JP3328020B2 - 沈胴式カメラ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、沈胴式カメラ、より詳
しくは、露出開口を形成するシャッタ手段が鏡枠に設け
られている沈胴式カメラに関する。

【０００２】

【従来の技術】レンズシャッタのセクタは、撮影時にの
み被写体光束を通過させるものであり、撮影時以外には
不用意に開くことがあってはならない。このために、セ
クタの誤開放を防止する機構として、セクタ自身やある
いは駆動リングなどのセクタを駆動する部材にばねを取
り付けて、そのばね力でセクタを常に閉じ方向に付勢す
る構成が一般的に知られている。

【０００３】また、このようなものの一例として、実開
平２−５５２２４号公報には、撮影後、必ず有効焦点調
節範囲外にレンズがリセットされるカメラにおいて、そ
のリセットされたレンズ位置ではセクタを閉じた状態で
係止するボス等の部材をボディ側から突設し、誤開放を
防止するようにしたものが開示されている。このような
構成において、セクタが閉じ位置から動かないように係
止する部材は、セクタを直接係止するか、あるいは開閉
レバーを係止するようになっている。

【０００４】さらに、他の例として特開平４−８６６３
５号公報には、撮影後に鏡枠が所定のリセット位置に復
帰して、その位置では鏡枠から突出したピンと開閉レバ
ーが結合されて誤開放を防止するものが記載されてい
る。また該公報には、カメラ未使用時には鏡枠がカメラ
本体内に沈胴するタイプのカメラにおいて、使用時はば
ねの付勢力によりシャッタ手段を閉じ方向に付勢し、沈
胴時にはボディ側より被写体側に突出したピンが開閉レ
バーを係止して誤開放を防止するものも記載されてい
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記実
開平２−５５２２４号公報に記載されたものでは、ボデ
ィ側に取り付けられたボスによりセクタを直接係止する
場合には、セクタが非常に薄い板部材であるために損傷
する可能性がある。セクタは狭い隙間を高速で開閉する
ために、セクタを損傷すると作動不良を起こす原因とな
る。また、この構成では係止するボスを余分に一部品作
って組み込む必要があり、原価的にも不利であるととも
に、ボスを立てるための余分なスペースが必要となる。
そして、シャッタ機構は、全て鏡枠内に組み込まれてお
り小型化は困難である。

【０００６】また、特開平４−８６６３５号公報に記載
ものでは、ばねを用いてセクタを閉じ方向に付勢して誤
開放を防止している場合には、セクタを開く際にその付
勢力だけ余分に強い力が必要になる。また、セクタをば
ね力により開閉を行う場合には、誤開放を防止するばね
の付勢力と開き動作を行うためのばねの付勢力とのバラ
ンスを調整するのが難しくなり、特に低速でセクタを開
く場合にはこのバランスの調整の難しさが顕著になっ
て、僅かなばらつきによりセクタの開き速度が不安定に
なってしまう。また、上記実開平２−５５２２４号公報
に記載されたものと同様に、鏡枠内にシャッタ機構をす
べて収納するようにする場合には、鏡枠を小型化するこ
とが難しくカメラボディ全体も大型化してしまう。そし
て、ピンを係合させて誤開放を防止する構成では、部品
数が多くなりスペースも必要である。

