JP3284090B2 - フィルムまたはシート形成用親水性材料 - Google Patents

フィルムまたはシート形成用親水性材料

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JP3284090B2 JP33450397A JP33450397A JP3284090B2 JP 3284090 B2 JP3284090 B2 JP 3284090B2 JP 33450397 A JP33450397 A JP 33450397A JP 33450397 A JP33450397 A JP 33450397A JP 3284090 B2 JP3284090 B2 JP 3284090B2
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牟晶 松尾
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形性に富み、熱
劣化が少なく、貯蔵安定性に優れたフィルムまたはシー
ト形成用親水性材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、水溶性樹脂または吸水性樹脂
といわれる、いわゆる親水性樹脂材料が、様々な用途に
用いられている。このような親水性材料として、本出願
人は、ポリアルキレンオキシド化合物とジカルボン酸類
化合物を反応させて得られる化合物(以下「ポリエステ
ルポリオール樹脂」という)およびポリアルキレンオキ
シド化合物とジイソシアネート化合物を反応させて得ら
れる化合物(以下「ポリウレタンポリオール」という)
を提案している。そして、上記化合物において、化合物
中のポリアルキレンオキシドの割合や、ジカルボン酸類
化合物およびジイソシアネート化合物の選択等により、
適宜に水溶性樹脂または吸水性樹脂とすることを提案し
ている。このようなポリエステルポリオール樹脂やポリ
ウレタンポリオールは、低温下において熱可塑性を有す
ることから比較的熱成形が容易であり、水溶性フィルム
あるいは吸水性フィルム等に容易に成形可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなポリエステルポリオール樹脂やポリウレタンポリオ
ールは、熱成形時の耐熱性や貯蔵安定時の物性劣化がし
ばしば問題となり、例えば、上記化合物を用いてフィル
ムを成形した場合等、表面積が大きくなるにつれ、フィ
ルムに亀裂が生じたり、フィルム強度が劣化することが
知られている。そこで、本出願人は、上記ポリエステル
ポリオール樹脂およびポリウレタンポリオールの耐熱性
および耐候性を改良するために先にいくつかの提案をし
ている。しかし、提案したこれらポリエステルポリオー
ル樹脂およびポリウレタンポリオールの熱安定性および
貯蔵安定性の向上効果が得られる化合物は、製品に着色
が生起し易く、その上安全性の高い化合物が少ないた
め、雑貨用途や、食品の包装材料および医療用等、特に
安全性が要求される用途に対する使用が困難となってい
るのが実情である。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、着色が生じず、熱安定性および長期間の貯蔵安
定性に優れ、安全性の高いフィルムまたはシート材料を
得ることのできるフィルムまたはシート形成用親水性材
料の提供をその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のフィルムまたはシート形成用親水性材料
は、下記の一般式(1)で表される繰り返し単位から構
成される親水性高分子化合物を主成分とするフィルムま
たはシート形成用親水性材料であって、下記の(β)が
含有されているという構成をとる。
【0006】
【化4】
【0007】(β)下記の一般式(3)で表される化合
物。
【化5】
【0008】すなわち、本発明者らは、着色が生じず、
熱安定性および長期間の貯蔵安定性の改良を目的に一連
の研究を重ねた。その結果、上記一般式(1)で表され
る繰り返し単位から構成される特殊な親水性高分子化合
物をベースとし、これに上記特定の化合物(β)を含有
すると、上記の課題が解決されることを見いだし本発明
に到達した。
【0009】そして、上記特定の化合物(β)のなかで
も、前記構造式(5)で表される化合物を用いた場合、
高温下での安定性および貯蔵安定性のより一層優れた向
