ところで、近年、小型でかつ高速や高解像度といった高性能なインクジェットプリンタの要望がある。それに伴い、インクジェットヘッドを大面積化することなく、ノズル数やノズル列数をさらに増設させ、対応する個別電極を更に増設させることが求められている。しかしながら、特許文献1のように圧電アクチュエータの同一表面において、フレキシブル配線材との導通のために個別電極とともに共通電極の端子部が、個別電極の端子部の群の両側に並んで配置される必要があるため、圧電アクチュエータを大面積化することなく、個別電極を増やして高密度化させることに限界が生じていた。さらに、フレキシブル配線材には、圧電アクチュエータの個別電極の端子部に接続される多数の個別導体と、圧電アクチュエータの共通電極の端子部に接続される接地導体とが形成され、それぞれの各導体と外部電源とを接続するための配線が形成されている。その配線のうち、フレキシブル配線材の表面に実装された圧電アクチュエータへ駆動信号を送る駆動回路と、多数の個別導体群を結ぶ配線は、接地導体に接続する配線を迂回して配線されなければならず、フレキシブル配線材を大面積化させずに個別電極の数を増やすと、配線間の密度が狭ピッチになり、製造限界が生じていた。
そこで、本発明は、液滴吐出装置の電極の高密度化に伴い、フレキシブル配線材やアクチュエータを大面積化させることなく、電極の高密度化を図ることを目的としている。
本発明は上述のような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る液滴吐出装置は、液滴を吐出する複数のノズルに夫々対応する複数の圧力室が設けられた流路ユニットと、前記流路ユニットに前記圧力室と対向するように積層され、前記複数の圧力室に対応した複数の活性部を選択的に駆動させるアクチュエータと、前記アクチュエータの表面に接続され、複数の個別導体を有するフレキシブル配線材と、接地導体を有し、前記フレキシブル配線材とは別体である可撓性ケーブルのアース配線材とを備え、前記アクチュエータは、前記複数の活性部に対応して連続配置される共通電極と、前記複数の活性部に夫々対応して個々に配置される複数の個別電極とを有し、前記フレキシブル配線材の前記複数の個別導体が、前記アクチュエータの前記複数の個別電極に夫々接続されているとともに、前記アース配線材の前記接地導体が、前記アクチュエータの前記共通電極に接続されていることを特徴とする。
前記構成によれば、フレキシブル配線材とは別体のアース配線材が用いられて、アクチュエータの共通電極にアース配線材の接地導体が接続されているので、フレキシブル配線材には接地導体を形成する必要がなくなる。よって、フレキシブル配線材の大面積化を抑制することが可能となる。また、従来は接地導体を形成していた面積に個別導体を増設することもできるので、フレキシブル配線材を大面積化することなく個別導体を増設でき、フレキシブル配線材の配線ピッチが狭ピッチとなることを抑制できる。さらに、アース配線材はフレキシブル配線材とは別体であるため、アース配線材のレイアウトは個別導体に制約されず、アース配線材の配置自由度が向上する。よって、アクチュエータの共通電極におけるアース配線材の接地導体に接続される部分を比較的自由な位置に形成することができ、アクチュエータの小型化や個別電極の高密度化を図ることが可能となる。
前記アクチュエータは、圧電体を前記共通電極と前記複数の個別電極とで挟むように構成され、前記アクチュエータの側端部に前記共通電極の端縁部が露出しており、前記アース配線材の前記接地導体が、導電性接着剤を介して前記共通電極の前記端縁部に接続されていてもよい。
前記構成によれば、アクチュエータの側端部に露出した共通電極の端縁部がアース配線材の接地導体と接続されるので、共通電極には従来のような表面電極となる端子部を設ける必要がなく、アクチュエータの小面積化を図ることができる。また、従来は共通電極が設けられていた面に個別電極を増設することができ、アクチュエータを大面積化することなく高密度化できる。さらに、アース配線材の接地導体は導電性接着剤を介して共通電極の端縁部に接続されるので、安定かつ容易に導通を確保することができる。
前記アクチュエータの両側の側端部に前記共通電極の前記端縁部が夫々露出しており、前記アース配線材の前記接地導体と導通する前記導電性接着剤が少なくとも前記両側の端縁部を含んで塗布されていてもよい。
前記構成によれば、アクチュエータの対向する側端部の両方において共通電極が接地されるので、複数の個別電極と共通電極との間の電流方向を一方向にならぬよう両側に分散させることができ、アクチュエータにおける電気的バランスが良好となる。
前記流路ユニットは導電性材料からなり、前記導電性接着剤が前記流路ユニットにも接触していてもよい。
前記構成によれば、アース配線材の接地導体が導電性接着剤を介して流路ユニットに導通されることとなり、導電性材料からなる流路ユニットの接地を別途行う必要がなくなる。よって、流路ユニットの接地のための部品点数、製造工数及び製造コストを削減することができる。
前記アクチュエータは、前記流路ユニットの一部に重ねられ、前記流路ユニットには、前記アクチュエータを囲繞するように導電性材料からなる枠状のフレーム板が重ねられており、前記導電性接着剤は、前記アクチュエータの前記側端部と前記フレーム板の内周縁部との隙間に塗布されていてもよい。
