JP3325125B2 - ポリウレタン、その製造方法およびポリウレタン成形物 - Google Patents

ポリウレタン、その製造方法およびポリウレタン成形物

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JP3325125B2 JP19385794A JP19385794A JP3325125B2 JP 3325125 B2 JP3325125 B2 JP 3325125B2 JP 19385794 A JP19385794 A JP 19385794A JP 19385794 A JP19385794 A JP 19385794A JP 3325125 B2 JP3325125 B2 JP 3325125B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は成形性、耐熱性、耐寒
性、耐加水分解性に優れ、しかも圧縮永久歪みの少ない
ポリウレタン、その製造方法、ポリウレタン成形物およ
びその製造方法に関する。詳細には、本発明は、溶融状
態にある時間が長くなっても溶融粘度が急激に増加する
ことがなく押出成形性などの成形性に優れ、軟化点が高
く耐熱性に優れ、しかも耐寒性、耐加水分解性にも優れ
ていて、その上圧縮永久歪みの小さい成形物を得ること
のできる熱可塑性のポリウレタン、その製造方法、ポリ
ウレタン成形物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリウレタンは、高い弾性を有
していて、耐摩耗性、耐油性などの諸特性にも優れてお
り、しかも通常の熱可塑性樹脂の成形加工法が適用でき
ることから、従来のジエン系ゴムやポリオレフィン、そ
の他の汎用の熱可塑性重合体に替わる重合体素材とし
て、近年広範囲な用途に多量に使用されるようになって
いる。しかしながら、熱可塑性ポリウレタンのうちでも
耐熱性の良好なものは、溶融状態にある時間が長くなる
と粘度が急激に増加する傾向があり、そのため溶融滞留
時間の比較的長い押出成形などでは成形を円滑に行うこ
とが困難であり、成形上の制約が多い。また、既存の耐
熱性の熱可塑性ポリウレタンは圧縮永久歪みが大きく且
つ充分な耐加水分解性、耐寒性などを有しておらず、耐
熱性、圧縮永久歪み、耐加水分解性たおよび耐寒性を兼
備する熱可塑性ポリウレタンは未だ知られていない。か
かる点から、溶融状態にある時間が長くても粘度が急激
に上昇せず、押出成形などによっても円滑に成形を行う
ことができて成形性に優れ、圧縮永久歪みが小さく、し
かも耐熱性、耐寒性および耐加水分解性にも優れる熱可
塑性ポリウレタンが求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶融
状態にある時間(以下「溶融滞留時間」という)が長く
ても粘度が急激に上昇せず、押出成形などによっても成
形物を良好な成形性で製造することができ、圧縮永久歪
みが小さく、その上耐熱性、耐寒性および耐加水分解性
にも優れる熱可塑性ポリウレタンおよびその製造方法を
提供することである。更に、本発明の目的は、上記した
優れた特性を備えたポリウレタンの成形物およびその製
造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らが検討を重ねた結果、特定のポリエステルジ
オールおよび特定の鎖伸長剤を特に選んで使用し、しか
もそれらのポリエステルジオールおよび鎖伸長剤を有機
ジイソシアネートと特定の割合で反応させると、溶融滞
留時間が長くなっても溶融粘度が急激に上昇せず押出成
形性などに優れ、しかも圧縮永久歪みが小さく、且つ耐
熱性、耐寒性、耐加水分解性などの諸特性にも優れる、
実用価値の極めて高いポリウレタンが得られることを見
出した。更に、本発明者らは、そのようにして得られた
ポリウレタンを用いて成形を行った後、得られた成形物
を特定の温度以上で熱処理すると上記した諸特性が一層
向上すること、特に耐熱性が一層良好になり、且つ圧縮
永久歪みが一層小さくなることを見出し、それらの知見
に基づいて本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、ポリエステルジオー
ル、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤の反応により
得られるポリウレタンであって、 (i) 前記ポリエステルジオールが、ジカルボン酸成分
と、1,9−ノナンジオールおよび2−メチル−1,8
−オクタンジオールから主としてなるジオール成分との
反応により得られた数平均分子量1800〜3000の
ポリエステルジオールであり; (ii) 前記鎖伸長剤が、1,4−ブタンジオールおよび
下記の一般式(I);
【0006】
【化3】 HO−(CH2)n−OH (I) (式中、nは5〜10の整数を示す)で表される脂肪族
ジオールからなっており; (iii) 前記ポリエステルジオール、有機ジイソシアネ
ートおよび鎖伸長剤の使用割合が、下記の数式および
【0007】
【数7】 0.70≦c1/(c1+c2)≦0.98
【数8】 0.98≦b/(a+c+c)≦1.10 [上記式および中、cは1,4−ブタンジオール
のモル数、cは前記の一般式(I)で表される脂肪族
ジオールのモル数、aはポリエステルジオールのモル
数、bは有機ジイソシアネートのモル数を示す]を満足
する割合であり;そして (iv) スズ系ウレタン化触媒を含有する;ことを特徴
とするポリウレタンである。
【0008】そして、本発明は、ポリエステルジオー
ル、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて
ポリウレタンを製造する方法であって、 (i) 前記ポリエステルジオールとして、ジカルボン酸
成分と、1,9−ノナンジオールおよび2−メチル−
