JP3337189B2 - 水素吸蔵合金材料の表面処理方法、水素吸蔵合金電極の活性化処理方法、活性化溶液、および、初期活性に優れた水素吸蔵合金電極 - Google Patents

水素吸蔵合金材料の表面処理方法、水素吸蔵合金電極の活性化処理方法、活性化溶液、および、初期活性に優れた水素吸蔵合金電極

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Description

【発明の詳細な説明】 【発明の属する技術分野】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水素吸蔵合金材料の表
面処理方法、水素吸蔵合金電極の活性化処理方法、水素
吸蔵合金の活性化方法、それに用いる活性化溶液、およ
び初期活性に優れた水素吸蔵合金電極に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、水素吸蔵合金は、不活性ガス
雰囲気または真空雰囲気中で溶解し、金型に鋳込んで鋳
造材とした後、900〜1100℃の温度で長期間の均
質化熱処理を行い、その後、Arガス等の不活性ガス雰
囲気中で機械的な粉砕又は/及び水素の吸蔵放出を所定
の粒径が得られるまで繰り返す方法で製造されている。
最近では、不活性ガスを用いたガスアトマイズ法を採用
して、原料を溶解して溶湯をガスアトマイズすることに
より、粉末を容易に製造することが試みられている。と
ころが、水素吸蔵合金は、活性な金属元素を多く含んで
いるため、粉末表面は酸化され易く酸化層が形成され、
この酸化層によって水素化反応が阻害されてしまう。特
に、ガスアトマイズ法により製造した粉末は、酸化層が
厚く形成されるため、粉砕粉よりも水素吸蔵材として用
いる初期における水素吸蔵が困難である。
【0003】従って、これら水素吸蔵合金に水素を吸蔵
させるためには、高温で真空脱気し、高圧水素を導入し
て活性化させる処理を多数回繰返す初期活性化処理が必
要となり、水素活性化処理は煩雑でコスト高であるとい
う問題があった。
【0004】そこで、これら問題を解決するために、弗
化金属化合物の過飽和水溶液や酸、アルカリ溶液中に浸
漬処理する方法が多数提案されている。
【0005】例えば、K3 AlF6 などの弗化金属化合
物の過飽和水溶液を薬液として金属材を処理することに
より、この金属材の表面又は表層部を高活性化する「金
属材の活性化処理法」(特開平5−213601号公
報)が提案されている。これにより、金属材を容易に活
性化することができ、従来のような高温高真空脱気や高
温高圧での多数回の活性化処理を大幅に緩和することが
できるとしている。また、活性化された金属材を大気中
で安定化でき、取扱い易い処理法を提供できるとしてい
る。
【0006】また、他の方法として、塩酸処理を施した
水素吸蔵合金粒子からなる「水素吸蔵合金電極」(特開
平5−225975号公報)が提案されている。これよ
り、水素吸蔵合金電極を構成する水素吸蔵合金の粒子
は、塩酸処理によって表面の酸化被膜が除去されている
ので、これを負極とした電池の初期活性化に際し、初回
放電容量が増加し、初期活性化に要する充放電サイクル
数が減少するとしている。
【0007】また、他の方法として、Zr−Ni系で一
般式がABα(α=1.5〜2.5)で表され、合金層
が実質的に金属間化合物のLaves相に属し、その結
晶構造が六方晶のC14型または(および)立方晶のC
15型である水素吸蔵合金粉末を結着剤とともに電極と
した後、100〜120℃のアルカリ溶液に浸漬した
「水素吸蔵合金電極の製造法」(特開平5−13576
5号公報)が提案されている。これより、水素吸蔵合金
電極の初期活性を向上させ、利用率、寿命特性も向上さ
せることができるとしている。
【0008】特開昭60−190570号公報には水素
吸蔵合金粉末の表面に還元剤を用いる自己触媒型の湿式
無電解めっき方法により銅および/またはニッケル金属
を被覆することを特徴とする水素吸蔵合金の製造方法が
開示されている。特開平5−144434号公報には水
素吸蔵合金を導電性支持体に圧着後、湿式電気めっき法
もしくは無電解めっき法により、銅、鉄、ニッケル、コ
バルトおよびパラジウムの少なくとも1種を析出させる
か、或いは水素吸蔵合金を導電性支持体に圧着後、次亜
リン酸塩及び水素化ホウ素化合物の少なくとも1種の還
元剤で処理することにより電極を形成することを特徴と
する水素吸蔵電極の製造方法を開示している。また特開
平6−068876号公報では水素を電気化学的に吸
蔵、放出する水素吸蔵合金粉末によって形成された電極
であって、前記電極表面にニッケル−コバルト合金がメ
ッキされていることを特徴とする水素吸蔵合金電極を開
示している。
【0009】これらの方法では処理液による表面酸化層
等の表面活性阻害物の削除が十分ではなかったが、特開
昭63−72894号公報では、チタン、ジルコン、バ
ナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステ
ンおよびこれらの金属の合金よりなる群から選択された
材料からなる部品を電着被覆するに際し、前記部品を電
着被覆する前に脱脂しかつフッ化物−もしくはフッ化水
素酸含有の酸洗浴にて酸洗することからなる電着被覆方
法において、前記部品をpH<4を有する酸混合物とし
ての酸洗浴にて硝酸の不存在下に酸洗すると供に活性化
させ、酸洗浴における滞留時間を短時間で目に見える水
素発生が生ずるように選択し、次いで前記部品を水中で
短時間洗浄し、その後に部品を電着浴中で被覆すること
を特徴とする電着被覆方法が開示されている。この方法
では酸洗浴としてフッ化水素酸またはアルカリフッ化物
が用いられ、前記方法に比べ活性化がより高度に進む。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平5−2
13601号公報に記載された金属材の活性化処理法で
は、酸化ジルコニウムはフッ化水素酸を除く酸水溶液、
アルカリ、塩、全有機溶媒に不溶であるため、Zr−N
iベースのAB2 型水素吸蔵合金の粉末表面に形成され
る酸化物層は除去されないという問題を有している。ま
た、粉末表面に形成した酸化ジルコニウム皮膜は、水素
透過能が極めて低いため、反応容器に処理粉末を充填
し、室温で真空脱気を行った後に1.5 MPaの水素ガスを
導入して放置しても水素が吸蔵されず、活性されにくい
という問題を有している。
【0011】また、特開平5−225975号公報に記
載された水素吸蔵合金電極は、該電極の製造のための処
理法をZr−NiベースのAB2 型水素吸蔵合金に適用
しても、酸化ジルコニウムはフッ化水素酸を除く酸水溶
液、アルカリ、塩、全有機溶媒に不溶であるため、合金
粉末表面に形成された酸化物層は均一に除去することが
