JP2009132972A - 焼付硬化性に優れた合金化溶融亜鉛めっき用鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

焼付硬化性に優れた合金化溶融亜鉛めっき用鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】 焼付硬化性を有し、筋模様等の表面欠陥の発生を抑制できるP含有高強度合金化溶融亜鉛めっき用鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供すること。
【解決手段】 質量%で、C:0.0001〜0.015%、Si:0.001〜0.45%、Mn:0.20%以上、P:0.02%以上、S:0.015%以下、Al:0.008%以下、Ti:0.002〜0.10%、N:0.0005〜0.004%を含有し、さらに、Cu、Ni、Cr、Mo、Snの内、一種または二種以上を合計で0.3%以下含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼板の酸可溶Ti含有量が、下記(1)式の条件を満足することを特徴とする。
[%C]×4+[%N]×48/14−0.006%≦[%Ti]≦[%C]×4+[%N]×48/14−0.002%・・・(1)
【選択図】 なし

Description

本発明は、焼付硬化性(以下、BH(Bake Hardenablity)と称する)を有する合金化溶融亜鉛めっき用鋼板に係り、さらに詳しくはP含有高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板として、種種の用途、例えば自動車用内外板として適用できる鋼板に関するものである。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、塗装密着性、塗装耐食性、溶接性などの点に優れることから、自動車用をはじめとして、家電、建材等に非常に多用されている。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は鋼板表面に溶融亜鉛をめっきした後、直ちに亜鉛の融点以上の温度に加熱保持して、鋼板中からFeを亜鉛中に拡散させることで、Zn−Fe合金を形成させるものであるが、鋼板の組成や組織によって合金化速度が大きく異なるため、その制御はかなり高度な技術を要する。一方、複雑な形状にプレスされる自動車用鋼板には、非常に高い成形性が要求されるとともに、近年では自動車の防錆性能への要求が高まったことによって、合金化溶融亜鉛めっきが適用されるケースが増加している。
また、近年、自動車分野においては衝突時に乗員を保護するような機能の確保と共に燃費向上を目的とした軽量化を両立させるために、めっき鋼板の高強度化が必要とされてきている。
加工性を悪化させずに鋼板を高強度化するためには、SiやMn、Pといった元素を添加することが有効であるが、Siの添加は不めっきの原因となり易いため、現在、Mn、Pの添加により高強度化した鋼板が最も多く使用されている。
さらに、プレス後の塗装焼付工程で強度が上昇するBH性を付与することにより、加工性を確保しつつ、耐デント性を改善する技術も使用されている。
ただし、Pを添加した鋼板は筋模様欠陥が発生し易いという問題点が知られている。筋模様欠陥は、機械加工や溶接、塗装する場合には何ら問題はないが、外観不良として好まない消費者が多い。特にBHを有する鋼板は、ドアやフードといった外観が厳しい部品に使用されるため、筋模様欠陥の発生が大きな問題となる。
P含有合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面外観を良好に製造方法としては、例えば、特許文献1において、硫黄または硫黄化合物を表面に付着させる技術が提案されているが、この製造方法では硫黄または硫黄化合物を塗布するための設備が必要となるため、そのスペースがない場合は採用できない。又、塗布設備設置により生産コストが上昇する問題も生じる。
また、特許文献2においては、熱延板の表面から厚さ方向に50μm以内の表層部において、15μm以下の結晶粒径をもつフェライト粒を70面積%以下に規定する技術が提案されているが、これは熱延仕上げ温度をAr3+20℃以上に保持した場合に一般的に起こる現象を記述したに過ぎず、言い換えれば熱延仕上げ温度をAr3変態点+20℃以上で製造した製造方法の提案である。この熱延仕上げ温度の上昇は、加熱炉のエネルギーを多量に使用する必要があるため、生産コストが上昇する問題を生じさせる。
同様に特許文献3においては、熱延仕上げ温度をAr3変態点+30℃以上で製造した製造方法が提案されているが、熱延仕上げ温度の上昇は、加熱炉のエネルギーを多量に使用する必要があるため、生産コストが上昇する問題を生じさせる。
特開平11−50220号公報 特開2001−316763号公報 特許第3339615号公報
本発明は上記の現状に鑑みて、新たな設備を設置することなく、また、熱延工程での生産コスト上昇を行うことなく、筋模様等の表面欠陥の発生を抑制できる焼付硬化性に優れたP含有高強度合金化溶融亜鉛めっき用鋼板を提供することを目的としている。
本発明者は新たな設備を設置することなく、および熱延工程の生産性を低下させずに筋模様欠陥の発生を抑制させる手段を種々検討した結果、C、N、Al等を低減し、P、Mnを添加した被めっき鋼板のC、N、Ti、Nbの添加量を規定し、Cu、Ni、Cr、Mo、Snの一種または二種以上を添加することによって、筋模様等の表面欠陥の発生を抑制できることを見出して本発明に至った。
すなわち、本発明の趣旨とするところは、以下のとおりである。
(1) 質量%で、
C:0.0001〜0.015%、
Si:0.001〜0.45%、
Mn:0.20%以上、
P:0.02%以上、
S:0.015%以下、
Al:0.0005〜0.05%
Ti:0.002〜0.10%、
N:0.0005〜0.004%、
を含有し、さらに、
Cu:0.005〜0.1%、
