JP4794080B2 - 金属層転写用フィルムの製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属層を転写形成することができ、特に、積層セラミック部品の金属層を形成する為に使用される金属層転写用フィルムの製法に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、積層セラミック部品の小型化に伴い、セラミック部品に施される金属層もセラミック層とともに薄層化が要求されており、この金属層を形成する方法として、従来の導体ペーストを用いたスクリーン印刷法に代わり、メッキ法を用いる方法が考案されている。
【0003】
そして、このようなメッキ法に用いる金属層転写用フィルムに関し、例えば、特開2000−228571号公報に開示されるようなものが知られており、この公報に開示された金属層転写用フィルムは、プラスチックフィルムの表面に離型層として酸化膜を有する金属層(以下、離型金属層と略する)を設け、さらに、その酸化膜の表面に転写金属層(対象物に転写される金属層)を設けたものであり、このことにより内部電極パターンを粘着シート等のシート上に簡易かつ確実に形成できることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開2000−228571号公報に開示された金属層転写用フィルムでは、この金属層転写用フィルムに形成された転写金属層は、予め、粘着剤が塗布され、ある程度以上の接着力を有するような粘着シート上への転写は確実に行うことができるものの、例えば、セラミックグリーンシートでは、接着剤等が塗布されていないために、キャリアフィルム上の離型金属層上に形成された酸化膜と転写金属層との間の接着力に比較して、セラミックグリーンシートと転写金属層との間の接着力の方が弱くなり、確実な転写ができないという問題があった。
【0005】
また、上記公報に挙げられている金属のうちCu、AlおよびAuといった金属種では、電解メッキが可能な電位およびpHの範囲においては金属層表面に形成された酸化膜が電解メッキ時に破壊されることから、この場合にも、転写金属層を離型することが困難となるという問題があった。
【0006】
従って、本発明は、特に、セラミック部品の金属パターンとして、好適に使用でき、容易かつ確実な転写を可能とする金属層転写用フィルムの製法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の金属層転写用フィルムの製法は、(a)キャリアフィルムを形成する工程と、(b)該キャリアフィルムの表面に蒸着法により、金属材料としてTi、Ni、Crまたはこれらの合金からなる下地金属層を形成する工程と、(c)キャリアフィルム表面に形成された下地金属層を酸化処理して、前記下地金属層の表面に、厚みが15〜200nmの酸化膜を形成する工程と、(d)キャリアフィルムの表面に形成された下地金属層および酸化膜を同時にパターン加工した後、前記酸化膜上に転写金属層を形成する工程と、を具備することを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、下地金属層の表面に、その金属の酸化膜を直接形成することから離型性を有する層を容易に形成できる。
【0009】
上記金属層転写用フィルムの製法では、(c)工程において、酸化膜の表面粗さRaoが40nm以下であることが望ましい。このように酸化膜の表面粗さRaoを小さくした金属層転写用フィルムを用いることにより、電解メッキによる厚みばらつきや表面粗さが低減された転写金属層を容易に形成できる。
【0010】
上記金属層転写用フィルムの製法では、(a)、(b)、(c)工程において、キャリアフィルム表面、下地金属層表面および下地金属層上の酸化膜表面の、それぞれの表面粗さをRa、RaおよびRaとしたとき、Ra≦Ra≦Raの関係を満足することが望ましい。
【0011】
まず、キャリアフィルムの表面、および、このキャリアフィルム上の下地金属層の表面粗さの関係をRa≦Raとすることにより、キャリアフィルムの表面形状に沿って均一な厚みの下地金属層を容易に形成することができるとともに、このため下地金属層の任意の領域における電気抵抗を等しくすることができる。
【0012】
次に、キャリアフィルム上の下地金属層とこの下地金属層上の酸化膜の表面粗さとの関係をRam≦Raoとすることにより、下地金属層の表面形状に沿って均一な厚みの酸化膜を容易に形成することができるとともに、このため酸化膜の任意の領域において電気抵抗および離型性を均一なものにできる。
