JP3346124B2 - 転写導体の製造方法およびグリーンシート積層体の製造方法 - Google Patents

転写導体の製造方法およびグリーンシート積層体の製造方法

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JP3346124B2 JP25760195A JP25760195A JP3346124B2 JP 3346124 B2 JP3346124 B2 JP 3346124B2 JP 25760195 A JP25760195 A JP 25760195A JP 25760195 A JP25760195 A JP 25760195A JP 3346124 B2 JP3346124 B2 JP 3346124B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層チップインダ
クタ等のチップ型電子部品を形成するための転写導体の
製造方法および積層用グリーンシートの製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子部品の小型・薄型化はすさま
じく、例えば積層チップインダクタにおいてはより小
型、高インダクタンス(高インピーダンス)化が求めら
れているが、これを実現するには、内部に形成されるコ
イル状の巻回導体のファインパターン化が必要となる。
【0003】特に積層チップコンデンサにおいては、よ
り薄く、緻密な内部電極の形成により、より小型、大容
量化の実現が求められる。
【0004】また、携帯電話等の高性能小型機器の実用
化が進むにつれ、一つのチップの中に様々の機能を持た
せたLCRモジュールのチップ化が求められているが、
これらを実現するためには、如何にファインなパターン
を効率良く、緻密に形成するかが最重要課題となる。
【0005】このようなチップ型電子部品を製造する場
合、従来の印刷技法が広く一般に用いられ、よりファイ
ンな導体パターンを形成するため、現在も日夜研究され
ている。その現状としては、オフセット印刷技法を導入
したり、スクリーン印刷のスクリーンの開口率を大きく
したり、導体ペーストの導体粉の微粉化やビヒクルの改
良等々、様々なアプローチがなされているが、工業的に
実用化されているのは、せいぜい50〜80μm程度の
導体ライン幅のパターンを形成できるにすぎず、またそ
れらのパターンの導体の厚みは導体ライン幅が狭くなれ
ばなるほど、厚みが薄くなる傾向があり、導体抵抗値が
大きくなるという欠点を有している。
【0006】このような従来の欠点を解決するため、転
写技法を用いたパターン形成方法が特開平4−3148
76号公報に開示されている。
【0007】フィルム上に蒸着により形成された離型性
を有する金属薄膜上に湿式メッキより所望の金属層を
得、必要によりエッチング法で余分に形成された金属層
を除去し、パターン形成したものを被転写体に転写する
ものである。
【0008】この転写技法によれば、例えば積層セラミ
ックコンデンサ等の内部電極に用いるための比較的薄い
(例えば10μm以下)転写用金属膜の形成が可能であ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記転
写技法では、比較的厚い(例えば10μm以上)転写用
金属膜をファインラインなパターン精度で得ようとする
ことは困難である。
【0010】すなわち、上記転写技法では、いったん、
ほぼ全面に形成された金属層をエッチング法により余分
な金属部を除去するものであるため、金属層の厚みが厚
ければ厚いほどファインなパターン形成が困難になるか
らである。
【0011】また、所望の金属パターンはエッチングレ
ジスト層の下部に残っているので、金属パターンを被転
写体に転写する前に必ずエッチングレジストを除去する
必要があるが、エッチング用のレジストを剥離する際
に、レジストと一緒に金属パターンが剥離する場合もあ
る。このような現象も、転写される金属層の厚みが厚く
なればなるほど、起こりやすくなる。このことは、金属
層の厚みが厚くなればなるほど、エッチングに要する時
間が長くなり、蒸着により形成された離型性を有する金
属薄膜層がエッチャントで侵されたりすることに起因す
るものと考えられる。
【0012】さらに、上記転写方法では毎回パターン形
成用のレジストをコーティングし、レジストパターンを
形成する必要があり、あまり効率的でないといえる。
【0013】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので
あって、その目的とするところは、ファインパターンで
且つ膜厚の厚い転写導体の製造方法およびそれを用いた
グリーンシート積層体の製造方法を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の転写導体の製造
方法は、導電性および転写用導体の剥離を容易にするた
めに可撓性を有するベース板上に、前記ベース板の表面
露出部を規定するパターンを有するマスク層を形成す
る工程と、前記ベース板の前記露出部に、前記マスク層
pHが1から7の範囲にありシアンを含有しないAg
メッキ液を用いて、電鋳法により転写用導体を形成する
工程と、前記マスク層を剥離することなく、前記転写用
導体を被転写体に転写する工程とを包含し、そのことに
よって上記目的が達成される。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】また、転写導体形成工程は、マスク層から
