JP2709174B2 - 耐パウダリング性、摺動特性及び耐クレータリング性に優れた複層合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

耐パウダリング性、摺動特性及び耐クレータリング性に優れた複層合金化溶融亜鉛めっき鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、主として自動車車体に利用される合金化
溶融亜鉛めっき鋼板に関連し、プレス成型に要求される
摺動特性及び耐パウダリング性に加えて電着塗装に必要
な耐クレータリング性をも併せ持つ合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板に関する。
[従来の技術] 合金化溶融亜鉛めっき系鋼板は優れた耐食性と共に、
塗装性、塗料密着性及び溶接性等を兼ね備えることか
ら、自動車や家電製品等に広く利用されている。特に、
自動車車体ではその耐食性を高めることが重要課題とな
っており、低コストでめっき付着量を高めることのでき
る合金化溶融亜鉛めっき鋼板に対する期待が大きい。こ
れらのめっき鋼板は、自動車車体に用いられるときは、
プレス成形された後燐酸塩系或いはクロメート系の化成
処理がなされ、その上にプライマーのカチオン電着塗装
が施される。これらの一連の工程のなかで、めっき鋼板
に関連して起こる問題が幾つかある。
先ず、プレス成形に際しては、摺動特性が要求され、
この摺動特性が劣るとプレス成形時に割れが発生した
り、皺が生じたりする。
成形時に起こるもう一つの好ましからざる現象はパウ
ダリングで、これは成形時に合金皮膜が粉状となって剥
離する現象で、合金化溶亜鉛めっき鋼板に特有のもので
ある。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、一般的に、冷間圧
延された鋼板を連続溶融亜鉛めっきライン(以下、CGL
と称す)で再結晶温度以上に加熱して焼鈍し、次いで46
0℃程度に加熱された亜鉛浴中に浸漬することにより亜
鉛めっきを行い、亜鉛の付着量を制御した後550℃乃至6
50℃まで再加熱して合金化熱処理を施して製造される。
この合金化熱処理を受けると、鋼板と亜鉛層との間には
合金化反応が進行し、ζ相(FeZn13),δ相(FeZ
n7)、Γ相(Fe5Zn21)或いはΓ相(Fe3Zn10)と呼ば
れるFe−Zn系合金層が順次形成される。これらのFe−Zn
系合金相は下地鋼板よりも硬度が大きく、特に500℃を
超える合金化処理で形成されるΓ相は硬く、この層が発
達するとプレス成形等の加工を受ける際に皮膜が粉状に
剥離するいわゆるパウダリング現象が起き易くなる。こ
のようなパウダリング現象が起こると皮膜の健全性が害
されるばかりでなく、剥離した粉がプレス型等に堆積し
プレス部品に疵をつける等、数々の不都合を生ずる。こ
の剥離量は、当然のことながら、皮膜が厚くなるほど多
く、従って厚目付である程問題は大きい。
もう一つの問題は、電着塗装時に生じるもので、電着
塗膜に0.5mm前後のクレータ状の窪みや気泡状の欠陥が
発生することで、この現象をクレータリングと呼んでい
る。これらのプライマーの欠陥は、その上の塗膜にも影
響し、上塗り後も外観上の欠陥となり且つ錆発生の開始
点になる。
以上の問題に対して、従来の対処は以下のようであ
る。
摺動特性は、前述した事故を防ぐため、現実には摺動
特性が低下するとプレス成形条件を検討するなど、著し
く生産性に影響する特性であるが、この分野の研究は緒
についたばかりで未だ実用になる改良技術は生まれてい
ない。
パウダリングに関しては、皮膜量が少なければ剥離量
が減少するので、目付量を減らしても耐食性を向上させ
ることによって解決しようとの試みもなされた。例え
ば、特開昭60−39153では、先ず、めっきの平均結晶粒
径を3μm以下とすることによって耐孔食性が向上する
との知見を示し、これに基づき、従来最も多く使用され
ていた45g/m2の目付量のものに替えて、15乃至30g/m2
目付量のものを使用することを提案している。しかし、
これは耐パウダリング性の直接的な解決ではなく、又、
高耐食性と成形加工の生産性向上を嘱望する需要に応え