【0013】
そして、キャリアフィルム表面、該キャリアフィルム上の下地金属層およびこの下地金属層上の酸化膜、それぞれの表面粗さの関係を上記のようにすることにより、特に、厚みばらつきや表面粗さが低減された転写金属層を容易に形成できる。
【0014】
上記金属層転写用フィルムの製法では、キャリアフィルムの表面に形成された下地金属層および酸化膜を同時にパターン加工した後、前記酸化膜上に転写金属層を形成する工程を含むことが望ましい。
【0015】
上記の工程を用いて転写金属層を形成することにより、キャリアフィルムの表面に形成された下地金属層および酸化膜上に全面メッキした後エッチングによりパターン加工されるパターンに比較して高寸法精度で高い転写性を有する内部電極パターンを容易に形成できる。
【0016】
上記金属層転写用フィルムの製法では、下地金属層が、積層セラミック部品の金属層のパターンに加工されている。
【0017】
このように、下地金属層をキャリアフィルム上に形成した状態で所定のパターンに加工することから、セラミックグリーンシート上に転写した後、パターン加工する場合に比較して、セラミックグリーンシートを溶液等に晒すことなく高寸法精度の転写金属層を容易に形成できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
属層転写用フィルムは、図1の概略断面図に示すように、キャリアフィルム1の表面に、酸化膜3を有する下地金属層5を設けられ、この酸化膜3の表面には、さらに転写金属層7が形成されるものであるが、この金属層転写用フィルムは、以下の方法で製造される。図2は、その製造方法を説明するための工程図である。
【0019】
先ず、図2(a)に示すように、適宜、長尺状の有機フィルムをカレンダー処理を用いて表面処理を行い、所望の表面粗さRafに調整してキャリアフィルム31が形成される。ここで用いる有機フィルムとして、例えば、上記の下地金属層5との密着性が良好であるものであれば、特に限定されるものではなく、従来公知の有機フィルムを用いることができる。このような有機フィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルムなどが挙げられる。これらの有機フィルムは、その厚みtが約10μm〜200μm、とりわけ、約15μm〜150μmであることが好ましい。
【0020】
また、その表面粗さRafは40nm以下とされ、特に、このキャリアフィルムの表面に形成される下地金属層との密着性を高めるという理由から、5〜30nmであることが望ましい。尚、キャリアフィルムの表面粗さRafはカレンダー部の表面粗さにより制御される。
【0021】
次に、図2(b)に示すように、このキャリアフィルム31の表面に、例えば、蒸着法により下地金属層35を設け、金属層コートフィルム37が形成される。この下地金属層35は、その上に形成される転写金属層に対する導電層としての役割を果たすもので、上記のキャリアフィルム31と良好な密着性を有するものである。この下地金属層35を形成する金属材料としては、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、またはこれらの合金が用いられる。
【0022】
転写金属層を電気メッキ法を用いて形成する場合、下地金属層35は導電性ができるだけ高くかつ電解メッキの際に腐食されないことが好ましい。例えば、転写金属層にNiを用いる場合、通常、メッキ液および電解メッキの電位に対して耐腐食性のある金属種を下地金属層35に用いることが好ましく、この点からも下地金属層35となる金属種はTi、Ni、Crがい。例えば、Niの転写金属層を電解メッキ法で形成する場合は、下地となる下地金属層35としては、導電性が比較的高く、Niのメッキ液に対して耐腐食性のあるTiの下地金属層35を設けたものがより好ましい。
【0023】
また、上記のように、電解メッキ法で転写金属層を形成する場合は、下地金属層35の厚みは、この下地金属層35の電気抵抗を小さくするという理由から50〜400nmであることが好ましい。そうすることにより、短時間で、導電性が高く、かつ、Niの電解メッキに対して耐腐食性のある下地金属層35を得ることができる。
【0024】
また、この下地金属層35の表面粗さRamは40nm以下とされ、特に、この表面に形成される酸化膜39の厚みばらつきを低減するという理由から、5〜30nmであることが望ましい。尚、下地金属層35の厚みは蒸着時間により、また、表面粗さRamは蒸着温度によって制御される。