困難であるという問題を有している。また、粉末表面に
形成した酸化ジルコニウム皮膜は、水素透過能をもたな
いため、初期の活性化が完了するまでには、水素の吸蔵
・放出を多数回繰り返す必要があるという問題を有して
いる。
【0012】また、特開平5−135765号公報に記
載された水素吸蔵合金電極の製造法は、100〜120
℃の高い処理温度で、しかも0.5〜5時間もの長い処理
時間が必要とされ、処理に時間とコストがかかるという
問題を有している。また、気─固相反応による活性化の
場合には、真空脱ガスと水素ガス導入(30分保持)を
30回以上繰り返す必要があり、煩雑でコスト高である
という問題を有している。
【0013】特開昭60−190570号、特開平5−
144434号、特開平6−068876号では処理液
による表面酸化層等の表面活性阻害物の削除が十分にな
されず、後にめっきにより活性層を水素吸蔵合金表面に
形成させたとしても、水素吸蔵合金の活性化はさほど進
まなかった。特開昭63−72894号公報では、その
明細書に記載されているようにめっきするための煩雑な
工程が必要であり、その工程の途中で活性化した水素吸
蔵合金が再び劣化する可能性があった。
【0014】そこで、本発明者らは、上述の如き従来技
術の問題点を解決すべく鋭意研究し、各種の系統的実験
を重ねた結果、本発明を成すに至ったものである。
【0015】(発明の目的)本発明の目的は、表面活性
に優れた水素吸蔵合金材料を得るための水素吸蔵合金材
料の表面処理方法を提供することにある。本発明の他の
目的は、表面活性に優れた水素吸蔵合金電極を得るため
の水素吸蔵合金材料の活性化処理方法を提供すること
ある。本発明の他の目的は、初期活性に優れた水素吸蔵
合金電極を提供することにある。本発明の他の目的は、
より活性化効果の大きな活性化方法およびそれに用いる
活性化溶液を提供することにある。
【0016】本発明者らは、上述の従来技術の問題に対
して、以下のことに着眼した。すなわち、水素吸蔵合金
材料のなかで、先ず、Zr−Ni系Laves相水素吸
蔵合金に着目した。このZr−Ni系Laves相水素
吸蔵合金粉末は、表面に安定な酸化物層を形成するた
め、初期活性化が困難である。そこで、この水素吸蔵合
金粉末の初期活性化のメカニズムを検討するなかで、水
素吸蔵合金粉末表面を所定の適切な表面状態(構造)と
することにより、水素吸蔵合金粉末の初期活性化が向上
することを見い出した。そして、特殊な化学処理により
水素吸蔵合金粉末の表面に形成される酸化物などの表面
活性阻害物質を除去するとともに、該水素吸蔵合金粉末
表面を所定の適切な表面状態(構造)とすることにより
水素透過性に優れた高活性な表面を作り、初期活性化を
改善できることに着眼し、本発明を成すに至った。
【0017】
【課題を解決するための手段】(第1発明の構成)本発
明の水素吸蔵合金材料の表面処理方法は、水素吸蔵合金
材料に表面処理液を接触させて処理し、該水素吸蔵合金
材料表面に形成される酸化物などの表面活性阻害物質を
除去するとともに、少なくとも前記水素吸蔵合金材料表
面の水素吸蔵部または/および水素通過部に、微細な凹
凸および/または微細なクラックからなり、かつ水素活
性化金属元素の濃縮層である表面活性部を形成してなる
ことを特徴とする。また、本発明の水素吸蔵合金材料
は、表面処理液による表面処理が施された水素吸蔵合金
材料であって、水素吸蔵合金材料表面に形成される酸化
物などの表面活性阻害物質が除去され、少なくとも該水
素吸蔵合金材料表面の水素吸蔵部または/および水素通
過部に、微細な凹凸および/または微細なクラックから
なり、かつ水素活性化金属元素の濃縮層である表面活性
部が形成された構造を有することを特徴とする。
【0018】(第2発明の構成)本発明の水素吸蔵合金
電極の活性化処理方法は、Zr−Ni系Laves相水
素吸蔵合金に表面処理液を接触させて処理し、該水素吸
蔵合金表面に形成される酸化物などの表面活性阻害物質
を除去するとともに、少なくとも前記水素吸蔵合金表面
の水素吸蔵部または/および水素通過部に、微細な凹凸
および/または微細なクラックからなる表面活性部を形
成してなることを特徴とする。
【0019】(第3発明の構成)本発明の水素吸蔵合金
電極は、NH4 F・HF溶液処理を施した水素吸蔵合金
材料からなることを特徴とする。 (第4発明の構成)本発明の水素吸蔵合金の活性化方法
は、水素吸蔵合金の成分元素の一部をNH4 FとHFの
混合溶液に接触させることにより溶解し、それと同時に
該接触された水素吸蔵合金を、該溶解した合金成分より
イオン化傾向が小さい金属イオンに接触させることによ
り、該金属イオンを金属へ還元するとともに該水素吸蔵
合金に付着させることを特徴とする。
【0020】(第5発明の構成)また、本発明の水素吸
蔵合金の活性化方法は、第4発明の方法において、水素
吸蔵合金を特にZr−Ni系Laves相水素吸蔵合金
とすることを特徴とする。 (第6発明の構成)本発明の水素吸蔵合金の活性化方法
は、第4、第5発明の方法において、前記金属イオンを
Ni,Mn,Pd,Co,Cuのうちの少なくとも一つ
のイオンとすることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の水素吸蔵合金材料の表面
処理方法、水素吸蔵合金電極の活性化処理方法により、
何故水素吸蔵合金材料の表面を高活性化できるか、また
本発明の水素吸蔵合金が何故初期活性に優れているのか
のメカニズムについては、未だ必ずしも明らかではない
が、次のように考えられる。
【0022】(第1発明の作用)本発明の水素吸蔵合金
材料の表面処理方法は、水素吸蔵合金材料に表面処理液
を接触させて処理し、該水素吸蔵合金材料表面に形成さ
れる酸化物などの表面活性阻害物質を除去する。これに
より、水素吸蔵合金の表面を、清浄化するとともに、合
金表面での水素との接触および吸着と解離が容易とな
り、合金内部への水素拡散が生じやすくなるので、水素
化反応が迅速に進行することができる。さらに、本発明
は、少なくとも前記水素吸蔵合金材料表面の水素吸蔵部
または/および水素通過部に、微細な凹凸および/また
は微細なクラックからなり、かつ水素活性化金属元素の
濃縮層である表面活性部を形成する。これにより、水素
吸蔵合金の表面積が増大するため、水素との反応面積が
増大するので水素化の反応速度を速くすることができ
る。
【0023】以上により、本発明の表面処理方法によ
り、表面活性に優れた水素吸蔵合金材料を得ることがで
きるものと考えられる。
【0024】(第2発明の作用)本発明の水素吸蔵合金
電極の活性化処理方法は、Zr−Ni系Laves相水
素吸蔵合金に表面処理液を接触させて処理し、該水素吸
蔵合金表面に形成される酸化物などの表面活性阻害物質
