JP3604516B2 - レンズ駆動機構付きシャッタ装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は単一のモータをレンズ駆動及びシャッタ駆動の駆動源として兼用したレンズ駆動付きシャッタ装置に関し,特に焦点調整を遠近2焦点とした簡易なレンズ駆動付きシャッタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に単一のモータをレンズ駆動機構及びシャッタ駆動機構の駆動源として兼用する場合,レンズ駆動機構を目的の位置まで駆動してラチェット等の係止機構で位置決めした後シャッタ駆動機構を駆動するようになされているが,この様な装置の場合にはレンズ駆動機構を係止する為の係止機構を設ける必要から機構が複雑化し,廉価なカメラに使用することはコスト的に困難であるという問題がある。一方において,廉価なカメラの場合には,被写界深度の浅い大口径レンズの使用が稀であることから遠近2焦点程度の焦点調整機構でも十分であるということもあり,本出願人は,正逆両方向に回転可能なモータを使用し,該モータを正逆何れの方向に回転してもシャッタ羽根の開閉駆動を可能とするとともに,モータが正転した場合には近距離設定を,モータが逆転した場合には遠距離設定をする様にした内容を例えば特開平6−11756等によって既に提案している。
【0003】
図8は上記特開平6−11756号をを示すものであり,モータ1の偏芯軸1aが右旋するとT状の開閉レバー2が軸2aを中心に左旋して連動レバー3が軸4を中心にして右旋する。軸4には作動レバー5も同軸支持されており,連動レバー3に植設されたピン3aと作動レバー5に植設されたピン5aは軸4の周囲に捲着された捻りバネ6の双方の足に挟持されているので,連動レバー3が右旋すると作動レバー5はレンズ駆動リング7を左旋させながら右旋する。そして,レンズ駆動リング7の左旋動作がストッパピン8で停止した時点で図外の撮影レンズは遠距離撮影位置迄後退する。レンズ駆動リング7や作動レバー5の旋回動作は上記の様にストッパピン8によって規制されるが,その後もモータ1,開閉レバー2,連動レバー3の旋回動作は続行され,開閉レバー2の左旋に伴って羽根10は軸11を中心に右旋し開口縁10aがアパーチュアAPを開口する。モータ1の回転方向が逆の時は各レバー類の回転方向が逆になり,レンズ駆動リング7はストッパピン9によって規制される位置まで右旋して図外の撮影レンズを近距離撮影位置迄繰り出すとともに羽根10は開口縁10bがアパーチュアAPを開口する。尚,12,13は開閉レバー2を中立位置で保持するためのスプリングである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の手法の場合,機構を簡素化する点では大きな効果が期待されるが,以下に示す様な問題が明らかになった。先ず,レンズ駆動リング7の旋回位置を捻りバネ6の弾性による押しつけ動作で保持する様にしているため,捻りバネ6の振動に起因してレンズ駆動リング7の旋回位置が安定しない。このレンズ駆動リング7の旋回位置を安定化する為には捻りバネ6の力量を増大させることが有効であるが,レンズ駆動リング7の旋回動作がピン8・9よって規制された後のモータ1の旋回動作(焦点調整後のアパーチュアAPを開口させる為の旋回動作)は捻りバネ6をチャージしながら実行されるので,捻りバネ6の力量を増大させた場合には,モータ1に要求されるトルクが増大し,撮影可能枚数の低下や重量増等を生じる。更に,一般的にレンズ機構は位置的な安定化を図る為に図外のスプリングによって一方に付勢されている。そして,上述の手法の場合には,レンズは初期状態においては近距離撮影位置と遠距離撮影位置の中間点に位置しており,この中間点から後退させることにより遠距離撮影をさせ,中間点から繰り出すことにより近距離撮影をさせる様になされている為,上記のレンズ機構の安定化の為のスプリングの影響で後退時と繰り出し時とではモータに要求される力量が大幅に異なり,オーバシュート量が一定化せず,安定した合焦位置を保ち難いという問題が生じる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はこの様な問題点に鑑みてなされたものであり,遠近2焦点式の焦点調整機構とシャッタ羽根の開閉機構とが単一のモータを兼用するとともに,焦点調整機構の位置決め用の係止機構を省いた簡易な機構を前提として焦点調整位置の安定化やモータ力量の減少を可能とすることを目的とするものである。要約すれば本発明のレンズ駆動付きシャッタ装置は:作動領域の中央点付近にある初期位置から一方又は他方への作動領域を持つモータと:該モータに連結され,該モータの作動方向に対応して一方又は他方へ作動可能な駆動部材と:露出用開口部を開閉するセクタと:該セクタと連結され,該セクタを開閉駆動するとともに該セクタを開口駆動する方向に付勢されたセクタ駆動レバーと:前記セクタが前記露出用開口を閉鎖する状態で前記セクタ駆動レバーを係止する係止レバーと:前記駆動部材と一体的に一方又は他方に作動し,前記駆動部材が初期位置から一方に作動する時に撮影用レンズを近距離撮影位置に駆動する近距離駆動カム縁と,該近距離駆動カム縁に連続して撮影用レンズを近距離撮影位置で維持する近距離維持カム縁とが形成され,且つ,前記駆動部材が初期位置から他方に作動する時に前記撮影用レンズを遠距離撮影位置に駆動する遠距離駆動カム縁と,該遠距離駆動カム縁に連続して撮