JP4432238B2 - 車両用制動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスタシリンダ圧が自動加圧制御されるマスタシリンダ及びリザーバと各車輪のホイールシリンダとの間の連通状態を切り替えて各車輪のホイールシリンダ圧を制御し、同車輪の制動力を制御する車両用制動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車両用制動制御装置としては、例えば独国公開特許公報DE19703776A1に記載されたものが知られている。同公報に記載の装置において、例えばトラクション制御を行うとき、駆動輪の制動力制御のためにマスタシリンダ圧を自動加圧制御し、従動輪である左右一対の車輪のホイールシリンダは、マスタシリンダ及びリザーバとの連通状態がともに遮断されてそのホイールシリンダ圧が保持される。このように従動輪側のホイールシリンダ圧を保持した状態で、駆動輪側の制動力を制御することで、例えば車両の発進性を向上することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような制御において、従動輪側のホイールシリンダとマスタシリンダとの連通状態を切り替える液圧弁が故障(開故障)していると、当該車輪のホイールシリンダに自動加圧制御されたマスタシリンダ圧が供給され、同ホイールシリンダ圧は上昇してしまう。このように従動輪側のホイールシリンダ圧が保持されずに上昇すると、当該車輪に制動力が生じて車両の発進性が低減されたり、不要な制動によってパッドの損耗が促進されたりしてしまう。従って、この液圧弁の故障を迅速に検出することが好ましい。
【0004】
本発明の目的は、マスタシリンダ圧の自動加圧制御時、従動輪である左右一対の車輪のホイールシリンダ圧が保持されている状態において、マスタシリンダと当該車輪のホイールシリンダとの連通状態を切り替える液圧弁の故障を迅速に検出することができる車両用制動制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、マスタシリンダ圧が自動加圧制御されるマスタシリンダと、該マスタシリンダと各車輪のホイールシリンダとの間に設けられて該マスタシリンダと該ホイールシリンダとの連通状態を切り替える第1液圧弁と、リザーバと各車輪のホイールシリンダとの間に設けられて該リザーバと該ホイールシリンダとの連通状態を切り替える第2液圧弁と、該第1液圧弁及び第2液圧弁を駆動して各車輪のホイールシリンダ圧を制御し、該車輪の制動力を制御する制動力制御手段とを備える車両用制動制御装置において、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、前記マスタシリンダ圧が自動加圧制御された状態で、且つ、前記制動力制御手段が前記マスタシリンダ及び前記リザーバと従動輪である左右一対の車輪のホイールシリンダとの連通を遮断して該車輪のホイールシリンダ圧を保持している状態での、該左右一対の車輪の車輪速度差を検出する車輪速度比較手段と、前記検出された車輪速度差が異常判定しきい値を超えたとき、前記左右一対の車輪のうち車輪速度の小さい側の車輪の第1液圧弁を異常と判定する異常判定手段とを備えたことを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用制動制御装置において、ステアリングの舵角を検出する舵角検出手段と、前記検出されたステアリングの舵角に基づき前記異常判定しきい値を補正するしきい値補正手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用制動制御装置において、前記第1液圧弁の異常が判定されたとき、前記制動力制御手段は、前記リザーバと当該車輪のホイールシリンダとを連通するように前記第2液圧弁を駆動することを要旨とする。
【0008】
(作用)