を除去する。これにより、水素吸蔵合金の表面を、清浄
化するとともに、水素吸蔵合金表面での水素との接触お
よび吸着と解離が容易となり、合金内部への水素拡散が
生じやすくなるので、水素化反応が迅速に進行すること
ができる。さらに、本発明は、少なくとも前記水素吸蔵
合金表面の水素吸蔵部または/および水素通過部に、微
細な凹凸および/または微細なクラックからなる表面活
性部を形成する。これにより、水素吸蔵合金の表面積が
増大するため、水素との反応面積が増大するので水素化
の反応速度を速くすることができる。
【0025】以上により、本発明の活性化処理方法によ
り、表面活性に優れた水素吸蔵合金電極を得ることがで
きるものと考えられる。
【0026】(第3発明の作用)本発明の水素吸蔵合金
電極は、水素吸蔵合金材料にNH4F・HF溶液処理を
施してなる。これにより、水素吸蔵合金材料表面に形成
される酸化物などの表面活性阻害物質を除去して水素吸
蔵合金材料の表面を清浄化するとともに、合金材料表面
での水素との接触および吸着と解離が容易となり、合金
材料内部への水素拡散が生じやすくなるので、水素化反
応が迅速に進行することができる。さらに、本発明は、
水素吸蔵合金材料にNH4F・HF溶液を接触させて処
理することにより、少なくとも水素吸蔵合金材料表面の
水素吸蔵部または/および水素通過部に、微細な凹凸お
よび/または微細なクラックからなり、かつ水素活性化
金属元素の濃縮層である表面活性部が形成される。これ
により、水素吸蔵合金材料の表面積が増大するため、水
素との反応面積が増大するので水素化の反応速度を速く
することができる。
【0027】以上により、本発明の水素吸蔵合金電極
は、表面活性に優れているものと考えられる。本発明の
水素吸蔵合金電極は、初期活性に優れた水素吸蔵合金電
極である。 (第4発明の作用)本発明の水素吸蔵合金の活性化方法
は、まず、水素吸蔵合金の成分元素の一部をNH4F・
HF混合溶液に接触させることにより溶解する。これに
より、水素吸蔵合金の表面を清浄化するとともに、表面
の水素吸蔵部または/および水素透過部に、微細な凹凸
および/または微細なクラックからなり、かつ水素活性
化金属元素の濃縮層である表面活性部を形成する。これ
により、水素吸蔵合金の表面積が増大するため、水素と
の反応面積が増大するので水素化の反応速度を速くする
ことができる。
【0028】従来技術には、その後処理された水素吸蔵
合金を電気めっき浴や無電解めっき浴に浸漬して電気的
あるいは還元剤を用いて化学的に浴中の金属イオンを還
元して水素吸蔵合金の表面に析出させるものがあった。
本発明では、溶解反応と同時に、溶解処理された水素吸
蔵合金を、溶解した合金成分よりイオン化傾向が小さい
金属イオンに接触させる。合金成分が溶解する時には、
その成分が電子を放出して陽イオンとなって溶解する。
放出された電子は通常、水素イオンやその他の酸化剤に
吸収され、溶解反応が進行していく。
【0029】本発明では、この時に溶解イオンよりイオ
ン化傾向の小さい金属イオンを溶液中に同時に存在させ
ることによりこの金属イオンが溶解しつつある成分から
電子を受け取り、電子を受け取ることによって該金属イ
オンは還元されるので溶解成分に代わって金属となって
自動的に析出していく。これら析出金属は溶解反応によ
って形成されたニッケル触媒層の欠陥を埋める作用をす
るので水素吸蔵合金に水素を吸蔵、放出させた時に起こ
る劣化を抑制することができる。さらには、析出金属が
ニッケルを始めとする水素接触反応等の触媒活性を有す
る時には、単なる溶解反応による水素吸蔵合金の活性化
よりも、より多くの活性金属層が水素吸蔵合金表面に形
成されることになるので、水素吸蔵合金の活性化がより
高度に進行する。
【0030】本発明の方法によれば金属イオンの析出が
溶解反応と同時に行えるので、従来必要であった各工程
間での水洗、乾燥等の工程を省略することができる。さ
らには、途中の工程が省略できたために途中段階での水
素吸蔵合金活性表面の劣化が生じない。 (第5発明の作用)本発明では第4発明の水素吸蔵合金
をZr−Ni系Laves相水素吸蔵合金とする。これ
により合金成分の溶解反応がより活発に進行するため、
表面の水素吸蔵部または/および水素透過部に、形成さ
れる微細な凹凸および/または微細なクラックがより生
じやすくなる。さらには、溶液中に添加した金属イオン
がより容易に合金の溶解と同時に析出するようになるの
で、水素吸蔵合金の水素吸蔵、放出反応に対する活性化
効果がより大きくなる。
【0031】(第6発明の作用)本発明はNi,Mn,
Pd,Co,Cuのうちの少なくとも一つのイオンを、
NH4 とHFの混合溶液に溶解させた水素吸蔵合金の活
性化溶液である。この活性化溶液には水素吸蔵合金の溶
解反応に活性なNH4 F・HFと、溶解した合金成分イ
オンよりイオン傾向の小さい金属イオンであるNi,M
n,Pd,Co,Cuのうちの少なくとも一つのイオン
を、NH4 FとHFの混合溶液に溶解させた水素吸蔵合
金の活性化溶液である。この活性化溶液には水素吸蔵合
金の溶解反応に活性なNH4 F・HFと、溶解した合金
成分イオンよりイオン化傾向の小さい金属イオンである
Ni,Mn,Pd,Co,Cuのうちの少なくとも一つ
のイオンとが同時に存在する。
【0032】このため、合金成分の溶解反応が生じやす
く、水素吸蔵合金表面の水素吸蔵部または/および水素
透過部に微細な凹凸および/または微細なクラックが形
成される。また、溶解イオンよりイオン化傾向の小さい
金属イオンが存在するため、溶解と同時に前記金属イオ
ンが水素吸蔵合金表面に析出する。この活性化溶液を用
いることにより、水素吸蔵合金の本発明の活性化方法を
より効率的、より迅速に進めることができる。金属イオ
ンは好適にはNiCl2 、MnCl2 、PdCl2 、C
oCl2 、CuClなどの塩の形で溶液中に溶解され
る。また、これら金属イオンは0.1mol/l 〜0.5mo
l/l 添加する。添加量がこれより小さいと金属イオンを
析出させる効果がほとんどない。添加量をこれより多く
しても、活性化効果にあまり寄与しない上に金属の重量
を増加させてしまい、合金の特性が相対的に低下してし
まう。
【0033】さらに具体的に本発明の実施の形態を説明
する。 <水素吸蔵合金材料の表面処理方法> (水素吸蔵合金材料について)表面処理する水素吸蔵合
金は、粉砕粉、ガスアトマイズ粉などどのような形態の
ものでもよい。なお、粉末表面を最適状態に制御する場
合は、粉末表面の酸化状態によって好適な形態を選択す
る。水素吸蔵合金粉末をPTFEなどの結着剤で混練し
てペースト状にする場合は、粉末と表面処理液との接触
状態が変化するため、所望の好適な形態を選択する。ま
た、表面処理を、短時間で、均一な処理を行うには粉末
状態で処理することが好ましい。
【0034】(水素吸蔵合金材料の表面活性部につい
