JP3918335B2 - ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ブレーキペダルの踏込による通常制動制御の他に、アンチロックブレーキ制御、駆動力制御、旋回性能制御等の他の制御手段による制動制御を行うようにしたブレーキ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のブレーキ制御装置としては、例えば特開平7−250402号公報に記載されているものがある。
この従来例は、電気自動車における通常制動制御と回生制動制御とを行うようにした電気自動車の制動制御装置であるが、マスタシリンダとホイールシリンダとの間に回生制動に相当する差圧を発生する差圧弁及びデューティ制御される切替油圧弁を並列に接続し、常時は切替油圧弁を閉状態として、差圧弁によってホイールシリンダに回生制動に相当する圧力を減圧したホイールシリンダ圧を供給するが、回生制動に異常が発生して、回生制動力が零となったときに、切替油圧弁をデューティ制御して開閉を繰り返すことにより、ホイールシリンダ圧を徐々にマスタシリンダ圧に近づけてブレーキペダルの踏込深さが深くなることを防止してブレーキフィーリングを改善するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のブレーキ制御装置にあっては、回生制動が異常となってホイールシリンダ圧を徐々にマスタシリンダ圧まで上昇させて一致させるようにしてるので、この間はホイールシリンダのホイールシリンダ圧が徐々に増加して制動力が増加するが、回生制動力分を補うまでに時間がかかり、この間に制動力不足が生じるという未解決の課題がある。
【0004】
この未解決の課題を解決するために、異常発生と同時にマスタシリンダとホイールシリンダとを直結すると、マスタシリンダ圧が変動し、特にブレーキペダルの踏込量に基づいく制動圧制御と、他のトラクション制御や横滑り抑制制御等によって制動圧制御を行う場合に、マスタシリンダ圧に対してホイールシリンダ圧が高い状態に制御しているときには、マスタシリンダ圧が高くなってブレーキペダルにキックバックが生じ、運転者に違和感を与えるという未解決の課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、外部圧力によって各輪の制動手段に制動圧を供給する制御系に異常が発生したときに、ペダル踏込感覚を損なうことなく、短時間でホイールシリンダ圧をマスタシリンダ圧に一致させることができるブレーキ制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係るブレーキ制御装置は、ブレーキペダルの踏込量に応じた制動圧の作動流体を出力するマスタシリンダと、車輪を制動する制動力を発生する制動手段と、前記マスタシリンダから出力された作動流体を吸収するストロークシミュレータと、作動流体を加圧する流体圧ポンプ及びその出側圧力を蓄圧する蓄圧手段を有する外部制動圧発生手段と、該蓄圧手段の蓄圧を減圧制御して任意の制動圧を前記制動手段に出力する圧力制御弁と、前記マスタシリンダと制動手段との間に介挿された第1の電磁開閉弁と、前記ストロークシミュレータ及び前記マスタシリンダ間に介挿された作動流体の流通を断続制御する第2の電磁開閉弁と、前記ブレーキペダルの踏込量を検出するブレーキ踏込量検出手段と、該ブレーキ踏込量検出手段で検出したブレーキペダル踏込量に基づく制動圧指令値及び他の制御手段からの制動圧指令値に応じて前記圧力制御弁を制御すると共に、第1の電磁開閉弁を閉状態に且つ第2の電磁開閉弁を開状態に夫々制御する制動制御手段とを備えたブレーキ制御装置において、前記マスタシリンダの制動圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、前記外部制動圧発生手段が異常状態であることを検出する異常検出手段と、該異常検出手段で異常を検出し、且つブレーキ踏込量検出手段でブレーキペダルの踏込を検出したときに、前記圧力制御弁に対する圧力指令値をマスタシリンダ圧検出手段で検出したマスタシリンダ圧に一致するようにステップ状に補正すると共に、マスタシリンダ圧と制動手段の制動圧とが一致した後に前記第1の電磁開閉弁を開状態に且つ第2の電磁開閉弁を閉状態に夫々切換制御する異常処理手段とを備え、前記異常処理手段は、前記第1の電磁開閉弁及び第2の電磁開閉弁の切換制御を、異常発生時のマスタシリンダ圧と圧力指令値との偏差に応じて設定されるマスタシリンダ圧と制動手段の制動圧とが一致するに必要十分な設定時間経過後に行うように構成されていることを特徴としている。
【0007】
この請求項1に係る発明においては、ブレーキペダルを踏込んだ制動状態で、第1の電磁開閉弁を閉状態、第2の電磁開閉弁を開状態として、マスタシリンダ圧をストロークシミュレータに供給することにより、所定のペダルフィーリングを確保しながら、圧力制御弁で外部制動圧発生手段からの制動圧を運転者の要求減速度に応じた圧力指令値と他の例えば横滑り抑制制御による圧力指令値とを加算したマスタシリンダ圧より高い圧力指令値に基づいて減圧して、制動手段に供給している正常状態で、外部制動圧発生手段で異常が発生して圧力制御弁に対する供給圧が低下したときには、圧力指令値をマスタシリンダ圧に一致するようにステップ状に変更する。これに応じて圧力制御弁から出力される制動圧が比較的急峻に低下して、マスタシリンダ圧に一致した後に第1の電磁開閉弁を開状態、第2の電磁開閉弁を閉状態とすることにより、マスタシリンダ圧が直接制動手段に供給されて、通常の制動動作が確保され、このときのマスタシリンダ圧の変動を確実に防止することができる。
【0008】
また、第1及び第2の電磁開閉弁の開閉を切換える切換制御を異常発生時のマスタシリンダ圧と圧力指令値との偏差に基づいて設定した設定時間経過後に行うようにしているので、切換制御を適切に行うことができると共に、制動手段の制動圧を検出する必要がなく、構成を簡易化することができる。
【0010】
さらに、請求項2に係るブレーキ制御装置は、ブレーキペダルの踏込量に応じた制動圧の作動流体を出力するマスタシリンダと、車輪を制動する制動力を発生する制動手段と、前記マスタシリンダから出力された作動流体を吸収するストロークシミュレータと、作動流体を加圧する流体圧ポンプ及びその出側圧力を蓄圧する蓄圧手段を有する外部制動圧発生手段と、該蓄圧手段の蓄圧を減圧制御して任意の制動圧を前記制動手段に出力する圧力制御弁と、前記マスタシリンダと制動手段との間に介挿された第1の電磁開閉弁と、前記ストロークシミュレータ及び前記マスタシリンダ間に介挿された作動流体の流通を断続制御する第2の電磁開閉弁と、前記ブレーキペダルの踏込量を検出するブレーキ踏込量検出手段と、該ブレーキ踏込量検出手段で検出したブレーキペダル踏込量に基づく制動圧指令値及び他の制御手段からの制動圧指令値に応じて前記圧力制御弁を制御すると共に、第1の電磁開閉弁を閉状態に且つ第2の電磁開閉弁を開状態に夫々制御する制動制御手段とを備えたブレーキ制御装置において、前記マスタシリンダの制動圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、前記圧力制御弁が減圧異常状態であることを検出する制御弁異常検出手段と、該制御弁異常検出手段で異常を検出し、且つブレーキ踏込量検出手段でブレーキペダルの踏込を検出したときに、正常な前記圧力制御弁に対する圧力指令値をマスタシリンダ圧検出手段で検出したマスタシリンダ圧より低い相殺設定圧に一致するようにステップ状に補正すると共に、前記相殺設定圧と制動手段の制動圧とが一致した後に前記第1の電磁開閉弁を開状態に且つ第2の電磁開閉弁を閉状態に夫々切換制御する異常処理手段とを備えていることを特徴としている。