【0025】
また、下地金属層35は、上記金属材料から形成される下地金属層35の一層から成るものでもよいし、同種あるいは異種の下地金属層35を複数積層したものであってもよい。なお、複数積層する場合、その下地金属層35間が剥離しないように、下地金属層35間の界面が酸化されていないことが必要である。
【0026】
また、上記の下地金属層35は、一般的には、スパッタ蒸着、抵抗加熱蒸着、電子ビーム加熱蒸着などの公知の真空蒸着法により形成されるが、この場合、金属層とキャリアフィルム31との密着力を向上させる目的で、キャリアフィルム31表面をアルゴン、酸素、窒素ガス等の雰囲気中でプラズマ処理することも可能である。
【0027】
次に、図2(c)に示すように、この金属層コートフィルム37を酸化処理して、下地金属層35の表面に酸化膜39が付与された金属層転写用フィルム41が形成される。そして、下地金属層35の酸化された表面は、上記のように蒸着により形成された下地金属層35の表面を酸素を含む雰囲気中でプラズマ処理したり、単に、下地金属層35表面を大気中に暴露することにより形成される。あるいは、上記のように、下地金属層35を蒸着で形成する際に、その雰囲気に酸素ガスを導入しておいてもよい。尚、酸化膜39の表面粗さRaoを大きくする場合には、酸化装置の酸素濃度を高めることにより調整され、一方、表面粗さRaoを小さくする場合には、電解研磨が用いられる。
【0028】
本発明において、この下地金属層35の表面に形成される酸化膜39として、厚みが15〜200nmであるものを用いることが重要である。これは、この酸化膜39の厚みが15nmよりも薄い場合には、酸化膜の電気抵抗が低くなり、電解メッキの速度が速く、充分な厚みの転写金属層が形成できるものの、この転写金属層の剥離が困難になる。一方、酸化膜の厚みが200nmよりも厚い場合には、この部分の電気抵抗が高くなり、電解メッキ法による転写金属層の形成が困難となり、所望の厚みのメッキ膜が得難くなる。特に、導電性を高めメッキ速度を高めかつ離型性を改善するという理由から、50〜100nmであることが望ましい。
【0029】
また、この酸化膜39の表面粗さRaoは40nm以下であることがのぞましく、特に、転写金属層の離型性を高めるという理由から5〜30nmであることが望ましい。
【0030】
そして、これらのキャリアフィルム31、下地金属層35および酸化膜39の、それぞれの表面粗さ、Raf、RamおよびRaoは、Raf≦Ram≦Raoの関係を満足するように形成されていることが望ましい。これは、キャリアフィルム31表面、下地金属層35および酸化膜39の、それぞれの表面粗さを上記の関係にすることにより、さらに、下地金属層35やその上面の酸化膜39の厚みばらつきを小さくでき、このことにより、最上層に電解メッキ法により形成される転写金属層の厚みばらつきや表面粗さを低減できるという理由による。
【0031】
次に、この金属層転写用フィルムを用いて所定のパターンを対象物に転写する方法について図3および図4の工程図をもとに説明する。先ず、この金属層転写用フィルムを転写金属層を形成する前にパターン化する。
【0032】
このパターン加工は、図3(a)に示すように、金属層転写用フィルム41の表面全面に形成された酸化膜39の表面に感光性レジスト膜43を塗布し、所定のパターン形状のマスク(この場合にはネガ型)45を置き、紫外線露光により感光性レジスト膜43を部分的に硬化させる。
【0033】
次に、図3(b)に示すように、レジスト溶解液を用いて、未硬化のレジスト膜の除去を行い、レジスト膜が除去され露出した酸化膜39を有する下地金属層35を化学エッチング等により除去しパターンを形成する。
【0034】
次に、図3(c)に示すように、この金属層転写用フィルム41の酸化膜39上に、電解メッキ法により転写金属層47が形成される。この場合、金属層転写用フィルム41上に形成されパターン化された下地金属層35自体を電解メッキ時の接続導体とすることにより、電解メッキ法により転写金属層47を容易に形成できる。
【0035】
そして、金属層転写用フィルムによって転写金属層47を所定の対象物に転写するには、たとえば、転写しようとする対象物にその転写金属層47を接触させるとともに、キャリアフィルム31側から転写金属層47側に向かって、たとえば、熱、超音波、電磁波、物理的な圧力等の外力を加えることによって、上記の金属層35の酸化された表面から転写金属層47を剥離させて、その対象物に転写すればよい。なお、この場合には、転写金属層47の表面上または対象物の表面上に粘着層を設けて転写性の向上を図ってもよく、また、上記した複数の外力を組合わせて使用してもよい。