一般に、マスタシリンダ圧が自動加圧制御された状態で、且つ、マスタシリンダ及びリザーバと従動輪である左右一対の車輪のホイールシリンダとの連通が遮断されて同車輪のホイールシリンダ圧が保持されている状態(例えば、トラクション制御時)において、マスタシリンダと同車輪のホイールシリンダとの連通状態を切り替える第1液圧弁が故障(開故障)しているとき、当該車輪のホイールシリンダに自動加圧制御されたマスタシリンダ圧が供給されることで制動力が発生する。従って、上記第1液圧弁が故障(開故障)した側は、この制動力の発生した分、車輪速度が小さくなる。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、マスタシリンダ圧が自動加圧制御された状態で、且つ、従動輪である左右一対の車輪のホイールシリンダ圧が保持されている状態において、同左右一対の車輪の車輪速度差が異常判定しきい値を超えたとき、車輪速度の小さい側の車輪の第1液圧弁は異常であるものとして迅速に判定される。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、上記異常判定しきい値は、検出されたステアリングの舵角に基づき補正される。従って、ステアリングの舵角に基づき生じる従動輪である左右一対の車輪の車輪速度差は吸収され、上記第1液圧弁の異常判定の精度は向上される。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、上記第1液圧弁の異常が判定されたとき、上記第2液圧弁の駆動によりリザーバと当該車輪のホイールシリンダとが連通されることでホイールシリンダ圧が低減され、同車輪に発生した制動力は緩和される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る車両用制動制御装置の一実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0013】
図2に示すように、本実施形態の車両用制動制御装置は、ブレーキ液圧を発生する液圧発生装置11と、この装置に自動加圧のためのサーボ圧を導入する加圧ユニット12とを備える。また、本制動制御装置は、車両の右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR及び左後輪RLにそれぞれ装着されたホイールシリンダ13〜16へブレーキ液圧を供給する液圧制御装置17と、各車輪の制動力を制御するECU(電子制御ユニット:図1参照)18とを備えている。なお、本実施形態での車両はリア駆動であり、従って右前輪FR及び左前輪FLが左右一対の従動輪となっている。
【0014】
液圧発生装置11は、バキュームブースタ19とマスタシリンダ20とを備える。このマスタシリンダ20については、シール部材等を省略して全体の構成を簡略化して示してある。液圧発生装置11は、ブレーキペダル21のペダル踏力が、リンク機構のてこ比で増幅されてオペレーティングロッド22に伝わり、このロッド22が押されるようになっている。さらに、このロッド22を押す力は、バキュームブースタ19で増幅されてマスタシリンダ20の第1ピストン23に伝わり、このピストン23が押されるようになっている。第1ピストン23が図2に示す原位置からばねの付勢力に抗して押されると、マスタシリンダ20の第1加圧室24とリザーバ25との連通が断たれて第1加圧室24内に液圧が発生する。この液圧により第2ピストン26が同図に示す原位置からばねの付勢力に抗して押されると、第2加圧室27とリザーバ25との連通が断たれて第2加圧室27内にも液圧が発生するようになっている。
【0015】
このようにして、リンク機構とバキュームブースタ19で増幅されたペダル踏力で第1ピストン23が押されると、第1加圧室24にペダル踏力に応じたペダル入力圧のブレーキ液圧が発生する。また、このブレーキ液圧により第2ピストン26が押されて第2加圧室27にも同様のブレーキ液圧が発生するようになっている。
【0016】
また、マスタシリンダ20は、第1ピストン23のブースタ側端面に液圧を作用させるための第3加圧室28を有し、この第3加圧室28に加圧ユニット12で発生した液圧が導入されるようになっている。この液圧(3室圧P3)で第1ピストン23が押されることにより、第1加圧室24には、3室圧P3が第1ピストン23の受圧面積比Aで増幅された3室サーボ圧Pmc3のブレーキ液圧が発生するようになっている。ここで、上記受圧面積比Aは、第1,第2加圧室24,27と、第3加圧室28とでのピストン23の受圧面積比である。
