JP4506121B2 - 車輌の制動力制御装置 - Google Patents

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本発明は、車輌の制動力制御装置に係り、更に詳細には所謂電子制御式の制動力制御装置に係る。
自動車等の車輌に於いてマスタシリンダと各車輪のホイールシリンダとの連通を制御する連通制御弁を有し、連通制御弁を閉弁させた状態で少なくともマスタシリンダ圧力に基づき高圧の圧力源の圧力を使用して各車輪のホイールシリンダ圧力を制御する制動力制御装置の一つとして、例えば本願出願人の出願にかかる下記の特許文献1に記載されている如く、マスタシリンダ圧力及びブレーキペダルの踏み込みストロークを検出し、マスタシリンダ圧力及びブレーキペダルの踏み込みストロークに基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力をマスタシリンダ圧力よりも高い値に演算し、各車輪のホイールシリンダ圧力が目標ホイールシリンダ圧力になるよう各車輪の増減圧制御弁を制御する制動力制御装置が従来より知られている。
特開2002−316630号公報
一般に、上述の如き制動力制御装置に於いては、例えば左右前輪の一方の増減圧制御弁に異常が生じホイールシリンダ圧力を制御し得なくなると、当該車輪については連通制御弁が開弁され、その車輪のホイールシリンダはマスタシリンダと接続された状態にされ、当該車輪のホイールシリンダ圧力はマスタシリンダ圧力と同一の圧力になる。
しかし他の車輪はその連通制御弁が閉弁された状態でそのホイールシリンダ圧力が運転者の制動操作量に応じてマスタシリンダ圧力よりも高い圧力に制御されるため、左右前輪のホイールシリンダ圧力の差が大きくなり、左右前輪の制動力差に起因して車輌に不必要なヨーモーメントが作用する。
また左右前輪の一方のホイールシリンダ圧力を制御し得なくなり、当該車輪の連通制御弁が開弁された状況に於いて、その車輪とは左右反対側の車輪も例えば増減圧制御弁に異常が生じホイールシリンダ圧力を制御し得なくなると、その車輪の連通制御弁も開弁されるので、当該連通制御弁よりホイールシリンダ側の高圧の作動液体が連通制御弁を経てマスタシリンダへ逆流し、マスタシリンダ圧力が瞬間的に急激に上昇する。
従って上昇したマスタシリンダ圧力に基づき左右後輪について不必要に高い目標ホイールシリンダ圧力が演算され、左右後輪のホイールシリンダ圧力が目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御されることに起因して左右後輪の制動力が一時的に不必要に高く制御されてしまうという問題があり、この問題はブレーキ操作フィーリングを向上させるべくマスタシリンダにオリフィスが組み込まれている場合に特に顕著である。
本発明は、連通制御弁によりマスタシリンダとホイールシリンダとの連通が遮断された状態でホイールシリンダ圧力を制御することにより車輪の制動力を制御するよう構成された従来の制動力制御装置に於いて、ホイールシリンダ圧力が目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御することができなくなった場合に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、ホイールシリンダ圧力が目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御することができなくなった場合の影響を低減し、車輌に不必要なヨーモーメントが作用したり左右後輪に一時的に不必要に高い制動力が作用することを防止することである。
上述の主要な課題を解決するため、本発明は基本の構成として、マスタシリンダと各車輪のホイールシリンダとの連通を制御する連通制御弁を有し、運転者の制動操作量に基づいて左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力をマスタシリンダ圧力よりも高い値に演算し、前記連通制御弁を閉弁させた状態で少なくともマスタシリンダ圧力に基づき各車輪の増減圧制御弁を制御することにより高圧の圧力源の圧力を使用して各車輪のホイールシリンダ圧力が各車輪に対する目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御する車輌の制動力制御装置に於いて、左右前輪の一方のホイールシリンダ圧力を制御し得なくなって当該異常輪の連通制御弁を開弁して当該異常前輪のホイールシリンダ圧力をマスタシリンダ圧力と同一にし、前記異常輪とは左右反対側の後輪のホイールシリンダ圧力を前記異常輪のホイールシリンダ圧力と実質的に同一の圧力に制御しているときに、前記異常輪とは左右反対側の輪のホイールシリンダ圧力を制御し得なくなったときには、当該第二の異常輪の連通制御弁を開弁し、当該第二の異常前輪のホイールシリンダ圧力がマスタシリンダ圧力と同一になるまで前記第二の異常輪とは左右反対側の後輪のホイールシリンダ圧力を前記第二の異常輪のホイールシリンダ圧力と同一の圧力に制御することを特徴とする車輌の制動力制御装置を提案するものである。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記基本構成に於いて、左右前輪のホイールシリンダ圧力が実質的にマスタシリンダ圧力と同一になるまでは、左右前輪のホイールシリンダ圧力を検出し、左右前輪のホイールシリンダ圧力の平均値を左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力とするよう構成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記基本構成に於いて、左右前輪のホイールシリンダ圧力が実質的にマスタシリンダ圧力と同一になるまでは、左右前輪のホイールシリンダ圧力を検出し、それぞれ左右反対側の前輪のホイールシリンダ圧力を左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力とするよう構成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