JP3350881B2 - ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂の熱安定化方法 - Google Patents
ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂の熱安定化方法Info
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- JP3350881B2 JP3350881B2 JP2001018991A JP2001018991A JP3350881B2 JP 3350881 B2 JP3350881 B2 JP 3350881B2 JP 2001018991 A JP2001018991 A JP 2001018991A JP 2001018991 A JP2001018991 A JP 2001018991A JP 3350881 B2 JP3350881 B2 JP 3350881B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリカーボネート(P
C)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン
テレフタレート(PET)などのポリカーボネート樹脂やポ
リエステル樹脂あるいはこれらのブレンド、あるいはこ
れらの1つ、又は複数の樹脂に他の熱可塑性樹脂がブレ
ンドされたような熱可塑性樹脂は各種成形行程において
加熱、溶融されるときに熱分解を起こし分子量が低下
し、かつ、機械的性質が低下する。この時の熱分解を防
ぐ樹脂の熱安定化方法に関する。
C)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン
テレフタレート(PET)などのポリカーボネート樹脂やポ
リエステル樹脂あるいはこれらのブレンド、あるいはこ
れらの1つ、又は複数の樹脂に他の熱可塑性樹脂がブレ
ンドされたような熱可塑性樹脂は各種成形行程において
加熱、溶融されるときに熱分解を起こし分子量が低下
し、かつ、機械的性質が低下する。この時の熱分解を防
ぐ樹脂の熱安定化方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】樹脂材料、特にPC、PB
T、PETのようなポリカーボネート樹脂やポリエステル樹
脂は熱溶融における分子量低下が激しく、このため各成
形行程で与えられる熱や混練時のせん断応力によって分
子量が著しく低下していた。従って、製品のリサイクル
はもちろんのこと、成形時に発生するスプルー、ランナ
ーのリサイクルは困難であった。本発明はポリビニルア
ルコールまたはポリエチレングリコールと共重合したタ
ンニン(以下共重合タンニンと略称することがある)を
微量添加し、さらにフタル酸を併せて微量添加するする
ことによって前述した樹脂材料の分子量低下を抑制し、
リサイクル可能な材料とすることができるポリカーボネ
ート樹脂またはポリエステル樹脂の熱安定化方法を提供
することを目的とする。
T、PETのようなポリカーボネート樹脂やポリエステル樹
脂は熱溶融における分子量低下が激しく、このため各成
形行程で与えられる熱や混練時のせん断応力によって分
子量が著しく低下していた。従って、製品のリサイクル
はもちろんのこと、成形時に発生するスプルー、ランナ
ーのリサイクルは困難であった。本発明はポリビニルア
ルコールまたはポリエチレングリコールと共重合したタ
ンニン(以下共重合タンニンと略称することがある)を
微量添加し、さらにフタル酸を併せて微量添加するする
ことによって前述した樹脂材料の分子量低下を抑制し、
リサイクル可能な材料とすることができるポリカーボネ
ート樹脂またはポリエステル樹脂の熱安定化方法を提供
することを目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らはタンニンが
材料に与える影響について鋭意研究を続けた結果、微量
のポリビニルアルコールまたはポリエチレングリコール
と共重合したタンニンが酸触媒として働き、さらに微量
のフタル酸が重合物が熱分解を受けた部分を再重合する
働きを有し、これらを熱可塑性樹脂に添加すると熱可塑
