JP2931373B2 - ポリウレタンおよびポリウレタンの製造方法 - Google Patents

ポリウレタンおよびポリウレタンの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規なポリエステル系ポリウレタンおよびそ
れを製造するに適したポリウレタンの製造方法に関す
る。
本発明のポリウレタンに代表される本発明の製造方法
によつて得られるポリウレタンは優れた透明性を有し、
かつ耐久性、耐熱性、力学的性能および低温特性におい
ても優れた性能を有することから、透明なチユーブ、ホ
ース、パイプ、フイルム、シートなどの透明な成形物の
素材などとして有用である。
〔従来の技術〕
従来よりポリウレタンは高い弾性を有する点、耐摩耗
性および耐油性に優れる点などの多くの特長を有するた
めにゴムおよびプラスチツクスの代替材料などとして注
目されており、通常のプラスチツク成形加工方が適用で
きる成形材料などとして広範な用途で多量に使用される
ようになつてきている。ポリウレタンは高分子ジオー
ル、有機ジイソシアナートおよび必要に応じて1,4−ブ
タンジオール等の鎖伸長剤から製造され、その製造はこ
れらの原料を混合して重合することにより行われてい
る。そして、均質なポリウレタンを製造するためには原
料を溶融状態で混合して重合することが好ましいことが
知られている〔例えば、岩田敬治著「ポリウレタン樹
脂」(昭和50年7月30日 日刊工業新聞社発行)参
照〕。
ポリウレタンとしてはポリエステル系ポリウレタン、
ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリ
ウレタン等が知られているが、諸性能のバランスを鑑み
てポリエステル系ポリウレタンが広く用いられている。
しかしながら、一般にポリエステル系ポリウレタンは力
学的性能に優れている反面で耐水性、耐摩耗性などの耐
久性に劣るという欠点を有している。そこで、これらの
耐久性の改良されたポリエステル系ポリウレタンを製造
する試みが種々なされている。その耐久性の改良された
ポリエステル系ポリウレタンの1種として、2−メチル
−1,8−オクタンジオール単位、1,9−ノナンジオール単
位およびジカルボン酸単位からなるポリエステルジオー
ルとジイソシアナートとを鎖伸長剤の存在下または不存
在下に重合することによつて製造されたポリウレタンが
提案されている(特開昭62−22817号公報、特開平2−2
0514号公報など参照)。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のごとき、2−メチル−1,8−オクタンジオール
単位、1,9−ノナンジオール単位およびジカルボン酸単
位からなるポリエステルジオールとジイソシアナートと
を鎖伸長剤の存在下または不存在下に重合することによ
つて製造されたポリウレタンでは、耐久性のみならず低
温特性および力学的性能に優れ、さらには耐熱性も良好
となる場合がある。しかしながら、かかるポリウレタン
は白濁しており透明性に劣るため、透明チユーブ、透明
パイプ、透明フイルム、透明シートなどの透明性の要求
される用途に使用するうえで不都合を生じる場合があ
る。
しかして、本発明の目的のひとつは、透明性に優れ、
かつ耐久性、耐熱性、力学的特性および低温特性におい
ても優れた性能を有する新規なポリエステル系ポリウレ
タンを提供することにあり、また本発明の他の目的は該
ポリエステル系ポリウレタンに代表される、透明性に優
れ、かつ耐久性、耐熱性、力学的性能および低温特性に
おいても優れた性能を有する新規なポリエステル系ポリ
ウレタンを製造する方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によれば、上記の目的のひとつは、 (A)式 で示される3−メチル−1,5−ペンタンジオール単位を
少なくとも60モル%含むアルカンジオール単位と一般式 (式中、mは4〜10の整数を表す) で示されるジカルボン酸単位から実質的になる数平均分