【0011】
この請求項2に係る発明においては、圧力制御弁が減圧できなくなる減圧異常となったときに、正常な圧力制御弁に対する圧力指令値をマスタシリンダ圧よりも低い相殺設定圧にステップ状に変更するので、正常な圧力制御弁側の制動手段の制動圧がマスタシリンダ圧より低く制御され、これが相殺設定圧に達した後に第1の電磁開閉弁を開状態とし、第2の電磁開閉弁を閉状態として、マスタシリンダ圧を直接両制動手段に供給するので、減圧異常が発生した制動手段での高い制動圧を正常な制動手段での低い制動圧で相殺することにより、マスタシリンダ圧の変動を防止することができる。
【0012】
さらにまた、請求項3に係るブレーキ制御装置は、ブレーキペダルの踏込量に応じた制動圧の作動流体を出力するマスタシリンダと、車輪を制動する制動力を発生する制動手段と、前記マスタシリンダから出力された作動流体を吸収するストロークシミュレータと、作動流体を加圧する流体圧ポンプ及びその出側圧力を蓄圧する蓄圧手段を有する外部制動圧発生手段と、該蓄圧手段の蓄圧を減圧制御して任意の制動圧を前記制動手段に出力する圧力制御弁と、前記マスタシリンダと制動手段との間に介挿された第1の電磁開閉弁と、前記ストロークシミュレータ及び前記マスタシリンダ間に介挿された作動流体の流通を断続制御する第2の電磁開閉弁と、前記ブレーキペダルの踏込量を検出するブレーキ踏込量検出手段と、該ブレーキ踏込量検出手段で検出したブレーキペダル踏込量に基づく制動圧指令値及び他の制御手段からの制動圧指令値に応じて前記圧力制御弁を制御すると共に、第1の電磁開閉弁を閉状態に且つ第2の電磁開閉弁を開状態に夫々制御する制動制御手段とを備えたブレーキ制御装置において、前記マスタシリンダの制動圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、前記圧力制御弁が圧力指令値にかかわらず低圧状態を維持する低圧異常状態であることを検出する制御弁異常検出手段と、該制御弁異常検出手段で異常を検出し、且つブレーキ踏込量検出手段でブレーキペダルの踏込を検出したときに、正常な前記圧力制御弁に対する圧力指令値をマスタシリンダ圧検出手段で検出したマスタシリンダ圧より高い相殺設定圧に一致するようにステップ状に補正すると共に、前記相殺設定圧と制動手段の制動圧とが一致した後に前記第1の電磁開閉弁を開状態に且つ第2の電磁開閉弁を閉状態に夫々切換制御する異常処理手段とを備えていることを特徴としている。
【0013】
この請求項3に係る発明においては、圧力制御弁で圧力指令値が入力されているにもかかわらず、制動圧が低い状態を維持する低圧異常が発生したときには、異常となった圧力制御弁で制御される制動手段の制動圧がマスタシリンダ圧よりも低くなっているが、低圧異常発生時に正常な圧力制御弁の圧力指令値がマスタシリンダ圧よりも高い相殺設定圧にステップ状に変更されることにより、この正常な圧力制御弁で制御される制動手段の制動圧がマスタシリンダ圧より高く制御され、この状態で第1の電磁開閉弁を開状態に、第2の電磁開閉弁を閉状態に夫々切換制御して、マスタシリンダ圧が直接両制動手段に供給するので、異常発生側の制動手段の制動圧が正常側の制動手段の制動圧で相殺されることにより、マスタシリンダ圧の変動を防止することができる。
【0014】
なおさらに、請求項4に係るブレーキ制御装置は、請求項2又は3に係る発明において、前記異常処理手段は、前記第1の電磁開閉弁及び第2の電磁開閉弁の切換制御は、相殺設定圧と異常発生時の圧力指令値との偏差に応じて設定されるマスタシリンダ圧と制動手段の制動圧とが一致するに必要十分な設定時間経過後に行うように構成されていることを特徴としている。
【0015】
この請求項4に係る発明においては、第1及び第2の電磁開閉弁の開閉を切換える切換制御を異常発生時の相殺設定圧と圧力指令値との偏差に基づいて設定した設定時間経過後に行うようにしているので、切換制御を適切に行うことができると共に、制動手段の制動圧を検出する必要がなく、構成を簡易化することができる。
【0016】
また、請求項5に係るブレーキ制御装置は、請求項1又は4に係る発明において、前記異常処理手段は、作動流体温度を検出する流体温度検出手段と、該流体温度検出手段の検出温度が高いときには設定時間を短く補正し、低いときには設定時間を長く補正する補正手段とを備えていることを特徴としている。
【0017】
この請求項5に係る発明においては、作動流体温度に応じて設定時間を変更するので、粘性の変化による誤差を補償して必要十分な設定時間を設定することができる。
さらに、請求項6に係るブレーキ制御装置は、請求項1、4及び5の何れか1つの発明において、前記異常処理手段は、前輪側に対する設定時間が後輪側の設定時間に比較して制動手段の液圧−液量特性に応じて長く設定されていることを特徴としている。
【0018】
この請求項6に係る発明においては、前後輪の液圧−液量特性に応じて設定時間が設定されるので、前後の制動手段で最適な設定時間を設定することができる。
【0019】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、制動手段がマスタシリンダ圧より高い制動圧に制御されている正常状態で、外部制動圧発生手段で異常が発生して圧力制御弁に対する供給圧が低下したときに、圧力指令値をマスタシリンダ圧に一致するようにステップ状に変更し、制動手段の制動圧がマスタシリンダ圧に一致した後に第1の電磁開閉弁を開状態、第2の電磁開閉弁を閉状態とするので、制動手段の制動圧を短時間でマスタシリンダ圧とした状態でマスタシリンダ圧が制動手段に供給されることになり、短時間で通常制動状態に復帰すると共に、マスタシリンダ圧の変動を確実に防止して、ブレーキペダルにキックダウン力が作用されることを確実に防止することができるという効果が得られる。
【0020】
また、第1及び第2の電磁開閉弁の開閉を切換える切換制御を異常発生時のマスタシリンダ圧と圧力指令値との偏差に基づいて設定した設定時間経過後に行うようにしているので、切換制御を適切に行うことができると共に、制動手段の制動圧を検出するセンサを別設する必要がなく、構成を簡易化することができるという効果が得られる。
【0021】
さらに、請求項2に係る発明によれば、圧力制御弁が減圧できなくなる減圧異常となったときに、正常な圧力制御弁に対する圧力指令値をマスタシリンダ圧よりも低い相殺設定圧にステップ状に変更し、正常な圧力制御弁側の制動手段の制動圧がマスタシリンダ圧より低い相殺設定圧に達した後にマスタシリンダ圧を直接両制動手段に供給するので、減圧異常が発生した制動手段での高い制動圧を正常な制動手段での低い制動圧で相殺することにより、短時間で通常制動状態に復帰すると共に、マスタシリンダ圧の変動を確実に防止して、ブレーキペダルにキックダウン力が作用されることを確実に防止することができるという効果が得られる。
【0022】
さらにまた、請求項3に係る発明によれば、圧力制御弁が圧力指令値にかかわらず低い制動圧を維持する低圧異常となったときに、正常な圧力制御弁に対する圧力指令値をマスタシリンダ圧よりも高い相殺設定圧にステップ状に変更し、正常な圧力制御弁側の制動手段の制動圧がマスタシリンダ圧より高い相殺設定圧に達した後にマスタシリンダ圧を直接両制動手段に供給するので、低圧異常が発生した制動手段での低い制動圧を正常な制動手段での高い制動圧で相殺することにより、短時間で通常制動状態に復帰すると共に、マスタシリンダ圧の変動を確実に防止して、ブレーキペダルにキックダウン力が作用されることを確実に防止することができるという効果が得られる。