Ni:0.005〜0.1%、
Cr:0.005〜0.1%、
Mo:0.005〜0.1%、
Sn:0.005〜0.1%
の内、一種または二種以上を合計で0.3%以下含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼板の酸可溶Ti含有量が、下記(1)式([%X]は、質量%で表わした合金元素Xの含有量)で与えられる条件を満足することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき用鋼板。
[%C]×4+[%N]×48/14−0.006%≦[%Ti]≦[%C]×4+[%N]×48/14−0.002% ・ ・ ・(1)
(2) 質量%で、
C:0.0001〜0.015%、
Si:0.001〜0.45%、
Mn:0.20%以上、
P:0.02%以上、
S:0.015%以下、
Al:0.0005〜0.05%以下、
Ti:0.002〜0.10%、
Nb:0.002〜0.10%、
N:0.0005〜0.004%、
を含有し、さらに、
Cu:0.005〜0.1%、
Ni:0.005〜0.1%、
Cr:0.005〜0.1%、
Mo:0.005〜0.1%、
Sn:0.005〜0.1%の内、一種または二種以上を合計で0.3%以下含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼板の酸可溶Ti含有量が、下記(2)式([%X]は、質量%で表わした合金元素Xの含有量)で与えられる条件を満足することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき用鋼板。
[%C]×4+[%N]×48/14−[%Nb]×48/93−0.006%≦[%Ti]≦[%C]×4+[%N]×48/14−[%Nb]×48/93−0.002%
・ ・ ・(2)
(3) 鋼板が付加成分としてさらに、質量%で、B:0.0002〜0.003%を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の合金化溶融亜鉛めっき用鋼板。
(4)鋼板が付加成分としてさらに、質量%で、Ce、La、Nd、Pr、Smの一種または二種以上を合計で0.0001〜0.01%を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の合金化溶融亜鉛めっき用鋼板。
(5) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載の合金化溶融亜鉛めっき用鋼板にAl:0.05〜0.5質量%、Fe:7〜15質量%を含有し、さらに、
Cu:0.001〜0.15質量%、
Ni:0.001〜0.15質量%、
Cr:0.001〜0.15質量%、
Mo:0.001〜0.15質量%、
Sn:0.001〜0.15質量%
の内、一種または二種以上を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる合金化溶融亜鉛めっき層を形成させた外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(6) 前記(5)に記載の合金化溶融亜鉛めっき用鋼板のめっきのd=1.26、d=1.222のX線回折強度Iζ、IΓとSi標準板のd=3.13のX線回折強度ISiとの比Iζ/ISi、IΓ/ISiが、Iζ/ISi≦0.004、IΓ/ISi≦0.004であることを特徴とする外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
本発明は加工性に優れ、BH性を有し、且つ、筋模様等の表面欠陥の発生を抑制できるP含有高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造できる被めっき鋼板を提供することを可能としたものであり、産業の発展に貢献するところが極めて大である。
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明において各成分の範囲を限定した理由を述べる。なお、本発明において%は、特に明記しない限り、質量%を意味する。
C:Cは鋼の強度を高める元素であって0.0001%以上を含有させることが有効であるが、過剰に含有すると強度が上昇しすぎて加工性が低下するので上限含有量は0.015%とする。特に高い加工性を必要とする場合には、C含有量は0.010%以下とすることが好ましい。
Si:Siも鋼の強度を向上させる元素であって0.001%以上を含有させるが、過剰に含有すると加工性および溶融亜鉛めっき性を損なうので、上限は0.45%とする。特に高い加工性を必要とする場合には、Si含有量は0.10%以下とする。
Mn:Mnは固溶強化元素として0.2%以上添加する。Mnの含有量を0.2%以上とする理由は、Mnが0.2%未満では必要とする引張強さの確保が困難であるためである。上限は特に限定しないが、添加量が過大になるとスラブに割れが生じやすく、またスポット溶接性も劣化するため、2.8%とすることが望ましい。更に望ましくは、強度、加工性とコストのバランスから0.2〜1.8%である。
P:Pは鋼板の加工性、特に伸びを大きく損なうことなく強度を増す元素として0.02%以上添加する。Pの含有量を0.02%以上とする理由は、Pが0.02%未満では必要とする引張強さの確保が困難であるためである。上限は特に限定しないが、過剰に添加すると粒界偏析による粒界脆化が著しくなるため、0.2%以下とすることが望ましい.更に望ましくは、強度、加工性とコストのバランスから0.02〜0.1%である。
S:Sは鋼の熱間加工性、耐食性を低下させる元素であるから少ないほど好ましく、上限含有量は0.015%とする。但し、本発明のような極低炭素鋼のS量を低減するためにはコストがかかるうえ、Sを過度に低減すると筋模様等の表面欠陥が発生し易くなるため、熱間加工性、耐食性等から必要なレベルにまでSを低減すれば良い。望ましくは0.008〜0.015%である。