【０００７】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、シャッタ手段の低速開放速度が不安定にならず、
大型化することなく該シャッタ手段の誤開放を防止する
ことができる沈胴式カメラを提供することを目的として
いる。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明による沈胴式カメラは、撮影可能位置に繰
り出した撮影位置と繰り込んだ沈胴位置とに光軸方向に
移動可能な鏡枠に露出開口を形成するセクタが設けられ
ている沈胴式カメラにおいて、上記鏡枠に回動自在に設
けられていて回動することに連動して上記セクタを開閉
動作させるシャッタ開閉用回動部材と、カメラ本体に設
けられていて上記シャッタ開閉用回動部材に駆動力を供
給する駆動機構と、回動自在で且つ光軸方向に移動可能
に設けられていて上記駆動機構と上記シャッタ開閉用回
動部材とを連結可能とする連結部材と、上記連結部材の
光軸方向の移動によって撮影時には上記シャッタ開閉用
回動部材に駆動力を伝達する上記連結部材と上記駆動機
構とが係合した連結状態とし沈胴時には上記連結部材と
上記駆動機構との係合を解除した解除状態とする連結切
換機構とを備えたものである。 また、本発明による沈胴
式カメラは、撮影可能位置に繰り出した撮影位置と繰り
込んだ沈胴位置とに光軸方向に移動可能な鏡枠に露出開
口を形成するセクタが設けられている沈胴式カメラにお
いて、上記鏡枠に回動自在に設けられていて回動するこ
とに連動して上記セクタを開閉動作させるシャッタ開閉
用回動部材と、カメラ本体に設けられていて上記シャッ
タ開閉用回動部材に駆動力を供給する駆動機構と、回動
自在で且つ光軸方向に移動可能に設けられていて上記駆
動機構と上記シャッタ開閉用回動部材とを連結可能とす
る連結部材と、上記連結部材の光軸方向の移動によって
撮影時には上記シャッタ開閉用回動部材に駆動力を伝達
する上記連結部材を回動可能とさせまた沈胴時には上記
連結部材の回動を規制する規制手段とを備えたものであ
る。 さらに、本発明による沈胴式カメラは、撮影可能位
置に繰り出した撮影位置と繰り込んだ沈胴位置とに光軸
方向に移動可能な鏡枠に露出開口を形成するセクタが設
けられている沈胴式カメラにおいて、上記鏡枠に回動自
在に設けられていて回動することに連動して上記セクタ
を開閉動作させるシャッタ開閉用回動部材と、カメラ本
体に設けられていて上記シャッタ開閉用回動部材に駆動
力を供給する駆動機構と、回動自在で且つ光軸方向に移
動可能に設けられていて上記駆動機構 と上記シャッタ開
閉用回動部材とを連結可能とする連結部材と、上記連結
部材の光軸方向の移動に応じて撮影時には上記シャッタ
開閉用回動部材に駆動力を伝達する上記連結部材と上記
駆動機構とが係合した連結状態とし沈胴時には上記連結
部材と上記駆動機構との係合を解除した解除状態とする
連結切換機構と、上記連結部材の光軸方向の移動に応じ
て撮影時には上記連結部材を回動可能とさせまた沈胴時
には上記連結部材の回動を規制する規制手段とを備えた
ものである。

