JP2569869B2 - 摺動特性及び耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

摺動特性及び耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、自動車車体や家庭用電化製品等に利用さ
れる合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関連し、加工の際に要
求される摺動特性と耐パウダリング性に優れた厚目付合
金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造に関する。
[従来技術] 合金化溶融亜鉛めっき鋼板は亜鉛めっき鋼板の持つ優
れた耐食性と共に、塗装性、塗料密着性及び溶接性等を
兼ね備えることから、自動車や家電製品等に広く利用さ
れている。合金化溶融亜鉛めっき鋼板の一般的な製造方
法としては、冷間圧延された鋼板を連続溶融亜鉛めっき
ライン(以下、CGLと称す)で再結晶温度以上に加熱し
て焼鈍し、次いで460℃程度に加熱された亜鉛浴中に浸
漬することにより亜鉛めっきを行い、亜鉛の付着量を制
御した後550℃乃至650℃まで再加熱して合金化熱処理を
施す方法が知られている。
このような合金化溶融亜鉛めっき鋼板の殆どは、成形
加工を受けて目的の用途に供されるが、プレス成形に際
しては、他の薄鋼板と同様、摺動特性が要求される。こ
の摺動特性が劣るとプレス成形時に割れが発生したり、
皺が生じたり或いは後述するパウダリングに影響を与え
たりする。これらの事故を防ぐため、現実には摺動特性
が低下するとプレス成形条件を変化させるるなど、摺動
特性は著しく生産性に影響する特性であるが、この分野
の研究は緒についたばかりで未だ実用になる改良技術は
生まれていない。
パウダリングは成形時に起こるもう一つの好ましから
ざる現象で合金化溶亜鉛めっき鋼板に特有のものであ
る。
即ち、前記の合金化熱処理を受けると、鋼板と亜鉛層
との間には合金化反応が進行し、ζ相(FeZn13),δ
相(FeZn7)、Γ相(Fe5Zn21)或いはΓ相(Fe3Z
n10)と呼ばれるFe−Zn系合金層が順次形成される。こ
れらのFe−Zn系合金相は下地鋼板よりも硬度が大きく、
特に500℃を超える高温合金化処理により生成されるΓ
相は、脆弱でプレス成形等の加工を受けると皮膜が粉状
に剥離するいわゆるパウダリング現象が起き易くなる。
このようなパウダリング現象が起こると皮膜の健全性が
害されるばかりでなく、剥離した粉がプレス型等に堆積
しプレス部品に疵をつける等、数々の不都合を生ずる。
この剥離量は、当然のことながら、皮膜が厚くなるほど
多く、従って厚目付である程問題は大きい。
このような耐パウダリング性の改善対策として、従来
から行われている方法には、合金化加熱処理温度を下げ
ること、亜鉛浴中のAl量を増やすこと、亜鉛浴の温度を
下げること等の方法があった。しかし、これらの方法は
何れも合金化を抑制する方法であって、塗装性や溶接性
に有効な所定の合金量を得ようとすると、特に厚目付合
金化溶融亜鉛めっきでは、満足な結果は得られていなか
った。
一方、目付量を減らすことによって皮膜の剥離量が減
少しパウダリングの問題が緩和される。このことに着目
し、皮膜を薄くしてその耐食性を向上させようとの試み
もなされている。例えば、特開昭60−39153では、先
ず、めっきの平均結晶粒径を3μm以下とすることによ
って耐孔食性が向上するとの知見を示し、これに基づ
き、従来多くの使用されていた45g/m2の目付量のものに
替えて、15乃至30g/m2の目付量のものを使用することに
よって、パウダリングの問題を解決することを提案して
いる。そして、結晶粒を微細化する有効な方法として、
合金化処理の加熱帯温度を高くすること、合金化処理時
の昇温速度を大きくすること等を開示している。
[発明が解決しようとする課題] しかし、これらの温度条件は本質的に耐パウダリング
性を向上させるものではなく、目付量が30g/m2を超える
とパウダリングの問題は避けられなくなる、しかも、需
要は益々合金化溶融亜鉛めっき鋼板の高耐食性と成形加
工の生産性向上を嘱望しており、60g/m2或いは70g/m2
目付量が多くても尚且つ成形性の良いものが強く要求さ
れている。このような状況下で、未だ、厚目付合金化溶
融亜鉛めっき鋼板では摺動特性、耐パウダリング性の向
上が共に実現されていない。
この問題を解決するためにこの発明は行われたもの
で、厚目付であっても、皮膜表面の結晶粒を制御するこ
とによって、摺動特性とともに耐パウダリング性にも優
れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造を目的とするもの
である。
[課題を解決するための手段] この目的を達成するための手段は、Alを0.05wt%以上
0.124wt%以下およびPbを0.30wt%以下含み、残部がZn
および不可避的不純物からなり、浴温が450℃以上470℃
以下に保たれた溶融亜鉛めっき浴に鋼板を浸漬し、引続
き片面当たりの付着量が30g/m2以上となるように付着量
を制御した後、皮膜中のFe含有率が8wt%以上15wt%以
下となるように合金化熱処理を行う連続合金化溶融亜鉛
めっき鋼板の製造方法において、亜鉛めっき浴へ侵入す
るときの鋼板の温度を制御し且つ合金化熱処理の最高到
達温度を規制する製造方法であって、(1)浴がAlを0.