性樹脂の加熱、溶融時の分子量低下を抑制することがで
きることを見出し本発明を完成するに至った。次に本発
明を更に詳細に説明する。
材料に与える影響について鋭意研究を続けた結果、微量
のポリビニルアルコールまたはポリエチレングリコール
と共重合したタンニンが酸触媒として働き、さらに微量
のフタル酸が重合物が熱分解を受けた部分を再重合する
働きを有し、これらを熱可塑性樹脂に添加すると熱可塑
性樹脂の加熱、溶融時の分子量低下を抑制することがで
きることを見出し本発明を完成するに至った。次に本発
明を更に詳細に説明する。
【0004】本発明で用いられるタンニンは、タンニン
酸類、カテキン類、ロイコアントシアン類、クロロゲン
酸類を包括する多価フェノールと呼ばれ、広く自然界の
植物に含まれる。大きく分けてタンニン酸やカテキンに
は加水分解型と縮合型の2種類に分けられるが、いずれ
も天然化合物であるため構造の異なる化合物が多数存在
する。加水分解型タンニンにはチャイナタンニン、エラ
グタンニン、カフェ酸やキナ酸等のデプシドからなるク
ロロゲン酸などがあり、このうちチャイナタンニンは没
食子酸、およびその誘導体がエステル結合をしたもので
ある。一方の縮合型タンニンには、ケプラコタンニン、
ワットルタンニン、ガンビルタンニン、カッチタンニ
ン、ミロバランタンニンなどがあり、更にカテキン類、
ロイコアントシアンやロイコアントシアニジン類がある
(村上孝夫、岡本敏彦:天然物科学,98頁(1983)廣川書
店刊)。
酸類、カテキン類、ロイコアントシアン類、クロロゲン
酸類を包括する多価フェノールと呼ばれ、広く自然界の
植物に含まれる。大きく分けてタンニン酸やカテキンに
は加水分解型と縮合型の2種類に分けられるが、いずれ
も天然化合物であるため構造の異なる化合物が多数存在
する。加水分解型タンニンにはチャイナタンニン、エラ
グタンニン、カフェ酸やキナ酸等のデプシドからなるク
ロロゲン酸などがあり、このうちチャイナタンニンは没
食子酸、およびその誘導体がエステル結合をしたもので
ある。一方の縮合型タンニンには、ケプラコタンニン、
ワットルタンニン、ガンビルタンニン、カッチタンニ
ン、ミロバランタンニンなどがあり、更にカテキン類、
ロイコアントシアンやロイコアントシアニジン類がある
(村上孝夫、岡本敏彦:天然物科学,98頁(1983)廣川書
店刊)。
【0005】本発明で用いられるタンニンはいずれであ
ってもかまわない。また、タンニン酸はタンニンとも呼
ばれており本発明では特に区別はしない。
ってもかまわない。また、タンニン酸はタンニンとも呼
ばれており本発明では特に区別はしない。
【0006】代表的な加水分解型タンニンであるチャイ
ナタンニンを(1)式に示した。更にチャイナタンニンに
対して述べるならば、没食子酸基10個がブトウ糖残基の
周囲に配座し、更に2つの没食子酸基を垂直方向に結合
させたことが明らかになっている。しかし化合物中心は
必ずしもブドウ糖に限られることもなく、セルローズ型
の化合物であったりもする。また、タンニン酸の加水分
解で得られる(2)式で示した没食子酸のジデプシドなど
も使用することが出来る。このようにタンニン酸は広く
自然界の植物に含まれる化合物であるため、部分的に化
学構造が異なることは容易に類推できる。本発明ではこ
うしたタンニン酸とカテキンなどを区別しないで多価フ
ェノールとしてこれらをすべて包含する意味で用いられ
る。(3)式と(4)式と(5)式に化学構造が異なるタンニン
としてそれぞれカテキン、ケブロタンニン、及びトルコ
タンニンを示した。
ナタンニンを(1)式に示した。更にチャイナタンニンに
対して述べるならば、没食子酸基10個がブトウ糖残基の
周囲に配座し、更に2つの没食子酸基を垂直方向に結合
させたことが明らかになっている。しかし化合物中心は
必ずしもブドウ糖に限られることもなく、セルローズ型
の化合物であったりもする。また、タンニン酸の加水分
解で得られる(2)式で示した没食子酸のジデプシドなど
も使用することが出来る。このようにタンニン酸は広く
自然界の植物に含まれる化合物であるため、部分的に化
学構造が異なることは容易に類推できる。本発明ではこ
うしたタンニン酸とカテキンなどを区別しないで多価フ
ェノールとしてこれらをすべて包含する意味で用いられ