突き出した転写用導体を形成する工程であってもよい。
【0022】
【0023】導電性および転写用導体の剥離を容易にす
るために可撓性を有するベース板上に、前記ベース板の
表面露出部を規定するパターンを有するマスク層を形
成する工程と、前記ベース板の前記露出部に、前記マス
ク層をpHが1から7の範囲にありシアンを含有しない
Agメッキ液を用いて、電鋳法により転写用導体を形成
する工程と、前記マスク層を剥離することなく、前記転
写用導体を転写することによって、第1絶縁体グリーン
シート上に転写導体を形成する工程と、前記転写導体を
有する前記第1絶縁体グリーンシートの表面上に第2絶
縁体グリーンシートを設ける工程とを包含し、そのこと
によって上記目的が達成される。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて説明する。
【0034】(実施の形態1)以下、本発明の第1の実
施の形態を図面を用いて説明する。以下の説明において
用いる図面では、簡単のために、一つのインダクタを形
成するための一つの積層体を図示している。しかしなが
ら、実際の製造においては、一枚のベース板に複数の積
層体を形成し、積層体が完成した後で分離することによ
って、複数のインダクタを形成することができる。
【0035】図1は本発明の第1の実施の形態における
転写導体を形成するための、ベース金属板とマスク層の
構成を示す断面図である。
【0036】図1において1は、導電性ベース板として
のベースステンレス板、2はストライクAgメッキ層か
らなる導電性離型層、3はマスク層、4は電鋳法で形成
されるAgからなる転写用導体、5はマスク層3上に形
成されたマスク層3に離型性を付与するための離型層で
ある。
【0037】以上のように、ベースステンレス板1およ
びマスク層3から構成する電鋳導体転写用型を用いた転
写用導体4の製造方法を以下に示す。
【0038】まず、図1に示すように、ベースステンレ
ス板1全面に耐酸性と耐アルカリ性を有するアクリル系
ドライフィルムをマスク層3としてラミネートした。ラ
ミネート後、約160℃で60分間乾燥硬化し、アクリ
ル系ドライフィルム(例えば、ダイヤロンFRA−06
3、三菱レーヨン製)をベースステンレス板に接着させ
た。
【0039】こうして得られたマスク層3の厚みは硬化
後、約45μmであった。次にマスク層3の表面に、離
型性を付与するための液状のフッソ系カップリング剤
(パーフルオロデシルトリエトキシシラン)を離型層5
としてディップコートし、200℃で硬化させる。硬化
後離型層5の膜厚は、0.1μm以下である。離型層5
は必ずしも形成しなくてもよい。
【0040】こうして形成されたマスク層3および離型
層5の上方からちょうど導体パターンを形成する必要の
ある部位にエキシマレーザ(波長308nm)を照射
(出力50〜80W)し、ベースステンレス板1が所望
の導体パターンである幅40μmで巻回コイル状に露出
するようにパターニング(図2の7、または10に相
当)し、レジストパターンを得る。
【0041】このようなエキシマレーザの照射により、
マスク層3がきれいに除去されてパターニングされてい
くので、通常のYAGレーザ等の熱負荷による焼き切り
レーザ加工と異なり、高解像度なファインパターンを得
ることができる。また、エキシマレーザの波長領域で
は、ベースステンレス板1が損傷する心配もない。
【0042】このようなエキシマレーザでの樹脂切断の
メカニズムについては、エキシマレーザの308nmや
248nmの波長のエネルギーがアクリル、樹脂の分子
鎖を切断する化学反応的な作用を有するためであると思
われる。例えば、アクリル樹脂のカルボニル基がエキシ
マレーザ光の照射によって切断される。
【0043】以上のように形成したマスク層3は強固に
ベースステンレス板1に接着されているので、剥離する
ことはなく、従ってマスク層3の残ったベースステンレ
ス板に再び電鋳法で転写用導体4を形成することによ
り、マスク層3の再利用が可能となる。
【0044】もし、転写用導体4がマスク層の間に挟ま
って、パターンの転写が困難な場合は、各種接着シート
を用いて転写用導体4を引き出すことが可能である。
【0045】パターンの最少幅、レジストの厚みに応じ
て、レーザの出力条件を決定することで、最少線幅10
μm程度で、厚み50μm程度のパターンを得ることも
できる。
【0046】感光性アクリルドライフィルムを用いて、
ホトリソグラフィ技術によって、マスク層をパターニン
グする場合、パターン幅10〜30μm程度の細いパタ
ーン形成も容易であるが、レジストの厚みを厚くするの
が困難である(パターン幅10μmの場合、レジスト厚
みはせいぜい10μm程度が限界である。)。
【0047】次に露出した金属部に導電性離型層2とし
て、ストライクAgメッキを施し、厚み0.1μm以下
のAg離型層2を得る。
【0048】ストライクAgメッキとしては、ごく一般
的なアルカリシアン系のAgメッキ浴で対応可能であ
る。一例として(表1)のようなメッキ浴を例示する。
【0049】
【表1】
【0050】(表1)のAgメッキ浴の場合で、5〜2
0秒程度で、約0.1μmの導電性離型層2を得ること
ができる。
【0051】ところで、導電性離型層2が離型性を有す
るのは、一般に、ベースステンレス板1とAgの密着性
が乏しい上に、Ag膜をストライク(高速)メッキする
ため、Ag膜の膜中に歪みが多く存在し、このため、A
g膜がベースステンレス板1と強固に密着できないため
であると考えられる。