上効果が得られるようになる。
【0010】さらに、上記特定の化合物(β)の含有量
を前記特定の範囲に設定する場合、本発明の親水性材料
を用いて得られる成形物は、例えば、150℃の条件下
2時間曝されても低分子量化合物が生成せず、機械物性
の低下もみられず優れた物性を備えたものとなる。さら
に、40℃で12ヶ月放置した後も、同様に低分子量化
合物が生成せず、機械物性の低下もみられない。このよ
うに、熱劣化による低分子量化合物の生成が抑制され熱
安定性が向上するとともに、高温下での長期にわたる優
れた貯蔵安定性が得られるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。
【0012】本発明のフィルムまたはシート形成用親水
性材料は、特殊な親水性高分子化合物を主成分とし、こ
れに特定の化合物(β)を含有することにより得られ
る。なお、上記親水性高分子化合物を主成分とすると
は、本発明のフィルムまたはシート形成用親水性材料の
ベースとなる成分が親水性高分子化合物であるという意
味である。また、本発明におけるフィルムまたはシート
形成用親水性材料とは、水溶性あるいは吸水性を有する
材料をいう。
【0013】上記特殊な親水性高分子化合物は、下記の
一般式(1)で表される繰り返し単位から構成される高
分子化合物である。
【0014】
【化6】
【0015】上記式(1)中、R1 は炭素数1以上の炭
化水素基であるが、特にメチル基,エチル基が好まし
い。また、上記親水性高分子化合物の重量平均分子量は
3万以上が好ましい。より好ましくは重量平均分子量1
0万〜30万である。すなわち、重量平均分子量が3万
未満では水に対する溶解速度は大きいが、フィルムやシ
ート等の成形材料として考えた場合、得られるフィルム
強度が小さく目的とする諸条件を満たすことが困難とな
る。また、重量平均分子量が30万を超えると、溶融粘
度が上昇し、熱溶融によるフィルムやシート等の成形が
容易でなくなるからである。このような条件は、後述の
親水性高分子化合物の材料であるジカルボン酸類化合物
を用いて得られた親水性高分子化合物、あるいはジイソ
シアネート化合物を用いて得られた親水性高分子化合物
ともに同様である。
【0016】このような特殊な親水性高分子化合物は、
例えば下記に示す二成分、(A)および(B)を用いて
得られる。しかも、この親水性高分子化合物中に、エチ
レンオキシド鎖が50重量%以上含有されることにより
親水性を有するものとなる。(A)活性水素基を2個有
する有機化合物に、エチレンオキシドを単独で付加重合
させてなる、あるいはエチレンオキシドおよび炭素数3
以上のアルキレンオキシドを付加重合させてなる、エチ
レンオキシドを50重量%以上含有する重量平均分子量
5000〜30000のポリオキシアルキレンポリオー
ル。(B)ジカルボン酸類化合物およびジイソシアネー
ト化合物の少なくとも一方。
【0017】上記(A)の活性水素基を2個有する有機
化合物としては、主として、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノー
ルA、ポリテトラメチレングリコール、シクロヘキサン
−1,4−ジメタノール等の脂環式ジオール、ブチルア
ミン、ラウリルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシ
ルアミン、アニリン等のアミン類があげられる。これら
は単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0018】また、上記活性水素基を2個有する有機化
合物に付加重合させるアルキレンオキシドは、エチレン
オキシド単独、またはエチレンオキシドと炭素数3以上
のアルキレンオキシドである。そして、上記エチレンオ
キシド単独は当然であるが、エチレンオキシドと炭素数
3以上のアルキレンオキシドの場合、エチレンオキシド
がアルキレンオキシド全体の50重量%以上となる必要
がある。すなわち、上記エチレンオキシドの含有量がア
ルキレンオキシド全体の50重量%未満では、水不溶性
あるいは難吸水性となり親水性材料を構成する成分とし
て適さない。上記炭素数3以上のアルキレンオキシドと
しては、プロピレンオキシド,ブチレンオキシド,スチ
レンオキシド,炭素数12以上のα−オレフィンオキシ
ド等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せ