る。(3)式と(4)式と(5)式に化学構造が異なるタンニン
としてそれぞれカテキン、ケブロタンニン、及びトルコ
タンニンを示した。
【0007】なお、染料固定効果や皮の鞣し効果を持つ
多価フェノール化合物を「合成タンニン」、「シンタ
ン」と呼んでいるが、本発明ではこのような合成タンニ
ンの中で本発明で効果的に用いられる化合物も使用する
ことができる。現在タンニンは日用品としてはインク、
医薬用としては止血剤、工業用としては皮の鞣し剤や染
色時の媒染剤として用いられ、最近においては食品添加
剤としても用いられている。
多価フェノール化合物を「合成タンニン」、「シンタ
ン」と呼んでいるが、本発明ではこのような合成タンニ
ンの中で本発明で効果的に用いられる化合物も使用する
ことができる。現在タンニンは日用品としてはインク、
医薬用としては止血剤、工業用としては皮の鞣し剤や染
色時の媒染剤として用いられ、最近においては食品添加
剤としても用いられている。
【0008】本発明で用いられる共重合タンニンは、ポ
リビニルアルコール(PVA)またはポリエチレングリコー
ル(PEG)をそれぞれ水や低級アルコールに溶解させた溶
液を作り、これにタンニンを加えるか、またはタンニン
溶液を加えると、容易に共重合物を作り沈殿する。これ
を濾過して作ることができる。このときPVAやPEG、タン
ニンの溶液の濃度の影響はほとんどないが、PVAやPEGの
分子量は、適切に選定する必要がある。すなわち、PVA
やPEGは分子量が小さすぎると室温で液状であったり、
生成した共重合タンニンの耐熱性が低かったりする。一
方PVAやPEGの分子量が100万付近よりも大きくなると、
反応のため水溶液とする際、水で膨潤し均一な溶液とな
りにくく、その結果、均一な共重合タンニンを得にく
い。従ってPVAやPEGの重量平均分子量でおおむね、80
0〜900,000位が望ましく、更に好ましくは、1
000〜100000が好都合に用いられる。こうし
て、共重合されたタンニンは水や低級アルコールに不溶
となるが、PC、PET、PBT等には相溶性が見られ、PCに添
加しても、透明性が得られる。もちろん、PVC、PEGは混
合して用いることもでき、また本発明において、熱可塑
性樹脂に添加する場合は、こうしてできた各共重合タン
ニンを混合してもよい。更に溶媒としては水や低級アル
コールが好ましく用いられるが、、アセトニトリルな
ど、PVAまたはタンニンのいずれかを溶解することので
きる溶媒であれば本発明に用いることができる。
リビニルアルコール(PVA)またはポリエチレングリコー
ル(PEG)をそれぞれ水や低級アルコールに溶解させた溶
液を作り、これにタンニンを加えるか、またはタンニン
溶液を加えると、容易に共重合物を作り沈殿する。これ
を濾過して作ることができる。このときPVAやPEG、タン
ニンの溶液の濃度の影響はほとんどないが、PVAやPEGの
分子量は、適切に選定する必要がある。すなわち、PVA
やPEGは分子量が小さすぎると室温で液状であったり、
生成した共重合タンニンの耐熱性が低かったりする。一
方PVAやPEGの分子量が100万付近よりも大きくなると、
反応のため水溶液とする際、水で膨潤し均一な溶液とな
りにくく、その結果、均一な共重合タンニンを得にく
い。従ってPVAやPEGの重量平均分子量でおおむね、80
0〜900,000位が望ましく、更に好ましくは、1
000〜100000が好都合に用いられる。こうし
て、共重合されたタンニンは水や低級アルコールに不溶
となるが、PC、PET、PBT等には相溶性が見られ、PCに添
加しても、透明性が得られる。もちろん、PVC、PEGは混
合して用いることもでき、また本発明において、熱可塑
性樹脂に添加する場合は、こうしてできた各共重合タン
ニンを混合してもよい。更に溶媒としては水や低級アル
コールが好ましく用いられるが、、アセトニトリルな
ど、PVAまたはタンニンのいずれかを溶解することので
きる溶媒であれば本発明に用いることができる。
【0009】更にこうして作られた共重合タンニンを70
〜230℃まで加熱し、水分をあらかじめ除去しておくこ
とも好ましい。
〜230℃まで加熱し、水分をあらかじめ除去しておくこ
とも好ましい。
【0010】タンニンとPVAやPEGとの反応はいずれか一