子量2000〜3500のポリエステルジオール(P−I)から
分子両末端の2個のアルコール性水酸基中の2個の水素
原子を除いた形の高分子ジオール単位(I)、 (B)式 −O−(CH2−O− (8) で示される1,9−ノナンジオール単位と式 で示される2−メチル−1,8−オクタンジオール単位と
を45対55〜90対10の範囲内のモル比で含むアルカンジオ
ール単位と一般式 (式中、nは4〜8の整数を表す) で示されるジカルボン酸単位から実質的になる数平均分
子量1500〜2700のポリエステルジオール(P−II)から
分子両末端の2個のアルコール性水酸基中の2個の水素
原子を除いた形の高分子ジオール単位(II)および (C)一般式 (式中、R1は2価の有機基を表す) で示されるジイソシアナート単位(III) から主としてなり、高分子ジオール単位(I)と高分子
ジオール単位(II)との重量比が5対95〜80対20の範囲
内である、対数粘度0.4〜2.0dl/gのポリウレタン〔以
下、かかるポリウレタンを「ポリウレタン」(X)と称
することがある〕を提供することによつて達成される。
また本発明によれば、上記の他の目的は、上記ポリエ
ステルジオール(P−I)および上記ポリエステルジオ
ール(P−II)をそれらを重量比が5対95〜80対20の範
囲内となるように用いて、ポリエステルジオール(P−
I)、ポリエステルジオール(P−II)およびジイソシ
アナートを鎖伸長剤の存在下または不存在下に重合する
ことを特徴とするポリウレタンの製造方法を提供するこ
とによつて達成される。
本発明のポリウレタン(X)の分子を構成する構造単
位のうち、まず高分子ジオール単位(I)および高分子
ジオール単位(II)について次に説明する。
高分子ジオール単位(I)はポリウレタンジオール
(P−I)から誘導された構造単位である。ポリエステ
ルジオール(P−I)は、アルカンジオール単位と一般
式(2)で示されるジカルボン酸単位から実質的に構成
され、かつ分子の両末端にそれぞれアルコール性水酸基
を1個ずつ有するポリエステルである。該アルカンジオ
ール単位のうち60モル%以上は式(I)で示される3−
メチル−1,5−ペンタンジオール単位であることが必須
である。全アルカンジオール単位基準での3−メチル−
1,5−ペンタンジオール単位の含有率が60モル%未満で
ある場合には、得られるポリウレタンの透明性は不充分
となる。該3−メチル−1,5−ペンタンジオール単位の
含有率が高いほど得られるポリウレタンの透明性がより
良好となる傾向があることから、アルカンジオール単位
の全てが3−メチル−1,5−ペンタンジオール単位であ
ることが好ましい。任意に3−メチル−1,5−ペンタン
ジオール単位と共存させてもよい3−メチル−1,5−ペ
ンタンジオール単位以外のアルカンジオール単位として
は、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,
10−デカンジオールなどの炭素数2〜10の直鎖状でアル
キレングリコールから分子中の2個の水酸基中の2個の
水素原子を除いた形の、一般式 −O−(CH2−O− (式中、pは2〜10の整数を表す) で示されるアルカンジオール単位;プロピレングリコー
ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチ
ルグリコールなどの炭素数3〜5の分枝鎖状アルキレン
グリコールから分子中の2個の水酸基中の2個の水素原
子を除いた形の、一般式 (式中、R2は水素原子またはメチル基を表し、qは0ま
たは1の整数を表す) で示されるアルカンジオール単位などの炭素数2〜200
のアルカンジオール単位の1種以上が挙げられる。一般
式(2)で示されるジカルボン酸単位としては、アジピ
ン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシ
ン酸、ウンデカン二酸またはドデカン二酸から分子末端