【0052】なお、導電性離型層2は、銀鏡反応を利用
して形成することもできる。さらに、ベース金属板とし
ては、ステンレス以外の材料を用い、離型性を付与する
ことも可能である。主な使用可能材料とその離型処理方
法を(表2)に列挙する。
【0053】
【表2】
【0054】また、ベース金属板以外にペットフィルム
等に導電性を付与することにより、同様の効果を持たせ
ることも可能であるが、金属板はわざわざ導電性を付与
する必要が無いので実用上効率的である。
【0055】特にステンレス板は、化学的に安定で、か
つ表面のクロム系の酸化膜を有するため、それ自体に離
型性があり、最も実用的である。
【0056】次に電鋳法で転写用導体4を形成する工程
を述べる。まず、Agの電気メッキ浴に浸漬し、必要な
厚みtの転写用導体4を形成する。本実施の形態ではt
=40〜45μmとなるように形成した。
【0057】マスク層のパターンに応じた形状や大きさ
を有する転写用導体を形成するためには、転写用導体4
の厚みはマスク層3の厚みを越えない範囲で、かつマス
ク層3の膜厚より約5μm程度薄い膜厚が最適である。
これは、マスク層3の膜厚より転写用導体4の厚みが厚
ければ、メッキにより導体4を形成する際、導体4が横
方向にまわり込んで成長するので、マスク層のパターン
の解像度を十分に生かせないからである。また逆にマス
ク層3の膜厚より約5μm以上薄いと後述する転写用導
体のグリーンシートへの転写が良好に行えない場合があ
るからである。
【0058】一方、解像度が重要でない場合には、図9
に示すように、マスク層3の厚さよりも厚い導体4を形
成してもよい。マスク層3から突き出た部分は、転写工
程において、グリーンシートに食い込むので、転写性が
向上する。また、導体4の断面積が拡大するので、導体
4の抵抗を下げる効果もある。但し、マスク層3の上部
では、導体4は等方的に形成されるので、隣接する導体
間でショートが発生しないように調整する必要がある。
【0059】本実施の形態におけるマスク層は、耐酸性
および耐アルカリ性共に有しているため、転写用導体4
を形成するために基本的にどのようなメッキ浴組成も用
いることができるが、マスク層の種類によっては、マス
ク層の剥離液として機能するため、前工程でパターン作
製したマスク層が破壊されてしまう場合があり、選択的
に使用する必要がある。
【0060】特に、マスク層の使用寿命を長くするとい
う観点から、本実施の形態では、弱アルカリ性(中性)
のAgメッキ浴を用いた。
【0061】弱アルカリ性(中性)のメッキ浴としては
(表3)に示すようなものを用いることができる。
【0062】
【表3】
【0063】但し、電流密度は1A/dm2程度とし
た。何故なら、高速にメッキを行うため、電流密度を大
きくすると、転写用導体4の歪みが大きくなり、パター
ンを転写する以前に転写用導体4が剥離してしまう場合
があるからである。
【0064】従って、本例において、厚み約40μmの
転写用導体4を得るのに約160分のメッキ時間を要し
た。
【0065】一度に大量のパターンを同時に量産する場
合においては、このような160分という時間は、非常
に短い時間である。
【0066】ところで、導電性離型層2は、ストライク
Agメッキ浴(アルカリ性)で形成されたが、上記に示
したような転写用導体4を形成する際の弱アルカリ性
(中性)のメッキ浴中で、最初の数分間のみ電流密度を
大きくし、Ag膜の歪みを大きくすることでベースステ
ンレス板1との界面付近のAg膜に離型性を付与するこ
とも可能である。
【0067】この場合、わざわざ導電性離型層2を設け
る必要は無い。また転写用導体4を形成するための酸性
のAgメッキ浴としては(表4)に示すようなものも用
いることができる。
【0068】
【表4】
【0069】上記Agメッキ浴は、酸性のため、メッキ
レジストの剥離は見られなかった。さらに界面活性剤
(メチルイミダゾールチオール、フルフラール、ロート
油等)の添加により、Ag光沢を増すこともできた。
【0070】上述のように形成された転写用導体4を一
例として磁性体グリーンシートに転写し、積層型チップ
インダクタを作製することを試みた。
【0071】図2は本実施の形態で試作した積層チップ
インダクタの分解斜視図である。まず磁性体グリーンシ
ート6,8,11の形成方法について述べる。
【0072】ブチラール、アクリル、エチルセルロース
等の樹脂をターピネオール等の高沸点の溶剤と必要によ
りジブチルフタレートなどの可塑剤を添加し溶解させた
ビヒクルとNi・Zn・Cu系のフェライト粉末(平均
粒径0.5〜2.0μm)とを混練してなるペースト
(スラリー)状フェライトをドクターブレード法でペッ
トフィルム上に形成し、80〜100℃程度で粘着性を
少し残した状態になるまで乾燥させ、磁性体グリーンシ
ート6,8,11を得る。
【0073】磁性体グリーンシート層6,11は厚み
0.3〜0.4mm程度になるように形成され、磁性体グ
リーンシート層8は、厚さ20〜100μm程度に形成
された後、パンチング等により、0.15〜0.3mm角
程度の貫通孔9を貫通させる。
【0074】次に転写工程について説明する。まずペッ
トフィルム上に形成された磁性体グリーンシート層6
に、すでに形成済みの巻回コイル状転写導体7(図1の
4に相当)を押し当て転写する(必要により、加圧、加
熱しても良い)。
【0075】このとき巻回コイル状転写導体7はベース
ステンレス板1と程良い離型性を有しており、また磁性
体グリーンシート層6には程良い粘着性があるので、ベ
