JP2658608B2 - プレス成形性および耐パウダリング性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

プレス成形性および耐パウダリング性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JP2658608B2 JP3055775A JP5577591A JP2658608B2 JP 2658608 B2 JP2658608 B2 JP 2658608B2 JP 3055775 A JP3055775 A JP 3055775A JP 5577591 A JP5577591 A JP 5577591A JP 2658608 B2 JP2658608 B2 JP 2658608B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車の車体、足回
り部品等に用いられる合金化溶融亜鉛めっき鋼板、特に
プレス成形時に要求される耐パウダリング性に優れ、し
かも摩擦特性がコイル内で安定し且つ塗装適合性にも優
た合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合金化溶融亜鉛めっき鋼板は優れた塗装
後耐食性や溶接性を有するため、自動車用防錆鋼板とし
てその需要が近年増加しており、特に最近では、耐食性
を確保するため皮膜が厚目付化する傾向にある。この種
のめっき鋼板には、優れたプレス成形性とプレス成形時
の耐皮膜剥離性、所謂耐パウダリング性が要求される。
特に最近ではこれらについてより厳しい性能が求めら
れ、とりわけ上記のような皮膜の厚目付化に伴い、耐パ
ウダリング性の確保が大きな課題となりつつある。
【0003】このような耐パウダリング性を改善する技
術として、めっき鋼板を急速加熱で1次加熱して皮膜の
一部を合金化させた後、バッチ焼鈍で2次加熱を行うと
いう技術が知られているが、この方法は耐パウダリング
性の改善には有効であるものの、製造コストが高いとい
う欠点がある。一方、インラインにおいて耐パウダリン
グ性を改善する技術として、特開平1−279738号
公報では、Al:0.04〜0.12%の浴でめっきを
施した後、2秒以下で470℃以上の温度へ急速加熱
し、合金化完了後、420℃以下の温度まで2秒以下で
急速冷却すことにより、δ1相主体の合金化溶融亜鉛め
っき鋼板を製造する方法が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この方法では
比較的高温で合金化処理がなされるため、合金化の進行
が速く、Γ相が厚く成長して耐パウダリング性が劣化し
易いという問題がある。この点、特開平1−27973
8号公報には過合金化を防止するために合金完了温度域
から420℃以下の温度域までを2秒以下で急速冷却す
るとしているが、目付量やラインスピ−ドの変化により
適正合金化パタ−ンが変化するため、この方法を実施す
るためには、加熱源および冷却源をライン方向で多段に
配置して対処する必要があり、設備コストが増大すると
いう大きな問題がある。
【0005】さらに、通常用いられているガス直火加熱
方式の合金化炉では鋼板幅方向および長さ方向で炉温の
変動が起りやすいため、上述したような皮膜構造の厳密
な制御は困難であり、得られるめっき皮膜は部分的に過
合金或いはζ相が残留したものとなってしまう。したが
って、得られるめっき鋼板は場所によってδ1相の量が
不均一な、すなわち、耐パウダリング性が不均一なもの
となってしまう。また、ζ相の量は摩擦特性と密接に関
係しているため、ζ相が残留するとその部分の摩擦係数
が局部的に増大するためプレス成形性も不安定となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上のような従来の問題
に対し、本発明者らは、まず、溶融亜鉛めっき鋼板の合
金化反応に関して検討を行い、その結果、1)ζ相は4