【0036】
たとえば、図4(a)に示すように、金属層転写用フィルムのパターン化された転写金属層47を、セラミックグリーンシート51に対して位置合わせして積層、接触させるとともに、前記したようにキャリアフィルム31側から転写金属層47側に向かって外力を加えてキャリアフィルム31を下地金属層35、酸化膜39とともに剥離することによって転写される。
【0037】
そして、図4(b)に示すように、その転写金属層47が転写されたグリーンシート51を順次積層し、積層成形体53を形成し、これを焼成することによって積層セラミック部品を得ることができる。
【0038】
上記の方法では、パターン加工を転写金属層47を形成する前に行うプレパターン化法によるものであるが、パターン加工法には、キャリアフィルム31上の全面に形成された下地金属層および酸化膜上の全面に電解メッキ膜を形成した後にパターン加工するポストパターン化法を採用することもできる。
【0039】
尚、プレパターン化法によりメッキ法によって形成された転写金属層47は、予めパターン化された酸化膜上に形成されることからメッキ膜の厚み方向に寸法差の小さい矩形状の転写金属層が形成される。これに対して、ポストパターン化法を用いて作製された転写金属層はこの転写金属層を含めてエッチングなどによってパターン加工を行うことから、プレパターン化法を用いて作製したメッキ膜に比べて、膜厚が厚い状態でパターン加工されるため転写金属層の断面形状が台形状に形成されるために、精度の高いパターンを形成する上では、プレパターン法を採用することが望ましい。
【0040】
このように、金属層転写用フィルムを使用して積層セラミック部品の回路パターン等の金属層を形成すれば、キャリアフィルム31の表面に形成された薄い転写金属層47をそのまま転写させることができることから、セラミックグリーンシート51に導電ペーストをパターン塗工する場合に比べて、パターンを薄層化して形成することができ、ますます微細化、高密度化が要求される積層セラミック部品の金属層の形成を簡易かつ低コストで行うことができる。また、転写金属層47を転写した後の金属層転写用フィルム41は、金属層の転写形成に繰り返し用いることができ、製造コストの低廉化を計ることができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0042】
有機フィルムとしてPETフィルムを選択し、予め、カレンダー処理を行い、表1に示す表面粗さに調整したキャリアフィルムを作製した。
【0043】
次に、その表面に表1に示す金属を電子線を用いた真空蒸着法によって形成した。5×10-3Paの真空度の装置内でキャリアフィルムを冷却テーブルに接触させた状態で、るつぼに入れた金属原料に電子線を照射し、これを蒸発させてキャリアフィルム上に下地金属層を成膜した。成膜厚みは400nmに調整した。これを110℃で所定時間大気中で熱処理し、蒸着により形成した下地金属層の表面に表1に示す厚みおよび表面粗さを有する各金属の酸化膜を形成した。
【0044】
次に、この金属層転写用フィルムに対して前述のプレパターン化法およびポストパターン化法を用いて電解メッキを行った。電解メッキは、メッキ浴としてスルファミン酸ニッケルメッキ浴を用いて電気ニッケルメッキ処理を行い、設計値寸法10mm×10mmの矩形パターンが複数配列されたテストパターンを用い、厚さ0.5μmの金属ニッケル層を析出させ転写金属層を形成した。形成したメッキ膜は設計値からの寸法差および厚みとそのばらつきσ(標準偏差)を測定顕微鏡および電子顕微鏡を用いて測定し、パターン精度の評価を行った。
【0045】
一方、比較例として、下地金属層の表面に形成した酸化膜の厚みを15nmよりも薄くした試料、並びに、200nmよりも厚くした試料を作製した。
【0046】
作製した金属層転写用フィルムの評価は、キャリアフィルム、このキャリアフィルム上に形成した下地金属層、さらに、この下地金属層の表面に形成した酸化膜のそれぞれの厚みをX線光電子分光計を用いて測定し、また、これらの表面粗さは原子間力顕微鏡によって測定した。また、各試料を10mm×10mmサイズに加工し、試料表裏面に両面テープを貼り付け、これを測定テーブルと圧力ゲージに固定して、垂直方向の剥離強度とそのばらつきσ(標準偏差)を測定した。このときの評価試料数は各5個とした。