るものではなく、用途が限定されてしまう。一方皮膜の
合金状態を改善することによって、耐パウダリング性を
向上させようとの試みもあり、例えば、特開昭64−1784
3では、被膜中のFe含有率を7wt%乃至13wt%と低くし
て、被膜表面部の主成分を軟らかく伸び性のあるζ相と
することが提案されている。しかし、この軟質の層が存
在するため表面の摩擦係数が大きく、プレス成型時の摺
動特性が劣りプレス割れ発生し易い欠点がある。
クレータリングに関しては、欠陥発生の原因は塗料に
含まれる水の分解によって生ずる水素にあり、合金皮膜
表層の亜鉛含有率が小さくなると欠陥の発生は減少す
る。例えば、特開昭56−133488では、表層を亜鉛が40wt
%以下のFe−Zn合金で被覆して耐クレータリング性を向
上させためっき鋼材が提案されている。しかし、この被
覆皮膜によって耐パウダリング性が改善されるものでな
く、この皮膜がやや厚くなると寧ろ耐パウダリング性は
低下する。
[発明が解決しようとする課題] 以上述べてきたように、成形加工性が良く且つ高耐食
厚目付合金化溶融亜鉛めっき鋼板が要求される需要動向
に対して摺動性、耐パウダリング性及び耐クレータリン
グ性を兼ね備えた製品が、未だ実現されていない。
この問題を解決するためにこの発明は行われたもの
で、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を基体とし、厚目付であ
っても、摺動特性、耐パウダリング性及び耐クレータリ
ング性を兼ね備えた製品の提供を目的とするものであ
る。
[課題を解決するための手段] この目的を達成すための手段は、冷延鋼板の表面にδ
相単独若しくは実質的にδ相と厚さ1.0μm以下の
Γ相からなり且つ皮膜表層の結晶が塊状でこれらの皮
膜断面で測定される長辺と短辺の比の平均が3以下であ
る合金化溶融亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板を基体とし、この合金化溶融亜鉛めっき鋼板の上
に、Feを50wt%以上含むFe−Zn合金めっき皮膜が1g/1m2
以上5g/m2以下施されている耐パウダリング性、摺動特
性及び耐クレータリング性に優れた複層合金化溶融亜鉛
めっき鋼板である。
[作用] 複層めっき皮膜では、上層めっき皮膜はその生成の時
から下層めっき皮膜の影響を受け、生成後の複合化され
た皮膜の機械的特性も下層のめっき皮膜と無関係ではな
い。パウダリングの場合は特に下層めっき皮膜の影響を
強く受け、摺動特性でも下層の特性に左右され、クレー
タリングに関しても上層めっき皮膜の均一性は下層の良
否に左右されるので、その影響を受ける。したがって、
摺動特性、耐パウダリング性、耐クレータリング性の三
つの特性を満足するためには、各々のめっき皮膜が次の
ような特性を備えていなければならない。即ち、下層の
合金化溶融亜鉛めっき皮膜は、耐パウダリング性が良く
なければならないし、又、上層めっき皮膜の摺動特性を
低下させる性質のものであってはならなく、更に、上層
のめっき皮膜が均一に生成されるものでなければならな
い。そして、上層めっき皮膜はクレータリングを発生し
難いものでなければならない。
先ず、下層の合金化溶融亜鉛めっき皮膜について説明
する。
下層の合金化溶融亜鉛めっき皮膜は、前述したよう
に、一般にζ相、δ相、Γ相或いはΓ相から構成さ
れるが、δ相単独若しくはδ相と1.0μm以下のΓ
相から成り立っていると、皮膜表面には軟質で摩擦係
数の大きなζ相が存在しないので、下層の摺動特性は勿
論、後に述べる理由により、上層の摺動特性を低下させ
ることも無い。更に、Γ相がなく、厚さ1.0μm以下の
Γ相であれば耐パウダリング性を低下させることはな
い。更にこの発明で重要なのは、皮膜表面を構成する結
晶の皮膜断面で測定される長辺と短辺の長さの比の平均
(以下、アスペクト比と称す)である。発明者らは,合
金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面性状及び品質に与える製
造条件の影響を調査検討した結果、表面性状さらにはそ
れに起因する摺動特性などの表面品質は、浴中で起こる
初期合金化反応の影響を強く受けることを知見した。こ