の2個のカルボキシル基中の2個の水酸基を除いた形の
構造単位が挙げられ、好ましくはアジピン酸、アゼライ
ン酸またはセバシン酸から誘導された構造単位である。
これらのジカルボン酸単位はポリエステルジオール(P
−I)中に単独でまたは2種以上が混在した状態で含ま
れる。ポリエステルジオール(P−I)の数平均分子量
は2000〜3500の範囲内である。該数平均分子量が2000よ
り小さいと得られるポリウレタンの耐熱性が低下し、ま
た3500より大きいと得られるポリウレタンの力学的性能
が低下する。得られるポリウレタンの耐熱性および力学
的性能がいずれも特に良好となる点から、ポリウレタン
ジオール(P−I)の数平均分子量は2500〜3400の範囲
内にあることが好ましい。
高分子ジオール単位(II)はポリウレタンジオール
(P−II)から誘導された構造単位である。ポリエステ
ルジオール(P−II)は、式(3)で示される1,9−ノ
ナンジオール単位、式(4)で示される2−メチル−1,
8−オクタンジオール単位および一般式(5)で示され
るジカルボン酸単位から実質的に構成され、かつ分子の
両末端にそれぞれアルコール性水酸基を1個ずつ有する
ポリエステルである。1,9−ノナンジオール単位と2−
メチル−1,8−オクタンジオール単位とは、それらのモ
ル比が45対55〜90対10の範囲内となるような割合でポリ
エステルジオール(P−II)の分子中に共存する。1,9
−ノナンジオール単位の構成割合が2−メチル−1,8−
オクタンジオール単位の55モルに対して45モル未満であ
る場合には得られるポリウレタンの耐熱性が不充分とな
り、また2−メチル−1,8−オクタンジオール単位の10
モルに対して90モルを超える場合には得られるポリウレ
タンの低温特性が低下する。一般式(5)で示されるジ
カルボン酸単位としては、アジピン酸、ピメリン酸、ス
ベリン酸、アゼライン酸またはセバシン酸から分子末端
の2個のカルボキシル基中の2個の水酸基を除いた形の
構造単位が挙げられる。これらのジカルボン酸単位はポ
リエステルジオール(P−II)中に単独または2個以上
が混在した状態で含まれる。ポリエステルジオール(P
−II)の数平均分子量は1500〜2700の範囲内である。該
数平均分子量が1500より小さいと得られるポリウレタン
の耐熱性が低下し、一方2700より大きいと得られるポリ
ウレタンの力学的性能が低下する。得られるポリウレタ
ンの耐熱性および力学的性能がいずれも特に良好となる
点から、ポリウレタンジオール(P−II)の数平均分子
量は1800〜2500の範囲内であることが好ましい。
ポリウレタン(X)の分子中に含まれる高分子ジオー
ル単位(I)と高分子ジオール単位(II)との重量比は
5対95〜80対20の範囲内である。高分子ジオール単位
(I)の重量割合が高分子ジオール単位(II)の重量の
5/95未満である場合には得られるポリウレタンの透明性
が不良となり、また80/20を超える場合には得られるポ
リウレタンの耐熱性、耐久性および力学的性能が不充分
となる。ポリウレタンの透明性、耐熱性、耐久性および
力学的性能がいずれも特に良好となる点から、高分子ジ
オール単位(I)と高分子ジオール単位(II)との重量
比は8対92〜50対50の範囲内であることが好ましい。
ポリエステルジオール(P−I)および(P−II)
は、それぞれいかなる方法によつて製造されたものでも
良い。これらのポリエステルジオールは、例えばポリエ
ステルテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートな
どの通常のポリエステルの製造において用いられるよう
な公知の方法と同様の方法、すなわちエステル交換反応
または直接エステル化反応とそれに続く溶融重縮合反応
を行う方法にて製造することが可能である。
本発明のポリエステル(X)の分子を構成する構造単
位のうち一般式(6)で示されるジイソシアナート単位
(III)について次に説明する。
