JP3509484B2 - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

ブレーキ液圧制御装置

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JP3509484B2
JP3509484B2 JP21501397A JP21501397A JP3509484B2 JP 3509484 B2 JP3509484 B2 JP 3509484B2 JP 21501397 A JP21501397 A JP 21501397A JP 21501397 A JP21501397 A JP 21501397A JP 3509484 B2 JP3509484 B2 JP 3509484B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブレーキ液圧制御
装置に係り、特に、車両において制動力を発生する装置
として好適なブレーキ液圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平4−24365
8号に開示される如く、マスタシリンダ圧PM/C をホイ
ルシリンダに供給する通常制御と、アキュムレータ圧P
ACC を減圧制御して生成したブレーキ液圧をホイルシン
ダに供給するブレーキ制御とを選択的に実行するブレー
キ液圧制御装置が知られている。上記従来の装置は、シ
ステムが正常である場合は上述したブレーキ制御を実行
する。一方、システムに何らかの故障が認められる場合
は、上述した通常制御を実行する。
【0003】上述したブレーキ制御によれば、ホイルシ
リンダ圧PW/C を任意の液圧に制御することができる。
従って、上記従来の装置によれば、システムが正常であ
る場合は、各車両のホイルシリンダ圧PW/C を種々の要
求に応じた液圧に制御することができる。また、上述し
た通常制御によれば、各車輪のホイルシリンダ圧PW/ C
を確実に昇圧することができる。従って、上記従来の装
置によれば、システムに何らかの故障が生じた場合で
も、確実に制動力を確保することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の装
置においては、システムに何らかの故障が認められる場
合には、その故障の如何に関わらず常にブレーキ制御の
実行が禁止される。システムに故障が生じた場合であっ
ても、ブレーキ制御の実行に必要なアキュムレータ圧P
ACC が確保されており、また、ブレーキ液圧の減圧制御
に必要な機構が正常に機能している場合がある。このよ
うな状況下では、ブレーキ制御を継続して実行すること
が可能である。この点、上記従来の装置は、ブレーキ制
御の実行範囲について未だ拡大の余地を残すものであっ
た。
【0005】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、システムに故障が発生した場合であっても、可
能な限りブレーキ制御を継続するブレーキ液圧制御装置
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、所定の液圧を発生する液圧発生源と、
前記液圧発生源の発生する液圧を減圧制御してホイルシ
リンダに供給する液圧制御弁と、を備えるブレーキ液圧
制御装置において、システムに特定の故障が生じた場合
に、前記液圧制御弁をデューティ制御する制御弁制御手
段と、ホイルシリンダに供給すべきブレーキ液圧の目標
値を検出する目標値検出手段と、前記目標値の変化率に
基づいて前記液圧制御弁のデューティ制御に用いられる
デューティ比を設定するデューティ比設定手段と、を備
えるブレーキ液圧制御装置により達成される。
【0007】本発明において、システムに特定の故障が
生じた場合は、ブレーキ液圧の目標値の変化率に応じた
デューティ比で液圧制御弁がデューティ制御される。こ
の際、液圧制御弁のデューティ制御に用いられるデュー
ティ比は、ブレーキ液圧の目標値の変化率が大きいほ
ど、液圧制御弁からホイルシリンダに供給されるブレー