Al:Alは鋼の脱酸元素として0.0005%以上を含有させることが必要であるが、過剰に含有させると粗大な金属間化合物を生成して加工性を損なうので、上限含有量は0.05%とする。なお、後述するように、Alの添加量を減らすことにより、アルミナクラスターに起因する表面欠陥を抑制し、さらに良好な外観を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることが可能となる。アルミナクラスターに起因する表面欠陥を抑制し、さらに良好な外観を得るためには、Alの添加量を0.008%以下とすることが望ましい。
Ti:鋼中のCおよびNを炭化物、窒化物として固定するために、0.002%以上の添加が必要である。一方、0.10%を超えて添加してももはやその効果は飽和しているのに対して、いたずらに合金添加コストが上昇するだけであるので、上限含有量は0.10%とする。過剰な固溶Tiは鋼板の加工性および表面品質を損なう場合があるので、0.050%以下とするとより好ましい。
本発明においては、さらにBH性を付与する目的で、酸可溶Ti含有量を下記(1)式([%X]は、質量%で表わした合金元素Xの含有量)を満足する範囲とする。
[%C]×4+[%N]×48/14−0.006%≦[%Ti]≦[%C]×4+[%N]×48/14−0.002% ・ ・ ・(1)
これは、酸可溶Ti含有量を上記の範囲とすると、常温非時効性を確保しつつBH性を付与することが可能となるためである。
ここで酸可溶Tiとは、鋼板を酸に溶解した際に溶解可能なTiである。具体的には、加熱した20質量%硫酸に鋼を溶解させた際に、20質量%硫酸に溶解したTiを指す。鋼中に固溶しているTiや、炭化物、窒化物、硫化物などの金属間化合物として存在するTiがこれにあたる。一方Tiの酸化物は酸に溶解しないため酸化物として存在するTiは酸可溶Tiに含まれない。
ここで酸可溶Tiとは、鋼板を酸に溶解した際に溶解可能なTiである。具体的には、加熱した20質量%硫酸に鋼を溶解させた際に、20質量%硫酸に溶解したTiを指す。鋼中に固溶しているTiや、炭化物、窒化物、硫化物などの金属間化合物として存在するTiがこれにあたる。一方Tiの酸化物は酸に溶解しないため酸化物として存在するTiは酸可溶Tiに含まれない。
本発明においては、Mn含有量が高くS含有量が低いため、SはほとんどMnSとして観察される。従って、Tiの化合物は、ほとんどが炭化物、窒化物、酸化物として観察される。一方、C、Nの化合物は、ほとんどがTi化合物であり、それ以外はFe中に固溶しているため、酸可溶Ti含有量を制御することで固溶C量+固溶N量の値を制御することが可能であることを見出した。
BH性は、固溶C量+固溶N量の値が大きいほど大きくなるが、固溶C量+固溶N量の値が大きくなりすぎると成型時に降伏点伸び(YP−El)が発生するため、酸可溶Ti含有量を(1)式を満足する範囲とすることが必要となる。
酸可溶Ti含有量が{[%C]×4+[%N]×48/14−0.006%}未満では、鋼中のCの固定が不十分となり、固溶C、固溶Nによって固着された転位に起因するYP−Elが発生しやすくなる。具体的には、人工時効後のYP−Elが0.2%を超えるため、常温非時効性を確保できないため、[%C]×4+[%N]×48/14−0.006%≦[%Ti]とする。
また、酸可溶Ti含有量が{[%C]×4+[%N]×48/14−0.002%}を超えると、鋼中のCが固定され、加工により発生した転位を固着することが難しくなるため、29MPa以上のBHを付与することが困難となることから、[%Ti]≦[%C]×4+[%N]×48/14−0.002%とする。
N:Nは鋼の強度を上昇させる一方で加工性を低下させるので上限は0.004%とし、特に高い加工性を必要とする場合には0.003%以下とすることがより好ましく、0.002%以下とするとさらに好ましい。Nはより少ないほど好ましいが、0.0005%未満に低減することは過剰なコストを要するので、下限含有量は0.0005%とする。
本発明では、筋模様欠陥の発生を抑制する目的で、Cu、Ni、Cr、Mo、Snの一種または二種以上を添加する。鋼中に含まれるCu、Ni、Cr、Mo、Snは、スラブ加熱、あるいは熱間圧延中、あるいは熱間圧延後に形成されるFeO、Fe等を主とする鉄酸化物層(スケール層)内には含まれず、スケール層と鋼板の界面に濃化することにより、筋模様欠陥の発生を抑制する。Cu、Ni、Cr、Mo、Snを添加し、筋模様欠陥の発生が抑制される理由は次の通りである。
1.Cu、Ni、Cr、Mo、Snはスケール/鋼板界面に濃化し、スケール密着性を向上させるため、熱延板のスケール剥離を防止し、スケール剥離に起因する鋼板表面の不均一を抑制することによって、筋模様欠陥を防止する。
2.Cu、Ni、Cr、Mo、Snがスケール/鋼板界面に濃化し、バリヤー層を作ることによって、その後の冷延、焼鈍時の表面へのPの濃化を抑制し、Pの不均一な濃化が原因で発生する筋模様欠陥を防止する。
3.熱延スケール生成時に鋼板表面に濃化したCu、Ni、Cr、Mo、Snは、めっき合金化反応を均質化することにより、反応速度差に起因する筋模様欠陥の発生を抑制する。
筋模様欠陥の発生を抑制する効果は、Cu、Ni、Cr、Mo、Snにおいていずれも0.005%以上の添加で効果が見られる。ただし、これらの元素は高価であり、且つ、0.1%を超えて添加しても効果が飽和するため、添加量の上限を0.1%とする。また、Cu、Ni、Cr、Mo、Snの一種または二種以上を合計で0.3%超添加すると、これら金属の表面濃化による模様が発生するため、添加量の上限を合計で0.3%とする。望ましくはCu、Ni、Cr、Mo、Snの一種または二種以上の添加量の合計をPの添加量の1/2以上5倍以下とする。