方の量が少なければその量に比例してグラフト化合物が
得られるため、あまり厳密に考慮する必要はない。経済
的に言えば、未反応物を捨てるのは好ましくないため、
概ね等モル量で反応させるのが好ましい。
方の量が少なければその量に比例してグラフト化合物が
得られるため、あまり厳密に考慮する必要はない。経済
的に言えば、未反応物を捨てるのは好ましくないため、
概ね等モル量で反応させるのが好ましい。
【0011】PVCやPEGと共重合されたタンニンはポリカ
ーボネート樹脂またはポリエステル樹脂に添加された場
合、この樹脂が成形される際に受ける熱により、熱分解
してしまうことを防ぐことができる。おおむね、280
℃付近より、多価フェノールが放出され、後述するよう
に樹脂の再結合時に、酸触媒として働くのに好都合な状
態となる。
ーボネート樹脂またはポリエステル樹脂に添加された場
合、この樹脂が成形される際に受ける熱により、熱分解
してしまうことを防ぐことができる。おおむね、280
℃付近より、多価フェノールが放出され、後述するよう
に樹脂の再結合時に、酸触媒として働くのに好都合な状
態となる。
【0012】このようにして得られた共重合タンニンを
触媒として、またフタル酸を重合修復剤として添加され
たポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂は分子
量低下が抑制され、リサイクル等が可能となる。
触媒として、またフタル酸を重合修復剤として添加され
たポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂は分子
量低下が抑制され、リサイクル等が可能となる。
【0013】共重合タンニンは水や低級アルコールなど
に極めてよく溶けるため高濃度の溶液として用いること
ができる。
に極めてよく溶けるため高濃度の溶液として用いること
ができる。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】本発明においてはこれらの共重合タンニン
は、1種または2種以上を混合して用いることもでき
る。
は、1種または2種以上を混合して用いることもでき
る。
【0017】本発明で用いられるフタル酸はベンゼン環
に結合する2個のカルボキシル基の位置により、オルソ
位、メタ位、パラ位に2個りカルボキシル基が結合した
3種のフタル酸が存在し、そのいずれであっても用いる
ことができるが、反応のし易さから、好ましくはオルソ
位(フタル酸)またはパラ位(テレフタル酸)に2個のカル
ボキシル基が結合したフタル酸が用いられる。また、オ
ルソ位に2個のカルボキシル基が結合したフタル酸は脱
水反応によって、無水フタル酸となり、この化合物も本
発明において好ましく用いることができる。またこれら
のフタル酸は2種以上を混合して用いることもできる。
に結合する2個のカルボキシル基の位置により、オルソ
位、メタ位、パラ位に2個りカルボキシル基が結合した
3種のフタル酸が存在し、そのいずれであっても用いる
ことができるが、反応のし易さから、好ましくはオルソ
位(フタル酸)またはパラ位(テレフタル酸)に2個のカル
ボキシル基が結合したフタル酸が用いられる。また、オ
ルソ位に2個のカルボキシル基が結合したフタル酸は脱
水反応によって、無水フタル酸となり、この化合物も本
発明において好ましく用いることができる。またこれら
のフタル酸は2種以上を混合して用いることもできる。
【0018】本発明のフタル酸および共重合タンニンが
添加される対象とされるポリカーボネート樹脂またはポ
リエステル樹脂は特に限定されないが、ビスフェノール
Aポリカーボネート樹脂(PC)、あるいは熱可塑性ポリエ
ステル、中でもポリエチレンテレフタレート(PET)、ポ
リブチレンテレフタレート(PBT)などが好都合である。
更にこれら同士のブレンド、例えば2種以上のポリカー
ボネート樹脂または2種以上のポリエステル樹脂のブレ
ンドやポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂のブレ
ンドまたはこれらの1つ、または複数の組み合わせと他
の樹脂とのブレンド樹脂、例えば、PC/ABS、PBT/ABS、P
