JP3303301B2 - 銅合金及びその製造方法 - Google Patents

銅合金及びその製造方法

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JP3303301B2 JP51249198A JP51249198A JP3303301B2 JP 3303301 B2 JP3303301 B2 JP 3303301B2 JP 51249198 A JP51249198 A JP 51249198A JP 51249198 A JP51249198 A JP 51249198A JP 3303301 B2 JP3303301 B2 JP 3303301B2
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克昭 中村
伸之 芦江
隆二 松原
正直 濱崎
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Description

【発明の詳細な説明】 1. 技術分野 本発明は金属材料、その製造方法及び金属製品に関す
る。本発明は、主としてCu−Zn系の銅合金つまり黄銅及
びその製造方法に関わるが、本発明の原理は黄銅のみに
適用が限定されるものではない。
2. 背景技術 従来より、1000%を越える伸び率をもつ金属材料とし
て例えばアルミニウムやステンレススチールが知られて
いる。これらの良好な延びは、結晶粒の粒界すべりが歪
を緩和することによるものである。粒界すべりは歪速度
が0.01/sec程度の低速の外力に対して有効に働くので、
このような低速の外力に対してアルミニウムやステンレ
ススチールは大きな延性をもつ。しかし、歪速度が0.1/
secを越えるような高速の外力に対しては、粒界すべり
が有効に働かなくなるため、結晶粒に過大な転位が生
じ、結果として割れが発生する。
このような高速の外力に対して割れを生じさせないた
めに、加工中、熱エネルギーや変形による歪エネルギー
によって再結晶させること(動的再結晶)が知られてい
る。延性を向上させるための動的再結晶の利用は黄銅な
どで実用されている。
従来の黄銅では、歪速度が0.1/secの高速外力に対し
て100%を若干越える程度の伸び率を実現している。し
かし、それ以上の延性を得ることは従来技術では困難で
ある。高速の外力に対して高い延性を得るには再結晶速
度を速くする必要がある。その方法として再結晶を起こ
す熱エネルギーを増やすため高温状態にすると、加工力
が働く以前に結晶粒が粗大化してしまい加工時に動的再
結晶が起きなくなってしまう。そこで、従来は、結晶粒
が粗大化しない限界の温度以下で加工力を加えており、
そのため、再結晶速度をより高めるためにはエネルギー
が不足している。
ところで、黄銅には実に多くの用途がある。用途に応
じて黄銅に要求される特性は様々である。例えば、鍛造
用の黄銅素材には、上述した高速外力に対する高い延性
が要求される。また、例えばバルブや水栓金具等の水接
触部品に適用される黄銅には、水に対する高い耐食性や
高い耐浸食性が要求される。更に、高い強度や良好な切
削性も、種々の用途で要求される。
水に対する良好な耐食性を有するCu−Zn−Sn系の銅合
金としてネーバル黄銅棒(JIS C−4641)、Cu−Zn系
の銅合金として高力黄銅棒(JIS C−6782)が知られ
ている。ここで、黄銅の耐食性とは主として脱亜鉛腐食
に対する耐性を意味する。脱亜鉛腐食とは、CuとZnのイ
オン化傾向の違いから、水中にZnが優先的に溶出しやす
く、その結果、時間の経過とともにZnの含有量が減少し
て強度が低下する現象を言い、黄銅を水接触部品に適用
する場合の重要な問題である。
耐食性の改善については、特公昭61−58540号公報
に、Cu−Zn−Sn系の銅合金にPb,Fe,Ni,Sb及びPを添加
した、実質的にα相である黄銅が開示されている。特開
平6−108184号公報には、Cu−Zn−Sn系の銅合金にPb,F
e,Ni,Sb及びPを添加したものを、熱間で押出または引
抜いた後に500〜600℃で30分〜3時間熱処理して実質的
にα相とすることが開示されている。これらの従来技術
は、耐食性に極めて劣るβ相を析出させず、実質的にα
単相とすることにより、良好な耐食性を実現している。
しかし、実質的にα相単相である上述した従来の黄銅
は、機械的強度及び切削性において劣る。機械的強度及
び切削性が良好な従来の黄銅はα+βの結晶組織を有し
ている。しかし、β相は耐食性に極めて劣るから、α+
βの結晶組織をもつ従来の黄銅は耐食性に劣る。要する
に、従来技術によれば、耐食性と、強度及び切削性とを
両立させることが困難である。
本発明の目的は、高速な外力に対して高い延性をもっ
た金属材料を提供することである。
本発明の別の目的は、高速な外力に対して高い延性を
もった黄銅を提供することである。
本発明のまた別の目的は、良好な耐食性と良好な切削
性をもった黄銅を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、延性、強度、切削性及び耐
食性のような種々の特性に優れた黄銅を提供することに
ある。
本発明の更にまた別の目的は、上記各目的にかかる黄
銅の製造方法を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、種々の特性に優れた金属製
品及び黄銅製品を提供することにある。
3. 発明の開示 本発明の第1の側面に従う金属材料は、外力をうけ変
形するとき金属結晶の歪が分散して生じるような結晶組
織を有しており、変形による歪エネルギーが金属結晶の
再結晶化のエネルギー源となり得るものである。そのた
め、高速外力を受けると、歪が局所的ではなく分散して
生じて、その大きな歪エネルギーが再結晶を生じさせて
転位を解消する。結果として、高速外力に対する高い延
性が得られる。
本発明の第2の側面に従う金属製品の製造方法は、熱
間加工時の外力により変形が生じた金属結晶の歪エネル
ギーをSE、熱間加工時の加熱により金属結晶に与えられ
る熱エネルギーをTEとしたとき、 SE+TE>変形した金属結晶の再結晶に必要な最低のエ
ネルギー、 TE<外力がない状態で結晶粒が粗大化するために必要
なエネルギー、 なる条件下で金属材料に熱間加工を行う工程を有する。
本発明の製造方法では、熱間加工を行おうとすると
き、結晶粒が粗大化して延性が低下してまうような高温
にまでは金属材料を加熱しないが、比較的に低い温度で
あっても動的再結晶が有効に生じるように、外力による
変形によって生じた金属材料内の歪エネルギーが十分に
大きくなるような条件を調える(変形によるエネルギー
とは、転位の有するポテンシャルエネルギーと推測され
る)。そのような条件の一例は、熱間加工に供される金
属材料の結晶組織を、外力を受けたときに歪が分散して
生じるようなものに調整することである(歪が分散する
ことは、ミクロ的には転移が分散することと推測され
る)。その結果、加熱時に結晶粒が粗大化せず、かつ加
工の外力を加えた時、材料内で動的再結晶が有効に発生
するので、高速の外力に対しても大きな延性が実現でき
る。
外力を受けたとき歪が分散して生じるような結晶組織
の一つのタイプは、比較的軟質な結晶と比較的硬質な結
晶との混合であって、かつ、結晶粒が十分に微細なもの
である。そのような結晶組織では、外力を受けたとき軟
質結晶に変形が生じ、(多分、軟質結晶と硬質結晶間の
粒界すべりの作用で)その変形の生じた軟質結晶が移動
し分散する。そのような結晶組織は、少なくとも2種の
金属元素を含有し軟質な結晶相と硬質な結晶相とが析出
するような合金、典型的にはCuとZnの合金である黄銅、
において実現することができる。具体例としては、α+
β、α+β+γ、α+γ型の黄銅であって、結晶粒が微
細(15μm以下)なものを挙げることができる。
また、上記のような2種金属の合金の軟質結晶中に再
結晶速度を高める(再結晶のための核が生じる速度を高
める)のに寄与する第3元素を固溶させることも有効で
ある。そのような第3元素の典型は、軟質結晶中に置換
型で固溶するように、上記2種類の金属元素と原子半径
が近似したもの、例えば黄銅の場合のSnである。
本発明の第3の側面に従つ黄銅は、再結晶温度域にお
いてα+βの結晶組織を有し、そして、再結晶温度域に
おいて (A1) β相の面積比率が30〜80%であり、 (A2) α相及びβ相の平均結晶粒径が15μm以下、好
ましくは10μm以下であり、かつ、 (A3) α相が分散して存在する、 という条件を満たしている。
この本発明に従う黄銅の好適な実施例は、再結晶温度
域において (1)歪み速度が1/secで100%の歪みを与えて破損がな
い、 (2)歪み速度が0.1/secで200%の歪みを与えて破損が
ない、 (3)歪み速度が0.01/secで200%を越える歪みを与え
て破損がない、 又は、(4)歪み速度が0.001/secで600%を越える歪み
を与えて破損がない、 という高い熱間延性を有する。従来の黄銅では、このよ
うな高い延び率は実現できない。また、従来の超塑性材
料(例えばアルミニウムやステンレススチール)は、上
記(1)、(2)のような高速歪みに対しては、良好な
延性を有しない。
本発明の黄銅は、「α+γタイプ」、「α+β+γタ
イプ」、「α+ノーマルβタイプ」及び「α+強化βタ
イプ」と本明細書で呼ぶ4つのタイプに大別できる。
「α+γタイプ」の黄銅は、常温においてα+γの結晶
組織を有し、そして、常温において (B1) γ相の面積比率が3〜30%、好ましくは5〜30
%であり、 (B2) α相の平均結晶粒径が15μm以下、好ましくは
10μm以下であり、 (B3) γ相の平均結晶粒径(短径)が8μm以下、好
ましくは5μm以下であり、かつ (B4) α相の粒界に前記γ相が存在している、 の条件を満たしている。このタイプの黄銅は切削性に優
れている。
「α+β+γタイプ」の黄銅は、常温においてα+β
+γの結晶組織を有し、そして、常温において (B1) α相の面積比率が40〜94%であり、 (B2) β相及びγ相の面積比率が共に3〜30%であ
り、 (B3) α相及びβ相の平均結晶粒径が15μm以下、好
ましくは10μm以下であり、かつ (B4) γ相の平均結晶粒短径が8μm以下、好ましく
は5μm以下である、 という条件を満たしている。このタイプの黄銅も切削性
に優れる。
このタイプの黄銅は、好ましくは、更に、常温におい
て (B5) γ相中に8wt%以上のSnを含有し、かつ (B6) β相を前記γ相が包囲している、 という条件を満たすようにすることができる。すると、
耐食性及び耐応力腐食割れ性(耐SCC性)にも優れるよ
うになる。
「α+ノーマルβタイプ」の黄銅は、常温においてα
+βの結晶組織を有し、そして、常温において (B1) β相の面積比率が20%以上、好ましくは25%以
上であり、かつ (B2) α相及びβ相の平均結晶粒径が15μm以下、好
ましくは10μm以下である、 という条件を満たしている。このタイプの黄銅は切削性
及び強度に優れる。
「α+強化βタイプ」の黄銅は、常温においてα+β
の結晶組織を有し、そして、常温において (B1) β相の面積比率が15%以上、好ましくは20%以
上であり、 (B2) α相及びβ相の平均結晶粒径が15μm以下、好