【0017】
このようにして、マスタシリンダ20には、バキュームブースタ19で増幅されたペダル踏力に応じたペダル入力圧の成分と、加圧ユニット12により導入される液圧に応じた3室サーボ圧Pmc3の成分とを含むマスタシリンダ圧が発生するようになっている。
【0018】
加圧ユニット12は、リザーバ25に貯留されたブレーキ液を第3加圧室28へ圧送するポンプ29と、ポンプ29を駆動するモータ30と、入力信号(制御信号)の電流値に応じた開度で開弁し、ポンプ29から吐出されたブレーキ液をリザーバ25側へ逃がすリニア弁31とからなる。従って、このリニア弁31に、ECU18から電流値を表す制御信号を出力することにより、リニア弁31の液圧−電流特性により、制御信号の値(電流値)に比例した液圧(3室圧P3)が第3加圧室28に導入される。この導入される液圧は、ポンプ29から吐出されるブレーキ液の圧とリニア弁31の開度に応じた圧力低下分との差圧である。
【0019】
また、マスタシリンダ20に発生したブレーキ液圧は、前輪側と後輪側との2系統に分けて各ホイールシリンダ13〜16に供給される。すなわち、マスタシリンダ20と各車輪のホイールシリンダ13〜16との間を接続する液圧制御装置17は、前後配管になっている。
【0020】
具体的には、第1加圧室24に発生したブレーキ液圧は、主通路32に送られる。この主通路32は、液圧制御装置17のフロント系回路部を介してホイールシリンダ13,14にそれぞれ接続されている。すなわち、主通路32は、その途中から2つに分かれた通路にそれぞれ設けた第1液圧弁としての保持弁33a,34aを介してホイールシリンダ13,14にそれぞれ接続されている。また、ホイールシリンダ13と保持弁33aとを接続する通路及びホイールシリンダ14と保持弁34aとを接続する通路は、それぞれ第2液圧弁としての減圧弁33b,34bを介してリザーバ38に接続されている。
【0021】
一方、マスタシリンダ20の第2加圧室27に発生したブレーキ液圧は、主通路37に送られる。この主通路37は、液圧制御装置17のリヤ系回路部を介してホイールシリンダ15,16にそれぞれ接続されている。すなわち、主通路37は、その途中から2つに分かれた通路にそれぞれ設けた保持弁35a,36aを介してホイールシリンダ15,16にそれぞれ接続されている。また、ホイールシリンダ15と保持弁35aとを接続する通路及びホイールシリンダ16と保持弁36aとを接続する通路は、それぞれ減圧弁35b,36bを介してリザーバ39に接続されている。
【0022】
保持弁33a,34a,35a,36aは、それぞれ常開の電磁弁であり、減圧弁33b,34b,35b,36bは、それぞれ常閉の電磁弁である。これらの電磁弁は、ECU18から出力される液圧制御信号(制御電流)によってそれぞれ励磁(オン)される。
【0023】
従って、右前輪FR用の保持弁33a及び減圧弁33bについて代表して説明すると、保持弁33aが非励磁状態(オフ)でかつ減圧弁33bも非励磁状態(オフ)のときには、ホイールシリンダ13がリザーバ38から遮断された状態でマスタシリンダ20と連通するので、増圧状態にある。この増圧状態のとき、ホイールシリンダ13のブレーキ液圧が増圧される。また、保持弁33a及び減圧弁33bが共に励磁されたとき(オンのとき)には、ホイールシリンダ13がマスタシリンダ20から遮断された状態でリザーバ38と連通するので、減圧状態になる。この減圧状態のとき、ホイールシリンダ13のブレーキ液圧が減圧される。そして、保持弁33aが励磁(オン)されてかつ減圧弁33bが非励磁状態(オフ)のときには、ホイールシリンダ13がマスタシリンダ20とリザーバ38の両方から遮断されるので、保持状態になる。この保持状態のとき、ホイールシリンダ13のブレーキ液圧が増減されずに保持される。
【0024】
以上の3状態を、ECU18から各車輪の保持弁及び減圧弁に出力する液圧制御信号のオン、オフにより切り替えることにより、各ホイールシリンダ13〜16へ供給するブレーキ液圧を変化させて、各車輪の制動力を個別に制御するようになっている。
【0025】