キ液圧が高圧となるように設定される。上記の処理によ
れば、システムに故障が生じた場合であっても、適正な
ブレーキ制御が継続される。
【0008】上記の目的は、請求項2に記載する如く、
上記請求項1記載のブレーキ液圧制御装置において、前
記液圧発生源が、ブレーキ操作量に応じた液圧を発生す
るレギュレータ機構を備えると共に、前記液圧制御弁
が、前記レギュレータ側の液圧が前記ホイルシリンダ側
の液圧に比して所定のリリーフ圧を超えて高圧である場
合に、前記レギュレータ側から前記ホイルシリンダ側へ
向かうブレーキフルードの流れを許容するリリーフ機構
を備えるブレーキ液圧制御装置により達成される。
【0009】本発明において、液圧発生源は、ブレーキ
操作量に応じた液圧を発生するレギュレータ機構を備え
ている。レギュレータ機構が発生する液圧(以下、レギ
ュレータ圧と称す)は、液圧制御弁を介してホイルシリ
ンダに供給される。液圧制御弁は、レギュレータ側から
ホイルシリンダ側へ向かうブレーキフルードの流れを許
容するリリーフ機構を備えている。このため、本発明に
よれば、液圧制御弁が正常に作動しない場合であって
も、少なくともレギュレータ圧から液圧制御弁のリリー
フ圧を減じた液圧がホイルシリンダに供給される。
【0010】また、請求項3に記載する如く、上記請求
項1記載のブレーキ液圧制御装置において、前記制御弁
制御手段による前記液圧制御弁のデューティ制御が継続
される期間を所定期間以下に制限するデューティ期間制
御手段を備えるブレーキ液圧制御装置は液圧制御弁の使
用可能期間を長期化するうえで有効である。
【0011】本発明において、液圧制御弁のデューティ
制御は、所定期間を超えて継続されることがない。液圧
制御弁の使用可能期間は、デューティ制御の継続時間が
長期化するほど短くなる。本発明の如く、その継続期間
が制限されていると、液圧制御弁に長い使用可能期間が
確保される。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
ブレーキ液圧制御装置のシステム構成図を示す。本実施
例のブレーキ液圧制御装置は電気自動車に搭載される装
置である。本実施例のシステムは電子制御ユニット10
(以下、ECU10と称す)を備えている。ブレーキ液
圧制御装置は、ECU10により制御される。
【0013】本実施例のシステムはブレーキペダル11
を備えている。ブレーキペダル11はブレーキブースタ
12に連結されている。また、ブレーキブースタ12は
マスタシリンダ13に固定されている。ブレーキブース
タ12は、ブレーキペダル11に加えられたブレーキ踏
力を増幅してマスタシリンダ13に伝達する。マスタシ
リンダ13は、その内部に、ブレーキ踏力に対して所定
の倍力比を有するマスタシリンダ圧PM/C を発生する。
【0014】マスタシリンダ13には、レギュレータ1
4が固定されている。マスタシリンダ13およびレギュ
レータ14の上部にはリザーバタンク16が配設されて
いる。リザーバタンク16には、ブレーキフルードが貯
留されている。マスタシリンダ13は、ブレーキペダル
11の踏み込みが解除されている場合にリザーバタンク
16と導通状態となる。
【0015】本実施例のブレーキ液圧制御装置は、ポン
プ18を備えている。ポンプ18の吸入孔にはリザーバ
タンク16が連通している。ポンプ18の吐出孔は、逆
止弁20を介してアキュムレータ22に連通している。
また、アキュムレータ22は、上述したレギュレータ1
4に連通している。以下、リザーバタンク16からポン
プ18を経由してレギュレータ14に通じる経路を配管
と称す。
【0016】ポンプ18は、リザーバタンク18内のブ
レーキフルードを汲み上げてアキュムレータ22側へ吐
出する。アキュムレータ22は、ポンプ18から吐出さ
れる液圧をアキュムレータ圧PACC として蓄える。ポン
プ18は、アキュムレータ圧PACC が上限値と下限値と
の間に維持されるように駆動される。従って、レギュレ
ータ14には、常に所定範囲に維持されたアキュムレー
タ圧PACC が供給される。
【0017】レギュレータ14は、配管を介してリザ