1,8−オクタンジオールから主としてなるジオール成
分との反応により得られた数平均分子量1800〜30
00のポリエステルジオールを使用し; (ii) 前記鎖伸長剤として、1,4−ブタンジオールお
よび下記の一般式(I);
【0009】
【化4】 HO−(CH2)n−OH (I) (式中、nは5〜10の整数を示す)で表される脂肪族
ジオールを使用し;そして、 (iii) 前記ポリエステルジオール、有機ジイソシア
ネートおよび鎖伸長剤を下記の数式および;
【0010】
【数9】 0.70≦c1/(c1+c2)≦0.98
【数10】 0.98≦b/(a+c+c)≦1.10 [上記式および中、cは1,4−ブタンジオール
のモル数、cは前記の一般式(I)で表される脂肪族
ジオールのモル数、aはポリエステルジオールのモル
数、bは有機ジイソシアネートのモル数を示す]を満足
する割合で、スズ系ウレタン化触媒の存在下に反応させ
る;ことを特徴とするポリウレタンの製造方法である。
【0011】更に、本発明は、上記のポリウレタンから
得られた成形物、および上記のポリウレタンを使用して
成形した後、得られた成形物を60℃以上の温度で熱処
理することを特徴とするポリウレタン成形物の製造方法
である。
【0012】上記したように、本発明では、ポリウレタ
ンを構成するポリエステルジオールが、ジカルボン酸成
分と、1,9−ノナンジオールおよび2−メチル−1,
8−オクタンジオールから主としてなるジオール成分と
の反応により得られたポリエステルジオールであること
が必要である。
【0013】その場合に、ポリエステルジオールを構成
するジカルボン酸成分としては、炭素数が6〜12の直
鎖状の脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘
導体を用いるのが、耐熱性が良好で且つ圧縮永久歪みが
小さい点から好ましい。脂肪族ジカルボン酸成分の具体
例としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、またはそれらのエステル形成
性誘導体などを挙げることができ、これらのジカルボン
酸成分は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0014】また、ポリエステルジオールを構成するジ
オール成分は、上記したように1,9−ノナンジオール
および2−メチル−1,8−オクタンジオールから主と
してなっていることが必要であり、ポリエステルジオー
ルを構成するジオール成分の80モル%以上が、1,9
−ノナンジオールおよび2−メチル−1,8−オクタン
ジオールからなっているのが好ましい。そして本発明で
は、ポリエステルジオールを構成するジオール成分が、
下記の数式;
【0015】
【数11】 0.50≦d1/(d1+d2)≦0.70 (上記式中、d1は1,9−ノナンジオールのモル分
率、d2は2−メチル−1,8−オクタンジオールのモ
ル分率を表す)を満足する1,9−ノナンジオールと2
−メチル−1,8−オクタンジオールとの混合ジオール
からなっているのが特に好ましい。d1/(d1+d2
の値が0.50よりも小さいと得られるポリウレタンの
耐熱性が低下し、圧縮永久歪みが大きくなり易く、一方
0.70よりも大きいと得られるポリウレタンの耐寒性
が不充分になり易い。
【0016】本発明では、ポリエステルジオールを構成
するジオール成分が場合によっては少量(通常全ジオー
ル成分の20モル%未満)の他のジオール成分を含んで
いてもよく、他のジオール成分の例としてはエチレング
リコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジ
オール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタン
ジオールなどを挙げることができる。
【0017】また、ポリウレタンを構成するポリエステ
ルジオールは、その数平均分子量が1800〜3000
であることが必要であり、2000〜2800であるこ
とが好ましい。ポリエステルジオールの数平均分子量が
1800よりも小さいと、得られるポリウレタンの耐熱
性が低下し且つ圧縮永久歪みや成形歪みが大きくなり、
一方3000を超えると得られるポリウレタンの成形
性、引張強さおよび透明性が低下する。ここで、本明細
書でいうポリエステルジオールの数平均分子量は、いず
れもJIS K 1577に準拠して測定した水酸基価
に基づいて算出した数平均分子量である。
【0018】ポリエステルジオールの製造法は特に制限
されず、上記したジカルボン酸成分およびジオール成分
を用いて、従来既知のエステル交換反応、直接エステル
化反応などによって重縮合させて製造することができ
る。その場合に、ポリエステルジオールを製造するため
の重縮合反応をチタン系重縮合触媒の存在下に行うのが
望ましいし、チタン系重縮合触媒を用いた場合には重縮
合反応の終了後にポリエステルジオールに含まれるチタ
ン系重縮合触媒を失活させておくことのが好ましい。チ
タン系重縮合触媒の失活処理を行わない場合は、得られ
るポリウレタンの耐加水分解性が低下し、耐寒性および
耐熱性も劣ったものとなり、圧縮永久歪みが大きくな
る。
【0019】チタン系重縮合触媒の存在下に重縮合重合
したポリエステルジオールを用いる場合は、チタン系重
縮合触媒としてはポリエステルジオール系の重合体を製
造する際に従来から使用されているチタン系触媒のいず
れもが使用でき特に制限されないが、好ましいチタン系
触媒の例としては、チタン酸、テトラアルコキシチタン
化合物、チタンアシレート化合物、チタンキレート化合
物などを挙げることができる。より具体的には、テトラ
イソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネー
ト、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、テトラス