95℃以下の反応により発生し、それ以上では発生しな
いこと、2)したがって、495℃を超える温度で主要
な反応(溶融亜鉛相がなくなるまでの反応)を起し、そ
の後冷却すれば、δ1相主体の皮膜を形成することがで
きること、が明らかとなった。図1、図2は溶融亜鉛め
っき鋼板の450℃、500℃での恒温合金化反応によ
る相変化の一例を示すもので、450℃での合金化では
ζ相が発生するのに対し、500℃での合金化ではζ相
はほとんど発生せず、δ1相主体の皮膜となっている。
【0007】しかし、上述したようにこのような比較的
高温で合金化する方法ではめっき皮膜が過合金化し易
く、耐パウダリング性が劣化し易い。さらに、通常の直
火加熱方式の合金化炉を用いて上記条件で合金化する
と、経時的、場所的に均一に燃焼させることが難しく、
焼きムラが発生し易い。そして、このような焼きムラに
より不均一な合金層が形成されてしまい、鋼板の位置に
よって耐パウダリング性や摩擦特性等が異なる不均質な
製品しか得られない。
【0008】このようなことから、耐パウダリング性と
プレス成形性の両者を安定的に得る方法について検討を
重ねた結果、以下のような知見を得た。 めっき浴中
で合金化反応(ζ相の生成)を抑制し、しかもその後の
合金化処理を高周波誘導加熱方式の加熱炉を用いて行な
うことにより、ストリップの幅方向、長手方向で均一に
δ1相を主体とする合金化相が形成された皮膜が得られ
ること、 また、このようにして得られる合金化めっ
き皮膜は、上述したようなマクロ的な均一性のみなら
ず、ミクロ的にも合金化反応が均一に起きるため、この
面からも優れた耐パウダリング性とプレス成形性が得ら
れること、 浴条件と高周波誘導加熱方式の加熱炉出
側板温条件を規定することにより、 厳密な皮膜の制
御が可能であること、具体的には、高Al浴で且つ浴中
Al量との関係で規定される高目の侵入板温でめっきを
施すことにより、浴中で合金化抑制相であるFe2Al5
を厚く生成させることで合金化反応(ζ相の発生)を適
切に抑えることが可能であり、さらに、このようなめっ
き鋼板に対する高周波誘導加熱方式の加熱炉を用いた合
金化処理を、加熱炉出側での板温を495℃超〜520
℃に管理して行うことにより、上記、で述べたよう
な皮膜が得られること、 上記のようにして合金化さ
れためっき皮膜にFe系の上層めっきを施すことによ
り、少ない付着量で良好な塗装適合性が得られること、
【0009】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その構成は、Alを含有し、残部Znおよび不
可避的不純物からなる亜鉛めっき浴でめっきを施した
後、目付量調整を行い、加熱炉で皮膜中のFe含有量が
8〜12%となるように合金化処理を行う合金化溶融亜
鉛めっき鋼板の製造方法において、浴中Al量:0.1
3%以上、浴温度:470℃以下で、且つ、浴中Al量
と鋼板のめっき浴中への侵入板温とが、 571×〔Al%〕+416≧T≧571×〔Al%〕+396 但し、〔Al%〕:浴中Al量(%) T :侵入板温(℃) を満足する条件でめっきを行うことにより、浴中でFe
−Zn合金化反応を抑制し、めっき後、高周波誘導加熱
炉で加熱炉出側の板温が495℃超〜520℃となるよ
うに加熱し、所定時間保持後冷却し、次いで、上層めっ
きとしてFe含有量が50%以上のFe系めっきを2g
/m2以上施すことを特徴とするプレス成形性および耐
パウダリング性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製
造方法である。
【0010】
【作用】従来、めっき鋼板の合金化処理を高周波誘導加
熱により行うという技術は、例えば、特公昭60−82
89号公報、特開平2−37425号公報等において知
られている。しかし、これらに開示された技術は、高周
波誘導加熱を単に急速加熱の一手段として用いているに
過ぎない。これに対して本発明は、浴中で合金化抑制相
であるFe2Al5を厚く生成させることにより合金化反