ーバタンク16に連通していると共に、直接的にリザー
バタンク16に連通している。レギュレータ14は、ア
キュムレータ22を高圧源とし、かつ、リザーバタンク
16を低圧源として、マスタシリンダ圧PM/C と等しい
液圧(以下、レギュレータ圧PREと称す)を生成する。
【0018】レギュレータ14に連通する配管には、
液圧センサ26(以下、PREG センサ26と称す)が連
通している。PREG センサ26はレギュレータ圧PRE
応じた電気信号pREを出力する。出力信号pREはE
CU10に供給されている。ECU10は、出力信号p
REに基づいてレギュレータ圧PREを検出する。また、
配管には、増圧用リニア制御弁28(以下、SLA2
8と称す)、および、逆止弁30が連通している。SL
A28および逆止弁30には、配管が連通している。
【0019】SLA28は、配管の液圧が配管の液
圧に比して所定のリリーフ圧PRELを超えて高圧である
場合に開弁する制御弁である。SLA28は、ECU1
0から駆動信号が供給されていない場合に最大のリリー
フ圧PRELMAX MAXを発生し、ECU10から供給される
駆動信号に応じてそのリリーフ圧PREL をリニアに変化
させる。一方、逆止弁30は、配管側から配管側へ
向かう流体の流れのみを許容する一方向弁である。
【0020】配管には、液圧センサ34(以下、PR
センサ34と称す)が連通している。PR センサ34
は、配管の内圧PR に応じた電気信号pRを出力す
る。出力信号pRはECU10に供給される。ECU1
0は、出力信号pRに基づいて配管の内圧PR を検出
する。配管は、減圧用リニア制御弁36(以下、SL
R36と称す)、および、逆止弁38を介して補助リザ
ーバ40に連通している。SLR36は、その内部に可
変オリフィスを備える制御弁である。SLR36は、そ
のオリフィスの有効径を、ECU10から供給される駆
動信号に応じてリニアに変化させる。一方、逆止弁38
は、補助リザーバ40側から配管側へ向かう流体の流
れのみを許容する一方向弁である。補助リザーバ40
は、その内部に、所定量のブレーキフルードを貯留する
ことができる。
【0021】配管には、保持ソレノイド42(以下、
SRH42と称す)および逆止弁44を介して配管が
連通している。SRH42は、常態で開弁状態を維持
し、ECU10から駆動信号が供給されることにより閉
弁状態となる2位置の電磁弁である。一方、逆止弁44
は、配管側から配管側へ向かう流体の流れのみを許
容する一方向弁である。
【0022】配管は、プロポーショニングバルブ48
(以下、PV48と称す)を介して左右後輪RL,RR
のホイルシリンダ50,52に連通していると共に、減
圧ソレノイド54(以下、SRR54と称す)を介して
リザーバ通路56に連通している。PV48は、配管
の液圧が所定値に満たない場合はその液圧をホイルシリ
ンダ50,52に直接供給し、配管の液圧が所定値を
超える場合はその液圧を所定の比率で減衰させてホイル
シリンダ50,52に供給するバルブである。また、S
RR54は、常態で閉弁状態を維持し、ECU10から
駆動信号が供給されることにより開弁状態となる2位置
の電磁弁である。リザーバ通路56は、上述したリザー
バタンク16に連通している。
【0023】配管は、増圧カット弁58(以下、SS
58と称す)を介して配管に連通している。SS58
は、常態で閉弁状態を維持し、ECU10から駆動信号
が供給されることにより開弁状態となる2位置の電磁弁
である。配管には、その内圧PF に応じた出力信号p
Fを出力する液圧センサ62(以下、PF センサ62と
称す)が配設されている。出力信号pFはECU10に
供給される。ECU10は、出力信号pFに基づいて配
管の内圧PF を検出する。
【0024】配管は、保持ソレノイド64(以下、S
FLH64と称す)および逆止弁66を介して配管に
連通していると共に、保持ソレノイド70(以下、SF
RH70と称す)および逆止弁72を介して配管に連
通している。SFLH64およびSFRH70は、共
に、常態で開弁状態を維持し、ECU10から駆動信号