影用レンズを遠距離撮影位置で維持する遠距離維持カム縁とが形成されたカム部材を具備するとともに:前記駆動部材には,該駆動部材が初期位置から一方に作動する時に前記カム部材に形成された近距離維持カム縁が前記撮影用レンズを近距離撮影位置で維持している間に前記係止レバーによる前記セクタ駆動レバーの係止を解除する第1の係止解除縁と,該駆動部材が初期位置から他方に作動する時に前記カム部材に形成された遠距離維持カム縁が前記撮影用レンズを遠距離撮影位置で維持している間に前記係止レバーによる前記セクタ駆動レバーの係止を解除する第2の係止解除縁と,該駆動部材が初期位置に復帰する時に前記セクタ駆動レバーを前記付勢力に抗して前記セクタが前記露出用開口を閉鎖する位置に復帰させる復帰縁とが各々形成されることにより上記目的を達成するものである。
【0006】
本発明のレンズ駆動機構付きシャッタ装置は,モータが作動領域の中央点付近にある初期位置から一方又は他方に回転することにより駆動部材も一方又は他方に駆動され,カム部材も駆動部材と一体的に一方又は他方に駆動される。このカム部材が一方に駆動される時にカム部材に形成された近距離駆動カム縁は撮影用レンズを近距離撮影位置に駆動する。カム部材が引き続き一方に駆動されると近距離維持カム縁によって撮影用レンズは近距離撮影位置で維持され,撮影用レンズが近距離撮影位置で維持されている期間において駆動部材に形成された第1の係止解除縁が係止レバーによるセクタ駆動レバーの係止を解除し,セクタ駆動レバーはセクタを開口方向に駆動する。その後駆動部材が初期位置に復帰する過程で駆動部材に形成された復帰縁がセクタ駆動レバーを閉鎖位置に復帰させて近距離撮影動作を終了させる。一方,カム部材が初期位置から他方に駆動させる時にカム部材に形成された遠距離駆動カム縁は撮影用レンズを遠距離撮影位置に駆動する。カム部材が引き続き他方に駆動されると遠距離維持カム縁によって撮影用レンズは遠距離撮影位置で維持され,撮影用レンズが遠距離撮影位置で維持されている期間において駆動部材に形成された第2の係止解除縁が係止レバーによるセクタ駆動レバーの係止を解除し,セクタ駆動レバーはセクタを開口方向に駆動する。その後駆動部材が初期位置に復帰する過程で駆動部材に形成された復帰縁がセクタ駆動レバーを閉鎖位置に復帰させて遠距離撮影動作を終了させる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下,図面を参照して本発明の望ましい実施の形態を説明する。図1は本発明の1実施例を示す平面図であり,図1ではセクタに関しては省略している。又,図2はカム形状を原理的に示す為の断面図であり,図3はセクタを重点的に示した平面図である。尚,図1から図3は各々の初期状態を示している。20は中央に露出開口APが形成された地板を示し,21はモータを示す。モータ21は偏芯した出力ピン21aを地板20の裏面向けて突出しており,モータ21は駆動電流の方向に応じて正負両方向に所定の角度範囲で弧回する。22は地板20の裏面に露出開口APを中心に旋回可能に設けられた駆動リングであり,駆動リング22に形成された長孔22aにはモータ21の出力ピン21aが係合しており,モータ21が左旋すると駆動リング22は右旋し,モータ21が右旋すると駆動リング22は左旋する。
【0008】
23は地板20の表面に露出開口APを中心に旋回可能に設けられたカムリングであり,駆動リング22の表面に植設された連結ピン22bは地板20に形成されたスロット20aを貫通して,カムリング23の外縁に突出形成された連結アーム23aに形成された長孔23bと係合しており,カムリング23は駆動リング22と一体的に旋回動作をなす。24は内部に図外の撮影レンズを収納したレンズ枠であり,レンズ枠24は概ね180度間隔で外縁に形成されたガイドアーム24a・24bに図外のガイドピンが挿入されており,ガイドピンに沿って紙面垂直方向に移動可能に支持されている。レンズ駆動リング24の裏面には120度間隔でカムフォロア24cが形成され,図2に示す様にカムフォロア24cはカムリング23に形成されたレンズ駆動カム23cに支承されている。又,図2においてSPはレンズ枠24をカム面に押し付けてレンズ枠24の安定化を図るスプリングである。図4はレンズ駆動カム23cを拡大したものであり,レンズ駆動カム23cはレンズ枠24を近距離撮影位置まで駆動する近距離駆動カム縁23d,レンズ枠24を近距離撮影位置で維持する近距離維持カム縁23e,レンズ枠24を遠距離撮影位置まで駆動する遠距離駆動カム縁23f,レンズ枠24を遠距離撮影位置で維持する遠距離維持カム縁24gが形成されている。
【0009】
25はセクタ駆動レバーであり,地板20上の軸25aに揺動自在に支持されるとともに,スプリング26によって左旋方向の付勢力を与えられている。しかしながら初期状態ではセクタ駆動レバー25の裏面に植設された復帰ピン25bが地板20に形成されたスロット20bを貫通して駆動リング22の外縁に形成された復帰カム22cに当接して図1に示す状態を維持している。又,セクタ駆動リング25の裏面に植設された駆動ピン25cは地板20に形成されたスロット20cを貫通して図3に詳述するセクタと係合している。
【0010】