ースステンレス板1から磁性体グリーンシート6を剥離
することによって、巻回コイル状転写導体パターン7は
容易に磁性体グリーンシート層6に転写される。
【0076】また、磁性体グリーンシート6の機械的な
強度が十分でない場合、磁性体グリーンシート上に粘着
性シートを設けてもよい。
【0077】また、アクリルのマスク層3の表面には離
型層5がコーティングされているので、磁性体グリーン
シート6はマスク層3および離型層5と容易に剥離す
る。
【0078】次に、同様のプロセスにより、巻回コイル
状転写導体10を磁性体グリーンシート層11に転写す
る。
【0079】さらにこうして得た2つの巻回コイル状転
写導体7,10を転写された磁性体グリーンシート6,
11の間に磁性体グリーンシート層8を配置し、貫通孔
9を通じて2つの巻回コイル状転写導体7,10が互い
に接続されるように積層し、加熱(60〜120度)・
加圧(20〜500kg/cm2)することで層間の接
続を完全にする。
【0080】但し、前記2つの巻回コイル状転写導体
7,10の、電気的接合は厚膜導体を介したほうがより
オーミックな接続が得られる場合が多いため、本例にお
いても、磁性体グリーンシート層8の貫通孔9には、予
め印刷厚膜導体21を印刷し充填した。
【0081】以上のプロセスにおいては、製造上の効率
を向上させるため同時に複数の積層型セラミックチップ
インダクタを得るため、一枚のシートに複数の導体パタ
ーンが形成されるのが一般的である。従って、個々の積
層型チップインダクタに切断しその後、850〜100
0℃、1〜2時間程度で焼成する。切断を焼成後に行う
こともできる。
【0082】最後に、チップの相対する外片部に内部の
巻回コイル状転写導体と接続されるように、銀合金系の
取り出し電極を形成し、600〜850℃程度で、焼結
させることにより、図3に示す外部電極12を形成す
る。さらに必要により、外部電極12上にNi、ハンダ
等のメッキを施すものである。
【0083】このようなプロセスにより、外形1.6×
0.8mm、厚み0.8mmの積層型セラミックチップイン
ダクタを得た。内部導体は約2.5ターンのAg導体の
2層構造となっており、合計5ターンの巻回コイル状導
体線路を有しているため、100MHzのインピーダンス
は、約600Ω得ることができた。
【0084】直流抵抗値は、Ag導体厚みが約40μm
あるため、極めて小さく約0.08Ωにすることができ
た。
【0085】また、本実施の形態による、積層セラミッ
クチップインダクタを切断して観察したところ、Ag導
体と磁性体層の界面に特に隙間のようなものは観察され
なかった。
【0086】これは、本実施の形態の電鋳法により形成
される巻回コイル状の転写導体は、脱バインダを必要と
する厚膜導体と異なり、焼成による収縮がほとんど無い
ため、Ag導体の周りに磁性体が緻密に焼結したためと
考えられる。
【0087】なお、本実施の形態において、マスク層と
してアクリル系ドライフィルムを用いたが、この他、耐
酸性、耐アルカリ性に優れたマスク層の例としてフッ
ソ、アクリル、エポキシ、ポリエチレン、ポリアセター
ル等の樹脂およびその変成品や、ゴム類、さらにマスク
層硬度等を強くするため、前記樹脂皮膜中に各種セラミ
ック粉末をフィラーとして分散させたものを用いること
ができる。
【0088】また、これらの樹脂の着膜方法としては、
スプレーコート、ロールコート、ディップコート、静電
塗装、印刷、ドライフィルムラミネート、フィルム状樹
脂の接着等々各種用いることができる。
【0089】さらにセラミック、ガラスまたは金属等の
無機物の電着、溶射した膜を用いることもできる。
【0090】また、マスク層のパターニングとしては、
本実施の形態に示したエキシマレーザ照射以外に、光露
光による現像、YAGやCO2によるレーザ加工、サン
ドブラスト、ウォータージェット、カッティング等の物
理切削を用いることも可能である。
【0091】また、本実施の形態では、着膜速度の点か
ら電気メッキが最も望ましいためこれを採用したが、無
電解メッキでも技術的には可能である。
【0092】(実施の形態2)以下、本発明の第2の実
施の形態を図面を用いて、説明する。
【0093】図4は本発明の第2の実施の形態における
転写導体を形成するための、ベース金属板とマスク層の
構成を示す断面図である。
【0094】図4において13はベースステンレス板、
14はマスク層、15は電鋳法で形成される転写用導体
である。
【0095】以上のように構成された転写用導体15の
製造方法を以下に示す。図4に示すように、ベースステ
ンレス板13の脱脂洗浄後、ベースステンレス板13上
に実施の形態1のマスク層3のパターンと逆パターンの
マスクパターン(丁度後から形成する電鋳法で形成され
る転写用導体15のパターンに相当)を形成後、全面に
耐酸性と耐アルカリ性を備え持つ、フッソ樹脂(ポリフ
ロン TC−7400 ダイキン工業製等)をマスク層
14としてコーティングした。約200℃で3〜5分予
備乾燥硬化後、前記フォトレジストパターンを剥離する
ことで、フッソ樹脂層パターンを形成後、さらに約28
0℃で3〜5分本硬化後、ベースステンレス板13に強
固に接着させた。
【0096】この工程により、マスク層14の形成され
ていない部位はベースステンレス板13が露出するよう
にパターニングされる。
【0097】マスク層14の厚みは硬化後、約45μm
であった。フッソ樹脂は離型性が良いので、実施の形態
1の図1に示したような特に離型層5を形成する必要は
ない。
【0098】実施の形態1では、転写用導体4の下地に