が供給されることにより閉弁状態となる2位置の電磁弁
である。一方、逆止弁66,72は、配管側または配
管側から配管側へ向かう流体の流れのみを許容する
一方向弁である。
【0025】配管および配管は、それぞれ、左右前
輪FL,FRのホイルシリンダ76,78に連通してい
ると共に、減圧ソレノイド80(以下、SFLR80と
称す)および減圧ソレノイド82(以下、SFRR82
と称す)を介してリザーバ通路56に連通している。S
FLR80およびSFRR82は、常態で閉弁状態を維
持し、ECU10から駆動信号が供給されることにより
開弁状態となる2位置の電磁弁である。
【0026】マスタシリンダ13には配管が連通して
いる。配管には液圧センサ86(以下、PM/C センサ
86と称す)が連通している。PM/C センサ86は、マ
スタシリンダ圧PM/C に応じた電気信号pMCを出力す
る。出力信号pMCはECU10に供給されている。E
CU10は、出力信号pMCに基づいてマスタシリンダ
圧PM/C を検出する。また、配管には、第1マスタカ
ット弁88(以下、SMC-188と称す)を介して配管
が連通していると共に、第2マスタカット弁90(以
下、SMC-290と称す)を介して配管が連通してい
る。SMC-188およびSMC-290は、共に、常態で
開弁状態を維持し、ECU10から駆動信号が供給され
ることにより閉弁状態となる2位置の電磁弁である。
【0027】配管には、更に、ブレーキストロークシ
ミュレータ92が連通している。ブレーキストロークシ
ミュレータ92は、SMC-188およびSMC-290が
閉弁状態とされた際に、マスタシリンダ13から流出す
るブレーキフルードを吸収して適正なブレーキフィーリ
ングを実現するための機構である。ブレーキストローク
シミュレータ92には、リザーバ通路56が連通してい
る。ブレーキストロークシミュレータ92の内部で漏出
したブレーキフルードはリザーバ通路56を通ってリザ
ーバタンク16に戻される。
【0028】次に、本実施例のブレーキ液圧制御装置の
動作について説明する。本実施例のブレーキ液圧制御装
置は、液圧センサ(PREG センサ26、PR センサ3
4、PF センサ62、PM/C センサ86)が正常に機能
しているか否か、および、配管〜が正常であるか否
かを判別する機能を備えている。そして、ブレーキ液圧
制御装置は、システムが正常に機能していると認められ
る場合は1系統通常制御を実行する。
【0029】1系統通常制御は、SMC-188およびS
MC-290を閉弁状態(オン状態)とし、SS58を開
弁状態(オン状態)とし、かつ、目標ブレーキ圧P*
基づいてSLA28およびSLR36を適当に制御する
ことで実現される。1系統通常制御によれば、左右前輪
FL,FRのホイルシリンダ76,78を、左右後輪R
L,RRのホイルシリンダ50,52と同様に、マスタ
シリンダ13から遮断して配管に連通させることがで
きる。すなわち、左右前輪FL,FRのホイルシリンダ
76,78と、左右後輪RL,RRのホイルシリンダ5
0,52とを、共に配管に連通させることができる。
【0030】従って、1系統通常制御によれば、全ての
車輪のホイルシリンダ圧PW/C をレギュレータ14を液
圧源として制御することができる。レギュレータ14
は、上述の如くマスタシリンダ圧PM/C と等しいレギュ
レータ圧PREを発生する。このため、本実施例のブレー
キ液圧制御装置は、システムが正常である場合は、SL
A28およびSLR36を適当に制御することで、各車
輪のホイルシリンダ圧P W/C を、マスタシリンダ圧P
M/C と同等以下の任意の液圧に制御することができる。
【0031】ブレーキ液圧制御装置は、システムに故障
が認められる場合は、その故障の内容に応じた対応動作
を実行する。より具体的には、システムの故障が何らか
の有効なブレーキ制御(以下、特定制御と称す)の実行
を許容するものである場合は、発生した故障内容に対応
する特定制御を実行する。一方、システムの故障が全て
の特定制御の実行を妨げるものである場合は、全てのソ
レノイドをオフ状態として図1に示す状態(以下、非制