一般式(6)中のR1が表す2価の有機基としては、ヘ
キサメチレン基などの2価の飽和脂肪酸炭化水素基;イ
ソポロンジイル基、ジシクロヘキシルメタン−4,4′ジ
イル基などの2価の飽和脂環式炭化水素基;ジフエニル
メタン−4,4′−ジイル基、p−フエニレン基、メチル
フエニレン基、1,5−ナフチレン基、キシレン−α,
α′−ジイル基などの2価の芳香族炭化水素基などが好
ましい。ジイソシアナート単位(III)は、一般式 O=C=N−R1=C=O (7) (式中、R1は前記定義のとおりである) で示される、イソシアナート基を分子中に2個含有する
脂肪族、脂環式または芳香族のジイソシアナートから誘
導される。該ジイソシアナートとしては、例えば4,4′
−ジフエニルメタンジイソシアナート、p−フエニレン
ジイソシアナート、トリレンジジイソシアナート、1,5
−ナフチレンジイソシアナートなどの芳香族ジイソシア
ナート;キシリレンジイソシアナート、ヘキサメチレン
ジイソシアナートなどの脂肪族ジイソシアナート;また
はイソホロンジイソシアナート、4,4′−ジシクロヘキ
シルメタンジイソシアナートなどの脂環式ジイソシアナ
ートが挙げられ、とりわけ4,4′−ジフエニルメタンジ
イソシアナートが好ましい。
ポリウレタン(X)は、上記のとおり、主として高分
子ジオール単位(I)、高分子ジオール単位(II)およ
びジイソシアナート単位(III)から構成されるが、こ
れらの構造単位に加えて後述のごとき鎖伸長剤から誘導
される構造単位を少量含んでいてもよい。かかる鎖伸長
剤から誘導される構造単位の含有量は、通常ポリウレタ
ンに対して30重量%以下である。熱可塑性が良好なポリ
ウレタンを得る目的においては、イソシアナートと反応
しうる活性水素原子を分子中に2個含有する鎖伸長剤か
ら誘導される2価の構造単位がポリウレタン中に2〜25
重量%の範囲内で含有されることが好ましい。
鎖伸長剤から誘導される構造単位とは、ポリウレタン
業界における常用の連鎖成長剤、即ちイソシアナートと
反応しうる活性水素原子を分子中に少なくとも2個含有
する分子量400以下の低分子化合物から2個以上の該活
性水素原子を除いた形の2価以上の構造単位である。該
低分子化合物としては、例えばエチレングリコール、1,
4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、キシリレングリコール、
1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス
(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなどのジオー
ル;3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフエニルメタ
ン、イソホロンジアミン、4,4′−ジアミノジフエニル
メタン、エチレンジアミンなどのジアミン;ヒドラジ
ン;ピペラジンなどの2個のイミノ基を環式構造の中に
含む複素環化合物;アジピン酸ジヒドラジド、イソフタ
ル酸ジヒドラジドなどのジヒドラジド;トリメチロール
プロパン、グリセリンなどの3価以上のアルコールなど
が挙げられる。これらの低分子化合物は単独でまたは2
種以上を混合して鎖伸長剤として使用される。鎖伸長剤
として特に好ましい低分子化合物は1,4−ブタンジオー
ルまたは1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼ
ンであり、これらの化合物は混合して使用してもよい。
ポリウレタン(X)は、濃度0.5g/100mlのジメチルホ
ルムアミド溶液として30℃で求めた対数粘度が0.4〜2.0
dl/gの範囲内である。かかる範囲内のポリウレタンは熱
可塑性が良好であり、射出成形、押出成形、ブロー成形
などの成形および熱加工に好適である。ポリウレタンの
成形加工性および力学的性能が特に良好となる点から、
ポリウレタンの対数粘度は0.6〜1,5dl/gの範囲内である