本発明では上記に加えて、さらに付加成分として、鋼中のCおよびNを炭化物、窒化物として固定するために、前記のTi添加のもとでNbを添加することができるが、Nb添加によるC、N固定効果を充分発揮させるためには0.002%以上の添加が必要である。Nbを、0.10%を超えて添加しても、もはやその効果は飽和している一方、いたずらにコストが上昇するだけであるので、上限含有量は0.10%とする.過剰なNb添加は鋼板の再結晶温度を上昇させ、溶融亜鉛めっきラインの生産性を低下させるので、0.050%以下とするとより好ましい。
さらに本発明においては、Nbを添加した鋼にBH性を付与する目的で、酸可溶Ti含有量を下記(2)式([%X]は、質量%で表わした合金元素Xの含有量)を満足する範囲とする。
[%C]×4+[%N]×48/14−[%Nb]×48/93−0.006%≦[%Ti]≦[%C]×4+[%N]×48/14−[%Nb]×48/93−0.002%
・ ・ ・(2)
これは、酸可溶Ti含有量を上記の範囲とすると、常温非時効性を確保しつつBH性を付与することが可能となるためである。
酸可溶Ti含有量が{[%C]×4+[%N]×48/14−[%Nb]×48/93−0.006%}未満では、鋼中のCの固定が不十分となり、固溶Cによって固着された転位に起因するYP−Elが発生しやすくなる。具体的には、人工時効後のYP−Elが0.2%を超えるため、常温非時効性を確保できない。
また、酸可溶Ti含有量が{[%C]×4+[%N]×48/14−[%Nb]×48/93−0.002%}を超えると、鋼中のCが固定され、加工により発生した転位を固着することが難しくなるため、29MPa以上のBHを付与することが困難となる。
本発明においてはさらに、鋼板に付加成分として、Bを0.0002〜0.003%含有させることができるが、これは2次加工性の改善を目的としている。Bの含有量が0.0002%未満では2次加工性改善効果が充分ではなく、0.003%を超えて添加してももはやその効果は飽和しているのに加えて、成形性が低下するので、Bを添加する場合にはその範囲は0.0002〜0.003%とする。特に高い深絞り性を必要とする場合には、Bの添加量は0.0015%以下とするとより好ましい。
本発明においてはさらに、鋼板に付加成分として、Ce、La、Nd、Pr、Smの一種または二種以上を合計で0.0001〜0.01%添加することができる。Ce、La、Nd、Pr、Smは、脱酸に用いる元素であり、一種または二種以上を合計で0.0001〜0.01%添加することにより、Alの添加量を減らすことが可能となる。Pを添加した低炭素鋼では、アルミナ系介在物を生成し易くなり、アルミナクラスターの量が非常に多くなるため、Ce、La、Nd、Pr、Smの一種または二種以上を合計で0.0001〜0.01%添加し、Alの添加量を減らすことにより、アルミナクラスターに起因する表面欠陥を抑制し、良好な外観を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることが可能となる。Alの添加量を減らして鋼の脱酸を行うためには、Ce、La、Nd、Pr、Smの一種または二種以上の添加量は0.0001%以上必要である。Ce、La、Nd、Pr、Smの一種または二種以上を0.0001%以上添加することにより、Alの添加量は0.008%以下とすることが可能となり、アルミナクラスターの粗大化を防止することができる。ただし、0.01%を超えるとコスト高となるばかりか、これらの金属の酸化物が鋼板中の介在物となり、プレス加工後の表面欠陥の原因となりやすくなるため添加量は合計で0.01%以下とする。
Ce、La、Nd、Pr、Smの添加は、単体金属で行うことも可能であるが、ミッシュメタル等のCe、La、Nd、Pr、Smを含む合金で添加することも可能である。
本発明では鋼板中のOは特に限定しないが、Oは酸化物系介在物を生成して鋼の加工性や耐食性、外観を損なうので、0.007%以下とすることが望ましく、少ないほど好ましい。
本発明の鋼板には上記の成分の他に、鋼板自体の耐食性や熱間加工性を一段と改善する目的で、あるいはスクラップ等副原料からの不可避不純物として、他の合金元素を含有することも可能であり、他の合金元素を含有したとしても本発明の範囲を逸脱するものではない.かかる合金元素として、W、Co、Ca、Y、V、Zr、Ta、Hf、Pb、Zn、Mg、Ta、As、Sb、Biが挙げられる。
本発明においては、前記合金化溶融亜鉛めっき用鋼板にAl:0.05〜0.5質量%、Fe:7〜15質量%を含有し、さらに、
Cu:0.001〜0.1質量%、
Ni:0.001〜0.1質量%、
Cr:0.001〜0.1質量%、
Mo:0.001〜0.1質量%、
Sn:0.001〜0.1質量%
の内、一種または二種以上を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる合金化溶融亜鉛めっき層を形成させる。
本発明において合金化溶融亜鉛めっき層のAl組成を0.05〜0.5質量%に限定した理由は、0.05質量%未満では合金化処理時においてZn―Fe合金化が進みすぎ、地鉄界面に脆い合金層が発達しすぎてめっき密着性が劣化するためであり、0.5質量%を超えるとFe−Al−Zn系バリア層が厚く形成され過ぎ合金化処理時において合金化が進まないため目的とする鉄含有量のめっきが得られないためである。望ましくは0.1〜0.3質量%である。
また、Fe組成を7〜15質量%に限定した理由は、7質量%未満だとめっき表面に柔らかいZn−Fe合金が形成されプレス成形性を劣化させるためであり、15質量%を超えると地鉄界面に脆い合金層が発達し過ぎてめっき密着性が劣化するためである。望ましくは9〜12質量%である。
さらに、本発明では、筋模様欠陥の発生を抑制する目的で、合金化溶融亜鉛めっき層中に、Cu、Ni、Cr、Mo、Snの一種または二種以上を含有させる。鋼中に含まれるCu、Ni、Cr、Mo、Snは、スラブ加熱、あるいは熱間圧延中、あるいは熱間圧延後に形成されるFeO、Fe等を主とする鉄酸化物層内には含まれず、スケール層(鉄酸化層)と鋼板の界面に濃化することにより、筋模様欠陥の発生を抑制する。Cu、Ni、Cr、Mo、Snを添加し、筋模様欠陥の発生が抑制される理由は次の通りである。