ましくは10μm以下であり、かつ (B3) β相が1.5wt%以上のSnを含有する、 という条件を満たしている。このタイプの黄銅は、切削
性、耐食性及び耐SCC性の全てに優れる。
いずれのタイプであっても、好適な実施例は、再結晶
温度域において歪み速度が0.01/secで400%の歪みを与
えて破損がないという良好な熱間延性を有し、更に、常
温において下記(1)〜(3)に示す優れた特性をも
つ。
(1)良好な切削性 日本工業規格JIS C−3604に従う快削黄銅棒を基準
とした切削抵抗指数が80以上である。
(2)良好な耐食性 日本伸銅協会技術標準JBMA T−303に従う脱亜鉛腐
食試験を行なったとき、最大脱亜鉛浸透深さ方向が加工
方向と平行な場合には最大脱亜鉛深さ100μm以下であ
る、又は、最大脱亜鉛浸透深さ方向が加工方向と直角な
場合には最大脱亜鉛深さ70μm以下耐食性である。
(3)良好な耐SCC性 円筒形試料を14%アンモニア水溶液上のアンモニア雰
囲気中に24時間暴露した後に荷重を加えたとき、前記試
料が割れない最大応力が180N/mm2以上である。
従来のどのような金属材料も上記のような条件を満た
すことはできない。例えば、SPZ(亜鉛アルミニウム)
やアルミニウムは水中での耐食性に劣り、特にアルミは
孔食を生じ、また、これらは粘っこいために切削性にも
劣る。
本発明の第4の側面に従う黄銅の製造方法は、 (1) 原料組成の見掛け上のZn含有量が37〜46wt%で
あり、 (2) 鋳造時の凝固速度が5×101〜105K/sec、好ま
しくは102〜105K/secであり、かつ (3) 凝固後の冷却速度が、400度以下になるまでは5
K/sec以上である、 の条件下で鋳造を行って黄銅鋳造物を作るステップを有
する。
この方法で製造された黄銅鋳造物は、本発明の第3の
側面に従う黄銅の再結晶温度域における条件を満たすの
で、高い熱間延性を持つ。
本発明の製造方法は、上記鋳造の後に、480〜650℃、
好ましくは480〜600℃の範囲の温度で上記黄銅鋳造物の
熱間押し出しを行なって黄銅押出し物を作るステップを
更に有することができる。この熱間押出し後の冷却は、
好ましくは、400度以下になるまで0.4K/sec以上の速度
で行う。結果として、その黄銅押出し物も、本発明の第
3の側面に従う黄銅の条件を満たす。
本発明の第5の側面に従う黄銅の製造方法は、見掛け
上のZn含有量が37〜46wt%である黄銅素材を、 (1) 押出し時の温度が480〜650℃、好ましくは480
〜600℃の範囲内であり、かつ (2) 押出し時の断面減少率は90%以上、好ましくは
95%以上である、 の条件下で熱間押出しして黄銅押出し物を作るステップ
を有する。この製造方法によっても、本発明の第3の側
面に従う黄銅の条件を満たす黄銅押出し物を得ることが
できる。熱間押出し後の冷却速度は、好ましくは400℃
以下になるまでは0.4K/sec以上である。このような高速
冷却により、冷却後も結晶粒径が粗大化せず、本発明の
黄銅の一つの特徴である15μm以下の微細な結晶粒をも
った結晶組織が得られる。
この製造方法は、上記黄銅押出し物を再加熱し、480
〜750℃の範囲内の温度で熱間鍛造して黄銅鍛造物を作
るステップを更に有することができる。その鍛造物も、
本発明の第3の側面に従う黄銅の条件を満たす。熱間鍛
造の歪み速度は、好ましくは1/sec以上である。そのよ
うな高速な熱間鍛造では、鍛造時に結晶粒径が粗大化す
ることがない。熱間鍛造後の冷却速度も、好ましくは、
400℃以下になるまで0.4K/sec以上である。それによ
り、冷却後も結晶粒径が粗大化せず、15μm以下の微細
な結晶粒が得られる。
上記の製造方法を用いて本発明の「α+γタイプ」の
黄銅を作る場合、黄銅素材のSn含有量が0.9〜7wt%、熱
間押出し又は熱間鍛造後の冷却速度が400℃以下になる
まで0.4〜5K/secという条件を選ぶことができる。ある
いは、別法として、黄銅素材のSn含有量を0.9〜7wt%に
するとともに、黄銅鍛造物を加熱して400〜550℃の温度
に30秒間以上維持し、その後400℃以下になるまで0.4〜
5K/secの速度で冷却する、という熱処理工程を熱間鍛造
工程の後に加えることもできる。
上記製造方法を用いて本発明の「α+β+γタイプ」
の黄銅を作る場合、黄銅素材のSn含有量が0.9〜7wt%、
熱間押出し又は熱間鍛造後の冷却速度が400℃以下にな
るまで0.4〜10K/secという条件を選ぶことができる。あ
るいは、冷却速度を上記のように調整するのに代えて、
熱間鍛造後に、黄銅鍛造物を加熱して450〜550℃の温度
に30秒間以上維持し、その後400℃以下になるまで0.4〜
10K/secの速度で冷却する、という熱処理工程を追加す
ることもできる。
上記製造方法を用いて本発明の「α+強化βタイプ」
の黄銅を作る場合、黄銅素材のSn含有量が0.5〜7wt%で
見掛け上のSn含有量が37〜44wt%、熱間押出し又は熱間
鍛造後の冷却速度が400℃以下になるまで5〜1000K/sec
という条件を選ぶことができる。あるいは、冷却速度を
上記のように調整するのに代えて、熱間鍛造後に、黄銅
鍛造物を加熱して475〜550℃の温度に30秒間以上維持
し、その後400℃以下になるまで5〜1000K/sec以上の速
度で冷却するという熱処理工程を追加することもでき
る。
本発明の第6の側面に従う黄銅の製造方法は、見掛け
上のZn含有量が37〜46wt%である黄銅素材を加熱し次に
冷却するステップと、その黄銅素材の冷却後の結晶組織
をα+γ、α+β及びα+β+γの中から選択するため
に、加熱温度、加熱の保持時間及び冷却速度の少なくと
も一つを制御するステップとを有する。例えば、同一の
加熱温度及び加熱保持時間の下で、冷却速度を、α+γ
を得るには最も遅くし、α+β+γを得るにはより速く
し、α+βを得るには最も速くする、のように制御する
ことができる。
本発明の第7の側面に従う銅合金(典型的には黄銅)
は、次のような優れた切削生と機械的強度とを有する。
すなわち、日本工業規格JIS C−3604に従う快削黄銅
棒を基準とした切削抵抗指数が80以上であり、かつ、0.
2%耐力又は降伏応力が300N/mm2以上である。従来、こ
のように優れた切削性及び強度を兼ね備えている銅合金
はない。例えば青銅は、80以上の切削抵抗指数を有する
が、その0.2%耐力は80N/mm2、引張強度220N/mm2程度に
すぎない。青銅は銅を79%以上含むため、一般的に強度
を向上させることが難しい。青銅の強度向上のための一
つの方法はSn量を増すことである。しかし、青銅におい
てSn量が増すと、鋳造時のひけ巣(凝固収縮時の気泡)
という欠陥がより多くなり、結果的に強度が劣化する。
これに対し、本発明の銅合金、特に黄銅は、耐食性に優
れた銅と切削性に優れた亜鉛とが適切にバランスするこ
とにより、切削性と強度が改善されている。
本発明の第8の側面に従う銅合金(典型的には黄銅)
は、次のような優れた耐SCC性を有する。すなわち、本
発明の銅合金の円筒形試料を14%アンモニア水溶液上の
アンモニア雰囲気中に荷重を加えながら24時間暴露した
とき、その試料が割れない最大応力が180N/mm2以上であ
る。耐SCC性向上には、強度向上と耐食性向上が必要
(それだけで十分ではないが)である。本発明では、耐
食性に優れた銅の特性を利用して耐SCC性を改善してい
る。因みに青銅は応力に弱く、100N/mm2程度の応力で塑
性変形を起してしまう。
本発明の第9の側面に従う黄銅は、次のような優れた
切削生と耐食性とを有する。すなわち、快削黄銅棒を基
準にした切削抵抗指数が80以上であり、かつ日本伸銅協
会技術標準JBMA T−303に従う脱亜鉛腐食試験が行な
ったとき、最大脱亜鉛浸透深さ方向が加工方向と平行な
場合には最大脱亜鉛深さが100μm以下、又は、最大脱
亜鉛浸透深さ方向が加工方向と直角な場合には最大脱亜
鉛深さ70μm以下である。因みに快削黄銅棒は耐食性に
劣り、上記脱亜鉛腐食試験を行ったときの最大脱亜鉛深
さが200μm程度に達する。
黄銅の切削性を向上させる一つの方法は、平均結晶粒
径を15μm以下、好ましくは10μm以下とすることであ
る。これに加えて、α相と、このα相の粒界に存在す
る、α相より軟質又は硬質な部分とを有するように結晶
組織を調整すると望ましい。α相より軟質な部分とは、
例えばPb又はBiのような別の金属である。α相より硬質
な部分とは、例えばβ相やγ相や、FeSi又はFePのよう
な金属間化合物や、Cu又はMgの酸化物などである。α+
βとα+γの結晶組織を比較した場合、α+γの方がα
+βより2相間の硬度差が大きいため、切削性がより高
い。
黄銅の切削性だけでなく耐食性も向上させるために
は、次の様な方法を採ることができる。例えば、α+γ
の結晶組織では、γ相にSnを好ましくは8wt%以上含有
させることが有効である。また、α+βの結晶組織で
は、β相に耐食性向上のための第3元素(例えば、Sn、
Si、Al、Sb、Ge又はGa)を含有させることが有効であ
る。Snを含有させる場合、β相中のSn濃度は1.5wt%以
上が好ましい。、、また、α相と、β相と、β相の結晶
粒を包囲したβ相より耐食性に優れた部分とを有する結
晶組織も有効である。β相より耐食性に優れた部分と
は、例えばSnを8wt%以上含有したγ相である。このよ
うなα+β+γの結晶組織では、γ相の脆さが現れない
ようにするために、γ相の平均結晶粒短径を8μm以下
とすることが望ましい。
本発明に従って切削性と耐食性を向上させた黄銅は、
種々の用途に適用できるが、特に水管部品に適してい
る。本発明の黄銅は平均結晶粒径が小さいため、冷間延
性はあまり優れない。しかし、水管部品の用途では、マ
ルテンサイトや形状記憶合金のような高い冷間延性は要
求されないので、本発明の黄銅は要求される製品品質を
十分満たし得る。
本発明のさらに別の側面は、本発明の金属又は黄銅を
用いた各種の製品を提供する。本発明のさらにまた別の
側面は、本発明の金属又は黄銅を製造するために使用で
きる製造設備も提供する。
図面の簡単な説明 図1は、黄銅の3種類の結晶相、純Cu、純Zn、及び純
Snの特性を表した表を示す。
図2A〜図2Cは、本発明の黄銅の種々の実施例と従来の
黄銅の幾つかの例について、組成、結晶組織及び諸特性
を表した表を示す。
図3は、黄銅製品の製造工程の一例を示すフローチャ
ート。
図4は、本発明の黄銅の製造方法の2つの実施例と従
来の製造方法の一例について、鋳造及び熱間押出しの条
件を表した表を示す。
図5は、本発明の黄銅の製造方法の2つの実施例と従
来の製造方法の一例について、熱間鍛造の条件と製品の
結晶組織とを表した表を示す。
図6は、再結晶温度域での延性(歪率と歪速度)試験
の結果を示すグラフを示す。
図7は、切削性試験の結果を表した表を示す。
図8は、切削性試験の方法を説明した斜視図。
図9は、耐エロージョン腐食性試験の結果を示すグラ
フを示す。
図10は、耐エロージョン腐食性試験の方法を説明する
図。
図11は、耐応力腐食割れ性試験の方法を説明する図。
図12は、耐応力腐食割れ性試験の結果を表した表を示
す。
図13は、「α+強化βタイプ」の黄銅に関連する幾つ
かの試料の組成と耐食性試験の結果とを表した表を示