ことが好ましい。
ポリウレタン(X)は、上記のとおり、高分子ジオー
ル単位(I)を与えるポリエステルジオール(P−I)
および高分子ジオール単位(II)を与えるポリエステル
ジオール(P−II)を特定の範囲内の相対量となるよう
に用いて、これらとジイソシアナート単位(III)を与
えるジイソシアナートとを鎖伸長剤の存在下または不存
在下に溶融重合することにより製造される。重合条件は
公知のウレタン生成反応に採用される条件が適用される
が、重合温度としては220〜270℃の範囲の温度を採用す
るのが好ましい。重合温度を220℃以上に保つことによ
り透明性および成形加工性の特に良好なポリウレタンを
得ることができ、また重合温度を270℃以下に保つこと
により耐熱性の増大したポリウレタンを得ることができ
る。重合方法としては多軸スクリユー型押出機を用いて
溶媒の実質的な不存在下に連続的に溶融重合する方法を
採用するのが好ましい。
上記のポリウレタンの製造方法において、鎖伸長剤と
してペンタエリスリトール、グリセリンなどの3価以上
のアルコールなどの活性水素原子を分子中に3個以上有
する化合物を使用した場合、ジイソシアナートをポリエ
ステルジオール(P−I)、ポリエステルジオール(P
−II)および鎖伸長剤に含まれる活性水素原子の合計数
を超える個数のイソシアナート基を含むような量で使用
した場合などでは重合中にウレタン結合、アロハネート
結合、ビユレツト結合などの結合の形成によつてポリウ
レタンが架橋した分子構造を有する場合がある。上記の
製造方法によつて得られることのある架橋構造を有する
ポリウレタンはジメシルホルムアルデヒドに不溶となる
ために上記定義の対数粘度を求めることが不可能とな
り、また熱可塑性を喪失する場合があるものの、透明
性、耐久性、耐熱性、力学的性能および低温特性におい
てはポリウレタン(X)と同様に優れている。
本発明のポリウレタン(X)に代表される、本発明の
製造方法によつて得られるポリウレタンは、選れた透明
性を有し、かつ耐久性、耐熱性、力学的性能および低温
特性においても優れた性能を有することから、透明なチ
ユーブ、ホース、パイプ、フイルム、シートなどの透明
な成形物の素材などとして有用である。また該ポリウレ
タンは、ロール、ギア、ソリツドタイア、ベルト、パツ
キング材、防振剤、靴底、スポーツ靴、ラミネート製
品、各種機械部品、自動車部品、スポーツ用品、弾性繊
維等の素材として使用され、また溶剤に溶解して人造皮
革用コート剤、繊維処理剤、接着剤、バインダー、塗料
等としても使用しうる。とりわけポリウレタン(X)に
おいては、その熱可塑性を利用して射出成形機、押出成
形機、ブロー成形機などの常用の成形機を用いて任意の
形状の形成物を容易に製造することが可能である。なお
ポリウレタンは、目的に応じ充填剤、安定剤、着色剤、
強化剤などの配合剤を適宜混合して用いてもよい。
〔実施例〕
つぎに実施例により本発明をさらに具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例によつて何ら限定されな
い。
なお、実施例および比較例において、ポリエステルジ
オールの数平均分子量およびポリウレタンの対数粘度は
下記(1)および(2)の方法により求め、またポリウ
レタンの耐久性、耐熱性、低温特性、透明性および力学
的性能はそれぞれ下記の方法(3)〜(7)により評価
した。
(1) 数平均分子量:ポリエステルジオールの水酸基
価および酸価より求めた。
(2) 対数粘度:ポリウレタンをジメチルホルムアミ
ドに溶解して調製した0.5g/100mlの濃度の溶液を用いて
も30℃で測定した。
(3) 耐久性:100μmの厚みのポリウレタンフイルム
を70℃、95%の相対湿度下に28日間放置するジヤングル
テストに付し、テスト前後のフイルムの引張強度保持率
で耐水性を評価した。
(4) 耐熱性:JIS K7206に規定された方法に従つてビ
カツト軟化温度(℃)を求め、これにより耐熱性を評価
