JP3277899B2 - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

ブレーキ液圧制御装置

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JP3277899B2
JP3277899B2 JP24622198A JP24622198A JP3277899B2 JP 3277899 B2 JP3277899 B2 JP 3277899B2 JP 24622198 A JP24622198 A JP 24622198A JP 24622198 A JP24622198 A JP 24622198A JP 3277899 B2 JP3277899 B2 JP 3277899B2
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brake fluid
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淳一 坂本
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司 深沢
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60TVEHICLE BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF; BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF, IN GENERAL; ARRANGEMENT OF BRAKING ELEMENTS ON VEHICLES IN GENERAL; PORTABLE DEVICES FOR PREVENTING UNWANTED MOVEMENT OF VEHICLES; VEHICLE MODIFICATIONS TO FACILITATE COOLING OF BRAKES
    • B60T8/00Arrangements for adjusting wheel-braking force to meet varying vehicular or ground-surface conditions, e.g. limiting or varying distribution of braking force
    • B60T8/32Arrangements for adjusting wheel-braking force to meet varying vehicular or ground-surface conditions, e.g. limiting or varying distribution of braking force responsive to a speed condition, e.g. acceleration or deceleration
    • B60T8/34Arrangements for adjusting wheel-braking force to meet varying vehicular or ground-surface conditions, e.g. limiting or varying distribution of braking force responsive to a speed condition, e.g. acceleration or deceleration having a fluid pressure regulator responsive to a speed condition
    • B60T8/40Arrangements for adjusting wheel-braking force to meet varying vehicular or ground-surface conditions, e.g. limiting or varying distribution of braking force responsive to a speed condition, e.g. acceleration or deceleration having a fluid pressure regulator responsive to a speed condition comprising an additional fluid circuit including fluid pressurising means for modifying the pressure of the braking fluid, e.g. including wheel driven pumps for detecting a speed condition, or pumps which are controlled by means independent of the braking system
    • B60T8/4072Systems in which a driver input signal is used as a control signal for the additional fluid circuit which is normally used for braking

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブレーキ液圧制御
装置に係り、特に、車両においてブレーキ液圧を任意の
液圧に制御する装置として好適なブレーキ液圧制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平4−24365
8号に開示される如く、車両においてブレーキ液圧を制
御するブレーキ液圧制御装置が知られている。上記従来
の装置は、マスタシリンダ圧を検出する液圧センサと、
ホイルシリンダ圧を検出する液圧センサとを備えてい
る。
【0003】ブレーキ液圧制御装置は、マスタシリンダ
圧とホイルシリンダ圧とに所定の関係が成立するように
ホイルシリンダ圧を制御する。従って、マスタシリンダ
圧とホイルシリンダ圧とが所定の関係を満たさない場合
は、ブレーキ液圧制御装置に何らかの故障が生じている
と判断できる。上記従来のブレーキ液圧制御装置は、か
かる手法で故障を検出する機能を備えている。このた
め、上記従来の装置によれば、システムの故障を確実に
検出することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の装
置によって検出することのできる内容は、故障の有無に
限定されている。すなわち、上記従来の装置によって
は、装置内の如何なる部位に故障が生じているかを特定
することができない。ブレーキ液圧制御装置に何らかの
故障が生じた場合に、有効なフェールセーフを図るうえ
では、故障の箇所が特定できることが望ましい。この
点、上記従来の装置は、有効なフェールセーフを実現す
るうえで必ずしも理想的なものではなかった。
【0005】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、システムに発生した故障の部位を特定すること
のできるブレーキ液圧制御装置を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、ホイルシリンダ圧を所定の液圧に調圧
する液圧調整機構を備えるブレーキ液圧制御装置におい
て、ホイルシリンダ圧を目標液圧に一致させるためのフ
ィードバック制御を行う制御手段と、前記目標液圧と前
記ホイルシリンダ圧との大小関係、および、前記目標液
圧と前記ホイルシリンダ圧との偏差に基づいて故障部位
を特定する故障部位特定手段と、を備えるブレーキ液圧
制御装置により達成される。
【0007】本発明において、ホイルシリンダ圧は、目
標液圧に一致するように制御される。従って、システム
が正常に作動する場合は、ホイルシリンダ圧が目標液圧
に近似する値となる。システムにもれ故障やつまり故障
が生ずると、ホイルシリンダ圧が目標液圧に制御できな
い事態が生ずる。この際、ホイルシリンダ圧と目標液圧
との間には、故障内容に応じた大小関係および偏差が生
ずる。本発明においては、その大小関係および偏差に基
づいて故障部位が特定される。。
【0008】また、請求項2に記載する如く、上記請求
項1記載のブレーキ液圧制御装置において、前記液圧調
整機構が制御弁を備えると共に、前記故障部位特定手段