導電性離型層2を、ストライクAgメッキ浴(アルカリ
性)で形成したが、特にアルカリ性に強いフッソ樹脂が
レジストとして用いられている本実施の形態の場合、
(表1)に示したようなアルカリAgメッキ浴中で、最
初の数分間のみ電流密度を大きくし、Ag膜の歪みを大
きくすることでベースステンレス板13との界面付近の
Ag膜に離型性を付与した後、電流密度を下げ、厚付け
Agメッキにより転写用導体15の形成を行うことも可
能である。
【0099】即ち、この場合、わざわざ転写用導体の下
地に導電性離型層を設ける必要がない。
【0100】このようにして、厚み43μmの転写用導
体15を得た後、図5に示すように、熱離型性接着シー
ト(発泡シート、例えば、リバアルファNo.3194M
日東電工製)16を張り付け、20kg/cm2、10
0℃で約5〜10秒間加圧および加熱することにより熱
離型性接着シートに転写用導体15のパターンを転写す
ることができた。
【0101】このような熱離型性接着シートは、粘着性
が高く、また粘着層の厚みが厚いので接着シートを加圧
すると粘着層が、変形して転写用導体を粘着させるた
め、転写用導体が確実に転写される。
【0102】さらに、図6に示すように、転写用導体1
5の上部に予めPETフィルム18上に形成されたセラ
ミックグリーンシート17を張り付け、適当な条件(例
えば10〜100kg/cm2、60〜120℃で、5
〜10秒)で加圧、加熱を行うことにより、転写用導体
15上にセラミックグリーンシート17が転写される。
【0103】その後、熱離型性接着シート16を高温
(120〜150℃)加熱し、熱離型性接着シート16
の発泡層を発泡させることにより、転写用導体15の転
写されたグリーンシート17を得ることができる。
【0104】以上の転写プロセスの応用例として、以下
に述べる転写プロセスを用いることもできる。
【0105】図4に示す状態までは前記の方法と同様に
行い、転写用導体15を得る。次に図7に示すように転
写用導体15およびマスク層14の上部にセラミックグ
リーンシート形成用のペーストを適当な厚み(例えば、
50〜100μm)にスクリーン印刷・乾燥し、印刷セ
ラミックグリーンシート層19を得る。
【0106】このように形成する印刷セラミックグリー
ンシート層19は、予め印刷セラミックグリーンシート
層19を構成する樹脂成分(例えばブチラール等)を通
常より少し多めにし、印刷セラミックグリーンシート層
19のシート強度を強にすることにより、印刷セラミッ
クグリーンシート層19と転写用導体15が一緒にベー
スステンレス板13およびマスク層14から剥がすこと
ができるのである。
【0107】場合により、この印刷セラミックグリーン
シート層19の上部から熱離型性接着シート20(例え
ば、リバアルファNo.3194M 日東電工製)を粘着
(必要により、加熱・加圧してもよい)させた後、熱離
型性接着シート20と印刷セラミックグリーンシート層
19と転写用導体15を一体化し、ベースステンレス板
13およびマスク層14から剥がし、さらに加熱するこ
とにより、熱離型性接着シート20を発泡させ離型する
ことにより、図8に示すような転写用導体15と一体化
したセラミックグリーンシート層19を得ることもでき
る。
【0108】このプロセスにおいてはマスク層14の膜
厚よりも転写用導体15の膜厚がかなり(5μm以上)
薄くても、粘着性を有するセラミックグリーンシート層
19が、セラミックグリーンシート層19の印刷形成
時、転写用導体15の表面まで入り込むため、転写用導
体15の離型性が向上するという特徴を有する。
【0109】(実施の形態3)本実施の形態では、マス
ク層に形成されたパターンの解像度(大きさおよび形
状)を反映させるとともに、マスク層の厚さよりも厚い
転写用導体を形成する方法を、図10を参照しながら説
明する。
【0110】まず、実施の形態1と同様の方法で、ベー
スステンレス板1上に所定のパターンを有するマスク層
3を形成する。
【0111】次に、このマスク層3をエッチングマスク
として、ベースステンレス板1の露出部をエッチングす
る。例えば、エッチャントとして塩化鉄水溶液(濃度3
0〜40%)を用いて、40℃で数分間エッチングする
ことによって、約20μm程度の深さの凹部(溝)22
を形成できる。塩化鉄は鉄以外の材料にはダメージを与
えないので、実施の形態1で説明したマスク層用の材料
をそのまま利用して、エッチングマスクをして使用でき
る。
【0112】なお、ベースステンレス基板の露出部にあ
まり深い凹部(溝)22を形成すると、凹部の幅が露出
部の幅よりも広くなるので、凹部に形成された転写用導
体4を転写できない。従って、凹部22の深さは、約2
0μm以下に設定するのが好ましい。
【0113】次に、エッチングによって形成された凹部
22の表面に酸化膜(不図示)を形成するために、熱処
理を施す。前述したように、酸化膜は、転写用導体に対
して適度な離型性を有するからである。また、さらに、
ストライクメッキを用いて、離型層2を形成してもよ
い。酸化膜および離型層2を形成することによって、転
写用導体4の離型性を高めることによって、転写工程に
おける歩留まりを向上することができる。但し、酸化膜
や離型層の形成を省略することもできる。
【0114】以下、実施の形態1と同様に、凹部22を
有するベースステンレス板1の露出部に、電鋳法を用い
て転写用導体4を形成し、被転写体に転写する。
【0115】図10に示すように、マスク層3の厚さを
40μm、エッチング深さを15μmとすることによっ