05wt%以上0.124wt%以下およびPbを0.30wt%以下含
み、残部がZnおよび不可避的不純物からなり、浴温が45
0℃以上470℃以下に保たれた溶融亜鉛めっき浴であり、
この浴に鋼板を浸漬し、引続き片面当たりの付着量が30
g/m2以上となるように付着量を制御を行い、その後に行
う合金化熱処理工程では皮膜中のFe含有率が最終的には
8wt%以上15wt%以下となるように合金化熱処理を行う
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であり、(2)圧
延された鋼板にアルカリ洗浄処理を施し或いは施さずに
焼鈍処理を行い冷却過程で鋼板の温度を調整し、亜鉛め
っき浴へ侵入するときの鋼板の温度(以下、侵入板温と
称す)の制御を、侵入板温をT、浴中のAl含有率(wt
%)を〔Al%〕とし、Tが〔1〕式及び〔2〕式を満た
すように行い、 T(℃)≧565×〔Al%〕+410 …〔1〕 T(℃)≧480 …〔2〕 (3)合金化熱処理の最高到達温度の規制を、最高到達
温度が500℃以下480以上とし、合金めっき層表層の結晶
をζ相が認められずにδ相を主体とする塊状の結晶と
することを特徴とする摺動特性及び耐パウダリング性に
優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
[作用] 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造条件のうち浴組成、
浴温、合金化熱処理については、この発明に深く係る合
金結晶の生成・成長に関係するので、条件と共にその作
用を明確にする。
溶融亜鉛めっき浴中のAlはFe−Zn合金化反応を抑制
し、その作用は浴中で合金生成の開始時点から合金化熱
処理が終了するまでに及び、殊にこの発明の主要な構成
要件である侵入板温とともに合金化反応に及ぼす影響は
大きい。このAlが合金化抑制効果を適切に顕現する量的
範囲が0.05wt%以上0.124wt%以下である。この発明の
対象である合金化溶融亜鉛めっき鋼板と対象ではない非
合金化溶融亜鉛めっき鋼板とに、同一溶融亜鉛めっき浴
が用いられることが多く、Pbは後者のスパングル調整剤
として浴中に含まれている。しかし、このPb量が多すぎ
ることは耐パウダリング性にとって好ましくないので、
0.3wt%以下にする必要がある。浴温は450℃より低いと
亜鉛の流動性が低下し、又、470℃以上に高いとボトム
ドロスやトップドロス等ドロスの量が増加し、製品表面
に欠陥が形成され易くなるので、450℃以上470℃以下と
する。付着量を片面当たり30g/m2以上とするのは、パウ
ダリングの問題が30g/m2以上の厚目付合金化溶融亜鉛め
っき鋼板で特に重要視され、又、この発明の効果が大き
いからである。合金化熱処理において、合金成分として
Feの含有率が最終的に8wt%以上15wt%以下となるよう
にするのは、8wt%以下では十分な塗料付着性と溶接性
とが得られないしζ相が多量に残り摺動特性が極端に低
下し易いからであり、又、15wt%を超えるとΓ相或いは
Γ相も限度を超えて増え、耐パウダリング性を低下さ
せるからである。このFe含有率を調整するには、合金化
温度が500℃を超えず480℃以上の温度範囲で、時間をコ
ントロールする方法を用いることが出来る。480℃に満
たない合金化温度では、時間が長くなりめっきライン速
度を律することがある。
侵入板温を制御することはこの発明の重要な要件であ
り、発明者らがCGLの製造条件と合金化溶融亜鉛めっき
鋼板の表面性状との関連をつぶさに調査検討した結果、
表面性状は初期の合金化反応の影響を強く受けるとの知
見を得たことに基づく。この知見の概要は以下の通りで
ある。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面結晶の形態は浴中に
おいて反応初期に形成されるFe−Zn合金(以下、初期合
金と称す)の形態とよい相関がある。
初期合金の形態は浴への侵入板温により変化し、板温
が高い場合は塊状であり、低い場合は柱状である。
初期合金の形態は、合金化温度が比較的低く500℃以
下の場合、そのまま表面に引き継がれる。したがって、