によって前記制御弁の故障が検出された場合に、前記制
御弁を繰り返し開閉動作させるフェール対応手段を備え
るブレーキ液圧制御装置は、制御弁のつまり故障を解消
するうえで有効である。
【0009】本発明において、液圧調整機構が備える制
御弁の故障が検出された場合は、制御弁の開閉動作が繰
り返される。制御弁に噛み込んだ異物は、制御弁の開閉
動作が繰り返されることにより制御弁から離脱する。従
って、本発明によれば、漏れ故障の生じた制御弁を正常
な状態に復帰させることができる。更に、請求項3に記
載する如く、請求項1記載のブレーキ液圧制御装置にお
いて、前記故障部位特定手段が故障を検出する際の故障
判定条件を、ブレーキフルードの温度に応じて変更する
条件変更手段を備えるブレーキ液圧制御装置は、ブレー
キフルードの粘性変化に起因する故障の誤検出を防止す
るうえで有効である。
【0010】本発明において、故障部位特定手段が故障
を検出する際の故障判定条件は、ブレーキフルードの温
度に応じて変更される。ブレーキフルードの温度が変化
すると、その粘性の変化に起因して、目標油圧とホイル
シリンダ圧との関係も変化する。従って、本発明によれ
ば、故障判定条件がブレーキフルードの温度に応じて変
更されることで、故障の誤検出が防止される。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
ブレーキ液圧制御装置のシステム構成図を示す。本実施
例のブレーキ液圧制御装置は電子制御ユニット10(以
下、ECU10と称す)を備えている。また、本実施例
のブレーキ液圧制御装置はブレーキペダル11を備えて
いる。ブレーキペダル11の近傍にはブレーキスイッチ
12が配設されている。ブレーキスイッチ12は、ブレ
ーキペダル11が踏み込まれることによりオン信号を出
力する。ECU10は、ブレーキスイッチ12の出力信
号に基づいてブレーキペダル11が踏み込まれているか
否かを判別する。
【0012】ブレーキペダル11はブレーキブースタ1
3に連結されている。また、ブレーキブースタ13はマ
スタシリンダ14に固定されている。ブレーキブースタ
13は、ブレーキペダル11に加えられたブレーキ踏力
を増幅してマスタシリンダ14に伝達する。マスタシリ
ンダ14は、ブレーキ踏力に対して所定の倍力比を有す
るマスタシリンダ圧PMCを発生する。
【0013】マスタシリンダ14には、レギュレータ1
5が固定されている。マスタシリンダ14およびレギュ
レータ15の上部にはリザーバタンク16が配設されて
いる。リザーバタンク16には、ブレーキフルードが貯
留されている。マスタシリンダ14は、ブレーキペダル
11の踏み込みが解除されている場合にリザーバタンク
16と導通状態となる。
【0014】ブレーキ液圧制御装置はポンプ18を備え
ている。ポンプ18の吸入孔にはリザーバタンク16が
連通している。ポンプ18の吐出孔には、逆止弁20を
介してアキュムレータ22が接続されている。アキュム
レータ22は、ポンプ18から吐出される液圧をアキュ
ムレータ圧PACC として蓄える。ポンプ18は、アキュ
ムレータ圧PACC が所定の範囲内に収まるようにリザー
バタンク16内のブレーキフルードをアキュムレータ2
2側へ吐出する。
【0015】アキュムレータ22には、上述したレギュ
レータ15が連通している。レギュレータ15は、アキ
ュムレータ22を高圧源とし、かつ、リザーバタンク1
6を低圧源として、マスタシリンダ圧PMCと等しい液
圧(以下、レギュレータ圧PREGと称す)を生成す
る。レギュレータ15には液圧通路24が連通してい
る。液圧通路24にはブレーキ液圧センサ26(以下、
PREGセンサ26と称す)が連通している。PREG
センサ26はレギュレータ圧PREGに応じた出力信号
VREGを発生する。ECU10は、出力信号VREG
に基づいてレギュレータ圧PREGを検出する。
【0016】液圧通路24には、また、増圧用リニア制
御弁28(以下、SLA28と称す)および逆止弁30
を介して液圧通路31が連通している。SLA28は、
液圧通路24の液圧が液圧通路31の液圧に比して所定
のリリーフ圧Prel を超えて高圧である場合に開弁する
制御弁である。ECU10は、SLA28に対して駆動
信号VSLAを供給する。SLA28は、可変オリフィ
スの有効径を駆動信号VSLAに比例する値に変化させ
る。逆止弁30は、液圧通路31側から液圧通路24側
へ向かう流体の流れを許容する一方向弁である。
【0017】液圧通路31には、ブレーキ液圧センサ3
4(以下、PRWセンサ34と称す)が連通している。
PRWセンサ34は、液圧通路31の内部の液圧PRW
に応じた出力信号VRWを発生する。ECU10は、出
力信号VRWに基づいて液圧液圧PRWを検出する。液
圧通路31は、減圧用リニア制御弁36(以下、SLR
36と称す)、および、逆止弁38を介して減圧制限リ
ザーバ40に連通している。SLR36は、その内部に
可変オリフィスを備える制御弁である。ECU10は、
SLR36に対して駆動信号VSLRを供給する。SL
R36は、可変オリフィスの有効径を駆動信号VSLR
に比例する値に変化させる。逆止弁38は、減圧制限リ
ザーバ40側から液圧通路31側へ向かう流体の流れを
許容する一方向弁である。減圧制限リザーバ40は、そ
の内部に所定量のブレーキフルードを貯留することがで
きる。
【0018】液圧通路31には、保持弁42および逆止
弁44を介して液圧通路46が連通している。保持弁4
2は、常態で開弁状態を維持し、ECU10から駆動信
号が供給されることにより閉弁状態となる2位置の電磁
弁である。一方、逆止弁44は、液圧通路46側から液
圧通路31側へ向かう流体の流れを許容する一方向弁で
ある。
【0019】液圧通路46は、Pバルブ48を介して左
右後輪RL,RRのホイルシリンダ50,52に連通し
ていると共に、減圧弁54を介してリザーバ通路56に
連通している。SRR54は、常態で閉弁状態を維持
し、ECU10から駆動信号が供給されることにより開
弁状態となる2位置の電磁弁である。リザーバ通路56
は、上述したリザーバタンク16に連通している。
【0020】液圧通路31は、分離弁58(以下、SS
58と称す)を介して液圧通路60に連通している。S
S58は、常態で閉弁状態を維持し、ECU10から駆
動信号が供給されることにより開弁状態となる2位置の
電磁弁である。液圧通路60には、ブレーキ液圧センサ
62(以下、PFWセンサ62と称す)が配設されてい
る。PFWセンサ62は、液圧通路60内部の液圧PF
Rに対応する出力信号VFWを発生する。ECU10
は、その出力信号VFWに基づいて液圧PFWを検出す
る。
【0021】液圧通路60は、保持弁64および逆止弁
66を介して液圧通路68に連通していると共に、保持
弁70および逆止弁72を介して液圧通路74に連通し
ている。保持弁64,70は、共に、常態で開弁状態を
維持し、ECU10から駆動信号が供給されることによ
り閉弁状態となる2位置の電磁弁である。一方、逆止弁
66,72は、液圧通路68側または液圧通路74側か
ら液圧通路60側へ向かう流体の流れのみを許容する一
方向弁である。
【0022】液圧通路68および液圧通路74は、それ
ぞれ、左右前輪FL,FRのホイルシリンダ76,78
に連通していると共に、減圧弁80,82を介してリザ
ーバ通路56に連通している。減圧弁80,82は、常
態で閉弁状態を維持し、ECU10から駆動信号が供給
されることにより開弁状態となる2位置の電磁弁であ
る。
【0023】マスタシリンダ14には液圧通路84が連
通している。液圧通路84にはブレーキ液圧センサ86
(以下、PMCセンサ86と称す)が連通している。P
MCセンサ86は、マスタシリンダ圧PMCに応じた出
力信号VMCを発生する。ECU10は、出力信号VM
Cに基づいてマスタシリンダ圧PMCを検出する。液圧
通路84には、また、第1マスタカット弁88(以下、
SMC-188と称す)を介して液圧通路74が連通して
いると共に、第2マスタカット弁90(以下、SMC-2
90と称す)を介して液圧通路68が連通している。S
MC-188およびSMC-290は、共に、常態で開弁状
態を維持し、ECU10から駆動信号が供給されること
により閉弁状態となる2位置の電磁弁である。
【0024】液圧通路84には、更に、ブレーキストロ
ークシミュレータ92が連通している。ブレーキストロ
ークシミュレータ92は、SMC-188およびSMC-2
90が閉弁状態とされた際に、マスタシリンダ14から