また、液圧制御装置17のフロント系回路部では、前記リザーバ38に溜まったブレーキ液は、モータ40で駆動されるポンプ41によって汲み上げられ、ポンプ通路42に設けた2つの逆止弁及びダンパ43を介して保持弁33a,34aの上流側の通路に戻されるようになっている。同様に、液圧制御装置17のリヤ系回路部でも、前記リザーバ39に溜まったブレーキ液は、モータ40で駆動されるポンプ44によって汲み上げられ、ポンプ通路45に設けた2つの逆止弁及びダンパ46を介して保持弁35a,36aの上流側の通路に戻されるようになっている。
【0026】
また、前記フロント系回路部では、各ホイールシリンダ13,14から保持弁33a,34aをバイパスしてマスタシリンダ20側へブレーキ液が還流するのを許容する還流通路47,48が設けられている。各還流通路47,48には、ブレーキ液の逆流を防止する逆止弁49,50がそれぞれ設けられている。同様に、前記リヤ系回路部でも、各ホイールシリンダ15,16から保持弁35a,36aをバイパスしてマスタシリンダ20側へブレーキ液が還流するのを許容する還流通路51,52が設けられている。各還流通路51,52には、ブレーキ液の逆流を防止する逆止弁53,54がそれぞれ設けられている。
【0027】
また、前記主通路32には、マスタシリンダ20で発生したマスタシリンダ圧Pmcを検出する油圧センサ62が設けられている。また、各車輪FR,FL,RR,RLには、車輪速度を検出する車輪速度検出手段としての車輪速センサ63,64,65,66が設けられている。上記車輪速センサ63,64は、それぞれ従動輪である右前輪FR及び左前輪FLの車輪速度Vwfr,Vwflをそれぞれ検出する。そして、ブレーキペダル21には、このペダル21が踏み込まれるとオンになるストップランプスイッチ(SLS)67が設けられている。
【0028】
次に、ECU18の構成について図1に基づき説明する。
このECU18は、マイクロコンピュータを主体として構成される電子制御ユニットである。具体的には、ECU18は、CPU(中央演算処理装置)70、RAM(ランダムアクセスメモリ)71、ROM(リードオンリーメモリ)72、入力回路部73及び出力回路部74等により構成されている。
【0029】
入力回路部73には、前記油圧センサ62、ストップランプスイッチ67及び車輪速センサ63〜66が接続されている。この他に、入力回路部73には、ステアリング(図示略)の舵角strを検出する舵角検出手段としての舵角センサ81、車両に生じる前後方向及び横方向の加速度を検出する車両加速度センサ82及び車両に生じるヨーレートを検出するヨーレートセンサ83等が接続されている。なお、舵角センサ81による舵角strは、ステアリングの中立状態において基準となる値「0」となる。そして、上記舵角strは、ステアリングが右側に操舵されるほど小さな値(負数)になり、反対に左側に操舵されるほど大きな値(正数)になる。また、出力回路部74には、加圧ユニット12のモータ30及びリニア弁31、液圧制御装置17の保持弁33a,34a,35a,36a、減圧弁33b,34b,35b,36b及びモータ40等が接続されている。
【0030】
このような構成を有するECU18は、上記センサ等62〜67,81〜83に基づき車両状態を検出する。そして、ECU18は、検出された車両状態に応じて加圧ユニット12によるマスタシリンダ圧の自動加圧を制御するとともに、液圧制御装置17を駆動して各車輪の制動力を制御する。
【0031】
例えば、ECU18は、旋回時等の操舵中における車両状態(車両状態量)の検出に基づき、旋回時等の操舵中における目標ラインからのずれを低減するように、各車輪の制動力を個別に制御する車両安定性制御を実行する。また、ECU18は、車両制動時における車両状態(車両状態量)の検出に基づき、車両制動時の車輪のロックを防止するように、各車輪に付与される制動力を制御するアンチスキッド制御を実行する。さらに、ECU18は、車両駆動時における車両状態(車両状態量)の検出に基づき、車両駆動時に駆動輪のスリップを防止するように、駆動輪に対して制動力を付与するトラクション制御を実行する。これら各制御のためにECU18は、検出された車両状態等に応じて、加圧ユニット12のモータ30の駆動とリニア弁31へ出力する制御信号の電流値を制御する。これにより、ECU18は、同加圧ユニット12がマスタシリンダ20の第3加圧室28に導入する液圧(3室圧P3)を変化させてマスタシリンダ圧の自動加圧を制御する。これとともに、ECU18は、そのときの制御モードに応じて液圧制御装置17の保持弁33a,34a,35a,36a、減圧弁33b,34b,35b,36b、モータ40等を制御し、各車輪の制動力を制御する。