す。
図14は、β相中のSn濃度と400℃までの冷却時間との
関係を示すグラフを示す。
図15は、本発明の「α+強化βタイプ」の黄銅に対す
る熱処理の効果を表した表を示す。
図16Aは、本発明の「α+γタイプ」の黄銅の一実施
例の結晶組織を示す顕微鏡写真。
図16Bは、図16Aに基づいて作成した模式図。
図17Aは、本発明の「α+β+γタイプ」の黄銅の一
実施例の結晶組織を示す顕微鏡写真。
図17Bは、図17Aに基づいて作成した模式図。
図18は、本発明の「α+γタイプ」及び「α+β+γ
タイプ」の黄銅に関連する幾つかの試料の組成及び耐食
性試験結果を表した表を示す。
図19は本発明の「α+γタイプ」又は「α+β+γタ
イプ」の黄銅を用いた水接触部品の製造工程の一例を示
すフローチャート。
図20は、従来の黄銅を用いた水接触部品の製造工程の
一例を示すフローチャート。
図21は、本発明の「α+γタイプ」及び「α+β+γ
タイプ」の黄銅に対する熱処理の効果を表した表を示
す。
図22Aは、鋳造後の冷却速度を19K/secとして鋳造した
鍛造用黄銅素材の結晶組織を示す顕微鏡写真。
図22Bは、図22Aに基づいて作成した模式図。
図23Aは、図22Aの一部を拡大した顕微鏡写真。
図23Bは、図22Aに基づいて作成した模式図。
図24Aは鋳造後の冷却速度を1.3K/secとして鋳造した
鍛造用黄銅素材の結晶組織を示す顕微鏡写真。
図24Bは、図24Aに基づいて作成した模式図。
図25Aは、図24Aの一部を拡大した顕微鏡写真。
図25Bは、図25Aに基づいて作成した模式図。
図26Aは、Snを1.9wt%含んだ黄銅素材を熱間押出し
し、押出し後に30K/secで冷却して作った鍛造用黄銅ビ
レットの結晶組織を示す顕微鏡写真。
図26Bは、図26Aに基づいて作成した模式図。
図27Aは、図26Aに示した黄銅ビレットを熱間鍛造し、
鍛造後に20K/secで冷却して作った黄銅鍛造物の結晶組
織を示す顕微鏡写真。
図27Bは、図27Aに基づいて作成した模式図。
図28Aは、Snを2.3wt%含んだ黄銅素材を熱間押出し
し、押出し後に30K/secで冷却して作った鍛造用黄銅ビ
レットの結晶組織を示す顕微鏡写真。
図28Bは、図28Aに基づいて作成した模式図。
図29Aは、図28Aに示す黄銅ビレットを熱間鍛造し、鍛
造後に20K/secで冷却して作った黄銅鍛造品の結晶組織
を示す顕微鏡写真。
図29Bは、図29Aに基づいて作成した模式図。
図30は、本発明の黄銅の結晶組織と組成について、好
ましい条件を表した表を示す。
図31は、本発明の黄銅を最終的に熱間押出しで製造す
るときの、鋳造と熱間押出しの好ましい条件を表した表
を示す。
図32は、本発明の黄銅を最終的に熱間鍛造で製造する
ときの、熱間押出しと熱間鍛造の好ましい条件を表した
表を示す。
図33は、本発明の黄銅を最終的に熱処理で製造すると
きの、熱間押出し、熱間鍛造及び熱処理の好ましい条件
を表した表を示す。
図34は、本発明の黄銅を適用した水栓の一例を示す斜
視図。
図35は、本発明の黄銅を適用した水管の一例を示す断
面図。
図36は、本発明の黄銅を適用した水管の別の例を示す
断面図。
図37は、本発明の黄銅を適用した水管の更に別の例を
示す断面図。
図38は、本発明の黄銅を使用した減圧弁と逃がし弁と
をもつ給湯機の例を示す図。
図39は、図38の給湯機の減圧弁を示す図。
図40は、図38の給湯機の逃がし弁を示す図。
5. 発明を実施するための最良の形態 Cu−Zn系の銅合金の用途は、水栓や水道管のような水
接触部品、家電製品、機械部品、建材、ガス器具及び光
学部品など広範囲にわたる。この種の銅合金には、強
度、冷間延性、硬度、切削・研磨性等の一般的特性に優
れるだけでなく、耐食性、耐潰食性、耐応力腐食割れ性
等の水接触部品で要求される諸特性にも優れることが望
まれる。
本発明の一つの原理は、上記諸特性を向上させるため
に、Cu−Zn系銅合金の結晶相の特性に着目している。
α、β、γの3つの結晶相が従来から知られている。γ
相は、耐食性及び強度には優れるが、脆性が高いためそ
の特性を積極的に活用しようする試みは従来なされてい
ない。β相は、耐食性が低いため、水接触部品には適し
ないと従来評価されている。α相は、耐食性及び冷間延
性に優れるが、強度及び切削性において劣る。このよう
に各結晶相の特性は従来は固定的に捉えられがちであ
り、積極的に結晶相の特性を改変しようとする試みはな
されていない。これに対し、本発明の発明者らは、上記
の各種特性に影響を与える要因について研究を重ねた結
果、結晶相の種類以外に結晶粒の大きさも重要な要因で
あることを究明した。この研究の成果によれば、第1
に、γ相を有効利用することにより黄銅の特性が改善さ
れる。第2に、特にβ相の特性を改変することにより黄
銅の特性が改善される。第3に、結晶粒径を最適化する
ことにより黄銅の特性が改善される。
γ相を析出させるため及びβ相の特性を改変するため
の一つの具体的手段として、Snの添加が採用できる。し
かし、Snの添加は熱間延性の低下を生じさせるので、鍛
造用の黄銅素材には不適である。この問題を解決するた
め、熱間延性に関して発明者らは更なる研究を重ねた。
その結果、第4に、結晶粒径の最適化が熱間延性の向上
をもたらすことが究明された。第5に、α相及びβ相の
混合比を最適化することにより、β相の動的再結晶が得
られ、それによって熱間延性が向上することが究明され
た。
本発明の実施例では上記の研究成果が活用される。本
発明の実施例の説明に入る前に上述した3つの結晶相の
特性を説明しておくことが有用であろう。図1は、Cu−
Zn合金(黄銅)に現れる3つの結晶相の特性と、純Cu、
純Zn、純Snの特性を示す。
図1から分るように、純Cuは耐食性、常温での延性及
び冷間鍛造性(冷間鍛造の容易さ)には優れるが、耐力
及び切削性(切削の容易さ)等において劣る。その代
り、従来からZnを添加したCu−Zn合金(黄銅)が広く実
用されている。Cu−Zn合金では、Znの添加量によって結
晶組織が異なる。見掛け上のZn含有量を37wt%以下とし
た場合にはα相単相となり、見掛け上のZn含有量を37wt
%以上とした場合にはβ相が現れる(α+β又はβ)。
更に見掛け上のZn含有量を増やすとγ相が現れる(α+
β+γ、α+γ、β+γ又はγ)。Znの真の含有量が低
くても、Sn(そのZn当量は2である)を添加して特定の
熱処理を施すと、見掛け上のZn含有量が増えてγ相が現
れる。ここで、「見掛け上のZn含有量」という用語は、
AをCu含有量〔wt%〕、BをZn含有量〔wt%〕、tを添
加した第3元素(例えばSn)のZn当量、Qをその第3元
素の含有量〔wt%〕としたとき、「{(B+t・Q)/
(A+B+t・Q)}×100」の意味で用いる。
α相単相の黄銅は耐食性、冷間鍛造性に優れるが、耐
力及び切削性において劣る。これにSnを添加することに
よって耐食性及び耐力を向上させることができるが、Sn
の添加量を2wt%以上にすると逆に脆くなってしまう傾
向がある。β相はα相とほぼ逆の特性を持ち、耐食性及
び冷間鍛造性には劣るが、耐力、熱間鍛造性(熱間鍛造
の容易さ)及び切削性には優れる。発明者らの研究によ
り得られた一つの新規な知見は、β相結晶粒中にSnを添
加することによって耐食性及び耐力がともに向上し、特
に耐食性はα相単相の合金とほぼ匹敵する程度まで向上
することである。γ相はSnを所定量以上添加した場合に
現れる。γ相は脆いが、耐食性及び耐力には優れる。
ここに、銅合金の「耐食性」とは主として脱亜鉛腐食
に対する耐性を指す。脱亜鉛腐食とは、CuとZnのイオン
化傾向の違いから、水中にZnが優先的に溶出してZn含有
量が減り、時間の経過とともに強度が低下する現象を言
い、Cu−Zn系合金を用いる場合の問題である。
本発明に従うCu−Zn系合金(黄銅)では、上述した異
なる特性(改質した特性を含む)をもつ結晶相が適切に
組み合わされるとともに、結晶粒径が最適化されてい
る。図2A〜図2Cは、本発明に従う黄銅の19種類の実施例
の組成と諸特性を、従来技術に従う黄銅(比較例)のそ
れと対比して示している。
実施例1〜19の結晶組織における特徴は次の通りであ
る。実施例1〜5はα+γの結晶組織を有し、結晶粒が
微細化(15μm以下)され、かつ改善された特性をもつ
γ相が有効に利用されている。実施例6〜12はα+β+
γの結晶組織を有し、結晶粒が微細化され、かつ改善さ
れた特性をもつβ相とγ相とが有効に利用されている。
実施例13〜15はα+βの結晶組織を有し、結晶粒が微細
化されている。実施例16〜19はα+βの結晶組織を有
し、結晶粒が微細化され、かつSn添加によりβ相の特性
が改善されている。更に、これら実施例1〜19では、各
結晶相の比率も適切に調整されている。これら実施例の
結晶組織の詳細については後に説明する。
実施例1〜19は、本発明の原理に従った製造条件下
で、図2Aに示す組成をもった黄銅試料を鋳造しこれを熱
間押出しし次いで熱間鍛造することにより製造された
(具体的な製造手順は図3に示す)。図2A〜図2C中の熱
処理条件は、鍛造時の温度と冷却方法とを示す。空冷の
冷却速度は0.8K/sec、水冷の冷却速度は100K/secであっ
た。
図2A〜図2Cには特性として、「0.2%耐力〔N/mm2〕」
(0.2%の永久伸びを起こす引っ張り応力)、「冷間延
性〔%〕」(冷間加工温度域での延性)、「硬度〔H
V〕」、「熱間延性」(熱間加工温度域つまり再結晶温
度域での延性)、「切削抵抗指数」、「耐食性」、「耐
エロージョン腐食性」、及び「耐応力腐食割れ性」(耐
SCC性)が挙げられている。
図2A〜図2Cでは、各特性についての評価がマークで示
されている。「0.2%耐力」については、300N/mm2未満
を劣(×)、300N/mm2以上350未満を良(○)、350N/mm
2以上を優(◎)と評価した。「熱間延性」について
は、歪速度を100(/SEC)で試料の引っ張りテストを行
った結果、割れが生じなかった最大の歪率が100%未満
を劣(×)、100%以上を良(○)とした。「切削抵抗
指数」については、後述するような切削テストを行った
結果、快削黄銅棒(JIS C−3604)を基準とした切削
抵抗指数が80未満を劣(×)、80以上を良(○)とし
た。
「耐食性」については、日本伸銅協会技術標準(JBMA
T−303)による脱亜鉛腐食試験を行ない、JBMA T
−303に示されている判定基準に従って評価を行った。
すなわち、脱亜鉛浸透深さ方向が加工方向と平行な場合
には最大脱亜鉛浸透深さが100μm以下を良(○)、ま
た脱亜鉛浸透深さ方向が加工方向と直角な場合には最大
脱亜鉛浸透深さが70μm以下を良(○)とし、これらの
基準に満たないものを劣(×)とした。
「耐エロージョン耐食性」については、後述するテス
ト条件の下で、1500時間経過後に漏れを生じないのに必
要な締めつけトルクが0.8N・m以上を劣(×)、それ以
下を良(○)とした。「耐応力腐食割れ性」について
は、後述するテスト条件の下で、24時間経過後に割れを
発生したものを劣(×)、割れのないものを良(○)と
した。
図2A〜図2Cからわかるように、実施例1〜5は、耐
力、冷間延性、耐食性、耐エロージョン腐食性、耐応力
腐食割れ性で良(○)又は優(◎)と評価された。実施