て用いられる。また、上記活性水素基を2個有する有機
化合物に、エチレンオキシドおよび炭素数3以上のアル
キレンオキシドを付加重合せしめる際の付加重合形態
は、特に限定するものではなく、エチレンオキシドと炭
素数3以上のアルキレンオキシドを交互に付加重合させ
てもよいし、両者をランダムに付加重合させてもよい。
さらに、エチレンオキシドと炭素数3以上のアルキレン
オキシドをブロック重合させてもよい。
【0019】そして、上記(A)は、上記各成分を用い
て、従来公知の方法、例えば、水酸化ナトリウム,水酸
化カリウム等の苛性アルカリを触媒として、約90〜2
00℃の温度で2〜30時間反応させて、活性水素基を
2個有する有機化合物にエチレンオキシドを含有するア
ルキレンオキシド(エチレンオキシド単独を含む)を付
加重合させることにより得ることができるが、重量平均
分子量が5000以上のものを得ることができれば好ま
しいといえる。
【0020】上記各成分を用いて得られる(A)のポリ
オキシアルキレンポリオールは、好ましくは重量平均分
子量が5000〜30000である。すなわち、重量平
均分子量が5000未満では、得られる親水性材料とし
てのポリエステルポリオール樹脂,ポリウレタンポリオ
ールからなるシート強度が不充分となり、逆に3000
0を超えると、アルキレンオキシドの付加反応が著しく
低下する傾向がみられるからである。
【0021】上記(A)と反応させる(B)のなかのジ
カルボン酸類化合物としては、ジカルボン酸,ジカルボ
ン酸無水物,ジカルボン酸の低級アルキルエステルがあ
げられる。上記ジカルボン酸としては、フタル酸,イソ
フタル酸,テレフタル酸,マロン酸,コハク酸,セバシ
ン酸,マレイン酸,フマル酸,アジピン酸,イタコン
酸,イコサン酸二酸等があげられ、上記ジカルボン酸無
水物としては、上記各種ジカルボン酸の無水物があげら
れる。そして、上記ジカルボン酸の低級アルキルエステ
ルとしては、上記各種ジカルボン酸のメチルエステル,
ジメチルエステル,エチルエステル,ジエチルエステ
ル,プロピルエステル,ジプロピルエステル等があげら
れる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられ
る。なかでも、反応の容易さより、上記カルボン酸無水
物およびジカルボン酸の低級アルキルエステルを用いる
ことが好適である。
【0022】また、上記(B)のなかのジイソシアネー
ト化合物としては、具体的には、トリレンジイソシアネ
ート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−メ
チレン−ビス(シクロヘキシルジイソシアネート)(H
12MDI)等があげられる。さらに、ジオールまたはジ
アミン類化合物の両末端にジイソシアネートを反応させ
たジイソシアネート化合物等もあげられる。これらは上
記ジカルボン酸類化合物と同様、単独でもしくは2種以
上併せて用いられる。
【0023】上記特殊な親水性高分子化合物は、上記
(A)と(B)とを用い、つぎのように反応させて得る
ことができる。まず、(B)がジカルボン酸類化合物の
場合について述べる。すなわち、上記(A)を調製し、
これに上記(B)のジカルボン酸類化合物を添加した
後、昇温させ、80〜250℃の加熱下において0.1
〜2.7×103 Paの減圧にして脱水または脱アルコ
ールを行うことにより得られる。この間の反応時間とし
ては、通常、30分〜10時間程度である。
【0024】そして、上記(A)と(B)とを反応させ
る際の両者の配合割合(A/B)は、具体的には、当量
比で、A/B=1/0.5〜1/3.5の範囲で任意に
設定される。
【0025】つぎに、上記(B)がジイソシアネート化
合物の場合を述べる。すなわち、ジイソシアネート化合
物の場合におけるウレタン化反応は、上記のように、上
記(A)を調製し、これに上記(B)のジイソシアネー
ト化合物を添加した後、昇温させ、80〜150℃の加
熱下において、30分から240分間のウレタン化反応
を行うことにより得ることができる。上記ウレタン化反
応に際しては、公知の触媒を使用することは、本発明に
おいて特に制限するものではない。そして、このウレタ
ン化反応における、(A)と(B)の両者の配合割合
(A/B)は、具体的には、当量比で、A/B=1/
0.8〜1/1の範囲に設定することが好ましく、より
好ましくはA/B=1/0.9〜1/1の範囲である。