て)本発明により形成される表面活性部は、少なくとも
前記水素吸蔵合金材料表面の水素吸蔵部または/および
水素通過部に形成され、微細な凹凸および/または微細
なクラックからなり、かつ水素活性化金属元素の濃縮層
である。これは、水素吸蔵合金材料に表面処理液を接触
させて、該水素吸蔵合金材料表面に形成される酸化物な
どの表面活性阻害物質を除去するとともに形成されてな
る。
【0035】この表面活性部は、酸化物等の表面活性
阻害物質が除去された表面であり、さらに2μm以下
の微細なZrO2 粒子が表面に突出して分散しており、
それらの粒子の脱落によって形成された凹部が分散し
た凹凸表面であり、または/および表面処理液の腐食
作用等によって表層部に形成された微細な溝または割れ
(微細なクラック)が分散した構造を有している。〜
(及び/又は)の構造を有することにより、粉末
の表面積が著しく増大するため、水素との接触、または
吸着する面積が増大することになり、水素化反応が迅速
に進行し、初期活性化を著しく向上させることができ
る。
【0036】本発明により形成する表面活性部は、表面
積が0.03 m2/g 以上であることが好ましい。これによ
り、表面活性部を表面活性に優れ、初期活性化に優れた
より好適な表面状態(構造)とすることができる。すな
わち、水素との反応面積が増大するため、水素化速度が
著しく向上し、初期活性化が短時間で可能となる。な
お、表面活性部の表面積が0.04 m2/g 以上が、より好
適である。
【0037】(表面処理液)本発明において適用する表
面処理液は、水素吸蔵合金材料に接触させることによ
り、水素吸蔵合金材料表面に形成される酸化物などの表
面活性阻害物質を除去するとともに、少なくとも前記水
素吸蔵合金材料表面の水素吸蔵部または/および水素通
過部に、微細な凹凸および/または微細なクラックから
り、かつ水素活性化金属元素の濃縮層である表面活性
部を形成することができる処理液であれば、どのような
ものでもよく、特に限定されるものではない。具体的に
は、NH4F・HFなどが挙げられる。
【0038】この中でも特に、NH4 F・HF溶液が好
ましい。NH4 F・HF溶液は、Zr酸化物の除去に優
れ、電気容量が格段に大きいZr−Niをベースとした
一般式がABα(α=1.5〜2.5)型水素吸蔵合金材料
の表面活性化や初期活性化に極めて有効である。また、
表面処理液としてNH4 F・HF溶液を用いた場合に
は、合金元素中のNiは他の元素に比べて溶液中への溶
出が非常に少ないため、水素化反応での触媒となるNi
が表層部に濃縮され、Niリッチ層を短時間で形成する
ことができるので好ましい。
【0039】表面処理液の濃度、処理時間、処理に当た
っての他の好適な構成については、水素吸蔵合金材料に
接触させることにより得られる表面活性部の所望の表面
状態(構造)に合わせて適宜決定される。なお、表面処
理液の濃度は、0.5重量%以上の濃度が好ましく、さら
に1重量%〜5重量%がより好ましいが、処理する合金
組成、処理する粉末量や粒径、処理時間により適宜変更
することができる。処理時間は、表面処理液の濃度、処
理する粉末量によって変化するが、5〜30分が好まし
い。処理温度は、室温〜120℃の温度範囲内が好まし
い。なお、25℃〜35℃がより好ましい。表面処理液
と処理粉末の比は、1重量%濃度の溶液20mlに対し
て水素吸蔵合金粉末5g〜10g程度が好ましい。
【0040】(好適な水素吸蔵合金材料について)本発
明を適用できる水素吸蔵合金材料として、Zr−Niを
ベースとした一般式がABα(α=1.5〜2.5)で表さ
れる金属間化合物のLaves相である水素吸蔵合金材
料が好適である。この材料は、結晶構造が六方晶のC1
4型、または立方晶のC15型の水素吸蔵合金である。
この材料は、従来の電極等に用いられている希土類系A
5 型水素吸蔵合金に比べて電気容量が格段に大きい特
徴を有するが、表面状態の問題から活性化が容易ではな
いと考えられており、本発明の適用の効果が極めて大き
い。ABα(α=1.5〜2.5)型水素吸蔵合金として
(Zr−Ti)(V−Ni−Mn−Fe)2.1 、Zr
(V−Ni−Mn−Cr)2.1 、(Zr−Ti)(V−
Ni−Mn−Cr)2.1 などが好適である。
【0041】(水素吸蔵合金材料の表面活性部につい
)本発明の表面処理法により得られる水素吸蔵合金
材料の表面活性部は、水素活性化金属元素の濃縮層であ
る。これにより、水素化反応において触媒となる水素活
性化金属元素の濃度が濃い層を水素吸蔵合金材料の表面
に形成することができるので、表面活性に優れ、初期活
性に優れた水素吸蔵合金材料を得ることができる。
【0042】(好適な表面活性部)本発明の表面処理法
により得られる水素吸蔵合金材料の表面活性部は、Ni
の濃縮層であることがより好ましい。これにより、水素
化反応において触媒となるNiの濃度が濃いNiリッチ
層を水素吸蔵合金材料の表面に形成することができるの
で、より表面活性に優れた、より初期活性に優れた水素
吸蔵合金材料を得ることができる。
【0043】(好適な水素吸蔵合金材料の表面処理方
法)本発明の好適な水素吸蔵合金材料の表面処理方法
は、Zr−Ni系Laves相水素吸蔵合金材料にNH
4F・HF溶液を接触させて処理し、該水素吸蔵合金材
料表面に形成される酸化物などの表面活性阻害物質を除
去するとともに、少なくとも前記水素吸蔵合金材料表面
の水素吸蔵部または/および水素通過部に、微細な凹凸
および/または微細なクラックからなり、かつ水素活性
化金属元素の濃縮層である表面活性部を形成してなるこ
とを特徴とする。
【0044】Zrは、TiやNiよりも酸化反応速度が
大きく、粉末作製過程でZrが選択的に酸化され、表面
にZrを含む酸化皮膜が生成される。このZrを含む酸
化皮膜は、水素透過性が極めて低い構造を形成している
ので、Zrを含む酸化皮膜がある状態では活性化が困難
である。本発明の表面処理方法は、表面処理液としてN
4 F・HF溶液を用いるので、水素吸蔵合金粉末の表
面に形成されたZrを含む酸化皮膜が均一にかつ短時間
で除去できる。これより、水素吸蔵合金表面での水素と
の接触、吸蔵・解離が容易になり、水素化反応が迅速に
進行するので、初期活性を著しく改善することができ
る。
【0045】(初期活性化:水素吸蔵)本発明の水素吸
蔵合金電極の活性化処理方法は、上記表面処理した水素
吸蔵合金材料を、反応容器に充填して真空引き後、水素
を導入することにより水素を吸蔵させることを特徴とす
る。初期活性化処理により水素吸蔵合金材料に水素を吸
蔵させるには、加熱することなく低真空度で真空引き
し、従来より低圧(例、約1MPa)で、かつ常温で水
素を導入することにより、速やかに水素を吸蔵させるこ
とができる。このとき、温度や圧力などを変えることに