【0023】
なおさらに、請求項4に係る発明によれば、第1及び第2の電磁開閉弁の開閉を切換える切換制御を異常発生時の相殺設定圧と圧力指令値との偏差に基づいて設定した設定時間経過後に行うようにしているので、切換制御を適切に行うことができると共に、制動手段の制動圧を検出するセンサを別設する必要がなく、構成を簡易化することができるという効果が得られる。
【0024】
また、請求項5に係る発明によれば、作動流体温度に応じて設定時間を変更するので、粘性の変化による誤差を補償して必要十分な最適な設定時間を設定することができるという効果が得られる。
さらに、請求項6に係る発明によれば、前後輪の液圧−液量特性に応じて設定時間が設定されるので、前後の制動手段で最適な設定時間を設定することができるという効果が得られる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明をの一実施形態を示す概略構成図であり、図中、1はブレーキペダル2の踏込量に応じて駆動輪としての例えば前輪側及び従動輪としての後輪側に対する2系統の前輪側マスタ圧PMfの作動流体及び後輪側マスタ圧PMrの作動流体を発生する共通の加圧室を有し、両マスタ圧PMf及びPMrを夫々前輪側出力ポートp1及び後輪側出力ポートp2から出力するマスタシリンダである。
【0026】
このマスタシリンダ1から出力される前輪側マスタ圧PMfの作動流体は第1の電磁開閉弁3FL及び3FRの一方の入力側ポートp1に夫々供給され、後輪側マスタ圧PMrの作動流体は同様の第1の電磁切換弁3RL及び3RRの一方のポートp1に夫々供給される。
【0027】
そして、各電磁開閉弁3FL,3FR及び3RL,3RRの他方のポートp2は、左右の前輪4FL,4FR及び左右の後輪4RL,4RRに制動力を作用させる制動用シリンダとしてのホイールシリンダ5FL,5FR及び5RL,5RRに連通されている。
【0028】
また、電磁開閉弁3FL〜3RRの夫々は、ソレノイドs1に供給される後述するコントロールユニット30からの制御信号SD がオフ状態であるときにノーマル位置となってポートp1及びポートp2間が連通されて開状態となり、ソレノイドs1に供給される制御信号SD がオン状態であるオフセット位置でポートp1及びp2間が遮断されて閉状態となる。
【0029】
一方、マスタシリンダ1のリザーバ1aに、電動モータ7によって回転駆動される流体圧ポンプとしての油圧ポンプ8の吸込側が接続され、この油圧ポンプ8の吐出側に蓄圧手段としてのアキュムレータ9が接続され、このアキュムレータ9の蓄圧が電磁比例型のスプールを有する圧力制御弁11FL,11FR及び11RL,11RRの供給ポートpsに供給されている。
【0030】
ここで、油圧ポンプ8は、アキュムレータ9の蓄圧が、予め設定された第1の設定圧力以下となると電動モータ7が後述するコントロールユニット30によって回転駆動されることにより駆動されて、アキュムレータ9の蓄圧を第1の設定圧力より高い第2の設定圧力まで上昇させる。
【0031】
また、マスタシリンダ1の前輪側出力ポートp1に第2の電磁開閉弁12を介してストロークシミュレータ13が接続されている。このストロークシミュレータ13は、圧力制御弁11FL〜11RRによって制動圧が制御されているときに、消費油量をシミュレートし、マスタシリンダ1から吐出される油量を吸収して消費することにより、ブレーキペダルの踏込感覚を確保するように構成されている。
【0032】
このストロークシミュレータ13の具体的構成は、図1に示すように、両端を閉塞した円筒状のハウジング17と、このハウジング17内に摺動自在に配設されてこのハウジング内を上室17a及び下室17bの2室に画成するピストン18と、下室17b内に配設されてピストン18を上方に付勢する弾性体としてのコイルスプリング19と、ピストン18の外周面にハウジング17の内周面と密接して配設されたシール部材20とで構成され、上室17aが入出力ポート21を介して第3の電磁開閉弁12に接続されている。
【0033】
さらに、圧力制御弁11FL,11FR及び11RL,11RRの制御ポートpcが直接ホイールシリンダ5FL,5FR及び5RL,5RRに接続され、戻りポートpdが直接マスタシリンダ1のリザーバ1aに接続されている。
ここで、圧力制御弁11FL〜11RRの夫々は、図2に示すように、電磁ソレノイドs1に入力される電流値でなる制御信号CSFL〜CSRRに比例した値の制動圧Pcを出力するように構成されている。
【0034】
また、ブレーキペダル2には、例えばマスタシリンダ1の出側に設けられた配管内に作動油温度を検出する油温センサ22が配設され、そのストロークを検出するストロークセンサ22が配設され、またマスタシリンダ1の後輪側ポートp2に接続された油圧配管には、マスタシリンダ1から吐出される作動流体の前輪側マスタシリンダ圧PMrを検出するマスタ圧検出手段としてのマスタ圧センサ23が配設されていると共に、アキュムレータ9にその蓄圧を検出する蓄圧センサ24が配設されている。
【0035】
そして、第1の電磁開閉弁3FL〜3RR、第2の電磁開閉弁12が例えばマイクロコンピュータを含んで構成されるコントロールユニット30によって制御される。
このコントロールユニット30には、油温センサ22で検出される作動油温度To、マスタ圧センサ23で検出される後輪側マスタ圧PMrの検出信号DPM 及び蓄圧センサ24で検出される蓄圧PAが入力され、これらに基づいて所定の演算処理を行って、第1の電磁開閉弁3FL〜3RR、第2の電磁開閉弁12を制御する。
【0036】
すなわち、マスタ圧センサ23で検出した前輪側マスタ圧PMrに基づいて要求減速度即ち要求制動圧を算出し、これに応じた圧力指令値を求めると共に、この圧力指令値と他の例えば車両の横滑り状態を制動力を制御することにより適正状態に維持する横滑り抑制制御装置31、アンチロックブレーキ制御装置32、トラクション制御装置33からの圧力指令値とに基づいて圧力制御弁11FL〜11RRに対する圧力指令値としての目標ホイールシリンダ圧を算出し、これに応じてホイールシリンダ圧を制御し、このホイールシリンダ圧制御状態で油圧ポンプ8やアキュムレータ9等の外部圧力発生手段や圧力制御弁11FL〜11RRに異常が発生したときに、ホイールシリンダ圧を短時間でマスタシリンダ圧に一致させてから第1の電磁開閉弁3FL〜3RRを開状態とし、第2の電磁開閉弁12を閉状態として、マスタシリンダ圧を直接ホイールシリンダ5FL〜5RRに供給して通常制動状態に復帰させる。
【0037】
次に、上記実施形態の動作をコントロールユニット30で実行するブレーキ制御処理手順の一例を示す図3及び図4のフローチャートを伴って説明する。
すなわち、コントロールユニット30では、図3に示すブレーキ制御処理を実行する。
【0038】
このブレーキ制御処理は、先ず、ステップS1で、蓄圧センサ23で検出したアキュムレータ圧PAを読込み、次いでステップS2に移行して、読込んだアキュムレータ圧PAが予め設定した油圧ポンプ7、電動モータ8及びアキュムレータ9で構成される外部制動圧発生手段が正常状態であるか否かを判定する閾値となる比較的高い設定圧力PAs以上であるか否かを判定し、PA≧PAsであるときには、外部制動圧発生手段が正常であると判断してステップS3に移行する。
【0039】