侵入板温を高く制御して浴中でその形状が塊状である初
期合金を一面に生成させると、製品の皮膜表面の結晶形
態は塊状となる。
浴中のAlは、合金化反応の初期に鋼板表面と選択的に
反応しFe−Al合金(Fe2Al5)を生成しその結果としてFe
−Znの合金化を抑制するため、Fe−Znの初期合金を一面
に生成させるためには、含有Al量に応じて侵入板温を高
めFe−Zn合金の生成を促進する必要がある。
合金化溶融亜鉛めっき表面の結晶形態が塊状である
と、表面の摩擦係数が小さくなり、製品の摺動特性が良
くなる。
以下にこれらの知見についてその詳細を作用との関連
で述べる。
先ず、鋼種の異なる4種類の鋼板を用いて、初期合金
の生成条件を変えてめっきし、得られた合金化皮膜表面
の表面結晶の形態との関係を調べた。初期合金の生成条
件として、Al含有率及び侵入板温を変化させ、浴温は46
0℃で一定とし、めっき付着量を70g/m2とした後490℃か
ら500℃の間で10秒間の合金化熱処理を施した。この試
料について皮膜の断面を走査型電子顕微鏡で観察して表
面から深さ3μmまでに存在する結晶粒の長辺と短辺を
測定しその比の平均値(以下、平均アスペクト比と称
す)を求めた。平均アスペクト比が3以下ではほぼ全面
が塊状結晶で、3を超えると柱状結晶の割合が増加し、
4.5以上ではほぼ全面が柱状結晶で覆われている。しか
も、平均アスペクト比3以下の試料の表層にはδ相し
か存在せず、ζ相は認められなかった。X線回折によ
り、ζ(−4、2、1)即ちd=2.12Åの強度I〔ζ〕
と、δ(2、4、9)即ちd=1.99Åの強度I
〔δ〕を測定し、これらの比I〔ζ〕/I〔δ〕を求
めると0.4以下であり、ζ相は実質的に存在しなかっ
た。第1図は、調査の結果で、平均アスペクト比が3以
下の試料が分布する範囲を図示したものである。縦軸は
侵入板温、横軸は浴中のAl含有率、斜線及び境界線で示
す領域Aがその分布範囲である。この分布範囲は前述し
た適正な浴中Al含有率の範囲では、点a,点bを通る直線
と点b,点cを通る直線とを境界とする。これらの直線は
侵入板温をT(℃)、浴中のAl含有率(wt%)を[Al
%]として、各々、 T(℃)=480、 T(℃)=565×[Al%]+410、 で表される。
上記の試料を用いて表面結晶の平均アスペクト比と摺
動特性との関係を調べた結果を第2図に示す。摺動特性
は摩擦係数を測定することによって評価した。図で、縦
軸は摩擦係数、横軸は表面結晶の平均アスペクト比であ
る。4種類の鋼種については、第1表にその組成を示す
が、図では鋼種(1)を○印で、鋼種(2)を△印で、
鋼種(3)を×印で、又鋼種(4)を●印で示してい
る。図から、鋼種に関係なく、表面結晶の平均アスペク
ト比が大きくなると摩擦係数が大きくなること、平均ア
スペクト比3以下では摩擦係数が安定して小さいことが
読み取れる。
これらの結果から、初期合金の生成条件が適切で且つ
合金化熱処理が適切であれば、皮膜はδ相の塊状結晶
となって摩擦係数が小さくなり、摺動特性が向上する。
そして、適切な初期合金の生成条件は侵入板温をT、浴
中のAl含有率(wt%)を[Al%]として、次の[1]式
及び[2]式を満たす条件となる。但し、 T(℃)≧565×[Al%]+410 …[1] T(℃)≧480 …[2] 次に、適切な合金化熱処理について調べた結果を述べ
る。
第1表に示す鋼種の厚さ0.8mの冷延原板に、CGLを用
いて60g/m2の亜鉛をめっきし、熱処理温度を変えて合金
化処理を施したものについて耐パウダリング性を調べ
た。亜鉛めっきは、浴温460℃、浴組成Al0.13wt%、Pb
0.09wt%、侵入板温465℃で行った。又、合金化熱処理
においては、合金化条件をFe含有率で鋼種(1)、鋼種
(3)及び鋼種(4)では9wt%に、鋼種(2)では14w
t%に各々調整した。耐パウダリング性は後に詳述する
ビード引抜き試験による亜鉛の剥離量を調べた。この結
果を第3図に示す。図で、縦軸は剥離量、横軸は合金化
熱処理における最高到達板温(以下、合金化温度と称
す)で、鋼種(1)、鋼種(2)、鋼種(3)、鋼種
(4)を各々○、△、×、●で示してある。4鋼種共