【0032】
以下、ECU18が実行する処理の内容とともに、本実施形態に係る車両用制動制御装置の動作について、図3を参照して説明する。
図3のフローチャートで示すルーチンは、車両のイグニッションスイッチ(図示略)がオンになってエンジンが始動されると起動する。このルーチンにおいてECU18は、必要な初期設定を行った後、まずステップ100において油圧センサ62、ストップランプスイッチ67、車輪速センサ63〜66、舵角センサ81、車両加速度センサ82及びヨーレートセンサ83等から出力される検出信号を読み込む入力処理を行う。
【0033】
次にECU18はステップ101に移行し、現在の制御モードがトラクション制御(以下、「TRC制御」という)であるかの判断を行う。このTRC制御の判断は、例えば入力処理において検出される車両状態に対して設定される各制御モードのフラグを確認することで実行される。
【0034】
ここで、現在、TRC制御を行っていないと判断されると、ECU18はそのままステップ100へ戻る。
一方、現在、TRC制御を行っていると判断されるとECU18は、従動輪である右前輪FR及び左前輪FLが共に保持状態にあるものと判定して、ステップ102に移行する。
【0035】
ステップ102においてECU18は、右前輪FRの車輪速度Vwfrから左前輪FLの車輪速度Vwflを減じた従動輪車輪速差ΔVwを演算し、ステップ103に移行する。
【0036】
ステップ103においてECU18は、上記従動輪車輪速差ΔVwをステアリングの舵角strに基づき補正した舵角補正従動輪車輪速差deltavwを、
deltavw=ΔVw+str×KGSTR
により演算する。ここで、舵角補正係数KGSTRは、ステアリングの舵角に起因して生じる車輪速度差を演算するための定数である。例えば、ステアリングが右側に操舵されていると、右前輪FRの車輪速度Vwfrに対して左前輪FLの車輪速度Vwfrは大きくなり、従動輪車輪速差ΔVwはその分、小さくなる。上記舵角補正係数KGSTRは、この場合の舵角strに基づき従動輪車輪速差ΔVwの低下を増大補正することで同舵角strによる影響を吸収するためのものである。なお、ステアリングが左側に操舵されている場合についても同様である。
【0037】
舵角補正従動輪車輪速差deltavwを演算したECU18は、ステップ104に移行し、同舵角補正従動輪車輪速差deltavwが保持弁異常判定しきい値KDVWよりも大きいかどうかを判断する。この保持弁異常判定しきい値KDVWは、従動輪である一方の車輪に対して同他方の車輪に過剰な制動力(ホイールシリンダ圧)が加えられていることを判定するのに好適な値であって、正の定数に設定されている。
【0038】
ここで、舵角補正従動輪車輪速差deltavwが保持弁異常判定しきい値KDVWよりも大きいと判断されると、右前輪FRに対して左前輪FLが異様に遅い、すなわち同左前輪FLに過剰な制動力(ホイールシリンダ圧)が加えられていると判定する。そして、ステップ106に移行して、左前輪FLの保持弁34aが故障(開故障)していると判定する。そして同時に、左前輪FLの過剰なホイールシリンダ圧を緩和するため、同左前輪FLの減圧弁34bを開駆動し、ホイールシリンダ14とリザーバ38とを連通してそのホイールシリンダ圧を減圧する。
【0039】
一方、ステップ104において舵角補正従動輪車輪速差deltavwが保持弁異常判定しきい値KDVW以下と判断されるとECU18は、ステップ105に移行する。そして、上記舵角補正従動輪車輪速差deltavwが保持弁異常判定しきい値KDVWの負数−KDVWよりも小さいかどうかを判断する。ここで、舵角補正従動輪車輪速差deltavwが上記負数−KDVWよりも小さいと判断されると、左前輪FLに対して右前輪FRが異様に遅い、すなわち同右前輪FRに過剰な制動力(ホイールシリンダ圧)が加えられていると判定する。そして、ステップ108に移行して、右前輪FRの保持弁33aが故障(開故障)していると判定する。そして同時に、右前輪FRの過剰なホイールシリンダ圧を緩和するため、同右前輪FRの減圧弁33bを開駆動、ホイールシリンダ13とリザーバ38とを連通してそのホイールシリンダ圧を減圧する。