例1及び2は切削性で劣(×)と評価されたが、その理
由は、γ相が3%以上且つβ相が3%以下、又はγ相が
5%以上という最適条件が満たされていないからと推測
される。実施例1は熱間延性でも劣(×)と評価された
が、その理由は、見掛け上のZn含有量が38wt%に満たな
いため、熱間加工時にβ相が30%に達していないからと
推測される。
実施例6〜12は、全ての特性について良(○)又は優
(◎)と評価された。
実施例13〜15では、耐食性、耐エロージョン腐食性を
除く他の特性で良(○)又は優(◎)と評価された。実
施例13〜15が耐食性及び耐エロージョン腐食性で劣
(×)と評価された理由は、耐食性に優れるγ相を含ん
でおらず、かつβ相中のSn濃度が1.5wt%に満たないか
らと推測される。
実施例16〜19は、全ての特性について良(○)又は優
(◎)と評価された。
以下に、本発明の実施例の有利性を、特に「熱間延
性」、「切削抵抗指数」、「耐エロージョン腐食性」、
「耐応力腐食割れ性」に関して説明する。
まず、「熱間延性」における本発明実施例の有利性を
説明する。熱間延性が良好であることは、熱間鍛造のよ
うな熱間加工に供されるビレットの最重要特性の一つで
ある。図3は、黄銅製品の熱間鍛造を用いた製造工程の
一例を示す。
まず、ステップ1で、電気銅、電気亜鉛及びスクラッ
プを混合して溶解鋳造を行なう。次にステップ2で、鋳
造後に急冷して中間成形体を製造した後、この中間成形
体を加熱し、押出成形により棒状又は線状のビレットを
作る。次のステップ3で、棒状又は線状のビレットを冷
間引抜きし、焼鈍及び酸洗いを行い、そして所定寸法に
切断する。
次のステップ4では、次ステップの鍛造に適した特性
を確保するため、上記ビレットを加熱する。次のステッ
プ5で、その加熱したビレットを鍛造用金型内にセット
して鍛造を行なう。この後、ステップ6への移行準備と
して、冷却を行なう。冷却が終わると、ステップ6へ進
み、酸洗及びショットブラストを行って表面の酸化被膜
を除去し、更にバリ取りを行う。最後のステップ7で、
切削、研磨及び鍍金の各工程を経て製品を得る。
図4及び図5は、図3の製造工程に従った、本発明の
製造方法の2つの実施例(本発明方法1、本発明方法
2)と従来の製造方法とを、製造条件及び製品の結晶組
織に関して対比して示している。
図4において、「見掛け上のZn含有量」は図3に示し
たステップ1で溶融される材料の混合率に関わり、「鋳
造時の凝固速度」及び「鋳造後の冷却速度」はステップ
1の鋳造の条件に関わり、「押出温度」及び「押出し後
の冷却」はステップ2の熱間押出しの条件に関わるもの
である。図5において、「粒径」はステップ2の熱間押
出しが終わった後のビレットのそれ(本発明方法では最
終製品の結晶粒径も同様になる)を指し、「鍛造時のβ
相比率」、「鍛造温度」及び「歪率と歪速度」はステッ
プ5における鍛造の条件に関わり、「耐力」及び「鍛造
後のα、β、γ相比率」はステップ7で完成した製品の
それを指す。
図4に示すように、従来方法に比較して、本発明方法
1及び2では、黄銅素材の見掛け上のZn含有量がより大
きく(典型的には、Snの添加量がより多い)、熱間鋳造
(ステップ1)時の凝固速度及び鋳造後の冷却速度がよ
り速く、熱間押出し(ステップ2)時の温度がより低
く、かつ、押出し後の冷却速度がより速い(具体的に
は、400℃までは0.4K/sec以上の速度で冷却する)。ま
た、図4には示していないが、本発明方法1及び2で
は、押出しの断面減少率は90%以上、好ましくは95%以
上である。
このような本発明方法1及び2で準備されたビレット
は、図5に示すように、従来方法で準備されたビレット
に比較して、より低い鍛造温度下で、より大きい歪率と
歪速度をもって鍛造(ステップ5)することができる。
その理由は、図5に示すように、本発明方法1、2によ
るビレットは、従来方法によるビレットに比較して、結
晶粒径がより小さく、かつ、比較的に低い鍛造温度でも
熱間延性に優れるβ相を適当な比率で含むるためと推測
される。より低い温度で鍛造できることは、鍛造設備の
劣化が少ない点で有利である。更には、図5に示すよう
に、本発明方法1及び2で鍛造された製品の耐力は従来
の鍛造製品より大幅に大きい。
図6は、本発明の方法と従来の方法とでそれぞれ作ら
れた2種類のビレット(具体的には図2A〜図2Cに示す実
施例10と比較例4)の鍛造温度域での熱間延性を示して
いる。横軸が歪速度ε〔sec-1〕を示し、縦軸が歪率ε
L〔%〕を示す。実施例10は明らかに比較例4より明ら
かに熱間性で優れている。
次に、「切削抵抗指数」における本発明の実施例の有
利性を説明する。
図7は、図2A〜図2Cに示した比較例3、実施例8、1
0、11、快削黄銅棒(JIS C−3604)、及びα相単相の
黄銅素材について、切削試験を行った結果を示してい
る。切削試験では、図8に示すように、旋盤で丸棒状の
試料1の周面を100〔m/min〕と400〔m/min〕の2つの異
なる速度で切削しつつ、主分力Fvを測定した。各試料の
切削抵抗指数は、各試料の主分力に対する切削性が最も
良いといわれる快削黄銅棒の主分力の百分率である。
図7に示すように、実施例8、10及び11の切削抵抗指
数は、最良の切削性をもつ快削黄銅棒の90%近くに達
し、比較例3及びα相単相黄銅のそれよりも良好であっ
た。
次に、「耐エロージョン腐食性」における本発明実施
例の有利性を説明する。
図9は、図2A〜図2Cに示した実施例8、11及び比較例
4の耐潰食性試験の結果を示しており、図10は、その耐
潰食性試験の方法を示している。耐潰食性試験では、図
10に示すように、オリフィス7を内部に有する円筒状試
料5を用い、そのオリフィス7に水を流速40m/secで所
定時間流した後、4.9×105Pa(5Kg/cm2)の水圧下でオ
リフィス7をシールするのに要する樹脂栓9への締めつ
けトルクを測定した。図9に示すように、実施例8及び
11は、比較例4に比べて優れた耐潰食性を有しているこ
とが分かる。
次に、「耐応力腐食割れ性(耐SCC性)」における本
発明実施例の有利性を説明する。
耐SCC性試験では、図11に示すように、ガラスデジケ
ータ11内で円筒状の試料13に垂直に荷重を加えた状態
で、NH3蒸気雰囲気中に24時間暴露した後、割れの発生
を調査した。図12は、図2A〜図2Cに示した実施例8、1
1、15及び比較例4の試験結果(主応力と割れの発生の
関係)を示している。図12から、実施例8、11、15が比
較例4よりも良好な耐SCC性を有していることが分か
る。
以上のように、図2A〜図2Cに示した本発明の実施例1
〜19は良好な特性を有する。既に述べたように、実施例
16〜19はα+β結晶組織において、結晶を微細化(15μ
m以下)し、かつβ相中へのSn添加により特性を改善し
たものであり、本発明に従う黄銅の中でこのタイプを以
下「α+強化βタイプ」という。実施例1〜5はα+γ
結晶組織において結晶粒を微細化しかつγ相を利用して
特性を改善したものであり、このタイプを以下「α+γ
タイプ」という。実施例6〜12はα+β+γ結晶組織に
おいて結晶粒を微細化しかつγ相を利用して特性を改善
したものであり、このタイプを以下「α+β+γタイ
プ」という。実施例13〜15はα+β結晶組織において結
晶粒径を微細化して特性を改善したもので、これを以下
「α+ノーマルβタイプ」という。
以下、本発明に従う上記3つのタイプの黄銅の結晶組
織や製法について詳説する。
まず、「α+強化βタイプ」について説明する。この
タイプでは、α相の結晶粒の間に、Snを1.5wt%以上含
有したβ相が存在している。
図13に、「α+強化βタイプ」に関連する7種類の黄
銅試料No.1〜7を列挙する(図2A〜図2Cに列挙したもの
とは別物である)。
図13には、試料No.1〜7の組成、見掛け上のZn含有
量、β相中のSn濃度、及び耐食性(耐脱亜鉛腐食性)試
験の結果が示されている。β相中のSn濃度は、熱処理と
冷却処理とによって調整されたものであり、EPMA分析に
より定量した。耐食性判定結果は、図2A〜図2Cに関連し
て既に説明した通りの方法で行った。
図13から、耐食性にはβ相中のSn濃度が密接に関連し
ていることが明らかである。つまり、β相中のSn濃度が
1.5wt%以上であることが良好な耐食性を得る上で必要
である。図13中、試料No.3〜7がこの条件を満たしてお
り、これらが本発明の「α+強化βタイプ」に属するも
のである。因みに、β相中のSn濃度が1.5wt%以上であ
るこのタイプの黄銅では、合金全体でのSn濃度は0.5wt
%以上、見掛け上のZn含有量は37wt%以上44wt%以下で
ある。
β相中のSn濃度には、製造工程で行う熱処理又は熱間
加工の条件(例えば、冷却速度、熱処理温度、熱処理時
間など)が影響する。図14は、熱処理温度が550℃の場
合において、熱処理後の400℃までの冷却時間と、β相
中のSn濃度との関係を調べた実験結果を示すグラフであ
る。図14から、冷却開始から400℃までの冷却速度が0.4
K/sec以上(図14中の点より左側の領域)であれば、
β相中のSn濃度が1.5wt%以上となることが分る。更な
る実験により、冷却速度の上限については少なくとも10
00K/secまでは許容できることが確認できた。また、熱
処理温度が550℃の場合だけでなく、510℃のような他の
熱処理温度の場合にも、上記と同じ実験結果を得た。
図15は、熱処理温度(熱処理時の試料の温度)と熱処
理時間(熱処理温度の保持時間)がβ相中のSn濃度及び
及びβ相の面積占有比率に及ぼす影響を調べた実験結果
を示している。
図15から、熱処理温度がより高い程、又は熱処理時間
がより長い程、β相中のSn濃度が増加することが分る。
一方、熱処理温度がより高い程、又は熱処理時間がより
長い程、β相の面積占有比率が低下することが分る。ま
た、少なくとも、図15に示した熱処理温度が475℃から5
50℃で且つ熱処理時間が30秒以上であるという範囲内で
あるならば、β相中のSn濃度が1.5wt%以上にすること
ができる。熱処理時間を長くするとβ相中のSn濃度が増
加して耐食性が向上するが、製造工程における熱処理の
経済性を考慮すると、熱処理時間は3時間以下が好まし
い。
次に、本発明の「α+γタイプ」及び「α+β+γタ
イプ」の黄銅について説明する。
図16Aは、後述する図18に示す黄銅試料No.7の結晶組
織を示す顕微鏡写真であり、図16Bは図16Aに基づいて作
成した結晶組織の模式図である。図17Aは、図18に示す
黄銅試料No.4の結晶組織を示す顕微鏡写真であり、図17
Bは図17Aに基づいて作成した結晶組織の模式図である。
図16Aに示す結晶組織では、α相の結晶粒(図中の白
い部分)の境界にγ相(図中の黒い部分)が析出及び成
長しており、β相は殆ど消失している。これが本発明の
「α+γタイプ」の典型例である。図17Aに示す結晶組
織では、α相とβ相とを含み、α相(図中の大きい白い
部分)とβ相(図中の小さい白い部分)の結晶粒界にβ
相を取り囲むようにγ相(図中の黒い部分)が析出して
いる。これが本発明の「α+β+γタイプ」の典型例で
ある。γ相の平均粒径(この場合は短径の平均)はα相
やβ相の平均粒径より小さいことが望ましく、例えば8
μm以下、より好ましくは5μm以下である。