に、合金化温度が500℃までは剥離量も少なくよい耐パ
ウダリング性を示しているが、500℃を超えるとFe含有
率が同じでも急激に剥離量は増える。
ところがこれらのサンプルの表面結晶を調査したとこ
ろ、合金化温度が500℃超えでは塊状となるが耐パウダ
リング性の良好な500℃以下ではいずれの鋼種でも柱状
晶が多量に残留することがわかった。このように通常の
侵入板温条件では耐パウダリング性を改善するために合
金化温度を500℃以下に低下させると柱状のζ相が多量
に残留し摺動特性が劣化する。しかしながら本発明の方
法でめっきを行ないめっき浴中で塊状の合金相を生成さ
せると500℃以下の合金化処理でも表面が塊状晶で覆わ
れるようになり耐パウダリング性、摺動特性ともに優れ
た合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができる。
なお、この場合の皮膜はδ相単独或いはδ相と極く
少量のΓ相やΓ相とからなりこれらの厚さが1μmを
超えることはない。
[実施例] (実施例1) 第1表に示す鋼種(1)、鋼種(2)、鋼種(3)及
び鋼種(4)の厚さ0.80mm、幅200mmの冷延鋼板をCGLに
通板し、溶融亜鉛めっきを施した後、付着量をガスワイ
ピングにより調整し、引き続いて合金化熱処理を施し、
得られた合金化亜鉛鍍金鋼板について耐パウダリング性
及び摺動特性を調べた。
めっき浴組成は、Al0.10wt%、Pb0.03wt%であり、浴
温は465℃、付着量は片面当たり70g/m2に調整した。こ
の場合、Al含有率に対して必要な侵入板温は[1]式及
び[2]式から480℃である。侵入板温に関しては、こ
の発明の条件を満たす実施例と発明の、範囲外の比較例
とについて行い、合金化熱処理は被膜中Fe濃度が10wt%
となるよう調整した。
耐パウダリング性は、ビード引抜き試験を行い雄型ビ
ードでしごかれた面のめっき皮膜の剥離量を測定しその
皮膜付着量に対する百分率によって評価した。ビード引
抜き試験器を第4図に示す。図で、1は試験片、2は雌
型ビード、3は雄型ビードである。試験片1を雌型ビー
ド2と雄型ビード3との間に挟み一定の圧力で押付けた
状態で験片を引抜いた。雌型ビード2の肩は1R、雄型ビ
ード3の先端は0.5Rに作られており、試験片はここでし
ごかれる。その後粘着テープによって雄型ビードによっ
てしごかれた面の皮膜を強制剥離しその前後の重量変化
を測定した。押付け圧は500kgf,雌型ビード幅及び雄型
ビード幅は各々40mm、試験片幅は30mmであった。摺動特
性は、摩擦係数を測定することによって評価したが、試
験片表面に潤滑油(パーカー興産(株)製ノックスラス
ト530F)を均一に塗布した後工具鋼SKD11製の圧子(接
触面積3×10mm2)を試片表面に押付け荷重400kgfで押
付け、試片を1m/分の速度で引き抜くことにより測定し
た。摩擦力は3回測定し、その平均値から求めた。調べ
た結果を第2表に示す。
実施例では、ビード引抜き剥離率が14%以下で、満足
な耐パウダリング性を示している。又、表面結晶の平均
アスペクト比は3以下で形態は塊状であり、摩擦係数は
0.13以下と小さく摺動特性も極めて良好である。
これに対して、比較例では、侵入板温が低過ぎるた
め、表面結晶形態が平均アスペクト比の大きい柱状或い
は塊状に柱状の混じた混合であり、従って摩擦係数が大
きく摺動特性に劣る。但し、合金化温度が適正なため耐
パウダリング性は良好である。
この実施例と比較例との相違は、全ての鋼種について
同じように見られ、鋼種には関係なく生じている。
(実施例2) 第1表に示す鋼種(1)について、実施例1と同様に
溶融亜鉛めっき後合金化熱処理を施し、得られた合金化
亜鉛鍍金鋼板について耐パウダリング性及び摺動特性を
調べた。
めっき浴組成は、Al0.12wt%、Pb0.1wt%であり、浴
温は455℃、付着量は片面当たり30g/m2或いは85g/m2
目標に調整した。この場合Al含有率に対して必要な侵入
板温は[1]式及び[2]式から480℃である。侵入板
温については、この発明の条件を満たす実施例と発明
の、範囲外の比較例とについて行った。他に付着量の少