【0040】
また、上記舵角補正従動輪車輪速差deltavwが上記負数−KDVW以上と判断されると、右前輪FR及び左前輪FLに対して自動加圧制御されたマスタシリンダ圧との遮断が確実に行われていると判定する。そして、ステップ107に移行して右前輪FR及び左前輪FLの各保持弁33a,34aはそれぞれ正常であると判定する。
【0041】
上記ステップ106〜108のいずれかの処理を実行したECU18は、ステップ100に戻る。以上のルーチンを所定時間毎に実行する。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
【0042】
(1)本実施形態では、従動輪である右前輪FR及び左前輪FLのホイールシリンダ圧が保持されているTRC制御時において、同右前輪FR及び左前輪FLの車輪速度差(舵角補正従動輪車輪速差deltavw)の大きさが保持弁異常判定しきい値KDVWを超えたとき、車輪速度の小さい側の車輪(右前輪FR若しくは左前輪FL)の保持弁33a,34aは故障しているものとして迅速に判定することができる。
【0043】
(2)本実施形態では、実際の右前輪FR及び左前輪FLの車輪速差ΔVwをステアリングの舵角strに基づき補正した舵角補正従動輪車輪速差deltavwの大きさと保持弁異常判定しきい値KDVWとの比較により、保持弁33a若しくは34aの故障を判定するようにした。従って、ステアリングの舵角strに基づき生じる右前輪FR及び左前輪FLの車輪速度差を吸収し、上記保持弁33a,34aの故障判定の精度を向上することができる。
【0044】
(3)本実施形態では、保持弁33a若しくは34aの故障が判定されたとき、当該車輪(右前輪FR若しくは左前輪FL)の減圧弁33b,34bを開駆動してリザーバ38と当該車輪のホイールシリンダ13,14とを連通し、そのホイールシリンダ圧を低減するようにした。これにより、保持弁33a若しくは34aの故障した車輪(右前輪FR若しくは左前輪FL)に発生した制動力を緩和することができる。
【0045】
なお、本発明の実施の形態は上記実施形態に限定されるものではなく、次のように変更してもよい。
・前記実施形態においては、従動輪車輪速差ΔVwをステアリングの舵角strで補正した舵角補正従動輪車輪速差deltavwの大きさと保持弁異常判定しきい値KDVWとを比較することで、右前輪FR若しくは左前輪FLの保持弁33a,34aの故障を判定した。これに対して、上記保持弁異常判定しきい値KDVWをステアリングの舵角strで補正し、これと従動輪車輪速差ΔVwを比較することで右前輪FR若しくは左前輪FLの保持弁33a,34aの故障を判定してもよい。これは、単に演算の方法を入れ替えたのみであり、実質的に同等の処理となっている。
【0046】
・前記実施形態においては、TRC制御に本発明を適用したが、従動輪である一対の車輪の制動力(ホイールシリンダ圧)が左右同等に保持されているのであれば、その他の制御状態であってもよい。
【0047】
・前記実施形態の車両はリア駆動としたが、これはフロント駆動であってもよい。この場合、いうまでもなく従動輪は後輪側(右後輪RR及び左後輪RL)となる。
【0048】
・前記実施形態において、保持弁33a若しくは34aの故障が判定されたとき、例えばコンビネーションメータに設けた警告灯を点灯したり、あるいは音声出力したりしてもよい。このように運転者に報知することで、整備工場への退避等、迅速な対処を行うことができる。
【0049】
・前記実施形態におけるマスタシリンダ圧の自動加圧のための構成(加圧ユニット12)は一例であって、その他の構成を採用してもよい。
・前記実施形態においては、バキュームブースタ19を有する液圧発生装置11を採用したが、同バキュームブースタ19を割愛した液圧発生装置であってもよい。
