲を外れる
試験番号56〜58及び浴温,加熱合金化処理時の保持
時間が本発明で規定した範囲を外れる試験番号59,6
0では溶融亜鉛めっき層の表層まで合金化反応が進行せ
ず、η−Zn相が残存していたので、パウダリング試験
及びフレーキング試験に供さなかった。
【0042】
【0043】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、めっき原板の組成,めっき条件,ワイピング条件,
冷却条件及び加熱合金化処理条件を総合的に制御するこ
とにより、ζ相の残存及びΓ相の成長を抑制し、加工性
を向上させた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が製造される。
また、溶融亜鉛めっき浴から合金化溶融亜鉛めっき浴に
浴中Al濃度を切り替える際にも合金化溶融亜鉛めっき
鋼板を製造できるので、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Fe−Zn二元状態図の一部
【図2】 ドロービード試験の説明図
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C21D 9/46 C21D 9/46 J Fターム(参考) 4K027 AA02 AA23 AB02 AB28 AB37 AB38 AB42 AC52 AC73 AE02 AE03 AE12 AE18 AE23 4K037 EA01 EA02 EA04 EA05 EA06 EA15 EA23 EA27 FH01 FJ02 FM04 GA05 GA07 JA06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.005〜0.3質量%,Si:
    0.005〜0.1質量%,Mn:0.05〜0.5質
    量%,Al:0.005〜0.06質量%,P:0.0
    5質量%以下を含み、残部が実質的にFeの組成をもつ
    鋼板の表面に、δ1相,Γ1相及び厚み1μm以下のΓ相
    からなるめっき層が片面当り30〜90g/m2の付着
    量で形成されていることを特徴とする加工性に優れた合
    金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板が更にB:0.0001〜0.01
    質量%を含む請求項1記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼
    板。
  3. 【請求項3】 C:0.005〜0.3質量%,Si:
    0.005〜0.1質量%,Mn:0.05〜0.5質
    量%,Al:0.005〜0.06質量%,P:0.0
    5質量%以下を含み、残部が実質的にFeの組成をもつ
    鋼板をガス還元焼鈍炉に通板して焼鈍した後、Al:
    0.10〜0.15質量%を含む浴温490〜550℃
    の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度490〜600℃
    で浸漬して溶融亜鉛めっきし、次いでガスワイピングに
    よりめっき付着量を片面当り30〜90g/m2に調整
    し、板温が400℃以下になるまで冷却速度5〜15℃
    /秒で冷却することを特徴とする加工性に優れた合金化
    溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 C:0.005〜0.3質量%,Si:
    0.005〜0.1質量%,Mn:0.05〜0.5質
    量%,Al:0.005〜0.06質量%,P:0.0
    5質量%以下を含み、残部が実質的にFeの組成をもつ
    鋼板をガス還元焼鈍炉に通板して焼鈍した後、Al:
    0.13〜0.20質量%を含む浴温490〜550℃
    の溶融亜鉛めっき浴にインレット温度490〜600℃
    で浸漬して溶融亜鉛めっきし、次いでガスワイピングに
    よりめっき付着量を片面当り30〜90g/m2に調整
    し、490〜550℃に5〜30秒加熱保持して合金化
    処理した後、板温が400℃以下になるまで冷却速度5
    〜15℃/秒で冷却することを特徴とする加工性に優れ
    た合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 更にB:0.0001〜0.01質量%
    を含む鋼板を使用する請求項3又は4記載の製造方法。
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