【0026】このようにして得られる親水性高分子化合
物の重量平均分子量は、前述のように、3万以上である
ことが好ましく、より好ましくは10万〜30万であ
る。すなわち、重量平均分子量が3万未満では、親水性
高分子化合物としての物性が損なわれる傾向がみられ、
本発明の目的とする親水性材料が得られ難くなるからで
ある。
【0027】本発明のフィルムまたはシート形成用親水
性材料は、上記特殊な親水性高分子化合物をベースと
し、これに特定の化合物(β)を含有することを特徴と
する。これは特定の化合物(β)は熱安定剤としての作
用を果たし、上記化合物を用いることにより、優れた高
温下での熱安定性と長期貯蔵安定性が得られるようにな
る。
【0028】記化合物(β)は、下記の一般式(3)
で表される化合物である。
【0029】
【化7】
【0030】上記一般式(3)中のRは、Hまたは炭素
数1〜12のアルキル基であり、より好ましくはRが炭
素数2〜4のアルキル基である。さらに、特に好ましく
は性能上の優位性という点から下記の構造式(5)で表
される没食子酸プロピルである。
【0031】
【化8】
【0032】上記化合物(β)の含有量は、親水性材料
中0.03〜5重量%の範囲に設定することが好まし
く、より好ましくは0.1〜0.5重量%である。すな
わち、上記化合物(β)の含有量が0.03重量%未満
では、本発明の目的である高温下での熱安定性と、長期
貯蔵時の貯蔵安定性の向上効果が得られ難く、逆に5重
量%を超えると親水性材料自身に着色を帯び、また機械
強度の低下傾向がみられ、さらに経済的にも不利となる
からである。
【0033】本発明のフィルムまたはシート形成用親水
性材料には、前記特殊な親水性高分子化合物と、上記特
定の化合物(β)以外に、高温下での熱安定性ならびに
貯蔵安定性を損なわない範囲で、その用途等に応じて、
安定剤,着色剤,紫外線吸収剤等の従来公知の他の添加
剤を適宜配合してもよい。
【0034】本発明のフィルムまたはシート形成用親水
性材料は、例えばつぎのようにして得ることができる。
すなわち、まず、特殊な親水性高分子化合物を前記方法
に従って調製する。ついで、この特殊な親水性高分子化
合物に、前記特定の化合物(β)を添加するとともに、
上記他の添加剤を添加することにより得ることができ
る。上記各成分の添加方法としては、均一に配合するこ
とが好ましく、この条件を満たすことができれば特にそ
の配合方法を限定するものではないが、上記特殊な親水
性高分子化合物を溶融させながら混合する溶融混合法が
好ましい。
【0035】このようにして得られる親水性材料は、上
記特定の化合物(β)が添加されても、着色度合いが極
めて少なく、高温下での熱安定性に富み、貯蔵安定性に
も優れた特性を有するものである。
【0036】本発明の親水性材料は、フィルム状あるい
はシート状に成形して用いられる。上記フィルム状の成
形方法の一例について述べると、上記親水性材料を溶媒
に溶解しフィルム形成材料となる溶液を作製する。つい
で、この溶液を用い、通常の方法である、溶液流延法に
よりフィルム状に形成することによりフィルムが得られ
る。
【0037】すなわち、上記フィルム形成材料である溶
液を用い、キャスティングロールまたはコーター等の公
知の方法により離型紙上に塗布するか、もしくはスプレ
ーにより離型紙上に塗布し乾燥させてフィルムを製造す
る方法があげられる。その他溶融押出法でもフィルムを
容易に製造することは可能であるが、いずれの方法にお
いても所望のフィルムが得られるのであれば特に限定す
るものではない。
【0038】ここで、上記溶液流延法で使用される溶媒
としては、上記各成分を溶解させるものであれば特に限
定するものではないが、例えば、水およびメタノール,
イソプロピルアルコール等の低級アルコール、アセトニ
トリル、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホル
ム、塩化メチレン等があげられる。
【0039】このようにして得られるフィルムの厚み
は、その使用用途に応じて数μm〜数百μmの範囲内で
適宜に設定される。
【0040】つぎに、実施例を比較例と併せて説明す
る。
【0041】
【実施例1】エチレングリコール62重量(以下
「部」と略す)にプロピレンオキシド7938部(付加
モル数:136.67モル)を付加重合せしめ、重量平
均分子量8000の中間物質を得た。この中間物質にエ
チレンオキシドを20000部(付加モル数:454.
