JP3345294B2 - インクジェット式記録ヘッドの製造方法及びその記録ヘッド - Google Patents

インクジェット式記録ヘッドの製造方法及びその記録ヘッド

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】 本発明は、インクジェット
式記録ヘッドの製造方法及びその記録ヘッドに関し、特
に圧電材料製のグリーンシートを複数枚積層させてヘッ
ド本体を形成する際に、複数枚のグリーンシートに形成
した複数の引出し電極形成膜を積層して、複数の圧電ア
クチュエータに接続される引出し電極をヘッド本体の内
部に一体形成するようにしたものに関する。
【０００２】
【従来の技術】 従来、インク供給源からのインクが供
給されるインク通路に連通するインクジェットノズルか
ら微小量のインク滴を噴射するインクジェットプリンタ
としては、小型化でき且つ高速記録が可能なオンディマ
ンド方式の特に圧力制御方式や熱による泡制御方式を採
用したものが一般に普及している。圧力制御方式では、
圧電セラミックなどの圧電素子を用いた圧電方式を採用
したインクジェットプリンタが実用化されるとともに、
種々提案されている。
【０００３】この圧電方式を採用したインクジェットプ
リンタにおいては、インク供給源からのインクがマニホ
ールド部材を介して供給される複数のインク通路と、こ
れらインク通路を構成する圧電素子からなる複数の隔壁
と、これら隔壁の左右１対の側壁に設けられた複数の電
極とを有する記録ヘッドを備え、駆動ＩＣからの駆動信
号をインク噴射させるインク通路に対応する隔壁の電極
に所定微小時間だけ供給することで、隣接する２つの隔
壁がインク通路の容積を拡大するように夫々せん断歪み
により変形した後元の形状に復帰するときに、インク通
路に補充されたインクがその先端の噴射ノズルから噴射
するようになっている。
【０００４】例えば、図１４に示すように、インクジェ
ットプリンタにおいては、複数のインク通路を形成した
圧電材料からなるヘッド本体１０１に、これら複数のイ
ンク通路を塞ぐようにカバー板１４０が固着された記録
ヘッド１４５がキャリッジ１０３に固着されている。一
方、キャリッジ１０３には駆動ＩＣ１４６を取付けたプ
リント基板１４８が固定され、このプリント基板１４８
には、駆動ＩＣ１４６に接続された配線パターン１０４
が形成されている。
【０００５】更に、ヘッド本体１０１の側面には、複数
のインク通路に対応させて設けたアクチュエータに給電
する為の複数の引出し電極１０５が形成され、これら複
数の引出し電極１０５と配線パターン１０４の複数の端
子とは、可撓性のＦＰＣ（フレキシブル・プリント・サ
ーキット）１４７により電気的に接続されている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】 図１４に示すインク
ジェット式記録ヘッド１４５においては、ヘッド本体１
０１の側面に、駆動ＩＣ１４６と複数のアクチュエータ
（電極）とを接続する複数の引出し電極１０５が露出し
て形成されており、各引出し電極１０５は、数１０μｍ
の線幅を有し且つ数μｍの厚さであることから、記録ヘ
ッド１４５の組付け作業時やキャリッジ１０３への取付
け作業時において、引出し電極１０５がヘッド本体１０
１から剥がれ易いこと、また断線し易いことなどの問題
がある。
【０００７】また、プリント基板に設けられた配線パタ
ーン１０４の複数の端子と複数の引出し電極１０５とを
接続するＦＰＣ１４７には、電極数に対応する多数の信
号線が設けられており、そのＦＰＣ１４７をこれら複数
の引出し電極１０５や配線パターン１０４に接続する電
気的接続構造が複雑化すること、噴射ノズルから噴射さ