応を極力抑制し、且つこのように合金化が抑制されため
っき皮膜に対し、高周波誘導加熱による合金化処理を特
定の条件で実施することにより、Γ相が少なく、且つ鋼
板各部においてδ1相を主体とする合金化相が均一に形
成され、しかも皮膜構造のミクロ的な均一性によって全
体として優れた耐パウダリング性を有し、さらにプレス
成形性にも優れためっき鋼板が得られること、加えて合
金化めっき層上にFe系の上層めっきを適切に付着させ
ることができ、上層めっきにより安定した塗装適合性が
得られることを見出したものである。
【0011】本発明の製造法において、上述のような優
れた特性のめっき鋼板が得られるのは次のような理由に
よるものと推定される。まず、第1に、合金化処理にお
いて高周波誘導加熱方式を用いることにより、鋼板自体
を直接加熱することができ、しかも、めっき皮膜に接す
る界面が最も加熱されるため、雰囲気加熱方式に較べ界
面におけるFe−Zn反応が短時間でしかもストリップ
上の位置に無関係に均一に起き、このため、鋼板上での
部分的な過合金やζ相の残留がなく、均一な耐パウダリ
ング性とプレス成形性が得られるものと推定される。
【0012】第2に、高周波誘導加熱は上記のように鋼
板側からの加熱であるため、微視的にも均一な合金化反
応が生じることによるものと推定される。すなわち、従
来一般に行われているガス加熱による合金化処理では、
皮膜の外側から熱が加えられるため加熱が不均一となり
易く、このため合金化反応が微視的に不均一に生じ易
い。特に結晶粒界は反応性に富むため、所謂アウトバ−
スト反応が生じ易く、このようにアウトバ−スト組織が
発生すると、この部分からΓ相が成長し始め、このΓ相
の形成により耐パウダリング性が劣化する。これに対
し、高周波誘導加熱は鋼板側からの加熱であるため、上
記のような合金化の局部的なバラツキが少なく、また、
鋼板面の酸化物や浴中で生じた合金化抑制物質(Fe2
Al5)も容易に拡散するため、ミクロ的にも均一な合
金化皮膜が得られるものと思われる。
【0013】第3に、本発明は合金化抑制相であるFe
2Al5を浴中で形成させることによりFe−Zn反応を
抑制し、続く加熱処理においてδ1相を形成させること
を特徴としているが、上記のように高周波誘導加熱は鋼
板側からの加熱であるため、合金化時にFe2Al5が容
易に拡散しδ1相を形成する。つまり、Fe−Zn反応
を適切に抑制するためにFe2Al5を厚く形成させて
も、合金化時にこれを確実且つ均一に拡散することがで
きる。この結果、合金化がミクロ的にも均一化し、厚い
Fe2Al5の形成により浴中でのΓ相の発生が抑制され
ることと相俟って、優れた耐パウダリング性が得られる
ものと考えられる。
【0014】第4に、高周波誘導加熱はめっきを短時間
で合金化できることからΓ相の成長時間が短いことが挙
げられる。そして、本発明では浴中でのΓ相の発生も抑
えられるため、最終的なΓ相の形成量が少なく、このこ
とも耐パウダリング性の向上に大きく寄与しているもの
と考えられる。
【0015】第5に、プレス成形性に関しても、上記し
たように合金化がマクロ的、ミクロ的に均一になされる
結果、安定的且つ均一なプレス成形性が得られ、しかも
溶融めっき後の加熱を高周波誘導加熱で行うと、めっき
表面が酸化されないため、合金化めっき層上に上層めっ
きを適切に付着させることができ、このためガス加熱で
合金化処理した場合に較べ少ない付着量の上層めっきに
より安定した塗装適合性が得られるものと考えられる。
第6に、高周波誘導加熱の利点として、鋼板幅方向、長
さ方向で均一な加熱が可能であるため、加熱炉出側での
厳密な板温管理が可能であり、また、ガス炉等の雰囲気
加熱方式とは異なり、加熱された雰囲気ガスの上昇(ド
ラフト効果)がないため、特殊な冷却をしなくても過合
金が起り難いことによるものと考えられる。
【0016】以下、本発明の構成とその限定理由につい
て説明する。本発明では、めっき浴中での合金化反応を
極力抑制するため、めっき浴中のAl量、めっき浴に侵