て、50〜55μmの厚さを有する転写用導体4を形成
することができる。
【0116】(実施の形態4)本実施の形態は、マスク
層の厚さよりも厚い転写導体の製造方法およびグリーン
シート積層体の製造方法を説明する。
【0117】図11は、本実施の形態の転写導体の製造
方法を示す工程図である。まず、導電性を有するベース
板として、ステンレスベース板113を用い、このベー
ス板113をアルカリ洗浄剤等を用いて脱脂した後、水
洗し、乾燥する(図11(a))。本実施の形態におい
ては、可撓性を有する厚さ約0.1mmのステンレス板
(例えば、SUS430)を用いた。
【0118】ベース板113上に、液状のホトレジスト
をスピンコートし、乾燥することによって、厚さ5μm
のマスク層114を形成する(図11(b))。液状レ
ジストのパターン形成の容易さを利用するためには、液
状レジストの厚さは、2〜10μmの範囲にあるのが好
ましい。また、液状レジストの塗布方法は、スピンコー
ト法に限られず、ロールコート法やスクリーン印刷法を
用いてもよい。液状ホトレジストとしては、例えば、ポ
ジ型レジストOFPR800(東京応化製)を用いるこ
とができる。ホトレジストからなるマスク層114に、
クロム等で形成されたホトマスク116を介して平行な
紫外線(UV)を照射する(図11(c))。その後、
アルカリ現像液(例えば、炭酸ソーダ水溶液)を用いて
現像後、約150℃で30分間ポストベークを行うこと
によって、所定のパターンを有するマスク層114が得
られる(図11(d))。このマスク層114は繰り返
し利用することができる。
【0119】次に、Agメッキを行う。Agメッキに先
だって、必要に応じて、ステンレス板113の露出部を
活性化処理しても良い。例えば、40℃の5%硫酸水溶
液に30秒間浸漬することによって、活性化処理するこ
とができる。
【0120】次に、ステンレス板113の露出部にAg
ストライクメッキを行うことによって、離型層112を
形成する(図11(e))。Agストライクメッキは、
シアンを含まない酸性タイプのメッキ液(例えば、ダイ
ンシルバーブライトPL−50:大和化成(株)製)を
用いて行うことができる。ストライク銀メッキを電流密
度0.3A/dm2で数分間行うことによって、0.1
〜1μmの離型層112を形成することができる。続い
て、厚付けAgメッキを行い20〜25μmの転写用導
体115を形成する(図11(f))。厚付けAgメッ
キは、シアンを含有しないメッキ液(ダインシルバーA
GPL30:大和化成(株)製)を用いて、pHが約
1.0の酸性条件で行った。液温約40℃、電流密度1
〜2A/dm2で約50分程度で約20μmの厚さのA
gメッキ膜からなる転写用導体115を形成できる。メ
ッキ液のpHは約1〜7が好ましく、pHが1〜4が更
に好ましい。また、本実施形態で用いたシアンを含まな
いメッキ液は、毒性が全くなく、作業の安全性、廃液の
処理の簡便化が図れ、作業効率の向上と製造コストの低
減を可能とするものである。このとき、マスク層114
よりも上部に形成されるAgメッキ膜は、横方向にも形
成されるので、結果として、転写用導体115の線幅
は、マスク層114に規定されるステンレス板113の
露出部の幅よりも広くなる。転写用導体115の線幅
は、マスク層114の上面から突き出した高さhとほぼ
同じ程度横方向に広がる。したがって、転写導体によっ
て形成する導体パターンの設計の段階で、マスク層11
4のパターンの線幅、線間隔を設定する必要がある。図
11(f)の例では、Agメッキの高さhが20μm、
マスク層のパターン幅(露出部の幅)が20μm、マス
ク層のパターン間隔(露出部間の間隔)が60μmであ
り、転写用導体115の幅が60μm、転写用導体11
5間の間隔が20μmである。
【0121】得られた転写用導体115を以下のように
して絶縁体グリーンシートに転写する。本実施の形態で
は、以下のようにして作製した厚さ100μmの絶縁体
グリーンシート111を用いる。ブチラール樹脂、アク
リル樹脂、エチルセルロース等の樹脂をトルエン、キシ
レン、酢酸ブチル等の低沸点溶剤と、ジブチルフタレー
トなどの可塑剤とを溶解したビヒクルと、Ni・Zn・
Cu系のフェライト粉末(平均粒径0.5〜2.0μ
m)とを混練してなるスラリー状フェライトをドクター
ブレード法でPETフィルム上に形成し、80〜100
℃で乾燥し、絶縁体グリーンシート111を得る。グリ
ーンシート111に、転写用導体115が形成されたマ
スク層114を有するステンレス板113を、転写用導
体がグリーンシートに接するように、張り合わせる。9
0℃、5秒、プレス圧80kg/cm2の条件で、加
熱、加圧する(図11(g))。このとき、転写用導体
115のマスク層114から突き出た部分は、グリーン
シート111内に食い込む。
【0122】次に、マスク層114が形成されたステン
レス板113を剥離することによって、転写用導体11
5と導電性離型層112がグリーンシート111に転写
される(図11(h))。このとき、ステンレス板11
3は可撓性を有するので、図11(h)に示したように
変形するので、簡単に剥離することができる。この後、
マスク層114を有するステンレス板113を用いて、
図11(e)の工程以降の工程を行うことができる。
【0123】上記の例では、転写用導体を絶縁体グリー
ンシートに直接転写する例を説明したが、転写用導体を
熱離型シートに転写した後、絶縁体グリーンシートに転
写してもよい。
【0124】本実施の形態によると、比較的薄い(約2