れたインクが配線パターン１０４や駆動ＩＣ１４６に付
着するのを防止するように、プリント基板１４８を樹脂
などで保護する場合が多く、この場合には駆動ＩＣ１４
６で発生した熱の放熱が悪くなること、などの問題があ
る。
【０００８】本発明の目的は、圧電アクチュエータの電
極に接続される複数の引出し電極をヘッド本体の内部に
一体的に形成してそれら引出し電極を保護すること、駆
動ＩＣの取付けや電気的接続構造を簡単化すること、駆
動ＩＣの放熱の効率化を図ること、などである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】 請求項１のインクジェ
ット式記録ヘッドの製造方法は、圧電材料製の複数枚の
グリーンシートの焼結体を含むヘッド本体に、インクジ
ェットノズルとインク通路と圧電アクチュエータとを複
数組組み込んだ構造のインクジェット式記録ヘッドを製
造する方法において、複数のグリーンシートの各々にそ
の厚さ方向に貫通する複数の第１引出し電極形成膜を形
成すると共に、表面に近い複数のグリーンシートの各々
にその厚さ方向に貫通する複数の第２引出し電極形成膜
を形成し、それらのグリーンシートを積層する際に、上
下に対応する複数の第１引出し電極形成膜を積層させて
複数組の圧電アクチュエータの電極に接続される複数の
第１引出し電極を形成すると共に、上下に対応する複数
の第２引出し電極形成膜を積層させて複数の第２引出し
電極を形成し、積層した複数のグリーンシートを焼結
し、前記表面側において複数の第１引出し電極の端部と
複数の第２引出し電極の端部とに、複数組の圧電アクチ
ュエータを駆動する駆動ＩＣを接続することを特徴とす
るものである。
【００１０】ヘッド本体を製造するに際して、先ず、複
数枚の圧電材料製のグリーンシートの各々に、複数の圧
電アクチュエータの複数の電極に対応するように、その
厚さ方向に貫通する複数の第１引出し電極形成膜を形成
すると共に、表面に近い複数のグリーンシートの各々に
その厚さ方向に貫通する複数の第２引出し電極形成膜を
形成する。次に、これらグリーンシートを積層する際
に、上下に対応する複数の第１引出し電極形成膜を積層
させて複数組の圧電アクチュエータの電極に接続される
複数の第１引出し電極を形成すると共に、上下に対応す
る複数の第２引出し電極形成膜を積層させて複数の第２
引出し電極を形成する。次に、この積層された複数枚の
グリーンシートを焼結し、前記表面側において複数の第
１引出し電極の端部と複数の第２引出し電極の端部と
に、複数組の圧電アクチュエータを駆動する駆動ＩＣを
接続する。
【００１１】こうして、複数のグリーンシートを貫通す
る複数の第１引出し電極を簡単に形成でき、表面に近い
複数のグリーンシートを貫通する複数の第２引出し電極
を形成でき、駆動ＩＣを複数の第１，第２引出し電極の
端部に簡単に接続することが できる。また、駆動ＩＣを
表面に設けることから、インク噴射作動により駆動ＩＣ
で発生する熱が効率良く伝達されるので、駆動ＩＣの熱
が効果的に放熱される。
【００１２】請求項２のインクジェット式記録ヘッド
は、インクジェットノズルとインク通路と圧電アクチュ
エータとを複数組組み込んだ構造のインクジェット式記
録ヘッドにおいて、圧電材料シートを複数枚積層させた
積層体と、前記複数の圧電材料シートの各々にその厚さ
方向に夫々貫通状に形成され且つ圧電材料シートの積層
方向に接続された複数の第１引出し電極を形成する複数
の第１引出し電極形成膜と、前記積層体の表面に近い複
数の圧電材料シートの各々にその厚さ方向に夫々貫通状
に形成され且つ圧電材料シートの積層方向に接続された
複数の第２引出し電極を形成する複数の第２引出し電極
形成膜と、前記第１引出し電極の端部と第２引出し電極