1.Cu、Ni、Cr、Mo、Snはスケール/鋼板界面に濃化し、スケール密着性を向上させるため、熱延板のスケール剥離を防止し、スケール剥離に起因する鋼板表面の不均一を抑制することによって、筋模様欠陥を防止する。
2.Cu、Ni、Cr、Mo、Snがスケール/鋼板界面に濃化し、バリヤー層を作ることによって、その後の冷延、焼鈍時の表面へのPの濃化を抑制し、Pの不均一な濃化が原因で発生する筋模様欠陥を防止する。
3.熱延スケール生成時に鋼板表面に濃化したCu、Ni、Cr、Mo、Snは、めっき合金化反応を均質化することにより、反応速度差に起因する筋模様欠陥の発生を抑制する。
即ち、筋模様欠陥は熱延、冷延、焼鈍時の鋼板表面の不均一が原因でめっき合金化反応に差異が生じ、めっき付着量やめっき層中Fe含有量に僅かな差が生じ、外観の差として現れた現象であると考えられる。
従って、熱間圧延後、スケール層と鋼板の界面に濃化したCu、Ni、Cr、Mo、Snの一種または二種以上が、冷延、焼鈍後も鋼板表面に残存し、めっき、及び合金化の過程でめっき層中に拡散することにより、外観の良好な合金化融亜鉛めっき鋼板を得ることが可能となる。
筋模様欠陥の発生を抑制する効果は、Cu、Ni、Cr、Mo、Snにおいていずれも、めっき層中に0.001%以上含有させることで効果が見られる。ただし、これらの元素は高価であり、且つ、0.15%を超えて添加しても効果が飽和するため、めっき層中の含有量の上限を0.15%とする。また、鋼板中の添加量が少ない元素をFe組成が7〜15質量%のめっき層に0.15%を超えて含有させるためには、めっき層に拡散するFe中に多量に濃化させることが必要となるが、そのためにはスケール生成、スケール除去に多大なコストが生じるため、めっき層中の含有量は鋼板添加量とめっき層中Fe組成の積の2倍から50倍が望ましい。
次に、合金化溶融亜鉛めっき層について述べる。本発明において、合金化溶融亜鉛めっき層とは、合金化反応によってZnめっき中に鋼中のFeが拡散しできたFe−Zn合金を主体としためっき層のことである。このめっき層はFeの含有率の違いにより、ζ相、δ相、Γ相と呼ばれる合金層が形成される。この内、ζ相はめっきが軟らかくプレス金型と凝着しやすいため摩擦係数が高く、厳しいプレスを行った時に板破断を起こす原因となりやすい。また、Γ相は硬くて脆いため、加工時にパウダリングと呼ばれるめっき剥離を起こしやすい。従って、ζ相、Γ相を限りなく少なくし、めっき層をδ相とすることにより、プレス加工性とめっき密着性を向上させることができる。ここで、めっき層中にはΓ相と呼ばれる硬くて脆い相も存在することが知られているが、X線回折強度からはΓ相とΓ相を区別することができないため、Γ相とΓ相を合わせてΓ相として取り扱う。
具体的には、ζ相、Γ相を示すd=1.26、d=1.222のX線回折強度Iζ、IΓとSi標準板のd=3.13のX線回折強度ISiとの比Iζ/ISi、IΓ/ISiを、Iζ/ISi≦0.004、IΓ/ISi≦0.004とする。
Iζ/ISiを0.004以下に限定した理由は、Iζ/ISiが0.004以下ではζ相は極微量であり、プレス加工性の低下が見られないためである。
また、IΓ/ISiを0.004以下に限定した理由は、IΓ/ISiが0.004以下ではΓ相は極微量であり、めっき密着性の低下が見られないためである。
本発明鋼板の製造工程としては、通常の熱延鋼板(ホットストリップ)、あるいは冷延鋼板(コールドストリップ)の製造工程を適用して製造すればよい。
本発明鋼板は、通常の溶融亜鉛めっき鋼板製造ラインに適用して、加工性・成形性とめっき密着性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができるので、製造プロセスに対する制約は特に無い。コスト、生産性を考慮して、適宜プロセスを選択すれば良い。
本発明鋼板は、溶融亜鉛めっき浴中あるいは亜鉛めっき中にPb、Sb、Si、Mg、Mn、Co、Ca、Li、Ti、Be、Bi、希土類元素の1種または2種以上を含有、あるいは混入してあっても本発明の効果を損なわず、その量によっては耐食性が改善される等好ましい場合もある。合金化溶融亜鉛めっきの付着量については特に制約は設けないが、耐食性の観点から20g/m以上、経済性の観点から150g/m以下で有ることが望ましい。
本発明において、めっき鋼板の製造方法については特に限定するところはなく、通常の無酸化炉方式の溶融めっき法が適用できる。合金化処理条件については特に定めないが、処理温度460〜550℃、処理時間5〜60秒の範囲が実際の操業上適切である。
また、本発明において鋼板の板厚は本発明に何ら制約をもたらすものではなく、通常用いられている板厚であれば本発明を適用することが可能である。さらに、本発明鋼板は通常のプロセスで製造される冷延鋼板、熱延鋼板のいずれであってもその効果は充分に発揮されるものであり、鋼板の履歴によって効果が大きく変化するものではない。また、熱間圧延条件、冷間圧延条件、焼鈍条件等は鋼板の寸法、必要とする強度に応じて所定の条件を選択すれば良く、熱間圧延条件、冷間圧延条件、焼鈍条件等によって本発明鋼板の効果が損なわれるものではない。
当然のことながら、本発明鋼板を使用して得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板上に、塗装性、溶接性を改善する目的で、各種の上層めっき、特に電気めっき、を施すことも勿論可能であり、本発明を逸脱するものではない。また、本発明の方法で得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板上に、各種の処理を付加して施すことも勿論可能であり、例えば、クロメート処理、りん酸塩処理、りん酸塩処理性を向上させるための処理、潤滑性向上処理、溶接性向上処理、樹脂塗布処理、等を施したとしても、本発明の範囲を逸脱するものではなく、付加して必要とする特性に応じて、各種の処理を施すことができる。
本発明鋼板は、引張強度が300N/mm以上を満足する性能を持つ高強度鋼板(300、340、400、440N/mm級)である.