27はセクタ駆動レバーを係止するための係止レバーであり,係止レバー27は地板20上の軸27aに揺動自在に支持されるとともに,スプリング28によって左旋方向の付勢力を与えられており,その先端部の係合アーム27bがセクタ駆動レバー25の先端部25dを係止しており,係止レバー27が左旋することによってセクタ駆動レバー25の係止が解除される。この係止レバー27に対する左旋力は係止レバー27の裏面に形成された駆動ピン27c及び27dを介して駆動リング22から後述の如くして与えられる。
【0011】
29a及び29bは駆動リング20を初期位置にホールドする為のスプリングであり,その作動限を地板20に植設されたピン30によって規制されるとともに,駆動リング22に形成された曲げ部22dに対して,スプリング29aは右旋力を,スプリング29bは左旋力を各々及ぼしている。
【0012】
次に,図3は地板20(一点鎖線で仮想的に示している。)の裏側に配置されたセクタを示すものであり,露出開口APを開閉する為のセクタ31及び32は各々地板20の裏面に植設された軸31a及び32aに各々揺動自在に支持されており,セクタ駆動レバー25の裏面の駆動ピン25cはセクタ31及び32に各々形成された長孔31b及び32bと係合している。従って,図3に示す状態からセクタ駆動レバー25が軸25aを中心にして左旋するとセクタ31は軸31aを中心に左旋し,セクタ32は軸32aを中心に右旋して露出開口APを開口する。
【0013】
次に,上記事項及び図5乃至図7を参照して上記実施例の動作を近距離撮影時及び遠距離撮影時の順で説明する。モータ21の出力ピン21aが長孔22aを係合しながら図5に示す様に左旋すると,駆動リング22は露出開口APを中心にしてスプリング29bをチャージしながら右旋する。駆動リング22に設けられた連結ピン22bはカムリング23の長孔23bと係合しているので,駆動リング22の右旋に伴ってカムリング23も露出開口APを中心に右旋し,レンズ駆動カム23cはレンズ枠24に対して相対的に旋回するので,レンズ枠24のカムフォロア24cは近距離駆動カム縁23dを通過して近距離維持カム縁24eに乗り上げる。そして,カムフォロア24cが近距離駆動カム縁23dを乗り上げる過程でレンズ枠24は近距離撮影位置まで繰り出される。
【0014】
さて,駆動リング22には,駆動リング22の右旋過程で係止レバー27を左旋させる第1の係止解除縁22eと,駆動リング22の左旋過程で係止レバー27を左旋させる第2の係止解除縁22fとが形成されており,上記の様にしてカムフォロア24cが近距離維持カム縁24eに乗り上げている間に係止解除縁22eは係止レバー27の裏面に形成された駆動ピン27dと当接して係止レバー27を左旋させる。そして,この時点ではセクタ駆動レバー25に形成された復帰ピン25bは駆動リング22の復帰カム22cから解放されているので,係止レバー27の左旋によって係止解除されるとセクタ駆動レバー25はスプリング26の付勢力によって左旋する。尚,図5はこの様にしてセクタ駆動レバー25が左旋した直後の状態を示している。この様にしてセクタ駆動レバー25が左旋すると図6に示す様にセクタ駆動レバー25の裏面に形成された駆動ピン25cがセクタ31を左旋させるとともにセクタ32を右旋させて露出開口APを開口する。
【0015】
その後所望される露出秒時に対応した時間差をおいてモータ出力ピン21aを初期位置まで右旋させると,このモータトルク及び初期位置復帰用のスプリング29bの付勢力によって駆動リング22は図1に示す初期位置まで左旋し,この時駆動リング22に従動してカムリング23も初期位置まで左旋する。従って,レンズ枠24のカムフォロア24cもレンズ駆動カム23cの近距離駆動カム縁23dを下って初期位置まで復帰する。そして,駆動リング22が初期位置まで復帰すると駆動リング22の復帰カム22cがセクタ駆動リング25の復帰ピン25cを押してセクタ駆動リングを右旋させる。従って,セクタ31・32は図3に示す様に露出開口APを閉鎖して露出動作を終了する。そしてこの時点では係止レバー27の駆動ピン27dは駆動リング22の第1の係止解除縁22eから解放されているので,係止レバー27はスプリング28によって右旋してセクタ駆動レバー25を係止して一回の近距離撮影動作が終了する。
【0016】
次に,遠距離撮影の場合に関して説明する。モータ21の出力ピン21aが長孔22aを係合しながら図7に示す様に右旋すると,駆動リング22は露出開口APを中心にしてスプリング29aをチャージしながら左旋し,カムリング23も露出開口APを中心に左旋する。従って,レンズ枠24のカムフォロア24cは遠距離駆動カム縁23fを通過して遠距離維持カム縁24gに乗り上げる。そして,カムフォロア24cが遠距離駆動カム縁23fを乗り上げる過程でレンズ枠24は遠距離撮影位置まで繰り出される。
【0017】
そして,上記の様にしてカムフォロア24c遠距離維持カム縁24gに乗り上げている間に第2の係止解除縁22fは係止レバー27の裏面に形成された駆動ピン27cと当接して係止レバー27を左旋させる。そして,この時点ではセクタ駆動レバー25に形成された復帰ピン25bは駆動リング22の復帰カム22cから解放されているので,係止レバー27の左旋によって係止解除されるとセクタ駆動レバー25はスプリング26の付勢力によって左旋する。尚,図7はこの様にしてセクタ駆動レバー25が左旋した直後の状態を示している。この様にしてセクタ駆動レバー25が左旋すると図6に示す様にセクタ駆動レバー25の裏面に形成された駆動ピン25cがセクタ31を左旋させるとともにセクタ32を右旋させて露出開口APを開口する。
【0018】