流出するブレーキフルードを吸収して適正なブレーキフ
ィーリングを実現するための機構である。次に、図2を
参照して、本実施例のブレーキ液圧制御装置の基本動作
について説明する。
【0025】図2は、ECU10が実行するメインルー
チンのフローチャートを示す。本実施例のブレーキ液圧
制御装置は、ECU10が図2に示すメインルーチンを
実行することで、ブレーキ操作に対応する制動力を発生
する。図2に示すルーチンは、その処理が終了する毎に
繰り返し起動されるルーチンである。図2に示すルーチ
ンが起動されると、先ずステップ100の処理が実行さ
れる。
【0026】ステップ100では、1系統液圧制御の実
行が許可されているか否かが判別される。1系統液圧制
御は、ブレーキ液圧制御装置が正常に機能する場合に、
ブレーキ操作に対応する制動力を発生させるべく実行さ
れる制御である。本実施例において、1系統液圧制御
は、ブレーキ液圧制御装置に所定の故障が認められる場
合にその実行が禁止される。
【0027】本ルーチン中上記ステップ100で、1系
統液圧制御の実行が許可されていないと判別される場合
は、次にステップ102の処理が実行される。一方、1
系統液圧制御の実行が許可されていると判別される場合
は、次にステップ104の処理が実行される。ステップ
102では、フェール対応動作が実行される。すなわ
ち、本ステップ102は、ブレーキ液圧制御装置に所定
の故障が生じている場合に実行される。本ステップ10
2では、ブレーキ液圧制御装置に所定の故障が生じてい
る状況下で、運転者の意図する制動力を発生させるうえ
で最も適切なフェール対応動作が実行される。本ステッ
プ102の処理が終了すると、今回のルーチンが終了さ
れる。
【0028】ステップ104では、ブレーキ液圧制御装
置において制動要求が生じているか否かが判別される。
本ステップ104では、具体的には、出力信号VMCに
基づいてブレーキペダル11が踏み込まれているか否か
が判別される。その結果、ブレーキペダル11が踏み込
まれていないと判別される場合は、制動要求が生じてい
ないと判別される。この場合、次にステップ106の処
理が実行される。
【0029】ステップ106では、ブレーキ液圧制御装
置を通常状態、すなわち、図1に示す状態とする処理が
実行される。通常状態は、ブレーキ液圧制御装置が備え
る全ての制御弁をオフ状態とすることで実現される。本
ステップ106の処理が終了すると、今回のルーチンが
終了される。本ルーチン中上記ステップ104で、ブレ
ーキ液圧制御装置に制動要求が生じていると判別される
場合は、次にステップ108の処理が実行される。
【0030】ステップ108では、出力信号VMCに基
づいてマスタシリンダ圧PMCが検出される。本実施例
において、マスタシリンダ圧PMCは、ブレーキ操作量
を代用する値として把握することができる。ステップ1
10では、マスタシリンダ圧PMCに基づいて目標液圧
Pref が演算される。目標液圧Pref は、運転者の意図
する制動力を発生させるために、液圧通路31,60か
らホイルシリンダ50,52,76,78に供給するべ
き液圧である。
【0031】ステップ112では、液圧通路31の液圧
PRWと、液圧通路60の液圧PFWとが検出される。
ステップ114では、ホイルシリンダ圧PWCが演算さ
れる。ホイルシリンダ圧PWCは、全ての車輪のホイル
シリンダ50,52,76,78に導かれている液圧の
代表値である。ホイルシリンダ圧PWCは、例えば、液
圧PRWと液圧PFWとを平均することで演算される。
【0032】ステップ116では、目標液圧Pref とホ
イルシリンダ圧PWCとの偏差ΔP=Pref −PWCが
演算される。ステップ118では、SMC-188および
SMC-290をオン状態(閉弁状態)とする処理が実行
される。ステップ120では、SS58をオン状態(開
弁状態)とする処理が実行される。
【0033】上記ステップ118および120の処理に
よれば、左右後輪RL,RRのホイルシリンダ50,5
2を液圧通路31に連通させると共に、左右前輪FL,
FRのホイルシリンダ76,78を、マスタシリンダ1
4から遮断して液圧通路31に連通させることができ
る。上記の状態によれば、全ての車輪のホイルシリンダ
圧PWCをレギュレータ15を液圧源として制御するこ
とができる。
【0034】ステップ122では、SLA28およびS
LR36の協調制御が実行される。SLA28およびS
LR36の協調制御によれば、目標液圧Pref とホイル
シリンダ圧PWCとの偏差ΔPが小さくなるようにSL
A28およびSLR36に対して駆動電圧VSLA,V
SLRが供給される。具体的には、PWCがPref が比
して低圧である場合は、PWCの増圧を図るべく、SL
A28に対して偏差ΔPに応じた駆動信号VSLAが供
給される。また、PWCがPref が比して高圧である場
合は、PWCの減圧を図るべく、SLR36に対して偏
差ΔPに応じた駆動信号VSLAが供給される。そし
て、PWCがPref の近傍に制御されている場合は、P
WCの保持を図るべく、駆動電圧VSLAおよびVSL
Rが共に“0”とされる。
【0035】上記の協調制御によれば、ブレーキ液圧制
御装置が正常に機能する場合には、ホイルシリンダ圧P
WCを精度良く目標液圧Pref の近傍に制御することが
できる。上記ステップ122の処理が終了すると、今回
のルーチンが終了される。ところで、本実施例のブレー
キ液圧制御装置は、システムに何らかの故障が生じた場
合に、1系統液圧制御によってホイルシリンダ圧PWC
を適正に制御できない状態となることがある。このよう
な故障が発生した場合に、その故障部位を特定すること
ができれば、故障の影響を最小限に抑えて運転者の意図
する制動力を発生させるうえで最適なフェール対応動作
を決定することができる。従って、ブレーキ液圧制御装
置においては、故障部位を特定することが重要である。
【0036】本実施例のブレーキ液圧制御装置は、上記
の要求に応えるべく、故障の発生を検出し、かつ、検出
された故障の部位を特定するための処理を実行する点に
特徴を有している。以下、図3乃至図5を参照して、上
述した特徴部について説明する。図3乃至図5は、上記
の機能を実現すべくECU10が実行する制御ルーチン
のフローチャートを示す。図3乃至図5に示すルーチン
は、その処理が終了する毎に起動されるルーチンであ
る。図3乃至図5に示すルーチンが起動されると、先ず
ステップ124の処理が実行される。
【0037】ステップ124では、PMC−PREG>
KP1が所定時間KT1継続して成立するか否かが判別
される。上記の条件は、レギュレータ圧PREGがマス
タシリンダ圧PMCに比して不当に低圧である場合に成
立する。本実施例のブレーキ液圧制御装置において、シ
ステムが正常である場合は、ほぼレギュレータ圧PRE
Gとマスタシリンダ圧PMCとが等圧となる。
【0038】従って、上記の条件が成立すると判別され
る場合は、レギュレータ15、ポンプ18、レギュレー
タ22および液圧通路24等を含む経路(以下、REG
油圧配管系と称す)に故障が生じていると判断できる。
上記ステップ124でかかる判別がなされた場合は、次
にステップ126の処理が実行される。ステップ126
では、REG油圧配管系に故障が生じていることが認識
される。本ステップ126の処理が実行されると、EC
U10は、以後、REG油圧配管系故障に対応する適切
なフェール対応動作を実行する。本ステップ126の処
理が終了すると、今回のルーチンが終了される。
【0039】本ルーチンにおいて、上記ステップ124
の条件が成立しないと判別された場合は、次にステップ
128の処理が実行される。ステップ128では、PR
EG−PMC>KP2が所定時間KT2継続して成立す
るか否かが判別される。上記の条件は、マスタシリンダ
圧PMCがレギュレータ圧PREGに比して不当に低圧
である場合に成立する。従って、上記の条件が成立する
と判別される場合は、マスタシリンダ14、液圧通路8
4等を含む経路((以下、MC油圧配管系と称す)に故
障が生じていると判断できる。本ステップ128でかか
る判別がなされた場合は、次にステップ130の処理が
実行される。
【0040】ステップ130では、MC油圧配管系に故
障が生じていることが認識される。本ステップ130の
処理が実行されると、ECU10は、以後、MC油圧配
管系故障に対応する適切なフェール対応動作を実行す
る。本ステップ130の処理が終了すると、今回のルー