御状態と称す)を実現する。
【0032】本実施例のブレーキ液圧制御装置は、特定
制御の内容に特徴を有している。特定制御は、後述の如
く、システムに何らかの故障が生じている状況下で、そ
の故障に影響されない範囲で各車輪のホイルシリンダ圧
W/C をSLA28およびSLR36を用いて調圧する
制御である。従って、本実施例のブレーキ液圧制御装置
によれば、システムに故障が生じている場合であって
も、ホイルシリンダ圧P W/C の電気的な制御を継続する
ことができる。
【0033】また、非制御状態によれば、左右前輪F
L,FRのホイルシリンダ76,78をマスタシリンダ
13に連通させ、かつ、左右後輪RL,RRのホイルシ
リンダ50,52をSLA28を介してレギュレータ1
4に連通させることができる。SLA28は、ECU1
0から駆動信号が供給されない場合はリリーフ圧PRELM
AX MAXを発生する。SLA28がリリーフ圧PRELMAX
発生する場合、左右後輪RL,RRのホイルシリンダ5
0,52には、レギュレータ圧PREに比してリリーフ圧
RELMAXだけ小さな液圧が導かれる。従って、本実施例
のブレーキ液圧制御装置によれば、システムに如何なる
故障が発生した場合においても、少なくとも左右前輪F
L,FRのホイルシリンダ76,78にマスタシリンダ
圧PM/C を導き、かつ、左右後輪RL,RRのホイルシ
リンダ50,52にPRE−PRELMAXの液圧を導くことが
できる。
【0034】以下、図2乃至図11を参照して、上記の
機能を実現すべくECU10が実行する処理の内容につ
いて説明する。図2は、本実施例のブレーキ液圧制御装
置においてECU10が実行するメインルーチンの一例
のフローチャートを示す。図2に示すルーチンは、車両
のIGスイッチがオン状態である状況下で、その処理が
終了する毎に繰り返し起動される。図2に示すルーチン
が起動されると、先ずステップ100の処理が実行され
る。
【0035】ステップ100では、制御禁止フラグXI
NHIBITに“1”がセットされているか否かが判別
される。制御禁止フラグXINHIBITは、後述する
制御禁止条件が成立する場合に“1”とされるフラグで
ある。本ステップ100でXINHIBIT=1が成立
すると判別される場合は、ブレーキ液圧制御装置に全て
のブレーキ制御の実行を妨げる故障が生じていると判断
できる。この場合、以後、何ら処理が実行されることな
く今回のルーチンが終了される。このようにしてメイン
ルーチンの処理が終了されると、ブレーキ液圧制御装置
は、上述した非制御状態に維持される。一方、本ステッ
プ100でXINHIBIT=1が成立すると判別され
る場合は、次にステップ102の処理が実行される。
【0036】ステップ102では、制御禁止条件が成立
しているか否かが判別される。制御禁止条件は、ブレー
キ液圧制御装置に、全てのブレーキ制御の実行を妨げる
故障が発生した場合に成立する条件である。本ステップ
102では、具体的には、バッテリ電圧の異常、ECU
10の異常、または、システムの断線異常等が検出され
た場合に制御禁止条件が成立すると判別される。上記ス
テップ102で制御禁止条件が成立すると判別される場
合は、次にステップ104の処理が実行される。一方、
制御禁止条件が成立しないと判別される場合は、ステッ
プ104がジャンプされ、次にステップ106の処理が
終了される。
【0037】ステップ104では、制御禁止フラグXI
NHIBITに“1”がセットされる。本ステップ10
4の処理が終了すると、今回のルーチンが終了される。
本ステップ104の処理が実行されると、次回以降本ル
ーチンが起動される毎に、上記ステップ100でXIN
HIBIT=1が成立すると判別される。従って、本ス
テップ104の処理が実行されると、以後、ブレーキ液
圧制御装置は上述した非制御状態に維持される。
【0038】ステップ106では、センサ判定フラグX
SENSORに“1”がセットされているか否かが判別
される。センサ判定フラグXSENORは、車両のIG
がオン状態とされた後、後述するセンサ故障判定が実行