の端部に夫々接続されて前記積層体の表面に取付けられ
た駆動ＩＣであって、複数組の圧電アクチュエータを駆
動する駆動ＩＣとを備えたことを特徴とするものであ
る。
【００１３】複数のインク通路の近傍部に設けられる複
数の圧電アクチュエータの電極に夫々接続された複数の
第１引出し電極は、積層体の内部において積層体の厚さ
方向に貫通状に形成され、複数の第２引出し電極は表面
に近い複数の圧電材料シートを貫通状に形成され、しか
もそれら第１，第２引出し電極の端部に複数の圧電アク
チュエータを駆動する駆動ＩＣが接続されるため、複数
の第１，第２引出し電極が、記録ヘッドの組付け時やキ
ャリッジへの取付け時に、損傷したり断線することがな
い。
【００１５】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態につ
いて図面を参照しながら説明するが、本実施形態は、イ
ンクジェットノズルとインク通路と圧電アクチュエータ
とを複数組組み込んだインクジェット式記録ヘッドの製
造方法及びその記録ヘッドに本発明を適用した場合のも
のである。
【００１６】図１に示すインクジェット式記録ヘッドの
製造工程に基づいて順次説明するものとする。但し、イ
ンクジェットノズルが形成される方を前方とする。先
ず、第１工程Ｋ１において、図２、図３に示すように、
圧電セラミックスの予焼粉末に、小量の有機バインダ、
可塑剤、分散剤などを加えたスラリーを、成膜装置によ
り厚さ約数10μm の厚膜にし、ヘッド本体１の大きさに
対応する所定のサイズに切断加工して複数枚のグリーン
シート１０〜１３を作成する。
【００１７】次に、第２工程Ｋ２において、インク通路
を形成する複数枚のグリーンシート１１の後端部分に、
インク通路３２に対応する隔壁３１の側面に設ける複数
の電極３５，３６（図８参照）に対応するように、幅数
10μm で所定長さを有する複数の引出し電極用開口部１
１ａを所定ピッチ毎に幅方向（左右方向）に１列状に形
成するとともに、表面に近い内部のグリーンシート１２
には、これら開口部１１ａと同様の開口部１２ａに加え
て、複数の電極に駆動信号を供給する駆動ＩＣ４６ の
入力端子部に接続される幅数10μm で所定長さを有する
複数の第２引出し電極用開口部１２ｂを所定ピッチ毎に
幅方向に１列状に形成する。
【００１８】更に、表面部の複数枚のグリーンシート１
３には、駆動ＩＣ４６の出力端子部を接続する幅数10μ
m で所定長さを有する複数の接続電極用開口部１３ａ
と、駆動ＩＣ４６の入力端子部を接続する幅数10μm で
所定長さを有する複数の接続電極用開口部１３ｂと、前
記複数の第２引出し電極２６に接続する幅数10μm で所
定長さを有する複数の接続電極用開口部１３ｃとを、夫
々所定ピッチ毎に幅方向に１列状に形成する。
【００１９】次に、第３工程Ｋ３において、複数枚のグ
リーンシート１１に対して、開口部１１ａ以外を目隠し
した図示外のメッシュシートを用いて、白金などの金属
の微粉末を樹脂系の液体に分散させた金属ペーストをヘ
ラなどで擦り付けることで、これら複数の引出し電極用
開口部１１ａを厚さ方向に貫通する複数の引出し電極形
成膜１５を形成する。同様にして、複数枚のグリーンシ
ート１２に対して複数の引出し電極形成膜１５と、複数
の第２引出し電極用開口部１２ｂを厚さ方向に貫通する
複数の第２引出し電極形成膜１６とを形成し、また複数
枚のグリーンシート１３に対して複数の接続電極用開口
部１３ａ〜１３ｃを厚さ方向に貫通する複数の接続電極
形成膜１７〜１９を形成する。
【００２０】次に、第４工程Ｋ４において、図４に示す
ように、複数枚のグリーンシート１０〜１３をこの順序
で積層する際に、対応する複数の電極形成膜１５〜１９