【０００９】こうして、撮影可能位置に繰り出した撮影
位置と繰り込んだ沈胴位置とに光軸方向に移動可能な鏡
枠に設けられたセクタが露出開口を形成し、上記鏡枠に
回動自在に設けられているシャッタ開閉用回動部材が回
動することに連動して上記セクタを開閉動作させ、カメ
ラ本体に設けられている駆動機構が上記シャッタ開閉用
回動部材に駆動力を供給し、回動自在で且つ光軸方向に
移動可能に設けられている連結部材が上記駆動機構と上
記シャッタ開閉用回動部材とを連結可能とし、連結切換
機構が上記連結部材の光軸方向の移動によって撮影時に
は上記シャッタ開閉用回動部材に駆動力を伝達する上記
連結部材と上記駆動機構とが係合した連結状態とし沈胴
時には上記連結部材と上記駆動機構との係合を解除した
解除状態とする。 また、撮影可能位置に繰り出した撮影
位置と繰り込んだ沈胴位置とに光軸方向に移動可能な鏡
枠に設けられたセクタが露出開口を形成し、上記鏡枠に
回動自在に設けられているシャッタ開閉用回動部材が回
動することに連動して上記セクタを開閉動作させ、カメ
ラ本体に設けられている駆動機構が上記シャッタ開閉用
回動部材に駆動力を供給し、回動自在で且つ光軸方向に
移動可能に設けられている連結部材が上記駆動機構と上
記シャッタ開閉用回動部材とを連結可能とし、規制手段
が上記連結部材の光軸方向の移動によって撮影時には上
記シャッタ開閉用回動部材に駆動力を伝達する上記連結
部材を回動可能とさせまた沈胴時には上記連結部材の回
動を規制する。 さらに、撮影可能位置に繰り出した撮影
位置と繰り込んだ沈胴位置とに光軸方向に移動可能な鏡
枠に設けられたセクタが露出開口を形成し、上記鏡枠に
回動自在に設けられているシャッタ開閉用回動部材が回
動することに連動して上記セクタを開閉動作させ、カメ
ラ本体に設けられている駆動機構が上記シャッタ開閉用
回動部材に駆動力を供給し、回動自在で且つ光軸方向に
移動可能に設けられている連結部材が上記駆動機構と上
記シャッタ開閉用回動部材とを連結可能とし、連結切換
機構が上記連結部材の光軸方向の移動に応じて撮影時に
は上記シャッタ開閉用回動部材に駆動力を伝達する上記
連結部材と上記駆動機構とが係合した連結状態とし沈胴
時には上記連結部材と上記駆動機構との係合を解除した
解除状態と し、規制手段が上記連結部材の光軸方向の移
動に応じて撮影時には上記連結部材を回動可能とさせま
た沈胴時には上記連結部材の回動を規制する。

【００１０】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図１，図２は本発明の一実施例のレンズシャッタ
機構のレリーズ操作を行う前のセット状態を示した正面
図および平面図である。

【００１１】このレンズシャッタ機構は、セクタ２を鏡
枠内に配設し、このセクタ２に駆動力を供給する駆動機
構をスプール室の上部に立体的に配置している。

【００１２】まず、鏡枠内に配設されているセクタ２
と、その近傍に配設されている各部材について説明す
る。回動部材でありシャッタ駆動手段たる駆動リング１
は、図示しないレンズ枠に内径嵌合していて、図示しな
い第１押え板によりスラスト方向の移動を規制されなが
ら、周方向に回動可能になっている。この駆動リング１
は、周方向に沿った例えば５等分位置に、セクタ係合溝
１ａが径方向に刻設されている。この駆動リング１の外
周からは後述する連結レバー３と係合するための係合部
１ｃが突設されていて、この係合部１ｃの側部からは駆
動リング１の外周に沿うようにヒレ１ｂが突設されてい
る。このヒレ１ｂは、レンズ枠に取り付けられた第１フ
ォトインタラプタ２１によりセクタ２の開口開始位置を
検知するためのものである。

【００１３】伝達部材たる連結レバー３は、駆動機構お
よび駆動リング１と係合することにより駆動機構の駆動
力を駆動リング１へ伝達するものであって、鏡枠の光軸
後方側の端部に取り付けられている。

【００１４】上記駆動リング１には、シャッタ手段たる
セクタ２が複数枚取り付けられるようになっていて、こ
の実施例では、上記駆動リング１のセクタ係合溝１ａの
数に対応してセクタ２が５枚設けられているが、もちろ
んセクタの数はこれに限るものではない。なお図１で
は、セクタ２の図示を１枚のみに省略している。

【００１５】セクタ２は、複数枚の協働により光束を通
過させ、あるいは光束の通過を遮るための部材であっ
て、その駆動量や駆動時間によって露光量や絞り値を調
整するものであり、図示しない第２押え板によりスラス
ト方向の移動を規制されている。セクタ２には、回動中
心孔２ａが穿設されていて、レンズ枠から光軸方向に突
設された軸に支持されている。この回動中心孔２ａの光
軸中心側の近傍には、セクタ２を回動するためのセクタ
ダボ２ｂがかしめて取り付けられている。このセクタダ
ボ２ｂは、上記第１押え板に穿設された図示しない孔を
通して、上記駆動リング１のセクタ係合溝１ａと係合し
ている。