【0050】
・前記実施形態では、マスタシリンダ20と各車輪のホイールシリンダ13〜16との間を接続する液圧制御装置17は、前後配管になっているが、液圧制御装置17をいわゆるX配管にしてもよい。
【0051】
・前記実施形態において、タンデム型のマスタシリンダ20に代えて、ピストンが1つのマスタシリンダを用いてもよい。
・前記実施形態においては、アンチスキッド制御及び車両安定性制御を実行可能な構成を採用したが、これら制御を割愛してもよい。
【0052】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、マスタシリンダ圧が自動加圧制御された状態で、且つ、従動輪である左右一対の車輪のホイールシリンダ圧が保持されている状態において、マスタシリンダと当該車輪のホイールシリンダとの連通状態を切り替える液圧弁(第1液圧弁)の故障を迅速に判定することができる。
【0053】
請求項2に記載の発明によれば、ステアリングの舵角に基づき生じる従動輪である左右一対の車輪の車輪速度差を吸収し、上記第1液圧弁の異常判定の精度を向上することができる。
【0054】
請求項3に記載の発明によれば、第1液圧弁の異常が判定されたとき、当該車輪のホイールシリンダ圧を低減し、同車輪に発生した制動力を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施形態の概略構成を示すブロック図。
【図2】 同実施形態の全体を示す概略構成図。
【図3】 同実施形態の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
11 液圧発生装置
12 加圧ユニット
13〜16 ホイールシリンダ
17 液圧制御装置
18 ECU
20 マスタシリンダ
33a〜36a 第1液圧弁としての保持弁
33b〜36b 第2液圧弁としての減圧弁
38 リザーバ
63〜66 車輪速度検出手段としての車輪速センサ
81 舵角検出手段としての舵角センサ
FR,FL 従動輪である左右一対の車輪(右前輪及び左前輪)

Claims (3)

  1. マスタシリンダ圧が自動加圧制御されるマスタシリンダと、該マスタシリンダと各車輪のホイールシリンダとの間に設けられて該マスタシリンダと該ホイールシリンダとの連通状態を切り替える第1液圧弁と、リザーバと各車輪のホイールシリンダとの間に設けられて該リザーバと該ホイールシリンダとの連通状態を切り替える第2液圧弁と、該第1液圧弁及び第2液圧弁を駆動して各車輪のホイールシリンダ圧を制御し、該車輪の制動力を制御する制動力制御手段とを備える車両用制動制御装置において、
    各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
    前記マスタシリンダ圧が自動加圧制御された状態で、且つ、前記制動力制御手段が前記マスタシリンダ及び前記リザーバと従動輪である左右一対の車輪のホイールシリンダとの連通を遮断して該車輪のホイールシリンダ圧を保持している状態での、該左右一対の車輪の車輪速度差を検出する車輪速度比較手段と、
    前記検出された車輪速度差が異常判定しきい値を超えたとき、前記左右一対の車輪のうち車輪速度の小さい側の車輪の第1液圧弁を異常と判定する異常判定手段とを備えたことを特徴とする車両用制動制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用制動制御装置において、
    ステアリングの舵角を検出する舵角検出手段と、
    前記検出されたステアリングの舵角に基づき前記異常判定しきい値を補正するしきい値補正手段とを備えたことを特徴とする車両用制動制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の車両用制動制御装置において、
    前記第1液圧弁の異常が判定されたとき、前記制動力制御手段は、前記リザーバと当該車輪のホイールシリンダとを連通するように前記第2液圧弁を駆動することを特徴とする車両用制動制御装置。
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