前記構成によれば、導電性接着剤がアクチュエータの外周とフレーム板の内周との間で位置決めされ、導電性接着剤の塗布固化を精度良く且つ容易に行うことができる。また、導電性接着剤がアクチュエータとフレーム板との隙間に塗布されることで、アース配線材の接地導体が導電性接着剤を介してフレーム板に導通させることが可能となり、導電性材料からなるフレーム板の接地を別途行う必要がなくなる。よって、フレーム板の接地のための部品点数及び製造工数を削減することができる。
前記フレキシブル配線材は、前記アクチュエータとの対向面の反対側の面に接地導通部を露出して有しており、前記接地導通部と接続されたアース配線材は余長部を有していてもよい。
前記構成によれば、フレキシブル配線材が撓むことに伴ってアース配線材が湾曲した場合でも、その湾曲が余長部で吸収され、アース配線材に無理な応力が発生するのを防止することができ、アース配線材とフレキシブル配線材の接続部の剥離などを防止できる。
前記フレキシブル配線材は、その一端部が前記アクチュエータの前記個別電極にそれぞれ接続されていて、その他端部が外部信号源と接続する中継回路基板と接続されており、前記アース配線材は、その一端部が前記共通電極と接続されていて、その他端部が前記中継回路基板に接続されていてもよい。
前記構成によれば、フレキシブル配線材に接地導通部を設ける必要がなく、アース配線材によって直接に中継回路基板と接地導通されるため、フレキシブル配線材の大面積化が抑制され、個別導体の増設に対しても、配線ピッチが狭ピッチになることを防止できる。
前記アクチュエータの表面には、列をなして露出する前記各個別電極の端子部と、前記列方向に直交する方向における一端側に露出する前記共通電極の端子部とが設けられており、前記フレキシブル配線材は、前記アクチュエータの表面と略平行な方向でかつ前記列と直交する方向における他端側に延出されており、前記フレキシブル配線材の前記個別導体が前記個別電極の前記端子部に接続され、前記アース配線材の前記接地導体が前記共通電極の前記端子部に接続されていてもよい。
前記構成によれば、フレキシブル配線材の一端側に対応する位置にアクチュエータの共通電極の端子部が配置されているが、共通電極の端子部に対してはアース配線材を用いて接地配線がなされるので、フレキシブル配線材に個別導体を迂回する接地導体を設ける必要がなくなる。よって、フレキシブル配線材の大面積化を抑制することができる。
前記フレキシブル配線材は、前記他端側において前記アクチュエータとの対向面と反対側の面に露出した接地導通部と、前記一端側において両面に露出した独立導体とを有し、前記アース配線材が、前記フレキシブル配線材の前記対向面と反対側の面にて前記接地導通部と前記独立導体との間に接続されることで、前記フレキシブル配線材と前記アース配線材とを有するケーブルモジュールが構成されており、前記独立導体の前記フレキシブル配線材の前記対向面に露出した部分が、前記共通電極の端子部に接続されていてもよい。
前記構成によれば、フレキシブル配線材とアース配線材とを接続したケーブルモジュールが構成されているので、ケーブルモジュールをアクチュエータに一括接続するだけで、フレキシブル配線材とアース配線材との両方をアクチュエータに同時に接続することができ、製造効率が向上する。また、ケーブルモジュールはフレキシブル配線材が延在する方向に平行して構成されるため、省スペース化できる。
前記フレキシブル配線材は、前記一端側において両面に露出した独立導体を有し、前記他端側が外部信号源と接続する中継回路基板と接続されており、前記アース配線材は、前記フレキシブル配線材の前記アクチュエータとの対向面と反対側の面にて前記独立導体と前記中継回路基板との間で接続されることで、前記フレキシブル配線材と前記アース配線材とを有するケーブルモジュールが構成されており、前記独立導体の前記フレキシブル配線材の前記対向面に露出した部分が、前記共通電極の端子部に接続されていてもよい。
前記構成によれば、フレキシブル配線材に接地導通部を設ける必要がなく、アース配線材によって直接に中継回路基板と接地導通されるため、フレキシブル配線材の大面積化が抑制され、個別導体の増設に対しても、配線ピッチが狭ピッチになることを防止することができる。
また本発明に係る液滴吐出装置の製造方法は、圧電体の複数の活性部を共通電極と複数の個別電極とで挟むように構成されて表面に前記各個別電極の端子部が露出している積層体であって、前記共通電極が前記複数の活性部に対応して連続配置され、前記複数の個別電極が前記複数の活性部に夫々対応して個々に配置された積層体を所要形状に切断することで、その切断面である側端部に前記共通電極の端縁部が露出したアクチュエータを形成する工程と、液滴を吐出する複数のノズルに夫々対応する複数の圧力室が設けられた流路ユニットに、前記圧力室と前記活性部とを対応させて前記アクチュエータを重ねる工程と、フレキシブル配線材の複数の個別導体を前記アクチュエータの前記各個別電極の前記各端子部に夫々接続する工程と、前記アクチュエータの前記共通電極の前記端縁部に導電性接着剤を塗布する工程と、前記フレキシブル配線材とは別体である可撓性ケーブルのアース配線材の接地導体を前記導電性接着剤に接続する工程と、を備えていること特徴とする。