記基本構成に於いて、左右前輪のホイールシリンダ圧力が実質的にマスタシリンダ圧力と同一になるまでは、左右前輪の何れかのホイールシリンダ圧力を検出し、検出されたホイールシリンダ圧力を目標ホイールシリンダ圧力として左右後輪のホイールシリンダ圧力を制御するよう構成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記基本構成に於いて、上記基本構成に於いて、左右前輪のホイールシリンダ圧力が実質的にマスタシリンダ圧力と同一になるまでは、マスタシリンダ圧力を検出し、検出されたマスタシリンダ圧力を目標ホイールシリンダ圧力として左右後輪のホイールシリンダ圧力を制御するよう構成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記基本構成に於いて、左右前輪のホイールシリンダ圧力が実質的にマスタシリンダ圧力と同一になったときには、運転者の制動操作量に基づいて左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力をマスタシリンダ圧力よりも高い値に演算し、左右後輪のホイールシリンダ圧力を目標ホイールシリンダ圧力に基づいて制御するよう構成される。
上記基本構成によれば、左右前輪の一方のホイールシリンダ圧力を制御し得なくなって当該異常輪の連通制御弁が開弁されて当該異常前輪のホイールシリンダ圧力がマスタシリンダ圧力と同一にされ、異常輪とは左右反対側の後輪のホイールシリンダ圧力が異常輪のホイールシリンダ圧力と実質的に同一の圧力に制御されているときに、異常輪とは左右反対側の輪のホイールシリンダ圧力を制御し得なくなったときには、当該第二の異常輪の連通制御弁が開弁され、当該第二の異常前輪のホイールシリンダ圧力がマスタシリンダ圧力と同一になるまで第二の異常輪とは左右反対側の後輪のホイールシリンダ圧力が第二の異常輪のホイールシリンダ圧力と実質的に同一の圧力に制御されるので、左右及び前後が反対の二対の車輪の制動力がそれぞれ実質的に同一の値になり、従って左右前輪のホイールシリンダ圧力を目標ホイールシリンダ圧力に制御し得なくなった場合に、左右の前後輪の制動力差に起因して車輌に不必要なヨーモーメントが作用すること及びこれにより車輌の制動時の走行状態が不安定になることを確実に防止することができる。
この場合、左右前輪のホイールシリンダ圧力が実質的にマスタシリンダ圧力と同一になるまでは、左右前輪のホイールシリンダ圧力が検出され、左右前輪のホイールシリンダ圧力の平均値が左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力とされれば、左右後輪のホイールシリンダ圧力が左右前輪のホイールシリンダ圧力の平均値に制御され、従って左右前輪のホイールシリンダ圧力を目標ホイールシリンダ圧力に制御し得なくなった場合に、左右後輪の制動力差に起因して車輌に不必要なヨーモーメントが作用すること及びこれにより車輌の制動時の走行状態が不安定になることを確実に防止することができる。
或は、左右前輪のホイールシリンダ圧力が実質的にマスタシリンダ圧力と同一になるまでは、左右前輪のホイールシリンダ圧力が検出され、それぞれ左右反対側の前輪のホイールシリンダ圧力が左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力とされれば、左右及び前後が反対の二対の車輪の制動力がそれぞれ同一の値になり、従って左右前輪のホイールシリンダ圧力を目標ホイールシリンダ圧力に制御し得なくなった場合に、左右の前後輪の制動力差に起因して車輌に不必要なヨーモーメントが作用すること及びこれにより車輌の制動時の走行状態が不安定になることを確実に防止することができる。
或は、左右前輪のホイールシリンダ圧力が実質的にマスタシリンダ圧力と同一になるまでは、左右前輪の何れかのホイールシリンダ圧力が検出され、検出されたホイールシリンダ圧力を目標ホイールシリンダ圧力として左右後輪のホイールシリンダ圧力が制御されれば、左前輪又は右前輪のホイールシリンダ圧力を検出する手段に異常が生じ、当該車輪のホイールシリンダ圧力を目標ホイールシリンダ圧力に制御し得なくなった場合にも、左右後輪の制動力差に起因して車輌に不必要なヨーモーメントが作用すること及びこれにより車輌の制動時の走行状態が不安定になることを確実に防止することができる。
或は、左右前輪のホイールシリンダ圧力が実質的にマスタシリンダ圧力と同一になるまでは、マスタシリンダ圧力が検出され、検出されたマスタシリンダ圧力を目標ホイールシリンダ圧力として左右後輪のホイールシリンダ圧力が制御されれば、左右前輪のホイールシリンダ圧力を検出する手段に異常が生じ、左右前輪のホイールシリンダ圧力を目標ホイールシリンダ圧力に制御し得なくなった場合にも、左右後輪の制動力差に起因して車輌に不必要なヨーモーメントが作用すること及びこれにより車輌の制動時の走行状態が不安定になることを確実に防止することができる。
またいずれにしても左右前輪のホイールシリンダ圧力が実質的にマスタシリンダ圧力と同一になったときには、運転者の制動操作量に基づいて左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力がマスタシリンダ圧力よりも高い値に演算され、左右後輪のホイールシリンダ圧力が目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御されれば、左右前輪の一方のホイールシリンダ圧力を制御し得なくなって当該異常前輪の連通制御弁を開弁して当該異常前輪のホイールシリンダ圧力をマスタシリンダ圧力と同一にし、前記異常前輪とは左右反対側の後輪のホイールシリンダ圧力を前記異常前輪のホイールシリンダ圧力と同一の圧力に制御しているときに、前記異常前輪とは左右反対側の前輪のホイールシリンダ圧力を制御し得なくなったとき、前後左右4輪のホイールシリンダ圧力を一旦同一とすることにより車輌の挙動安定性を確保した上で、後輪のホイールシリンダ圧力を速やかに所要の制動圧にし、安定した車輌の挙動の下に所要の制動を達成することができる