【００１６】次に、このようなセクタ２を駆動するため
の駆動機構について説明する。駆動機構は、上述のよう
に主としてスプール室の上部に立体的に設けられている
が、鏡枠後端に取り付けられている連結レバー３と連結
させるために、その一部をスプール室前方に配設してい
る。すなわち、スプール室前方となる側には、上記連結
レバー３と係合してセクタ２を開くためのシャッタスピ
ード切換手段たる高速セクタ開用レバー４および低速セ
クタ開用レバー５と、同連結レバー３と係合してセクタ
２を閉じるためのセクタ閉用レバー６などが配置されて
いる。

【００１７】これら高速セクタ開用レバー４，低速セク
タ開用レバー５，セクタ閉用レバー６には、図１に示す
ように、各々ばねが取り付けられている。高速セクタ開
用レバー４に取り付けられているばね２２は、セクタ２
を高速で開くためのものであって、やや強い付勢力を有
する。また、低速セクタ開用レバー５に取り付けられて
いるばね２３は、セクタ２を低速で開いてプログラム用
三角波形を得るためのものであって、やや弱い付勢力を
有する。これらのばね２２，２３は、各部材をセクタ２
を開放する方向（図１中ＣＷ方向）に付勢している。一
方、セクタ閉用レバー６には、セクタ２を閉じる方向
（図１中ＣＣＷ方向）に付勢するばね２４が取り付けら
れていて、このばね２４の付勢力によりセクタ２を閉じ
るとともに、上記ばね２２，２３の付勢力に逆らって高
速セクタ開用レバー４や低速セクタ開用レバー５をチャ
ージするものであり、強い付勢力を有する。

【００１８】上記セクタ開用レバー４，５の回転軌道上
には第２ストッパ２７がカメラ本体から突設されてい
て、該セクタ開用レバー４，５の図１中ＣＣＷ方向の回
転を規制するようになっている。また、上記セクタ閉用
レバー６の回転軌道上には第１ストッパ２６がカメラ本
体から突設されていて、該セクタ閉用レバー６の図１中
ＣＷ方向の回転を規制するようになっている。

【００１９】上記セクタ開用レバー４，５は、ばねチャ
ージ状態において、開き係止部材７により係止されるよ
うになっている。この開き係止部材７は、ばね７ｓによ
って図２中ＣＣＷ方向に付勢されながら軸７ａ周りに回
動する略Ｌ字形状のレバー部材であり、一腕部７ｂの端
部がフック状になって上記セクタ開用レバー４，５を係
止するものである。一方、該開き係止部材７の他腕部７
ｃには、第１マグネット８に吸着される部分となる第１
マグネット受け９が取り付けられているとともに、先端
部には傾斜面７ｄが形成されている。

【００２０】上記第１マグネット８は、オンタイプトリ
ガーマグネットを用いており、マグネット非通電時に
は、該第１マグネット８の永久磁石により第１マグネッ
ト受け９はマグネット吸着されて開き係止部材７を保持
していて、通電時にこの吸着が解放されるものである。

【００２１】また、上記２つのセクタ開用レバー４，５
の内の高速セクタ開用レバー４は、高速用開き係止部材
２０により係止されるようになっている。この高速用開
き係止部材２０は、略Ｌ字形状のレバー部材であって、
一腕部に設けられたフック部を掛けることで、上記開き
係止部材７の係止が外れた際も該高速セクタ開用レバー
４のみを係止するようになっている。この高速用開き係
止部材２０の他腕部は、ボス２０ａを突設していて、シ
ャッタスピード選択手段たるモード切換部材２８の端部
に穿設された縦長の孔２８ａに係合することで、該モー
ド切換部材２８により回動されるようになっている。