れらの知見の概要は以下の通りである。
合金化溶融亜鉛めっき皮膜表面の結晶形態は浴中にお
いて初期に形成されるFe−Zn系合金(以下、初期合金相
と称す)の形態と高い相関がある。
初期合金相の形態は、浴への侵入板温により変化し、
板温が高い場合は塊状であり、低い場合は柱状である。
初期合金相の形態は、合金化温度が比較的低い場合
(特に500℃以下)には、そのままの形態で合金化処理
後の表面に引き継がれる。したがって、侵入板温を高く
して浴中で塊状の初期合金相を一面に生成させると、合
金化処理後の最終的な皮膜表面結晶は塊状となる。
浴中に添加されたAlは、合金化初期に鋼板表面と優先
的に反応することによりFe−Zn合金相の発生を抑制す
る。したがって、Fe−Znの初期合金相を一面に生成させ
るためには、浴中のAl量に応じて侵入板温を高め、Fe−
Zn合金の生成を促進する必要がある。
合金化溶融Znめっき皮膜表面の結晶形態が変化する
と、表面の摩擦係数(摺動特性)が変化する。
この皮膜表面の結晶形態を表す指標としてアスペクト
比をとると、この平均アスペクト比が、3以下の場合観
察される結晶は塊状であり、3を超えると柱状結晶が混
在し、平均アスペクト比の増大にしたがって柱状晶が増
え、4.5以上では殆どが柱状である。結晶が柱状である
と、相対的に皮膜表層に占める空間の割合が大きくな
り、摺動に際して表面が変形し易くなるために摺動性が
劣化する。更にこのように、下層の表層が変形し易いと
この上に築かれる表層の変形し易さにも影響し、上層の
摺動特性も低下する傾向が現れる。反対に、この平均ア
スペクト比が3以下であると、変形は制限され、下層の
摺動特性のみならず、上層の摺動特性を低下させること
がないので、プレス成型時の摺動特性が改善される。第
1図に表面結晶の平均アスペクト比と摩擦係数との関係
を調べた結果を示す。調査は第1表に示す組成の4鋼種
を用いて行い、めっき浴温を460℃、めっき量を70g/m2
とし、めっき浴侵入板温、めっき浴Al含有率及びめっき
後の合金化熱処理条件を種々変えて得られた皮膜中のFe
含有率6〜15%の合金化溶融亜鉛めっき鋼板について調
査したものであり、図では鋼種(1)を○印で、鋼種
(2)を△印で、鋼種(3)を×印で、鋼種(4)を●
印で各々表してある。
何れの鋼種についても平均アスペクト比が3以下では
摩擦係数は小さいところで安定しているが、3を超える
とアスペクト比の増加にしたがって摩擦係数は大きくな
る。
更に、表層の結晶が柱状であると見掛けの表面積より
も実際の表面積が非常に大きくなるが、塊状で表面に存
在すればこれらの差は縮小し、化成処理やめっき処理を
施す場合非常に有利である。特に、めっきを行う場合、
柱状晶では柱の頂部面積に比し側部面積が無視できず、
その条件差が影響し良好なめっき皮膜が得られ難い。例
えば、電気めっきの場合では、頂部と側部とではその近
傍の電位分布が大きく異なり、加えて、側部へはめっき
金属の補給も困難であり、頂部では適正電流密度を超え
て電析が起こるが側部では金属は殆ど析出せず、とても
均一なめっき皮膜は得られない。塊状晶ではこのような
極端な条件差が避けられ比較的均一なめっき皮膜を得る
ことが出来る。
このように下層については、皮膜の合金相及び結晶粒
を制御することによって摺動特性とともに耐パウダリン
グ性及び表面処理性を改善しているので、原板の鋼種や
めっき方法或いは目付量に関係なくこれらの効果は得ら
れる。特に、厚目付合金化溶融亜鉛めっき鋼板の耐パウ
ダリング性に注目したとき、Fe−Zn合金皮膜が片面当た
り30g/m2以上の付着量であっても、摺動特性は勿論、十
分に優れた耐パウダリング性をも併せ持つものである。
次に、上層について述べる。
下層の合金化溶融亜鉛めっき層のΓ相の厚さを1.0
μm以下にすると、このめっき層のFe含有率は大抵の場
合15%以下となり、電着塗装時にクレータリングが発生
し易い。これを防ぐために、この合金化溶融亜鉛めっき
層の上に、Fe含有率50wt%以上のFe−Zn合金のめっき層
を設ける。前述したように、この場合、上層めっき皮膜
の均一性は得られ易いが、ほぼ完全に被覆するにはこの
上層めっき皮膜量は1g/m2以上必要である。又、この発
明の複層合金化溶融めっき鋼板では、耐食性を高かめる