を積層させ、熱圧着して生積層体を作製する。次に、第
５工程Ｋ５において、その生積層体を、先ず４００°Ｃ
程度の温度に加熱して、内部に含まれる有機成分を全て
熱分解する脱バインダ処理を施した後、約1000°Ｃ以上
の温度で再加熱して焼結する。
【００２１】これにより、図５に示すように、焼結体で
ある圧電セラミックスからなるヘッド本体１（これが積
層体に相当する）を作製できるのと同時に、積層した複
数の引出し電極形成膜１５と複数の接続電極形成膜１７
とを一体化した、圧電アクチュエータの電極に接続され
る複数の引出し電極２５と第１接続端子２７、複数の第
２引出し電極形成膜１６と複数の接続電極形成膜１８，
１９とを夫々一体化した、第２引出し電極２６と第２接
続端子２８と第３接続端子２９とをヘッド本体１の内部
に夫々形成する。即ち、これら第１〜第３接続端子２７
〜２９の各々は、ヘッド本体１の表面に露出している。
【００２２】次に、第６工程Ｋ６において、ヘッド本体
１の相対向する２つの端面に、直流の高電圧を印加する
ことで、分極を１点鎖線の矢印で示す所定方向３８とな
るように形成する分極処理を行なう。その結果、ヘッド
本体１の分極方向３８を所定方向、例えば、図５にて上
方に向かう方向に形成できる。
【００２３】次に、第７工程Ｋ７において、図６、図７
に示すように、溝加工用のカッターを用いて、ヘッド本
体１の下端部に、前後方向に延びる複数の細溝３０を、
左右方向に所定ピッチ毎に形成する。このとき、複数の
細溝３０の後端部は、隣接する引出し電極２５に対応し
ており、細溝３０を加工することで、その細溝３０内に
引出し電極２５が露出する。このとき、これら複数の細
溝３０を仕切る複数の隔壁３１が形成されるとともに、
１つおきの細溝３０でインク通路３２が形成される。
【００２４】次に、第８工程Ｋ８において、図８に示す
ように、各細溝３０の側面の下半部分をマスキングシー
ル（２点鎖線で図示）により夫々マスキングしておき、
白金などの金属を蒸着させることで電極３５，３６を形
成する。電極３５，３６は、細溝３０内に露出している
引出し電極２５の端部におのずと接続する。その後、不
要なマスキングシールを取り外す。
【００２５】即ち、各隔壁３１のインク通路３２に面す
る側面の上半部分には、接地される電極３５が形成さ
れ、各隔壁３１のインク通路３２でない細溝３０に面す
る側面の上半部分には、後述する駆動ＩＣ４６からの駆
動電圧Ｖが供給される電極３６が形成される。ここで、
各電極３５，３６の各々は対応する引出し電極２５に接
続されている。また、インク通路３２の両側の隔壁３１
と、それら隔壁３１の側面に形成された電極３５，３６
などで圧電アクチュエータが構成されている。
【００２６】これにより、図９に示すように、インク通
路３２に隣接する２つの隔壁３１の電極３６に、後述す
る駆動ＩＣ４６から出力される駆動電圧Ｖが供給される
と、インク通路３２の右側の隔壁３１の上半部分が、分
極方向３８と直交する右側にせん断変形（厚みすべり変
形）するので、その隔壁３１としては略く字状に変形
し、同様にして、インク通路３２の左側の隔壁３１の上
半部分が左側にせん断変形して、隔壁３１としては略く
字状に変形する。このとき、図示外のインク供給源から
のインクがインク通路３２に補充され、その後電極３６
への駆動電圧Ｖの供給が停止されたときに、隔壁３１の
せん断変形が解除されるのに伴って、インク通路３２の
インクがインクジェットノズル４２から噴射される。
【００２７】次に、第９工程Ｋ９において、図１０に示
すように、カバー板４０をヘッド本体１の複数の細溝３
０を覆うように接着固定するとともに、複数のインクジ
ェットノズル４２を形成したノズル形成板４１をヘッド