前記方法によれば、積層体を所要形状に切断するだけで共通電極の端子となる端縁部が形成され、容易な方法で製造工数を削減することができる。また、フレキシブル配線材とは別体のアース配線材が用いられ、アクチュエータの共通電極にはアース配線材の接地導体が接続されているので、フレキシブル配線材に接地導体を形成する必要がなくなる。よって、フレキシブル配線材の大面積化を抑制することが可能となる。また、アース配線材はフレキシブル配線材とは別体であるため、アース配線材のレイアウトは個別導体に制約されず、アース配線材の配置自由度が向上する。よって、アクチュエータの共通電極におけるアース配線材の接地導体に接続される部分を比較的自由な位置に形成することができ、アクチュエータの小型化や高密度化を図ることが可能となる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、液滴吐出装置の電極の高密度化に伴い、フレキシブル配線材やアクチュエータを大面積化させることなく、電極の高密度化を図ることが可能となる。
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下の説明ではインクジェットヘッドからインクを吐出する方向を下方または下側とし、その反対側を上方または上側とする。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタ1の要部を示す概略斜視図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、一対のガイドレール2,3が略平行に配設されており、そのガイドレール2,3にヘッドユニット4(液滴吐出装置)が走査方向にスライド可能に支持されている。ヘッドユニット4には、インクタンク(図示せず)からの4色のインク(ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー)を夫々供給する複数のインク供給チューブ9が接続されている。ヘッドユニット4には、ノズル49が下方に露出してインクジェットヘッド14(図2参照)が搭載されており、その下方で走査方向と直角する方向に搬送される記録用紙に向けてインクジェットヘッド14からインクが吐出される構成となっている。ヘッドユニット4は、一対のプーリー5,6に巻き掛けられたタイミングベルト7に接合されており、タイミングベルト7はガイドレール3の延在方向と略平行に配設されている。一方のプーリー5には正逆回転駆動するモータ8が設けられており、そのプーリー5が正逆回転駆動されることでタイミングベルト7が往復移動し、ヘッドユニット4がガイドレール2,3に沿って走査される。
図2は図1に示すインクジェットプリンタ1のヘッドユニット4の分解斜視図である。図2に示すように、ヘッドユニット4は、上から順に、バッファタンク11と、キャリッジ12と、フレーム板13と、インクジェットヘッド14と、保護カバー15とを備え、さらに、インクジェットプリンタの本体側に固定的に設置されたメイン制御回路基板(図示せず)にフレキシブルケーブル72を介して接続される中継回路基板70をさらに備えている。そして、ヘッドユニット4の底面12aの下側に、フレーム板13及び保護カバー15を接着固定されたインクジェットヘッド14が接着固定され、ヘッドユニット4の底面12aの上側にはバッファタンク11が備え付けられ、キャリッジ12の上面に中継回路基板50が支持されて構成される。
バッファタンク11は、カートリッジ型のインクタンク(図示せず)からインク供給チューブ9(図1参照)を介して供給される4色のインクを一旦貯留し、インクジェットヘッド14に適宜インクを供給する構成となっている。バッファタンク11の内部には、4色のインクに対応して4つのインク室がそれぞれ形成されており、各インク室内のインクをインクジェットヘッド14に供給するためのインク流出口11aと連通している。また、バッファタンク11の貯留量はインクタンク(図示せず)に貯留されるインク量に比べて小容量である。
キャリッジ12は、底壁部12aと側壁部12cとを有する断面凹形状の樹脂製のケースであり、バッファタンク11がケース内に収容されるとともに、フレーム板13及び保護カバー15を備えたインクジェットヘッド14が下面側に固定されて、ガイドレール5,6(図1参照)にスライド可能に載置される。底面12aには、後述するインクジェットヘッド14のフレキシブル配線材19を挿入するためのスリット12bが貫通形成されている。フレキシブル配線材19は、スリット12bを通過して駆動ICチップ22を放熱板(図示せず)に接触させ、バッファタンク11とキャリッジ12の側壁部12cとの間を上方に通って引き出され、他のフレキシブル配線材72と接続されている中継回路基板70のコネクタ71に接続される。中継回路基板70は、剛性を有する電気絶縁基板に配線パターンが印刷形成されたもので、フレキシブル配線材19の一端の端子が着脱可能に接続されるコネクタ71を上面に有する。コネクタ71は、端子を挿抜するタイプ、レバー部材で端子を挟むタイプのものなど、各種のものが使用される。また、中継回路基板70には、後述する共通電極端子73をその上面に有している。