チンが終了される。本ルーチンにおいて、上記ステップ
128の条件が成立しないと判別された場合は、次にス
テップ132の処理が実行される。
【0041】ステップ132では、|PREG−PRW
|>KP3が所定時間KT3継続して成立するか否かが
判別される。上記の条件式中で用いられるしきい値KP
3は、実質的にSLA28のリリーフ圧Pref の最大値
と等しい値である。従って、SLA28が正常に機能す
る場合は、PREG−PRW>KP3が成立することは
ない。
【0042】また、本実施例のシステムにおいて、逆止
弁30が正常に機能する場合は、PRW−PREGがK
P3を超えることはない。このため、上記ステップ13
2で上記の条件が成立すると判別される場合は、SLA
28または逆止弁30につまり故障が生じていると判断
できる。この場合、次にステップ134の処理が実行さ
れる。
【0043】ステップ134では、SLA28または逆
止弁30につまり故障が生じていることが認識される。
本ステップ134の処理が実行されると、ECU10
は、以後、SLA28または逆止弁30のつまり故障に
対する適切なフェール対応動作を実行する。本ステップ
134の処理が終了すると、今回のルーチンが終了され
る。
【0044】本ルーチンにおいて、上記ステップ132
の条件が成立しないと判別された場合は、次に図4に示
すステップ136の処理が実行される。ステップ136
では、ブレーキ液圧制御装置において1系統液圧制御が
開始された後、所定時間αが経過しているか否かが判別
される。1系統液圧制御が開始されると、PFWセンサ
62の配設される液圧通路60が、PRWセンサ34の
配設される液圧通路31と導通状態となる。所定時間α
は、システムが正常である場合に、液圧通路62と液圧
通路31とが導通状態となった後、液圧PFRおよびP
RWがほぼ等圧となるのに要する時間である。
【0045】従って、上記ステップ136で、所定時間
αが経過していると判別された時点で液圧PFWと液圧
PRWとに大きな偏差が生じている場合は、システムが
正常に機能していないと判断することができる。本ルー
チン中上記ステップ136で、1系統液圧制御が開始さ
れた後、所定時間αが経過していると判別される場合
は、次にステップ138の処理が実行される。
【0046】ステップ138では、|PFW−PRW|
>KP4が所定時間KT4継続して成立したか否かが判
別される。上記の条件は、所定時間αが経過した時点
で、液圧PFWと液圧PRWとの間に大きな偏差が生じ
ている場合に成立する。本実施例のシステムにおいて、
このような事態は、SS58につまり故障が生じている
場合、および、ホイルシリンダ50,52,76,78
に連通する配管の何れかにもれ故障が生じた場合に発生
する。
【0047】従って、上記の条件が成立すると判別され
る場合は、SS58のもれ故障、または、前輪系配管ま
たは後輪系配管のもれ故障が生じていると判断できる。
上記ステップ138でかかる判別がなされた場合は、次
にステップ140の処理が実行される。ステップ140
では、SS58のつまり故障、または、前輪系配管また
は後輪系配管のもれ故障が発生していることが認識され
る。本ステップ140の処理が実行されると、ECU1
0は、以後、それらの故障に対応する適切なフェール対
応動作を実行する。本ステップ140の処理が終了する
と、今回のルーチンが終了される。
【0048】本ルーチンにおいて、上記ステップ138
の条件が成立しないと判別された場合は、次にステップ
142の処理が実行される。ステップ142では、|P
REG−PFW|>KP5が所定時間KT5継続して成
立したか否かが判別される。上記の条件式中で用いられ
るしきい値KP5は、実質的にSLA28のリリーフ圧
Pref の最大値と等しい値である。従って、システムが
正常である場合は、1系統液圧制御が開始された後、所
定時間αが経過した時点で、|PREG−PFW|>K
P5が成立することはない。
【0049】本実施例のシステムにおいて、1系統液圧
制御が開始された後、所定時間αが経過した時点でPR
EG−PFW>KP5が成立する場合は、液圧PFWが
不当に低圧であると判断できる。このような状況は、S
LA28またはSS58につまり故障が生じている場
合、および、前輪のホイルシリンダ76,78に通じる
配管にもれ故障が生じている場合に発生する。
【0050】また、本実施例のシステムにおいて、1系
統液圧制御が開始された後、所定時間αが経過した時点
でPFW−PREG>KP5が成立する場合は、液圧P
FWが不当に高圧であると判断できる。このような状況
は、逆止弁30につまり故障が生じている場合に発生す
る。従って、上記ステップ144で、上記の条件が成立
すると判別される場合は、SLA28、逆止弁30また
はSS58のつまり故障、または、前輪系配管のもれ故
障が生じていると判断できる。この場合、次にステップ
144の処理が実行される。
【0051】ステップ144では、SLA28、逆止弁
30またはSS58のつまり故障、または、前輪系配管
のもれ故障が発生していることが認識される。本ステッ
プ144の処理が実行されると、ECU10は、以後、
それらの故障に対応する適切なフェール対応動作を実行
する。本ステップ144の処理が終了すると、今回のル
ーチンが終了される。
【0052】本ルーチンにおいて、上記ステップ136
の条件が成立しないと判別された場合、および、上記ス
テップ142の条件が成立しないと判別された場合は、
次にステップ146の処理が実行される。ステップ14
6では、PREG−PRW>KP6およびPref −PW
C>KP7の少なくとも一方が成立する期間が、所定時
間KT6継続したか否かが判別される。PREG−PR
W>KP6が成立する場合は、SLA28につまり故障
が生じていると判断できる。
【0053】また、Pref −PWC>KP7が成立する
と判別される場合は、PWCが目標液圧Pref に比して
不当に低圧であると判断できる。PWCは、SLA28
またはSLR36に作動故障が生じた場合、および、前
輪系配管または後輪系配管にもれ故障が発生した場合に
目標液圧Pref に比して低圧となる。このため、上記ス
テップ146の条件が成立する場合は、SLA28また
はSLR36の作動故障、または、前輪系配管または後
輪系配管のもれ故障が発生していると判断することがで
きる。上記ステップ146で、かかる判別がなされた場
合は、次にステップ148の処理が実行される。
【0054】ステップ148では、SLA28またはS
LR36の作動故障、または、前輪系配管または後輪系
配管のもれ故障が発生していることが認識される。本ス
テップ148の処理が実行されると、ECU10は、以
後、それらの故障に対応する適切なフェール対応動作を
実行する。本ステップ148の処理が終了すると、今回
のルーチンが終了される。
【0055】本ルーチンにおいて、上記ステップ146
の条件が成立しないと判別された場合は、次に図5に示
すステップ150の処理が実行される。ステップ150
では、ホイルシリンダ圧PWCのフィードバック制御を
伴うブレーキ制御が実行中であるか否かが判別される。
その結果、ブレーキ制御が実行中でないと判別される場
合は、以後、何ら処理が進められることなく今回のルー
チンが終了される。一方、ブレーキ制御が実行中である
と判別される場合は、次にステップ152の処理が実行
される。
【0056】ステップ152では、以下に示す全ての条
件が所定時間KT7継続して成立するか否かが判別され
る。 VSLA>0 VSLR=0 Pref −PWC>KP8 上記〜の条件は、SLA28およびSLR36に対
して、確実にホイルシリンダ圧PWCの増圧を要求する
駆動信号が供給されている状況下で、目標液圧Pref に
比してホイルシリンダ圧PWCが十分に低圧である場合
に成立する。
【0057】上記ステップ152の条件で用いられる
しきい値KP8は、SLA28から液圧通路31へ供給
されるブレーキフルードが、何れかの配管から多量に漏
れだす場合にのみ成立する値に設定されている。従っ
て、上記ステップ152で、上記〜の条件が所定時
間KT7継続して成立すると判別される場合は、何れか
の配管にもれ故障が生じていると判断できる。上記ステ
ップ152でかかる判別がなされた場合は、次にステッ
プ154の処理が実行される。
【0058】ステップ154では、前輪系配管または後
輪系配管の何れかにもれ故障が生じていることが認識さ