本体１の前端面に接着固定する。これにより、インクジ
ェットノズル４２とインク通路３２と圧電アクチュエー
タとを複数組組み込んだ構造の記録ヘッド４５を作製で
きる。ここで、そのカバー板４０の後端側部分には、図
１１に示すように、その幅方向に延びるインク供給用の
切欠き４０ａが形成されており、このインク供給用切欠
き４０ａには、図示外のインクカートリッジに接続され
るインク供給部材を取付けるようになっている。
【００２８】次に、第１０工程Ｋ１０において、図１０
に示すように、複数の電極３６に駆動信号を供給する駆
動ＩＣ４６を、その出力端子部を複数の第１接続端子２
７に、またその入力端子を複数の第２接続端子２８にロ
ウ付けにより接続するのと同時にヘッド本体１に、接着
材などにより取付ける。また、図１２に示すように、複
数の第３接続端子２９をＦＰＣ（フレキシブル・プリン
ト・サーキット）４７の一端部にロウ付けにより接続す
る。更に、記録ヘッド４５の後端部をプリント基板４８
に接着材などにより取付け、ＦＰＣ４７の他端部をその
プリント基板４８に形成した配線パターン（図示略）に
接続することで、記録ヘッド４５をキャリッジ（図示
略）にユニット化して取付けることができる。ＦＰＣ４
７はクロック信号線、データ信号線、電圧線及びアース
線を備えたものであり、駆動ＩＣ４６は、クロック信号
線から供給された連続するクロックパルスに基づいて、
データ信号線に現れるデータからどのノズル４２からイ
ンク噴射を行うべきかを判断し、対応する引出し電極２
５に電圧線の電圧を印加する。
【００２９】ところで、図１３に示すように、前記カバ
ー板４０Ａを、複数のグリーンシートを積層して焼結に
より作製する一方、ヘッド本体１Ａの細溝３０Ａに対応
する複数の細溝５０を形成し、ヘッド本体１Ａの分極方
向３８と反対の分極方向５１となるように分極処理し、
前記接地側の電極３５に対応する電極５２と、前記駆動
側の電極３６に対応する電極５３とを、これら２つの細
溝３０Ａ，５０に亙って一体的に形成してもよい。
【００３０】以上説明したように、圧電材料製のグリー
ンシート１０〜１３を複数枚積層させてヘッド本体１を
形成する為に、一部のグリーンシート１１〜１２にその
厚さ方向に貫通するように複数の引出し電極形成膜１５
を形成し、グリーンシート１０〜１３を積層する際に、
対応する複数の引出し電極形成膜１５を積層させて圧電
アクチュエータの電極３５，３６に接続される複数の引
出し電極２５を形成するので、それら複数の引出し電極
２５をヘッド本体１の内部に一体的に形成することがで
き、複数の引出し電極２５を損傷や断線から確実に保護
することができる。
【００３１】また、前記ヘッド本体１の表面に近い内部
のグリーンシート１２に、複数の第２引出し電極形成膜
１６を形成し、前記複数の引出し電極２５と第２引出し
電極２６とに、圧電アクチュエータを駆動する駆動ＩＣ
４６を接続するので、駆動ＩＣ４６をヘッド本体１に取
付ける際に、駆動ＩＣ４６とこれら複数の引出し電極２
５や第２引出し電極２６に同時に接続できる。更に、駆
動ＩＣ４６をヘッド本体１の表面に設けることから、イ
ンク噴射作動により駆動ＩＣ４６で発生する熱がヘッド
本体１に効率良く伝達されるので、駆動ＩＣ４６の熱が
効果的に放熱できるとともに、その熱でインク通路３２
のインクの温度が上昇してその粘性が低くなり、インク
噴射性能が向上する。
【００３２】また、前記駆動ＩＣ４６を記録ヘッド外の
プリント基板４８の配線パターンに接続する為の複数の
第２引出し電極２６をヘッド本体１に形成し、それら第
２引出し電極２６に接続された第３接続端子２９をヘッ
ド本体１の表面に夫々露出させたので、これら第２引出
し電極２６を介して駆動ＩＣ４６の入力端子部に接続さ