図18に、本発明の「α+γタイプ」及び「α+β+γ
タイプ」に関連する7種類の黄銅試料No.1〜No.7を列挙
する(図2A〜図2Cに示した試料とは異なる)。図18に
は、各試料No.1〜No.7の組成、見掛け上のZn含有量、γ
相の面積占有比率、耐食性(殆脱亜鉛腐食性)試験の結
果、及びγ相中のSn濃度が示されている。耐食性試験
は、図2A〜図2Cに関連して説明した通りの方法で行っ
た。
図18から、γ相の面積占有比率が3.0%以上20%以下
の範囲内であれば、良好な耐食性が得られることが分
る。図18中、試料No.3〜No.7がこの条件を満たしてお
り、本発明の「α+γタイプ」又は「α+β+γタイ
プ」に属する。また、上記条件を満たせば熱間延性も良
好であることも実験で判明した。
γ相の面積占有比率には、製造工程で行われる熱処理
又は熱間加工の条件(例えば、熱処理温度や冷却速度)
が影響する。図19は本発明に従う黄銅製品の製造方法の
一例を示す。図19に示す製造方法では、図18に例示した
試料No.3〜No.7のような組成をもったCu−Zn−Sn系の黄
銅素材を熱間鍛造や熱間押出しなどで成形する。次に、
この成形体に対し400℃以上550℃以下で保持時間30秒以
上の熱処理を施し、次いでその成形体を400℃までの冷
却速度が0.4K/秒以上10K/秒以下で冷却する。この熱処
理と冷却とにより、成形体の結晶組織が本発明の「α+
γタイプ」又は「α+β+γタイプ」になる。その後、
その成形体に切削加工、研磨、メッキ等を施す。
因みに、従来の一般的な製造方法では図20に示すよう
に成形を鋳造で行っている、鋳造に必要な工程はかなり
多い。図19に示す本発明の製造方法例では、成形を熱間
鍛造や熱間押出しなどで行えるので、従来の鋳造を用い
た方法よりも工程数が減少する。
図21は、γ相の面積占有比率と熱処理条件との関係を
調べた実験の結果を示す。この実験では、図18に示す試
料No.3の組成をもったCu−Zn−Sn系銅合金に対して、異
なる処理温度(試料の濃度)および温度保持時間の条件
下で熱処理を加え、各熱処理後にγ相の面積占有比率
(%)を調べた。熱処理後の400℃までの冷却速度は、
処理温度が425℃以下の時は0.4〜5K/sec、処理温度が45
0℃以下の時は5〜10K/secであった。
図21から、熱処理温度が550℃から400℃、保持時間が
30秒以上、冷却速度が5K/secから10K/secの範囲内であ
れば、γ相の面積占有比率(%)が3%以上になること
が分る。また、熱処理温度が550℃を越えると、保持時
間を長くしてもγ相の面積占有比率は増加せず、逆に減
少する傾向をした。したがって、γ相の面積占有比率
(%)を3%以上にするには熱処理温度は550℃以下と
すべきである。また、図21における処理温度400℃から4
50℃までの範囲の熱処理では「α+γタイプ」の結晶組
織ができ、処理温度450℃から550℃までの範囲の熱処理
では「α+β+γタイプ」の結晶組織ができた。
次に、「微細な結晶粒」について説明する。本発明の
黄銅の上述した全ての実施例で、平均結晶粒径は15μm
以下、好ましくは10μm以下である。このような微細は
結晶粒は、従来品よりかなり低い温度で熱間鍛造するこ
とができ、且つ熱間延性(鍛造温度域での延性)及び降
伏点強度(耐力)がかなり高いという利点を生む。
結晶粒を微細にするには、製造工程中の諸条件が寄与
する。例えば、図3に示した製造工程では、結晶粒を微
細化するために、次のような条件を選ぶことができる。
先ず、電気銅、電気亜鉛及びスクラップを混合して溶解
鋳造を行なうとき(ステップ1)、再結晶温度域でのα
相とβ相との比率が適切な範囲、つまりβ相の比率が30
%〜80%となるように、亜鉛の混合量を調整する。β相
の比率が上記範囲であることは、後の熱間押出しや熱間
鍛造時に動的再結晶を起こすために有用である(動的再
結晶が起きると結晶粒径は小さくなる)。次いで、鋳造
後の凝固後の冷却において、400℃以下になるまでは5K/
sec以上の冷却速度で急冷して、中間成形体を製造す
る。このように急冷することで、結晶粒を微細化するこ
とができる。更に、鋳造後の凝固速度を5×10〜105K/s
ecの範囲内、より好ましくは102〜105K/secの範囲内と
することも、結晶粒の微細化に有効である。
鋳造段階で結晶粒の微細化を助ける他の方法として
は、原料中にB,Fe,Ni,P,Co,Nb,Ti,Zr等の元素を添加す
ることが有効である。その添加割合〔wt%〕としては、
Bは0.005〜0.5、Feは0.01〜2.0、Niは0.05〜0.2、Pは
0.04〜0.2、Coは0.01〜2.0、Nbは0.01〜0.2、Tiは0.01
〜1.0、Zrは0.005〜0.5が適当である。特に、PをFeと
共に添加すると、相乗効果が認められる。
次に、上記の中間成形体を480〜650℃の範囲内(より
好ましくは480〜600℃の範囲内)の温度まで加熱し、そ
の温度で熱間押出を行って棒材若しくは線材に成形する
(ステップ2)。この押田成形では断面減少率を90%以
上(より好ましくは95%)として、有効な動的再結晶が
生じさせて、結晶粒の粗大化を防止する。押田成形後の
冷却でも、400℃以下になるまでは0.4K/sec以上の速度
で急冷して、結晶粒の粗大化を防止する。更に、中間成
形体の加熱温度を下げること、及び加熱時間を短縮する
ことも、結晶粒の粗大化を防止するために有効である。
この後、棒材若しくは線材を冷間引抜きし、焼鈍及び
酸洗いを行い、所定寸法に切断して、鍛造用のビレット
を得る(ステップ3)。こうして得られたビレットを、
後続の熱間鍛造のための特性を確保するために加熱す
る。加熱温度は480〜750℃の範囲内とし、また加熱時間
の短縮によって微細な結晶粒を維持する。
次いで、加熱したビレットを鍛造用金型にセットし、
480〜750℃の範囲内の温度で熱間鍛造を行なう(ステッ
プ5)。この時も粗大粒の成長を抑制して微細な結晶粒
を維持するため、加熱から鍛造までの時間を短縮するこ
とが有効である。鍛造後、酸洗やショットブラストへ移
行するために冷却を行う。熱間鍛造時に動的再結晶が行
われた後に結晶粒が粗大化するのを防ぐため、冷却速度
を0.4K/sec以上とすることが有用である。
上記したように、結晶粒の微細化には鋳造後の冷却速
度や押出し条件などが寄与する。まず冷却速度の結晶粒
微細化への寄与について、図22〜図25を用いて具体的に
説明する。
図22Aは鋳造後の冷却速度を19K/secとして作った黄銅
素材の結晶組織を示す顕微鏡写真であり、図22Bは図22A
に基づいて作成した模式図である。図23Aは図22Bの一部
を拡大した顕微鏡写真であり、図23Bは図22Aに基づいて
作成した模式図である。一方、図24Aは鋳造後の冷却速
度を1.3K/secとした場合の黄銅素材の結晶組織を示す顕
微鏡写真であり、図24Bは図24Aに基づいて作成した模式
図である。図25Aは図24Aの一部を拡大した顕微鏡写真で
あり、図25Bは図25Aに基づいて作成した模式図である。
これらの図から明らかなように、鋳造後の冷却速度を
速くすることで結晶の微細化が図れる。例えば、図23A,
Bに示すように、冷却速度を19K/secとした場合、平均結
晶粒径は15μm以下で且つほぼ全域でα相とβ相とが混
合した組織となっていた。一方、図25A,Bに示すよう
に、冷却速度を1.3K/secとした場合、平均結晶粒径は15
μm以上でしかもα相とβ相の境界にγ相が析出してい
た。ここで、平均結晶粒径の測定は日本工業規格(JI
S)の基準に従って測定した。更なる実験により、平均
結晶粒径を15μm以下とするには、冷却速度を5K/sec以
上としなければならないことが判明した。
次に、押出し条件の結晶粒の微細化への寄与につい
て、図26〜図29を用いて具体的に説明する。
図26Aは、Cuが58.3wt%、Snが1.9wt%、Znが残部とい
う組成をもった黄銅素材を、押出し温度が550℃、押出
し比が50%、押出し後の強制空冷による冷却速度が30K/
secという条件で押出して作った棒状押出し品の結晶組
織を示す顕微鏡写真である。図26Bは図26Aに基づいて作
成した模式図である。図27Aは図26に示した棒状押出し
品を、鍛造形状が円柱形状、圧縮方法が1軸圧縮、鍛造
率が50%、鍛造温度が550℃、鍛造後の冷却速度が20K/s
ecという条件が鋳造して作った鋳造品の結晶組織を示す
顕微鏡写真である。図27Bは図27Aに基づいて作成した模
式図である。
図26A,Bに示す黄銅素材は、α相とβ相との混合であ
り、鍛造加熱中のβ相の比率は30%以上80%以下で、平
均結晶粒径は15μm以下であり、本発明の「α+強化β
タイプ」に属するものである。そして、図27A,Bに示す
ように、この黄銅素材は鋳造後も、結晶粒径、α相とβ
相の比率及び結晶粒の形状に変化がない。鋳造割れも発
生しなかった。
図28Aは、Cuが58.7wt%、Snが2.3wt%、Znが残部とい
う組成をもつ黄銅素材を、押出し温度が550℃、押出し
比が50%、押出し後の強制空冷による冷却速度が30K/se
cという条件で押出して作った棒状押出し品の結晶組織
を示す顕微鏡写真である。図28Bは図28Aに基づいて作成
した模式図である。図29Aは図28に示す棒状押出し品
を、鍛造形状が円柱形状、圧縮方法が1軸圧縮、鍛造率
が50%、鍛造温度が550℃、鍛造後の冷却速度が20K/sec
という条件で鍛造して作った鍛造品の結晶組織を示す顕
微鏡写真である。図29Bは図29Aに基づいて作成した模式
図である。
図28に示す黄銅素材も本発明の「α+強化βタイプ」
に属するものである。特にこの素材はSnの含有割合が、
従来は鍛造割れが生じるとされていた1wt%を大幅に超
えているにも拘らず、鍛造割れを生じなかった。その理
由は、結晶粒径が微細であるからと推測される。
結晶粒の微細化は、良好な熱間延性を得るのに有効で
ある。また、熱間加工温度域での結晶組織がα相とβ相
の混合であってβ相の比率が30%〜80%の範囲であるこ
とも、良好な熱間延性を得るのに有効である。その理由
は次の通りと推測される。
熱間鍛造や熱間押出し時には、外力を加えられた結晶
組織内で歪が生じる。これはミクロ的には、原子配列が
乱れた状態、つまり転位が生じていることである。熱間
加工中に動的再結晶が発生すると、転位の再配列が行わ
れて歪が緩和又は消去されるので、良好な熱間延性が得
られる。動的再結晶を起こすエネルギー源は、加熱によ
る熱エネルギーと外力による歪エネルギーである。α相
とβ相との混合組織では、外力が加わると硬質なα相粒
子からのストレスにより軟質なβ相粒子内に転位が生じ
る。α相の結晶粒径が大きいと、(多分、転位の生じた
β結晶粒の移動が大きいα粒子に妨げられるために)β
相内の歪は局所に集中する。一方、α相の結晶が微細で
あると、(多分、α結晶粒とβ結晶粒との間で粒界すべ
りが起きてβ結晶粒が移動するために)α相内の歪が分
散する。局所的な歪より、分散している歪の方が、歪の
全体的なポテンシャルエネルギーが大きいため、しきい
値をこえて再結晶し、よって良好な熱間延性が得られ
る。
また、Snの添加は、β相の耐食性の向上だけでなく、
再結晶速度を高めるのにも寄与していると考えられる。
再結晶速度を高まることによって、高速な外力に対する