れる。本ステップ154の処理が実行されると、ECU
10は、以後、その故障に対応する適切なフェール対応
動作を実行する。本ステップ154の処理が終了する
と、今回のルーチンが終了される。本ルーチンにおい
て、上記ステップ152の条件が成立しないと判別され
た場合は、次にステップ156の処理が実行される。
【0059】ステップ156では、以下に示す全ての条
件が所定時間KT8継続して成立するか否かが判別され
る。 VSLA≧0 VSLR=0 Pref −PWC>KP9(<KP8) 上記〜の条件は、SLA28およびSLR36に対
して、確実にホイルシリンダ圧PWCの増圧または保持
を要求する駆動信号が供給されている状況下で、目標液
圧Pref に比してホイルシリンダ圧PWCが低圧である
場合に成立する。
【0060】上記ステップ156の条件で用いられる
しきい値KP9は、SLA28から液圧通路31へ供給
されるブレーキフルードが、僅かに漏れだす場合にのみ
成立する値に設定されている。本実施例のシステムにお
いて、かかる事態は、SLR36にもれ故障が生じてい
る場合に発生する。上記ステップ156の処理によりか
かる事態が検出される場合は、次にステップ158の処
理が実行される。
【0061】ステップ158では、SLR36にもれ故
障が生じていることが認識される。本ステップ158の
処理が実行されると、ECU10は、以後、その故障に
対応する適切なフェール対応動作を実行する。本ステッ
プ158の処理が終了すると、今回のルーチンが終了さ
れる。本ルーチンにおいて、上記ステップ156の条件
が成立しないと判別された場合は、次にステップ160
の処理が実行される。
【0062】ステップ160では、以下に示す全ての条
件が所定時間KT9継続して成立するか否かが判別され
る。 減圧制限リザーバ40が非ボトム状態 VSLA=0 VSLR>0 PWC−Pref >KP10 本実施例のシステムにおいて、減圧制限リザーバ40に
流入したブレーキフルードは、ブレーキペダル11の踏
み込みが解除されることによりレギュレータ圧PREG
が減圧されると、逆止弁38,30を通ってレギュレー
タ15に戻される。従って、減圧制限リザーバ40に貯
留されるブレーキフルードの量は、ブレーキペダル11
が踏み込まれた後、SLR36を流通したブレーキフル
ード量を累積することで検出することができる。
【0063】本実施例において、ECU10は、かかる
手法により減圧制限リザーバ40に流入したブレーキフ
ルードの量を検出する。そして、その流入量が減圧制限
リザーバ40の容量に達している場合は、減圧制限リザ
ーバ40がボトム状態に達したと判断する。従って、上
記ステップ160では、減圧制限リザーバ40に流入し
たブレーキフルードの量が、減圧制限リザーバ40の容
量に達していない場合に上記の条件が成立すると判別
される。
【0064】減圧制限リザーバ40が非ボトム状態であ
る場合は、ホイルシリンダ内のブレーキフルードを、S
LR36を通して減圧制限リザーバ40へ流入させるこ
と、すなわち、ホイルシリンダ圧PWCの減圧を図るこ
とが可能である。上記〜の条件は、かかる状況下
で、SLA28およびSLR36が減圧駆動されている
にも関わらず、ホイルシリンダ圧PWCが目標液圧Pre
f に比して十分に高圧である場合に成立する。
【0065】本実施例のシステムにおいて、このような
事態は、SLA26にもれ故障が生じている場合、SM
-188またはSMC-290にもれ故障が生じている場
合、SLR36につまり故障が生じている場合、およ
び、減圧制限リザーバ40に固着故障が生じている場合
に発生する。上記ステップ160の処理により、かかる
事態の発生が認められる場合は、次にステップ162の
処理が実行される。
【0066】ステップ162では、SLA26のもれ故
障、SMC-188またはSMC-290のもれ故障、SL
R36のつまり故障、および、減圧制限リザーバ40の
固着故障の何れかが発生していることが認識される。本
ステップ162の処理が実行されると、ECU10は、
以後、それらの故障に対応する適切なフェール対応動作
を実行する。本ステップ162の処理が終了すると、今
回のルーチンが終了される。
【0067】本ルーチンにおいて、上記ステップ160
の条件が成立しないと判別された場合は、次にステップ
164の処理が実行される。ステップ164では、以下
に示す全ての条件が所定時間KT10継続して成立する
か否かが判別される。 VSLA=0 VSLR≧0 PWC−Pref >KP10(<KP9) 上記〜の条件は、SLA28およびSLR36に対
して、確実にホイルシリンダ圧PWCの減圧または保持
を要求する駆動信号が供給されている状況下で、目標液
圧Pref に比してホイルシリンダ圧PWCが高圧である
場合に成立する。
【0068】上記ステップ164の条件で用いられる
しきい値KP10は、SLA28に僅かに漏れが生じて
いる場合、および、SMC-188またはSMC-290に
僅かに漏れが生じている場合に成立する値に設定されて
いる。従って、上記ステップ164で、条件〜が成
立すると判別される場合は、SLA28,SMC-188
またはSMC-290に、ブレーキフルードの僅かな漏出
を許容するもれ故障が生じていると判断できる。上記ス
テップ164で、かかる判別がなされた場合は、次にス
テップ166の処理が実行される。一方、上記ステップ
164で、かかる判別がなされない場合は、以後、速や
かに今回のルーチンが終了される。
【0069】ステップ166では、SLA28、SLA
28またはSMC-188、SMC-290の何れかに漏れ
故障が生じていることが認識される。本ステップ166
の処理が実行されると、ECU10は、以後、その故障
に対応する適切なフェール対応動作を実行する。本ステ
ップ166の処理が終了すると、今回のルーチンが終了
される。
【0070】上述の如く、本実施例のブレーキ液圧制御
装置によれば、液圧回路の各部に発生する液圧を比較す
ることにより、液圧回路の故障を検出し、かつ、検出し
た故障の部位を特定することができる。特に、本実施例
のブレーキ液圧制御装置によれば、ホイルシリンダ圧P
WCのフィードバック制御を伴うブレーキ制御の実行中
に、目標液圧Pref とホイルシリンダ圧PWCとを比較
することで、種々の故障についてその部位を特定するこ
とができる。
【0071】また、本実施例のブレーキ液圧制御装置
は、検出した故障部位を特定した後、その故障の内容に
対して、最も適切なフェール対応動作を実行する。従っ
て、本実施例のブレーキ液圧制御装置によれば、液圧回
路の故障に対して優れたフェールセーフ機能を実現する
ことができる。次に、本実施例のブレーキ液圧制御装置
が、SLR36の故障を検出した際に実行するフェール
対応動作について説明する。
【0072】図6は、SLR36の故障に対するフェー
ル対応動作を実現すべくECU10が実行する制御ルー
チンのフローチャートを示す。図6に示すルーチンは、
その処理が終了する毎に繰り返し起動されるルーチンで
ある。図6に示すルーチンが起動されると、先ずステッ
プ170の処理が実行される。ステップ170では、S
LR36の故障が検出されているか否かが判別される。
その結果、SLR36の故障が検出されていないと判別
される場合は、以後、何ら処理が進められることなく今
回のルーチンが終了される。一方、SLR36の故障が
検出されていると判別される場合は、次にステップ17
2の処理が実行される。
【0073】ステップ172では、第1リフレッシュカ
ウンタCREF1がインクリメントされる。CREF1
は、イニシャル処理により“0”にリセットされてい
る。CREF1は、SLR36のリフレッシュ処理の実
行回数を計数するためのカウンタである。ステップ17
4では、CREF1の計数値が所定値n0 に達している
か否かが判別される。その結果、未だCREF1≧n0
が成立しないと判別される場合は、次にステップ176
の処理が実行される。
【0074】ステップ176では、回生協調制御の実行
を禁止するためのフラグ処理が行われる。車両の駆動源
としてモータを搭載する電気自動車やハイブリッド自動
車では、運転者によって制動力が実行される際に、モー
タを発電機として用いて制動エネルギの回生の図る。こ
の際、モータは、回生制動力を発生する。回生協調制御
は、モータが回生制動力を発生する際に、車両に生ずる
制動力の総和が運転者の意図する制動力となるように各
輪のホイルシリンダ圧PWCを調圧する制御である。本