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施例について詳細に説明する。
図1は本発明による車輌の制動力制御装置の実施例の油圧回路を示す概略構成図及び制御系を示すブロック図である。尚図1に於いては、簡略化の目的で各弁のソレノイドの図示は省略されている。
図1に於いて、10は電気的に制御される油圧式のブレーキ装置を示しており、ブレーキ装置10は運転者によるブレーキペダル12の踏み込み操作に応答してブレーキオイルを圧送するマスタシリンダ14を有している。ブレーキペダル12とマスタシリンダ14との間にはドライストロークシミュレータ16が設けられている。
マスタシリンダ14は第一のマスタシリンダ室14Aと第二のマスタシリンダ室14Bとを有し、これらのマスタシリンダ室にはそれぞれ左前輪用のブレーキ油圧供給導管18及び右前輪用のブレーキ油圧制御導管20の一端が接続されている。ブレーキ油圧制御導管18及び20の他端にはそれぞれ左前輪及び右前輪の制動力を制御するホイールシリンダ22FL及び22FRが接続されている。
ブレーキ油圧供給導管18及び20の途中にはそれぞれ常開型の電磁開閉弁(マスタカット弁)24L及び24Rが設けられ、電磁開閉弁24L及び24Rはそれぞれ第一のマスタシリンダ室14A及び第二のマスタシリンダ室14Bと対応するホイールシリンダ22FL及び22FRとの連通を制御する遮断弁として機能する。またマスタシリンダ14と電磁開閉弁24FLとの間のブレーキ油圧供給導管18には常閉型の電磁開閉弁(常閉弁)26を介してウェットストロークシミュレータ28が接続されている。
マスタシリンダ14にはリザーバ30が接続されており、リザーバ30には油圧供給導管32の一端が接続されている。油圧供給導管32の途中には電動機34により駆動されるオイルポンプ36が設けられており、オイルポンプ36の吐出側の油圧供給導管32には高圧の油圧を蓄圧するアキュムレータ38が接続されている。リザーバ30とオイルポンプ36との間の油圧供給導管32には油圧排出導管40の一端が接続されている。リザーバ30、オイルポンプ36、アキュムレータ38等は後述の如くホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RR内の圧力を増圧するための高圧の圧力源として機能する。
尚図1には示されていないが、オイルポンプ36の吸入側の油圧供給導管32と吐出側の油圧供給導管32とを連通接続する導管が設けられ、該導管の途中にはアキュムレータ38内の圧力が基準値を越えた場合に開弁し吐出側の油圧供給導管32より吸入側の油圧供給導管32へオイルを戻すリリーフ弁が設けられている。
オイルポンプ36の吐出側の油圧供給導管32は、油圧制御導管42により電磁開閉弁24Lとホイールシリンダ22FLとの間のブレーキ油圧供給導管18に接続され、油圧制御導管44により電磁開閉弁24Rとホイールシリンダ22FRとの間のブレーキ油圧供給導管20に接続され、油圧制御導管46により左後輪用のホイールシリンダ22RLに接続され、油圧制御導管48により右後輪用のホイールシリンダ22RRに接続されている。
油圧制御導管42、44、46、48の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁50FL、50FR、50RL、50RRが設けられている。リニア弁50FL、50FR、50RL、50RRに対しホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRの側の油圧制御導管42、44、46、48はそれぞれ油圧制御導管52、54、56、58により油圧排出導管40に接続されており、油圧制御導管52、54の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁60FL、60FRが設けられ、また油圧制御導管56、58の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁よりも低廉な常開型の電磁式のリニア弁60RL、60RRが設けられている。
リニア弁50FL、50FR、50RL、50RRはそれぞれホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRに対する増圧弁(保持弁)として機能し、リニア弁60FL、60FR、60RL、60RRはそれぞれホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRに対する減圧弁として機能し、従ってこれらのリニア弁は互いに共働してアキュムレータ38内より各ホイールシリンダに対する高圧のオイルの給排を制御する増減圧制御弁を構成している。
尚各電磁開閉弁、各リニア弁及び電動機34に駆動電流が供給されない非制御時には電磁開閉弁24L及び24Rは開弁状態に維持され、電磁開閉弁26、リニア弁50FL〜50RR、リニア弁60FL及び60FRは閉弁状態に維持され、リニア弁60RL及び60RRは開弁状態に維持される(非制御モード)。またリニア弁50FL〜50RR、リニア弁60FL〜60RRの何れかが失陥し、対応するホイールシリンダ内の圧力を正常に制御できなくなった場合にも各電磁開閉弁等は非制御モードに設定され、これにより左右前輪のホイールシリンダ内の圧力は直接マスタシリンダ14により制御される。
図1に示されている如く、第一のマスタシリンダ室14Aと電磁開閉弁24Lとの間のブレーキ油圧制御導管18には該制御導管内の圧力を第一のマスタシリンダ圧力Pm1として検出する第一の圧力センサ66が設けられている。同様に第二のマスタシリンダ室14Bと電磁開閉弁24Rとの間のブレーキ油圧制御導管20には該制御導管内の圧力を第二のマスタシリンダ圧力Pm2として検出する第二の圧力センサ68が設けられている。ブレーキペダル12には運転者によるブレーキペダルの踏み込みストロークStを検出するストロークセンサ70が設けられ、オイルポンプ34の吐出側の油圧供給導管32には該導管内の圧力をアキュムレータ圧力Paとして検出する圧力センサ72が設けられている。
