JP3330333B2 - 表面外観の良好な溶融Zn系めっき鋼板 - Google Patents

表面外観の良好な溶融Zn系めっき鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面外観の良好な
溶融Zn系めっき鋼板に関する。詳細には、白錆や;更
には、スパングル、ドロス付着またはさざ波状模様に基
づく表面外観の低下が抑えられ、表面外観に優れた溶融
Zn系めっき鋼板に関するものである。尚、本発明で対
象とする溶融Zn系めっき鋼板には、Al等の他の成分
を必須的に含む溶融Zn系めっき鋼板の他、純Znから
なる溶融Znめっき鋼板も本発明の範囲内に包含され
る。
【0002】
【従来の技術】鋼板の耐食性を改善して長寿命化を図る
為に、素鋼板表面に溶融Znめっきを施すことが汎用さ
れており、こうして得られた溶融Znめっき鋼板は、建
築材料、電化製品、自動車、鉄道車両等幅広い用途に使
用されている。
【0003】近年、溶融Znめっき鋼板の使用環境が多
様化するに伴い、海岸地帯等の如く海塩粒子の影響を大
きく受ける場所や、重工業地帯等の如く酸性雨等の影響
を受ける場所等の様に、過酷な環境下で長期間の使用を
余儀なくされる場合がある。かかる環境下においては、
通常の溶融Znめっきを施した溶融Znめっき鋼板を使
用したのでは充分な耐食性を発揮することは困難であ
り、より耐食性の優れた鋼板が要求されてきた。
【0004】こうした要求特性に応え、溶融Znめっき
鋼板の耐食性を更に向上させるべく鋭意研究され、得ら
れたのが溶融Zn−5%Al系合金めっき鋼板および溶
融Zn−55%Al合金めっき鋼板の2種類の溶融Zn
系めっき鋼板である。これらの鋼板は、既に実用化さ
れ、使用量も年々増加している。このうち、特に溶融Z
n−5%Al系合金めっき鋼板は、その性質が比較的純
Znめっき鋼板に類似しており、製造方法も比較的容易
であり、しかも費用も安い等の理由から、溶融Znめっ
き鋼板の代替鋼板として汎用されている。
【0005】上記の各種溶融Zn系めっき鋼板は、連続
溶融めっきラインにより、以下の様にして製造されるの
が一般的である。まず、連続溶融めっきライン中の焼鈍
炉で鋼板を焼鈍し、鋼板表面を還元・活性化した後、非
酸化性雰囲気のまま、Zn系めっき浴に浸漬・引出しを
行う。その後、ガスワイピングを行ってめっき付着量を
コントロールした後、引続き、スプレー冷却により鋼板
を冷却して所望の溶融Zn系めっき鋼板を得る。尚、め
っき表面品質を調整する為、めっき後にスキンパス(S
KP)圧延を実施する場合がある。また、めっき初期の
耐食性を更に向上し、白錆発生の防止を目的として、め
っき層表面にクロメート処理を施すことも多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この様にして得られる
溶融Zn系めっき鋼板を前述した各種用途に使用する為
には、その表面外観品質が良好であることが非常に重要
である。
【0007】しかしながら、溶融Zn系めっき鋼板の製
造においては、溶融めっきに特有の表面外観のばらつき
や欠陥が発生することが知られている。
【0008】例えば溶融Zn系めっき鋼板のめっき層に
は、スパングルと呼ばれる結晶模様が存在する。スパン
グルの大きさはめっき層の種類によって異なり、溶融Z
nめっきでは約1mm径以下、溶融Zn−5%Al合金
めっきでは約1〜10mm径、溶融Zn−55%Al合
金めっきでは約2mm径以下である。このスパングルサ
イズは、めっき層の種類のみならず、めっき層凝固時の
鋼板冷却速度によっても変化する。めっき浴から引出し
た鋼板は、通常、前述したスプレー冷却を実施するが、
その際、めっき層凝固時の冷却速度を均一にすることが
できず、板幅方向にスパングルサイズが異なる為、これ
が外観ムラを招く原因となる。
【0009】また、溶融Zn系めっきでは、めっき浴中
や浴上に、Znの酸化物、Znが浴中のAlと反応して
生成したZn−Al系金属間化合物、またはZnが鋼板
から浴中に溶出したFeと反応して生成したZn−Fe
系金属間化合物がドロスとして存在する。これらのドロ
スが鋼板に付着したまま浴から引上げられた場合には、
めっき層凝固後に、粒状若しくは斑点状の外観欠陥が生
じる。特に、Zn−Al系合金めっき鋼板はドロス生成
量が多い為、ドロス付着による外観欠陥が生じ易い。
【0010】更に、めっき浴から引出された鋼板上で、
溶融状態のめっき層が凝固するまでの間に下方に流れ落
ちると、これがさざ波状の模様を形成し、外観品質を低
下させる場合がある。特に、めっき付着量が多い場合に
上記さざ波状模様は発生し易い。