ための付着量は溶融めっきで増加させても耐パウダリン
グ性が劣ることはなく、そのほうが得策である。したが
って、上層めっきでは表面特性を改善するだけの付着量
があれば十分であり、5g/m2を超える付着量は不要であ
る。
なお、本発明の鋼板の製造方法については、何等規定
されるものではないが、一例を示すと以下の通りであ
る。
下層鋼板の製造方法の1例としては通常の製造方法で
製造した酸洗(熱延)鋼板あるいは冷延鋼板をCGLに通
板し溶融亜鉛めっきを施す。この際、めっき浴温は通常
の範囲である450〜470℃とし、鋼板の浴への侵入温度T
(℃)を浴中Al量によって決まる下式の条件を満足する
ように設定する。
T(℃)≧565×[Al(%)]+410 このようにしてめっき浴中でのFe−Zn反応を促進する
とともにδ相の核を均一に生成させることができる。
引き続き付着量制御を行なった後、500℃以下の比較的
低温で合金化処理を行なう。このような低温での合金化
処理でδ相は成長し合金化が完了する。この際表面の
結晶は塊状であり、平均アスペクト比は3以下となる。
また低温での合金化処理によりΓ相が皮膜−鋼板界面
に生成するが厚さは1.0μm以下となる。
又、上記めっき鋼板の上に形成する上層については周
知の方法、例えば実用性の高い電気めっきにより形成す
ることが可能である。
[実施例] 第2表の組成を有する鋼を熱間圧延後酸洗し冷間圧延
によって板厚0.65mmとし、これをCGLに通板して種々の
合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得た。めっき条件は以下の
通りである。
めっき浴侵入鋼板温度:460〜520℃ めっき浴温度:465℃ 合金化処理温度:485〜550℃ めっき浴組成:Al 0.13% Pb 0.1% これらの合金化溶融亜鉛めっき鋼板の上に、以下の条
件で電解めっきを行ない上層のFe−Zn合金めっき層を形
成した。上層めっき層の組成はめっき浴組成のFeSO4・7
H2OとZnSO4・7H2Oの比率を変えることにより変化させ
た。また、上層めっき付着量は通電時間により制御し
た。
めっき浴組成: めっき条件: PH 2.0、 めっき浴温度 50℃、 めっき液流速 2m/s 電流密度 50a/dm2 得られた複層合金化溶融亜鉛めっき鋼板について下層
のΓ相の厚さ、ζ相の有無等を調べるとともに複層の耐
パウダリング性、摺動特性及び耐クレータリング性を調
べた。
Γ相はX線回折法により存在を確認した後、断面を
電子顕微鏡で拡大しその厚さを測定した。
ζ相の有無については、X線回折により、ζ(−4,2,
1)即ちd=2.12オングストロームの強度(I[ζ])
とδ(2,4,9)即ちd=1.99オングストロームの強度
(I[δ])を測定し、この比から判断した。即ちI
[ζ]/I[δ]が0.4以下のとき実質的にζ相が無い
とみなすことができる。
耐パウダリング性は、ビード引抜き試験を行い雄型ビ
ードでしごかれた面のめっき皮膜の剥離量を測定し、そ
の皮膜付着量に対する百分率によって評価した。ビード
引抜き試験器を第2図に示す。図で、1は試験片、2は
雌型ビード、3は雄型ビードである。試験片1を雌型ビ
ード2と雄型ビード3との間に挟み一定の圧力で押付け
た状態で験片を引抜いた。雌型ビード2の肩は1R、雄型
ビード3の先端は0.5Rに作られており、試験片はここで
しごかれる。その後粘着テープによって雄型ビードでし
ごかれた面の皮膜を強制剥離しその前後の重量変化を測
定した。押付け圧は500kgf,雌型ビード幅及び雄型ビー
ド幅は各々40mm、試験片幅は30mmであった。
摺動特性は、摩擦係数を測定することによって評価し
たが、試験片表面に潤滑油(パーカー興産((株))製
ノックスラスト530F)を均一に塗布した後工具鋼SKD11
製の圧子(接触面積3×10mm2)を試片表面に押付け荷
重400kgfで押付け、試片を1m/分の速度で引き抜くこと
により測定した。摩擦力は3回測定し、その平均値から
求めた。耐クレータリング性は、めっき面に浸漬型燐酸
塩処理(日本パーカライジング(株)製PBL3080)を施
した後、極比1:1で、280vの電圧をかけ、瞬間通電によ
りカチオン電着塗装(関西ペイント(株)製エレクトロ