れる信号線は、データ信号や制御信号などの数本なの
で、これら第３接続端子２９とプリント基板４８の配線
パターンとの電気的接続構造を簡単化することができ
る。
【００３３】ここで、前記実施形態の変更態様として、
前記複数の第３接続端子２９をヘッド本体１の後端部に
形成するようにし、記録ヘッド４５の後端部をプリント
基板４８に取付ける際に、これら第３接続端子２９をプ
リント基板４８の配線パターンにロウ付けやワイヤーボ
ンディングなどで同時に接続することで、ＦＰＣ４７を
省略するようにしてもよい。更に、熱により泡を発生し
てインクを噴射する記録ヘッドなど、種々のインクジェ
ット式記録ヘッドの製造方法及びその記録ヘッドに本発
明を適用することが可能である。
【００３４】
【発明の効果】請求項１のインクジェット式記録ヘッド
の製造方法によれば、複数のグリーンシートの各々にそ
の厚さ方向に貫通する複数の第１引出し電極形成膜を形
成すると共に、表面に近い複数のグリーンシートの各々
にその厚さ方向に貫通する複数の第２引出し電極形成膜
を形成し、それらのグリーンシートを積層する際に、上
下に対応する複数の第１引出し電極形成膜を積層させて
複数組の圧電アクチュエータの電極に接続される複数の
第１引出し電極を形成すると共に、上下に対応する複数
の第２引出し電極形成膜を積層させて複数の第２引出し
電極を形成するため、それら複数の第１，第２引出し電
極を内部に一体的に容易に形成することができ、記録ヘ
ッドを小型に製造できるだけでなく、複数の第１，第２
引出し電極を損傷や断線から確実に保護することができ
る。
【００３５】また、複数のグリーンシートを積層し、複
数の第１，第２引出し電極を形成してから、前記表面側
において複数の第１引出し電極の端部と複数の第２引出
し電極の端部とに複数組の圧電アクチュエータを駆動す
る駆動ＩＣを接続するので、駆動ＩＣをヘッド本体に取
付ける際に、駆動ＩＣをこれら複数の第１，第２引出し
電極に同時に接続できる。更に、駆動ＩＣを表面に設け
ることから、インク噴射作動により駆動ＩＣで発生する
熱が効率良く伝達されるので、駆動ＩＣの熱が効果的に
放熱できる。
【００３６】請求項２のインクジェット式記録ヘッドに
よれば、圧電材料シートを複数枚積層させた積層体と、
前記複数の圧電材料シートの各々にその厚さ方向に夫々
貫通状に形成され且つ圧電材料シートの積層方向に接続
された複数の第１引出し電極 を形成する複数の第１引出
し電極形成膜と、前記積層体の表面に近い複数の圧電材
料シートの各々にその厚さ方向に夫々貫通状に形成され
且つ圧電材料シートの積層方向に接続された複数の第２
引出し電極を形成する複数の第２引出し電極形成膜と、
前記第１引出し電極の端部と第２引出し電極の端部に夫
々接続されて前記積層体の表面に取付けられた駆動ＩＣ
であって、複数組の圧電アクチュエータを駆動する駆動
ＩＣとを備えているため、複数の第１，第２引出し電極
が、記録ヘッドの組付け時やキャリッジへの取付け時
に、損傷したり断線することがない。また、配線の一部
が外に出ないので、記録ヘッドを小型化できる。
【００３７】さらに、前記積層体の前記表面に前記駆動
ＩＣを設け、前記複数の第１，第２引出し電極を駆動Ｉ
Ｃに接続したので、駆動ＩＣを積層体に取付けるのと同
時に、駆動ＩＣを複数の第１，第２引出し電極に接続で
きる。また、複数の第２引出し電極を介して駆動ＩＣの
入力端子部に接続される信号線は、データ信号線や電圧
線などの数本なので、これら端子と電気系の接続コード
との電気的接続構造を簡単化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態に係るインクジェット式記録
ヘッドの製造工程を示す工程表である。