インクジェットヘッド14は、インク滴を吐出する複数のノズル49(図5及び図6参照)を最下面に有する流路ユニット17と、流路ユニット17の上面の一部に積層され流路ユニット17内のインクに選択的に吐出圧力を与える圧電駆動式のアクチュエータ18と、アクチュエータ18の上面にその一端が接続され、他端が走査方向に引き出された可撓性の平坦なフレキシブル配線材19と、アクチュエータ18の側端部に接続されるアース配線材20とを備えている。インクジェットヘッド14についての詳細は後述する。
保護カバー15は、平面視コ字形状であり、インクジェットヘッド14の周囲に配置されるようにフレーム板13の下面に取り付けられている。これにより、インクジェットヘッド14とフレーム板13との間の段差が解消された状態で、インクジェットヘッド14のノズル49が保護カバー15により保護されることとなる。
図3は図2に示すインクジェットヘッド14にフレーム板13及び保護カバー15が積層された状態の斜視図である。図2及び図3に示すように、フレーム板13は、金属等の高剛性の導電性材料からなる扁平な枠状体であり、矩形状の窓部13aと、4つのインク通路孔13bとを有している。窓部13aは、アクチュエータ18と対応する位置に貫通形成されていて、平面視でアクチュエータ18の外形よりも大きく、かつ流路ユニット17の外形よりも小さく形成されていて、その窓部13aからインクジェットッヘッド14のフレキシブル配線材19の他端を引き出し、アクチュエータ18部分が窓部13aから露出するようにして流路ユニット17と接着されている。また、インク通路孔13bは、流路ユニット17の後述するインク供給口17aに連通するように貫通形成されている。
また、図2に示すように、フレーム板13及び保護カバー15が接着固定されたインクジェットヘッドは、キャリッジ12の底面12aの下面とフレーム板13が接着固定され、図示しないキャリッジ12の底面12aの開口部からインク通路孔13bが表出している。インク通路孔13bは、キャリッジ12内に収容されたバッファタンク11のインク流出口11aとの間に弾性シール材23が配設され、バッファタンク11のインク流出口11aが、弾性シール材23及びフレーム板13のインク通路孔13bを介して、流路ユニット17のインク供給口17aと気密的に連通する。
次にインクジェットヘッド14について説明する。図4は図2に示すインクジェットヘッド14の平面図である。図5は図4のV−V線断面図である。図6は図4のVI−VI線断面図である。なお、説明のため、フレキシブル配線材19は省略して記載されてある。
インクジェットヘッド14は、上述したように流路ユニット17とアクチュエータ18とが積層接着され、さらにアクチュエータ18の上面にフレキシブル配線材19を接合し、さらにアース配線材20とを接続した構成である。
流路ユニット17は、内部にインク流路を構成する開口を有する複数のプレート43〜47が積層接着された構成となっている。その最下面のプレート47には、複数のノズル49が下方に開口露出して形成され、列方向(走査方向に直角方向)に千鳥状に並び、走査方向にインク色ごとに4列配列されている。最上面のプレート43には、複数の圧力室39が平面視細長形状に形成され、複数のノズル49に対応して列方向に千鳥状に並び、走査方向に4列配列して形成されている。圧力室39の長手方向(走査方向)の一端部が複数のノズル49と、他端部が後述する共通液室37に連通して形成されている。共通液室37は、2枚のプレート45、46にインク色ごとに走査方向に4列配列されていて、列方向に延在して形成されている。共通液室37には、後述するインク供給口17aから各インクが供給されている。
また、プレート44、45及び46には、共通液室37と圧力室39とノズル49とを連通させる各インク流路が形成されている。例えば、プレート45には、各圧力室39と各ノズル49を連通する流出路48が形成されていて、プレート44及び46には、各共通液室37と圧力室39の一端部とを連通させる複数の接続流路38が形成されている。また、インクを流路ユニット17の長手方向(列方向)の一側の端部には、バッファタンク11からの各インクが供給されるインク供給口17aがインク色別に形成され、共通液室37に各インクを供給している。なお、複数のプレート43〜46は、42%ニッケル合金鋼板製などの金属の導電性材料からなり、プレート47は、ポリイミド等の合成樹脂製である。
アクチュエータ18は、その平面視における外形を流路ユニット17の外形よりも小さくし、流路ユニット17の上面のうちインク供給口17aを含むアクチュエータ18の周囲が露出するようになっている。図4乃至図6に示すように、アクチュエータ18は、複数の圧力室39を覆う最下層の圧電体30を含んだ複数枚のシート状の圧電体30〜33が積層されている。1枚の圧電体の厚さは30μm程度で、例えばPZTなどからなる。各圧電体のうち、下から偶数段目の圧電層31の上面(広幅面)には、圧力室39に対応した箇所に細幅の個別電極35が形成され、下から奇数段目の圧電層32の上面(広幅面)には、複数の圧力室に対して共通の共通電極34がアクチュエータ18の両側端部18aにまで連続して設けられている。共通電極34と個別電極35は、最下層の圧電体を除いて、少なくとも1つの圧電体を挟んで交互に配置され、互いに対向している。そして、アクチュエータ18の個別電極35のそれぞれと、流路ユニット17の圧力室のそれぞれを対向させて、その両者が接着固定されている。