【００２２】一方、上記セクタ閉用レバー６も、ばねチ
ャージ状態で係止するための部材である第１閉じ係止部
材１０により係止されるようになっている。この第１閉
じ係止部材１０は、上記開き係止部材７とほぼ同軸の回
転軸を有するやはり略Ｌ字形状のレバー部材であり、ば
ね１０ｓにより図２中ＣＣＷ方向に付勢されていて、そ
の一腕部によりセクタ開用レバー６を係止するようにな
っている。また、該第１閉じ係止部材１０の他腕部に
は、第２マグネット１１に吸着される部分となる上記第
１マグネット受け９と同様の構成の第２マグネット受け
１２が取り付けられている。

【００２３】上記第２マグネット１１は、オフタイプト
リガーマグネットを用いており、第２マグネット１１に
通電することにより第１閉じ係止部材１０を吸着して保
持するものである。

【００２４】第２マグネット１１は、オフタイプトリガ
ーマグネットであるために、非通電時には第１閉じ係止
部材１０は保持されない。そのために、該第１閉じ係止
部材１０の他腕部の先端部近傍には第２閉じ係止部材１
３が設けられている。この第２閉じ係止部材１３は、先
端部がフック状に形成されたアーム部材であり、回転軸
１３ａ周りに回動可能であって、先端のフック部により
第１閉じ係止部材１０を係止保持する方向に、ばね１３
ｓによって常に付勢されている。

【００２５】上記開き係止部材７，第１閉じ係止部材１
０等の図１，図２の左側には、レリーズ動作終了後に上
記各ばねをチャージして再び露光動作可能なセット状態
に復帰させるための機構として、複数のカム面を有する
初期位置復帰手段たるチャージカムギヤー１４が設けら
れている。このチャージカムギヤー１４は、図示しない
モータの駆動力をギヤー列を介して伝達することにより
回転されるようになっていて、図１の上側から下側に向
かって順に、第１小径部の周面に設けられた第１カム面
１４ａ、第２小径部の周面に設けられた第２カム面１４
ｂ、大径部の底面に設けられた第３カム面１４ｃの３つ
のカム面を有している。

【００２６】上記第１カム面１４ａには、開き係止部材
７をチャージするための第１チャージ部材１５が、図示
しないばねにより該第１カム面１４ａに接するように付
勢されている。この第１チャージ部材１５は、第１カム
面１４ａに当接するためのアーム１５ａを有するととも
に、ばね係止アーム１５ｂを設けている。このばね係止
アーム１５ｂには、ばね１８がチャージ状態で取り付け
られていて、このばね１８の先端で開き係止部材７を押
し、ばね７ｓをチャージするようになっている。このと
き、オーバーチャージ分は、該ばね１８で吸収する。

【００２７】上記第２カム面１４ｂには、第１閉じ係止
部材１０をチャージするための第２チャージ部材１６
が、図示しないばねにより該第２カム面１４ｂに接する
ように付勢されている。この第２チャージ部材１６は、
上記第１チャージ部材１５とほぼ同様の構成であって、
ばね１９がチャージ状態で取り付けられていて、このば
ね１９の先端で第１閉じ係止部材１０を押し、ばね１０
ｓをチャージするようになっている。このとき、オーバ
ーチャージ分は、該ばね１９で吸収する。

【００２８】上記第３カム面１４ｃには、セクタ閉用レ
バー６をチャージするための第３チャージ部材１７が、
図示しないばねにより該第３カム面１４ｃに接するよう
に付勢されている。この第３チャージ部材１７は、第３
カム面１４ｃに当接するためのアーム１７ａと、セクタ
閉用レバー６を押圧して回動させるためのアーム１７ｂ
とを有するレバー部材である。

【００２９】また、チャージカムギヤー１４には、薄い
フランジ部１４ｄが設けられていて、このフランジ部１
４ｄにはチャージ完了を検知するための孔１４ｅが穿設
され、第２フォトインタラプタ２５により検知するよう
になっている。