その後所望される露出秒時に対応した時間差をおいてモータ出力ピン21aを初期位置まで左旋させすると,このモータトルク及び初期位置復帰用のスプリング29aの付勢力によって駆動リング22は図1に示す初期位置まで右旋し,この時駆動リング22に従動してカムリング23も初期位置まで右旋する。従って,レンズ枠24のカムフォロア24cもレンズ駆動カム23cの遠距離駆動カム縁23fを下って初期位置まで復帰する。そして,駆動リング22が初期位置まで復帰すると駆動リング22の復帰カム22cがセクタ駆動リング25の復帰ピン25cを押してセクタ駆動リングを右旋させる。従って,セクタ31・32は図3に示す様に露出開口APを閉鎖して露出動作を終了する。そしてこの時点では係止レバー27の駆動ピン27cは駆動リング22の第2の係止解除縁22fから解放されているので,係止レバー27はスプリング28によって右旋してセクタ駆動レバー25を係止して一回の遠距離撮影動作が終了する。
【0019】
【発明の効果】
以上説明した様に,本発明によればレンズ枠が近距離維持カム縁或いは遠距離維持カム縁の上に乗り上げた状態でセクタの開閉作動がなされるので,レンズ枠の位置的な安定性を向上させることが出来る。又,上記実施例の様に遠距離の場合も近距離の場合もレンズ枠の光軸方向への移動方向を同一にした場合には,中央点復帰用のスプリングに必要な力量の平均値を小さくすることが可能となり,従って,要求されるモータトルクも低減され,撮影可能コマ数を増加させることが出来る。即ち,カム駆動式のレンズ系の場合,レンズ枠をカムに押し付ける為のスプリングSP(図2参照)が使用されるが,近距離撮影時には中点(初期位置)からレンズ枠を繰り出し,遠距離撮影時には中点からレンズ枠を引き込む様なカム形状とした場合には,遠距離撮影位置から初期位置に戻す為のスプリングはレンズ枠をカム面に押し付ける為のスプリングに抗して作用する必要から大きな力量が要求されることになり,この付勢力の大きなスプリングを使用する関係からモータ負荷も大きくなるが,上記実施例の様に撮影距離の遠近に関わりなく初期位置からのレンズ枠の作動方向を一定とした場合にはレンズ枠を押し付ける為のスプリングは初期位置復帰用のスプリングに対しては負荷としては作用せず,全体としてのモータ負荷を軽減することが出来るからである。又,上記の図4からも明らかなように近距離駆動カム縁23dと遠距離駆動カム縁23fとではカム傾斜が異なることからレンズ枠安定化の為のスプリングSPが遠距離撮影位置からの復帰用のスプリング29aに及ぼす力よりも近距離撮影位置からの復帰用のスプリング20bに及ぼす力の方が大きい。従って,この力量差を打ち消すようにスプリング29aと29bの力量に差を持たせれば近距離撮影時と遠距離撮影時とで要求されるモータトルクを均衡させることが可能となり,オーバーシュート量の均衡等制御特性を安定化することが出来る。更に,上記実施例の様に近距離撮影時に作動する第1の係止解除縁と遠距離撮影時に作動する第2の係止解除縁とが係止レバーに対して同一方向の作動力を与える様にした場合には係止レバーやセクタ駆動レバーの周辺機構を単純化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るレンズ駆動機構付きシャッタ装置の初期状態における平面図。
【図2】図1に示す実施例の断面図。
【図3】図1に示す実施例の羽根周辺機構の平面図。
【図4】図2のカム形状を示す拡大図。
【図5】図1に示す実施例の近距離撮影状態の平面図。
【図6】図2に示す羽根周辺機構の開口状態を示す平面図。
【図7】図1に示す実施例の遠距離撮影状態の平面図。
【図8】従来の機構例を示す原理図。
【符号の説明】
21 モータ
22 駆動リング
22c 復帰縁
22e 第1の係止解除縁
22f 第2の係止解除縁
23 カムリング
23d 近距離駆動カム縁
23e 近距離維持カム縁
23f 遠距離駆動カム縁
23g 遠距離維持カム縁
24 レンズ枠
25 セクタ駆動レバー
27 係止レバー
28b スプリング
29a スプリング
31 セクタ
32 セクタ
【発明の属する技術分野】
本発明は単一のモータをレンズ駆動及びシャッタ駆動の駆動源として兼用したレンズ駆動付きシャッタ装置に関し,特に焦点調整を遠近2焦点とした簡易なレンズ駆動付きシャッタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に単一のモータをレンズ駆動機構及びシャッタ駆動機構の駆動源として兼用する場合,レンズ駆動機構を目的の位置まで駆動してラチェット等の係止機構で位置決めした後シャッタ駆動機構を駆動するようになされているが,この様な装置の場合にはレンズ駆動機構を係止する為の係止機構を設ける必要から機構が複雑化し,廉価なカメラに使用することはコスト的に困難であるという問題がある。一方において,廉価なカメラの場合には,被写界深度の浅い大口径レンズの使用が稀であることから遠近2焦点程度の焦点調整機構でも十分であるということもあり,本出願人は,正逆両方向に回転可能なモータを使用し,該モータを正逆何れの方向に回転してもシャッタ羽根の開閉駆動を可能とするとともに,モータが正転した場合には近距離設定を,モータが逆転した場合には遠距離設定をする様にした内容を例えば特開平6−11756等によって既に提案している。
【0003】