それぞれ電磁開閉弁24L及び24Rとホイールシリンダ22FL及び22FRとの間のブレーキ油圧供給導管18及び20には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ22FL及び22FR内の圧力Pfl、Pfrとして検出する圧力センサ74FL及び74FRが設けられている。またそれぞれ電磁開閉弁50RL及び50RRとホイールシリンダ22RL及び22RRとの間の油圧制御導管46及び48には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ22RL及び22RR内の圧力Prl、Prrとして検出する圧力センサ74RL及び74RRが設けられている。
電磁開閉弁24L及び24R、電磁開閉弁26、電動機34、リニア弁50FL〜50RR、リニア弁60FL〜60RRは電子制御装置78により制御される。電子制御装置78はマイクロコンピュータ80と駆動回路82とよりなっている。尚マイクロコンピュータ80は図1には詳細に示されていないが例えばCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のものであってよい。
マイクロコンピュータ80には、圧力センサ66及び68よりそれぞれ第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2を示す信号、ストロークセンサ70よりブレーキペダル12の踏み込みストロークStを示す信号、圧力センサ72よりアキュムレータ圧力Paを示す信号、圧力センサ74FL〜74RRよりそれぞれホイールシリンダ22FL〜22RR内の圧力Pi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号が入力される。
マイクロコンピュータ80は、後述の如く図2及び図3に示されたフローチャートによる制動力制御ルーチンを記憶しており、ブレーキペダル12が踏み込まれると電磁開閉弁26を開弁すると共に、電磁開閉弁24L及び24Rを閉弁し、その状態にて圧力センサ66、68により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2及びストロークセンサ70より検出された踏み込みストロークStに基づき車輌の目標減速度Gtを演算し、車輌の目標減速度Gtに基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Pti(i=fl、fr、rl、rr)をマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2よりも高い値に演算し、各車輪の制動圧Piが目標ホイールシリンダ圧力Ptiになるよう各リニア弁50FL〜50RR及び60FL〜60RRを制御する。
以上の説明より解る如く、マイクロコンピュータ80は運転者の制動操作量に基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力をマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2よりも高い値に演算し、電磁開閉弁24L及び24R、電磁開閉弁26、電動機34、リニア弁50FL〜50RR、リニア弁60FL〜60RR、電子制御装置78、圧力センサ66等の各センサと共働して高圧の圧力源の圧力を使用して電磁開閉弁24L及び24Rを閉弁させた状態で各車輪のホイールシリンダ圧力が対応する目標ホイールシリンダ圧力になるようリニア弁50FL〜50RR及びリニア弁60FL〜60RRを制御する制御手段を構成している。
図示の実施例に於いては、マイクロコンピュータ80は当技術分野に於いて公知の自己診断ルーチンに従って各車輪についてホイールシリンダ圧力を対応する目標ホイールシリンダ圧力に制御し得る状況にあるか否かを判定し、例えば電磁開閉弁24L、24Rを閉弁させることができない異常、リニア弁60FL、60FRを閉弁させることができない異常、それぞれホイールシリンダ22FL、22FR内の圧力Pfl、Pfrを検出する圧力センサ74FL、74FRの異常の如く、左前輪又は右前輪のホイールシリンダ圧力を対応する目標ホイールシリンダ圧力に制御し得ない異常が生じると、当該車輪のリニア弁60FL、60FRを開弁させ、当該車輪のホイールシリンダ22FL、22FRとマスタシリンダ14とを連通させ、原則として当該車輪のホイールシリンダ圧力を目標ホイールシリンダ圧力として当該車輪とは左右反対側の後輪のホイールシリンダ圧力を制御する。
またマイクロコンピュータ80は左前輪又は右前輪のホイールシリンダ圧力を対応する目標ホイールシリンダ圧力に制御し得ない異常が生じている状況に於いて、左右前輪の他方にそのホイールシリンダ圧力を対応する目標ホイールシリンダ圧力に制御し得ない異常が生じると、原則として当該第二の異常輪のホイールシリンダ圧力を目標ホイールシリンダ圧力として当該第二の車輪とは左右反対側の後輪のホイールシリンダ圧力を制御する。
更にマイクロコンピュータ80は左右前輪が異常であり上述の制御を行っている過程に於いて、左右前輪のホイールシリンダ圧力が実質的にマスタシリンダ圧力と同一の圧力になると、或いは第二の異常輪が異常になった時点より所定の時間が経過すると、運転者の制動操作量に基づき左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrl、Ptrrをマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2よりも高い値に演算し、左右後輪のホイールシリンダ圧力Prl、Prrがそれぞれ目標ホイールシリンダ圧力Ptrl、Ptrrになるよう制御する。
