JPH05345939A - 白色銅合金 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （構成）重量割合で、Ｚｎ：２０−４０％，Ｎｉ：２−
１０％，Ｍｎ：１−１０％，Ｓｎ：０．０１−３．０
％，Ｐｂ：０．０１−４．０％を含有し、必要に応じさ
らにＴｅ，Ｃｒ，Ｃｏ，Ｚｒ，Ｖ，Ｂｅ，Ｃｄ，Ａｓお
よびＰからなる群から選ばれた１種または２種以上の元
素０．０１−３．０％を含有し、残部Ｃｕおよび不可避
的不純物からなり、上記組成をもつマトリックス中に、
偏析によって生じる組成の異なる第２相を体積分率で
０．１％以上分散させた白色銅合金。 （効果）本願発明の白色銅合金は、このような組成と組
織とをもつことにより、高強度をもちながら、優れた切
削性を示すので、自動車或は住宅用の鍵材、装飾品、洋
食器の素材として最適な合金である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、白色を呈し良好な切削
性を備え、さらに強度にも優れた銅合金に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】一般に、銅合金は、電気電子部品を始
め、絞り品、管、バルブ軸受けなどの数多くの用途に使
用されているが、その中でも、自動車用あるいは住宅用
の鍵、装飾品、洋食器、遊技用コインなどには外観が白
色を呈するものが要求されている。このような白色を要
求されるものについては、黄銅にメッキをほどこしてい
たが、このメッキが剥離するという問題があるので、銅
合金そのものが白色を呈し、かつ安価である銅合金の開
発が望まれていた。

【０００３】代表的な例として鍵について説明すると、
自動車用あるいは住宅用の鍵には、黄銅３種にＮｉない
しＣｒをメッキしたものが使用されており、また高級な
鍵には洋白も一部使用されているが、一般にこのような
鍵の素材には以下のことが要求されている。

【０００４】（１）白色を呈すること （２）切削性の良好なこと （３）強度の高いこと （４）プレス成型性に優れていること （５）安価であること

【０００５】黄銅３種にＮｉないしＣｒをメッキしたも
のは、メッキにより白色をもたせており、安価であると
いう利点をもつが、使用中にメッキが剥離して外観を損
なったり、剥離部で腐食が発生するなどの問題があっ
た。また、洋白の場合には材料そのものが白色を呈して
おり、また耐食性が優れ強度も十分ににあるという利点
をもつが、価格が高いため、限られた高級な鍵にしか使
用されていないのが現状である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】以上のようなことから
洋白と同様に白色を呈し、切削性に優れ強度も十分にあ
り、しかも安価な銅合金が強く望まれていた。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明はかかる点に鑑み
なされたものであり、白色を呈し、切削性および強度が
十分にあり、しかも安価な銅合金を提供するものであ
る。

【０００８】すなわち、本発明に係わる白色銅合金は、
Ｚｎ：２０−４０重量％，Ｎｉ：２−１０重量％、Ｍ
ｎ：１−１０重量％、Ｓｎ：０．０１−３．０重量％、
Ｐｂ：０．０１−４．０重量％を含有し、残部Ｃｕおよ
び不可避的不純物からなり、さらに上記組成をもつマト
リックス中に、偏析によって生じる組成の異なる第２相
を体積分率で０．１％以上分散させた白色銅合金、およ
び、この組成の上にさらに副成分としてＴｅ，Ｃｒ，Ｃ
ｏ，Ｚｒ，Ｖ，Ｂｅ，Ｃｄ，Ａｓ，Ｐからなる群から選
ばれた１種または２種以上の元素０．０１−３．０重量
％を含有させて、一層強度を改善した白色銅合金であ
る。

【０００９】

【作用】以下に本発明に係る白色銅合金について詳細に
説明する。ＣｕおよびＺｎは本発明合金の基本成分であ
り、この組成範囲の黄銅は加工性、機械的性質に優れて
いる。Ｚｎ含有量を２０−４０重量％とする理由は、２
０重量％未満では強度が十分ではなく、４０重量％を超
えると加工性が劣化するからである。Ｎｉ含有量を２−
１０重量％をするのは、２重量％未満では白色を呈せ
ず、また強度が十分でなく、１０重量％を超えると加工
性が悪くなり、また価格も高くなるためである。Ｍｎを
添加するのはＮｉよりも安価であり、かつ銅合金を白色
化できるからである。Ｍｎ含有量を１−１０重量％とす
る理由は、１重量％未満では得られる合金に白色化およ
び強度の向上が認められず、１０重量％を超えると逆に
加工性が劣化するからである。Ｓｎを添加するのは合金
の強度を向上させるためであり、Ｓｎ含有量を０．１−
３重量％とするのは、０．０１重量％未満ではその効果
が期待できず、また３重量％を超えると合金の加工性が
劣化し、また価格も高くなるためである。Ｐｂを添加す
るのは合金の切削性を向上させるためであるが、その含
有量を０．０１重量％−４．０重量％とするのは、０．
０１重量％未満では切削性の向上が認められず、４．０
重量％を超えると加工性が劣化するからである。