延性が向上する。
更に、充分な加工を加えた後に再結晶を起こすと結晶
粒は小さくなる。加工後の冷却速度を速くして、動的再
結晶で生じた微細な結晶粒の粗大化を防止すれば、加工
後の成形品でも、微細な結晶粒が維持でき良好な特性が
得られる。
図30は、本発明の4タイプの黄銅について、常温での
最終的な結晶組織、熱間加工時の(つまり、再結晶温度
域での)結晶組織、及び組成に関する、好ましい条件を
示している。図31は、最初に黄銅素材を鋳造するときの
典型条件として、その黄銅素材を熱間押出しして図30に
示す最終組成を得る場合の熱間押出しの典型条件とを示
している。図32は、黄銅素材を熱間押出しし更に熱間鍛
造して最終組成を得る場合の、押出し及び鍛造の典型条
件を示している。図33は、黄銅素材を熱間押出しし次に
熱間鍛造し更に熱処理して最終組成を得る場合の、押出
し、鍛造及び熱処理の典型条件を示している。図中の括
弧内には、特に好ましい数個範囲が示されている。
以下、図30〜図33を参照して、本発明に従う黄銅の結
晶組織、組成、典型的な製法例について説明する。
(1)常温での結晶組織について(図30) 「α+γ」タイプの黄銅はα+γの結晶組織をもつ。
α相の面積比率は97〜70%でγ相の面積比率は3〜30
%、好ましくはα相の面積比率が95〜70%でγ相の面積
比率が5〜30%である。α相の平均粒径は15μm以下、
好ましくは10μm以下である。γ相の平均粒径(この場
合は短径)は8μm以下、好ましくは5μm以下であ
る。顕微鏡写真によれば、α相の結晶粒界に、γ相の薄
い層(厚さ8μm以下)が形成されている。γ相のSn濃
度は8wt%以上であり、例えば図2A〜図2Cに示す実施例
1〜5では14〜18%であった。
「α+β+γタイプ」の黄銅はα+β+γの結晶組織
をもつ。α相の面積比率は40〜94%であり、β相とγ相
の各々の面積比率は3〜30%である。例えば図2A〜図2C
に示した実施例6〜12では、α相が65〜82.5%、β相が
9.8〜13.4%、γ相が4〜24%であった。α相とβ相の
平均粒径は15μm以下、好ましくは10μm以下である。
γ相の平均粒径(この場合は短径)は8μm以下、好ま
しくは5μm以下である。顕微鏡写真によれば、β相の
結晶を包囲するように、γ相の薄い相(厚さ8μm以
下)が形成されている。γ相のSn濃度は8wt%以下であ
り、例えば図2A〜図2Cに示す実施例6〜12では11〜13.4
%であった。
「α+ノーマルβタイプ」の黄銅はα+βの結晶組織
をもつ。β相の面積比率は20%以上、好ましくは25%以
上であり、例えば図2A〜図2Cに示す実施例13〜15では2
3.1〜25.6%であった。α相及びβ相の平均結晶粒径は1
5μm以下、好ましくは10μm以下である。
「α+強化βタイプ」の黄銅はα+βの結晶組織をも
つ。β相の面積比率は15%以上、好ましくは20%以上で
あり、例えば図2A〜図2Cに示す実施例16〜19では23〜38
%であった。α相及びβ相の平均結晶粒径は15μm以
下、好ましくは10μm以下である。β相のSn濃度は1.5w
t%以上であり、例えば図2A〜図2Cに示す実施例16〜19
では2.5〜7.1wt%。であった。
(2)熱間加工時の(再結晶温度域での)結晶組織につ
いて(図30) 全てのタイプの黄銅が、再結晶温度域でα+βの結晶
組織をもち、β相の面積比率は30〜80%である。α相及
びβ相の平均結晶粒径は15μm以下、好ましくは10μm
以下である。α結晶粒子は実質的に均一に分散して存在
する。
(3)組成について(図30) 「α+γタイプ」及び「α+β+γタイプ」の黄銅で
は、見掛け上のZn含有量が37〜46wt%であり。良好な熱
間延性を得るためには38〜46wt%が好ましい。全体的な
Sn含有量は0.9〜7wt%である。例えば図2A〜図2Cに示す
「α+γタイプ」の実施例1〜5では、見掛け上のZn含
有量が37.8〜44wt%、全体的Sn含有量が1〜5wt%であ
った。また、「α+β+γタイプ」の実施例6〜12で
は、見掛け上のZn含有量が41.5〜44wt%、全体的Sn含有
量が1.5〜3.5wt%であった。
「α+ノーマルβタイプ」の黄銅では、見掛け上のZn
含有量が37〜44wt%であり、良好な熱間延性を得るため
には38〜44wt%が好ましい。例えば図2A〜図2Cに示す実
施例13〜15では、見掛け上のZn含有量は41.8〜44wt%で
あった。全体的なSn含有量は0.5wt%未満である。
「α+強化タイプ」の黄銅では、見掛け上のZn含有量
が37〜44wt%であり、良好な熱間延性を得るためには38
〜44wt%が好ましい。全体的なSn含有量は0.5〜7wt%で
ある。例えば図2A〜図2Cに示す実施例16〜19では、見掛
け上のZn含有量が40.1〜42.6wt%、全体的Sn含有量が0.
8〜3.6wt%であった。
(5)鋳造の条件について(図31) 鋳造時の凝固速度は5×101〜105K/sec、好ましくは1
02〜105K/secである。凝固速度105K/secはアモルファス
状態にならない上限値である。凝固後の冷却速度は400
度以下になるまでは5K/sec以上である。
(6)最終組織を熱間押出しで得る場合の熱間押出し条
件について(図31) 押出し時の温度は480〜650℃であり、好ましくは480
〜600℃である。断面減少率は90%以上、好ましくは95
%以上である。押出し後の冷却速度は、400℃以下にな
るまで、「α+γタイプ」は0.4〜5K/sec、「α+β+
γタイプ」は0.4〜10K/sec、「α+ノーマルβタイプ」
は0.4℃/sec以上、「α+強化βタイプ」は5〜1000K/s
ecである。例えば、図2A〜図2Cに示す実施例では、「α
+γタイプ」(実施例1〜5)、「α+β+γタイプ」
(実施例6〜12)及び「α+ノーマルβタイプ」(実施
例13〜15)を作るときは冷却速度が0.8K(空冷)であ
り、「α+強化βタイプ」を作るときは冷却速度が100K
/sec(水冷)であった。
(7)最終組織を熱間鍛造で得る場合の熱間押出しと熱
間鍛造の条件について(図32) 熱間押出しの条件は、押出し後の冷却速度がタイプに
関わらず400℃以下になるまで0.4℃以上であればよいと
いう点以外は、上記(6)で説明したそれと同様であ
る。
熱間鍛造の温度は480〜750℃であり、例えば図2A〜図
2Cに示す実施例では500〜600℃である。鍛造の歪速度は
好ましくは1/sec以上である。鋳造後の 冷却速度は、上記(6)で述べた押出し後のそれと同様
である。
(8)最終組織を熱処理で得る場合の熱間押出し、熱間
鍛造及び熱処理の条件について(図33) 熱間押出しの条件は上記(7)で説明したそれと同様
である。熱間鍛造の条件も、鍛造後の冷却速度がタイプ
に関わらず400℃以下になるまで0.4℃以上であればよい
という点以外は、上記(7)で説明したそれと同様であ
る。
熱処理は、「α+ノーマルβタイプ」を作る場合には
不要である(つまり、熱間鍛造を上記条件で行えば「α
+ノーマルβタイプ」の最終組成が得られる)。熱処理
の温度と保持時間については、「α+γタイプ」は400
〜550℃で30秒以上保持、「α+β+γタイプ」は450〜
550℃で30秒以上保持、「α+強化βタイプ」は475〜55
0℃で30秒以上保持である。熱処理後の冷却速度は、上
記(6)で述べた押出し後のそれと同様である。
以上、本発明にかかる黄銅及びその製造方法について
典型的な例を説明したが、その趣旨はあくまで本発明を
説明するための例示であって、本発明の範囲をそれら典
型例のみに限定するものではない。本発明の原理は典型
的には黄銅に適用されるが、黄銅以外の合金にも適用す
ることができる。
6. 産業上の利用可能性 本発明に従うα+β+γ、α+γ、α+ノーマルβ及
びα+強化βタイプの黄銅は、バルブや水栓等の水接触
部品、衛生陶器金具、各種継手、パイプ、ガス器具、ド
アやノブ等の建材、家電製品等の従来から黄銅が用いら
れていた用途の他に、従来は表面粗度、耐食性、寸法精
度等の理由から黄銅以外の材料を用いていた製品にまで
適用することができる。本発明に従う黄銅が使用できる
水接触部品として、給水栓や給湯器や温水洗浄便座等の
ための取付金具、給水管、接続管、及びバルブなどが例
示的に列挙できる。以下に幾つかの具体例を示す。
図34は本発明の黄銅を使用した水栓金具の例を示す。
一次圧のかかる耐圧の大きい本体21に、二次圧側である
耐圧の小さい継手23を介して、スパウト25が接続されて
いる。本体21の最低肉厚は0.2mm以上であり、継手及び
スパウトの最低肉厚は0.1mm以上である。図35に示した
別の例では、水管27と接続されたエルボー管29に本発明
の黄銅の鍛造品が使用されている。図36に示す更に別の
例では、シャワー用ホース31への接続金具33に本発明に
係る黄銅の鍛造品が用いられている。図37に示すさらに
別の例では、配管35、37、39間の継ぎ手41に本発明に係
る黄銅の鍛造品が用いられている。
図38、39及び40は、本発明の黄銅を使用した給湯機の
部品を示す。図38は給湯機の全体の断面図を示してい
る。図38に示すように、入水管51に接続された減圧弁53
と、この減圧弁53からの送水管55に接続された逃がし弁
57とに本発明の黄銅が使用されている。具体的には、図
39に示す減圧弁53では弁箱61と弁棒63(ハッチングで示
した部分)とに、また、図40に示す逃がし弁57では弁箱
71(ハッチングで示した部分)に、本発明の黄銅が使用
されている。
本発明に係る黄銅は耐食性及び耐酸性に優れるため、
上記のような水接触部品に用いると、水接触部品の経年
変化による強度変化が少ない。また、本発明の黄銅は耐
食性及び耐酸性に優れるだけでなく強度も大きいので、
水接触部品の肉厚を薄くすることができる。具体的に
は、給水栓のJIS規格では一次圧のかかる接水耐圧に金
属部には17.5kg/cm2の耐圧性能が要求されている。この
耐圧性能に、経時的な腐食による肉厚の減少を加味し
て、水接触部品の肉厚を決める必要がある。従来、100m
mの円筒形状の水栓金具の最低肉厚は1.0mm〜1.5mm程度
に決定されていた。これに対し、本発明に係る黄銅を用
いると、最低肉厚を0.8mm〜1.2mm程度にすることができ
る。
更に、本発明の黄銅は切削性がよいので切削加工時間
が短縮でき、また、熱間延性が高いので鍛造等で短時間
に成形できる。更に、鍛造による成形が可能であるか
ら、デザインの自由度も増す。熱間延性が高く、600℃
以下での低温で鍛造も可能なことから、鍛造品精度や面
精度も向上し酸化皮膜もつかない。
本発明に従うα+β+γ、α+γ、α+ノーマルβ及
びα+強化βタイプの黄銅の用途は以下に例示列挙する
ように極めて広く、従来から黄銅が用いられていたも
の、従来はステンレススチールのような別の金属が用い
られていたもの、および従来は非金属材料が用いられて
いたものを含む。
(1)素材、中間品、最終製品および組立体 板材、管材、棒材、線材および塊材などの各種形状の
黄銅素材、中間品、最終製品、それらの組立体、及び他
素材品と結合された複合品。溶接、融接、ろう付け、接
着、熱切断、熱加工、鍛造、押出し、引抜き、圧延、せ
ん断、板材成形、ロール成形、転造、スピニング、曲げ
加工、矯正加工、高エネルギー速度加工、粉末加工、各