テアリルチタネート等のテトラアルコキシチタン化合
物、ポリヒドロキシチタンステアレート、ポリイソプロ
ポキシチタンステアレート等のチタンアシレート化合
物、チタンアセチルアセトネート、トリエタノールアミ
ンチタネート、チタンアンモニウムラクテート、チタン
エチルラクテート、チタンオクチレングリコレート等の
チタンキレート化合物などを挙げることができる。その
場合のチタン系重縮合触媒の使用量は特に制限されない
が、一般に、ポリエステルジオールを形成するためのジ
カルボン酸成分およびジオールの合計重量に対して、約
0.1〜50ppmであるのが好ましく、約1〜30p
pmがより好ましい。
【0020】また、ポリエステルジオール中に含まれる
チタン系重縮合触媒の失活方法としては、例えば重縮合
反応により得られたポリエステルジオールを加熱下に水
と接触させて失活する方法、ポリエステルジオールをリ
ン酸、リン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸エステル等
のリン化合物で処理する方法を挙げることができ、それ
らのうちでも加熱下に水と接触させる前者の方法が好ま
しい。水と接触させてチタン系重縮合触媒を失活させる
場合は、重縮合反応により得られたポリエステルジオー
ルに水を1重量%以上添加し、70〜150℃、好まし
くは90〜130℃の温度で1〜3時間加熱するとよ
い。チタン系重縮合触媒の失活処理は常圧下で行って
も、または加圧下で行ってもよく、チタン系重縮合触媒
を失活させた後に系を減圧にすると、失活に使用した水
分を除去することができ、望ましい。
【0021】そして、本発明ではポリウレタンの製造に
用いる有機ジイソシアネートとして、ポリウレタンの製
造に従来用いられている有機ジイソシアネートのいずれ
もが使用でき、その種類は特に制限されず、芳香族ジイ
ソシアネート、脂環式ジイソシアネート、脂肪族ジイソ
シアネートのうちの1種または2種以上を使用すること
ができる。そのうちでも、p−フェニレンジイソシアネ
ート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
トルイレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイ
ソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが好まし
く、特に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
が好ましい。
【0022】また、本発明では、鎖伸長剤として、1,
4−ブタンジオールおよび上記の一般式(I)で表される
脂肪族ジオールを使用することが必要であり、しかもそ
の際に1,4−ブタンジオールのモル数c1と該脂肪族
ジオールのモル数c2との比が、上記した数式を満足
する割合になっていることが重要である。上記した数式
の範囲から外れて、c1/(c1+c2)の値が0.7
0よりも小さいと、得られるポリウレタンの耐熱性、耐
熱強度保持率および耐溶融摩耗性が低下し且つ圧縮永久
歪みが大きくなる。一方、c1/(c1+c2)の値が
0.98よりも大きいと、得られるポリウレタンは溶融
滞留時間が長くなると溶融粘度が急激に上昇して溶融押
し出しができなくなり、ペレットの製造や成形物の製造
が困難になる。c1/(c1+c2)の値が0.75〜
0.95の範囲であるのが、得られるポリウレタンの成
形性および耐熱性が一層良好になり、且つ圧縮永久歪み
が一層小さくなるので好ましい。
【0023】鎖伸長剤として用いる上記の一般式(I)
で表される脂肪族ジオールの具体例としては、1,8−
オクタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8
−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,1
0−デカンジオールなどを挙げることができ、こられは
単独で使用しても2種以上を併用してもよく、そのうち
でも1,9−ノナンジオールおよび/または1,6−ヘ
キサンジオールが好ましく、1,9−ノナンジオールが
より好ましい。
【0024】そして、上記したポリエステルジオール、
有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させること
によって本発明のポリウレタンが製造されるが、ポリウ
レタンの製造に当たっては、ポリエステルジオールのモ
ル数をa、有機ジイソシアネートのモル数をb、1,4
−ブタンジオールのモル数をc1および上記の一般式
(I)で表される脂肪族ジオールのモル数をc2とした
ときに、上記した数式を満足するようにしてポリエス
テルジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を
も用いて反応させることが必要である。b/(a+c
+c)の値が上記した数式の範囲から外れて0.9
8よりも小さいと、得られるポリウレタンは成形後に熱
処理を施してもその分子量が充分に増加せず成形品の耐
熱性が低下し、しかも圧縮永久歪みが大きる。一方、b
/(a+c+c)の値が上記した数式の範囲から
外れて1.10よりも大きいと、得られるポリウレタン
は溶融滞留時間が長くなった場合に急激にその溶融粘度
が上昇して押出成形などの成形が行いにくくなり成形性
が低下する。b/(a+c+c)の値が1.00〜
1.08の範囲になるようにして各成分を反応させる
と、得られるポリウレタンの成形性および耐熱性がより
良好になり且つ圧縮永久歪みがより小さくなるので、好
ましい。
【0025】なお、本発明においては、ポリウレタンの
原料成分として、上記したポリエステルジオール、有機
ジイソシアネートおよび鎖伸長剤と共に、少量であれ
ば、上記のポリエステルジオール以外の高分子ジオール