図8は上記特開平6−11756号をを示すものであり,モータ1の偏芯軸1aが右旋するとT状の開閉レバー2が軸2aを中心に左旋して連動レバー3が軸4を中心にして右旋する。軸4には作動レバー5も同軸支持されており,連動レバー3に植設されたピン3aと作動レバー5に植設されたピン5aは軸4の周囲に捲着された捻りバネ6の双方の足に挟持されているので,連動レバー3が右旋すると作動レバー5はレンズ駆動リング7を左旋させながら右旋する。そして,レンズ駆動リング7の左旋動作がストッパピン8で停止した時点で図外の撮影レンズは遠距離撮影位置迄後退する。レンズ駆動リング7や作動レバー5の旋回動作は上記の様にストッパピン8によって規制されるが,その後もモータ1,開閉レバー2,連動レバー3の旋回動作は続行され,開閉レバー2の左旋に伴って羽根10は軸11を中心に右旋し開口縁10aがアパーチュアAPを開口する。モータ1の回転方向が逆の時は各レバー類の回転方向が逆になり,レンズ駆動リング7はストッパピン9によって規制される位置まで右旋して図外の撮影レンズを近距離撮影位置迄繰り出すとともに羽根10は開口縁10bがアパーチュアAPを開口する。尚,12,13は開閉レバー2を中立位置で保持するためのスプリングである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の手法の場合,機構を簡素化する点では大きな効果が期待されるが,以下に示す様な問題が明らかになった。先ず,レンズ駆動リング7の旋回位置を捻りバネ6の弾性による押しつけ動作で保持する様にしているため,捻りバネ6の振動に起因してレンズ駆動リング7の旋回位置が安定しない。このレンズ駆動リング7の旋回位置を安定化する為には捻りバネ6の力量を増大させることが有効であるが,レンズ駆動リング7の旋回動作がピン8・9よって規制された後のモータ1の旋回動作(焦点調整後のアパーチュアAPを開口させる為の旋回動作)は捻りバネ6をチャージしながら実行されるので,捻りバネ6の力量を増大させた場合には,モータ1に要求されるトルクが増大し,撮影可能枚数の低下や重量増等を生じる。更に,一般的にレンズ機構は位置的な安定化を図る為に図外のスプリングによって一方に付勢されている。そして,上述の手法の場合には,レンズは初期状態においては近距離撮影位置と遠距離撮影位置の中間点に位置しており,この中間点から後退させることにより遠距離撮影をさせ,中間点から繰り出すことにより近距離撮影をさせる様になされている為,上記のレンズ機構の安定化の為のスプリングの影響で後退時と繰り出し時とではモータに要求される力量が大幅に異なり,オーバシュート量が一定化せず,安定した合焦位置を保ち難いという問題が生じる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はこの様な問題点に鑑みてなされたものであり,遠近2焦点式の焦点調整機構とシャッタ羽根の開閉機構とが単一のモータを兼用するとともに,焦点調整機構の位置決め用の係止機構を省いた簡易な機構を前提として焦点調整位置の安定化やモータ力量の減少を可能とすることを目的とするものである。要約すれば本発明のレンズ駆動付きシャッタ装置は:作動領域の中央点付近にある初期位置から一方又は他方への作動領域を持つモータと:該モータに連結され,該モータの作動方向に対応して一方又は他方へ作動可能な駆動部材と:露出用開口部を開閉するセクタと:該セクタと連結され,該セクタを開閉駆動するとともに該セクタを開口駆動する方向に付勢されたセクタ駆動レバーと:前記セクタが前記露出用開口を閉鎖する状態で前記セクタ駆動レバーを係止する係止レバーと:前記駆動部材と一体的に一方又は他方に作動し,前記駆動部材が初期位置から一方に作動する時に撮影用レンズを近距離撮影位置に駆動する近距離駆動カム縁と,該近距離駆動カム縁に連続して撮影用レンズを近距離撮影位置で維持する近距離維持カム縁とが形成され,且つ,前記駆動部材が初期位置から他方に作動する時に前記撮影用レンズを遠距離撮影位置に駆動する遠距離駆動カム縁と,該遠距離駆動カム縁に連続して撮影用レンズを遠距離撮影位置で維持する遠距離維持カム縁とが形成されたカム部材を具備するとともに:前記駆動部材には,該駆動部材が初期位置から一方に作動する時に前記カム部材に形成された近距離維持カム縁が前記撮影用レンズを近距離撮影位置で維持している間に前記係止レバーによる前記セクタ駆動レバーの係止を解除する第1の係止解除縁と,該駆動部材が初期位置から他方に作動する時に前記カム部材に形成された遠距離維持カム縁が前記撮影用レンズを遠距離撮影位置で維持している間に前記係止レバーによる前記セクタ駆動レバーの係止を解除する第2の係止解除縁と,該駆動部材が初期位置に復帰する時に前記セクタ駆動レバーを前記付勢力に抗して前記セクタが前記露出用開口を閉鎖する位置に復帰させる復帰縁とが各々形成されることにより上記目的を達成するものである。
【0006】