また、圧電体は、共通電極34と個別電極35とで挟まれた部位が変形可能な活性部Aとなっており、即ち、共通電極34が複数の活性部Aに対応して連続配置されており、個別電極35は複数の活性部Aに夫々対応して個々に配置されている。活性部Aは、後述する駆動ICチップ22が、印字データに応じて選択的に個別電極35と共通電極34との間に電圧を印加させることにより、その印加された個別電極35に対応した活性部Aを積層方向に歪ませ、この変位が圧力室の容積を変化させ、インクを吐出する圧力と圧力波を発生させ、インクをノズルから吐出させる。
さらに、アクチュエータ18は、最上層に絶縁シート33が積層されており、圧電シート内の個別電極35に、公知のスルーホールに充填された導電性材料を介して導通する個別表面電極35が絶縁シート33の表面に列方向に千鳥状に並び、走査方向に4列に並んで形成している。そして、アクチュエータ18上には、後述するフレキシブル配線材19の接合面(下面)と接続される個別電極35の端子部35aが設けられている。個別電極端子部35aは、個別電極35と同じ細幅の矩形状で、個別電極35の1つの列において、各個別電極35の長手方向(走査方向)の一端寄りまたは他端よりに交互に配列されている。
また、共通電極34は、アクチュエータ18の列方向両側の側端部18aに共通電極34の端縁部34aが夫々露出しており、この端縁部34aがアース配線材20との接続端子の役目を果たしている。
アクチュエータ18の形成方法としては、圧電体30〜32、共通電極34、個別電極35及び絶縁シート33からなる大面積の積層体を焼成後に所要形状にダイサーで切断することで、その切断面である列方向両側の側端部18aに共通電極34の両端縁部34aが露出したアクチュエータ18が形成されている。
フレキシブル配線材19は、外部からの制御信号を伝達するための複数の配線パターン100、101a、101bが配設されており、フレキシブル配線材19の一端はアクチュエータ18の最上層の面と接合して電気的に接続され、他端は走査方向に引き出されている。フレキシブル配線材19上の他端側には、印字データにもとづいてアクチュエータ18に電圧を選択的に印加する駆動ICチップ22が搭載されている。フレキシブル配線材は、例えば、COF(Chip on Film)で、電気絶縁性を有し可撓性の合成樹脂材(例えば、ポリイミド樹脂)からなる帯状のベース材の片面に、銅箔からなる複数の個別導体19a、複数の配線100、101a、101bがフォトレジスト等により形成されていて、これらの表面を、電気絶縁性を有し可撓性の合成樹脂(例えば、ポリイミド樹脂)からなるカバーレイにて被覆させている。また、ベース材の上面に塔載された駆動ICチップ22は、入力側個別配線101aと出力側個別配線101b及び共通電極配線100が接続されている。個別導体19aは、アクチュエータ18と接続する下面に、アクチュエータ18の個別電極35の端子部35aと対応する位置に形成され、配線パターン101bの端部と接続されている。個別導体19aは、フレキシブル配線材19のベース材の個別電極35の端子部35aに対応する部位に開口部を形成することで露出しており、その露出した個別導体19aと個別電極35の端子部35aとが導電性ろう材により固着されている。
配線パターン100は共通電極用配線で、フレキシブル配線材の幅方向(列方向)の一側に配線されていて、その部分においてカバーレイが少なくとも1箇所で露出して、接地導通部19b(図7参照)を設けている。接地導通部19bは、アクチュエータ18の個別電極端子と接続するフレキシブル配線材19の個別導体が形成されていない余白領域に設けられていて、接地導通部19bはグランド電位に保持されている。フレキシブル配線材19の引き出された側の一端は、バッファタンク11の上側に設けられた中継回路基板70に接続され、その中継回路基板70は、他のフレキシブルフラットケーブルを介してプリンタ本体側のメイン制御回路基板(図示せず)に接続される。
アース配線材20は、平面視で略U字形状とすることで余長部20dを有する平坦なジャンパーケーブルからなり、内部に幅広の接地導体20a(図7参照)を有しており、両端にそれぞれ端子部20b,20cが設けられている。アース配線材20は、共通電極に接続されてグランド線になる。
図7はアース配線材20が接続された状態のインクジェットヘッド14の平面図である。インクジェットヘッド14は、流路ユニット17の上面の一部にアクチュエータ18が重ねられ、アクチュエータ18の上面に露出した複数の個別電極35の端子部35a(図4参照)にフレキシブル配線材19の下面に露出した個別導体19aが夫々導電性ろう材により接続されている。さらにフレーム板13の窓部13aからフレキシブル配線材19を引き出し、アクチュエータ18に対応する部分を露出させた状態でそのフレーム板13の窓部13aによりアクチュエータ18が囲繞された状態となっている。フレキシブル配線材19の接地導通部19bには、予めアース配線材20の一端側の端子部20bが接続されている。アクチュエータ18の両側端部18aとフレーム板13の窓部13aの内周縁部との隙間Sには、導電性接着剤40,41が塗布されている。即ち、導電性接着剤40,41は、アクチュエータ18の共通電極34の両端縁部34aと、流路ユニット17の上面と、フレーム板13の窓部13aの内周縁部とに接触するように塗布され、流路ユニット17をグランドに落としている。