ステップ176の処理が実行されると、以後、回生協調
制御の実行が禁止される。
【0075】ステップ178では、車両が停車中である
か否かが判別される。本ステップ178の処理は、車両
が停車中であると判別されるまで繰り返し実行される。
その結果、車両が停車中であると判別されると、次にス
テップ180の処理が実行される。ステップ180で
は、SLR36のリフレッシュ処理が実行される。具体
的には、SLA28を全開状態(リリーフ圧Prel 最低
の状態)とする処理、および、SLR36をデューティ
駆動する処理、すなわち、SLR36を繰り返し開閉動
作させる処理が実行される。
【0076】ステップ182では、上記ステップ180
の処理が開始された後、所定時間が経過したか否かが判
別される。その結果、未だ所定時間が経過していないと
判別される場合は、再び上記ステップ176の処理が実
行される。一方、所定時間が経過していると判別される
場合は、今回のルーチンが終了される。上記の処理によ
れば、SLR36の故障が認められる場合には、車両の
停車中に、SLA28を全開状態としたうえで、すなわ
ち、SLR36にレギュレータ圧PREGを供給した状
態で、SLR36を繰り返し開閉させることができる。
レギュレータ圧PREGが供給された状態でSLR36
の開閉動作が繰り返されると、SLR36に噛み込んで
いた異物が脱落し、SLR36が正常な状態に復帰する
ことがある。このため、本実施例のブレーキ液圧制御装
置によれば、SLR36の故障に対して、優れたフェー
ルセーフ機能を実現することができる。
【0077】本ルーチン中上記ステップ174で、CR
EF1≧n0 が成立すると判別された場合は、複数回に
わたるリフレッシュ処理の実行にも関わらず、SLR3
6が正常な状態に復帰しないと判断することができる。
この場合、次にステップ184の処理が実行される。ス
テップ184では、1系統液圧制御の実行を禁止するた
めのフラグ処理が行われる。本ステップ184の処理が
実行されると、以後、上記図2に示すステップ100で
1系統液圧制御の実行が許可されていないと判別され、
その結果、1系統液圧制御の実行が禁止される。
【0078】ステップ186では、SLR36に故障が
生じていることを運転者に報知するための警報処理が実
行される。本ステップ186の処理が実行されると、今
回のルーチンが終了される。上記の処理によれば、SL
R36に、リフレッシュ処理で対処できない故障が生じ
た場合に、確実にその状態を認識し、リフレッシュ処理
が不要に繰り返されるのを防止することができる。
【0079】ところで、上記の実施例においては、所定
時間が経過した時点でSLR36のデューティ駆動を終
了させることとしているが、本発明はこれに限定される
ものではなく、開閉動作が所定回数繰り返された時点で
SLR36のデューティ駆動を終了させることとしても
よい。次に、本実施例のブレーキ液圧制御装置が、SL
A28の故障を検出した際に実行するフェール対応動作
について説明する。
【0080】図7は、SLA28の故障に対するフェー
ル対応動作を実現すべくECU10が実行する制御ルー
チンのフローチャートを示す。図7に示すルーチンは、
その処理が終了する毎に繰り返し起動されるルーチンで
ある。図7に示すルーチンが起動されると、先ずステッ
プ190の処理が実行される。ステップ190では、S
LA28の故障が検出されているか否かが判別される。
その結果、SLA28の故障が検出されていないと判別
される場合は、以後、何ら処理が進められることなく今
回のルーチンが終了される。一方、SLA28の故障が
検出されていると判別される場合は、次にステップ19
2の処理が実行される。
【0081】ステップ192では、第2リフレッシュカ
ウンタCREF2がインクリメントされる。CREF2
は、イニシャル処理により“0”にリセットされてい
る。CREF2は、SLA28のリフレッシュ処理の実
行回数を計数するためのカウンタである。ステップ19
4では、CREF2の計数値が所定値n0 に達している
か否かが判別される。その結果、未だCREF2≧n0
が成立しないと判別される場合は、次にステップ196
の処理が実行される。
【0082】ステップ196では、回生協調制御の実行
を禁止するためのフラグ処理が行われる。本ステップ1
96の処理が実行されると、以後、回生協調制御の実行
が禁止される。ステップ198では、ブレーキスイッチ
12の出力信号が、オン状態からオフ状態に変化したか
否か、すなわち、ブレーキペダル11の踏み込みが解除
されたか否かが判別される。本ステップ198の処理
は、上記の条件が成立すると判別されるまで繰り返し実
行される。その結果、ブレーキスイッチ12の出力信号
がオン状態からオフ状態に変化したと判別されると、次
にステップ200の処理が実行される。
【0083】ステップ200では、SLA28のリフレ
ッシュ処理が実行される。具体的には、SLA28を所
定のデューティ比で繰り返し開閉動作させる処理が実行
される。ステップ202では、上記ステップ200の処
理が開始された後、所定時間が経過したか否かが判別さ
れる。その結果、未だ所定時間が経過していないと判別
される場合は、再び上記ステップ200の処理が実行さ
れる。一方、所定時間が経過していると判別される場合
は、今回のルーチンが終了される。
【0084】上記の処理によれば、SLA28の故障が
認められる場合には、ブレーキペダル11の踏み込みが
解除される時期と同期して、SLA28を繰り返し開閉
させることができる。ブレーキペダル11の踏み込みが
解除された時点では、ホイルシリンダ側から、または、
減圧制限リザーバ40から、SLA28に向けてブレー
キフルードが逆流する。従って、かかる状況下でSLA
28の開閉動作が繰り返されると、SLA28に噛み込
んでいた異物が脱落し、SLA28が正常な状態に復帰
することがある。このため、本実施例のブレーキ液圧制
御装置によれば、SLA28の故障に対して、優れたフ
ェールセーフ機能を実現することができる。
【0085】本ルーチン中上記ステップ194で、CR
EF2≧n0 が成立すると判別された場合は、複数回に
わたるリフレッシュ処理の実行にも関わらず、SLA2
8が正常な状態に復帰しないと判断することができる。
この場合、次にステップ204の処理が実行される。ス
テップ204では、1系統液圧制御の実行を禁止するた
めのフラグ処理が行われる。本ステップ204の処理が
実行されると、以後、上記図2に示すステップ100で
1系統液圧制御の実行が許可されていないと判別され、
その結果、1系統液圧制御の実行が禁止される。
【0086】ステップ206では、SLA28に故障が
生じていることを運転者に報知するための警報処理が実
行される。本ステップ206の処理が実行されると、今
回のルーチンが終了される。上記の処理によれば、SL
A28に、リフレッシュ処理で対処できない故障が生じ
た場合に、確実にその状態を認識し、リフレッシュ処理
が不要に繰り返されるのを防止することができる。
【0087】ところで、上記の実施例においては、所定
時間が経過した時点でSLA28のデューティ駆動を終
了させることとしているが、本発明はこれに限定される
ものではなく、開閉動作が所定回数繰り返された時点で
SLA28のデューティ駆動を終了させることとしても
よい。次に、本発明の第2実施例について説明する。
【0088】上述の如く、上記第1実施例のブレーキ液
圧制御装置は、液圧回路の各部に発生する液圧を比較す
ることにより、液圧回路の故障を検出する。すなわち、
上記第1実施例では、液圧回路の特定の部位に対応して
現れる圧力差が、正常時に現れるべき圧力差に比して大
きい場合に、当該部位に故障が生じていると判定され
る。しかし、液圧回路に生ずる圧力差は、ブレーキフル
ードの粘性が増大するほど、すなわち、ブレーキフルー
ドが低温になるほど大きくなる。
【0089】例えば上記ステップ124での故障判定に
関して、ブレーキフルードの粘性が大きくなるほど、レ
ギュレータ圧PREGとマスタシリンダ圧PMCとの間
に大きな差圧が現れる。また、例えば上記ステップ15
2での故障判定に関して、SLA28が正常に増圧動作
を行っていても、ブレーキフルードの粘性が大きくなる
ほど目標液圧Pref とホイルシリンダ圧PWCとの間に
大きな偏差が現れる。このため、極低温時に、常温時と
同じしきい値KP1及びKP8を用いて故障判定を行う
と、REG油圧配管系及びSLA28が正常であるにも