【００３０】次に、このような実施例の作用を説明す
る。カメラに設けられている図示しないレリーズスイッ
チが押されると、まず図示しない制御回路により第２マ
グネット１１に通電され、第２閉じ係止部材１３により
係止されている第１閉じ係止部材１０をさらに吸着保持
する。その後、第１マグネット８に通電することによ
り、開き係止部材７は、吸着が解除されてばねの付勢力
により第１マグネット８から離脱して図２中ＣＣＷ方向
に回転し、開き係止部材７の他腕部７ｃの傾斜面７ｄに
より第２閉じ係止部材１３を押しのける。これにより第
２閉じ係止部材１３は、図２中ＣＷ方向に回転して第１
閉じ係止部材１０の係止を解除する。このとき、第１閉
じ係止部材１０は、依然として第２マグネット１１によ
り吸着保持されている状態にある（図３参照）。

【００３１】さらに、開き係止部材７が図２中ＣＣＷ方
向に動いてセクタ開用レバー４，５の係止を解除し、各
セクタ開用レバー４，５にそれぞれ取り付けられたばね
２２，２３の付勢力により図１中ＣＷ方向に回転して、
連結レバー３を図１中ＣＣＷ方向に回転させ、これによ
り駆動リング１を図１中ＣＷ方向に回転させることで、
セクタ２のダボ２ｂを動かして、回動中心孔２ａを中心
にセクタ２を回転させて、露光するための開口を開かせ
る（図４参照）。

【００３２】このとき、駆動リング１の回転を、ヒレ１
ｂの動きにより第１フォトインタラプタ２１で検出し
て、セクタ２が開く位置を検知したときには、図示しな
い制御回路が秒時カウントを開始する。

【００３３】セクタ開用レバー４，５は、図５に示すよ
うに、連結レバー３とセクタ閉用レバー６が当接して、
該セクタ閉用レバー６を第１ストッパ２６に押圧する位
置まで移動して停止する。この状態でセクタ２は全開と
なる。

【００３４】設定した秒時が経過した後、第２マグネッ
ト１１の通電をオフすることで、第１閉じ係止部材１０
の保持が解除され、ばね１０ｓの付勢力により該第１閉
じ係止部材１０が図２中ＣＣＷ方向に回転してセクタ閉
用レバー６の係止を解除し、セクタ閉用レバー６が、ば
ね２４の付勢力により図１中ＣＣＷ方向に回転して、連
結レバー３および駆動リング１を介してセクタ２を閉じ
させる。

【００３５】このセクタ２を閉じる動作と同時に、セク
タ閉用レバー６に取り付けられたばね２４の付勢力によ
ってセクタ開用レバー４，５が押し戻されて、これらセ
クタ開用レバー４，５に取り付けられたばね２２，２３
がチャージされる。そして、図６に示すように、セクタ
開用レバー４，５が第２ストッパ２７に当接して停止し
た状態がセクタ２の全閉状態であり、このときの位置が
セクタ開用レバー４，５のセット位置である。

【００３６】セクタ２が閉じたことを第１フォトインタ
ラプタ２１により検出すると、制御回路が図示しないモ
ータに通電して、ギヤー列を介してチャージカムギヤー
１４を回転させ、まず、第１カム面１４ａに当接した第
１チャージ部材１５が図２中ＣＣＷ方向に回転して、ば
ね１８により開き係止部材７を押圧して図２中ＣＷ方向
に回転させてチャージし、次に、第３カム面１４ｃに当
接した第３チャージ部材１７が図１中ＣＣＷ方向に回転
することで、セクタ閉用レバー６を同図１中ＣＷ方向に
回転させてチャージし、最後に、第２カム面１４ｂに当
接した第２チャージ部材１６が図２中ＣＣＷ方向に回転
して、ばね１９により第１閉じ係止部材１０を図２中Ｃ
Ｗ方向に回転させてチャージする。このとき、第１閉じ
係止部材１０の端部が第２閉じ係止部材１３のフック部
に形成された傾斜面を押圧することで、ばね１３ｓによ
る付勢力を押しのけて移動して、第１閉じ係止部材１０
が第２閉じ係止部材１３に係止される。