および/または他の低分子ジオールなどを、必要に応じ
て用いてもよい。
【0026】更に、本発明では、上記したポリエステル
ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を用い
てポリウレタンを製造するに当たって、ウレタン化反応
に対して触媒活性を有するスズ系ウレタン化触媒を使用
することが必要である。スズ系ウレタン化触媒の使用量
は、スズ原子換算で、得られるポリウレタン[すなわ
ち、ポリウレタンの製造に用いるポリエステルジオー
ル、有機ジイソシアネート、鎖伸長剤などの反応性原料
成分の全重量]に対して0.5〜15ppmであるのが
好ましく、1〜12ppmであるのがより好ましい。
【0027】生成するポリウレタン中にスズ系ウレタン
化触媒がスズ原子換算で0.5ppm以上含まれている
と、成形後もポリウレタンの分子量が充分に高い水準に
維持され、その物性、特に耐加水分解性、耐熱性、耐寒
性などが良好に保たれる。しかしながら、ポリウレタン
中におけるスズ系ウレタン化触媒の含有量がスズ原子換
算で15ppmを超えると、耐加水分解性や熱安定性の
低下を招くので好ましくない。適量のスズ系ウレタン化
触媒を含有するとポリウレタンの物性が良好に保たれる
理由は明確ではないが、スズ系ウレタン化触媒が、解離
したウレタン結合の再結合、過剰のイソシアネート基と
水との間の反応促進などによってポリウレタンの分子量
を高い水準に維持するのではないかと推定される。
【0028】本発明で使用し得るスズ系ウレタン化触媒
としては、例えば、オクチル酸スズ、モノメチルスズメ
ルカプト酢酸塩、モノブチルスズトリアセテート、モノ
ブチルスズモノオクチレート、モノブチルスズモノアセ
テート、モノブチルスズマレイン酸塩、モノブチルスズ
マレイン酸ベンジルエステル塩、モノオクチルスズマレ
イン酸塩、モノオクチルスズチオジプロピオン酸塩、モ
ノオクチルスズトリス(イソオクチルチオグリコール酸
エステル)、モノフェニルスズトリアセテート、ジメチ
ルスズマレイン酸エステル塩、ジメチルスズビス(エチ
レングリコールモノチオグリコレート)、ジメチルスズ
ビス(メルカプト酢酸)塩、ジメチルスズビス(3−メ
ルカプトプロピオン酸)塩、ジメチルスズビス(イソオ
クチルメルカプトアセテート)、ジブチルスズジアセテ
ート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジス
テアレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズ
マレイン酸塩、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジ
チルスズマレイン酸エステル塩、ジブチルスズビス(メ
ルカプト酢酸)、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸ア
ルキルエステル)塩、ジブチルスズビス(3−メルカプ
トプロピオン酸アルコキシブチルエステル)塩、ジブチ
ルスズビス(オクチルチオグリコールエステル)塩、ジ
ブチルスズ(3−メルカプトプロピオン酸)塩、ジオク
チルスズマレイン酸塩、ジオクチルスズマレイン酸エス
テル塩、ジオクチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジオク
チルスズラウレート、ジオクチルスズビス(イソオクチ
ルメルカプトアセテート)、ジオクチルスズビス(イソ
オクチルチオグリコール酸エステル)、ジオクチルスズ
ビス(3−メルカプトプロピオン酸)塩等のスズのアシ
レート化合物、メルカプトカルボン酸塩などを挙げるこ
とができ、これらは単独で使用しても2種以上を併用し
てもよい。
【0029】上記したスズ系ウレタン化触媒のうちで
も、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレ
ートなどのジアルキルスズジアシレート、ジブチルスズ
ビス(3−メルカプトプロピオン酸エトキシブチルエス
テル)塩などのジアルキルスズビスメルカプトカルボン
酸エステル塩などが好ましい。スズ系ウレタン化触媒
は、ポリウレタンの製造時に、ポリエステルジオール、
鎖伸長剤および有機ジイソシアネートなどと同時に添加
しても、またはこれらのポリウレタン用原料のうちの1
者または2者以上に予め混合しておいてもよく、ポリエ
ステルジオール中に予め混合しておくのが、スズ系ウレ
タン化触媒を均一に混合・分散させることができ望まし
い。
【0030】本発明のポリウレタンを得るための反応方
法は特に制限されず、上記したポリエステルジオール、
有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を使用して、公知
のウレタン化反応技術を利用して、プレポリマー法およ
びワンショット法のいずれで製造してもよい。そのうち
でも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが好
ましく、特に多軸スクリュー型押出機を用いる連続溶融
重合が好ましい。使用するポリエステルジオールの内
容、有機ジイソシアネートの種類、鎖伸長剤の内容等に
応じて変わり得るが、多軸スクリュー型押出機を使用し
て本発明のポリウレタンを製造するに当たっては、一般
にそれらの成分を同時またはほぼ同時に押出機に連続的
に供給して190〜280℃、好ましくは210〜26
0℃で連続溶融重合させてポリウレタンを製造した後押
し出し、切断して、ペレットやチップなどの形状のポリ
ウレタンを製造するとよい。
【0031】また、ポリウレタンの重合過程または重合
後に、必要に応じて着色剤、滑剤、結晶核剤、難燃剤、
紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候性改良剤、加水分解防