55)単独で付加重合し、ポリアルキレンオキシド化合
物を得た(エチレンオキシド71.4重量%)。このポ
リアルキレンオキシド化合物は、水酸基価(OHV
測定した結果、重量平均分子量28000であった。つ
ぎに、このポリアルキレンオキシド化合物280部に、
4,4′−メチレン−ビス(シクロヘキシルジイソシア
ネート)(H12MDI)を2.63部加え、120℃3
30分ウレタン化反応を行い、重量平均分子量1890
00の親水性高分子化合物を得た〔前記一般式(1)で
表される繰り返し単位において、A,X,R2 は下記の
とおりである〕。なお、このウレタン化反応において
は、ポリアルキレンオキシド化合物の0.005重量%
のジブチルチンジラウレート触媒を用いた。上記ウレタ
ン化反応での当量比は、ポリアルキレンオキシド化合物
/H12MDI=1/1であった。
【0042】
【化9】
【0043】上記親水性高分子化合物を100℃に加温
された熱プレスで厚み2〜3mmにシート化し、角ペレ
タイザーでペレット化した。さらに、ペレット化した親
水性高分子化合物に、前記構造式(5)で表される没食
子酸プロピルを0.03部添加し〔構造式(5)で表さ
れる没食子酸プロピルの含有量は全体の0.03重量
%〕、予備混合した後、2軸押出機を使用して、110
℃で厚み50μmのフィルムを作製した。なお、ポリア
ルキレンオキシド化合物および中間物質の分子量は、
IS K 1557に基づき、水酸基価(OHV)の測
により、また親水性高分子化合物の分子量は、ゲル浸
透クロマトグラフィー(HLC−8020:東ソー社
製、以下同じ)を用い、溶離液はアセトニトリル/水
〔=5/5(容積比)〕の混合溶液とした。
【0044】
【実施例2】エチレングリコール62部に、エチレンオ
キシド7938部(付加モル数:180.41モル)を
付加重合させてポリアルキレンオキシド化合物を得た。
このポリアルキレンオキシド化合物は、上記と同様OH
Vを測定した結果、重量平均分子量8000であった。
ついで、このポリアルキレンオキシド化合物80部に、
イコサン酸二酸ジメチルエステルを3.82部加え(当
量比1/1.03)加え、公知の方法でエステル交換反
応を行い、重量平均分子量84000の親水性高分子化
合物を得た〔前記一般式(1)で表される繰り返し単位
において、A,X,R2 は下記のとおりである〕。
【0045】
【化10】
【0046】この親水性高分子化合物に上記実施例1と
同様な方法に従い、前記構造式(5)で表される没食子
酸プロピルを4部添加し〔構造式(5)で表される没食
子酸プロピルの含有量は全体の4重量%〕、実施例1と
同様にして厚み50μmのフィルムを得た。なお、ポリ
アルキレンオキシド化合物の分子量は、上記実施例1と
同様のOHVにより、また親水性高分子化合物の分子量
は、上記実施例1と同様ゲル浸透クロマトグラフィーを
用いた。
【0047】
【実施例3】エチレングリコール62部に、ブチレンオ
キシド4945.5部(付加モル数:68.57モル)
を付加重合せしめ重量平均分子量5000の中間物質を
得た。この中間物質にエチレンオキシドを20000部
(付加モル数:454.55)単独で付加重合し、ポリ
アルキレンオキシド化合物(エチレンオキシド80重量
%)を得た。このポリアルキレンオキシド化合物は、上
記と同様OHVを測定した結果、重量平均分子量250
00であった。ついで、このポリアルキレンオキシド化
合物250部に、イソホロンジイソシアネート(IPD
I)2.2部を加え、120℃330分のウレタン化反
応を行い、重量平均分子量173000の親水性高分子
化合物を得た〔前記一般式(1)で表される繰り返し単
位において、A,X,R2 は下記のとおりである〕。な