その導電性接着剤40には、アース配線材20の他端側の端子部20cが接続されている。こうすることで、アクチュエータ18の共通電極34の一端側(図7左側)の端縁部34aは、導電性接着剤40を介してアース配線材20の接地導体20aに接続されている。さらに、アクチュエータ18の共通電極34の他端側(図7右側)の端縁部34aは、導電性接着剤41、流路ユニット17、フレーム板13及び導電性接着剤40を介して、アース配線材20の接地導体20aに導通されている。また、アクチュエータ18の長手方向の側端部とフレーム板13の窓部13aとの隙間Sには、ポッティング剤42が塗布されているが、ポッティング剤42を導電性接着剤に替え、導電性接着剤40、41をつなぐようにすることでグランドとなる配線を太くすることができる。導電性接着剤40、41は、アクチュエータ18の両側端部18aに塗布させることが好ましいが、アース配線材20の接地導体20aと接続される側の側端部18aに塗布されていれば、片方の側端部18aだけでも良い。さらに、本実施形態では、フレーム板13の窓部13aとの隙間に導電性接着剤40、41が塗布されるが、フレーム板13が配置されないようなインクジェットヘッド14の構成の場合でも、アクチュエータ18の側端部18aとアース配線材20とに、導電性接着剤40または41が塗布されていれば、電気的に接続することが可能である。
フレキシブル配線材19は、図2に示すように、キャリッジ12のスリット12bに挿入され、図示しない放熱板と駆動ICチップ22を接触させ、バッファタンク11とキャリッジ12の側壁部12cとの間を通って、他のフレキシブル配線材(図示せず)と接続されるため、キャリッジ12内で撓ませる、または、折り曲げる必要がある。そのため、アース配線材20は、可撓性を持たすために余長部20dが備えられていて、その余長部20dが一端側(図7右側)に向くように配置されることでフレキシブル配線材19に対して平面視で重ねられている。余長部20dが設けられていることで、フレキシブル配線材19の撓みにより、フレキシブル配線材19とアース配線材20との接合部との剥離を防止することができる。アース配線材20の形状は、余長部20dが設けられていればこの形状に限らない。
以上に説明した構成によれば、アクチュエータ18の側端部18aに共通電極34を側端部34aに露出させて、フレキシブル配線材19とは別体のアース配線材20が用いられて、アクチュエータ18の共通電極34にアース配線材20の接地導体20aが接続されているので、アクチュエータ18の上面に従来のような共通電極34用の端子部を設ける必要がなく、アクチュエータ18の小面積化を図ることができる。また、アース配線材20の接地導体20aは導電性接着剤40,41を介して共通電極34の端縁部34aに接続されるので、安定かつ容易に導通を確保することができる。さらに、アクチュエータ18の対向する側端部18aの両方において共通電極34が接地されるので、複数の個別電極35と共通電極34との間の電流方向を一方向にならぬよう両側に分散させることができ、アクチュエータ18における電気的バランスを良好に保つことができる。導電性また、積層体を所要形状に切断してアクチュエータ18を形成するだけで共通電極34の端子となる端縁部34aが形成されるので、共通電極34に特別な端子部を設ける必要がなくなり、製造工数を削減することができる。アクチュエータ18の最上面に共通電極34を設置せず、個別電極35の端子部35aのみを設置することができ、アクチュエータ19を大面積化することなく、個別電極数を増やすことができる。
また、フレキシブル配線材19にはアクチュエータ18の共通電極に接続する接地導体を少なくとも1箇所設けてあればよいため、フレキシブル配線材19の大面積化を抑制して、個別電極数の増加に対応することが可能となり、配線密度も狭ピッチにしなくても良い。また、アース配線材20はフレキシブル配線材19とは別体であるため、アース配線材20のレイアウトはフレキシブル配線材19の個別導体19aに制約されず、アース配線材20の配置自由度が向上する。よって、アクチュエータ18の共通電極34における端子部分を比較的自由な位置に形成することができ、アクチュエータ18の小型化や高密度化を図ることが可能となる。
また、アース配線材20の接地導体20aは導電性接着剤40,41を介して流路ユニット17にも導通されているので、従来、銀ペーストを用いて手作業で行なっていた流路ユニット17の接地を別途行う必要がなくなり、部品点数、製造工数及び製造コストを削減することができる。かつ、アース配線材20の接地導体20aが導電性接着剤40,41を介してフレーム板13aにも導通されているので、フレーム板13の接地を別途行う必要がなくなり、部品点数及び製造工数をさらに削減することができる。
さらに、導電性接着剤40,41は、アクチュエータ18とフレーム板13との隙間Sに塗布されているので、導電性接着剤40,41がその隙間Sより位置決めされ、導電性接着剤40,41の塗布固化を精度良く且つ容易に行うことができる。また、アース配線材20は、フレキシブル配線材19の接地導通部19bとアクチュエータ18の共通電極34の端縁部34aとの間の距離よりも全長が長くなるように余長部20dを有している。よって、フレキシブル配線材19の撓みによりアース配線材20が湾曲した場合でも、その湾曲が余長部20dで吸収され、アース配線材20に無理な応力が発生するのを防止することができる。なお、本実施形態では、導電性接着剤40,41をアクチュエータ18の両側に塗布しているが、片側に導電性接着剤40を塗布するだけでもよい。