止剤、粘着性付与剤、防黴剤等の添加剤の1種または2
種以上を適宜加えてもよい。 さらに、限定されるものではないが、本発明のポリウレ
タンは硬度(JIS−A硬度)が55〜97の範囲にあ
ることが、成形性、耐熱性、低圧縮永久歪み性などの性
能が一層良好となることから好ましい。また、本発明の
ポリウレタンは、対数粘度(ηinh)が0.5〜2.1
dl/gであることが好ましく、ポリウレタンの対数粘
度をこの範囲内とすることにより、耐熱性、押出成形性
などの成形性が一層良好になり、圧縮永久歪みが小さく
なる。なお、ここでいう対数粘度とは、ポリウレタン試
料を0.5g/dlとなるように0.05Mのn−ブチ
ルアミンのN,N−ジメチルホルムアミド溶液に溶解
し、24時間後に30℃でウッベローデ型粘度計により
溶液粘度を測定し、次式により求めたときの値をいう。
【0032】
【数12】ηrel=t/t0 ηinh=ln(ηrel)/c [上記式中、t=溶液の流下時間(秒)、t0=溶媒の流
下時間(秒)、ηrel=比粘度、ηinh=対数粘度、c=ポ
リウレタンの濃度(g/dl)を表す]
【0033】本発明のポリウレタンは溶融滞留時間が長
くても溶融粘度の急激な上昇がなく、例えば180℃以
上の温度で1時間以上にわたって溶融滞留させても溶融
粘度の増加が少ないことから、押出成形、射出成形、ブ
ロー成形、カランダー成形などの種々の成形法によって
種々の成形物を円滑に製造することができる。そして、
それらの成形法により得られる成形物は、耐熱性、耐寒
性および耐加水分解性に優れ、しかも圧縮永久歪みが小
さく、極めて優れた特性を有しているので、例えばフイ
ルム、シート、チューブ、ベルト、ホース、各種ロー
ル、スクリーン、キャスター、ギヤ、パッキング材、防
振材、制振材、靴底、スポーツ靴、マーキング材、バイ
ンダー、接着剤、皮革、弾性繊維、自動車部品、紙送り
ロール、複写機用クリーニングブレードなどの広範囲な
用途に有効に使用することができる。
【0034】そして、本発明のポリウレタンからなる成
形物は、成形したものをそのまま直接使用してもよい
が、成形後に成形物を60℃以上の温度、特に80〜1
10℃の範囲の温度で熱処理(アニーリング)すると、
成形物の耐熱性、耐熱強度および耐熱強度保持率を一層
向上させ、しかも圧縮永久歪みを一層小さくすることが
できるので望ましい。その場合に、熱処理時間はポリウ
レタンの内容、成形物の大きさ、厚み、形状などに応じ
て適宜選択できるが、一般に約4〜20時間程度行うの
が好ましい。
【0035】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。以下の例
において、ポリウレタンの対数粘度、押出成形性、ポリ
ウレタンからなる成形物の硬度、耐熱性(ビカット軟化
温度)、圧縮永久歪み、耐寒性および耐加水分解性は、
下記の方法により測定または評価した。
【0036】[対数粘度]溶融重合により製造したポリ
ウレタンペレットまたはこれからなる射出成形物を用い
て、上記した方法によりポリウレタンの対数粘度を求め
た。
【0037】[押出成形性]高化式フローテスターを用
いて、荷重50kgf、ノズル寸法1φ×10mm、温
度210℃の条件下で、ポリウレタンのペレットを21
0℃で6分間および210℃で60分間、それぞれ溶融
滞留状態においた後にその溶融粘度をそれぞれ独立して
測定し、次式から溶融粘度増加率を求め、その値を押出
成形性を指標とした。
【0038】
【数13】 溶融粘度増加率(%)={(η−η0)/η0}×100 η0=210℃で6分間溶融滞留させた後の溶融粘度
(ポイズ) η =210℃で60分間溶融滞留させた後の溶融粘度
(ポイズ)
【0039】[硬 度]日精樹脂工業株式会社製の小型
射出成形試験機を用いて、溶融温度200℃、射出ノズ
ル圧力60kgf/cm2、金型温度30℃の条件下に
射出成形を行って得られた厚さ6mmの試験片を用い
て、ショアーA硬度計で測定した。
【0040】[耐熱性(ビカット軟化温度)]上記と同
様にして射出成形を行って得られた厚さ4mmの試験片
を用いて、JIS K−7206に準じて測定荷重1k
gfの条件下にビカット軟化温度を測定した。そして、
測定により得られたビカット軟化温度の値を耐熱性の指
標として、ポリウレタン(ポリウレタン成形物)の耐熱
性を評価した。
【0041】[圧縮永久歪み]上記と同様にして射出成
形を行って得られた厚さ20mmの試験片を用いて、J
IS K−6301に準拠した方法(熱処理条件:70
℃で22時間)で測定を行った。
【0042】[耐寒性]上記と同様にして射出成形を行
って得られた厚さ2mmの円板から試験片を作製し、こ
の試験片の動的粘弾性を周波数11Hzで測定し、動的
損失弾性率(E")がピークとなる温度(Tα)を求め、
これを耐寒性の指標とした。
【0043】[耐加水分解性]上記と同様にして射出成
形を行って得られた厚さ2mmの試験片を作製し、これ
を100℃の熱水中に7日間浸漬して熱水処理し、熱水
処理前後の対数保持率を測定し、その保持率を求めて耐
加水分解性の指標とした。
【0044】また、下記の参考例、実施例および比較例
で用いた化合物に関する略号とその化合物内容は、次の
表1に示すとおりである。
【0045】
【表1】 略 号 : 化 合 物 BD :1,4−ブタンジオール EG :エチレングリコール HD :1,6−ヘキサンジオール MOD :2−メチル−1,8−オクタンジオール ND :1,9−ノナンジオール Ad :アジピン酸 PBA :BDとAdから得られたポリエステルジオール PNOA :ND、MOD及びAdから得られたポリエステルジオール PNA :NDとAdとから得られたポリエステルジオール PMOA :MODとAdから得られたポリエステルジオール MDI :4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート DBA :ジブチルスズジアセテート