より、水素吸蔵量を制御することができる。これより、
従来のような高温高真空脱気や高圧高温での初期活性化
を、しかも10回以上行うなどの煩雑な活性化処理を必
要とせず、簡便な条件で1回の処理でも初期活性化処理
を行うことができる。
【0046】<水素吸蔵合金電極の活性化処理方法>本
発明の水素吸蔵合金電極の活性化処理方法のより具体的
な発明、好適な発明、限定的な発明については、上記水
素吸蔵合金材料の表面処理方法において述べた“より具
体的な発明、好適な発明、限定的な発明”を適用するこ
とができる。すなわち、“水素吸蔵合金材料につい
て”、“水素吸蔵合金材料の表面活性部について”、
“表面処理液”、“表面処理液の濃度、処理時間、処理
に当たっての他の好適な構成”、“好適な水素吸蔵合金
材料について”、“好適な表面活性部”、“好適な水素
吸蔵合金材料の表面処理方法”、“初期活性化:水素吸
蔵”を適用することができる。
【0047】(電極の製造方法)水素吸蔵合金電極の製
造方法の一例を簡単に説明する。先ず、焼結式電極の場
合は、水素吸蔵合金と導電助剤(例えば、Ni、Cu、
黒鉛、Co等の1種以上)を所定の重量比に混合し、該
混合粉末をプレス成形またはロール成形などしてペレッ
ト状またはシート状の成形体とする。その後、Ar等の
不活性ガス雰囲気、H2 ガス雰囲気または真空雰囲気中
で高温(好ましくは600〜700℃)で焼結して電極
を作製する。このとき、水素吸蔵合金電極の活性化処理
は、粉末状態のときでも、ペレット状またはシート状の
成形体のときでも(あるいは、薄膜状態、カプセル状
態、積層状態、他)どのような状態のときでもよいが、
焼結後に行うことが好ましい。
【0048】次に、ペースト式電極の場合は、水素吸蔵
合金粉末、導電助剤、およびPTFEなどの結着剤を所
定の重量比で混練し、その後、プレス成形やロール成形
などにより成形し、ペレット状またはシート状の成形体
とする。このとき、水素吸蔵合金電極の活性化処理は、
粉末状態のときでも、ペレット状またはシート状の成形
体のときでも(あるいは、薄膜状態、カプセル状態、積
層状態、他)どのような状態のときでもよいが、成形後
に行うことが好ましい。
【0049】(好適な水素吸蔵合金電極の活性化処理方
法)本発明の好適な水素吸蔵合金電極の活性化処理方法
は、Zr−Ni系Laves相水素吸蔵合金にNH4
・HF溶液を接触させて処理し、該水素吸蔵合金表面に
形成される酸化物などの表面活性阻害物質を除去すると
ともに、少なくとも前記水素吸蔵合金材料表面の水素吸
蔵部または/および水素通過部に、微細な凹凸および/
または微細なクラックからなる表面活性部を形成してな
り、該表面活性部が比表面積0.03 m2/g 以上を有する
とともに、その少なくとも一部がニッケルの濃縮層から
なり、水素透過性に優れてなることを特徴とする。
【0050】(好適な水素吸蔵合金電極の活性化処理方
法)本発明の好適な水素吸蔵合金電極の活性化処理方法
は、Zr−Ni系Laves相水素吸蔵合金に表面処理
液を接触させて処理し、該水素吸蔵合金表面に形成され
る酸化物などの表面活性阻害物質を除去するとともに、
少なくとも前記水素吸蔵合金表面の水素吸蔵部または/
および水素通過部に、微細な凹凸および/または微細な
クラックからなる表面活性部を形成する活性化処理工程
と、該活性化処理工程において表面活性化した水素吸蔵
合金電極を、アルカリ溶液に接触させて二次表面処理す
るアルカリ処理工程と、からなることを特徴とする。
【0051】これにより、水素吸蔵合金粉末の表面に形
成されたZrを含む酸化皮膜が均一にかつ短時間で除去
できる。これより、水素化反応において触媒となるNi
の濃度が濃いNiリッチ層を水素吸蔵合金電極の表面に
形成することができるので、水素吸蔵合金表面での水素
との接触、吸蔵・解離が容易になり、水素化反応が迅速
に進行するので、初期活性を著しく改善することができ
る。従って、より表面活性に優れた、より初期活性に優
れた水素吸蔵合金電極を得ることができる。
【0052】上記アルカリ処理工程において用いるアル
カリ溶液は、水酸化カリウム(KOH)溶液であること
が好ましい。濃度は、30〜32重量%、処理温度が8
0〜120℃、処理時間が1〜30時間が好適である。
【0053】<水素吸蔵合金電極>本発明の二次電池負
極用水素吸蔵合金電極は、NH4 F・HF溶液処理を施
した水素吸蔵合金材料からなり、初期活性に優れてい
る。
【0054】<活性化方法>水素吸蔵合金の成分元素の
一部をNH4 F・HF混合溶液に接触させることにより
溶解し、それと同時に該接触処理された水素吸蔵合金
を、該溶解した合金成分よりイオン化傾向が小さい金属
イオンに接触させることにより、該金属イオンを金属へ
還元するとともに該水素吸蔵合金に付着させることを特
徴とする水素吸蔵合金の活性化方法もしくは、該水素吸
蔵合金をZr−Ni系Laves相水素吸蔵合金とする
水素吸蔵合金の活性化方法において、該金属イオンとし
てNi,Mn,Pd,Co,Cuのうちの少なくとも一
つのイオンを用いる。
【0055】この方法によれば、水素吸蔵合金成分の溶
解反応が生じ、水素吸蔵合金表面の水素吸蔵部または/
および水素透過部に微細な凹凸および/または微細なク
ラックが形成される。また、前記金属イオンは溶解イオ
ンよりイオン化傾向が小さいため、合金成分の溶解と同
時にこれら金属イオンが水素吸蔵合金表面に析出する。
これにより、水素吸蔵合金の活性化がより顕著に進む。
【0056】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。
【0057】(実施例1)先ず、Zr−Ni系をベース
にしたLaves相水素吸蔵合金((Zr−Ti)(V
−Ni−Mn−Fe)2.1 、Zr(V−Ni−Mn−C
r)2.1 )を真空溶解し、Arガスアトマイズによって
水素吸蔵合金粉末を作製した。次いで、該合金粉末を石
英管に真空封入し、1050℃×1〜3時間の均質化熱
処理を施し、C15型(立方晶)の結晶構造とした。得
られた合金粉末の表面性状の観察を、走査型電子顕微鏡
(SEM)(倍率:〜10,000倍)で行った。その結果
を、図2に示す。
【0058】次に、得られた合金粉末に、表面処理を施
した。NH4 F・HF溶液(濃度:1%)に前記合金粉
末(粉末粒径:74μm以下)を浸漬し、室温で5〜3
0分間の表面処理を行った。なお、溶液の量は、二種類
とした。 NH4 F・HF溶液20mlに対して前記合金粉末5
gとなるようにした(試料番号:1〜3)。 NH4 F・HF溶液60mlに対して前記合金粉末5
gとなるようにした(試料番号:4)。 処理した粉末は、水洗したのち、真空脱気して乾燥を行
った。
【0059】(表面状態観察)前記処理後の合金粉末の
表面性状の観察を、走査型電子顕微鏡(SEM)(倍