また、アース配線材20は、アクチュエータ18及びフレキシブル配線材19の一方側(図7左側)のみに配線されているが、両側(図7左右両側)に分割させてもよく、フレキシブル配線材の幅方向(列方向)に対称に2つの接地導通部を設け、2つの接地導通部に引き回される配線100を形成させ、アクチュエータの両側端部18の両側縁部34aと導電性接着剤40、41を導通させて、2つのアース配線材20を導電性接着剤40、41と、2つの接地導通部とをそれぞれ接続させてもよい。このように構成することで、フレキシブル配線材に配線100を両側に設ける必要はあるため、大面積化の点では効果は小さいが、アクチュエータ18の両側間での電位差を低減することができる。
なお、アース配線材20は、ジャンパーケーブルに限定されることはなく、可撓性を有する導電性の接続材料(例えば、撚り電線やフレキシブルフラットケーブルなど)であれば十分に機能することができる。
また、第1実施形態の変形例として、フレキシブル配線材19の接地導通部19bを設けず、フレキシブル配線材19は、その個別導体19aがアクチュエータ18の個別電極35の端子部35aと接続され、その接続されたアクチュエータ18から引き出された側の端部が中継回路基板70と接続されていて、アース配線材20の一端をアクチュエータ18の側端部18aの共通電極34の端縁部34aと接続する一方、その引き出された側の他端部を中継回路基板70に直接接続させるようにしても良い。引き出されたアース配線材20は、フレキシブル配線材19と同様にキャリッジ12内のスリット12bから側壁部12cに沿って上方に引き出されて、中継回路基板70の共通電極端子73と接続する。共通電極端子73は、導電性ろう材等で基板70上にハンダ付けしてもよいし、アース配線材20の接地導体と同数の接点を有するものであって、端子を挿抜するタイプ、レバー部材で端子を挟むタイプのものなど、各種のものが使用される。
このような構成にすることで、フレキシブル配線材19内の共通電極配線100を形成する必要がないため、フレキシブル配線材19は大面積化を抑制できるだけでなく、入力側個別配線101a及び出力側個別配線101bのみを配線させることができ、個別電極を増設した場合でも、配線密度を狭ピッチにしないでもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図8は本発明の第2実施形態に係るインクジェットヘッドのアクチュエータ50を示す平面図である。図9は図8のIX−IX線断面図である。なお、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。図8及び図9に示すように、アクチュエータ50は、複数のシート状の圧電体51〜53が積層され、圧電体52の下面側に共通電極55が設けられていると共に圧電体52の上面側に複数の個別電極56が設けられており、共通電極55と個別電極56とで挟まれた部位が変形可能な活性部Aとなっている。即ち、共通電極55は、複数の活性部Aに対応して連続配置されており、個別電極56は複数の活性部Aに夫々対応して個々に配置されている。
また、アクチュエータ50は、最上層に絶縁シート54が積層されており、個別電極56にスルーホール57を介して導通する端子部56aが絶縁シート54の表面に4列露出している。さらに、アクチュエータ50は、共通電極55にスルーホール58を介して導通する端子部55aが絶縁シート54の表面に1列露出している。共通電極55の端子部55aは、列方向に直交する方向(走査方向)における一端側(図8下側)に並んで露出しており、後述するフレキシブル配線材60(図10参照)がアクチュエータ50の表面と略平行な方向でかつ列方向と直交する方向(走査方向)における他端側(図8上側)に延出配置される。
図10は図8に示すアクチュエータ50に接続されるフレキシブル配線材60の平面図である。図10に示すように、フレキシブル配線材60は、駆動ICチップ63が搭載されたCOF(Chip on Film)であり、第1実施形態と同じものである。フレキシブル配線材60は、アクチュエータ50の各個別電極56に駆動電圧を供給するための多数の個別導体61がアクチュエータ50の個別電極56の端子部56aに対応した位置に形成されている。さらに、フレキシブル配線材60の上面(アクチュエータ50との対向面の反対側の面)にはカバーレイを開口させて銅箔を露出してアース電位に保持される接地導通部62が形成されていて、さらにフレキシブル配線材のカバーレイを上下両面に島状に開口して銅箔を露出させ独立した導体である独立導体64が、アクチュエータ18の共通電極55の端子部55aに対応した位置に形成されている。接地導通部62は、平面視で個別電極61群と駆動ICチップ63との間の領域に銅箔を露出している。個別電極61の群は、接地導通部62と独立導体64との間の領域に配置されている。配線パターンは、共通電極配線102、駆動ICチップ22の入力側個別配線103aと出力側個別配線103bが形成されていて、接地導通部62は、共通電極配線102のカバーレイを露出させて形成され、出力側個別配線103bは、接地導通部62を迂回して各個別電極61まで引き出されて接続されている。