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
表1に示す組成からなるスラブを1100℃に加熱し、仕上温度920〜940℃で4mmの熱間圧延鋼帯とし、680〜720℃で巻き取った。酸洗後、冷間圧延を施して0.8mmの冷間圧延鋼帯とした後、ライン内焼鈍方式の連続溶融亜鉛めっき設備を用いて、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。
めっきに際しては、焼鈍雰囲気は5%水素+95%窒素混合ガスとし、焼鈍温度は780〜820℃、焼鈍時間は90秒とした。溶融亜鉛浴はAlを0.12%含有する溶融亜鉛とし、ガスワイパーで亜鉛の目付量を50g/mに調整した。合金化の加熱は誘導加熱方式の加熱設備を使用し、合金化溶融亜鉛めっき中のFe含有量が11〜12.5%となるようにした。このようにして得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき中のAl含有量は0.15〜0.25%であった。
また、得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層のX線回折強度測定結果は、d=1.26、d=1.222のX線回折強度Iζ、IΓとSi標準板のd=3.13のX線回折強度ISiとの比、Iζ/ISi、IΓ/ISiが、Iζ/ISi≦0.004、IΓ/ISi≦0.004であった。
加工性の指標としては、各合金化溶融亜鉛めっき鋼板の引張試験を行なって、引張強度、伸びおよびランクフォード値(r値;0゜、45゜、90゜の平均r値)を測定した.引張強度は340MPa以上を合格とした。
BH性は、まず圧延方向に2%の引張予歪を加え、一旦除荷し、170℃で20分間の塗装焼付相当の熱処理を施してから、再度引張試験を行い、このときの降伏応力の上昇量を求めることで評価し、29MPa以上を合格とした。
常温非時効性は、100℃×1hrの人工時効後のYP−Elを測定し、0.2%以下を合格とした。
外観はコイル全長を目視で観察し、筋模様発生状況を以下の分類で評価し、○を合格とした。ここで筋模様とは、めっき合金化反応の差により色調が異なって見える部位を指し、幅1mm以上、長さ100mm以上のものをカウントした。
○:筋模様が混入している部分の長さが全長の0.3%未満のもの、
△:筋模様が混入している部分の長さが全長の0.3%以上、3%未満のもの、
×:筋模様が混入している部分の長さが全長の3%以上のものである。
めっき中のCu、Ni、Cr、Mo、Sn量は、めっきをインヒビター入りの塩酸で溶解した後、さらに王水を加えて完全に溶解し、ICPにより測定して求めた。評価は、めっき層中にCu、Ni、Cr、Mo、Snの一種または二種以上の含有量を以下の分類で評価し、○を合格とした。
○:含有量が0.001%以上、0.15%以下のもの、
△:含有量が0.15%超のもの、
×:含有量が0.001%未満のものである。
結果を表1に示す。番号42、43、44はCu、Ni、Cr、Mo、Snの添加量が本発明の範囲外であるため、筋模様が発生し、外観が不合格となった。番号45はPの添加量が本発明の範囲外であるため、引張強度が不充分であった。番号46、47はP、Mnの添加量が本発明の範囲外であるため、引張強度が不充分であった。また、番号45、46、47はPの添加量が本発明の範囲外であるため、Cu、Ni、Cr、Mo、Snの添加の有無が外観に影響しない。
これら以外の本発明品は、外観が優れ、BH性を有するP含有高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板であった。
Figure 2009132972
[実施例2]
表2に示す組成からなるスラブを1100℃に加熱し、仕上温度920〜940℃で4mmの熱間圧延鋼帯とし、680〜720℃で巻き取った。酸洗後、冷間圧延を施して0.8mmの冷間圧延鋼帯とした後、ライン内焼鈍方式の連続溶融亜鉛めっき設備を用いて、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。
めっきに際しては、焼鈍雰囲気は5%水素+95%窒素混合ガスとし、焼鈍温度は780〜820℃、焼鈍時間は90秒とした。溶融亜鉛浴はAlを0.12%含有する溶融亜鉛とし、ガスワイパーで亜鉛の目付量を50g/mに調整した。合金化の加熱は誘導加熱方式の加熱設備を使用し、合金化溶融亜鉛めっき中のFe含有量が11〜12.5%となるようにした。このようにして得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき中のAl含有量は0.15〜0.25%であった。
また、得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層のX線回折強度測定結果は、d=1.26、d=1.222のX線回折強度Iζ、IΓとSi標準板のd=3.13のX線回折強度ISiとの比、Iζ/ISi、IΓ/ISiが、Iζ/ISi≦0.004、IΓ/ISi≦0.004であった。
加工性の指標としては、各合金化溶融亜鉛めっき鋼板の引張試験を行なって、引張強度、伸びおよびランクフォード値(r値;0゜、45゜、90゜の平均r値)を測定した。引張強度は340MPa以上を合格とした。
BH性は、まず圧延方向に2%の引張予歪を加え、一旦除荷し、170℃で20分間の塗装焼付相当の熱処理を施してから、再度引張試験を行い、このときの降伏応力の上昇量を求めることで評価し、29MPa以上を合格とした。
常温非時効性は、100℃×1hrの人工時効後のYP−Elを測定し、0.2%以下を合格とした。