した。
(5) 低温特性:厚さ100μmのポリウレタンフイル
ムより作製した試験片について、動的粘弾性測定装置
〔(株)レオロジ社製、DVEレオスペクトラー〕を用
い、周波数11Hzにおいて試験片の温度を上昇させながら
動的損失弾性率E″がピークとなる温度Tαを測定し、
これにより低温特性を評価した。なお、Tαが低いほど
耐寒性に優れる。
(6) 透明性:射出成形法により得られた厚さ2mmの
円盤について、色差計〔(株)スガ試験機、カラーコン
ピユーター〕を用いて白色度を求め、透明性を評価し
た。なお、白色度18以下では透明であり、また23以上で
は完全に不透明である。
(7) 力学的性能:JIS K7311に規定された方法に従
い、厚さ100μmのポリウレタンフイルムから作製され
たダンベル状試験片(平行部の幅:5mm;平行部の長さ:20
mm)について引張速度30cm/分で破断強度および破断伸
度を測定し、これらにより力学的性能を評価した。
実施例および比較例におけるポリウレタンの「ハード
含量」は、ポリウレタンにおいてジイソシアナートおよ
び鎖伸長剤に基づくセグメントが占める重合割合(%)
を意味する。
なお、実施例および比較例においては用いた原料を略
号で示しており、その略号と化合物の対応を表1に示
す。
参考例1(ポリエステルジオールの製造) MODおよびNDからなる混合ジオール(モル比:MOD/ND=
35/65)2080gおよびAD1460g(ジオール混合物/ADのモル
比:1.3/1.0)を常圧下に窒素ガスを通じつつ約220℃の
温度に加熱し、生成する水を留去しながらエステル化を
行つた。系中のポリエステルの酸価が0.3以下になつた
時から真空ポンプを用いて徐々に真空度を上げ、反応を
完結させた。こうして水酸基価56、酸価0.20のポリエス
テルジオールAを得た。このポリエステルジオールAの
数平均分子量は2000であつた。
参考例2〜7(ポリエステルジオールの製造) 酸成分およびジオール成分として各々表2に示した化
合物の所定量を用いること以外は参考例1と同様にして
各々表2に示したポリエステルジオール(B〜G)を得
た。
実施例1(ポリウレタンの製造および評価) ポリエステルジオールA,ポリエステルジオールDおよ
び鎖伸長剤としてのBDからなる混合物を30℃に加熱した
ものと50℃に加熱溶融したMDIとを定量ポンプにより、
同方向に回転する二軸スクリユー型押出機に連続的に仕
込むことにより、連続溶融重合反応を行つた。なお、上
記混合物中のポリエステルジオールAとポリエステルジ
オールDとの重量比は80対20であつた。MDIは、ポリエ
ステルジオールA、ポリエステルジオールDおよびBDの
モル数の和とMDIのモル数とが等しくなるような割合で
仕込んだ。この仕込み条件におけるBDとMDIの単位時間
当りの仕込み量の和は全原料の単位時間当りの仕込み量
の和に対して重量基準で35%であつた(すなわち、ハー
ド含量は35%であつた)。また、上記重合においては、
二軸スクリユー型押出機の内部を前部、中間部および後
部の3つの帯域に分けた場合の最も高温となる該中間部
の温度(重合温度)を240℃とした。
生成したポリウレタンをストランド状で水中へ連続的
に押し出し、ついでペイタイザーでペレツトに成形し
た。さらにペレツトを熱ブレスにより成形してシートお
よびフイルムを、また射出成形により成形して円盤をそ
れぞれ得、これらについて耐熱性、力学的性能、低温特
性、耐久性および透明を評価した。得られた評価結果を
表3に示す。
実施例2〜4(ポリウレタンの製造および評価) ポリエステルジオールとして表3に示す2種のポリエ
ステルジオールの所定量を用いる以外は実施例1におけ
る操作に従つて重合反応、ペレツトの成形、フイルム、
シートおよび円盤の成形ならびに性能評価を行つた。な
お、使用した2種のポリエステルジオールの仕込み割合
(重量比)は表3に示すとおりであつた。MDIは、2種
のポリエステルジオールおよびBDのモル数の和とMDIの