本発明のレンズ駆動機構付きシャッタ装置は,モータが作動領域の中央点付近にある初期位置から一方又は他方に回転することにより駆動部材も一方又は他方に駆動され,カム部材も駆動部材と一体的に一方又は他方に駆動される。このカム部材が一方に駆動される時にカム部材に形成された近距離駆動カム縁は撮影用レンズを近距離撮影位置に駆動する。カム部材が引き続き一方に駆動されると近距離維持カム縁によって撮影用レンズは近距離撮影位置で維持され,撮影用レンズが近距離撮影位置で維持されている期間において駆動部材に形成された第1の係止解除縁が係止レバーによるセクタ駆動レバーの係止を解除し,セクタ駆動レバーはセクタを開口方向に駆動する。その後駆動部材が初期位置に復帰する過程で駆動部材に形成された復帰縁がセクタ駆動レバーを閉鎖位置に復帰させて近距離撮影動作を終了させる。一方,カム部材が初期位置から他方に駆動させる時にカム部材に形成された遠距離駆動カム縁は撮影用レンズを遠距離撮影位置に駆動する。カム部材が引き続き他方に駆動されると遠距離維持カム縁によって撮影用レンズは遠距離撮影位置で維持され,撮影用レンズが遠距離撮影位置で維持されている期間において駆動部材に形成された第2の係止解除縁が係止レバーによるセクタ駆動レバーの係止を解除し,セクタ駆動レバーはセクタを開口方向に駆動する。その後駆動部材が初期位置に復帰する過程で駆動部材に形成された復帰縁がセクタ駆動レバーを閉鎖位置に復帰させて遠距離撮影動作を終了させる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下,図面を参照して本発明の望ましい実施の形態を説明する。図1は本発明の1実施例を示す平面図であり,図1ではセクタに関しては省略している。又,図2はカム形状を原理的に示す為の断面図であり,図3はセクタを重点的に示した平面図である。尚,図1から図3は各々の初期状態を示している。20は中央に露出開口APが形成された地板を示し,21はモータを示す。モータ21は偏芯した出力ピン21aを地板20の裏面向けて突出しており,モータ21は駆動電流の方向に応じて正負両方向に所定の角度範囲で弧回する。22は地板20の裏面に露出開口APを中心に旋回可能に設けられた駆動リングであり,駆動リング22に形成された長孔22aにはモータ21の出力ピン21aが係合しており,モータ21が左旋すると駆動リング22は右旋し,モータ21が右旋すると駆動リング22は左旋する。
【0008】
23は地板20の表面に露出開口APを中心に旋回可能に設けられたカムリングであり,駆動リング22の表面に植設された連結ピン22bは地板20に形成されたスロット20aを貫通して,カムリング23の外縁に突出形成された連結アーム23aに形成された長孔23bと係合しており,カムリング23は駆動リング22と一体的に旋回動作をなす。24は内部に図外の撮影レンズを収納したレンズ枠であり,レンズ枠24は概ね180度間隔で外縁に形成されたガイドアーム24a・24bに図外のガイドピンが挿入されており,ガイドピンに沿って紙面垂直方向に移動可能に支持されている。レンズ駆動リング24の裏面には120度間隔でカムフォロア24cが形成され,図2に示す様にカムフォロア24cはカムリング23に形成されたレンズ駆動カム23cに支承されている。又,図2においてSPはレンズ枠24をカム面に押し付けてレンズ枠24の安定化を図るスプリングである。図4はレンズ駆動カム23cを拡大したものであり,レンズ駆動カム23cはレンズ枠24を近距離撮影位置まで駆動する近距離駆動カム縁23d,レンズ枠24を近距離撮影位置で維持する近距離維持カム縁23e,レンズ枠24を遠距離撮影位置まで駆動する遠距離駆動カム縁23f,レンズ枠24を遠距離撮影位置で維持する遠距離維持カム縁24gが形成されている。
【0009】
25はセクタ駆動レバーであり,地板20上の軸25aに揺動自在に支持されるとともに,スプリング26によって左旋方向の付勢力を与えられている。しかしながら初期状態ではセクタ駆動レバー25の裏面に植設された復帰ピン25bが地板20に形成されたスロット20bを貫通して駆動リング22の外縁に形成された復帰カム22cに当接して図1に示す状態を維持している。又,セクタ駆動リング25の裏面に植設された駆動ピン25cは地板20に形成されたスロット20cを貫通して図3に詳述するセクタと係合している。
【0010】
27はセクタ駆動レバーを係止するための係止レバーであり,係止レバー27は地板20上の軸27aに揺動自在に支持されるとともに,スプリング28によって左旋方向の付勢力を与えられており,その先端部の係合アーム27bがセクタ駆動レバー25の先端部25dを係止しており,係止レバー27が左旋することによってセクタ駆動レバー25の係止が解除される。この係止レバー27に対する左旋力は係止レバー27の裏面に形成された駆動ピン27c及び27dを介して駆動リング22から後述の如くして与えられる。
【0011】
29a及び29bは駆動リング20を初期位置にホールドする為のスプリングであり,その作動限を地板20に植設されたピン30によって規制されるとともに,駆動リング22に形成された曲げ部22dに対して,スプリング29aは右旋力を,スプリング29bは左旋力を各々及ぼしている。
【0012】
次に,図3は地板20(一点鎖線で仮想的に示している。)の裏側に配置されたセクタを示すものであり,露出開口APを開閉する為のセクタ31及び32は各々地板20の裏面に植設された軸31a及び32aに各々揺動自在に支持されており,セクタ駆動レバー25の裏面の駆動ピン25cはセクタ31及び32に各々形成された長孔31b及び32bと係合している。従って,図3に示す状態からセクタ駆動レバー25が軸25aを中心にして左旋するとセクタ31は軸31aを中心に左旋し,セクタ32は軸32aを中心に右旋して露出開口APを開口する。
【0013】