プレス加工後の表面欠陥は、球頭張り出し試験を行い評価した.試験条件を以下に示す。
・サンプル引き抜き巾:200×200mm
・金型:半径60mmの球頭のポンチ、ビード付きダイス
・押しつけ荷重:60t
・張り出し速度:30mm/min
・塗油:防錆油塗布
表面欠陥の評価は、球頭張り出し試験を1000枚行い、以下の分類で評価し、○を合格とした。
○:非金属介在物起因の割れ発生率が0.5%未満のもの、
△:非金属介在物起因の割れ発生率が0.5%以上、3%未満のもの、
×:非金属介在物起因の割れ発生率が3%以上のものである。
外観はコイル全長を目視で観察し、筋模様発生状況を以下の分類で評価し、○を合格とした。ここで筋模様とは、めっき合金化反応の差により色調が異なって見える部位を指し、幅1mm以上、長さ100mm以上のものをカウントした。
○:筋模様が混入している部分の長さが全長の0.3%未満のもの、
△:筋模様が混入している部分の長さが全長の0.3%以上、3%未満のもの、
×:筋模様が混入している部分の長さが全長の3%以上のものである。
めっき中のCu、Ni、Cr、Mo、Sn量は、めっきをインヒビター入りの塩酸で溶解した後、さらに王水を加えて完全に溶解し、ICPにより測定して求めた。評価は、めっき層中にCu、Ni、Cr、Mo、Snの一種または二種以上の含有量を以下の分類で評価し、○を合格とした。
○:含有量が0.001%以上、0.15%以下のもの、
△:含有量が0.15%超のもの、
×:含有量が0.001%未満のものである。
結果を表2に示す。番号26は、Ce、Laの添加量が0.0001%以下であり、Alの添加量が多いため、アルミナクラスターが増加しプレス加工後の表面欠陥が不合格となると共に、Cu、Ni、Cr、Mo、Snの添加量が本発明の範囲外であるため、筋模様が発生し、外観が不合格となった。番号27はCu、Ni、Cr、Mo、Snの添加量が本発明の範囲外であるため、筋模様が発生し、外観が不合格となった。番号28はPの添加量が本発明の範囲外であるため、引張強度が不充分であった。番号29、30はP、Mnの添加量が本発明の範囲外であるため、引張強度が不充分であった。また、番号28、29、30はPの添加量が本発明の範囲外であるため、Cu、Ni、Cr、Mo、Snの添加の有無が外観に影響しない。
また、番号24は、Ce、Laの添加量が0.01以上であるため、REM酸化物がクラスターとなりプレス加工後の表面欠陥が不合格となったが、外観は合格であった。番号25は、Ce、Laの添加量が0.0001%以下であり、Alの添加量が多いため、アルミナクラスターが増加しプレス加工後の表面欠陥が不合格となったが、外観は合格であった。
これら以外の本発明品は、プレス加工後の表面欠陥の発生が抑制され、外観が優れ、BH性を有するP含有高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板であった。
Figure 2009132972
[実施例3]
表3に示す組成からなるスラブを1100℃に加熱し、仕上温度920〜940℃で4mmの熱間圧延鋼帯とし、680〜720℃で巻き取った。酸洗後、冷間圧延を施して0.8mmの冷間圧延鋼帯とした後、CGLの熱サイクル及び雰囲気のシミュレートが可能な縦型溶融めっき装置を用いて、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。めっきに際しては、焼鈍雰囲気は5%水素+95%窒素混合ガスとし、焼鈍温度は800〜840℃、焼鈍時間は90秒とした。溶融亜鉛浴はAlを含有する溶融亜鉛とし、ガスワイピングにより亜鉛の目付量を50g/mに調整した.合金化の加熱は誘導加熱方式の加熱設備を使用し、加熱温度と加熱時間を変化させてFe含有量の異なるめっき鋼板を作製した。めっき浴中のAl濃度も種々変化させ、合金化溶融亜鉛めっき中のAl含有量の異なるめっき鋼板を作製した。
引張強度は、各合金化溶融亜鉛めっき鋼板の引張試験を行なって測定し、引張強度300MPa以上であることを確認した。
めっき中のFe含有量、Al含有量は、めっき層をインヒビター入りの塩酸で溶解し、ICPにより測定した。めっき中のCu、Ni、Cr、Mo、Sn量は、めっきをインヒビター入りの塩酸で溶解した後、さらに王水を加えて完全に溶解し、ICPにより測定して求めた。
X線回折は、ζ相、Γ相を示すd=1.26、d=1.222のX線回折強度Iζ、IΓとSi標準板のd=3.13のX線回折強度ISiとの比Iζ/ISi、IΓ/ISiを測定した。
得られためっき鋼板はプレス成形性とめっき密着性を調査した。
プレス成形性は、プレス加工におけるめっきの摺動性を調べるため、ビード引き抜き試験を行った。試験条件を以下に示す。
・サンプル引き抜き巾:30mm
・金型:片側が肩R1mmRの角ビード(凸部は4×4mm)凸型、反対側が肩R1mmRの凹型
・押しつけ荷重:800、1000kg
・引き抜き速度:200mm/min
・塗油:防錆油塗布
プレス成形性の評価は以下の分類で評価し、◎と○を合格とした。
◎:押しつけ荷重1000kgで引き抜けたもの、
○:押しつけ荷重800kgで引き抜けたが、荷重1000kgでは破断したもの、
×:押しつけ荷重800kgで破断したものである。
めっき密着性は、あらかじめ圧縮側に密着テープ(セロハンテープ)を貼った試験片を曲げ角度が60゜となるようにV字状に試験片を曲げ、曲げ戻し後に密着テープをはがして、剥離しためっきの幅を測定し、以下の分類で評価し、◎と○を合格とした。
◎:めっき層の剥離幅が1.5mm以下のもの、
○:めっき層の剥離幅が1.5mm超、3mm以下のもの、
△:めっき層の剥離幅が3mm超、5mm以下のもの、