されることにより“1”とされるフラグである。従っ
て、XSENSOR=1が成立しないと判別される場合
は、未だセンサ故障判定が実行されていないと判断でき
る。この場合、次にステップ108の処理が実行され
る。
【0039】ステップ108では、センサ故障判定が実
行される。本ルーチンでは、本ステップ108の処理が
実行されることにより、液圧センサ(PREG センサ2
6、P R センサ34、PF センサ62、PM/C センサ8
6)が正常に機能しているか否かが判断される。図3
は、センサ故障判定の実行中にECU10が行う一連の
処理のフローチャートを示す。図3に示すルーチンは、
メインルーチン中で上記ステップ108の処理が要求さ
れることにより起動される。図3に示すルーチンが起動
されると、先ずステップ110の処理が実行される。
【0040】ステップ110では、センサ故障判定条件
が成立しているか否かが判別される。センサ故障判定条
件は、センサ故障判定の実行が可能であるか否かを判断
するための条件である。本ステップ110では、具体的
には、ブレーキペダル11が踏み込まれており、かつ、
車両が停車している場合に上記条件が成立すると判別さ
れる。本ステップ110の処理は、上記の条件が成立す
ると判別されるまで繰り返し実行される。その結果、セ
ンサ故障判定条件が成立すると判別される場合は、次に
ステップ112の処理が実行される。
【0041】センサ故障判定は、ブレーキ液圧制御装置
の全てのソレノイドがオフ状態である状況下で、すなわ
ち、ブレーキ液圧制御装置が非制御状態に維持されてい
る状況下で開始される。非制御状態においては、PREG
センサ26、PM/C センサ86およびPF センサ62に
等しい液圧が作用する。従って、これらのセンサが正常
に機能していれば、これらのセンサの出力信号pRE
G、pMCおよびpFは、互いに等しい値となるはずで
ある。
【0042】ステップ112では、出力信号pREGと
pMCとが等しく、かつ、それらが共に正の値であるか
否かが判別される。その結果、pREG=pMC>0が
成立すると判別される場合は、PREG センサ26および
M/C センサ86が共に正常に機能していると判断でき
る。この場合、次にステップ114の処理が実行され
る。
【0043】ステップ114では、出力信号pMCとp
Fとが等しく、かつ、それらが共に正の値であるか否か
が判別される。その結果、pMC=pF>0が成立しな
いと判別される場合は、PF センサ62の出力信号pF
が正常な値でない、すなわち、PF センサ62が正常に
機能していないと判断することができる。この場合、次
にステップ116の処理が実行される。一方、pMC=
pF>0が成立すると判別される場合はPF センサ62
が正常に機能していると判断できる。この場合、ステッ
プ116がジャンプされ、次にステップ118の処理が
実行される。
【0044】ステップ116では、PF センサ62の出
力信号pFに異常が認められることが記憶される。ステ
ップ118では、SLA28を全開状態とする処理が実
行される。SLA28が全開状態とされると、配管と
配管とが導通状態となる。この場合、P R センサ34
に、他の液圧センサ(PREG センサ26、PM/C センサ
86、PFセンサ62)と等しい液圧が導かれる。従っ
て、PR センサ34が正常に機能していれば、その出力
信号pRは他の液圧センサの出力信号と等しい値となる
はずである。
【0045】ステップ120では、出力信号pREGと
pRとが等しく、かつ、それらが共に正の値であるか否
かが判別される。その結果、pREG=pR>0が成立
しないと判別される場合は、PR センサ34の出力信号
pRが正常な値でない、すなわち、PR センサ34が正
常に機能していないと判断することができる。この場
合、次にステップ122の処理が実行される。一方、p
REG=pR>0が成立すると判別される場合は、PR
センサ34が正常に機能していると判断できる。この場
合、ステップ122がジャンプされ、次にステップ12
4の処理が実行される。
【0046】ステップ122では、PR センサ34の出