種切削加工、および研削加工などの各種加工により造ら
れた黄銅素材、中間品、最終製品、それらの組立体、及
び他素材品と組み合わされた複合品。金属被膜処理、化
成処理、表面硬化処理、非金属被膜処理および塗装など
の各種表面処理を施された黄銅素材、中間品、最終製
品、それらの組立体、及び他素材品と組み合わされた複
合品。
(2) 輸送機器用部品 (2−1)自動車及び二輪車用部品 トランスミッション部品、例えばシンクロギア、軸受
けなど。エンジン部品、例えばタインミングギア、プー
リー、軸受け、継ぎ手、燃料配管、排気管、ガスケッ
ト、噴射ノズル、エンジンブロックなど。ラジエター部
品、例えば継ぎ手など。車両ボディー。外装部品、例え
ばモール、ドアハンドル、ワイパーなど。内装部品、例
えばメーター、警報器など。駆動系部品、例えばタイヤ
エアノズル、車軸、ホイールベースなど。ブレーキ部
品、例えば継ぎ手など。操蛇部品、例えば油圧継ぎ手、
ギアなど。空調機部品、例えば継ぎ手など。サスペンシ
ョン部品、例えば軸受けなど。油圧ポンプ部品、例えば
ボディー、弁、ピストンなど。
(2−2)小型及び大型船舶用部品 エンジン部品、例えばタイミンググギア、プーリー、
軸受け、継ぎ手、燃料配管、排気管、ガスケット、噴射
ノズル、エンジンブロックなど。船体。艤装部品、例え
ば手すり、モール、ドアハンドル、マストなど。駆動系
部品、例えばスクリュー、プロペラ、シャフトなど。計
器部品、例えばケーシング、ハンドルなど。操蛇部品。
空調機部品。油圧ポンプ部品。
(2−3)鉄道車両用部品 エンジン部品、例えばタイミンググギア、プーリー、
軸受け、継ぎ手、燃料配管、排気管、ガスケット、噴射
ノズル、エンジンブロックなど。モータ部品、例えば、
ボディー、軸受け、冷却継ぎ手など。トランスミッショ
ン部品、例えばシンクロギア、軸受けなど。ラジエター
部品、例えば継ぎ手など。車両ボディー。外装部品、例
えばモール、ドアハンドル、ワイパーなど。内装部品、
例えばメーター、警報器、手すりなど。駆動系部品、例
えばタイヤエアノズル、車軸、ホイールベースなど。ブ
レーキ部品、例えば継ぎ手など。操蛇部品、例えば油圧
継ぎ手、ギア、ハンドルなど。空調機部品、例えば継ぎ
手など。サスペンション部品、例えば軸受など。油圧ポ
ンプ部品、例えばボディー、弁、ピストンなど。パンタ
グラフ部品、例えば継ぎ手など。架線部品、例えば継ぎ
手など。
(2−4)航空機、宇宙船、エレベータ、遊戯乗り物用
部品 (3)産業機械用部品 (3−1)建設機械用部品 エンジン部品、例えばタイミンググギア、プーリー、
軸受け、継ぎ手、燃料配管、排気管、ガスケット、噴射
ノズル、エンジンブロックなど。モータ部品、例えば、
ボディー、軸受け、冷却継ぎ手など。トランスミッショ
ン部品、例えばシンクロギア、軸受けなど。ラジエター
部品、例えば継ぎ手など。外装部品、例えばモール、ド
アハンドル、ワイパーなど。内装部品、例えばメータ
ー、警報器など。ブレーキ部品、例えば継ぎ手など。操
蛇部品、例えば油圧継ぎ手、ギア、ハンドルなど。空調
機部品、例えば継ぎ手など。サスペンション部品、例え
ば軸受など。油圧ポンプ部品、例えばボディー、弁、ピ
ストンなど。
(3−2)溶接機用部品 ガス溶接機用部品、例えばトーチなど。アーク溶接機
用部品、例えばトーチなど。プラズマ溶接機用部品、例
えばトーチなど。
(3−3)金型及びその部品 (3−4)ローラコンベア用部品 (3−5)ベアリング、歯車 (3−6)シンクロリングなどの機械的摺動部品 (3−7)熱交換機用部品 ボイラー部品、例えばボディー、バルブなど。太陽熱
温水器部品、例えばボディー、バルブなど。
(4)楽器用部品 (4−1)鍵盤楽器用部品 ピアノ部品、例えばペダル、継ぎ手など。エレクトー
ン部品、例えばペダル、継ぎ手など。オルガン部品、例
えばペダル、継ぎ手、共鳴パイプなど。
(4−2)管楽器用部品 トランペット部品、例えばボディー、ピストン、レバ
ー、継ぎ手など。トロンボーン部品、例えばボディー、
ピストン、レバー、継ぎ手など。チューバ部品、例えば
ボディー、ピストン、レバー、継ぎ手など。クラリネッ
ト部品、例えばピストン、レバー、継ぎ手など。ファゴ
ット部品、例えばストン、レバー、継ぎ手など。
(4−4)打楽器用部品 ドラム部品、例えばホルダー、シンバルなど。太鼓部
品、例えばホルダ、ケトルなど。木琴部品、例えば共鳴
パイプ、フレームなど。
(5)電気製品用部品 (5−1)視聴覚機器用部品 アンプ、ビデオプレーヤ、カセットプレーヤ、CDプレ
ーヤ及びLDプレーヤの部品、例えば調節つまみ、脚、シ
ャーシ、スピーカコーンなど。
(5−2)気体・液体制御機器用部品 ルーム空調機部品、例えば継ぎ手、冷媒管、弁など。
給湯機及び電気温水器部品、例えばケーシング、貯湯容
器、ガス配管、ガスノズル、バーナ、減圧弁、逃がし
弁、比例弁、電磁弁、ポンプ部品など。ルームヒータ及
びルームクーラー部品、例えば気化器、冷媒管、サービ
スバルブ、フレアナットなど。
(5−3)家庭電化製品用部品 洗濯機部品、例えばケーシング、洗濯槽など。
(5−4)縫い機、編み機用部品 (5−5)遊戯具用部品 パチンコ台部品。ストットマシン部品。
(5−6)屋外電気製品用部品 自動販売機部品、例えばコイン投入口、コインアクセ
プタなど。
(5−7)電気・電子回路用部品 制御基板、プリント配線板、配電盤電極、スイッチ部
品、抵抗器部品、電源プラグ部品、電球口金、ランプホ
ルダー部品、放電電極、水浸電極、銅線、電池端子、ケ
ーシング、半田など。
(6)住宅用品 (6−1)建材 外装用建材、建材取付け部品、壁パネル、鉄筋、鉄骨
など。
(6−1)外装品 ドア部品、例えばドアパネル、ノブ、錠、モール、ヒ
ンジなど。門部品、例えば門柱、門扉、モール、ヒンジ
など。柵部品、例えば柵ボディー、モールなど。外灯部
品、例えばケーシング、笠、支柱など。シャッター。ベ
ランダフェンス。郵便受け。雨どい。雨どい受け金具。
屋根。スプリンクラー。フレキシブル管。
(6−2)内装品 手すり部品、例えば手すりパイプ、継ぎ手など。ドア
部品、例えばノブ、錠、モール、ヒンジなど。台所用
品、例えばガスバーナ、コロン台天板など。浴室品、例
えば配水口の目皿、排水栓、排水栓の玉鎖、シャワーハ
ンガー、散水板など。洗面所用品、例えばカウンター固
定金具。タオルバーなど。居間用品、例えばシャンデリ
ア部品、照明部品、装飾置物など。トイレ用品、例えば
トイレブースの外壁パネルなど。家具部品、例えば椅子
脚、テーブル脚、テーブル天板、ヒンジ、取っ手、レー
ル、棚の調節ネジなど。
(6−3)神社仏閣用品 手すり部品、例えば手すりパイプ、継ぎ手など。仏壇
部品、例えば仏像、モール、燭台、鐘など。
(7)精密機械用部品 (7−1)光学機器及び測定・計測機器用部品 カメラ、望遠鏡、顕微鏡及び電子顕微鏡の部品、例え
ばボディー、マウント、レンズケースなど。
(7−2)時計用部品 腕時計、掛け時計及び置き時計の部品、例えばボディ
ー、針、モール、ギア、振り子など。
(8)筆記具、事務用品 筆記具、例えばボールペン、シャープペンシルなど。
ハサミ、カッター、バインダ、ペーパークリップ、画
鋲、スケール、定規、キャビネップ、テンプレート、マ
グネット、書類トレイ、電話台部品、ブックエンド、穿
孔機部品、ステープラー部品、鉛筆削り機部品、キャビ
ネットなど。
(9)給排水配管、バルブ及び水栓用品 排水プラグ、硬質塩化ビニル管用継ぎ手、排水溝、エ
ルボ管、継ぎ手、フレキシブル継ぎ手用ベローズ、給排
水コック、バルブ、便器用接続フランジ、ステム、スピ
ンドル、ボール弁、ボール、シートリング、パッキンナ
ット、KCPジョイント、ヘッダー、分岐栓、フレキシブ
ルホース、ホースニップル、水栓ボディー、水栓付属金
具、バルブボディー、ボールタップ、止水栓、単機能水
栓、サーモスタット付水栓、2バルブ壁付け水栓、2バ
ルブ台付け水栓、スパウト、UBエルボ、ミキシングバル
ブなど。
(10)装飾品、服飾品 ピアス、ペンダンド、指輪、ブローチ、ネームプレー
ト、タイピン、タイバー、ブレスレット、鞄金具、靴金
具、衣装金具、ボタン、ファスナー部品、ホック、ベル
ト金具などの装飾品及び服飾品部品。
(11)スポーツ用品、武器 ゴルブクラブ部品、例えばシャフト、ヘッド、トウ、
ヒール、ソールなど。ダンベル、バーベル、ヨットのフ
レーム、トランポリンのフレーム、スターティングブロ
ック、剣道の面、スケートブレード、スキーエッジ、ス
キービンディング、ダイビング部品、スポーツジム機
器、自転車チェーン、テント固定具、拳銃部品、ライフ
ル銃部品、火縄銃部品、刀剣部品、銃弾など。
(12)缶、容器 食物、飲料、燃料、塗料、粉、液、ガスなどを入れる
缶及び容器。
(13)医療器具 ベッドのフレーム、メス、内視鏡部品、歯科器具部
品、診察器具部品、手術器具部品、治療器具部品など。
(14)工具、農具、土木具 ペンチ、ハンマー、物差し、錐、やすり、鋸、釘、の
み、かんな、ドリル、固定具、締めつけ具、砥石台、ネ
ジ、ボルト、ナット、ビス、鍬、斧、スコップなど。
(15)食器、日常生活用品 鍋、釜、包丁、フライパン、おたま、スプーン、フォ
ーク、ナイフ、缶切り、コルク抜き、フライ返し、てん
ぷら箸、ホットプレート、水切り籠、たわし、屑入れ、
塵埃用籠、手桶、洗面器、じょうろなど。
(16)雑貨、園芸具、小物 カップ、レプリカ、ライター、燭台、キャラクターズ
グッズ、メダル、ベル、ヘアピン、ホットカーラー、灰
皿、花瓶、キー、コイン、釣り具、ルアー、眼鏡フレー
ム、つめ切り、パチンコ玉、虫籠、傘、剣山、針、剪定
ハサミ、園芸用支柱、園芸用フレーム、園芸用棚、花入
れ、指抜き、灯篭、金庫、キャスターなど。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平9−31849 (32)優先日 平成9年2月17日(1997.2.17) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−74111 (32)優先日 平成9年3月26日(1997.3.26) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−167833 (32)優先日 平成9年5月20日(1997.5.20) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−167834 (32)優先日 平成9年5月20日(1997.5.20) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−167835 (32)優先日 平成9年5月20日(1997.5.20) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−167836 (32)優先日 平成9年5月20日(1997.5.20) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−167837 (32)優先日 平成9年5月20日(1997.5.20) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 濱崎 正直 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番 1号 東陶機器株式会社内 (56)参考文献 特開 昭54−47823(JP,A) 特開 平3−110042(JP,A) 特開 昭59−25938(JP,A) 特開 昭59−97714(JP,A) 特開 平3−249147(JP,A) 銅および銅合金の基礎と工業技術,日 本,日本伸銅協会,1994年10月31日,改 訂版第1刷 特願2000−33705号(特開2000− 199021号) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22F 1/00 - 3/02 C22C 1/00 - 49/14