×:めっき層の剥離幅が5mm超のものである。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、コイルの長手方向と幅方向の異なる場所について、各n数10枚作製し、外観を評価した。外観は、めっき合金化反応の差により色調が異なって見える部位(模様)が発生したサンプル数を以下の分類で評価し、○を合格とした。
○:模様が混入しているサンプル数が0のもの、
△:模様が混入しているサンプル数が1または2のもの、
×:模様が混入しているサンプル数が3以上のものである。
評価結果は表4に示す通りである。番号1、26はめっき中のFe%、Iζ/ISiが本発明の範囲外であるため、プレス成形性が不合格となった。番号5、30はめっき中のFe%、IΓ/ISiが本発明の範囲外であるため、めっき密着性が不合格となった。番号6、31はめっき中のAl%、IΓ/ISiが本発明の範囲外であるため、めっき密着性が不合格となった。
これら以外の本発明品は、プレス成形性とめっき密着性が優れたP含有高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板であった。
Figure 2009132972
Figure 2009132972

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.0001〜0.015%、
    Si:0.001〜0.45%、
    Mn:0.20%以上、
    P:0.02%以上、
    S:0.015%以下、
    Al:0.0005〜0.05%
    Ti:0.002〜0.10%、
    N:0.0005〜0.004%、
    を含有し、さらに、
    Cu:0.005〜0.1%、
    Ni:0.005〜0.1%、
    Cr:0.005〜0.1%、
    Mo:0.005〜0.1%、
    Sn:0.005〜0.1%
    の内、一種または二種以上を合計で0.3%以下含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼板の酸可溶Ti含有量が、下記(1)式([%X]は、質量%で表わした合金元素Xの含有量)で与えられる条件を満足することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき用鋼板。
    [%C]×4+[%N]×48/14−0.006%≦[%Ti]≦[%C]×4+[%N]×48/14−0.002% ・ ・ ・(1)
  2. 質量%で、
    C:0.0001〜0.015%、
    Si:0.001〜0.45%、
    Mn:0.20%以上、
    P:0.02%以上、
    S:0.015%以下、
    Al:0.0005〜0.05%以下、
    Ti:0.002〜0.10%、
    Nb:0.002〜0.10%、
    N:0.0005〜0.004%、
    を含有し、さらに、
    Cu:0.005〜0.1%、
    Ni:0.005〜0.1%、
    Cr:0.005〜0.1%、
    Mo:0.005〜0.1%、
    Sn:0.005〜0.1%
    の内、一種または二種以上を合計で0.3%以下含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼板の酸可溶Ti含有量が、下記(2)式([%X]は、質量%で表わした合金元素Xの含有量)で与えられる条件を満足することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき用鋼板。
    [%C]×4+[%N]×48/14−[%Nb]×48/93−0.006%≦[%Ti]≦[%C]×4+[%N]×48/14−[%Nb]×48/93−0.002%
    ・ ・ ・ (2)
  3. 鋼板が付加成分としてさらに、質量%で、B:0.0002〜0.003%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の合金化溶融亜鉛めっき用鋼板。
  4. 鋼板が付加成分としてさらに、質量%で、Ce、La、Nd、Pr、Smの一種または二種以上を合計で0.0001〜0.01%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の合金化溶融亜鉛めっき用鋼板。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の合金化溶融亜鉛めっき用鋼板にAl:0.05〜0.5質量%、Fe:7〜15質量%を含有し、さらに、
    Cu:0.001〜0.15質量%、
    Ni:0.001〜0.15質量%、
    Cr:0.001〜0.15質量%、
    Mo:0.001〜0.15質量%、
    Sn:0.001〜0.15質量%
    の内、一種または二種以上を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる合金化溶融亜鉛めっき層を形成させた外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  6. 請求項5に記載の合金化溶融亜鉛めっき用鋼板のめっきのd=1.26、d=1.222のX線回折強度Iζ、IΓとSi標準板のd=3.13のX線回折強度ISiとの比Iζ/ISi、IΓ/ISiが、Iζ/ISi≦0.004、IΓ/ISi≦0.004であることを特徴とする外観に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
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