お、このウレタン化反応においては、ポリアルキレンオ
キシド化合物の0.005重量%のジブチルチンジラウ
レート触媒を用いた。また、上記ウレタン化反応での当
量比は、ポリアルキレンオキシド化合物/IPDI=1
/1であった。
【0048】
【化11】
【0049】この親水性高分子化合物に上記実施例1と
同様な方法に従い、前記構造式(5)で表される没食子
酸プロピルを0.3部添加し〔構造式(5)で表される
没食子酸プロピルの含有量は全体の0.3重量%〕、実
施例1と同様にして厚み50μmのフィルムを得た。な
お、ポリアルキレンオキシド化合物の分子量は、上記実
施例1と同様のOHVにより、また親水性高分子化合物
の分子量は、上記実施例1と同様ゲル浸透クロマトグラ
フィーを用いた。
【0050】
【実施例4】記構造式(4)で表される化合物の添加
量を2部、前記構造式(5)で表される没食子酸プロピ
ルの添加量を3部とし、これら化合物の合計添加量を5
部とした〔構造式(4)で表される化合物および構造式
(5)で表される没食子酸プロピルの総含有量は全体の
5重量%〕。それ以外は前記実施例1と同様にして厚み
50μmのフィルムを作製した。
【0051】
【化12】
【0052】
【比較例1〜4】上記実施例1〜で得られた親水性高
分子化合物のみ〔特定の化合物(β)を含有しない〕を
用い、100℃の熱プレスで、厚み2〜3mmにシート
化した後、角ペレタイザーでペレット化した後、2軸押
出機を使用して、110℃で厚み50μmのフィルムを
作製した。なお、比較例1は実施例1に、比較例2は実
施例2に、比較例3は実施例3に、比較例4は実施例
それぞれ対応している。
【0053】このようにして得られた実施例品および比
較例品の各フィルムを用い、各種項目(高温下での耐熱
性および貯蔵安定性)について測定・評価した。これら
の評価結果を後記の表1〜表2に示す。なお、上記各種
項目の測定方法および評価基準を下記に示す。
【0054】〔高温下での耐熱試験方法〕 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に
て厚み50μmの各フィルムの分子量を測定した後、各
フィルムを恒温乾燥器中に100℃の条件下2時間放置
した。この放置後の各フィルムを上記と同様GPCにて
分子量測定を行い、分子量の劣化を調べた。また、放置
前後の各フィルムについて、JIS K7127に基づ
いて機械強度(TB:引張強度、EB:伸び率)も測定
した。
【0055】〔色相試験〕 上記実施例および比較例で得られた厚み50μmの各フ
ィルムを用い、その着色の有り無しについて、肉眼で評
価した。そして、互いに色相が異ならなかったものを
○、異なったものを×として表示した。
【0056】〔貯蔵安定性試験〕 厚み50μmの各フィルムを40℃の恒温器中に150
日放置後、分子量の変化および機械物性の変化について
調べた。すなわち、上記耐熱試験と同様、放置前後の各
フィルムを上記と同様GPCにて分子量測定を行い、分
子量の劣化を調べた。また、放置前後の各フィルムにつ
いて、上記耐熱試験と同様の方法にて機械強度(TB、
EB)も測定した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】上記表1および表2の結果から、実施例品
は、色相も変化なく、着色性において問題がなかった。
しかも、耐熱試験における分子量の変化も少なく、機械
強度に関しても比較例品と比べて劣化の度合いが少なか
った。これらのことから、実施例品は、耐熱性に優れ、
しかも長期の貯蔵安定性に優れていることは明らかであ
る。これに対して、比較例品は、耐熱試験における分子
量の変化が大きく、機械強度に関しても劣化の度合いが