【0011】以上の様に、溶融Zn系めっき鋼板の製造
においては、溶融めっきに特有の表面外観のばらつきや
欠陥が発生する。その為、めっき後に前記SKP圧延を
実施し、表面外観を調整することが多いが、SKP圧延
の実施のみでは、発生した種々の欠陥を目視で識別でき
なくなる程度にまで軽減させることはできないのが現状
である。
【0012】一方、溶融Zn系めっき鋼板は、表面に塗
装を施さず、めっきままの状態で使用されることが多
い。その場合、初期の白錆発生を抑制する為に、通常、
めっき層表面にクロメート処理が施されるが、一定期間
使用すると、めっき層表面に白錆が発生する様になる。
めっき層表面に白錆が発生したとしても、めっき層は素
地鋼板に対して犠牲防食能を発揮し、めっき鋼板は引続
き良好な耐食性を示す為、品質特性に問題はないが、外
観品質が低下する為、あたかも品質特性まで低下した印
象を顧客に与えることから、この様な白錆発生に基づく
外観不良も抑えることが必要である。特に、白錆が鋼板
の全面に均一に発生せず、使用部位における腐食環境の
違いにより白錆が部分的に発生した場合には、周囲との
コントラストで白錆発生が目立つ様になり、外観品質が
特に問題となる。
【0013】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、白錆発生に基づく表面外観の低下;
更には、スパングル、ドロス付着またはさざ波状模様に
基づく表面外観の低下を抑制し得、表面外観に優れた溶
融Zn系めっき鋼板を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し得た本
発明に係る表面外観の良好な溶融Zn系めっき鋼板は、
素鋼板表面に溶融Zn系めっき層が形成された溶融Zn
系めっき鋼板であり、JIS−Z−8729によるめっ
き層表面の明度を70以上に高めることにより白錆発生
に基づく表面外観の低下を抑制したもの、更には、JI
S−Z−8741の60度鏡面光沢度測定方法によるめ
っき層表面の光沢度を100以下に抑制することにより
スパングル、ドロス付着またはさざ波状模様に基づく表
面外観の低下をも抑制したものであるところに要旨を有
する。
【0015】上記溶融Zn系めっき鋼板において、めっ
き層が、Alを60重量%以下(0%を含む)含有し、
残部が実質的にZnである溶融Zn系めっき層(溶融Z
n−Al系合金めっき層)であるものは好ましい態様で
ある。尚、耐食性を考慮すれば、Alの含有量は3重量
%以上であることが推奨される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明者らは、溶融Zn系めっき
鋼板に特有の表面欠陥、即ち、白錆発生に基づく外観不
良を目立たなくし、更には、スパングルサイズのばらつ
きによる板幅方向の外観ムラ、ドロス付着に基づく粒状
または斑点状の外観不良、さざ波状模様による外観低下
を目立たなくして外観品質を向上させるべく鋭意検討し
てきた。その結果、白錆に関しては、明度を70以上に
高めることにより、白錆発生に基づく外観不良の低下が
抑えられること;スパングル、ドロス付着、さざ波状模
様に基づく外観不良の低下については、光沢度を100
以下に制御することが有効であることを見出し、本発明
を完成した。
【0017】この様に本発明は、溶融Zn系めっき鋼板
特有の表面欠陥に基づく外観不良を明度および光沢度と
の関係でとらえたところに最大の特徴を有するものであ
り、明度を70以上に高めれば、白錆発生に基づく表面
外観の低下を抑制することができるという『明度と、白
錆発生に基づく表面外観低下との関係』、更には、光沢
度を100以下に制御すれば、スパングル、ドロス付
着、さざ波状模様に基づく表面外観の低下が抑えられる
という『光沢度と、スパングル、ドロス付着、さざ波状
模様による表面外観低下との関係』については新規であ
る。
【0018】尚、光沢度に関しては、特開平10−88
310に「光沢度を100以下に抑制することにより眩
しさを抑えた溶融Zn系めっき鋼板」が開示されてい
る。また、上記公報と同様、眩しさを抑えた溶融Zn系
めっき鋼板の提供を目的として、特開平9−78216
には、溶融Znめっき後の溶融状態時の溶融Znめっき
面に水滴を水量密度50cc/m2 以上で吹き付けるこ
とにより、表面を粗面化したZnめっき層を鋼板表面に
形成せしめ、光沢度を小さくする方法が開示されてい
る。更に特開平8−60328には、純Znめっき鋼板
を対象に、スプレー照射開始時の板温を425℃以上と
することにより、表面に微細な凹凸を形成せしめ、光沢
度を小さくする方法が開示されている。