率:〜10,000倍)で行った。試料番号1についての結果
を、図1に示す。図1および図2より明らかなように、
処理時間が5分と短時間でも合金粉末表面の酸化物層が
除去され、表面に微細な凹凸および微細なクラック
(溝)が形成されていることが分かる。
【0060】比較のために、本実施例の上記作製した水
素吸蔵合金粉末をK3 AlF6 で処理した比較用合金粉
末(試料番号:C2)について、処理後の合金粉末の表
面性状の観察を、上記と同様に走査型電子顕微鏡(SE
M)(倍率:〜10,000倍)で行った。その結果を、図3
に示す。同図から明らかなように、K3 AlF6 で処理
した場合には、表面酸化物が除去されておらず、本実施
例の表面状態(図1)とは著しく異なっていることが分
かる。これは、Zr−Ni系をベースにしたLaves
相水素吸蔵合金は、K3 AlF6 では本発明の表面活性
部を形成することができないものと考えられる。
【0061】(処理液溶出元素分析)次に、処理液中に
溶出した合金元素を、誘導結合プラズマ発光分光分析に
より調査した。その結果を、表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】なお、表1中に、溶液中に溶出した元素の
重量%を( )内に併せて示す。その結果、NH4 ・H
F溶液中に溶出した合金元素の量を比較すると、Ni量
は極めて少なく、処理時間が長くなっても合金元素の溶
出量の変化は少ないことが分かる。また、合金粉末処理
量に対して処理液量を3倍にすると、Niを除いた合金
元素は3倍に達したが、Ni量は1.5倍であった。この
結果、溶液濃度を一定にした場合は、合金粉末処理量に
対する溶液量の比率を変えることにより、処理による合
金粉末表面の状態を制御でき、処理が容易となることが
分かる。
【0064】比較のために、H2 SO4 で処理した比較
用合金粉末(試料番号C1)およびK3 AlF6 で処理
した比較用合金粉末(試料番号:C2)について、上記
と同様に処理液に溶出した合金元素の分析を行った。そ
の結果を、表1に併せて示す。その結果、H2 SO4
処理した場合(試料番号C1)には、何れの合金元素も
合金組成とほぼ同量ずつ溶出していることが確認され
た。また、K3 AlF6で処理した場合(試料番号:C
2)には、合金元素の溶出量が僅かであり、顕著な表面
変化は見られなかったことが確認された。
【0065】(表面層分析)次に、表面処理後の合金粉
末について、表層部のオージェ分析を行った。その結果
を、試料番号1について図4に示す。なお、比較のた
め、前記表面処理前の合金粉末について、同様にオージ
ェ分析を行った。その結果を、図5に示す。図4および
図5より明らかなように、本実施例の表面処理後の合金
粉末は、表層部における合金元素の深さ方向分布を見る
と、Niの濃度が高くなっており、Niが濃縮された領
域が形成されていることが分かる。また、XPS分析を
行った結果、表面にはフッ化物の形成は認められなかっ
た。
【0066】(活性化分析1)表面処理後の合金粉末に
ついて、活性化処理−水素吸蔵試験により行った。すな
わち、水素吸蔵合金に水素を吸蔵させるためには、高温
真空脱気し、高圧水素を導入して活性化させる処理を多
数回繰返す初期活性化処理が必要となる。少ない回数の
活性化処理で十分な量の水素を吸蔵することが望まれて
おり、水素吸蔵合金のこの初期活性特性が重要な意味を
有する。本実施例により得られた合金粉末のうち、粒径
44μm以下に篩い分けた試料番号1の粉末3gを反応
容器に充填し、80℃〜100℃で真空脱気後、1.5M
Paの水素を導入し該雰囲気に30分暴露する操作を1
サイクルとし、この操作を繰り返して活性化処理を行っ
た。その結果を、図6に示す。
【0067】比較のために、H2 SO4 で処理した比較
用合金粉末(試料番号C3)、KOHで処理した比較用
合金粉末(試料番号:C4)、および、無処理の比較用
合金粉末(試料番号:C5)について、上記と同様に活
性化処理試験を行った。その結果を、図6に併せて示
す。
【0068】図6より明らかなように、本実施例の粉末
合金の場合には、1回の活性化処理で十分な量の水素を
吸蔵し、極めて容易に活性化されていることが分かる。
これに対し、無処理の比較用合金粉末(試料番号:C
3)は、20回以上繰り返し活性化処理を行っても、水
素吸蔵量がほとんど認められず、活性化されていないこ
とが分かる。また、H2 SO4 で処理した比較用合金粉
末(試料番号:C1)およびKOHで処理した比較用合
金粉末(試料番号:C4)は、何れも活性化されるまで
に数回〜20数回以上の活性化処理が必要であり、本実
施例に比べて初期活性性が悪いことが確認された。
【0069】(活性化分析2)活性化時間(水素に暴露
する時間)と水素吸蔵量との関係を調べた。本実施例に
より得られた合金粉末のうち、粒径44μm以下に篩い
分けた試料番号1の粉末3gを反応容器に充填し、室温
で真空脱気後、1.5MPaの水素を導入し、反応容器を
0℃に冷却し水素雰囲気中での暴露時間と水素吸蔵量と
の関係を調べた。その結果を、図7に示す。
【0070】比較のために、無処理の比較用合金粉末
(試料番号:C5)について、上記と同様に活性化処理
試験を行った。その結果を、図7に併せて示す。また、
比較のために、K3 AlF6 で処理した比較用合金粉末
(試料番号:C2)について、上記と同様に活性化処理
試験を行った。その結果を、図8に示す。
【0071】図7より明らかなように、本実施例の合金
粉末の場合には、活性化処理が1回では水素雰囲気暴露
10分ぐらいから水素を吸蔵しはじめ、2時間程で最大
吸蔵量に達した。その後、再度80℃×30分真空脱気
して水素を導入すると(2回目の活性化処理)、10分
程度で最大吸蔵量に達し、容易に水素を吸蔵できること
が分かる。これに対し、無処理の比較用合金粉末(試料
番号:C5)は、水素雰囲気への暴露が1時間以上経過
しても、水素をほとんど吸蔵していないことが確認され
た。また、K3 AlF6 で処理した比較用合金粉末(試
料番号:C2)は図8から明らかなように、水素雰囲気
での暴露が3時間経過しても、水素はほとんど吸蔵され
ていないことが確認された。
【0072】(実施例2)実施例1のAB2 型合金で粒
径75μm 以下のZrNi2 系粉末を用いた本実施例の
活性化処理を行った。活性化処理は合金粉末2gを濃度
1%のNH4 F・HF溶液20mlに入れ、室温で5分
間処理を行った後に水洗し、真空乾燥することによって
行った。実施例1と同様に合金元素の深さ方向の分布を
オージェ(AES)分析により調べた結果、得られた処
理粉末表面のZr酸化物は活性化処理によって除去さ
れ、Niが表面に濃縮されていることがわかった。Ni
は触媒としての働きがあるので、表面に形成されたNi