〜10μm)マスク層を用いて、十分な厚さ(約10μ
m以上)を有する転写導体を形成することができる。し
たがって、ホトレジストを用いて、高解像度のパターン
を有するマスク層を容易に形成するとともに、十分に低
い抵抗を有する厚膜の転写導体を形成することができ
る。更に、本実施の形態における転写用導体はマスク層
から突き出ており、転写工程においてグリーンシート等
の被転写体に食い込むので、優れた転写性を有する。
【0125】次に、上述したマスク層から突き出た転写
用導体を用いて、複数の導体層を有するグリーンシート
積層体の製造方法を、図12(a)から(e)を参照し
ながら説明する。
【0126】ベースステンレス基板220上に熱発泡シ
ート216を設ける。上述のグリーンシート111と同
様に作製し厚さ100μmの磁性体グリーンシートを4
枚重ねたグリーンシート積層体を熱発泡シート216上
に形成する(図12(a))。このグリーンシート積層
体211は、予め4枚のグリーンシートを積層したもの
を用いてもよいし、熱発泡シート216上に1枚ずつ4
回積層することによって形成しても良い。また、グリー
ンシート積層体の厚さは、必要に応じて変えることがで
きる。個々のグリーンシートの厚さを変えてもよいし、
積層するグリーンシートの枚数を変えてもよい。
【0127】次に、図11(a)から(f)の工程で得
られた、導電性離型層212、転写用導電体215、マ
スク層214を有するステンレス板213を用いて、図
11(g)および(h)と同様にして、このグリーンシ
ート積層体211に導電性離型層212と転写用導電体
215とを転写する(図12(b))。このようにし
て、第1導体層が得られる。
【0128】次に、第1導体層と、後で積層する第2導
体層とを電気的に接続するための中間層を積層する。中
間層は、磁性体グリーンシート208にAgペーストが
充填されたスルーホール209を有している。第1と第
2の間の電気的なコンタクトが得られるように、位置を
決めて、第1導体層上に積層する。例えば、90℃、8
0kg/cm2で2秒程度加圧することによって、積層
できる。
【0129】なお、上記の中間層は、例えば、以下の方
法によって形成することができる。実施の形態1と同様
にして得られる100μmの厚さの磁性体グリーンシー
ト208の所定の位置にパンチャー等を用いて機械的に
直径0.15mmのスルーホールを形成する。このスルー
ホールにスクリーン印刷法を用いて、Agペーストを充
填する。スルーホールに充填する材料は、Agペースト
に限られず導電性を有する材料を適宜用いることができ
る。また、スルーホールの形状も円形に限らず、矩形や
四角でもよい。
【0130】次に、第2導体層を第1導体層と同様にし
て、中間層上に積層する。中間層と導体層の積層を交互
に繰り返すことによって、任意の数の導体層を有するグ
リーンシート積層体を形成することができる。
【0131】必要数の導体層を形成した後、最上層に絶
縁体グリーンシート積層体206を積層する。グリーン
シート積層体206は、グリーンシート積層体211と
同様に、予め複数のグリーンシートを積層したものを用
いてもよいし、導体層の上に順次グリーンシートを積層
する工程を繰り返して形成してもよい。また、必要に応
じて、積層体全体に再度加圧(例えば、100〜500
kg/cm2、30℃、1分)してもよい。
【0132】以下、実施の形態1と同様にして、セラミ
ックチップインダクタを製造することができる。本実施
の形態のグリーンシート積層体の製造方法によると、複
数の導体層を有するセラミックチップインダクタを容易
に製造することができる。したがって、抵抗が小さくイ
ンダクタンスの大きな、セラミックインダクタを効率よ
く製造することができる。
【0133】例えば、図13に示す(a)〜(d)の4
つのパターンの転写導体を中間層を介して電気的に接続
しながら積層することによって、約9ターンのスパイラ
ル状のコイル導体が形成される。また、(a)と(d)
を組み合わせれば約5ターンのスパイラル状のコイル導
体が形成される。更に、(a)/(b)/(c)/
(b)/(c)/(d)の6層を組み合わせれば約13
ターン、(a)/(b)/(c)/(b)/(c)/
(b)/(c)/(d)の8層を組み合わせれば約17
ターンのスパイラル状のコイル導体が得られる。
【0134】本発明のグリーンシート積層体の製造方法
を用いて得られた1.6×0.8mmサイズのセラミック
チップインダクタの特性を(表5)に示す。このよう
に、本発明によれば、抵抗が小さくインダクタンスの大
きな、セラミックインダクタを効率よく製造することが
できる。
【0135】
【表5】
【0136】以上の各実施の形態では、転写用導体とし
て、Agのみ記載したが、Ni,Cu,Pd,Pt,A
u,Cr等やそれらの合金等、電鋳法で形成できる金属
であれば使用可能である。
【0137】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、転写用導
体の厚みが厚くても、ファインパターンな導体をセラミ
ックグリーンシートに転写することができる。
【0138】本発明によると、転写用導体は、導電性を
有するベース板に形成されたマスク層によって規定され
るベース板の露出表面に形成される。すなわち、転写用
導体は、ベース板と十分な接着強度を有するマスク層の
凹部に形成される。転写導体とベース板またはベース板
上に形成された離型層との接着力は弱いが、マスク層と
転写導体との界面の摩擦力によって転写用導体が十分に