次に,上記事項及び図5乃至図7を参照して上記実施例の動作を近距離撮影時及び遠距離撮影時の順で説明する。モータ21の出力ピン21aが長孔22aを係合しながら図5に示す様に左旋すると,駆動リング22は露出開口APを中心にしてスプリング29bをチャージしながら右旋する。駆動リング22に設けられた連結ピン22bはカムリング23の長孔23bと係合しているので,駆動リング22の右旋に伴ってカムリング23も露出開口APを中心に右旋し,レンズ駆動カム23cはレンズ枠24に対して相対的に旋回するので,レンズ枠24のカムフォロア24cは近距離駆動カム縁23dを通過して近距離維持カム縁24eに乗り上げる。そして,カムフォロア24cが近距離駆動カム縁23dを乗り上げる過程でレンズ枠24は近距離撮影位置まで繰り出される。
【0014】
さて,駆動リング22には,駆動リング22の右旋過程で係止レバー27を左旋させる第1の係止解除縁22eと,駆動リング22の左旋過程で係止レバー27を左旋させる第2の係止解除縁22fとが形成されており,上記の様にしてカムフォロア24cが近距離維持カム縁24eに乗り上げている間に係止解除縁22eは係止レバー27の裏面に形成された駆動ピン27dと当接して係止レバー27を左旋させる。そして,この時点ではセクタ駆動レバー25に形成された復帰ピン25bは駆動リング22の復帰カム22cから解放されているので,係止レバー27の左旋によって係止解除されるとセクタ駆動レバー25はスプリング26の付勢力によって左旋する。尚,図5はこの様にしてセクタ駆動レバー25が左旋した直後の状態を示している。この様にしてセクタ駆動レバー25が左旋すると図6に示す様にセクタ駆動レバー25の裏面に形成された駆動ピン25cがセクタ31を左旋させるとともにセクタ32を右旋させて露出開口APを開口する。
【0015】
その後所望される露出秒時に対応した時間差をおいてモータ出力ピン21aを初期位置まで右旋させると,このモータトルク及び初期位置復帰用のスプリング29bの付勢力によって駆動リング22は図1に示す初期位置まで左旋し,この時駆動リング22に従動してカムリング23も初期位置まで左旋する。従って,レンズ枠24のカムフォロア24cもレンズ駆動カム23cの近距離駆動カム縁23dを下って初期位置まで復帰する。そして,駆動リング22が初期位置まで復帰すると駆動リング22の復帰カム22cがセクタ駆動リング25の復帰ピン25cを押してセクタ駆動リングを右旋させる。従って,セクタ31・32は図3に示す様に露出開口APを閉鎖して露出動作を終了する。そしてこの時点では係止レバー27の駆動ピン27dは駆動リング22の第1の係止解除縁22eから解放されているので,係止レバー27はスプリング28によって右旋してセクタ駆動レバー25を係止して一回の近距離撮影動作が終了する。
【0016】
次に,遠距離撮影の場合に関して説明する。モータ21の出力ピン21aが長孔22aを係合しながら図7に示す様に右旋すると,駆動リング22は露出開口APを中心にしてスプリング29aをチャージしながら左旋し,カムリング23も露出開口APを中心に左旋する。従って,レンズ枠24のカムフォロア24cは遠距離駆動カム縁23fを通過して遠距離維持カム縁24gに乗り上げる。そして,カムフォロア24cが遠距離駆動カム縁23fを乗り上げる過程でレンズ枠24は遠距離撮影位置まで繰り出される。
【0017】
そして,上記の様にしてカムフォロア24c遠距離維持カム縁24gに乗り上げている間に第2の係止解除縁22fは係止レバー27の裏面に形成された駆動ピン27cと当接して係止レバー27を左旋させる。そして,この時点ではセクタ駆動レバー25に形成された復帰ピン25bは駆動リング22の復帰カム22cから解放されているので,係止レバー27の左旋によって係止解除されるとセクタ駆動レバー25はスプリング26の付勢力によって左旋する。尚,図7はこの様にしてセクタ駆動レバー25が左旋した直後の状態を示している。この様にしてセクタ駆動レバー25が左旋すると図6に示す様にセクタ駆動レバー25の裏面に形成された駆動ピン25cがセクタ31を左旋させるとともにセクタ32を右旋させて露出開口APを開口する。
【0018】
その後所望される露出秒時に対応した時間差をおいてモータ出力ピン21aを初期位置まで左旋させすると,このモータトルク及び初期位置復帰用のスプリング29aの付勢力によって駆動リング22は図1に示す初期位置まで右旋し,この時駆動リング22に従動してカムリング23も初期位置まで右旋する。従って,レンズ枠24のカムフォロア24cもレンズ駆動カム23cの遠距離駆動カム縁23fを下って初期位置まで復帰する。そして,駆動リング22が初期位置まで復帰すると駆動リング22の復帰カム22cがセクタ駆動リング25の復帰ピン25cを押してセクタ駆動リングを右旋させる。従って,セクタ31・32は図3に示す様に露出開口APを閉鎖して露出動作を終了する。そしてこの時点では係止レバー27の駆動ピン27cは駆動リング22の第2の係止解除縁22fから解放されているので,係止レバー27はスプリング28によって右旋してセクタ駆動レバー25を係止して一回の遠距離撮影動作が終了する。
【0019】
【発明の効果】