次に図2及び図3に示されたフローチャートを参照して実施例に於ける制動力制御について説明する。尚図2及び図3に示されたフローチャートによる制御はマイクロコンピュータ80が起動されることにより開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ10に於いては運転者による制動要求があるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ20へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ30へ進む。尚運転者による制動要求があるか否かの判別は、例えば圧力センサ66、68により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pmaが開始基準値Pms(正の定数)以上であるか又はストロークセンサ70により検出された踏み込みストロークStが開始基準値Sts(正の定数)以上であるか否かの判別により行われてよい。
ステップ20に於いては電磁開閉弁26が閉弁されると共に、電磁開閉弁24L及び24Rが開弁され、これによりマスタシリンダ14とウェットストロークシミュレータ28との連通が遮断されると共に、マスタシリンダ14と前輪のホイールシリンダ22FL、22FRとが連通接続される。ステップ30に於いては電磁開閉弁26が開弁され又は開弁状態が維持されると共に、電磁開閉弁24L及び24Rが閉弁され又は閉弁状態が維持され、これによりマスタシリンダ14とウェットストロークシミュレータ28とが連通接続されると共に、マスタシリンダ14と各車輪のホイールシリンダ22FL、22FRとの連通が遮断される。
ステップ40に於いては圧力センサ66により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1およびPm2を示す信号等の読み込みが行われ、マスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pmaに基づき図4に示されたグラフに対応するマップよりマスタシリンダ圧力に基づく目標減速度Gptが演算される。
ステップ50に於いてはストロークセンサ70により検出された踏み込みストロークStに基づき図5に示されたグラフに対応するマップより踏み込みストロークに基づく目標減速度Gstが演算される。
ステップ60に於いては前回の最終目標減速度Gtfに基づき図6に示されたグラフに対応するマップより目標減速度Gptに対する重みα(0≦α≦1)が演算されると共に、下記の式1に従って目標減速度Gpt及び目標減速度Gstの重み付け和として最終目標減速度Gtが演算される。尚図示の実施例に於いては、重みαは前回の最終目標減速度Gtfに基づき演算されるようになっているが、目標減速度Gpt又はGstに基づき演算されるよう修正されてもよい。
Gt=α・Gpt+(1−α)Gst ……(1)
ステップ70に於いては最終目標減速度Gtに対する各車輪の目標ホイールシリンダ圧力の係数(各車輪のブレーキ効き係数を考慮した正の係数)をKi(i=fl、fr、rl、rr)として、下記の式2に従って各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Pti(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
Pti=Ki・Gt ……(2)
ステップ100に於いては後述の図3に示されたルーチンに従って左右前輪のホイールシリンダ圧力を対応する目標ホイールシリンダ圧力Ptiに制御し得ない異常が生じているか否かの判別が行われると共に、その判別結果に応じて目標ホイールシリンダ圧力Ptiの補正が行われ、ステップ200に於いては各車輪のホイールシリンダ圧力Piが対応する目標ホイールシリンダ圧力Ptiになるよう油圧フィードバックにより制御される。
次に図3に示されたフローチャートを参照して上記ステップ100の異常判定及び目標ホイールシリンダ圧力Pti補正ルーチンについて説明する。
ステップ105に於いては左前輪が異常であるか否かの判別、即ち左前輪のホイールシリンダ圧力をその目標ホイールシリンダ圧力Ptflに制御することができない状況であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ130へ進み、否定判別が行われたときにはステップ110へ進む。
ステップ110に於いては右前輪が異常であるか否かの判別、即ち右前輪のホイールシリンダ圧力をその目標ホイールシリンダ圧力Ptrlに制御することができない状況であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ200へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ115へ進む。
ステップ115に於いては右前輪の圧力センサ74FRが異常であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ120に於いて左後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrlが左前輪のホイールシリンダ圧力Pflに設定され、否定判別が行われたときにはステップ125に於いて左後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrlが右前輪のホイールシリンダ圧力Pfrに設定される。
ステップ130に於いてはステップ110の場合と同様右前輪が異常であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ150へ進み、否定判別が行われたときにはステップ135へ進む。
ステップ135に於いては左前輪の圧力センサ74FLが異常であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ140に於いて右後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrrが右前輪のホイールシリンダ圧力Pfrに設定され、否定判別が行われたときにはステップ145に於いて右後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrrが左前輪のホイールシリンダ圧力Pflに設定される。