C/PBT、PC/PET、PC/ポリスチレン、およびPC/PBT/ポリ
スチレン、などのブレンド樹脂が好ましく用いられる。
添加される対象とされるポリカーボネート樹脂またはポ
リエステル樹脂は特に限定されないが、ビスフェノール
Aポリカーボネート樹脂(PC)、あるいは熱可塑性ポリエ
ステル、中でもポリエチレンテレフタレート(PET)、ポ
リブチレンテレフタレート(PBT)などが好都合である。
更にこれら同士のブレンド、例えば2種以上のポリカー
ボネート樹脂または2種以上のポリエステル樹脂のブレ
ンドやポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂のブレ
ンドまたはこれらの1つ、または複数の組み合わせと他
の樹脂とのブレンド樹脂、例えば、PC/ABS、PBT/ABS、P
C/PBT、PC/PET、PC/ポリスチレン、およびPC/PBT/ポリ
スチレン、などのブレンド樹脂が好ましく用いられる。
【0019】本発明における樹脂添加剤であるフタル酸
および共重合タンニンの添加法としては、粉末状のフタ
ル酸および共重合タンニンを直接樹脂に加えても良い
し、あるいは対象となる樹脂にあらかじめ混合したりし
て、これを樹脂に加えても良い。こうして、樹脂のポリ
マー分子が熱や剪断応力などによつて切断された場合、
切断箇所は当然ラジカル分子となる。本発明者らは、特
許第3046962〜4号等によって、多価フェノール
が、熱可塑性樹脂の中に生成したラジカルをトラップす
るため、熱安定効果が高いことを先に開示したが、本発
明はこのラジカル分子の反応性が高いことに着目し、こ
こにPCの主鎖であるビスフェノールやPBT、PETの主鎖と
類似化合物であるフタル酸を反応させ、切断されたポリ
マー分子を再結合させようとするものである。このとき
共重合タンニンは、再結合反応の触媒として働くものと
考えられる。こうした理論の整合性を確認することは、
非常に困難な作業を余儀なくされるが、もちろん本発明
がこの理論によって左右されるものではない。
および共重合タンニンの添加法としては、粉末状のフタ
ル酸および共重合タンニンを直接樹脂に加えても良い
し、あるいは対象となる樹脂にあらかじめ混合したりし
て、これを樹脂に加えても良い。こうして、樹脂のポリ
マー分子が熱や剪断応力などによつて切断された場合、
切断箇所は当然ラジカル分子となる。本発明者らは、特
許第3046962〜4号等によって、多価フェノール
が、熱可塑性樹脂の中に生成したラジカルをトラップす
るため、熱安定効果が高いことを先に開示したが、本発
明はこのラジカル分子の反応性が高いことに着目し、こ
こにPCの主鎖であるビスフェノールやPBT、PETの主鎖と
類似化合物であるフタル酸を反応させ、切断されたポリ
マー分子を再結合させようとするものである。このとき
共重合タンニンは、再結合反応の触媒として働くものと
考えられる。こうした理論の整合性を確認することは、
非常に困難な作業を余儀なくされるが、もちろん本発明
がこの理論によって左右されるものではない。
【0020】ポリカーボネート樹脂またはポリエステル
樹脂に対するフタル酸および共重合タンニンの添加量は
樹脂に対して、共重合タンニンは2〜180ppm添加すれば
良く、これはフタル酸の添加量と比例する。おおむねフ
タル酸の1/10程度が好ましい。フタル酸は、樹脂に対
し、20〜1800ppmが好ましく、更に好ましくは100〜800p
pmが好ましい。フタル酸が少なければその効果が得にく
く、多すぎると、過剰のフタル酸が樹脂のポリマー分子
の間に存在し、機械的強度等の低下を招く。このときの
反応触媒として、フタル酸の1/10程度の共重合タンニン
が存在すればよい。共重合タンニンは酸触媒として働く
ものと考えられる。
樹脂に対するフタル酸および共重合タンニンの添加量は
樹脂に対して、共重合タンニンは2〜180ppm添加すれば
良く、これはフタル酸の添加量と比例する。おおむねフ
タル酸の1/10程度が好ましい。フタル酸は、樹脂に対
し、20〜1800ppmが好ましく、更に好ましくは100〜800p
pmが好ましい。フタル酸が少なければその効果が得にく
く、多すぎると、過剰のフタル酸が樹脂のポリマー分子
の間に存在し、機械的強度等の低下を招く。このときの