力信号pRに異常が認められることが記憶される。ステ
ップ124では、出力信号pMC,pREG,pF,p
Rの異常状態に基づいて、ブレーキ液圧制御装置の状態
が特定される。本ステップ124では、具体的には、出
力信号pMC,pREG,pF,pRの異常状態に基づ
いて、ブレーキ液圧制御装置の状態が以下に示す (i)〜
(vii) の状態の何れかに特定される。本ステップ124
の処理が終了すると、今回のルーチンが終了される。
【0047】(i) 全ての液圧センサが正常に機能する
状態(正常状態)、(ii) 正常であることが特定された
液圧センサが存在し、かつ、複数の液圧センサに異常が
認められる状態(センサ複数故障状態)、(iii) PM/C
センサ86の出力信号pMCに異常が認められる状態
(pMC異常状態)、(iv) PREG センサ26の出力信
号pREGに異常が認められる状態(pREG異常状
態)、(v) PF センサ62の出力信号pFに異常が認
められる状態(pF異常状態)、(vi) PR センサ34
の出力信号pRに異常が認められる状態(pR異常状
態)、および、(vii) 何れの液圧センサに異常が生じて
いるかが特定できない状態(特定不可状態)。
【0048】図3に示すルーチン中、上記ステップ11
2でpREG=pMC>0が成立しないと判別される場
合は、これらの出力信号pREGおよびpMCのうち、
少なくとも一方が異常値であると判断できる。この場
合、次にステップ126の処理が実行される。ステップ
126では、出力信号pMCとpFとが等しく、かつ、
それらが共に正の値であるか否かが判別される。その結
果、pMC=pF>0が成立すると判別される場合は、
出力信号pMCと出力信号pFとが正常値であり、出力
信号pREGが異常値であると判断できる。この場合、
次にステップ128の処理が実行される。
【0049】ステップ128では、PREG センサ26の
出力信号pREGに異常が認められることが記憶され
る。ステップ130では、SLA28を全開状態とする
処理が実行される。SLA28が全開状態とされると、
配管と配管とが導通状態となる。この場合、P R
ンサ34が正常に機能していれば、その出力信号pR
は、他の液圧センサの出力信号と等しい値となるはずで
ある。
【0050】ステップ132では、出力信号pMCとp
Rとが等しく、かつ、それらが共に正の値であるか否か
が判別される。PM/C センサ86の出力信号pMCは、
正常値であることが既に確認されている。従って、pM
C=pR>0が成立しないと判別される場合は、PR
ンサ34の出力信号pRが正常な値でない、すなわち、
R センサ34が正常に機能していないと判断すること
ができる。この場合、次にステップ134の処理が実行
される。一方、pMC=pR>0が成立すると判別され
る場合は、PR センサ34が正常に機能していると判断
できる。この場合、ステップ134がジャンプされ、次
に上記ステップ124の処理が実行される。
【0051】ステップ134では、PR センサ34の出
力信号pRに異常が認められることが記憶される。本ス
テップ134の処理が終了すると、上記ステップ124
の処理が実行された後、今回のルーチンが終了される。
図3に示すルーチン中、上記ステップ126で、pMC
=pF>0が成立しないと判別される場合は、出力信号
pMCが、出力信号pREGおよび出力信号pFの何れ
にも一致しないと判断できる。この場合、次にステップ
136の処理が実行される。
【0052】ステップ136では、出力信号pREGと
pFとが等しく、かつ、それらが共に正の値であるか否
かが判別される。その結果、pREG=pF>0が成立
すると判別される場合は、出力信号pREGと出力信号
pFとが正常値であり、出力信号pMCが異常値である
と判断できる。この場合、次にステップ138の処理が
実行される。
【0053】ステップ138では、PM/C センサ86の
出力信号pMCに異常が認められることが記憶される。
ステップ140では、SLA28を全開状態とする処理
が実行される。SLA28が全開状態とされると、配管