ステップ150に於いては第二の異常輪、即ち左右前輪のうち後に異常になった車輪についてステップ105又は130に於いて最初に肯定判別が行われた時点よりの経過時間Tが基準値To(正の定数)以上であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはそのままステップ200へ進み、否定判別が行われたときにはステップ155へ進む。尚基準値Toは第二の異常輪の電磁開閉弁24L又は24Rが開弁されることにより該電磁開閉弁よりもホイールシリンダ側の高圧のオイルがマスタシリンダ14へ逆流することに起因するマスタシリンダ圧力の瞬間的な上昇が収まる時間に設定される。
ステップ155に於いては例えば左前輪のホイールシリンダ圧力Pflとマスタシリンダ圧力の平均値Pmaとの偏差ΔPflの絶対値が基準値ΔPo(正の定数)以下であり且つ右前輪のホイールシリンダ圧力Pfrとマスタシリンダ圧力の平均値Pmaとの偏差ΔPfrの絶対値が基準値ΔPo以下であるか否かの判別により、左前輪のホイールシリンダ圧力Pflがマスタシリンダ圧力の平均値Pmaとほぼ等しく且つ右前輪のホイールシリンダ圧力Pfrがマスタシリンダ圧力の平均値Pmaとほぼ等しいか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはそのままステップ200へ進み、否定判別が行われたときにはステップ160へ進む。
ステップ160に於いては左前輪の圧力センサ74FLが異常であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ180へ進み、否定判別が行われたときにはステップ165へ進む。
ステップ165に於いては右前輪の圧力センサ74FRが異常であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ170に於いて左後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrl及び右後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrrが左前輪のホイールシリンダ圧力Pflに設定され、否定判別が行われたときにはステップ175に於いて左後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrlが右前輪のホイールシリンダ圧力Pfrに設定されると共に、右後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrrが左前輪のホイールシリンダ圧力Pflに設定される。
ステップ180に於いては右前輪の圧力センサ74FRが異常であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ185に於いて左後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrl及び右後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrrがマスタシリンダ圧力の平均値Pmaに設定され、否定判別が行われたときにはステップ190に於いて左後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrl及び右後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrrが右前輪のホイールシリンダ圧力Pfrに設定される。
かくして図示の実施例によれば、全ての車輪が正常な状況に於いて運転者により制動操作が行われると、ステップ10に於いて肯定判別が行われ、ステップ40〜70に於いて運転者の制動操作量に基づき車輌の目標減速度Gtが演算され、車輌の目標減速度Gtに基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptiが演算され、図3のステップ105及び110に於いて否定判別が行われ、ステップ200に於いて各車輪のホイールシリンダ圧力Piがマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2よりも高い目標制動圧Ptiになるよう、電磁開閉弁24L及び24Rが閉弁された状態でブレーキバイワイヤ式に制御される。
これに対し左前輪が異常になると、電磁開閉弁24Lが開弁されると共に、図3のステップ105に於いて肯定判別が行われ、ステップ13に於いて否定判別が行われる。そして圧力センサ74FLが正常であるときにはステップ130に於いて否定判別が行われ、ステップ145に於いて右後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrrが左前輪のホイールシリンダ圧力Pflに設定され、圧力センサ74FLが異常であるときにはステップ13に於いて肯定判別が行われ、ステップ140に於いて右後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrrが右前輪のホイールシリンダ圧力Pfrに設定され、これにより左右前後輪の制動力差が大きくなることが防止される。
同様に、右前輪が異常になると、電磁開閉弁24Rが開弁されると共に、図3のステップ105に於いて否定判別が行われ、ステップ110に於いて肯定判別が行われる。そして圧力センサ74FRが正常であるときにはステップ115に於いて否定判別が行われ、ステップ125に於いて左後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrlが右前輪のホイールシリンダ圧力Pfrに設定され、圧力センサ74FRが異常であるときにはステップ115に於いて肯定判別が行われ、ステップ120に於いて左後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrlが左前輪のホイールシリンダ圧力Pflに設定され、これにより左右前後輪の制動力差が大きくなることが防止される。