【0019】しかしながら、上記公報はいずれも、耐眩
性の向上を目的として光沢度を制御しようというもので
あり、本発明の如く、溶融Zn系めっき鋼板特有のスパ
ングル等に基づく表面外観低下の抑制を目的として光沢
度を制御しようという技術的思想は全くない。更には、
溶融Zn系めっき鋼板の分野において、明度を指標とし
て開示されたものは従来知られておらず、明度と白錆発
生に基づく表面外観の低下との関係を明らかにしたもの
は勿論本発明によって始めて開示されたものである。従
って、上記公報と本発明とは、技術的思想が明らかに相
違するものであり、明瞭に区別される。
【0020】まず、本発明における「光沢度と、スパン
グル、ドロス欠陥、さざ波状模様に基づく表面外観」と
の関係について説明する。
【0021】本発明者らは、連続溶融めっきラインでめ
っき後のスプレー冷却条件を種々変化させて溶融Zn系
めっきを実施し、得られためっき鋼板の表面外観を調べ
た。その結果、上述したスパングルサイズのばらつきに
よる板幅方向の外観ムラ、ドロス付着やさざ波状模様に
基づく外観不良を目立たなくして外観品質を向上させる
為には、JIS−Z−8741の60度鏡面光沢度測定
方法によるめっき層表面の光沢度を100以下にするこ
とが必要であることがわかった。一般に、溶融Zn系め
っき鋼板の光沢度は高いが、これは、溶融めっき層によ
って素地鋼板の凹凸が平滑化され、また、めっき層の各
結晶粒の凹凸が非常に小さいことによる。その結果、ス
パングルの粒内と粒界、さざ波状模様、ドロス欠陥部で
の偏光や光沢度差が目立ち易くなり、外観ムラや表面欠
陥として識別され易くなるのである。これに対し、本発
明の如く光沢度を100以下に制御すれば凹凸部での偏
光や光沢度差が小さくなり、その結果、外観ムラや表面
欠陥が目立ちにくくなるものと考えられる。
【0022】次に、本発明における「明度と、白錆発生
に基づく表面外観」との関係について説明する。本発明
では、白錆発生に基づく表面外観の低下を抑制する為、
JIS−Z−8729による明度を70以上にすること
が必要である。明度を70以上にすれば、溶融Zn系め
っき鋼板を一定期間使用後たとえ部分的に白錆が発生し
たとしても、めっき層と白錆部の明度差が小さくなる
為、白錆が目立ちにくくなり、結果的に表面外観の低下
を抑えることができるという効果が得られる。
【0023】尚、本発明では、上記光沢度のみを制御す
ることによりスパングル等に基づく表面外観の低下を抑
制した溶融Zn系めっき鋼板も包含されるし、或いは、
明度のみを制御することにより白錆発生に基づく表面外
観の低下を抑制した溶融Zn系めっき鋼板も包含され
る。勿論、光沢度と明度を両方制御することにより上記
表面欠陥に基づく表面外観の低下を抑制し得た溶融Zn
系めっき鋼板は、表面外観に極めて優れたものであり、
この様なものは本発明の最良の態様として包含される。
【0024】この様に本発明の溶融Zn系めっき鋼板
は、めっき層表面の明度及び/又は光沢度を制御したと
ころに最重要ポイントがあり、その他の要件については
特に限定されず、通常の溶融Zn系めっき鋼板において
採用される要件を適宜採用することができる。
【0025】例えば本発明の適用対象である溶融Zn系
めっき鋼板は、めっき層の主成分がZn(純Znも含
む)であれば特に限定されないが、耐食性向上の観点か
ら、めっき層中に3〜60重量%のAlを含む溶融Zn
−Al系合金めっき鋼板であることが好ましい。また、
不めっき部分の発生防止、めっき密着性の向上、耐食性
向上等の目的で、めっき層中に例えばMg,Mn,N
a,Si,ミッシュメタル等を含有することも推奨され
る。要するに、めっき層中に主成分としてZnを含むも
のは全て本発明の範囲内に包含され、溶融Znめっき鋼
板(Znのみ)、Zn−Al系溶融Zn系めっき鋼板等
も含まれるのである。
【0026】尚、本発明の溶融Zn系めっき鋼板におけ
るめっき付着量については特に限定されず、通常の製造
範囲である片面当たり30〜150g/m2 に制御する
ことが好ましい。但し、高度の耐食性が要求される場合
にはめっき付着量を多くすることが有効であり、60g
/m2 以上、より好ましくは100g/m2 以上にする
ことが推奨される。次に、本発明の溶融Zn系めっき鋼
板を製造する方法について説明する。
【0027】本発明では、まず、所定の化学組成からな
るめっき浴に素鋼板を浸漬して引出した後ガスワイピン
グし、引続きスプレー冷却を行うことにより溶融Zn系
めっき鋼板を製造するという通常用いられる方法を採用
することができる。ここで、所望の光沢度・明度を得る