このステップS3では、マスタ圧センサ23で検出したマスタシリンダ圧PMrを読込み、次いで、ステップS4に移行して、読込んだマスタシリンダ圧PMrが予め設定した比較的小さい所定閾値PMs(例えば1MPa程度の小さい値)を越えているか否かを判定し、PMr≦PMsであるときには、ブレーキペダル2を踏込んでいない非制動時であるか又はほんの僅かに踏込んだ極緩制動時であり、圧力制御弁11FL〜11RRを使用した制動制御の必要性がないものと判断してステップS5に移行する。
【0040】
このステップS5では、他のアンチロックブレーキ制御装置31、トラクション制御装置32及び横滑り抑制制御装置33からの圧力指令値が入力されているか否かを判定し、これらが入力されていないときには、ステップS6に移行して、第1の電磁開閉弁3FL〜3RRに対して開状態を維持する論理値“0”の制御信号SD を出力すると共に、残りの第2の電磁開閉弁10F,10Rに対して閉状態を維持する論理値“0”の制御信号SE を出力し、さらに圧力制御弁11FL〜11RRに対する圧力指令値CPをマスタシリンダ圧PMrに一致させてから前記ステップS1に戻る。
【0041】
一方、ステップS4の判定結果が、PMr>PMsであるときには、圧力制御弁11FL〜11RRを使用した制動制御を必要とするものと判断して、ステップS7に移行して、第1の電磁開閉弁3FL〜3RRを閉状態とする論理値“1”の制御信号SD を出力すると共に、残りの第2の電磁開閉弁10F,10Rを開状態とする論理値“1”の制御信号SE を出力してからステップS8に移行する。
【0042】
このステップS8では、マスタシリンダ圧PMrに基づいて運転者の要求する減速度に応じた要求制動力DBを算出し、この要求制動力DBを発生することができる圧力指令値CPを算出し、これを記憶装置の所定記憶領域に更新記憶してからステップS9に移行する。
【0043】
このステップS9では、前述したアンチロックブレーキ制御装置31、トラクション制御装置32及び横滑り抑制制御装置33の何れかから圧力指令値が入力されているか否かを判定し、これらから圧力指令値が入力されていないときには直接ステップS11に移行して記憶装置に記憶されている圧力指令値CPを各圧力制御弁11FL〜11RRに出力し、他の制御装置31〜33から圧力指令値が入力されているときにはステップS10に移行して、アンチロックブレーキ制御装置31からの圧力指令値である場合には、この圧力指令値をステップS8で算出した圧力指令値CPに優先させ、残りのトラクション制御装置32及び横滑り抑制制御装置33の圧力指令値であるときにはこれらの圧力指令値をステップS8で算出した圧力指令値CPに加算した値を圧力指令値CPとして記憶装置の所定記憶領域に更新記憶してからステップS11に移行する。
【0044】
このステップS11では、記憶装置の所定記憶領域に記憶されている圧力指令値CPを各圧力制御弁11FL〜11RRに個別に出力してから前記ステップS1に戻る。
さらに、前記ステップS2の判定結果がPA<PAsであるときには油圧ポンプ7を含む外部制動圧発生手段に異常が発生したものと判断して、ステップS12に移行し、外部制動圧異常処理を行ってから前記ステップS1に戻る。
【0045】
この外部制動圧異常処理は、図4に示すように、先ず、ステップS21で、マスタ圧センサ23で検出したマスタシリンダ圧PMrを読込み、次いでステップS22に移行して、図3のステップS4と同様にマスタシリンダ圧PMrが予め設定された比較的小さい設定圧力PMsを上回っているか否かを判定し、PMr>PMsであるときには、制動状態であると判断して、ステップS23に移行する。
【0046】
このステップS23では、圧力制御弁11FL〜11RRの圧力指令値CP(n) として現在のマスタシリンダ圧PMrを設定し、これを記憶装置の所定記憶領域に更新記憶すると共に、圧力制御弁11FL〜11RRに出力してからステップS24に移行する。
【0047】
このステップS24では、上記ステップS23で設定する前の圧力指令値CP(n-1) からマスタシリンダ圧PMrを減算した値の絶対値を圧力偏差ΔPW1として算出し、次いで、ステップS25に移行して、圧力偏差ΔPW1をもとに図5に示す設定時間算出マップを参照して前輪側設定時間t1F及び後輪側設定時間t1Rを算出する。
【0048】
ここで、設定時間算出マップは、図5に示すように、横軸に圧力偏差ΔPW1をとり、縦軸に設定時間をとり、前輪側設定時間t1Fについては、圧力偏差ΔPW1が“0”であるときに“0”となり、これから圧力偏差ΔPW1が増加するにつれて前輪側設定時間t1Fが増加するように略45度の傾斜角で増加する特性直線LF が設定され、後輪側設定時間t1Rについては、圧力偏差ΔPW1が“0”であるときに“0”となり、これから圧力偏差ΔPW1が増加するにつれて前輪側設定時間t1Fの約半分程度の増加量となるように特性直線LF の約半分程度の角度で増加する特性直線LR が設定され、前輪側及び後輪側の液圧−液量特性に応じた設定時間が設定される。
【0049】
次いで、ステップS26に移行して、油温センサ22で検出された作動油温度Toを読込み、次いで、ステップS27に移行して、読込んだ作動油温度Toをもとに図6に示す補正値算出マップを参照して設定時間補正値Δto を算出する。
【0050】
ここで、補正値算出マップは、図6に示すように、作動油温度Toが予め設定した設定温度Tsであるときに補正値Δto が“1”となり、これより作動油温度Toが低下するにつれて曲率が小さくなって急峻となり、補正値Δto が急激に“1”より大きい方向に増加し、逆に作動油温度Toが設定温度Tsより増加するにつれて徐々に曲率が大きくなって補正値Δto が徐々に“1”より小さい方向に減少する特性曲線LT が設定され、圧力制御弁11FL〜11RRでの出力圧の減少特性に応じた補正値Δto が設定される。
【0051】
次いで、ステップS28に移行して、ステップS25で算出した設定時間t1F,t1RにステップS27で算出した補正値Δto を乗算して前輪側設定時間tF 及び後輪側設定時間tR を算出し、これらの設定時間をタイマに設定してからステップS29に移行する。
【0052】
このステップS29では、後輪側設定時間tR が経過したか否かを判定し、これが経過していないときには経過するまで待機し、経過したときにはステップS30に移行して、第1の電磁開閉弁3RL,3RRを開状態とする論理値“0”の制御信号SDRを出力してからステップS31に移行する。
【0053】
このステップS31では、前輪側設定時間tF が経過したか否かを判定し、これが経過していないときには経過するまで待機し、経過したときにはステップS32に移行して、第1の電磁開閉弁3FL,3FRを開状態とする論理値“0”の制御信号SDFを出力すると共に、第2の電磁開閉弁12を閉状態とする論理値“0”の制御信号SE を出力してから外部制動圧異常処理及び図3のブレーキ制御処理を終了する。
【0054】
一方、前述したステップS22の判定結果がPMr≦PMsであるときには、非制動状態であると判断してステップS33に移行して、第1の電磁開閉弁3FL〜3RRを徐々に開状態とする“1”・“0”を繰り返すデューティ制御信号SDF,SDRを出力すると共に、第2の電磁開閉弁12を閉状態とする論理値“0”の制御信号SE を出力してから外部制動圧異常処理及び図3のブレーキ制御処理を終了する。
【0055】