【0047】
また、506個の内部電極パターンを有するパターンを用いてセラミックグリーンシート上に温度80℃、圧力100kg/cm2の条件で転写金属層の転写を行い、実際の転写性を評価した。これらの結果を表1に示した。
【0048】
【表1】
Figure 0004794080
【0049】
表1に示すように、金属層転写用フィルムに形成される酸化膜の厚みを15〜200nmとした試料No.2〜6、8〜21では、いずれも剥離強度が0.75×105Pa以下、剥離強度のばらつきが0.09×105Pa以下となり、転写金属層の離型性が向上し、実際の内部電極パターンを用いた転写テストにおいても転写不良がほとんど無く転写性を改善できた。また、金属層転写用フィルムをパターン加工した後に転写金属層を形成するプレパターン化法を用いた場合(試料No.2〜6、8〜13、20、21)には、金属層転写用フィルム上に全面メッキを行った後にパターン加工するポストパターン化法の場合(試料No.14〜19)に比較して、メッキパターンの寸法精度が高く、剥離強度のばらつきが小さく、しかも形状が矩形状に近いことから転写性に優れていた。
【0050】
特に、金属膜としてTiを用い、酸化膜の厚みを50〜100nmとし、プレパターン化法により転写金属層を形成した試料No.3、4、8〜13では、剥離強度が0.5×105Pa以下、剥離強度のばらつきが0.04Pa以下まで低下した。さらに、酸化膜の厚みを100nmとし、キャリアフィルム、このキャリアフィルム上の金属層およびこの金属層上の酸化膜、それぞれの表面粗さをRaf、RamおよびRaoとしたとき、Raf≦Ram≦Raoの関係を満足する試料No.4、8、9および12では、適正な転写金属層(メッキ)厚みとなり、その厚みばらつきが小さく、また、剥離強度のばらつきが特に低下し、転写テストにおいても転写不良の剥がれが無かった。また、金属層をNi、Crとした場合にも、酸化膜を設けた場合には、転写が改善された。
【0051】
一方、酸化膜の厚みを10nm以下とした試料No.1では、酸化膜の厚みが薄いために剥離強度が大きく、そのばらつきも大きくなり、転写不良が多発した。また、酸化膜の厚みを250nmとした試料No.7では、酸化膜の導電性が低下し、メッキ膜の析出不良が発生して転写金属層が形成されなかった。
【0052】
【発明の効果】
上述した通り、本発明によれば高寸法精度で高い転写性を有する内部電極パターンを容易に形成できる金属層転写用フィルムを得ることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 属層転写用フィルムを示す概略断面図である。
【図2】 属層転写用フィルムを製造するための工程図である。
【図3】 属層転写用フィルムを製造する際に、感光性レジストの加工を行うための工程図である。
【図4】 属層転写用フィルムをセラミックグリーンシートに転写し、積層セラミック部品の積層成形体を製造するための工程図である。
【符号の説明】
・ 31・・・・・・キャリアフィルム
・ 3、39・・・・・・酸化膜
・ 5、35・・・・・・下地金属層
・ 7、47・・・・・・転写金属層

Claims (3)

  1. (a)キャリアフィルムを形成する工程と、
    (b)該キャリアフィルムの表面に蒸着法により、金属材料としてTi、Ni、Crまたはこれらの合金からなる下地金属層を形成する工程と、
    (c)キャリアフィルム表面に形成された下地金属層を酸化処理して、前記下地金属層の表面に、厚みが15〜200nmの酸化膜を形成する工程と
    (d)キャリアフィルムの表面に形成された下地金属層および酸化膜を同時にパターン加工した後、前記酸化膜上に転写金属層を形成する工程と、
    を具備ることを特徴とする金属層転写用フィルムの製法。
  2. (c)工程において、前記酸化膜の表面粗さRaが40nm以下であることを特徴とする請求項記載の金属層転写用フィルムの製法。
  3. (a)、(b)、(c)工程において、前記キャリアフィルム表面、前記下地金属層表面および前記下地金属層上の前記酸化膜表面の、それぞれの表面粗さをRa、RaおよびRaとしたとき、Ra≦Ra≦Raの関係を満足することを特徴とする請求項またはに記載の金属層転写用フィルムの製法。
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