【００３７】こうして、チャージカムギヤー１４に接し
た各チャージ部材１５，１６，１７により、開き係止部
材７，セクタ閉用レバー６，第１閉じ係止部材１０の順
にチャージされる。

【００３８】このような各部材のチャージが終了した状
態においては、開き係止部材７は各セクタ開用レバー
４，５を係止するとともに、非通電状態で第１マグネッ
ト８の永久磁石により保持されている。また、第１閉じ
係止部材１０は、セクタ閉用レバー６を係止するととも
に、第２閉じ係止部材１３により係止されて保持されて
いる（図１，図２，図３参照） 上述の一連のチャージ動作が終了したことを第２フォト
インタラプタ２５により検知して、図示しない制御回路
がチャージ完了と判断してモータの通電をオフし、全て
の動作が終了する。

【００３９】次に本実施例における沈胴時のセクタ誤開
放防止機構について説明する。図７は連結レバー３が鏡
枠の沈胴により移動する様子を示す側面図であり、実線
が撮影状態における位置、２点鎖線が鏡枠が沈胴した状
態における位置をそれぞれ示したものである。

【００４０】撮影時には、鏡枠はカメラ本体から繰り出
され、高速セクタ開用レバー４，低速セクタ開用レバー
５と連結レバー３とが係合して、駆動リング１によりセ
クタ２の開閉が行われる。

【００４１】カメラ未使用時には、鏡枠はカメラ本体内
に沈胴され、鏡枠後端に取り付けられている連結レバー
３は、高速セクタ開用レバー４，低速セクタ開用レバー
５との係合が外れて、本体側に設けられた規制手段たる
光軸方向に長い溝２９に嵌合され、光軸方向には移動可
能となって光軸後方に沈胴する。このとき、光軸周りの
回動は規制されてセクタ２の開閉方向には連結レバー３
は移動不可能となり、このような機構により、沈胴時に
不本意にセクタ２が開くのを防止している。また、連結
レバー３と駆動リング１との係合も、沈胴時には図示の
ようになり、すなわち、連結レバー３に対して駆動リン
グ１は光軸後方に移動する。

【００４２】なお、本実施例では、ばねの付勢力を利用
したシャッタ機構について説明しているが、本発明はこ
れに限るものではなく、プランジャ等によりダイレクト
にシャッタ手段を駆動する方法や、あるいはモータ等に
よりシャッタ手段を駆動する方法においても有効であ
る。

【００４３】このような実施例によれば、セクタを閉じ
方向に付勢するためのばねを必要としないで誤開放を防
止する機構を実現しているために、ばね力によるセクタ
の開閉機構において、低速においても安定したセクタの
開き速度を得ることができる。また、部品点数を増やす
ことなく、鏡枠内には露出開口形成に必要最低限な部材
のみを配置し、他のシャッタ駆動機構はカメラ本体側に
配設していて、上述のようにセクタを閉じ方向に付勢す
るばねや、その他の誤開放防止する機構は鏡枠に配置す
る必要がないために、鏡枠を小型化することができて、
ひいては、カメラ全体の大きさをコンパクトにすること
もできる。

【００４４】

【発明の効果】以上説明したように本発明の沈胴式カメ
ラによれば、シャッタ手段の低速開放速度が不安定にな
らず、大型化することなく該シャッタ手段の誤開放を防
止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すレンズシャッタ機構の
正面図。