入する際の鋼板の板温及び浴温度が規定される。特に、
本発明では高Al浴で且つ浴中Al量との関係で規定さ
れる高目の侵入板温とすることにより、めっき浴中での
合金化反応を抑制することが特徴の1つである。
【0017】めっき浴中のAlは浴侵入直後の鋼板表面
にFe2Al5を形成し、Fe−Zn合金の発生を抑制す
る。Al量が0.13%未満ではこのような抑制効果が
小さく、浴中でζ相が形成され、最終的に本発明の目的
とするδ1相を主体とした合金化相が得られない。この
ため浴中のAl量は0.13%以上とする。
【0018】Al量を0.13%以上含む浴では侵入板
温を上昇させると鋼板侵入直後の反応温度が高くなり、
Fe2Al5が厚く形成されるようになる。この結果、浴
中でのFe−Zn合金反応が抑制される。但し、侵入板
温は浴中Al量との関係で下記関係式の条件を満足する
必要がある。 571×〔Al%〕+416≧T≧571×〔Al%〕+396 但し、〔Al%〕:浴中Al量(%) T :侵入板温(℃) 上述したように本発明は高Al浴、高侵入板温を基本と
するものであるが、侵入板温が浴中Al量との関係で上
記上限を超えると、Feの拡散速度が増すため、Fe2
Al5による抑制効果が不十分となり、浴中で部分的に
アウトバ−スト組織が生成するため、耐パウダリング性
が劣化してしまう。一方、侵入温度が上記下限を下回る
とFe2Al5の形成量が十分でなく、浴中でのFe−Z
n合金反応の抑制作用が適切に得られない。
【0019】なお、侵入板温が520℃を超えると、F
2Al5が局部的に過剰に生成され易くなるため焼きム
ラが発生し、耐パウダリング性が劣化してしまう。ま
た、ポットへの入熱量増加により浴温冷却手段等の付加
的設備が必要になり、さらに、浴中でのドロス発生量が
増加し、表面欠陥が多発する等の問題を生じる。このた
め侵入板温は、浴中Al量に関係なく520℃以下とす
ることが好ましい。めっき浴温度が高いと浴中における
合金化反応が促進されるため、本発明では浴温度を47
0℃以下とする。また、浴温度が高過ぎると浴中に浸漬
された構造物が侵食され、ドロスが発生するなどの問題
を生じる。
【0020】めっきされた鋼板は、高周波誘導加熱炉に
おいて合金化のために加熱処理される。本発明では、上
記のような浴条件の規定に加え、この高周波誘導加熱炉
による加熱処理が大きな特徴であり、上述したように通
常行なわれているガス加熱では、本発明の目的とする合
金化めっき皮膜は全く得られない。この合金化処理で
は、炉出側の板温が495℃超〜520℃となるように
加熱し、所定時間保持後冷却する。上述したようにδ1
相を形成させるためには495℃を超える温度での加熱
が必要であり、浴中での合金化が抑制されためっきをこ
こで合金化し、δ 1相を主体とした合金相を形成させ
る。しかし、520℃を超える加熱温度ではΓ相が形成
され、耐パウダリング性が劣化するため、加熱温度の上
限は520℃とする。本発明において高周波誘導加熱炉
出側の板温を管理する理由は、その部分が合金化熱サイ
クルでの最高板温となるためである。また、合金相の成
長速度はこの付近で最大となるため、出側板温を管理す
ることにより、その温度での合金化反応を起すことが可
能になる。
【0021】本発明は皮膜中のFe含有量が8〜12%
の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造を目的としている。
皮膜中のFe含有量が12%を超えると、皮膜が硬質に
なり、耐パウダリング性が劣化する。高周波誘導加熱炉
出側以降合金化を進めると固体内拡散反応により皮膜中
のFe含有量が上昇してしまう。一方、Fe含有量が8
%未満では、η相(純亜鉛相)が表面に残留するため、
プレス成形時に焼付け(フレ−キング)と呼ばれる現象
が起り好ましくない。従来では、皮膜中のFe含有量に
より皮膜構造が一義的に決まると考えられていたが、本
発明のように浴条件を適当に選択し、しかも合金化処理
を高周波誘導加熱で行うことにより、皮膜中のFe含有