したがって、今、電動モータ7、油圧ポンプ8、アキュムレータ9で構成される外部制動圧発生手段が正常な状態で走行してる場合には、図3の処理において、ステップS2からステップS3に移行して、ブレーキペダル2が解放された非制動状態で且つ他の制御装置31〜33から圧力指令値が入力されていない状態では、マスタシリンダ圧PMrが略“0”であるので、ステップS4からステップS5を経てステップS6に移行して、第1の電磁開閉弁3FL〜3RRが開状態に、第2の電磁開閉弁12が閉状態に制御されるため、マスタシリンダ圧PMf及びPMrが直接各車輪4FL〜4RRに対するホイールシリンダ5FL〜5RRに供給され、このとき、圧力制御弁11FL〜11RRに対する圧力指令値CPも略“0”となり、圧力制御弁11FL〜11RRの出力圧即ち制動圧も略“0”に制御されることにより、各ホイールシリンダ5FL,5FRに供給されるシリンダ圧も“0”となっており、非制動状態を維持する。
【0056】
この状態から、アクセルペダルを解放し、これに代えてブレーキペダル2を踏込むと、これに応じてマスタシリンダ1の前輪側及び後輪側マスタ圧PMf及びPMrが増加し、前輪側マスタ圧PMfが設定圧PMsに達するまでの間は、ステップS6に移行して、電磁開閉弁3FL〜3RRがノーマル位置に保持されると共に、圧力制御弁11FL〜11RRの圧力指令値CPが前輪側及び後輪側マスタ圧PMf及びPMrの増加に応じて、これと一致するように増加される。
【0057】
この状態で、前輪側マスタ圧PMrが設定圧PMsに達すると、ステップS4からステップS7に移行して、第1の電磁開閉弁3FL〜3RRが共にオフセット位置に切換えられて閉状態に切換えられると共に、第2の電磁開閉弁12もオフセット位置に切換えられて、開状態に切換えられる。
【0058】
この結果、マスタシリンダ1から出力される前輪側及び後輪側マスタ圧PMf及びPMrが第2の電磁開閉弁12を介してストロークシミュレータ17に供給される一方、マスタシリンダ圧PMrに応じて各圧力制御弁11FL〜11RRに対する圧力指令値CPが個別に算出され、これらが圧力制御弁11FL〜11FRに出力されることにより、これに応じた制動圧が直接前輪側及び後輪側のホイールシリンダ4FL〜4RRに供給される。
【0059】
このとき、圧力制御弁11FL〜11RRの前回までの出力圧は後輪側マスタ圧PMrと等しく制御されているので、マスタシリンダ圧から圧力制御弁の出力圧に切換える際に、ホイールシリンダ4FL〜4FRに入力される制動圧自体は変動することはなく、運転者に違和感を与えることはない。
【0060】
この制動状態で旋回状態に移行することにより、車両の横滑り量が目標横滑り量より大きい場合には、この横滑り量を目標横滑り量に一致させるように、所定輪に対して制動力を増加させる圧力指令値がコントロールユニット30に入力されると、これに応じてステップS10で該当輪におけるマスタシリンダ圧PMrに基づく圧力指令値CPに横滑り抑制用圧力指令値が加算され、その加算値が圧力指令値としてホイールシリンダ5FL又は5FRに供給されることにより、その制動圧が増加して、制動制御を行いながら横滑り抑制制御を行うことができる。
【0061】
また、ブレーキペダル2を踏込んでいない非制動状態で、トラクション制御装置31から駆動輪のスリップを抑制する圧力指令値がコントロールユニット30に入力されたときには、マスタシリンダ圧PMrが“0”を継続することにより、ステップS4からステップS5に移行するが、このステップS5からステップS7に移行することになり、トラクション制御用圧力指令値に応じた制動圧が圧力制御弁11RL,11RRからホイールシリンダ5RL,5RRに出力されて、駆動輪のスリップが抑制されてトラクション制御を行う。
【0062】
このトラクション制御中、旋回状態となって、横滑り量を抑制する圧力指令値がコントロールユニット30に供給されたときには、該当する車輪の圧力指令値が増加されて、トラクション制御と横滑り抑制制御とが同時に実行される。
一方、例えば、制動旋回状態で、図7に示すように、マスタシリンダ圧に基づく圧力指令値CPと横滑り抑制制御装置33からの圧力指令値とが加算された圧力指令値で何れかの圧力制御弁11i(i=FL,FR,RL,RR)が制御されていて、ホイールシリンダ5iの制動圧がマスタシリンダ圧PMrより高く制御されている状態で、時点t1 で電動モータ7、油圧ポンプ8、アキュムレータ9や配管に異常が発生して、蓄圧センサ24で検出したアキュムレータ圧PAが設定圧力PAsを下回ると、図3の処理において、ステップS2からステップS12に移行して図4の外部制動圧異常処理が実行される。
【0063】
この外部制動圧異常処理では、制動状態であり、マスタシリンダ圧PMf及びPMrが高い状態にあるので、ステップS22からステップS23に移行し、圧力指令値CP(n) がマスタシリンダ圧PMrに設定されると同時に各圧力制御弁11FL〜11RRに出力される。
【0064】
このため、図7に示すように、圧力指令値CPが直ちにマスタシリンダ圧PMrまで低下し、これに応じてホイールシリンダ5iに供給される制動圧WPも所定の応答遅れをもって減少を開始する。
この状態では、第1の電磁開閉弁3iは閉状態を維持しており、圧力制御弁3iによる制動圧制御が優先されている。
【0065】
そして、ステップS24で、前回の圧力指令値CP(n-1) からマスタシリンダ圧PMrを減算した値の絶対値を算出して圧力偏差ΔPW1を算出し、この圧力偏差をもとに図5の設定時間算出マップを参照して前輪側設定時間t1F及び後輪が補設定時間t1Rを算出する。
【0066】
一方、油温センサ22で検出した作動油温度Toをもとに図6の補正値算出マップを参照して補正値Δto を算出し、これと前輪側設定時間t1F及び後輪側設定時間t1Rとを乗算して、前輪側設定時間tF 及び後輪側設定時間tR を算出する。
【0067】
したがって、図7の状態では、横滑り抑止制御による圧力指令値が加算されて、圧力指令値CPがマスタシリンダ圧PMrより高い状態にあり、両者の圧力偏差ΔPW1も大きい値となっているので、制御対象車輪が前輪であるときには図5の特性直線LF に従って圧力偏差に相当する前輪側設定時間tF が設定され、後輪であるときには図5の特性直線LR に従って圧力偏差の半分程度の後輪側設定時間tR が設定され、これに作動油温度による補正値Δto が乗算されて比較的大きな設定時間tj (j=F,R)が算出される。
【0068】
このため、設定された設定時間tj が経過するまでの間は第1の電磁開閉弁3iが閉状態に制御されているので、圧力制御弁11iによる制動圧がホイールシリンダ5iに供給されており、ホイールシリンダ5iの制動圧が図7に示すように、圧力制御弁5iの応答特性によって比較的短時間で減少し、設定時間tj が経過する直前に略マスタシリンダ圧PMrに達する。
【0069】
その後、設定時間tj が経過した時点t2 で第1の電磁開閉弁3iが開状態に制御されて、マスタシリンダ圧PMf又はPMrがホイールシリンダ5iに直接供給されることになり、マスタシリンダ圧PMf又はPMrによってホイールシリンダ5iの制動圧が制御されることになり、横滑り抑制制御を中止して、通常制動状態となり、必要最低限の制動力を確保することができる。
【0070】
同様に残りの圧力制御弁でも、上記と同様の処理が実行されることにより、例えば横滑り抑制制御による圧力指令値が付加されない圧力制御弁に対しては、圧力指令値CPがマスタシリンダ圧PMrと略等しくなっているので、圧力偏差ΔPW1が略“0”となることにより、設定時間tj が略“0”となり、該当する第1の電磁開閉弁が閉状態から直ちに開状態に切換えられる。
【0071】