【図２】上記実施例のレンズシャッタ機構の平面図。

【図３】上記実施例のセット状態のレンズシャッタ機構
の要部を示す正面図。

【図４】上記実施例のセクタが開き始めた状態のレンズ
シャッタ機構の要部を示す正面図。

【図５】上記実施例のセクタが全開状態のレンズシャッ
タ機構の要部を示す正面図。

【図６】上記実施例のセクタが全閉状態のレンズシャッ
タ機構の要部を示す正面図。

【図７】上記実施例の連結レバーが鏡枠の沈胴により移
動する様子を示す側面図。

【符号の説明】

１…駆動リング（回動部材、シャッタ開閉用回動部材） ２…セクタ（シャッタ手段） ３…連結レバー（伝達部材、連結部材） ４…高速セクタ開用レバー ５…低速セクタ開用レバー ６…セクタ閉用レバー ２９…溝（規制手段、連結切換機構）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭59−82227（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G03B 11/04 G03B 9/06 G03B 9/24 G03B 17/04

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 撮影可能位置に繰り出した撮影位置と繰
   り込んだ沈胴位置とに光軸方向に移動可能な鏡枠に露出
   開口を形成するセクタが設けられている沈胴式カメラに
   おいて、 上記鏡枠に回動自在に設けられていて、回動することに
   連動して上記セクタを開閉動作させるシャッタ開閉用回
   動部材と、 カメラ本体に設けられていて、上記シャッタ開閉用回動
   部材に駆動力を供給する駆動機構と、 回動自在で且つ光軸方向に移動可能に設けられていて、
   上記駆動機構と上記シャッタ開閉用回動部材とを連結可
   能とする連結部材と、 上記連結部材の光軸方向の移動によって、撮影時には上
   記シャッタ開閉用回動部材に駆動力を伝達する上記連結
   部材と上記駆動機構とが係合した連結状態とし、沈胴時
   には上記連結部材と上記駆動機構との係合を解除した解
   除状態とする連結切換機構と、 を具備することを特徴とする沈胴式カメラ。
2. 【請求項２】 撮影可能位置に繰り出した撮影位置と繰
   り込んだ沈胴位置とに光軸方向に移動可能な鏡枠に露出
   開口を形成するセクタが設けられている沈胴式カメラに
   おいて、 上記鏡枠に回動自在に設けられていて、回動することに
   連動して上記セクタを開閉動作させるシャッタ開閉用回
   動部材と、 カメラ本体に設けられていて、上記シャッタ開閉用回動
   部材に駆動力を供給する駆動機構と、 回動自在で且つ光軸方向に移動可能に設けられていて、
   上記駆動機構と上記シャッタ開閉用回動部材とを連結可
   能とする連結部材と、 上記連結部材の光軸方向の移動によって、撮影時には上
   記シャッタ開閉用回動部材に駆動力を伝達する上記連結
   部材を回動可能とさせ、また、沈胴時には上記連結部材
   の回動を規制する規制手段と、 を具備することを特徴とする沈胴式カメラ。
3. 【請求項３】 撮影可能位置に繰り出した撮影位置と繰
   り込んだ沈胴位置と に光軸方向に移動可能な鏡枠に露出
   開口を形成するセクタが設けられている沈胴式カメラに
   おいて、 上記鏡枠に回動自在に設けられていて、回動することに
   連動して上記セクタを開閉動作させるシャッタ開閉用回
   動部材と、 カメラ本体に設けられていて、上記シャッタ開閉用回動
   部材に駆動力を供給する駆動機構と、 回動自在で且つ光軸方向に移動可能に設けられていて、
   上記駆動機構と上記シャッタ開閉用回動部材とを連結可
   能とする連結部材と、 上記連結部材の光軸方向の移動に応じて、撮影時には上
   記シャッタ開閉用回動部材に駆動力を伝達する上記連結
   部材と上記駆動機構とが係合した連結状態とし、沈胴時
   には上記連結部材と上記駆動機構との係合を解除した解
   除状態とする連結切換機構と、 上記連結部材の光軸方向の移動に応じて、撮影時には上
   記連結部材を回動可能とさせ、また、沈胴時には上記連
   結部材の回動を規制する規制手段と、 を具備することを特徴とする沈胴式カメラ。