【図２】複数の開口部や電極形成膜を形成して積層する
グリーンシートの斜視図である。
【図３】複数の開口部や電極形成膜を形成して積層する
グリーンシートの縦断側面図である。
【図４】積層した複数枚のグリーンシートの要部縦断側
面図である。
【図５】焼結により形成したヘッド本体の要部縦断側面
図である。
【図６】細溝を形成した図５相当図である。
【図７】図６のVII −VII 線断面図である。
【図８】ヘッド本体の要部縦断拡大断面図である。
【図９】隔壁がせん断変形したときの図８相当図であ
る。
【図１０】記録ヘッドの分解斜視図である。
【図１１】記録ヘッドの斜視図である。
【図１２】プリント基板に取付けた記録ヘッドの斜視図
である。
【図１３】変更形態に係る図８相当図である。
【図１４】従来の技術に係る記録ヘッドとプリント基板
の斜視図である。
【符号の説明】
１ ヘッド本体 １０〜１３ グリーンシート ４６ 駆動ＩＣ ２５ 引出し電極（第１引出し電極） ２６ 第２引出し電極 ４２ インクジェットノズル ３２ インク通路 ３５，３６ 電極 １５ 引出し電極形成膜（第１引出し電極形成膜） １６ 第２引出し電極形成膜

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 圧電材料製の複数枚のグリーンシートの
    焼結体を含むヘッド本体に、インクジェットノズルとイ
    ンク通路と圧電アクチュエータとを複数組組み込んだ構
    造のインクジェット式記録ヘッドを製造する方法におい
    て、複数のグリーンシートの各々に その厚さ方向に貫通する
    複数の第１引出し電極形成膜を形成すると共に、表面に
    近い複数のグリーンシートの各々にその厚さ方向に貫通
    する複数の第２引出し電極形成膜を形成し、 それらのグリーンシートを積層する際に、上下に対応す
    る複数の第１引出し電極形成膜を積層させて複数組の圧
    電アクチュエータの電極に接続される複数の第１引出し
    電極を形成すると共に、上下に対応する複数の第２引出
    し電極形成膜を積層させて複数の第２引出し電極を形成
    し、 積層した複数のグリーンシートを焼結し 、前記表面側において複数の第１引出し電極の端部と複数
    の第２引出し電極の端部とに、複数組の圧電アクチュエ
    ータを駆動する駆動ＩＣを接続する ことを特徴とするイ
    ンクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項２】 インクジェットノズルとインク通路と圧
    電アクチュエータとを複数組組み込んだ構造のインクジ
    ェット式記録ヘッドにおいて、圧電材料シートを複数枚積層させた積層体と、 前記複数の圧電材料シートの各々にその厚さ方向に夫々
    貫通状に形成され且つ圧電材料シートの積層方向に接続
    された複数の第１引出し電極を形成する複数の第１引出
    し電極形成膜と、 前記積層体の表面に近い複数の圧電材料シートの各々に
    その厚さ方向に夫々貫通状に形成され且つ圧電材料シー
    トの積層方向に接続された複数の第２引出し電極を形成
    する複数の第２引出し電極形成膜と、 前記第１引出し電極の端部と第２引出し電極の端部に夫
    々接続されて前記積層体の表面に取付けられた駆動ＩＣ
    であって、複数組の圧電アクチュエータを駆動する駆動
    ＩＣと、 を備えたことを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
    ド。
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