量にかかわらず、本発明が目的とするような特定の皮膜
構造が得られる。このようにして得られる合金化めっき
皮膜は、表層側から均一なδ1相および極く薄いΓ相が
存在する構造となる。
【0022】以上のような合金化処理後、塗装適合性を
改善するために、上層めっきとしてFe含有量が50%
以上のFe系めっきを2g/m2以上施す。合金化溶融
亜鉛めっき鋼板は電着塗装時にクレ−タリングと呼ばれ
る欠陥が発生し易く、最終塗装後の外観に影響を与え
る。上層めっきはこのような塗装欠陥の発生を防止し、
めっき鋼板の塗装適合性を高める。塗装適合性を向上さ
せるには上層めっきをα単相とすることが好ましく、F
e系めっきでは、Fe含有量がほぼ50%以上でα単相
となる。また、上層めっきの付着量が2g/m2未満で
は塗装適合性の改善が十分ではない。また、このめっき
付着量に特に上限はないが、コスト面から5g/m2
下とすることが好ましい。本発明のように溶融めっき後
の加熱を高周波誘導加熱で行うと、めっき表面が酸化さ
れないため、合金化めっき層上に上層めっきを適切に付
着させることができ、このためガス加熱で合金化処理し
た場合に較べ上層めっきの付着量を少なくすることがで
きる。
【0023】
【実施例】本発明の実施例を表1ないし表4に示す。こ
の実施例では、下記鋼種のIF鋼、Alキルド鋼から製
造された冷延鋼板を素材とし、表1および表2に示され
る条件で溶融亜鉛めっき、加熱処理及び上層めっきを行
った。また、上記加熱処理はガス加熱方式および高周波
誘導加熱方式を用いた。 鋼種A:0.0025%C−0.06%Sol.Al−0.08%Ti 鋼種B:0.0024%C−0.06%Sol.Al−0.06%Ti −0.007%Nb 鋼種C:0.04%C−0.03%Sol.Al(Alキルド鋼)
【0024】本実施例において、鋼板のめっき浴中への
侵入温度は放射型温度計で測定した浸漬直前の鋼板の表
面温度である。また、加熱炉出側の板温は放射型温度計
で測定した鋼板の表面温度である。また、めっき浴中A
l量は下式に定義される有効Al濃度である。 〔有効Al濃度〕=〔浴中全Al濃度〕−〔浴中鉄濃度〕+0.03 皮膜中Fe%は浴条件、加熱条件および冷却条件に依存
する。冷却条件は本発明の特徴の一つである皮膜構造の
マクロ或いはミクロな均一性にほとんど影響を及ぼさな
いが、合金化度(皮膜中Fe%)を変化させることによ
り特性に影響を及ぼす。したがって、本実施例では冷却
用のブロアの風量、ミストの量を調整し、皮膜中のFe
%を制御した。
【0025】また、各特性に関する試験、評価方法は以
下の通りである。 ○製品皮膜中ζ相の量:得られた皮膜をX線回折し、ζ
相についてはd=1.900のピ−ク強度Iζ(421
を、またδ1相についてはd=1.990のピ−ク強度
Iδ1249)をそれぞれ取り、下式で示すピ−ク強度比
をもって皮膜中のζ相の量を表した。なお、Ibgはバ
ックグランドであり、Z/Dが20以下ならば実質的に
ζ相は存在しない。 Z/D=(Iζ(421)−Ibg)/(Iδ1249)−Ibg)×100
【0026】○耐パウダリング性:試験片に防錆油(パ
−カ−興産(株)製ノックスラスト530F)を1g/
2塗布した後、ビ−ド半径R:0.5mm、押し付け
荷重P:500kg、押し込み深さh:4mmでビ−ド
引き抜き試験を行い、テ−プ剥離後、成形前後の重量変
化から剥離量を算出した。なお、表中の数値は複数の測
定値(5×5=25個)の平均値である。 ○耐パウダリング性の板幅方向最大偏差:操業条件が安
定した箇所で、コイル長さ方向5点、コイル幅方向5点
(両エッジ、1/4の位置およびセンタ−部)で上記耐
パウダリング性をそれぞれ測定し、最大値と最小値の差
をとった。
【0027】○摩擦係数:試験片に防錆油(パ−カ−興
産(株)製ノックスラスト530F)を1g/m2塗布
した後、工具鋼SKD11製の圧子を荷重400kgで
押し付け、1m/minの引き抜き速度で引き抜きを行