また左前輪が異常である状況に於いて右前輪も異常になると、電磁開閉弁24Rも開弁され、右前輪が異常である状況に於いて左前輪も異常になると、電磁開閉弁24Lも開弁され、何れの場合にも図3のステップ105及び130に於いて肯定判別が行われ、第二の異常輪である右前輪又は左前輪が異常になった時点より所定の時間Toが経過しておらず、また左右前輪のホイールシリンダ圧力がマスタシリンダ圧力と実質的に等しくなっていないときには、ステップ150及び155に於いて否定判別が行われる。
そして左右前輪の圧力センサ74FL及び74FRが正常であるときには、ステップ160及び165に於いて否定判別が行われ、ステップ175に於いて左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrl及びPtrrがそれぞれ右前輪及び左前輪のホイールシリンダ圧力Pfr及びPflに設定され、これにより左右前後輪の制動力差が大きくなることが確実に防止される。
また左前輪の圧力センサ74FLが正常であり右前輪の圧力センサ74FRが異常であるときには、ステップ160に於いて否定判別が行われると共にステップ165に於いて肯定判別が行われ、ステップ170に於いて左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrl及びPtrrが左前輪のホイールシリンダ圧力Pflに設定され、これにより左右前後輪の制動力差が大きくなることが防止される。
逆に左前輪の圧力センサ74FLが異常であり右前輪の圧力センサ74FRが正常であるときには、ステップ160に於いて肯定判別が行われると共にステップ180に於いて否定判別が行われ、ステップ190に於いて左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrl及びPtrrが右前輪のホイールシリンダ圧力Pfrに設定され、これにより左右前後輪の制動力差が大きくなることが防止される。
更に左前輪の圧力センサ74FL及び右前輪の圧力センサ74FRの何れも異常であるときには、ステップ160及び180に於いて肯定判別が行われ、ステップ185に於いて左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrl及びPtrrがマスタシリンダ圧力の平均値Pmaに設定され、これにより左右前後輪の制動力差が大きくなることが確実に防止される。
従って左右前輪の一方が異常になった場合にのみならず、左右前輪の一方が異常になった後左右前輪の他方も異常になった場合にも、左右前後輪の制動力の差が大きくなることを防止し、左右前後輪の制動力差に起因して車輌に不必要なヨーモーメントが作用すること及びこれにより車輌の制動時の走行状態が不安定になることを確実に防止することができる。
特に図示の実施例によれば、左右前輪が異常になった場合にも、左右前輪の圧力センサ74FL、74FRが正常である場合には、左右後輪のホイールシリンダ圧力が左右反対側の前輪のホイールシリンダ圧力と同一の圧力に制御され、左右前輪の圧力センサ74FL、74FRの一方が正常である場合には、その圧力センサにより検出される圧力になるよう左右後輪のホイールシリンダ圧力が制御され、左右前輪の圧力センサ74FL、74FRが何れも異常である場合には、左右後輪のホイールシリンダ圧力がマスタシリンダ圧力の平均値Pmaになるよう制御されるので、左右前輪の異常の状況に応じて、左右後輪のホイールシリンダ圧力を適切に制御することができる。
また図示の実施例によれば、左右前輪のホイールシリンダ圧力が実質的にマスタシリンダ圧力と同一の圧力になると、或いは第二の異常輪が異常になった時点より所定の時間が経過すると、運転者の制動操作量に基づき左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptrl、Ptrrがマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2よりも高い値に演算され、左右後輪のホイールシリンダ圧力Prl、Prrがそれぞれ目標ホイールシリンダ圧力Ptrl、Ptrrになるよう制御されるので、第二の異常輪の連通制御弁電磁開閉弁24L又は24Rが開弁され、第二の異常輪の連通制御弁よりもホイールシリンダ側の高圧のオイルがマスタシリンダ14へ逆流することにより上昇したマスタシリンダ圧力に基づいて高い値に演算された目標ホイールシリンダ圧力になるよう左右後輪のホイールシリンダ圧力が制御されること及びこれに起因して車輌全体の制動力が一時的に過剰に高くなることを確実に防止することができると共に、車輌全体の制動力が一時的に過剰に高くなる虞れがなくなった段階に於いて車輌全体の制動力が不足する虞れを効果的に低減することができる。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の実施例に於いては、左右前輪の一方の圧力センサ74FL又は74FRが異常であるときには、ステップ170又は190に於いて左右後輪のホイールシリンダ圧力が正常な圧力センサにより検出された圧力になるよう制御されるようになっているが、この場合にも左右後輪のホイールシリンダ圧力がマスタシリンダ圧力の平均値Pmaになるよう制御されてもよい。
また上述の実施例に於いては、ステップ150に於いて第二の異常輪が異常になった時点より所定の時間が経過したと判定されるまで、又はステップ155に於いて左前輪のホイールシリンダ圧力Pflがマスタシリンダ圧力の平均値Pmaとほぼ等しく且つ右前輪のホイールシリンダ圧力Pfrがマスタシリンダ圧力の平均値Pmaとほぼ等しいと判定されるまで、ステップ160〜190が実行されるようになっているが、ステップ150及び1550の何れかの判定が省略されてもよい。
また上述の実施例に於いては、各車輪の目標制動圧Ptiは運転者の制動操作量を示す値としてのマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2の平均値Pma及びブレーキペダルの踏み込み量Stに基づいて運転者の要求減速度Gtが演算され、各車輪の目標制動圧Ptiは運転者の要求減速度Gtに基づいて演算されるようになっているが、制動力の制御自体は本発明の要旨をなすものではなく、当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実行されてよい。