反応触媒として、フタル酸の1/10程度の共重合タンニン
が存在すればよい。共重合タンニンは酸触媒として働く
ものと考えられる。
【0021】このようにして得られた共重合タンニンと
フタル酸を添加されたポリカーボネート樹脂又はポリエ
ステル樹脂は分子量低下が抑制され、リサイクル等が可
能となる。
フタル酸を添加されたポリカーボネート樹脂又はポリエ
ステル樹脂は分子量低下が抑制され、リサイクル等が可
能となる。
【0022】
【0023】
【実施例】以下更に実施例及び比較例により、本発明を
詳しく説明する。 実施例1 PVA(ナカライテスク(株)製 試薬1級 Mw=4000)を10
gビーカーに採取し純水100mlを加え撹拌・溶解した。次
にタンニン酸(小宗科学(株)製 チャイナタンニン 試
薬1級)20gを同様に純水100mlに溶解した。これを500m
lのビーカーに同時に注ぎ、ガラス棒で撹拌すると茶色
の浮遊物が生成した。これを室内で24時間放置し、沈殿
物をデカンテーション法で液層と分け、更に純水で数回
洗浄した。このまま60℃24時間乾燥し、茶褐色PVA/タン
ニン共重合物(cA)を得た。重量を測定したところ27.5
gであり、収率約92%であった。更に全く同様にしてPEG
(ナカライテスク(株)製 試薬1級 Mw=6000)をタン
ニンと共重合させたものを作製(gA)した。この場合、収
率は94%であった。
詳しく説明する。 実施例1 PVA(ナカライテスク(株)製 試薬1級 Mw=4000)を10
gビーカーに採取し純水100mlを加え撹拌・溶解した。次
にタンニン酸(小宗科学(株)製 チャイナタンニン 試
薬1級)20gを同様に純水100mlに溶解した。これを500m
lのビーカーに同時に注ぎ、ガラス棒で撹拌すると茶色
の浮遊物が生成した。これを室内で24時間放置し、沈殿
物をデカンテーション法で液層と分け、更に純水で数回
洗浄した。このまま60℃24時間乾燥し、茶褐色PVA/タン
ニン共重合物(cA)を得た。重量を測定したところ27.5
gであり、収率約92%であった。更に全く同様にしてPEG
(ナカライテスク(株)製 試薬1級 Mw=6000)をタン
ニンと共重合させたものを作製(gA)した。この場合、収
率は94%であった。
【0024】PC樹脂(帝人化成(株)製 パンライトL-12
50 Mn=24700、Mw=60800、Mw/Mn=2.46)を59.00gを計量
し、更に共重合タンニンであるcA、gAのそれぞれを1.77
mgづつ、テレフタル酸11.8mgをそれぞれ加え、これをプ
ラストメーター(東洋精機製作所(株)製 ラボプラスト
ミル 50C150型)に投入し、温度280℃、回転速度32rpm
にて混練した。この場合PCに対する共重合タンニンの添
加量は30ppm、テレフタル酸は、200ppmに相当する。こ
の間10分ごとに約0.05g程度を分子量測定試料として採
取した。
50 Mn=24700、Mw=60800、Mw/Mn=2.46)を59.00gを計量
し、更に共重合タンニンであるcA、gAのそれぞれを1.77
mgづつ、テレフタル酸11.8mgをそれぞれ加え、これをプ
ラストメーター(東洋精機製作所(株)製 ラボプラスト
ミル 50C150型)に投入し、温度280℃、回転速度32rpm
にて混練した。この場合PCに対する共重合タンニンの添
加量は30ppm、テレフタル酸は、200ppmに相当する。こ
の間10分ごとに約0.05g程度を分子量測定試料として採
取した。
【0025】ここで得た試料をゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー(以下GPCと訳す日立製作所(株)製 L
7000タイプ)を用い、試料濃度約0.05wt%THF溶液、キャ
リア溶媒THF[テトラヒドロフラン)、圧力10kg/cm2、流
量0.5ml/min、検出器RI]を用いて分子量を測定した。
結果を表−1に記す。 比較例1 タンニン酸を添加しなかった以外は実施例1と全く同様
に行い、結果を表−1に合わせて記載した。また、無添
加のPCのみの場合も同様に行った。結果を表−1に併せ
て記載した。 比較例2 テレフタル酸の添加量を変えた以外は、実施例1と全く
同様に行った。このとき共重合タンニンはcAを用い添加