ない従来例についても行い比較したが、従来例では浴温
を480℃とし、浴組成をAl0.18wt%、Pb0.1wt%とした。
なお、合金化熱処理は被膜中Fe濃度が10wt%となるよう
に調整した。
調べた結果を第4表に示す。
実施例では、付着量の少ない試験No.51乃至53は勿論
のこと付着量の多い試験No.54乃至56でも、ビード引抜
き剥離率が10%程度にしか達せず満足な耐パウダリング
性が得られている。又、表面結晶の平均アスペクト比は
3以下で形態は塊状であり、摩擦係数は0.13以下と小さ
く摺動特性も極めて良好である。
比較例では、侵入板温が低過ぎるため表面結晶形態が
平均アスペクト比の大きい柱状或いは塊状に柱状の混じ
た混合であり、従って摩擦係数が大きいく摺動特性に劣
る。
従来例では、Al含有率が高く侵入板温が[1]式を満
足せず摺動特性に劣り、又、合金化温度も高いので、実
施例と比較すると、耐パウダリング性にも劣る。
なお、何れの実施例においても合金化皮膜の主体はδ
相であり、ζ相は認められず、Γ相或いはΓ相は0.
07μm以下であった。
[発明の効果] この発明によれば、溶融亜鉛めっき浴の温度とこれに
含まれるAlの量を考慮して侵入板温を制御し合金層表面
の結晶粒を塊状とすることによって摺動特性を付与し、
且つ、合金化熱処理の最高到達温度を規制することによ
って耐パウダリング性を改善しているので、厚目付であ
ってもこれら二つの性能しいては成形性に優れた合金化
溶融亜鉛めっき鋼板を製造することが出来る。このよう
に、高耐食性化と加工生産性とを追及する産業界の需要
に応えるこの発明の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の原理を説明するための浴中Al含有率
と侵入板温の関係を示す図、第2図は同じく表面結晶の
平均アスペクト比と摩擦係数との関係を示す図、第3図
は同じく合金化温度とビード引抜き試験での皮膜剥離量
との関係を示す図、第4図はビード引抜き試験器の横断
面図である。 1……試験片、2……雌型ビード、3……雄型ビード。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小池 哲弘 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 審査官 小川 武 (56)参考文献 特開 平3−191046(JP,A) 特開 平3−211264(JP,A) 特開 平1−136952(JP,A) 特開 平2−11745(JP,A) 特開 平1−279738(JP,A) 特開 平3−249162(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Alを0.05wt%以上0.124wt%以下およびPb
    を0.30wt%以下含み、残部がZnおよび不可避的不純物か
    らなり、浴温が450℃以上470℃以下に保たれた溶融亜鉛
    めっき浴に鋼板を浸漬し、引続き片面当たりの付着量が
    30g/m2以上となるように付着量を制御した後、皮膜中の
    Fe含有率が8wt%以上15wt%以下となるように合金化熱
    処理を行う連続合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に
    おいて、圧延された鋼板にアルカリ洗浄処理を施し或い
    は施さずに焼鈍処理を行い冷却過程で前記溶融亜鉛めっ
    き浴への鋼板侵入温度を〔1〕式および〔2〕式を共に
    満たすTに制御し、且つ、前記合金化熱処理において最
    高到達温度を500℃以下480℃以上とし、合金めっき層表
    層の結晶をζ相が認められずにδ相を主体とする塊状
    の結晶とすることを特徴とする摺動特性及び耐パウダリ
    ング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 T(℃)≧565×〔Al%〕+410 …〔1〕 但し、〔Al%〕は浴中のAlのwt%含有率。 T(℃)≧480 …〔2〕
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