【００１０】また、副成分として、Ｔｅ，Ｃｒ，Ｃｏ，
Ｚｒ，Ｖ，Ｂｅ，Ｃｄ，Ａｓ，Ｐを添加するのは強度を
向上させるからであり、それらの含有量を０．０１重量
％−３重量％とするのは、０．０１重量％未満ではそれ
らの向上の効果が認められず、また３重量％を超えると
加工性および切削性が劣化するからである。

【００１１】上記組成をもつマトリックス中に、偏析に
よって生じる組成の異なる第２相を体積分率で０．１％
以上分散させるのは、切削性を向上させるためである。
一般に均一な１相の再結晶組織あるいは冷間加工組織は
切削性を劣化させるため、熱間圧延を行わず冷間圧延お
よびその後の６００℃以下の焼鈍によりミクロ偏析を残
留させ、上記組成をもつマトリックス中に、偏析によっ
て生じる組成の異なる第２相を体積分率で０．１％以上
分散させることにより内部を不均質にし切削性を向上さ
せるものである。

【００１２】偏析相は、インゴット内において一様に均
一に分布するので、製品においても均一に分布する。こ
の分散する偏析部（第２相）が、切削性を向上させるも
のであり、Ｐｂ添加による切削性の作用をさらに向上さ
せるものである。偏析相は、鋳造時のミクロ偏析を残存
させたものであり、これを定量的に限定することはでき
ない。さらにこの偏析相は明細書に記載の６００℃以下
の焼鈍では、その消失は極めて困難である。

【００１３】このように、本発明の白色銅合金は、
（１）ＭｎをＮｉの一部代替として含有させ、同時に添
加したＳｎとの協同作用により白色化と高強度化を図
り、さらに、（２）Ｐｂの添加と、偏析相を残存させ分
散させることによって切削性を向上させたものである。

【００１４】

【実施例】次に本発明に係る白色銅合金を製造し、評価
した結果について比較合金と併せて述べる。表１の成分
を合金を不活性雰囲気にて５０ｍｍ厚さのインゴットに
溶解鋳造した後、内部に鋳造時のミクロ偏析を残留させ
るため熱間圧延を行わず、冷間圧延および焼鈍により厚
さ０．５ｍｍの板の各種供試材を作製した。また比較材
の一部については従来の熱間圧延を行い内部が均一な供
試材を作製した。この後、脱脂、酸洗を行い、色の状
況、硬さ、切削性および合金のコストについて調査し
た。

【００１５】

【表１】

【００１６】切削性の評価には切削抵抗の測定を行っ
た。図１に示す様に、円板の中心にバイトを取付け、
１，２，に歪ガ−ジをつけて行った。これによりバイト
に荷重がかかると１には圧縮力が、２には引っ張り力が
かかり、この時の抵抗を検出して評価した。なお、切削
条件は回転数５８０ｒｐｍ，送り速度０．１ｍｍ、すく
い角度９°、切り込み１．８ｍｍで主分力を測定した。

【００１７】表１に示すように、Ｚｎ，Ｎｉ，Ｍｎ，Ｓ
ｎ，Ｐｂを所定量含有しないもの（本発明の範囲外のも
の）および内部偏析がないか或は所定量に達しないもの
は、色の程度、硬さ、切削性およびコストのいずれかの
特性を満足することができない。これに対して、本発明
合金は、上記特性のいずれをも満足しており、さらに副
成分を添加することにより、硬さが向上することがわか
る。

【００１８】

【発明の効果】以上、実施例からわかるように、本発明
合金は、切削性、強度に優れており、自動車用あるいは
住宅用などの鍵材、装飾品、洋食器などに最適な合金で
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】切削性試験装置の説明図である。

【符号の説明】

１、２ 歪ゲ−ジ ３ バイト ４ 円板

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 Ｚｎ：２０−４０重量％，Ｎｉ：２−１
   ０重量％、Ｍｎ：１−１０重量％、Ｓｎ：０．０１−
   ３．０重量％、Ｐｂ：０．０１−４．０重量％を含有
   し、残部Ｃｕおよび不可避的不純物からなり、さらに上
   記組成をもつマトリックス中に、偏析によって生じる組
   成の異なる第２相を体積分率で0.1％以上分散させた白
   色銅合金。
2. 【請求項２】 副成分としてＴｅ，Ｃｒ，Ｃｏ，Ｚｒ，
   Ｖ，Ｂｅ，Ｃｄ，Ａｓ，Ｐからなる群から選ばれた１種
   または２種以上の元素０．０１−３．０重量％をさらに
   含有する請求項１記載の白色銅合金。