量は30ppmに統一した。このときのテレフタル酸の添加
量と結果を表−1に併せて記載した。
ロマトグラフィー(以下GPCと訳す日立製作所(株)製 L
7000タイプ)を用い、試料濃度約0.05wt%THF溶液、キャ
リア溶媒THF[テトラヒドロフラン)、圧力10kg/cm2、流
量0.5ml/min、検出器RI]を用いて分子量を測定した。
結果を表−1に記す。 比較例1 タンニン酸を添加しなかった以外は実施例1と全く同様
に行い、結果を表−1に合わせて記載した。また、無添
加のPCのみの場合も同様に行った。結果を表−1に併せ
て記載した。 比較例2 テレフタル酸の添加量を変えた以外は、実施例1と全く
同様に行った。このとき共重合タンニンはcAを用い添加
量は30ppmに統一した。このときのテレフタル酸の添加
量と結果を表−1に併せて記載した。
【0026】
【表1】
【0027】実施例2 実施例1のチャイナタンニンをカテキン(ナカライテス
ク(株)製、D-カテキン)に変えた以外は全く同様に行
った。結果を表−1に併せて記載した。 比較例3 共重合タンニンであるcAの添加量を変えた以外は、実施
例1と全く同様に行った。このときテレフタル酸の添加
量は200ppmに統一した。このときのcAの添加量と結果を
表−1に併せて記載した。 実施例3 PBT樹脂(ポリプラスチック(株)製 ジュラネックス320
0)、PET((株)クラレ製 クラペットKS750RC)、PC/ABS/
アロイ(宇部サイコン(株)製 ウベロイCX104)、PBT/AB
S/アロイ(ダイセル化学工業(株)製 ノバロイB、B150
0)にそれぞれテレフタル酸200ppm、実施例1で用いた共
重合タンニンのうちgAを30ppm加え、これを各10kgずつ
用意した。これを射出成形機(東芝機械(株)製 IS-170
型)のホッパーに全量投入し、ノズル温度280℃、射出圧
995kgf/cm2、保圧595kgf/cm2、射出時間1.61sec、保圧
時間21.4secの条件で240mm×200mm×2.4mmの板を成形し
た。これを粉砕機(日水加工(株)製 FNSK-15D)を用い
て粉砕した。粉砕した樹脂の中から約50gをMI用試料と
して取り出し、残りを全て同条件にて射出成形を4回行
った。ここで得られた粉砕した試料の溶融流れ(MI値)を
メルトインデクサー(東洋精機製作所(株)製 C-50型)
を用いてMI値を求めた。本来樹脂の劣化を分子量で評価
すべきであるが、ここに挙げた各樹脂は分子量測定用の
溶媒に溶けないため、分子量を直接測定することができ
ない。一方、MI値と分子量は相関関係があるため、ここ
ではMI値による評価を用いた。もちろんMI値の低い方が
分子量が大きく、MI値の増加は分子量の低下を表す。結
果を表−2に記す。 比較例4 実施例3の中でgAを加えない以外は全く実施例3と同様
に行った。結果を表−2に併せて記載する。
ク(株)製、D-カテキン)に変えた以外は全く同様に行
った。結果を表−1に併せて記載した。 比較例3 共重合タンニンであるcAの添加量を変えた以外は、実施
例1と全く同様に行った。このときテレフタル酸の添加
量は200ppmに統一した。このときのcAの添加量と結果を
表−1に併せて記載した。 実施例3 PBT樹脂(ポリプラスチック(株)製 ジュラネックス320
0)、PET((株)クラレ製 クラペットKS750RC)、PC/ABS/
アロイ(宇部サイコン(株)製 ウベロイCX104)、PBT/AB
S/アロイ(ダイセル化学工業(株)製 ノバロイB、B150
0)にそれぞれテレフタル酸200ppm、実施例1で用いた共
重合タンニンのうちgAを30ppm加え、これを各10kgずつ
用意した。これを射出成形機(東芝機械(株)製 IS-170
型)のホッパーに全量投入し、ノズル温度280℃、射出圧
995kgf/cm2、保圧595kgf/cm2、射出時間1.61sec、保圧
時間21.4secの条件で240mm×200mm×2.4mmの板を成形し
た。これを粉砕機(日水加工(株)製 FNSK-15D)を用い
て粉砕した。粉砕した樹脂の中から約50gをMI用試料と
して取り出し、残りを全て同条件にて射出成形を4回行
った。ここで得られた粉砕した試料の溶融流れ(MI値)を