ためには、スプレー冷却条件(開始温度およびスプレー
の水量密度)を適切に制御することが必要である。
【0028】まず、スプレー冷却を開始するに当たって
は、めっき層凝固開始温度以上の板温で行うことが必要
である。これは、めっき層が凝固し始め、その一部が凝
固した後にスプレー冷却を開始したとしても、めっき層
表面の光沢度や明度を適切に調整することができないか
らである。
【0029】尚、上記めっき層凝固開始温度は、溶融Z
nめっきでは約420℃、溶融Zn−5%Al系合金め
っきでは約380℃、溶融Zn−55%Al系合金めっ
きでは約550℃であり、使用するめっき鋼板の種類に
応じて、板温を制御することが推奨される。
【0030】また、スプレーの水量密度は70cc/m
2 以上にする必要がある。スプレーの水量密度とは、単
位時間(分)当たりにスプレー冷却した鋼板の表面積
で、スプレーノズルからスプレーした水量を除した値の
ことである。スプレーされた霧の一部は、めっき層表面
に接触して蒸発気化したり、また、一部は接触した後大
気中に跳ね返ったりするが、本発明では、これらのトー
タルの水量密度が70cc/m2 以上であれば良い。水
量密度が70cc/m2 未満では、めっき層表面の光沢
度や明度を所望範囲に調整できないからである。好まし
くは100cc/m2 以上である。
【0031】この様にスプレー冷却を適切に制御するこ
とによりめっき層表面の光沢度や明度を所望範囲に調整
できるメカニズムは詳細には不明であるが、以下の様に
推定される。スプレーの水量密度が大きくなるに従い、
めっき層表面への霧の衝突エネルギー、或は、接触した
水が蒸発する際の蒸気圧が大きくなるが、この衝突エネ
ルギーや蒸気圧によってめっき層表面に微細な凹凸が形
成される結果、良好な表面外観が得られるものと思料さ
れる。
【0032】尚、めっき層の表面外観を調整する為、め
っき後にダルSKPロールを用いたSKP圧延が実施さ
れているが、この方法を採用したのでは、光沢度は約2
00〜300と依然として高く、一方、明度に関しては
大きな変化はなく、70未満の値のままであることが分
かった(後記する実施例のNo.14及び17を参照)。
【0033】本発明では、水量の上限は特に限定されな
いが、多すぎると、噴霧された霧がノズル周辺の装置に
付着して水滴を形成し、これが浴上に落下するようにな
ることを考慮すれば、好ましくは250cc/m2
下、より好ましくは200cc/m2 以下に制御するこ
とが推奨される。
【0034】また、スプレー粒径も特に限定されない
が、粒径を大きくしすぎると、表面が不均一になる傾向
がある為、300μm以下に制御することが好ましく、
より好ましいのは200μm以下である。
【0035】スプレー方式としては、水をエアー圧で微
霧化する2流体気水スプレーノズル;エアーは供給せ
ず、水自体の圧力を高くして微霧化する高圧スプレーノ
ズルが挙げられるが、上記のスプレー条件を満足するの
であれば、いずれのタイプのノズルを使用しても構わな
い。
【0036】但し、スプレー冷却終了後、めっき層が凝
固を完了するまでの時間は10秒以下に制御することが
推奨される。スプレー直後は、めっき層表面にスプレー
で形成された微細な凹凸が存在するが、溶融状態が続
き、10秒より長い時間が経過した場合には、鋼板から
の熱移動によってめっき層表面が再溶解して平滑化され
る傾向がある為、所望の明度や光沢度を付与できない為
である。
【0037】また、スプレー冷却に用いる冷媒として
は、一般的に水が挙げられるが、本発明で用いられる冷
媒は必ずしも水のみに限定される必要はなく、冷却能力
の向上や結晶核生成促進等の観点から、例えばリン酸水
素アンモニウム、リン酸ナトリウム、塩化アンモニウム
等の各種塩類を水に添加しても構わない。
【0038】更に、一層優れた表面外観を得ることを目
的として、めっき後にSKP圧延を実施したり、或い
は、初期段階における耐白錆性の向上等を目的として、
クロメート処理や樹脂被覆等を実施することも本発明の
範囲に包含される。
【0039】以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述
べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものでは
なく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する
ことは本発明の技術的範囲に包含される。
【0040】
【実施例】連続溶融めっきラインで、表1に示す鋼板を
めっき浴に浸漬して引出した後、ガスワイピングし、引
続きスプレー冷却を行うことにより、溶融Zn系めっき