大きかった。したがって、品質が著しく劣化しているこ
とがわかる。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明のフィルムまたは
シート形成用親水性材料は、特殊な親水性高分子化合物
を主成分とし、これに前記特定の化合物(β)を含有し
たものである。このため、熱安定性が向上して、高温下
での劣化が抑制されるとともに、優れた長期の貯蔵安定
性を備えている。
【0061】そして、上記特定の化合物(β)である
記構造式(5)で表される化合物を用いると、高温下で
の安定性および貯蔵安定性のより一層優れた向上効果が
得られる。
【0062】さらに、上記特定の化合物(β)の含有量
を前記特定の範囲に設定すると、本発明の親水性材料を
用いて得られる成形物は、例えば、150℃の条件下2
時間曝されても低分子量化合物が生成せず、機械物性の
低下もみられず優れた物性を備えたものとなる。さら
に、40℃で12ヶ月放置した後も、同様に低分子量化
合物が生成せず、機械物性の低下もみられない。このよ
うに、熱劣化による低分子量化合物の生成が抑制され熱
安定性が向上するとともに、高温下での長期にわたる優
れた貯蔵安定性が得られるようになる。
【0063】このようなことから、本発明の親水性材料
をフィルム状あるいはシート状に成形した場合、特に、
高い安全性が要求される分野、例えば、食品の包装材
料、医薬品の包装材料等に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 5/134 C08K 5/134 C08L 75/08 C08L 75/08 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 - 67/02 C08L 75/04 - 75/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(1)で表される繰り返し
    単位から構成される親水性高分子化合物を主成分とする
    フィルムまたはシート形成用親水性材料であって、下記
    の(β)が含有されていることを特徴とするフィルムま
    たはシート形成用親水性材料。 【化1】 (β)下記の一般式(3)で表される化合物。 【化2】
  2. 【請求項2】 上記(β)が下記の構造式(5)で表さ
    れる化合物である請求項1記載のフィルムまたはシート
    形成用親水性材料。 【化3】
  3. 【請求項3】 上記(β)の含有量が、親水性材料中
    0.03〜5重量%の範囲に設定されている請求項1
    たは2記載のフィルムまたはシート形成用親水性材料。
  4. 【請求項4】 上記一般式(1)で表される繰り返し単
    位から構成される親水性高分子化合物が、下記の(A)
    および(B)を反応させてなるものである請求項1〜
    のいずれか一項に記載のフィルムまたはシート形成用親
    水性材料。 (A)活性水素基を2個有する有機化合物に、エチレン
    オキシドを単独で付加重合させてなる、あるいはエチレ
    ンオキシドおよび炭素数3以上のアルキレンオキシドを
    付加重合させてなる、エチレンオキシドを50重量%以
    上含有する重量平均分子量5000〜30000のポリ
    オキシアルキレンポリオール。 (B)ジカルボン酸類化合物およびジイソシアネート化
    合物の少なくとも一方。
  5. 【請求項5】 親水性高分子化合物の重量平均分子量
    が、3万以上である請求項1〜のいずれか一項に記載
    のフィルムまたはシート形成用親水性材料。
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