メルトインデクサー(東洋精機製作所(株)製 C-50型)
を用いてMI値を求めた。本来樹脂の劣化を分子量で評価
すべきであるが、ここに挙げた各樹脂は分子量測定用の
溶媒に溶けないため、分子量を直接測定することができ
ない。一方、MI値と分子量は相関関係があるため、ここ
ではMI値による評価を用いた。もちろんMI値の低い方が
分子量が大きく、MI値の増加は分子量の低下を表す。結
果を表−2に記す。 比較例4 実施例3の中でgAを加えない以外は全く実施例3と同様
に行った。結果を表−2に併せて記載する。
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】以上の実施例及び比較例に示されたよう
に、共重合タンニンおよびフタル酸を添加されたポリカ
ーボネート樹脂、あるいはポリエステル樹脂は、分子量
低下が抑制されている。従って本発明のフタル酸および
共重合タンニンを用いることによって該樹脂の熱安定化
を達成することができる。
に、共重合タンニンおよびフタル酸を添加されたポリカ
ーボネート樹脂、あるいはポリエステル樹脂は、分子量
低下が抑制されている。従って本発明のフタル酸および
共重合タンニンを用いることによって該樹脂の熱安定化
を達成することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 ポリカーボネート樹脂またはポリエステ
ル樹脂に対してフタル酸を20〜1800ppmおよびポリビニ
ルアルコールまたはポリエチレングリコールと共重合し
たタンニンを2〜180ppm添加することを特徴とするポリ
カーボネート樹脂またはポリエステル樹脂の熱安定化方
法。 - 【請求項2】 タンニンが、カテキン類、ロイコアント
シアン類、クロロゲン酸類を含む多価フェノールである
ことを特徴とする請求項1記載の熱安定化方法。 - 【請求項3】 フタル酸がオルトフタル酸、テレフタル
酸、または無水フタル酸であることを特徴とする請求項
1記載の熱安定化方法。 - 【請求項4】 タンニンとの共重合に用いられるポリビ
ニルアルコールまたはポリエチレングリコールの重量平
均分子量が800以上900,000以下であることを特徴とする
請求項1記載の熱安定化方法。 - 【請求項5】 ポリカーボネート樹脂またはポリエステ
ル樹脂がこれらと他の熱可塑性樹脂との混合物である
か、または2種以上のポリカーボネート樹脂の混合物ま
たは2種以上のポリエステル樹脂の混合物またはポリカ
ーボネート樹脂とポリエステル樹脂との混合物であるこ
とを特徴とする請求項1記載の熱安定化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001018991A JP3350881B2 (ja) | 2001-01-26 | 2001-01-26 | ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂の熱安定化方法 |
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Publications (2)
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---|---|
JP2002220522A JP2002220522A (ja) | 2002-08-09 |
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CN103602053B (zh) * | 2013-11-05 | 2016-06-29 | 上海锦湖日丽塑料有限公司 | 易电镀的电镀pc/abs合金材料及其制备方法 |
CN110358099B (zh) * | 2019-06-28 | 2021-07-30 | 吉林大学 | Pva基复合材料及其前驱体、重塑产品、复合水凝胶、复合薄膜及制备和应用 |
-
2001
- 2001-01-26 JP JP2001018991A patent/JP3350881B2/ja not_active Expired - Fee Related
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