Claims (24)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】見掛け上のZn含有量が37〜46mass%であ
    り、再結晶温度域においてα+βの結晶組織を有し、こ
    の再結晶温度域における結晶組織が、 (A1) β相の面積比率が30〜80%であり、 (A2) α相及び前記β相の平均結晶粒径が15μm以下
    であり、かつ、 (A3) 前記α相が分散して存在している、 の全条件を満たす、前記再結晶温度域での熱間加工に用
    いるための黄銅素材。
  2. 【請求項2】見掛け上のZn含有量が37〜46mass%であ
    り、再結晶温度域においてα+βの結晶組織を有し、こ
    の再結晶温度域における結晶組織が、 (A1) β相の面積比率が30〜80%であり、 (A2) α相及び前記β相の平均結晶粒径が15μm以下
    であり、かつ、 (A3) 前記α相が分散して存在している、 の全条件を満たす黄銅素材に前記再結晶温度域で熱間加
    工を行った後の黄銅であって、 常温においてα+γの結晶組織を有し、この常温におけ
    る結晶組織が、 (B1) γ相の面積比率が3〜30%であり、 (B2) α相の平均結晶粒径が15μm以下であり、 (B3) 前記γ相の平均結晶粒径(短径)が8μm以下
    であり、かつ、 (B4) 前記α相の粒界に前記γ相が存在している、 の全条件を満たす黄銅。
  3. 【請求項3】前記常温における結晶組織が、更に、前記
    γ相中に8mass%以上のSnを含有している請求項2記載
    の黄銅。
  4. 【請求項4】見掛け上のZn含有量が37〜46mass%であ
    り、再結晶温度域においてα+βの結晶組織を有し、こ
    の再結晶温度域における結晶組織が、 (A1) β相の面積比率が30〜80%であり、 (A2) α相及び前記β相の平均結晶粒径が15μm以下
    であり、かつ、 (A3) 前記α相が分散して存在している、 の全条件を満たす黄銅素材に前記再結晶温度域で熱間加
    工を行った後の黄銅であって、 常温においてα+β+γの結晶組織を有し、この常温に
    おける結晶組織が、 (B1) α相の面積比率が40〜94%であり、 (B2) β相及びγ相の面積比率が共に3〜30%であ
    り、 (B3) 前記α相及び前記β相の平均結晶粒径が15μm
    以下であり、かつ (B4) 前記γ相の平均結晶粒短径が8μm以下であ
    る、 の全条件を満たす黄銅。
  5. 【請求項5】記常温における結晶組織が、更に、 (B5) 前記γ相中に8mass%以上のSnを含有し、かつ (B6) 前記β相を前記γ相が包囲している、 の全条件を満たす請求項4記載の黄銅。
  6. 【請求項6】前記常温における結晶組織が、更に、 (B7) 前記β相を包囲している前記γ相の層の厚さが
    8μm以下である、 の条件を満たす請求項5記載の黄銅。
  7. 【請求項7】見掛け上のZn含有量が37〜46mass%であ
    り、再結晶温度域においてα+βの結晶組織を有し、こ
    の再結晶温度域における結晶組織が、 (A1) β相の面積比率が30〜80%であり、 (A2) α相及び前記β相の平均結晶粒径が15μm以下
    であり、かつ、 (A3) 前記α相が分散して存在している、 の全条件を満たす黄銅素材に前記再結晶温度域で熱間加
    工を行った後の黄銅であって、 常温においてα+βの結晶組織を有し、この常温におけ
    る結晶組織が、 (B1) β相の面積比率が20%以上であり、かつ (B2) 前記α相及び前記β相の平均結晶粒径が15μm
    以下である、 の全条件を満たす黄銅。
  8. 【請求項8】見掛け上のZn含有量が37〜46mass%であ
    り、再結晶温度域においてα+βの結晶組織を有し、こ
    の再結晶温度域における結晶組織が、 (A1) β相の面積比率が30〜80%であり、 (A2) α相及び前記β相の平均結晶粒径が15μm以下
    であり、かつ、 (A3) 前記α相が分散して存在している、 の全条件を満たす黄銅素材に前記再結晶温度域で熱間加
    工を行った後の黄銅であって、 常温においてα+βの結晶組織を有し、この常温におけ
    る結晶組織が、 (B1) β相の面積比率が15%以上であり、 (B2) 前記α相及び前記β相の平均結晶粒径が15μm
    以下であり、かつ (B3) 前記β相が1.5mass%以上のSnを含有する、 の全条件を満たす黄銅。
  9. 【請求項9】(1) 原料組成の見掛け上のZn含有量が
    37〜46mass%であり、 (2) 鋳造時の凝固速度が5×101〜105K/sec、かつ (3) 凝固後の冷却速度が、400℃以下になるまでは5
    K/sec以上である、 の条件下で鋳造を行って黄銅鋳造物を作るステップと、 前記黄銅鋳造物を再結晶温度まで加熱するステップと、 を有する黄銅の製造方法。
  10. 【請求項10】見掛け上のZn含有量が37〜46mass%であ
    り、常温においてα+γの結晶組織を有し、この常温に
    おける結晶組織が、 (1) γ相の面積比率が3〜30%であり、 (2) α相の平均結晶粒径が15μm以下であり、 (3) 前記γ相の平均結晶粒短径が8μm以下であ
    り、 (4) 前記α相の粒界にγ相が存在し、かつ (5) 前記γ相中のSn濃度が8mass%以上である、 の全条件を満たすことを特徴とする黄銅。
  11. 【請求項11】見掛け上のZn含有量が37〜46mass%であ
    り、常温においてα+β+γの結晶組織を有し、この常
    温における結晶組織が、 (1) β相及びγ相の面積比率が共に3%以上であ
    り、 (2) α相及びα相の平均結晶粒径が15μm以下であ
    り、 (3) 前記γ相の平均結晶粒短径が8μm以下であ
    り、 (4) 前記γ相が前記β相を包囲し、かつ (5) 前記γ相中のSn濃度が8mass%以上である、 の全条件を満たすことを特徴とする黄銅。
  12. 【請求項12】見掛け上のZn含有量が37〜46mass%であ
    り、常温においてα+βの結晶組織を有し、この常温に
    おける結晶組織が、 (1) β相の面積比率が15%以上であり、 (2) α相及び前記β相の平均結晶粒径が15μm以下
    であり、かつ (3) 前記β相中のSn濃度が1.5mass%以上である、 の全条件を満たすことを特徴とする黄銅。
  13. 【請求項13】(1) 原料組成の見掛け上のZn含有量
    が37〜46mass%であり、 (1)鋳造時の凝固速度が5×101〜105K/secであり、
    かつ (2)凝固後の冷却速度が、400℃以下になるまでは5K/
    sec以上である、 の条件下で鋳造を行って黄銅鋳造物を作るステップを有
    することを特徴とする黄銅の製造方法。
  14. 【請求項14】Sn濃度が0.5〜7mass%で見掛け上のZn含
    有量が37〜46mass%である黄銅素材を、480〜650℃の範
    囲内の温度、断面減少率90%以上で熱間押出しを行って
    黄銅押出し物を作るステップを有する黄銅の製造方法。
  15. 【請求項15】前記熱間押出しを行った後に、前記黄銅
    押出し物を400℃以下になるまでは0.4K/sec以上の速度
    で冷却する第1の冷却ステップを更に有する請求項14記
    載の黄銅の製造方法。
  16. 【請求項16】前記黄銅素材のSn含有量が0.9〜7mass%
    であり、 前記第1の冷却ステップの冷却速度が、400℃以下にな
    るまで0.4〜5K/secであることを特徴とする請求項15に
    記載の黄銅の製造方法。
  17. 【請求項17】前記黄銅素材のSn含有量が0.5〜7mass%
    であり、 前記第1の冷却ステップの冷却速度が、400℃以下にな
    るまで5〜1000K/secであることを特徴とする請求項15
    に記載の黄銅の製造方法。
  18. 【請求項18】前記黄銅素材のSn含有量が0.9〜7mass%
    であり、 前記第1の冷却ステップの冷却速度が、400℃以下にな
    るまで0.4〜10K/secであることを特徴とする請求項15に
    記載の黄銅の製造方法。
  19. 【請求項19】前記第1の冷却ステップの後に、前記黄
    銅押出し物を再加熱し、再結晶温度で1/sec以上の歪み
    速度をもって熱間鍛造して黄銅鍛造物を作るステップを
    更に有する請求項15記載の黄銅の製造方法。
  20. 【請求項20】前記熱間鍛造を行った後、前記黄銅鍛造
    物を400℃以下になるまで0.4K/sec以上の速度で冷却す
    る第2の冷却ステップを更に有する請求項19記載の黄銅
    の製造方法。
  21. 【請求項21】見掛け上のZn含有量が37〜46mass%であ
    り、かつ480〜750℃の再結晶温度域でβ相の面積比率が
    30〜80%であり、平均結晶粒径が15μm以下である結晶
    組織を有する黄銅素材を、前記再結晶温度域まで加熱す
    るステップと、 前記再結晶温度域で前記黄銅素材に対して鍛造を行って
    黄銅鍛造物を作るステップと、 を有する黄銅鍛造物の製造方法。
  22. 【請求項22】見掛け上のZn含有量が37〜46mass%であ
    り、α+β+γの結晶組織を有し、平均結晶粒径が15μ
    m以下である黄銅。
  23. 【請求項23】見掛け上のZn含有量が37〜46mass%であ
    り、α+β+γの結晶組織を有し、α相及びβ相の平均
    結晶粒径が15μm以下、かつγ相の平均結晶粒短径が8
    μm以下である黄銅。
  24. 【請求項24】見掛け上のZn含有量が37〜46mass%であ
    る原料を用いて鋳造を行って黄銅素材を作るステップ
    と、 前記鋳造を行う時の凝固速度を5×101〜105K/secと
    し、かつ凝固後の冷却速度を、400℃以下になるまでは5
    K/sec以上とすることで、前記黄銅素材の結晶粒径を微
    細化するステップと、 を有し、 それにより、鍛造を行うために前記黄銅素材を再結晶温
    度域まで加熱したとき、前記黄銅素材の結晶組織が少な
    くともα相及びβ相を含みかつ前記α相の平均結晶粒径
    が15μm以下であるようにした、 鍛造用の黄銅素材の製造方法。
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