このように、上記第1の実施形態によると、電動モータ7、油圧ポンプ8、アキュムレータ9等で構成される外部制動圧発生手段に異常が発生して制動圧が低下すると、これに応じて外部制動圧異常処理が実行されることにより、マスタシリンダ圧PMrより高い圧力指令値CPが出力されている圧力制御弁では、圧力指令値が直ちにマスタシリンダ圧に低下され、これに応じて該当するホイールシリンダに供給される制動圧が短時間で低下され、これがマスタシリンダ圧PMrに達した直後に、設定時間tj が経過すると、第1の電磁開閉弁が開状態に切換えられて、マスタシリンダ圧がホイールシリンダに直接供給されることになり、この圧力制御弁で制御される制動圧からマスタシリンダ圧に切換える際に、マスタシリンダ圧が変動することを確実に防止することができ、運転者のペダルフィーリングを維持することができる。
【0072】
因みに、従来例のように、外部制動圧発生手段で異常が発生したときに、第1の電磁開閉弁3FL〜3RRを閉状態からデューティ制御して徐々に開状態に移行させると、図8に示すように、圧力制御弁の応答遅れによって圧力制御弁の出力圧即ちホイールシリンダ5FL〜5RRの制動圧が徐々に低下することになるので、その低下途中で制動圧がマスタシリンダ側に流れて、マスタシリンダ圧が上昇し、これによってブレーキペダル2を押し戻す所謂キックバック現象を生じ、運転者に違和感を与える。
【0073】
しかしながら、上記第1の実施形態では、上述したように、ホイールシリンダ5FL〜5RRの制動圧がマスタシリンダ圧に一致した後に第1の電磁開閉弁3FL〜3RRが開状態となるので、マスタシリンダ圧の変動を確実に防止することができ、キックバック現象を確実に防止して、運転者のペダル踏込フィーリングを確保することができる。
【0074】
しかも、設定時間tj は、異常発生直前の圧力指令値とマスタシリンダ圧との圧力偏差ΔPW1に応じて設定されると共に、前輪側と後輪側とで液圧−液量特性が異なることにより、これらに合わせて設定されるので、タイマ制御による電磁開閉弁の切換制御であっても、ホイールシリンダ5FL〜5RRの制動圧がマスタシリンダ圧に一致した直後に第1の電磁開閉弁3FL〜3RRを閉状態から開状態に切換えることができる。
【0075】
また、設定時間tj を作動油温度Toによって補正値Δto を算出し、これを設定時間t1F及びt1Rに乗算するようにしているので、作動油温度の変化による粘性変化による圧力制御弁11FL〜11RRでの出力圧即ちホイールシリンダ5FL〜5RRの制動圧の減少率変化に追従して正確な設定時間を設定することができる。
【0076】
なお、上記第1の実施形態においては、外部制動圧発生手段の異常をアキュムレータ圧PAを監視することにより行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、油圧ポンプ8の異常をモータ電流センサの検出値で検出したり、油圧ポンプ8の回転数をエンコーダ等で検出し、直接油圧ポンプ8の異常を検出するようにしてもよい。
【0077】
次に、本発明の第2の実施形態を図9〜図14について説明する。
この第2の実施形態は、上述した第1の実施形態における外部制動圧異常に代えて圧力制御弁に出力圧異常が発生した場合に対処しようとするものである。
この第2の実施形態においては、図9に示すように、前述した第1の実施形態における図1の構成において、蓄圧センサ24が省略され、これに代えて各圧力制御弁11FL〜11RRの出力圧を検出する出力圧センサ35FL〜35RRが配設され、これら出力圧センサ35FL〜35RRで検出した制動圧BPFL〜BPRRがコントロールユニット30に入力され、さらに圧力制御弁11FL,11FR及び11RL,11RRの供給側ポートpsとアキュムレータ9との間に第3の電磁開閉弁41F及び41Rが介挿され、戻りポートpdとリザーバ1aとの間に第4の電磁開閉弁42F及び42Rが介挿されていることを除いては図1と同様の構成を有し、図1との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0078】
また、コントローラユニット30で実行されるブレーキ制御処理が、図10に示すように、前述した図3のステップS1、S2及びS12の処理が省略され、これらに代えて出力圧センサ35FL〜35RRで検出した制動圧BPFL〜BPRRを読込むステップ41と、読込んだ何れかの制動圧BPi (i=FL〜RR)が圧力指令値CPi に所定値x2 を加算した値以下で圧力指令値CPi に所定値x2 を減算した値以上であるか否かを判定するステップS32と、このステップS42の判定結果がBPi >CPi +x2 又はBPi <CPi −x2 であるときに、圧力制御弁11iの異常であると判断して圧力制御弁異常処理を実行するステップS43とが設けられ、ステップS42の判定結果がCPi +x2 ≧BPFL〜BPRR≧CPi −xであるときにステップS3に移行することを除いては図3と同様の処理を行い、図3との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0079】
さらに、圧力制御弁異常処理は、図11に示すように、前述した第1の実施形態におけるステップS23及びS24とステップS28〜S32が省略され、ステップS23及びS24に代えてステップS44〜S47が設けられ、ステップS28〜S32に代えてステップS48〜S53が設けられていることを除いては図4と同様の処理を行い、図4との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0080】
そして、ステップS44は、ステップS22の判定結果がPMr>PMsであるときに、制動圧BPi が圧力指令値CPi に所定値x2 を減算した値を上回っているか否かを判定し、この判定結果がBPi <CPi −x2 であるときに、圧力制御弁11iに出力圧が圧力指令値CPi より大幅に低下する圧力低下異常が発生したものと判断して、ステップS45に移行し、異常となった圧力制御弁11iと対をなす正常な圧力制御弁11k(k=FL〜RR)に対する圧力指令値CPk(n-1) として、マスタシリンダ圧PMrに異常となった圧力制御弁11iの出力圧とマスタシリンダ圧との偏差分を補償し得る圧力補償値Δp2 を加算した値に設定してこれを圧力制御弁11kに出力し、ステップS44の判定結果がBPi >CPi +x2 であるときに圧力制御弁11iに出力圧が圧力指令値CPi より大幅に増加する圧力増加異常が発生したものと判断して、ステップS46に移行し、異常となった圧力制御弁11iと対をなす正常な圧力制御弁11k(k=FL〜RR)に対する圧力指令値CPk(n-1) として、マスタシリンダ圧PMrに異常となった圧力制御弁11iの出力圧とマスタシリンダ圧との偏差分を補償し得る圧力補償値Δp3 を減算した値に設定してこれを圧力制御弁11kに出力し、さらにステップS45,S46からステップS47に移行して、算出した現在の圧力指令値CPk(n) の直前の圧力指令値CPk(n-1) から現在の圧力指令値CPk(n) を減算した値の絶対値でなる圧力偏差ΔPW2を算出してから前記ステップS25に移行して、圧力偏差ΔPW2をもとに図5に示す設定時間算出マップを参照して設定時間t1jを算出する。
【0081】
一方、ステップS27で補正値Δto を算出してからステップS48に移行し、ステップS25で算出した設定時間t1jにステップS27で算出した補正値Δto を乗算して設定時間tj を算出すると共に、この設定時間tj のタイマを起動し、次いでステップS49に移行して、設定時間tj が経過したか否かを判定し、経過していないときには経過するまで待機し、経過したときにはステップS50に移行する。
【0082】