鋼板を製造した。めっき後には、クロメート処理を実施
した。製造条件の詳細は以下の通りである。
【0041】[めっき条件] ・めっき層中Al濃度:0.2〜5重量%Al ・浴温度 :420〜500℃ ・鋼板板厚 :1.0〜2.3mm ・めっき付着量 :70,150g/m2 [スプレー冷却条件] ・ノズル形式 :高圧スプレーノズル ・水量密度 :20〜300cc/m2 (鋼板表面の単位面積当たり) ・冷媒 :水
【0042】尚、スプレー冷却開始時における板温は接
触式温度計で測定した。また、スプレー後めっき層が凝
固するまでの時間は、めっき層凝固位置を目視観察し、
めっき層凝固高さ、スプレー高さとラインスピードから
計算して求めた。
【0043】この様にして得られためっき鋼板につき、
JIS−Z−8741の60度鏡面光沢度測定方法によ
りめっき層表面の光沢度を測定すると共に、J IS−Z
−8729によりめっき層表面の明度を測定した。
【0044】また、めっき鋼板の表面外観は、溶融めっ
きライン出側で、スパングルに基づく表面外観、ドロス
付着に基づく表面外観、およびさざ波状模様に基づく表
面外観を夫々以下の要領で評価した。
【0045】[スパングル] ○:スパングルの識別が困難 △:スパングルが識別可能 ×:スパングルが目立ちやすい [ドロス付着] ○:ドロスの付着なし ×:ドロスが付着している [さざ波状模様] ○:さざ波が目立ちにくい ×:さざ波が目立ちやすい
【0046】更に、JIS−Z−2371による塩水噴
霧試験を実施し、240時間経過後における白錆発生の
程度を下記基準で判定した。 ○:白錆の発生が目立ちにくい。 ×: 〃 が目立ちやすい。 得られた結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1より以下の様に考察することができ
る。No.1〜9は、光沢度および明度がいずれも本発明
の要件を満足する実施例であるが、スパングル,ドロス
付着,さざ波状模様に基づく表面外観の低下、及び白錆
発生に基づく表面外観の低下が抑えられる結果、表面外
観に優れためっき鋼板が得られる。
【0049】また、No.10〜17はスプレー冷却条件
が適切に制御されていない例であり、No.14及び17
は、明度が本発明の要件を満足する為、白錆の発生は抑
えられるものの、他の例は、明度及び光沢度の双方が本
発明の要件を満足しない為、スパングル等及び白錆発生
に基づく表面外観の低下が見られた。
【0050】また、No.18及び19は、めっき後にス
プレー冷却せずSKP圧延を実施した例であるが、明度
及び光沢度の双方が本発明の要件を満足しない為、やは
り表面外観に劣っている。
【0051】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、め
っき層表面の明度、更には光沢度を所定範囲に制御する
ことにより、白錆発生に基づく表面外観の低下、更に
は、スパングル、ドロス付着またはさざ波状模様に基づ
く表面外観の低下を抑制することができ、表面外観に優
れた溶融Zn系めっき鋼板を提供することができた。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−88310(JP,A) 特開 平9−78216(JP,A) 特開 平10−226861(JP,A) 特開 平7−34259(JP,A) 特開 平9−1735(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素鋼板表面に溶融Zn系めっき層が形成
    された溶融Zn系めっき鋼板であり、JIS−Z−87
    29によるめっき層表面の明度を70以上に高めること
    により白錆発生に基づく表面外観の低下を抑制したもの
    であることを特徴とする表面外観の良好な溶融Zn系め
    っき鋼板。
  2. 【請求項2】 更に、JIS−Z−8741の60度鏡
    面光沢度測定方法によるめっき層表面の光沢度を100
    以下に抑制することによりスパングル、ドロス付着また
    はさざ波状模様に基づく表面外観の低下を抑制したもの
    である請求項1に記載の溶融Zn系めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 前記めっき層は、Alを60重量%以下
    (0%を含む)含有し、残部が実質的にZnである請求
    項1または2に記載の溶融Zn系めっき鋼板。
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