また上述の実施例に於いては、各車輪のホイールシリンダ圧力Piを制御する増減圧制御弁は増圧制御弁としてのリニア弁50FL〜50RR及び減圧制御弁としてのリニア弁60FL〜60RRよりなっているが、これらの弁は増減圧及び保持の機能を備えた制御弁に置き換えられてもよい。
更にマスタシリンダ圧力は二つの圧力センサ66及び68により検出されるようになっているが、マスタシリンダ圧力は一つの圧力センサにより検出されるよう修正されてもよい。
本発明による車輌の制動力制御装置の実施例の油圧回路を示す概略構成図及び制御系を示すブロック図である。 実施例に於ける制動力制御ルーチンを示すゼネラルフローチャートである。 実施例に於ける制動力制御の異常判定及び目標ホイールシリンダ圧力補正ルーチンを示すフローチャートである。 マスタシリンダ圧力の平均値Pmaと目標減速度Gptとの間の関係を示すグラフである。 ブレーキペダルの踏み込みストロークStと目標減速度Gstとの間の関係を示すグラフである。 前回の最終目標減速度Gtfと目標減速度Gptに対する重みαとの間の関係を示すグラフである。
符号の説明
10 ブレーキ装置
12 ブレーキペダル
14 マスタシリンダ
22FL〜22RR ホイールシリンダ
24F、24R、26 電磁開閉弁
50FL〜50RR リニア弁
60FL〜60RR リニア弁
66、68 圧力センサ
70 ストロークセンサ
72、74FL〜74RR 圧力センサ
78 電子制御装置

Claims (6)

  1. マスタシリンダと各前輪のホイールシリンダとの連通を制御する連通制御弁を有し、運転者の制動操作量に基づいて左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力をマスタシリンダ圧力よりも高い値に演算し、前記連通制御弁を閉弁させた状態で少なくともマスタシリンダ圧力に基づき各車輪の増減圧制御弁を制御することにより高圧の圧力源の圧力を使用して各車輪のホイールシリンダ圧力が各車輪に対する目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御する車輌の制動力制御装置に於いて、左右前輪の一方のホイールシリンダ圧力を制御し得なくなって当該異常輪の連通制御弁を開弁して当該異常前輪のホイールシリンダ圧力をマスタシリンダ圧力と同一にし、前記異常輪とは左右反対側の後輪のホイールシリンダ圧力を前記異常輪のホイールシリンダ圧力と同一の圧力に制御しているときに、前記異常輪とは左右反対側の輪のホイールシリンダ圧力を制御し得なくなったときには、当該第二の異常輪の連通制御弁を開弁し、当該第二の異常前輪のホイールシリンダ圧力がマスタシリンダ圧力と同一になるまで前記第二の異常輪とは左右反対側の後輪のホイールシリンダ圧力を前記第二の異常輪のホイールシリンダ圧力と同一の圧力に制御し、左右前輪のホイールシリンダ圧力がマスタシリンダ圧力と同一になったときには、運転者の制動操作量に基づいて左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力をマスタシリンダ圧力よりも高い値に演算し、左右後輪のホイールシリンダ圧力を目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御することを特徴とする車輌の制動力制御装置。
  2. 左右前輪のホイールシリンダ圧力がマスタシリンダ圧力と同一になるまでは、左右前輪のホイールシリンダ圧力を検出し、左右前輪のホイールシリンダ圧力の平均値を左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力とすることを特徴とする請求項1に記載の車輌の制動力制御装置。
  3. 左右前輪のホイールシリンダ圧力がマスタシリンダ圧力と同一になるまでは、左右前輪のホイールシリンダ圧力を検出し、それぞれ左右反対側の前輪のホイールシリンダ圧力を左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力とすることを特徴とする請求項1に記載の車輌の制動力制御装置。
  4. 左右前輪のホイールシリンダ圧力がマスタシリンダ圧力と同一になるまでは、左右前輪の何れかのホイールシリンダ圧力を検出し、検出されたホイールシリンダ圧力を目標ホイールシリンダ圧力として左右後輪のホイールシリンダ圧力を制御することを特徴とする請求項1に記載の車輌の制動力制御装置。
  5. 左右前輪のホイールシリンダ圧力がマスタシリンダ圧力と同一になるまでは、マスタシリンダ圧力を検出し、検出されたマスタシリンダ圧力を目標ホイールシリンダ圧力として左右後輪のホイールシリンダ圧力を制御することを特徴とする請求項1に記載の車輌の制動力制御装置。
  6. マスタシリンダと各前輪のホイールシリンダとの連通を制御する連通制御弁を有し、運転者の制動操作量に基づいて左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力をマスタシリンダ圧力よりも高い値に演算し、前記連通制御弁を閉弁させた状態で少なくともマスタシリンダ圧力に基づき各車輪の増減圧制御弁を制御することにより高圧の圧力源の圧力を使用して各車輪のホイールシリンダ圧力が前記目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御する車輌の制動力制御装置に於いて、左右前輪の一方のホイールシリンダ圧力を制御し得なくなって当該異常輪の連通制御弁を開弁し、前記異常輪とは左右反対側の後輪のホイールシリンダ圧力を前記異常輪のホイールシリンダ圧力と同一の圧力に制御しているときに、前記異常輪とは左右反対側の車輪のホイールシリンダ圧力を制御し得なくなったときには、当該第二の異常輪の連通制御弁を開弁し、左右前輪のホイールシリンダ圧力を検出し、左右前輪のホイールシリンダ圧力の平均値を左右後輪の目標ホイールシリンダ圧力として左右後輪のホイールシリンダ圧力を制御することを特徴とする車輌の制動力制御装置。
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