かかわらず、故障が生じているとの誤った判定がなされ
る可能性がある。従って、REG油圧配管系及びSLA
28の故障検出精度を向上すべく、ブレーキフルードの
温度低下に応じてしきい値KP1及びKP8を増加させ
ることが適切である。同様に、液圧回路の他の部位につ
いても、それらの故障検出精度を向上すべく、ブレーキ
フルードの温度低下に応じて、それぞれのしきい値を増
加させることが適切である。
【0090】本実施例のブレーキ液圧制御装置は、上記
の要求に応えるべく、図1に示すシステムにおいて、E
CU10が図2〜図7に示すルーチンに加えて、図8及
び図9に示すルーチンを実行することにより実現され
る。なお、本実施例において、ECU10は、上記した
回生協調制御を実行する回生ECUと通信ラインを介し
て接続されている。回生ECUは、更に、エンジンを制
御するエンジンECUと通信ラインを介して接続されて
いる。エンジンECUは、エンジン冷却水の水温(以
下、エンジン水温THと称す)を常時監視し、エンジン
水温THに応じて、2つのフラグFENG1及びFEN
G2の状態を設定する。すなわち、フラグFENG1
は、エンジン水温THが所定の低温THL以下の場合に
オン状態とされ、THがTHLを越える場合にオフ状態
とされる。また、フラグFENG2は、エンジン水温T
Hが所定の高温THH以上の場合にオン状態とされ、T
HがTHHに達しない場合にオフ状態とされる。エンジ
ンECUは、これら2つのフラグFENG1及びFEN
G2を回生ECUに向けて送信する。回生ECUは、エ
ンジンECUから受信したフラグFENG1及びFEN
G2をECU10へ転送する。ECU10は、回生EC
Uから受信したフラグFENG1及びFENG2のオン
・オフ状態に基づいて、ブレーキフルードの温度状態を
判定する。
【0091】以下、図8及び図9に示すルーチンの内容
について説明する。図8及び図9に示すルーチンは、そ
の処理が終了する毎に起動されるルーチンである。先
ず、図8に示すルーチンについて説明する。図8は、ブ
レーキフルードの温度状態を判定すべくECU10が実
行するルーチンのフローチャートを示す。図8に示すル
ーチンが起動されると、先ずステップ300の処理が実
行される。ステップ300では、イグニッションスイッ
チがオンされた後、所定時間T1以上経過したか否かが
判別される。ECU10、回生ECU、及び、エンジン
ECUは、イグニッションスイッチがオンされた直後に
イニシャルチェック処理を実行する。所定時間T1は、
このイニシャルチェック処理に要する時間を考慮して設
定される時間であり、イグニッションスイッチがオンさ
れた後、所定時間T1以上経過していない場合は、回生
ECU又はエンジンECUがイニシャルチェックを実行
している可能性があると判断される。ステップ300に
おいてかかる判断がなされた場合は、フラグFENG1
及びFENG2を受信できず、従って、フラグFENG
1及びFENG2に基づく温度判定を行うことができな
いと判断され、次にステップ302の処理が実行され
る。ステップ302では、低温フラグFLOWがオン状
態にセットされる。一方、ステップ300において所定
時間T1以上経過している場合は、次にステップ304
の処理が実行される。
【0092】ステップ304では、ECU10と回生E
CUとを接続する通信ラインが正常であるか否かが判別
される。その結果、通信ラインが正常でなければ、EC
U10はフラグFENG1及びFENG2を受信するこ
とができない。この場合、フラグFENG1及びFEN
G2に基づく温度判定を行なうことはできないと判断さ
れ、次に上記ステップ302において低温フラグFLO
Wがオン状態にセットされる。一方、ステップ304に
おいて通信ラインが正常であれば、次にステップ306
の処理が実行される。
【0093】ステップ306では、フラグFENG1及
びFENG2が適正に設定されているか否かが判別され
る。上記の如く、フラグFENG1はエンジン水温TH
がTHL以下の低温時にオン状態とされるフラグであ
り、一方、フラグFENG2はエンジン水温THがTH
H以上の高温時にオン状態とされるフラグである。従っ
て、フラグFENG1及びFENG2は、それらが適正
に設定されている限り、共にオン状態をとることはあり
得ない。そこで、ステップ306では、フラグFENG
1及びFENG2が共にオン状態である場合に、これら
のフラグは適正に設定されていないと判断される。この
場合、フラグFENG1及びFENG2に基づく温度判
定を行うことはできないと判断され、次に上記ステップ
302において、低温フラグFLOWがオン状態にセッ
トされる。一方、ステップ306においてフラグFEN
G1及びFENG2が適正に設定されていれば、次にス
テップ308の処理が実行される。
【0094】ステップ308では、フラグFENG1が
オフ状態であるか否かが判別される。その結果、オフ状
態でなければ、エンジン水温THは所定の低温THL以
下であることになる。この場合、ブレーキフルードは極
低温状態にある蓋然性が高いと判断されて、次に上記ス
テップ302において、低温フラグFLOWがオン状態
にセットされる。一方、ステップ308において、フラ
グFENG1がオフ状態であれば、ブレーキフルードは
常温状態にあると判断される。この場合、次にステップ
310において、低温フラグFLOWがオフ状態にリセ
ットされる。ステップ310の処理が終了すると、今回
のルーチンは終了される。
【0095】上記ステップ302に続くステップ312
では、低温フラグFLOWが所定時間T2以上にわたっ
てオン状態に維持されているか否かが判別される。その
結果、肯定判別された場合は、所定時間T2以上にわた
る液圧回路の作動により、ブレーキフルードは常温状態
まで昇温されていると判断される。この場合、次に上記
ステップ310において、低温フラグFLOWがオフ状
態にリセットされる。一方、ステップ312において否
定判別された場合は、次にステップ314の処理が実行
される。
【0096】ステップ314では、現時点から所定時間
T3以上前にフラグFENG2がオン状態にセットされ
たことがあるか否かが判別される。その結果、肯定判別
された場合は、エンジン水温THが所定の高温THH以
上となった後、少なくとも所定時間T3にわたってブレ
ーキ液圧制御装置が継続して作動していることになる。
この場合、その間の液圧回路の作動によりブレーキフル
ードは常温状態まで昇温されていると判断され、次に上
記ステップ310において、低温フラグFLOWがオフ
状態にリセットされる。一方、ステップ314において
否定判別された場合は、低温フラグFLOWがオン状態
に維持されたまま、今回のルーチンは終了される。
【0097】上記ステップ312及び314の処理によ
れば、エンジン水温THのみならず、液圧回路の作動に
伴うブレーキフルードの温度上昇をも考慮して、ブレー
キフルードの温度状態を判定することができる。従っ
て、図8に示すルーチンによれば、ブレーキフルードの
温度状態をより正確に判定することができる。なお、上
記ルーチンでは、ステップ308においてフラグFEN
G1がオン状態である場合のみならず、ステップ30
0、304、306において否定判別された場合、すな
わち、フラグFENG1及びFENG2に基づく温度判
定を行うことができない場合にも、ステップ302にお
いて低温フラグFLOWがオン状態にセットされる。後
述する如く、低温フラグFLOWがオン状態である場合
には、故障判定を行う際のしきい値KP1〜KP11
は、低温フラグFLOWがオフ状態である場合よりも大
きな値に設定される。上記図3乃至図5に示すルーチン
では、所定の圧力差がしきい値KP1〜KP11を越え
た場合に故障が検出されるため、しきい値KP1〜KP
11が大きな値に設定されると、故障検出は行われ難く
なる。従って、上記図8に示すルーチンによれば、フラ
グFENG1及びFENG2に基づく温度判定を行うこ
とができない場合に低温フラグFLOWがオン状態にセ
ットされることで、かかる場合にも故障の誤検出が起こ
り難くなっている。
【0098】次に、図9に示すルーチンについて説明す
る。図9は、ブレーキフルードの温度状態に応じてしき
い値KP1〜KP11の値を補正すべくECU10が実
行するルーチンのフローチャートを示す。図9に示すル
ーチンが起動されると、先ずステップ350の処理が実
行される。ステップ350では、低温フラグFLOWが
オフ状態であるか否かが判別される。その結果、低温フ