濃縮層は水素化の反応速度を改善し、初期活性を向上さ
せることができる。また、Ni濃縮層は保護被膜として
の働きもあり、水素吸蔵合金の酸化を防止して、活性を
維持することができる。
【0073】さらに、本実施例の活性化効果を調べるた
め、次に示す(5)〜(8)の4種類の活性化方法を行
い、Niによる活性化を行った。Ni量は水素吸蔵合金
が非磁性であり、Niが強磁性であることから活性化粉
末の磁化を測定することによって求めることができる。
比較例(C、C)として公知の無電解Ni−Pめっ
き方法によって処理した粉末を用いた。以上の結果を表
2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】(5)合金粉末2gを2.7%NiCl2
溶液20mlに入れ、室温で5分間処理を行った後に水
洗して真空乾燥した。得られた粉末には強磁性相が認め
られず、Niが析出しなかった。()合金粉末2gを
濃度1%のNH4F・HF溶液20mlに入れ、室温で
5分間処理を行った後に水洗して真空乾燥した。得られ
た粉末には強磁性相が認められ、Niが析出した。
【0076】()合金粉末2gを濃度1%のNH4
・HF溶液20mlに入れ、室温で5分間処理を行った
後に水洗し、その後に2.7%NiCl2溶液20ml
に入れ、室温で5分間活性化を行った後に水洗して真空
乾燥した。得られた活性化粉末には強磁性相が認めら
れ、Niが析出した。(5)と比較すると、2.7%N
iCl2溶液で活性化する前に1%のNH4F・HF溶液
で処理しているので粉末表面の酸化物が除去され、Ni
が析出しやすくなったことが分かる。また、(7)に比
べてNi析出量を増やすことができた。
【0077】(8)合金粉末2gを濃度1%のNH4
・HF+2.7%NiCl2 混合溶液20mlに入れ、
室温で5分間活性化を行った後に水洗して真空乾燥し
た。得られた粉末には強磁性相が認められ、短時間に多
量にNiが析出した。これによりNi源を含んだ混合溶
液を用いることにより、効率よく合金が活性化されるこ
とがわかった。
【0078】(C)合金粉末2gを濃度1%のNH4
F・HF溶液で粉末表面の酸化物を除去した後に水洗
し、公知の無電解Ni−Pめっきを60℃で5分間処理
した後に水洗して真空乾燥した。(C)合金粉末2g
を濃度1%のNH4F・HF溶液で粉末表面の酸化物を
除去した後に水洗し、公知の無電解Ni−Pめっきを6
0℃で15分間処理した後に水洗して真空乾燥した。
【0079】これら比較例では処理時間を長くすること
によってNiめっき量を増加させることができるが、本
実施例の活性化に比べてNi量がかなり少なかった。こ
のように、本実施例の活性化は公知のめっき法よりも処
理工程が少なく、しかも効率よくNiを析出させること
ができることがわかった。
【0080】(実施例3)実施例2の活性化溶液におい
てNH4 F・HF溶液の濃度を1%と5%に変え、さら
に、それぞれの場合についてNiCl2 の濃度を0〜1
2%の間で変えた混合溶液を用い、溶液20mlに対し
て実施例2と同様の未処理合金粉末2gを室温で5分間
活性化を行った後に水洗して真空乾燥し、活性化粉末を
得た。これのNi量を実施例2と同様の方法により求
め、図9に示した。これから分かるようにNH4 F・H
F溶液の濃度を高くすると短時間で多量にNiが析出
し、NiCl2 の濃度が増すほど析出するNi量は増加
することがわかる。1%のNH4F・HF溶液の場合に
は、NiCl2 の濃度が2.7%以上になると析出する
Ni量が飽和する傾向にある。このようにNi析出量は
活性化溶液の濃度を変えることによって調節可能であ
る。また、活性化の時間を変えることによっても調節可
能である。
【0081】(実施例4)実施例3の1%NH4 F・H
F活性化溶液について、NiCl2 の濃度を10%以下
の範囲で変化させ、実施例2と同様の未処理合金粉末を
活性化した。各種活性化溶液20mlに対して合金粉末
2gを室温で5分間活性化を行った後に水洗して真空乾
燥し、活性化粉末を得た。これらの粉末のNi量を磁化
率より求めるといづれも3.3%以下の範囲であった。
得られた活性化水素吸蔵合金を用いて、Ni−金属水素
化物二次電池を構成し、活性化の効果を調べた。
【0082】活性化粉末と導電助材の黒鉛および結着材
のPTFEを91:5:4の割合で混練し、それを金型
に入れφ12mm×0.6mmのペレットを成形した。ペレ
ットをニッケルメッシュで包み電極を作製し、負極とし
た。正極には発泡Ni集電体に水酸化ニッケルを充填し
た電極を用いた。2枚の正極でセパレータを介して負極
を挟み、アクリル板で両側から締めつけて開放型電池を
組み立てた。電解液には5N KOH+1N LiOH
を用いた。
【0083】この電池に対して、0.1Cの条件で10
回充放電を繰り返して初期活性化を行った後に、0.2
Cに切り替えて充放電試験を行った。得られた充放電回
数と合金容量との関係を図10に示す。合金容量は電極
の活物質として仕込んだ水素吸蔵合金の単位重量当たり
に放電できた電気容量として求められる。図より、析出
したNi量が増加すると少ない充放電回数で高容量が得
られ初期活性化されやすくなることがわかった。2.5
%Ni量では最も少ない回数で初期活性化され、0.2
Cでも高容量が得られた。この結果からNi量として
0.5〜3.5%の範囲で初期活性化効果があり、特に
Ni量2.5〜3.5%の時が好適であった。
【0084】(実施例5)本実施例による活性化水素吸
蔵合金電極(9)と、比較例としてそれぞれ公知のアル
カリ処理による水素吸蔵合金電極(C5)、無電解Ni
−Bめっきによる水素吸蔵合金電極(C6)、および無
電解Ni−Pめっきによる水素吸蔵合金電極(C7)を
充放電させ、その合金利用率を図11に比較した。例
(9)の電極には、実施例2と同様の未処理合金粉末5
gを1%のNH4 F・HF+2.7%NiCl2 混合溶
液50mlに入れ、室温で5分間活性化を行った後に水
洗して真空乾燥して得られた活性化粉末、即ち実施例4
で最も良い結果が得られた活性化粉末を用いた。
【0085】C5は6N KOH溶液に実施例2と同様
の未処理合金粉末5gを入れ、80℃で30時間処理し
た後、水洗・真空乾燥して作製した粉末である。C6、
C7は1%NH4 F・HF溶液で粉末表面の酸化物を除
去して水洗した後、60℃で15分間無電解めっきを行
い、水洗・真空乾燥して作製した粉末である。これらの
粉末を用いて次のような方法でNi−金属水素化物電池
を作製した。
【0086】上記の実施例、比較例の粉末と2wt%メチ
ルセルロース溶液を77:23の割合で混練してペース
トにし、それを発泡ニッケル集電体(30×40mm) に充填
し、乾燥した後にプレスして負極を作製した。これを用
いて実施例4と同様の電池を構成した。この電池を0.