モル数とが等しくなるような割合で仕込んだ。この仕込
み条件におけるハード含量は35%であつた。
得られた評価結果を表3に示す。
比較例1および2(ポリウレタンの製造および評価) ポリエステルジオールとしてポリエステルジオールA
およびDのうちの1種の所定量を用いる以外は実施例1
における操作に従つて重合反応、ペレツトの成形、フイ
ルム、シートおよび円盤の成形ならびに性能評価を行つ
た。なおMDIは、ポリエステルポリオールおよびBDのモ
ル数の和とMDIのモル数とが等しくなるような割合では
仕込んだ。この仕込み条件におけるハード含量は35%で
あつた。
得られた評価結果を表3に示す。
〔発明の効果〕 本発明によれば、上記の実施例から明らかなとおり、
透明性、耐久性、耐熱性、力学的性能および低温特性の
すべてにおいて優れるポリエステル系ポリウレタンが提
供される。また本発明によれば、上記諸性能のすべてに
おいて優れるポリエステル系ポリウレタンの製造方法が
提供される。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 18/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)式 で示される3−メチル−1,5−ペンタンジオール単位を
    少なくとも60モル%含むアルカンジオール単位と一般式 (式中、mは4〜10の整数を表す) で示されるジカルボン酸単位から実質的になる数平均分
    子量2000〜3500のポリエステルジオールから分子両末端
    の2個のアルコール性水酸基中の2個の水素原子を除い
    た形の高分子ジオール単位(I)、 (B)式 −O−(CH2−O− で示される1,9−ノナンジオール単位と式 で示される2−メチル−1,8−オクタンジオール単位と
    を45対55〜90対10の範囲内のモル比で含むアルカンジオ
    ール単位と一般式 (式中、nは4〜8の整数を表す) で示されるジカルボン酸単位から実質的になる数平均分
    子量1500〜2700のポリエステルジオールから分子両末端
    の2個のアルコール性水酸基中の2個の水素原子を除い
    た形の高分子ジオール単位(II)および (C)一般式 (式中、R1は2価の有機基を表す) で示されるジイソシアナート単位(III) から主としてなり、高分子ジオール単位(I)と高分子
    ジオール単位(II)との重量比が5対95〜80対20の範囲
    内である、対数粘度0.4〜2.0dl/gのポリウレタン。
  2. 【請求項2】高分子ジオール単位(I)、高分子ジオー
    ル単位(II)、ジイソシアナート単位(III)および鎖
    伸長剤から誘導される構造単位からなる請求項1記載の
    ポリウレタン。
  3. 【請求項3】(A)式 で示される3−メチル−1,5−ペンタンジオール単位を
    少なくとも60モル%含むアルカンジオール単位と一般式 (式中、mは4〜10の整数を表す) で示されるジカルボン酸単位から実質的になる数平均分
    子量2000〜3500のポリエステルジオール(P−I)およ
    び (B)式 −O−(CH2−O− で示される1,9−ノナンジオール単位と式 で示される2−メチル−1,8−オクタンジオール単位と
    を45対55〜90対10の範囲内のモル比で含むアルカンジオ
    ール単位と一般式 (式中、nは4〜8の整数を表す) で示されるジカルボン酸単位から実質的になる数平均分
    子量1500〜2700のポリエステルジオール(P−II) をそれらの重量比が5対95〜80対20の範囲内となるよう
    に用いて、ポリエステルジオール(P−I)、ポリエス
    テルジオール(P−II)およびジイソシアナートを鎖伸
    長剤の存在下または不存在下に重合することを特徴とす
    るポリウレタンの製造方法。
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