ラグFLOWがオフ状態であれば、すなわち、ブレーキ
フルードが常温状態にあれば、次にステップ352の処
理が実行される。一方、ステップ350において低温フ
ラグFLOWがオン状態であれば、すなわち、ブレーキ
フルードが極低温状態にあれば、次にステップ354の
処理が実行される。
【0099】ステップ352では、しきい値KPi(i
=1〜11)に所定値CPiを代入する処理が実行され
る。所定値CPiは、ブレーキフルードが常温状態にあ
る場合のしきい値KPiに対応する値である。ステップ
352の処理が終了すると、今回のルーチンは終了され
る。ステップ354では、しきい値KPiに(CPi+
αi)(αi>0)を代入する処理が実行される。上述
の如く、ブレーキフルードが極低温状態にある場合に
は、粘性の増加に起因して、液圧回路の各部位に現れる
圧力差は常温時に比して上昇する。αiは、極低温状態
でのかかる差圧上昇分を考慮して、液圧回路の各部位に
対応して設定される補正値である。ステップ354の処
理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0100】上述の如く、図8に示すルーチンによれ
ば、ブレーキフルードの温度状態を正確に判定すること
ができる。そして、図9に示すルーチンによれば、ブレ
ーキフルードの温度状態に応じてしきい値KP1〜KP
11の値を変更することにより、上記図3乃至図5に示
すルーチンにおける各部位の故障判定条件を、ブレーキ
フルードの粘性変化に応じた適切な条件に補正すること
ができる。従って、本実施例のブレーキ液圧制御装置に
よれば、ブレーキフルードの温度変化に起因する誤検出
を防止して故障検出精度を向上することができる。ま
た、故障の誤検出が防止されることで、図6及び図7に
示すルーチンにおいて、誤った故障検出に基づいてフェ
ール対応動作が不当に実行されるのを防止することがで
きる。
【0101】なお、上記第2実施例では、しきい値KP
1〜KP11のみをブレーキフルードの温度に応じて変
更することとしたが、本発明はこれに限定されるもので
はなく、時間に関する判定値KT1〜KT10をブレー
キフルードの温度に応じて変更することとしてもよい。
すなわち、本来等圧であるべき2つの圧力間に一時的に
圧力差が生じた場合、ブレーキフルードの粘性が大きい
ほど、その圧力差が解消するまでに長時間を要するよう
になる。従って、極低温状態におけるKT1〜KT10
の値を、上記しきい値KP1〜KP11と共に、又は、
単独で、常温状態における値より大きくすることによっ
ても、故障検出精度の向上を図ることができる。
【0102】また、上記第2実施例では、しきい値KP
1〜KP11を常温状態及び極低温状態に対応して2段
階に変更することとしたが、本発明はこれに限定される
ものではなく、ブレーキフルードの温度に応じて3段階
以上に変更することとしてもよい。更に、上記第2実施
例では、エンジン水温THに基づいてブレーキフルード
の温度状態を判定することとしたが、これに限らず、液
圧回路自体又はその近傍に温度センサを設け、ブレーキ
フルードの温度をより直接的に検出することとしてもよ
い。
【0103】なお、上記第1及び第2の実施例において
は、ブレーキ液圧制御装置の液圧回路が請求項に記載し
た「液圧調整機構」に、SLA28およびSLR36が
請求項に記載した「制御弁」に、それぞれ相当している
と共に、ECU10が、ホイルシリンダ圧PWCを目標
液圧Pref に一致させるべくフィードバック制御を実行
することにより請求項に記載した「制御手段」が、上記
ステップ152〜166の処理を実行することにより請
求項に記載した「故障部位特定手段」が、上記ステップ
170〜182および190〜202の処理を実行する
ことにより請求項に記載した「フェール対応手段」が、
上記図9に示すルーチンを実行することにより請求項に
記載した「条件変更手段」が、それぞれ実現されてい
る。
【0104】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、ホイルシリンダ圧と目標液圧との間に如何なる大小
関係および偏差が生じているかに基づいて、システムの
故障部位を特定することができる。また、請求項2記載
の発明によれば、開閉弁につまり故障が生じた場合に、
その故障を検出すると共に、開閉弁を正常な状態に復帰
させることができる。
【0105】更に、請求項3記載の発明によれば、ブレ
ーキフルードの温度変化に起因する故障の誤検出を防止
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるブレーキ液圧制御装置
のシステム構成図である。
【図2】図1に示すブレーキ液圧制御装置において実行
されるメインルーチンのフローチャートである。
【図3】図1に示すブレーキ液圧制御装置において故障
の検出および故障部位の特定を行うべく実行される制御
ルーチンのフローチャート(その1)である。
【図4】図1に示すブレーキ液圧制御装置において故障
の検出および故障部位の特定を行うべく実行される制御
ルーチンのフローチャート(その2)である。
【図5】図1に示すブレーキ液圧制御装置において故障
の検出および故障部位の特定を行うべく実行される制御
ルーチンのフローチャート(その3)である。
【図6】図1に示すブレーキ液圧制御装置においてSL
Rの故障に対するフェール対応動作を実現すべく実行さ
れる制御ルーチンのフローチャートである。
【図7】図1に示すブレーキ液圧制御装置においてSL
Aの故障に対するフェール対応動作を実現すべく実行さ
れる制御ルーチンのフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施例において、ブレーキフルー
ドの温度状態を判定すべく実行される制御ルーチンのフ
ローチャートである。
【図9】本発明の第2実施例において、ブレーキフルー
ドの温度状態に応じて故障判定のしきい値を変更すべく
実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 電子制御ユニット(ECU) 26 液圧センサ(PREGセンサ) 28 増圧用リニア制御弁(SLA) 36 減圧用リニア制御弁(SLR) 40 減圧制限リザーバ 58 分離弁(SS) 62 液圧センサ(PFWセンサ) 86 液圧センサ(PMCセンサ) PREG レギュレータ圧 PFW 前輪系ホイルシリンダ圧 PMC マスタシリンダ圧
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 星野 正喜 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−115415(JP,A) 特開 平4−252765(JP,A) 特開 平4−243658(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 17/22 B60T 8/88

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホイルシリンダ圧を所定の液圧に調圧す
    る液圧調整機構を備えるブレーキ液圧制御装置におい
    て、 ホイルシリンダ圧を目標液圧に一致させるためのフィー
    ドバック制御を行う制御手段と、 前記目標液圧と前記ホイルシリンダ圧との大小関係、お
    よび、前記目標液圧と前記ホイルシリンダ圧との偏差に
    基づいて故障部位を特定する故障部位特定手段と、 を備えることを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のブレーキ液圧制御装置に
    おいて、 前記液圧調整機構が制御弁を備えると共に、 前記故障部位特定手段によって前記制御弁の故障が検出
    された場合に、前記制御弁を繰り返し開閉動作させるフ
    ェール対応手段を備えることを特徴とするブレーキ液圧
    制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のブレーキ液圧制御装置に
    おいて、 前記故障部位特定手段が故障を検出する際の故障判定条
    件を、ブレーキフルードの温度に応じて変更する条件変
    更手段を備えることを特徴とするブレーキ液圧制御装
    置。
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