い、引き抜き荷重と押し付け荷重との比を摩擦係数とし
た。なお、表中の数値は複数の測定値(5×5=25
個)の平均値である。 ○摩擦係数の板幅方向最大偏差:耐パウダリング性と同
一箇所で摩擦係数をそれぞれ測定し、最大値と最小値の
差をとった。 ○塗装適合性:本発明材および比較材の各々の表面に、
浸漬処理によって燐酸塩皮膜を形成した後、下記条件に
よりカチオンタイプの電着塗装を施した。 電圧 :300V 浴温 :26.5℃ 供試体面積/陽極面積:1/1 塗膜の厚さ :20μm 焼付温度 :170℃ 焼付時間 :20分 上記のようにして電着塗装を施した供試体の塗膜に生じ
たクレ−タ状欠陥を、目視により調べ、下記によって評
価した。 ○ :クレ−タ状欠陥100個以下 × :クレ−タ状欠陥100個超え
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】表において、比較例1および比較例2は侵
入板温が高過ぎるため浴中でアウトバ−スト反応が生
じ、耐パウダリング性が悪い。また、比較例3は侵入板
温が低いため、浴中でFe2Al5が不均一に形成され、
合金化がミクロ的に不均一化し、耐パウダリング性が悪
い。比較例4は高周波誘導加熱での加熱温度が低過ぎる
ため製品皮膜中にζ相が形成され、摩擦特性が悪い。比
較例5および比較例10は高周波誘導加熱での加熱温度
が高過ぎるためΓ相が形成され、耐パウダリング性が悪
い。比較例6〜比較例8は加熱をガス加熱で行なった例
であり、これらは焼きムラのため良好な耐パウダリング
性が得られず、また、耐パウダリング性、摩擦特性とも
に板幅方向で大きなバラツキを生じている。また、これ
らの比較例は塗装適合性にも劣っている。比較例9は上
層めっきの付着量に関する比較例である。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融亜鉛めっき鋼板の450℃での恒温合金化
反応による相変化の一例を示すものである。
【図2】溶融亜鉛めっき鋼板の500℃での恒温合金化
反応による相変化の一例を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平谷 晃 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 森田 正哉 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−11745(JP,A) 特開 平2−254146(JP,A) 特開 平2−66148(JP,A) 特開 平4−193938(JP,A) 特開 平4−235265(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Alを含有し、残部Znおよび不可避的
    不純物からなる亜鉛めっき浴でめっきを施した後、目付
    量調整を行い、加熱炉で皮膜中のFe含有量が8〜12
    %となるように合金化処理を行う合金化溶融亜鉛めっき
    鋼板の製造方法において、浴中Al量:0.13%以
    上、浴温度:470℃以下で、且つ、浴中Al量と鋼板
    のめっき浴中への侵入板温とが、 571×〔Al%〕+416≧T≧571×〔Al%〕+396 但し、〔Al%〕:浴中Al量(%) T :侵入板温(℃) を満足する条件でめっきを行うことにより、浴中でFe
    −Zn合金化反応を抑制し、めっき後、高周波誘導加熱
    炉で加熱炉出側の板温が495℃超〜520℃となるよ
    うに加熱し、所定時間保持後冷却し、次いで、上層めっ
    きとしてFe含有量が50%以上のFe系めっきを2g
    /m2以上施すことを特徴とするプレス成形性および耐
    パウダリング性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製
    造方法。
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