以上説明した様に,本発明によればレンズ枠が近距離維持カム縁或いは遠距離維持カム縁の上に乗り上げた状態でセクタの開閉作動がなされるので,レンズ枠の位置的な安定性を向上させることが出来る。又,上記実施例の様に遠距離の場合も近距離の場合もレンズ枠の光軸方向への移動方向を同一にした場合には,中央点復帰用のスプリングに必要な力量の平均値を小さくすることが可能となり,従って,要求されるモータトルクも低減され,撮影可能コマ数を増加させることが出来る。即ち,カム駆動式のレンズ系の場合,レンズ枠をカムに押し付ける為のスプリングSP(図2参照)が使用されるが,近距離撮影時には中点(初期位置)からレンズ枠を繰り出し,遠距離撮影時には中点からレンズ枠を引き込む様なカム形状とした場合には,遠距離撮影位置から初期位置に戻す為のスプリングはレンズ枠をカム面に押し付ける為のスプリングに抗して作用する必要から大きな力量が要求されることになり,この付勢力の大きなスプリングを使用する関係からモータ負荷も大きくなるが,上記実施例の様に撮影距離の遠近に関わりなく初期位置からのレンズ枠の作動方向を一定とした場合にはレンズ枠を押し付ける為のスプリングは初期位置復帰用のスプリングに対しては負荷としては作用せず,全体としてのモータ負荷を軽減することが出来るからである。又,上記の図4からも明らかなように近距離駆動カム縁23dと遠距離駆動カム縁23fとではカム傾斜が異なることからレンズ枠安定化の為のスプリングSPが遠距離撮影位置からの復帰用のスプリング29aに及ぼす力よりも近距離撮影位置からの復帰用のスプリング20bに及ぼす力の方が大きい。従って,この力量差を打ち消すようにスプリング29aと29bの力量に差を持たせれば近距離撮影時と遠距離撮影時とで要求されるモータトルクを均衡させることが可能となり,オーバーシュート量の均衡等制御特性を安定化することが出来る。更に,上記実施例の様に近距離撮影時に作動する第1の係止解除縁と遠距離撮影時に作動する第2の係止解除縁とが係止レバーに対して同一方向の作動力を与える様にした場合には係止レバーやセクタ駆動レバーの周辺機構を単純化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るレンズ駆動機構付きシャッタ装置の初期状態における平面図。
【図2】図1に示す実施例の断面図。
【図3】図1に示す実施例の羽根周辺機構の平面図。
【図4】図2のカム形状を示す拡大図。
【図5】図1に示す実施例の近距離撮影状態の平面図。
【図6】図2に示す羽根周辺機構の開口状態を示す平面図。
【図7】図1に示す実施例の遠距離撮影状態の平面図。
【図8】従来の機構例を示す原理図。
【符号の説明】
21 モータ
22 駆動リング
22c 復帰縁
22e 第1の係止解除縁
22f 第2の係止解除縁
23 カムリング
23d 近距離駆動カム縁
23e 近距離維持カム縁
23f 遠距離駆動カム縁
23g 遠距離維持カム縁
24 レンズ枠
25 セクタ駆動レバー
27 係止レバー
28b スプリング
29a スプリング
31 セクタ
32 セクタ
Claims (4)
- 作動領域の中央点付近にある初期位置から一方又は他方への作動領域を持つモータと,
該モータに連結され,該モータの作動方向に対応して一方又は他方へ作動可能な駆動部材と,
露出用開口部を開閉するセクタと,
該セクタと連結され,該セクタを開閉駆動するとともに該セクタを開口駆動する方向に付勢されたセクタ駆動レバーと,
前記セクタが前記露出用開口を閉鎖する状態で前記セクタ駆動レバーを係止する係止レバーと,
前記駆動部材と一体的に一方又は他方に作動し,前記駆動部材が初期位置から一方に作動する時に撮影用レンズを近距離撮影位置に駆動する近距離駆動カム縁と,該近距離駆動カム縁に連続して撮影用レンズを近距離撮影位置で維持する近距離維持カム縁とが形成され,且つ,前記駆動部材が初期位置から他方に作動する時に前記撮影用レンズを遠距離撮影位置に駆動する遠距離駆動カム縁と,該遠距離駆動カム縁に連続して撮影用レンズを遠距離撮影位置で維持する遠距離維持カム縁とが形成されたカム部材を具備するとともに,
前記駆動部材には,該駆動部材が初期位置から一方に作動する時に前記カム部材に形成された近距離維持カム縁が前記撮影用レンズを近距離撮影位置で維持している間に前記係止レバーによる前記セクタ駆動レバーの係止を解除する第1の係止解除縁と,該駆動部材が初期位置から他方に作動する時に前記カム部材に形成された遠距離維持カム縁が前記撮影用レンズを遠距離撮影位置で維持している間に前記係止レバーによる前記セクタ駆動レバーの係止を解除する第2の係止解除縁と,該駆動部材が初期位置に復帰する時に前記セクタ駆動レバーを前記付勢力に抗して前記セクタが前記露出用開口を閉鎖する位置に復帰させる復帰縁とが各々形成されたことを特徴とするレンズ駆動機構付きシャッタ装置。 - 請求項1記載のレンズ駆動機構付きシャッタ装置において,前記近距離駆動カム縁による前記撮影用レンズの駆動方向と前記遠距離駆動カム縁による前記撮影用レンズの駆動方向とが同一方向であり,且つ,前記近距離駆動カム縁による前記撮影用レンズの駆動量と前記遠距離駆動カム縁による前記撮影用レンズの駆動量とが異なる様にしたことを特徴とするレンズ駆動機構付きシャッタ装置。
- 請求項1又は請求項2記載のレンズ駆動機構付きシャッタ装置において,前記一方に駆動された駆動部材に対して初期位置に向けた付勢力を与える第1の初期位置復帰付勢手段と,前記他方に駆動された駆動部材に対して初期位置に向けた付勢力を与える第2の初期位置復帰付勢手段とを各々設け,該第1及び第2の初期位置復帰付勢手段の力量を異ならせたことを特徴とするレンズ駆動機構付きシャッタ装置。
- 請求項1,請求項2又は請求項3記載のレンズ駆動機構付きシャッタ装置において,
前記駆動部材に形成された前記第1の係止解除縁と前記第2の係止解除縁は,各々前記係止レバーに対して同一方向の作動力を与えることを特徴とするレンズ駆動機構付きシャッタ装置。
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