図11は図10に示すフレキシブル配線材60にアース配線材65が接続されてなるケーブルモジュール66の平面図である。図11に示すように、アース配線材65は、平面視で略矩形状の平坦なジャンパーケーブルからなり、内部に幅広の接地導体65aを有しており、両端にそれぞれ端子部65b,65cが設けられている。このアース配線材65は、その端子部65bを接地導通部62と接続し、その端子部65cを独立導体64と接続することで、フレキシブル配線材60の上面に重なるように接続されている。即ち、アース配線材65が接地導通部62と独立導体64との間に接続されることで、フレキシブル配線材60とアース配線材65とを有するケーブルモジュール66が予め一体的に形成されている。なお、アース配線材65は、端子部65b、65cを除いてフレキシブル配線材60の表面と接合されていないが、互いに面接合されていてもよい。
そして、そのケーブルモジュール66がアクチュエータ50の上面に載置され、フレキシブル配線材60の個別導体61がアクチュエータ50の個別電極56の端子部56aに接続されているとともに、フレキシブル配線材60の独立導体64の下面(図11紙面奥側)に露出した部分がアクチュエータ50の共通電極55の端子部55aに導電性ろう材にて接続されている。即ち、フレキシブル配線材60の接地導通部62は、アース配線材65の接地導体65a及びフレキシブル配線材60の独立導体64を介して、アクチュエータ50の共通電極55に導通されている。独立導体64は、カバーレイを上下面に島状に開口して銅箔を露出させて形成されているが、上面だけ銅箔を露出させ、下面には個別電極端子と同様に端子を設けてもよい。また、独立導体64は、アクチュエータ50の端子部55aとアース配線材65の接地導体65aとを接続できるように、フレキシブル配線材60の銅箔を露出させてあればよいので、開口形状は特に島状でなくてもよい。
以上に説明した構成によれば、フレキシブル配線材60の一端側(図10紙面下側)に対応する位置にアクチュエータ50の共通電極55の端子部55aが配置されているが、共通電極55の端子部55aに対してはアース配線材65を用いて接地配線がなされるので、フレキシブル配線材60に個別導体61を迂回する接地導体を設ける必要がなくなる。よって、フレキシブル配線材60の大面積化を抑制することができる。また、アクチュエータ50の共通電極55の端子部55aが、従来列方向の両端側に設けられていたが、走査方向の一端側に配置されることで、アクチュエータの列方向の長さを小さくすることができるとともに、アクチュエータの列方向に多数の電極を高密度配置することも可能となる。また、フレキシブル配線材60とアース配線材65とを接続したケーブルモジュール66が予め形成されているので、ケーブルモジュール66をアクチュエータ50に一括接続するだけで、フレキシブル配線材60とアース配線材65との両方をアクチュエータ50に同時に接続することができ、製造効率が向上する。また、ケーブルモジュール66が、フレキシブル配線材19の他端側が引き出された方向と平行に設けられるため、キャリッジ12にインクジェットヘッド14を配置しても、フレキシブル配線材19に沿って撓むことができるので、他の部品に接触することなく、コンパクトに収容することができるため、省スペース化の点で好ましい。
また、第2実施形態の変形例として、フレキシブル配線材60の接地導通部62を設けず、フレキシブル配線材60は、その個別導体61がアクチュエータ50の個別電極56の端子部56aと接続され、その接続されたアクチュエータ50から引き出された側の端部が中継回路基板70と接続されていて、アース配線材65の一端をフレキシブル配線材60の一端側の独立導体64と接続する一方、その引き出された側の他端部を中継回路基板70に直接接続させるようにしても良い。引き出されたアース配線材65は、フレキシブル配線材19の上面を覆うように沿って、キャリッジ12内のスリット12bから側壁部12cに沿って上方に引き出し、中継回路基板70の共通電極端子73と接続する。共通電極端子73とアース配線材65は、導電性ろう材等でハンダ付けしてもよいし、幅広に形成されたアース配線材65と接続できるように、共通電極端子73をアース配線材65の接地導体と同数の接点を有するものであって、端子を挿抜するタイプ、レバー部材で端子を挟むタイプのものなど、各種のものが使用される。
このような構成にすることで、フレキシブル配線材60内の共通電極配線102を形成する必要がないため、フレキシブル配線材60は大面積化を抑制できる。また第2実施形態では、少なからず接地導通部62が形成されている部分を迂回して配線103bを引き回す必要があったが、変形例においては、接地導通部62を設ける必要がないため、入力側個別配線103a及び出力側個別配線103bのみを配線させることができ、個別電極を増設した場合でも、配線密度を狭ピッチにしないでもよい。
なお、他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。また、前述した各実施形態は本発明をインクジェットヘッドに適用したものであるが、インク以外の液体を吐出する液滴吐出装置に適用してもよい。