このステップS50では、前述したステップS44と同様に制動圧BPi が圧力指令値CPi から所定値x2 を減算した値を下回っているか否かを判定し、PBPi <CPi −x2 であるときには、ステップS51に移行して第4の電磁開閉弁42jを閉状態とする論理値“1”の制御信号SG を出力してからステップS53に移行し、BPi >CPi +x2 であるときには、ステップS52に移行して、第3の電磁開閉弁41jを閉状態とする論理値“1”の制御信号SF を出力してからステップS53に移行する。
【0083】
ステップS53では、対となる圧力制御弁11i及び11kに対応する第1の電磁開閉弁3i及び3kを開状態とする論理値“0”の制御信号SDi及びSDkを出力してから圧力制御弁異常処理を終了する。
したがって、今、各圧力制御弁11FL〜11RRが正常な状態では、前述した第1の実施形態と同様の動作が行われ、この状態で例えば制動旋回状態で、圧力制御弁11FLにマスタシリンダ圧に基づく圧力指令値と横滑り抑制制御装置33からの圧力指令値とを加算してマスタシリンダ圧より高い圧力指令値CPFLが設定されているものとし、この状態で、圧力制御弁11FLに例えば何らかのト原因で出力側ポートpcが戻り側ポートpdに連通する状態となって、ホイールシリンダ5FLの制動圧BPFLが図12に示すように“0”となると、圧力低下異常が発生すると、図10の処理において、ステップS42からステップS43に移行して図11の圧力制御弁異常処理が実行される。
【0084】
このため、制動状態であるので、ステップS22からステップS44に移行し、圧力制御弁11FLが圧力低下異常となっているので、ステップS45に移行して、この圧力制御弁11FLと対をなす圧力制御弁11FRに対する圧力指令値CPFRがマスタシリンダ圧PMrに補償値Δp2 を加算した値に設定され、これが圧力制御弁11RLに出力されることにより、正常な圧力制御弁11RLから出力される制動圧BPFRが図12に示すように所定の応答遅れをもって減少し始める。
【0085】
このとき、圧力指令値の偏差から圧力偏差ΔPW2を算出し、これをもとに図5の設定時間算出マップを参照して特性曲線LF に基づいて正常な圧力制御弁11FRから出力される制動圧BPFRがマスタシリンダ圧PMrに補償値Δp2 を加算した値に達するに必要十分な設定時間t1Fが算出される。
【0086】
そして、この設定時間が経過すると、圧力低下異常であるので、ステップS50からステップS51に移行して、第4の電磁開閉弁42Fを閉状態とし、これによって圧力制御弁11FLの出力側ポートpcから戻り側ポートpdを介してリザーバ1aに制動圧が抜けることを防止し、次いで第1の電磁開閉3FL,3FRを同時に開状態とすると共に、第2の電磁開閉弁12を閉状態とする。
【0087】
このため、図12に示すように、前輪側のマスタシリンダ圧PMfに対して、異常となった圧力制御弁11FL側のホイールシリンダ5FLでは制動圧BPFLが“0”であり、これと対をなす正常な圧力制御弁11FRのホイールシリンダでは制動圧BPFRがマスタシリンダ圧PMfより高いので、この制動圧BPFRが異常な圧力制御弁の制動圧BPFLを相殺してマスタシリンダ圧PMfの変動を確実に防止することができる。
【0088】
なお、正常な後輪側については、第1の実施形態と同様に圧力指令値CPとマスタシリンダ圧PMrとの偏差に応じた設定時間tR が設定され、この設定時間が経過後にマスタシリンダ圧PMrに切換えられる。
逆に、圧力制御弁11FLに何らかの原因で供給側ポートpsと出力側ポートpcとが連通状態となって、制動圧BPFLが図13に示すようにアキュムレータ圧PAとなって、圧力指令値CPFLより高い圧力増加異常が発生した場合には、図10のブレーキ制御処理で煤42からステップS43に移行して図11の圧力制御弁異常処理が実行される。
【0089】
このため、ステップS44からステップS46に移行して、マスタシリンダ圧PMrから異常となった圧力制御弁11FLでの制動圧BPFLの増加分に相当する補償値Δp3 を減算した圧力指令値CPFRが算出され、これが正常な圧力制御弁11FRに出力されることにより、この圧力制御弁11FRの出力圧即ち制動圧BPFRが図13に示すように所定の応答遅れをもって減少を開始する。
【0090】
このとき、圧力指令値の偏差から圧力偏差ΔPW2を算出し、これをもとに図5の設定時間算出マップを参照して特性曲線LF に基づいて正常な圧力制御弁11FRから出力される制動圧BPFRがマスタシリンダ圧PMrに補償値Δp3 を減算した値に達するに必要十分な設定時間t1Fが算出される。
【0091】
そして、この設定時間が経過すると、圧力ぞうか常であるので、ステップS50からステップS52に移行して、第3の電磁開閉弁41Fを閉状態とし、これによって圧力制御弁11FLの供給側ポートpsから出力側ポートpcを介してホイールシリンダ4FRにアキュムレータ圧PAが供給されることをを防止し、次いで第1の電磁開閉3FL,3FRを同時に開状態とすると共に、第2の電磁開閉弁12を閉状態とする。
【0092】
このため、図13に示すように、前輪側のマスタシリンダ圧PMfに対して、異常となった圧力制御弁11FL側のホイールシリンダ5FLでは制動圧BPFLがアキュムレータ圧PAであり、これと対をなす正常な圧力制御弁11FRのホイールシリンダでは制動圧BPFRがマスタシリンダ圧PMfより低いので、この制動圧BPFRが異常な圧力制御弁の制動圧BPFLを相殺してマスタシリンダ圧PMfの変動を確実に防止することができる。
【0093】
このように、上記第2の実施形態によると、圧力制御弁11FL〜11RRの何れかに異常が発生したときには、異常が発生した圧力制御弁と対をなす圧力制御弁の圧力で相殺するようにしたので、第1の電磁開閉弁を開状態としたときにマスタシリンダ圧が変動することを確実に防止することができ、運転者のペダルフィーリングを確保することができる。
【0094】
なお、上記第2の実施形態においては、圧力制御弁が“0”又はアキュムレータ圧PAとなる異常の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、制動圧が圧力指令値に対して許容範囲を超えているときに、そのときの圧力指令値CPi と制動圧BPi との偏差に応じて補償値Δp2 又はΔp3 を設定すれば、あらゆる異常に正確に対処することができる。
【0095】
さらに、上記各実施形態においては、制動制御の他に、トラクション制御や横滑り量制御を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ハイブリッド車両や電気自動車での回生制動制御を併用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施形態における圧力制御弁の圧力指令値に対する出力圧特性を示す特性線図である。
【図3】コントロールユニットにおける制動制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】図3におけるポンプ異常処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】圧力偏差と設定時間との関係を示す設定時間算出マップの説明図である。
【図6】作動油温度と補正値との関係を示す補正値算出マップの説明図である。
【図7】外部制動圧異常処理の動作の説明に供するタイムチャートである。
【図8】従来例の外部制動圧異常処理の動作の説明に供するタイムチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態を示す概略構成図である。