044Cの条件で3回充放電を繰り返して初期活性化を
行った後に、0.2Cに切り替えて図11の結果を得
た。これより、本実施例の(9)は比較例(C5)(C
6)(C7)に比べて少ない充放電回数で初期活性化さ
れるだけでなく、高率充放電条件でも高い合金利用率が
得られることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1において得られた、表面処理
後の合金粉末の表面状態を示す走査型電子顕微鏡写真図
(倍率:〜10,000倍)である。
【図2】本発明の実施例1において得られた、表面処理
前の合金粉末(未処理粉末)の表面状態を示す走査型電
子顕微鏡写真図(倍率:〜10,000倍)である。
【図3】本発明の比較例(試料番号:C2)において得
られた、表面処理後の合金粉末の表面状態を示す走査型
電子顕微鏡写真図(倍率:〜10,000倍)である。
【図4】本発明の実施例1において得られた、表面処理
後の合金粉末の表層部のオージェ分析結果を示す線図で
ある。
【図5】本発明の実施例1において得られた、表面処理
前の合金粉末(未処理粉末)の表層部のオージェ分析結
果を示す線図である。
【図6】本発明の実施例1において得られた、表面処理
後の合金粉末の活性化処理試験(活性化分析1)結果を
示す線図である。
【図7】本発明の実施例1において得られた、表面処理
後の合金粉末の活性化処理試験(活性化分析2)結果を
示す線図である。
【図8】本発明の比較例(試料番号:C2)において得
られた、表面処理後の合金粉末の活性化処理試験(活性
化分析2)結果を示す線図である。
【図9】本実施例3の活性化粉末の磁化σs とNi量と
の関係を示す線図である。
【図10】本実施例4の活性化粉末から作られた電極の
合金容量と充放電回数との関係を示す線図である。
【図11】本実施例5の活性化粉末および比較例粉末か
ら作られた電極の合金利用率と充放電回数との関係を示
す線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01M 4/38 H01M 4/38 A (56)参考文献 特開 平5−213601(JP,A) 特開 平4−328252(JP,A) 特開 平6−223827(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23F 1/00 B22F 1/00 C01B 3/00 C22C 16/00 C23F 1/26 H01M 4/38

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素吸蔵合金材料に表面処理液を接触さ
    せて処理し、該水素吸蔵合金材料表面に形成される酸化
    物などの表面活性阻害物質を除去するとともに、少なく
    とも前記水素吸蔵合金材料表面の水素吸蔵部または/お
    よび水素通過部に、微細な凹凸および/または微細なク
    ラックからなり、かつ水素活性化金属元素の濃縮層であ
    表面活性部を形成してなることを特徴とする水素吸蔵
    合金材料の表面処理方法。
  2. 【請求項2】 表面活性部が、比表面積0.03m2/g
    以上を有してなり、水素透過性に優れてなることを特徴
    とする請求項1記載の水素吸蔵合金材料の表面処理方
    法。
  3. 【請求項3】 表面処理液が、NH4F・HF溶液である
    ことを特徴とする請求項1記載の水素吸蔵合金材料の表
    面処理方法。
  4. 【請求項4】 表面活性部が、ニッケルの濃縮層である
    ことを特徴とする請求項1記載の水素吸蔵合金材料の表
    面処理方法。
  5. 【請求項5】 水素吸蔵合金材料が、Zr−Ni系La
    ves相水素吸蔵合金であることを特徴とする請求項1
    〜請求項4のいづれかに記載された水素吸蔵合金材料の
    表面処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項5のいづれかに記載
    された表面処理方法により表面処理された水素吸蔵合金
    材料を、真空引き後、水素を導入することにより水素を
    吸蔵させることを特徴とする水素吸蔵合金材料の初期活
    性化処理法
  7. 【請求項7】 表面処理液による表面処理が施された水
    素吸蔵合金材料であって、水素吸蔵合金材料表面に形成
    される酸化物などの表面活性阻害物質が除去され、少な
    くとも該水素吸蔵合金材料表面の水素吸蔵部または/お
    よび水素通過部に、微細な凹凸および/または微細なク
    ラックからなり、かつ水素活性化金属元素の濃縮層であ
    る表面活性部が形成された構造を有する水素吸蔵合金材
    料。
  8. 【請求項8】 Zr−Ni系Laves相水素吸蔵合金
    に表面処理液を接触させて処理し、該水素吸蔵合金表面
    に形成される酸化物などの表面活性阻害物質を除去する
    とともに、少なくとも前記水素吸蔵合金表面の水素吸蔵
    部または/および水素通過部に、微細な凹凸および/ま
    たは微細なクラックからなる表面活性部を形成してなる
    ことを特徴とする水素吸蔵合金電極の活性化処理方法。
  9. 【請求項9】 表面活性部が、比表面積0.03m2
    g以上を有してなり、水素透過性に優れてなることを特
    徴とする請求項8記載の水素吸蔵合金電極の活性化処理
    方法。
  10. 【請求項10】 表面処理液が、NH4F・HF溶液で
    あることを特徴とする請求項8記載の水素吸蔵合金電極
    の活性化処理方法。
  11. 【請求項11】 表面活性部が、水素活性化金属元素の
    濃縮層であることを特徴とする請求項8記載の水素吸蔵
    合金電極の活性化処理方法。
  12. 【請求項12】 表面活性部が、ニッケルの濃縮層であ
    ることを特徴とする請求項8記載の水素吸蔵合金電極の
    活性化処理方法。
  13. 【請求項13】 前記表面処理液により表面処理後、ア
    ルカリ溶液で二次表面処理してなることを特徴とする請
    求項8〜請求項12のいづれかに記載された水素吸蔵合
    金電極の活性化処理方法。
  14. 【請求項14】 二次表面処理において用いるアルカリ
    溶液が、水酸化カリウム溶液であることを特徴とする請
    求項13記載の水素吸蔵合金電極の活性化処理方法。
  15. 【請求項15】 請求項8〜請求項12のいづれかに記
    載された活性化処理方法により活性化処理された水素吸
    蔵合金を、真空引き後、水素を導入することにより水素
    を吸蔵させることを特徴とする水素吸蔵合金電極の初期
    活性化処理法。
  16. 【請求項16】 NH4F・HF溶液処理を施した水素
    吸蔵合金材料からなることを特徴とする初期活性に優れ
    た二次電池負極用の水素吸蔵合金電極。
  17. 【請求項17】 水素吸蔵合金の成分元素の一部をNH
    4F・HF混合溶液に接触させることにより溶解し、そ
    れと同時に該接触された水素吸蔵合金を、該溶解した合
    金成分よりイオン化傾向が小さい金属イオンに接触させ
    ることにより、該金属イオンを金属へ還元するとともに
    該水素吸蔵合金に付着させることを特徴とする水素吸蔵
    合金の活性化方法。
  18. 【請求項18】 水素吸蔵合金がZr−Ni系Lave
    s相水素吸蔵合金であることを特徴とする請求項17記
    載の水素吸蔵合金の活性化方法。
  19. 【請求項19】 前記金属イオンとしてNi,Mn,P
    d,Co,Cuのうちの少なくとも一つのイオンを用い
    ることを特徴とする請求項17または18記載の水素吸
    蔵合金の活性化方法。
  20. 【請求項20】 Ni,Mn,Pd,Co,Cuのうち
    の少なくとも一つのイオンを、NH4F・HF混合溶液
    に溶解させたことを特徴とする請求項17〜19のいづ
    れかの方法に使用する水素吸蔵合金の活性化溶液。
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