ンNo.9410)を施し、焼き付け後に外観観察を行った。
観察はクレータと気泡状欠陥とについて行い、クレータ
については、表面積40mmφの中に発生したクレータの数
が10個以下の場合に○、11個以上49個以下の場合に△、
50個以上の場合に×で評価し、気泡状欠陥については、
発生なしを○、軽微に発生した場合△、顕著に発生した
場合×で各々評価した。なお、アスペクト比について
は、製品を代表する10枚の試験片を採取し、その断面を
走査電子顕微鏡で調べ、表面から3μmまでの範囲に存
在する結晶の長辺と短辺の長さを測定した。
調べた結果を第3表に示す。
この発明を実施した実施例では、下層めっき層の表面
でもζ相は特性波長強度がδ相の0.4倍に満ちず実質
的に存在しない。このため、摩擦係数は0.13以下と安定
して小さく、極めて優れた摺動特性を示している。又、
ビード引抜き剥離率も小さく、皮膜付着量45g/m2程度で
は数%、70g/m2を超えても11乃至12%程度にしか達せず
良好な耐パウダリング性を備えている。このように優れ
た成形性に加えて、クレータの発生は少なく、気泡状欠
陥も発生せずに極めて良好な耐クレータリング性を示し
ている。
これに対して、発明の条件範囲を外れた比較例では、
上層めっき層の付着量が少ない試験No.10、13、16では
クレータの発生が多く、上層めっき層中のFe含有率の低
い試験No.11、14、16でも同様であり、この場合、付着
量が多いと気泡状欠陥が発生する傾向もあり耐パウダリ
ング性に劣る。更にΓ相の厚さが1μmを超える試験
No.12及び15ではビード引抜き剥離率が大きく耐パウダ
リング性に劣る。
従来例では、下層の合金化溶融亜鉛めっき層について
ζ相の有無や結晶の形状に意が用いられていないので、
上層めっきの効果が十分に発揮されず摩擦係数が大きく
成形性に劣り、又、上層めっきの均一性が十分ではな
く、耐クレータリング性にも劣る。
[発明の効果] この発明によれば、複層めっきの下層であるFe−Zn合
金めっき層がΓ相の厚さを規制したパウダリング性の
よいものであり、且つ表面の結晶粒が塊状で変形し難い
上に良好な表面性状を有しているので、上層のめっき層
は均一性がよく薄くてもよくその特性を発揮し、Fe濃度
50%以上のFe−Zn合金めっきであると優れた耐パウダリ
ング性を示す。このように、優れた電着塗装下地特性と
成形性とを併せ持ったこの発明による複層合金化溶融亜
鉛めっき鋼板は、高耐食性化と加工生産性とを追及する
産業界の需要に応えるもので、その効果は極めて大き
い。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の原理を説明するための表面結晶の平
均アスペクト比と摩擦係数との関係を示す図、第2図は
ビード引抜き試験器の横断面図である。 1……試験片、2……雌型ビード、3……雄型ビード。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小池 哲弘 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 合議体 審判長 松本 悟 審判官 山田 勇毅 審判官 森竹 義昭 (56)参考文献 特開 平1−279738(JP,A) 特開 平1−136952(JP,A) 特開 昭60−39153(JP,A) 特開 昭63−230861(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷延鋼板の表面に、δ相単独若しくは実
    質的にδ相と厚さ1.0μm以下のΓ相からなり、且
    つ皮膜表層の結晶が塊状でこれらの皮膜断面で測定され
    る長辺と短辺の比の平均が3以下である合金化溶融亜鉛
    めっき層を有し、この合金化溶融Znめっき層の上に、Fe
    を50wt%以上含むFe−Zn合金めっき皮膜が1g/m2以上5g/
    m2以下施されていることを特徴とする耐パウダリング
    性、摺動特性及び耐クレータリング性に優れた複層合金
    化溶融亜鉛めっき鋼板。
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