【図10】コントロールユニットにおける制動制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】図10におけるポンプ異常処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】圧力制御弁の圧力低下異常時の動作の説明に供するタイムチャートである。
【図13】圧力制御弁の圧力増加異常時の動作の説明に供するタイムチャートである。
【符号の説明】
1 マスタシリンダ
2 ブレーキペダル
3FL〜3RR 第1の電磁開閉切換弁
4FL,4FR 前輪
4RL,4RR 後輪
5FL〜5RR ホイールシリンダ
8 油圧ポンプ
9 アキュムレータ
11FL〜11RR 圧力制御弁
12 第2の電磁開閉弁
13 ストロークシミュレータ
22 油温センサ
23 マスタ圧センサ
24 蓄圧センサ
30 コントロールユニット
32 トラクション制御装置
33 横滑り量制御装置。
35FL〜35RR 出力圧センサ
41F,41R 第3の電磁開閉弁
42F,42R 第4の電磁開閉弁
Claims (6)
- ブレーキペダルの踏込量に応じた制動圧の作動流体を出力するマスタシリンダと、車輪を制動する制動力を発生する制動手段と、前記マスタシリンダから出力された作動流体を吸収するストロークシミュレータと、作動流体を加圧する流体圧ポンプ及びその出側圧力を蓄圧する蓄圧手段を有する外部制動圧発生手段と、該蓄圧手段の蓄圧を減圧制御して任意の制動圧を前記制動手段に出力する圧力制御弁と、前記マスタシリンダと制動手段との間に介挿された第1の電磁開閉弁と、前記ストロークシミュレータ及び前記マスタシリンダ間に介挿された作動流体の流通を断続制御する第2の電磁開閉弁と、前記ブレーキペダルの踏込量を検出するブレーキ踏込量検出手段と、該ブレーキ踏込量検出手段で検出したブレーキペダル踏込量に基づく制動圧指令値及び他の制御手段からの制動圧指令値に応じて前記圧力制御弁を制御すると共に、第1の電磁開閉弁を閉状態に且つ第2の電磁開閉弁を開状態に夫々制御する制動制御手段とを備えたブレーキ制御装置において、前記マスタシリンダの制動圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、前記外部制動圧発生手段が異常状態であることを検出する異常検出手段と、該異常検出手段で異常を検出し、且つブレーキ踏込量検出手段でブレーキペダルの踏込を検出したときに、前記圧力制御弁に対する圧力指令値をマスタシリンダ圧検出手段で検出したマスタシリンダ圧に一致するようにステップ状に補正すると共に、マスタシリンダ圧と制動手段の制動圧とが一致した後に前記第1の電磁開閉弁を開状態に且つ第2の電磁開閉弁を閉状態に夫々切換制御する異常処理手段とを備え、前記異常処理手段は、前記第1の電磁開閉弁及び第2の電磁開閉弁の切換制御を、異常発生時のマスタシリンダ圧と圧力指令値との偏差に応じて設定されるマスタシリンダ圧と制動手段の制動圧とが一致するに必要十分な設定時間経過後に行うように構成されていることを特徴とするブレーキ制御装置。
- ブレーキペダルの踏込量に応じた制動圧の作動流体を出力するマスタシリンダと、車輪を制動する制動力を発生する制動手段と、前記マスタシリンダから出力された作動流体を吸収するストロークシミュレータと、作動流体を加圧する流体圧ポンプ及びその出側圧力を蓄圧する蓄圧手段を有する外部制動圧発生手段と、該蓄圧手段の蓄圧を減圧制御して任意の制動圧を前記制動手段に出力する圧力制御弁と、前記マスタシリンダと制動手段との間に介挿された第1の電磁開閉弁と、前記ストロークシミュレータ及び前記マスタシリンダ間に介挿された作動流体の流通を断続制御する第2の電磁開閉弁と、前記ブレーキペダルの踏込量を検出するブレーキ踏込量検出手段と、該ブレーキ踏込量検出手段で検出したブレーキペダル踏込量に基づく制動圧指令値及び他の制御手段からの制動圧指令値に応じて前記圧力制御弁を制御すると共に、第1の電磁開閉弁を閉状態に且つ第2の電磁開閉弁を開状態に夫々制御する制動制御手段とを備えたブレーキ制御装置において、前記マスタシリンダの制動圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、前記圧力制御弁が減圧異常状態であることを検出する制御弁異常検出手段と、該制御弁異常検出手段で異常を検出し、且つブレーキ踏込量検出手段でブレーキペダルの踏込を検出したときに、正常な前記圧力制御弁に対する圧力指令値をマスタシリンダ圧検出手段で検出したマスタシリンダ圧より低い相殺設定圧に一致するようにステップ状に補正すると共に、前記相殺設定圧と制動手段の制動圧とが一致した後に前記第1の電磁開閉弁を開状態に且つ第2の電磁開閉弁を閉状態に夫々切換制御する異常処理手段とを備えていることを特徴とするブレーキ制御装置。
- ブレーキペダルの踏込量に応じた制動圧の作動流体を出力するマスタシリンダと、車輪を制動する制動力を発生する制動手段と、前記マスタシリンダから出力された作動流体を吸収するストロークシミュレータと、作動流体を加圧する流体圧ポンプ及びその出側圧力を蓄圧する蓄圧手段を有する外部制動圧発生手段と、該蓄圧手段の蓄圧を減圧制御して任意の制動圧を前記制動手段に出力する圧力制御弁と、前記マスタシリンダと制動手段との間に介挿された第1の電磁開閉弁と、前記ストロークシミュレータ及び前記マスタシリンダ間に介挿された作動流体の流通を断続制御する第2の電磁開閉弁と、前記ブレーキペダルの踏込量を検出するブレーキ踏込量検出手段と、該ブレーキ踏込量検出手段で検出したブレーキペダル踏込量に基づく制動圧指令値及び他の制御手段からの制動圧指令値に応じて前記圧力制御弁を制御すると共に、第1の電磁開閉弁を閉状態に且つ第2の電磁開閉弁を開状態に夫々制御する制動制御手段とを備えたブレーキ制御装置において、前記マスタシリンダの制動圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、前記圧力制御弁が圧力指令値にかかわらず低圧状態を維持する低圧異常状態であることを検出する制御弁異常検出手段と、該制御弁異常検出手段で異常を検出し、且つブレーキ踏込量検出手段でブレーキペダルの踏込を検出したときに、正常な前記圧力制御弁に対する圧力指令値をマスタシリンダ圧検出手段で検出したマスタシリンダ圧より高い相殺設定圧に一致するようにステップ状に補正すると共に、前記相殺設定圧と制動手段の制動圧とが一致した後に前記第1の電磁開閉弁を開状態に且つ第2の電磁開閉弁を閉状態に夫々切換制御する異常処理手段とを備えていることを特徴とするブレーキ制御装置。
- 前記異常処理手段は、前記第1の電磁開閉弁及び第2の電磁開閉弁の切換制御は、相殺設定圧と異常発生時の圧力指令値との偏差に応じて設定されるマスタシリンダ圧と制動手段の制動圧とが一致するに必要十分な設定時間経過後に行うように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のブレーキ制御装置。
- 前記異常処理手段は、作動流体温度を検出する流体温度検出手段と、該流体温度検出手段の検出温度が高いときには設定時間を短く補正し、低いときには設定時間を長く補正する補正手段とを備えていることを特徴とする請求項1又は4に記載のブレーキ制御装置。
- 前記異常処理手段は、前輪側に対する設定時間が後輪側の設定時間に比較して制動手段の液圧−液量特性に応じて長く設定されていることを特徴とする請求項1、4及び5の何れか1項に記載のブレーキ制御装置。
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