【0046】《参考例1》[PNOA2500の製造] NDの6299g、MODの3592gおよびAdの7
709gを反応器に仕込み、常圧下に200℃で生成す
る水を系外に留去しながらエステル化反応を行った。反
応物の酸価が30以下になった時点でテトライソプロピ
ルチタネートを90mg加えて、200mmHg〜10
0mmHgに減圧しながら反応を続けた。酸価が1.0
になった時点で真空ポンプにより徐々に真空度を上げて
反応を完結させた。その結果、数平均分子量2500、
ND/MOD=65/35(モル比)のPNOA(以下
これをPNOA−Aという)が15100g得られた。
【0047】《参考例2》[チタン系触媒を失活させた
PNOA2500の製造] 上記の参考例1で得られたPNOA−Aの5000gを
100℃に加熱し、これに水150g(3重量%)を加
えて撹拌しながら2時間加熱することによりチタン系触
媒を失活させた。得られた混合物から減圧下で水を留去
することにより、チタン系触媒を失活させたPNOA
(以下これをPNOA−Bという)が得られた。
【0048】《参考例3》[スズ系ウレタン化触媒を添
加したPNOA2500の製造] 上記の参考例2で得られたPNOA−Bの5000gを
100℃に加熱し、これにスズ系ウレタン化触媒として
ジブチルスズジアセテート(DBA)を10ppm(ス
ズ原子に換算して3.4ppm)を加えて1時間撹拌し
た。これにより、チタン系触媒を失活させた後にスズ系
ウレタン化触媒を添加したPNOA(以下これをPNO
A−Cという)が得られた。
【0049】《参考例4》[スズ系ウレタン化触媒を添
加したPNOA2000の製造] NDの5468g、MODの2343gおよびAdの6
044gを反応器に仕込み、参考例1と同様にしてエス
テル化および重縮合反応を行うことにより、数平均分子
量2000、ND/MOD=70/30(モル比)のP
NOAを12100g得た。これを用いて参考例2と同
様にしてチタン系触媒を失活させた後、減圧下で水を留
去し、さらに参考例3と同様にスズ系ウレタン化触媒と
してジブチルスズジアセテートを10ppm(スズ原子
に換算して3.4ppm)添加することにより、チタン
系触媒を失活させた後にジブチルスズジアセテート(D
BA)をを添加したPNOA(以下これをPNOA−D
という)を得た。
【0050】《参考例5》[スズ系ウレタン化触媒を添
加したPNOA1000の製造] MODの5347g、NDの2879gおよびAdの5
536gを反応器に仕込み、参考例1と同様にしてエス
テル化および重縮合反応を行うことにより、数平均分子
量1000、ND/MOD=65/35(モル比)のP
NOAを12100g得た。これを用いて参考例2と同
様にしてチタン系触媒を失活させ、減圧下で水を留去し
た後、参考例3と同様にスズ系ウレタン化触媒としてジ
ブチルスズジアセテートを10ppm(スズ原子に換算
して3.4ppm)添加することにより、チタン系触媒
を失活させた後にジブチルスズジアセテート(DBA)
を添加したPNOA(以下これをPNOA−Eという)
を得た。
【0051】《参考例6》[スズ系ウレタン化触媒を添
加したPBA2500の製造] BDの6050gおよびAdの8799gを反応器に仕
込み、参考例1と同様にしてエステル化および重縮合反
応を行うことにより、数平均分子量2500のPBAを
12300g得た。これを用いて参考例2と同様にして
チタン系触媒を失活させ、減圧下で水を留去した後、参
考例3と同様にスズ系ウレタン化触媒としてジブチルス
ズジアセテートを10ppm(スズ原子に換算して3.
4ppm)添加することにより、チタン系触媒を失活さ
せた後にジブチルスズジアセテート(DBA)を添加し
たPBA(以下これをPBA−Aという)を得た。
【0052】《参考例7》[スズ系ウレタン化触媒を添
加したPNA2500の製造] NDの9891gおよびAdの7709gを反応器に仕
込み、参考例1と同様にしてエステル化および重縮合反
応を行うことにより、数平均分子量2500のPNAを
15110g得た。これを用いて参考例2と同様にして
チタン系触媒を失活させ、減圧下で水を留去した後、参
考例3と同様にスズ系ウレタン化触媒としてジブチルス
ズジアセテートを10ppm(スズ原子に換算して3.
4ppm)添加することにより、チタン系触媒を失活さ
せた後にジブチルスズジアセテート(DBA)を添加し
たPNA(以下これをPNA−Aという)を得た。
【0053】《参考例8》[スズ系ウレタン化触媒を添
加したPMOA2500の製造] MODの9891gおよびAdの7709gを反応器に
仕込み、参考例1と同様にしてエステル化および重縮合
反応を行うことにより、数平均分子量2500のPMO
Aを15120g得た。これを用いて参考例2と同様に
してチタン系触媒を失活させ、減圧下で水を留去した
後、参考例3と同様にスズ系ウレタン化触媒としてジブ
チルスズジアセテートを10ppm(スズ原子に換算し
て3.4ppm)添加することにより、チタン系触媒を
失活させた後にジブチルスズジアセテート(DBA)を
添加したPMOA(以下これをPMOA−Aという)を
得た。
【0054】上記の参考例1〜8で得られたポリエステ
ルジオールの内容を下記の表2にまとめた。
【0055】
【表2】
【0056】《実施例1》 (1) 上記の参考例3で得られたPNOA−C、鎖伸
長剤[BD:ND=4:1(モル比)の混合物]および
50℃に加熱溶融したMDIを、下記の表3に示すよう
に、[PNOA−C]:[MDI]:[BD:ND]=
[1.0]:[5.50]:[3.60:0.90]
(モル比)で、かつこれらの総送量が200g/分とな
るように、定量ポンプから同軸方向に回転する二軸スク
リュー型押出機(30φ、L/D=36)に連続的に供
給して260℃の温度で連続溶融重合を行った。生成し