保持される。従って、線幅の狭い(例えば、約30〜6
0μm)転写導体を電気メッキによって形成する場合に
おいても、メッキ工程におけるメッキ液の流れや、洗浄
工程における水流等によって、転写用導体がベース板か
ら剥離することがない。また、実施の形態4のように、
マスク層から突き出た転写用導体は、転写用導体の凸部
が被転写体に食い込むので、転写性を向上することがで
きる。
【0139】このような転写技術を、積層型セラミック
チップインダクタ等に応用することにより、ファインパ
ターンでかつ導体膜厚の厚い(導体抵抗値の小さい)導
体を得、大きなインダクタンス(インピーダンス)を有
する積層型セラミックチップインダクタを低積層数で得
ることができる。
【0140】また導体膜厚は、レジストの膜厚とメッキ
条件次第でサブミクロン〜数十ミクロン、或いは条件次
第では、数ミリの厚みを実現することが可能である。
【0141】一方、脱バインダを必要とする厚膜導体の
場合と異なり、メッキ工法による本発明の導体は、焼成
後の導体厚みの収縮が小さいため、磁性体層と導体層の
デラミネーションの発生も皆無である。
【0142】さらに、パターン形成用のマスク層は離型
せずに、転写用導体自体のみを転写するので、レジスト
パターンを何度も再利用できるという経済性も有するも
のである。さらにまた、ベース板が可撓性を有するた
め、簡単にベース板と転写導体および被転写体とを剥離
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における転写用導体
の形成方法を示す説明用断面図
【図2】同実施の形態における積層型セラミックチップ
インダクタの構造を示す分解斜視図
【図3】同実施の形態における積層型セラミックチップ
インダクタの斜視図
【図4】本発明の第2の実施の形態における転写用導体
の形成方法を示す説明用断面図
【図5】同実施の形態における積層型セラミックチップ
インダクタの形成方法を示す説明用断面図
【図6】同実施の形態における積層型セラミックチップ
インダクタの形成方法を示す説明用断面図
【図7】同実施の形態における積層型セラミックチップ
インダクタの形成方法を示す説明用断面図
【図8】同実施の形態における積層型セラミックチップ
インダクタの形成方法を示す説明用断面図
【図9】同実施の形態における他の積層型セラミックチ
ップインダクタの形成方法を示す説明用断面図
【図10】本発明の第3の実施の形態における転写用導
体の形成方法を示す説明用断面図
【図11】本発明の第4の実施の形態の転写導体および
グリーンシート積層体の製造方法を示す断面図
【図12】本発明の第4の実施の形態のグリーンシート
積層体の製造方法を示す断面図
【図13】本発明で用いられる転写導体のパターンを示
す図
【符号の説明】
1,13 ベースステンレス板 2 導電性離型層 3,14 マスク層 4,15 転写用導体 5 離型層 6,8,11 磁性体グリーンシート 9 貫通孔 7,10 巻回コイル状転写導体 16,20 熱離型性接着シート 18 PETフィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H05K 3/46 H05K 3/46 H (72)発明者 牧野 治 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−2394(JP,A) 特開 平1−316485(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 41/04 B32B 15/08 C25D 1/10 C25D 1/20 H05K 3/20 H05K 3/46

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性および転写用導体の剥離を容易に
    するために可撓性を有するベース板上に、前記ベース板
    の表面露出部を規定するパターンを有するマスク層を
    形成する工程と、前記ベース板の前記露出部に、pHが
    1から7の範囲にありシアンを含有しないAgメッキ液
    を用いて、電鋳法により転写用導体を形成する工程と、
    前記マスク層を剥離することなく、前記転写用導体を被
    転写体に転写する工程と、を包含する転写導体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 転写導体形成工程は、マスク層から突き
    出した転写用導体を形成する工程である請求項に記載
    の転写導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 導電性および転写用導体の剥離を容易に
    するために可撓性を有するベース板上に、前記ベース板
    の表面露出部を規定するパターンを有するマスク層を
    形成する工程と、前記ベース板の前記露出部に、pHが
    1から7の範囲にありシアンを含有しないAgメッキ液
    を用いて、電鋳法により転写用導体を形成する工程と、
    前記マスク層を剥離することなく、前記転写用導体を転
    写することによって、第1絶縁体グリーンシート上に転
    写導体を形成する工程と、前記転写導体を有する前記第
    1絶縁体グリーンシートの表面上に第2絶縁体グリーン
    シートを設ける工程と、を包含するグリーンシート積層
    体の製造方法。
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