たポリウレタンの溶融物をストランド状で水中に連続的
に押し出し、次いでペレタイザーで切断してペレットを
製造した。このペレットを50℃で5時間除湿乾燥した
後、その押出成形性を上記した方法で測定した。また除
湿乾燥後のペレットを用いて、物性の測定または評価用
のそれぞれの試験片を上記した方法で射出成形により製
造した。それぞれの試験片を80℃の温度で12時間熱
処理した後、それぞれ試験片を用いて、対数粘度、硬
度、ビカット軟化温度、圧縮永久歪み、耐寒性および耐
加水分解性を上記した方法で測定または評価した。その
結果を下記の表4に示す。
【0057】《実施例2》ポリエステルジオールとして
参考例4で得られたPNOA−Dを用いた以外は実施例
1と同様にして、PNOA−D、鎖伸長剤(BDとN
D)およびMDIを連続溶融重合した後押し出し切断し
てポリウレタンのペレットを製造し、このペレットを実
施例1と同様にして除湿乾燥した。除湿乾燥したペレッ
トを用いて、物性の測定または評価用のそれぞれの試験
片を上記した方法で射出成形により製造した。それぞれ
の試験片を80℃の温度で12時間熱処理した後、それ
ぞれの試験片を用いて、対数粘度、硬度、ビカット軟化
温度、圧縮永久歪み、耐寒性および耐加水分解性を上記
した方法で測定または評価した。その結果を下記の表4
に示す。
【0058】《実施例3〜5》下記の表3に示すポリエ
ステルジオールを、表3に示す鎖伸長剤およびMDI
と、表3に示すモル比で反応させた以外は実施例1と同
様にして、連続溶融重合、ポリウレタンペレットの製造
および除湿乾燥、射出成形による各試験片の製造および
試験片の熱処理を行って、実施例1と同様の物性の測定
または評価を行った。その結果を下記の表4に示す。
【0059】《比較例1》ポリエステルジオールとして
参考例1で得られたPNOA−Aを使用し、PNOA−
Aを表3に示す鎖伸長剤およびMDIと、表3に示すモ
ル比で反応させた以外は実施例1と同様にして、連続溶
融重合、ポリウレタンペレットの製造および除湿乾燥、
射出成形による各試験片の製造および試験片の熱処理を
行って、実施例1と同様の物性の測定または評価を行っ
た。その結果を下記の表4に示す。
【0060】《比較例2〜6》下記の表3に示すポリエ
ステルジオールを、表3に示す鎖伸長剤およびMDI
と、表3に示すモル比で反応させた以外は実施例1と同
様にして、連続溶融重合、ポリウレタンペレットの製造
および除湿乾燥、射出成形による各試験片の製造および
得られた試験片の熱処理を行って、実施例1と同様の物
性の測定または評価を行った。その結果を表4に示す。
【0061】《比較例7》ポリエステルジオールとして
参考例3で得られたPNOA−Cを使用し、PNOA−
Cを表3に示す鎖伸長剤[BD:EG=80:20(モ
ル比)の混合物]およびMDIと、表3に示すモル比で
実施例1と同様にして反応させたところ、重合が円滑に
進行せず、ポリウレタンのペレットが得られなかった。
【0062】《比較例8〜10》下記の表3に示すポリ
エステルジオールを、表3に示す鎖伸長剤およびMDI
と、表3に示すモル比で反応させた以外は実施例1と同
様にして、連続溶融重合、ポリウレタンペレットの製造
および除湿乾燥、射出成形による各試験片の製造および
得られた試験片の熱処理を行って、実施例1と同様の物
性の測定または評価を行った。その結果を表4に示す。
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】上記の表3および表4の結果から、上記し
た(i)〜(iv)の要件のすべてを満足する実施例1〜
5のポリウレタンは、溶融滞留時間が長くなっても粘度
が急激に上昇せず押出成形性などの成形性に優れてお
り、しかも実施例1〜5のポリウレタンの成形物は、硬
度、耐寒性および耐加水分解性に優れ、ビカット軟化温
度が高く耐熱性にも優れており、その上圧縮永久歪みが
小さいことがわかる。
【0066】一方、本発明における上記した(i)〜
(iv)の要件のいずれかを欠いている比較例1〜10、
すなわちチタン系重縮合触媒の失活を行っていないポリ
エステルジオールを用いてスズ系ウレタン化触媒の不存
在下に製造した比較例1のポリウレタン、スズ系ウレタ
ン化触媒を使用しないで製造した比較例2のポリウレタ
ン、数平均分子量が1800〜3000の範囲から外れ
るポリエステルジオールを用いて製造した比較例3のポ
リウレタン、鎖伸長剤における1,4−ブタンジオール
と一般式(I)で表される脂肪族ジオール(1,9−ノ
ナンジオール)のモル比が上記した式の範囲から外れ
ている比較例4のポリウレタン、ポリエステルジオール
および鎖伸長剤に対する有機ジイソシアネートのモル比
が上記した式を満足していない比較例5のポリウレタ
ン、鎖伸長剤として1,4−ブタンジオールのみを用い
て得られた比較例6のポリウレタン、鎖伸長剤として
1,4−ブタンジオールとエチレングリコールを用いて
得られた比較例7のポリウレタン、ポリエステルジオー
ルを構成するジオール成分が1,4−ブタンジオール単
独であるポリエステルジオールを用いて得られた比較例
8のポリウレタン、ポリエステルジオールを構成するジ
オール成分が1,9−ノナンジオール単独であるポリエ
ステルジオールを用いて得られた比較例9のポリウレタ
ン、並びにポリエステルジオールを構成するジオール成
分が2−メチル−1,8−オクタンジオール単独である
ポリエステルジオールを用いて得られた比較例10のポ
リウレタンの場合は、押出成形性、硬度、耐寒性、耐加
水分解性、耐熱性(ビカット軟化温度)、圧縮永久歪み
のいずれか一つ、または二つ以上の物性において、実施
例1〜9のポリウレタンに比べて大幅に劣っていること
がわかる。特に、鎖伸長剤として1,4−ブタンジオー
ルと共にエチレングリコールを用いた比較例7の場合
は、ポリウレタンの重合が円滑に行われず、ポリウレタ
ンのペレットを得ることができなかったことがわかる。
【0067】
【発明の効果】本発明により、押出成形性などの成形
性、耐熱性、耐寒性および耐加水分解性の全ての性能に
優れ、しかも圧縮永久歪みの少ない、極めて良好な諸特
性を備えるポリウレタンが提供され、このポリウレタン
からはその熱可塑性を利用して、押出成形、射出成形、
ブロー成形、注型、流延成形、カレンダー成形などの成
形法によって各種の成形物を極めて円滑に成形性よく製
造することができる。そして、成形後に更に特定の温度
条件下で加熱処理して得られる本発明のポリウレタンの
成形物は、耐熱性などの特性に一層優れ、しかも圧縮永
久歪みがより小さく、一層向上した特性を備えている。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルジオール、有機ジイソシア
    ネートおよび鎖伸長剤の反応により得られるポリウレタ
    ンであって、 (i) 前記ポリエステルジオールが、ジカルボン酸成分
    と、1,9−ノナンジオールおよび2−メチル−1,8
    −オクタンジオールから主としてなるジオール成分との
    反応により得られた数平均分子量1800〜3000の
    ポリエステルジオールであり; (ii) 前記鎖伸長剤が、1,4−ブタンジオールおよび
    下記の一般式(I); 【化1】 HO−(CH2)n−OH (I) (式中、nは5〜10の整数を示す)で表される脂肪族
    ジオールからなっており; (iii) 前記ポリエステルジオール、有機ジイソシアネ
    ートおよび鎖伸長剤の割合が、下記の数式および; 【数1】 0.70≦c1/(c1+c2)≦0.98 【数2】 0.98≦b/(a+c+c)≦1.10 [上記式および中、cは1,4−ブタンジオール
    のモル数、cは前記の一般式(I)で表される脂肪族
    ジオールのモル数、aはポリエステルジオールのモル
    数、bは有機ジイソシアネートのモル数を示す]を満足
    する割合であり;そして (iv) スズ系ウレタン化触媒を含有する;ことを特徴
    とするポリウレタン。
  2. 【請求項2】 ポリエステルジオールを構成するジオー
    ル成分が、下記の数式; 【数3】 0.50≦d1/(d1+d2)≦0.70 (上記式中、d1は1,9−ノナンジオールのモル分
    率、d2は2−メチル−1,8−オクタンジオールのモ
    ル分率を表す)を満足するジオール成分であり、一般式
    (I)で表される脂肪族ジオールが1,9−ノナンジオ
    ールであり、そしてスズ系ウレタン化触媒の含有割合が
    スズ原子換算で0.5〜15ppmである請求項1のポ
    リウレタン。
  3. 【請求項3】 ポリエステルジオールがチタン系重縮合
    触媒の存在下に重縮合した後、該チタン系重縮合触媒を
    失活させて得られたポリエステルジオールである請求項
    1または2のポリウレタン。
  4. 【請求項4】 ポリエステルジオール、有機ジイソシア
    ネートおよび鎖伸長剤を反応させてポリウレタンを製造
    する方法であって、 (i) 前記ポリエステルジオールとして、ジカルボン
    酸成分と、1,9−ノナンジオールおよび2−メチル−
    1,8−オクタンジオールから主としてなるジオール成
    分との反応により得られた数平均分子量1800〜30
    00のポリエステルジオールを使用し; (ii) 前記鎖伸長剤として、1,4−ブタンジオールお
    よび下記の一般式(I); 【化2】 HO−(CH2)n−OH (I) (式中、nは5〜10の整数を示す)で表される脂肪族
    ジオールを使用し;そして、 (iii) 前記ポリエステルジオール、有機ジイソシア
    ネートおよび鎖伸長剤を下記の数式および; 【数4】 0.70≦c1/(c1+c2)≦0.98 【数5】 0.98≦b/(a+c+c)≦1.10 [上記式および中、cは1,4−ブタンジオール
    のモル数、cは前記の一般式(I)で表される脂肪族
    ジオールのモル数、aはポリエステルジオールのモル
    数、bは有機ジイソシアネートのモル数を示す]を満足
    する割合で、スズ系ウレタン化触媒の存在下に反応させ
    る;ことを特徴とするポリウレタンの製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリエステルジオールを構成するジオー
    ル成分が、下記の数式; 【数6】 0.50≦d1/(d1+d2)≦0.70 (上記式中、d1は1,9−ノナンジオールのモル分
    率、d2は2−メチル−1,8−オクタンジオールのモ
    ル分率を表す)を満足するジオール成分であり、一般式
    (I)で表される脂肪族ジオールが1,9−ノナンジオ
    ールであり、そしてスズ系ウレタン化触媒をスズ原子換
    算で0.5〜15ppmで使用する請求項3のポリウレ
    タンの製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリエステルジオールがチタン系重縮合
    触媒の存在下に重縮合した後、該チタン系重縮合触媒を
    失活させて得られたポリエステルジオールである請求項
    4または5のポリウレタンの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれか1項のポリウレ
    タンから得られた成形物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜3のいずれか1項のポリウレ
    タンを使用して成形した後、得られた成形物を60℃以
    上の温度で熱処理することを特徴とするポリウレタン成
    形物の製造方法。
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