と配管とが導通状態となる。この場合、P R センサ
34が正常に機能していれば、その出力信号pRは、他
の液圧センサの出力信号と等しい値となるはずである。
【0054】ステップ142では、出力信号pREGと
pRとが等しく、かつ、それらが共に正の値であるか否
かが判別される。PREG センサ26の出力信号pREG
は、正常値であることが既に確認されている。従って、
pREG=pR>0が成立しないと判別される場合は、
R センサ34の出力信号pRが正常な値でない、すな
わち、PR センサ34が正常に機能していないと判断す
ることができる。この場合、次にステップ144の処理
が実行される。一方、pREG=pR>0が成立すると
判別される場合は、PR センサ34が正常に機能してい
ると判断できる。この場合、ステップ144がジャンプ
され、次に上記ステップ124の処理が実行される。
【0055】ステップ144では、PR センサ34の出
力信号pRに異常が認められることが記憶される。本ス
テップ144の処理が終了すると、上記ステップ124
の処理が実行された後、今回のルーチンが終了される。
本ルーチン中、上記ステップ136でpREG=pF>
0が成立しないと判別される場合は、3つの出力信号p
REG,pMCおよびpFが互いに相違していると判断
できる。この場合、これらの出力信号pREG,pMC
およびpFのうち、何れの出力信号が正常であり、ま
た、何れの出力信号が異常であるかを特定することがで
きない。この場合、次にステップ146の処理が実行さ
れる。
【0056】ステップ146では、何れの液圧センサに
異常が生じているかが判定できないことが記憶される。
本ステップ146の処理が終了すると、上記ステップ1
24の処理が実行された後、今回のルーチンが終了され
る。上記の処理によれば、出力信号pREG、pMC、
pFおよびpRを比較することで、ブレーキ液圧制御装
置の状態を上述した (i)〜(vii) の何れかの状態に特定
することができる。上記の処理が終了すると、次に図2
に示すメインルーチン中ステップ148の処理が実行さ
れる。
【0057】ステップ148では、センサ判定フラグX
SENSORに“1”がセットされる。本ステップ14
8の処理が実行されると、次回以降本ルーチンが起動さ
れる毎に、上記ステップ106でXSENSOR=1が
成立すると判別される。上記ステップ106で、XSE
NSOR=1が成立すると判別される場合は、ステップ
106に次いでステップ150の処理が実行される。
【0058】ステップ150では、配管失陥判定条件が
成立しているか否かが判別される。本実施例のブレーキ
液圧制御装置は、車両のIGスイッチがオン状態とされ
ている間、適当なタイミングで配管〜が正常である
か否かを判別するための配管失陥判定を実行する。配管
失陥判定条件は、配管失陥判定の実行が可能であるか否
かを判断するための条件である。
【0059】上記ステップ150では、具体的には、ブ
レーキペダル11が踏み込まれており、かつ、車両が停
車している場合に上記条件が成立すると判別される。上
記ステップ150で配管失陥判定条件が成立していると
判別される場合は、次にステップ152の処理が実行さ
れる。一方、配管失陥判定条件が成立していないと判別
される場合は、ステップ152がジャンプされ、次にス
テップ226が実行される。
【0060】ステップ152では、配管失陥判定が実行
される。本ルーチンでは、配管失陥判定を実行すること
によりブレーキ液圧制御装置の状態を特定することがで
きる。配管失陥判定の処理中では、センサ故障判定の判
定結果に対応する処理が実行される。図4は、センサ故
障判定の判定結果と、配管失陥判定において具体的に実
行される処理の内容との関係を示す。図4における (i)
欄および(vi)欄に示す如く、センサ故障判定によって正
常状態が検出されている場合、および、pR異常状態が
検出されている場合は、上記ステップ152における配
管失陥判定において、第1配管失陥判定が実行される。
【0061】図5および図6は、第1配管失陥判定の実
行中にECU10が行う一連の処理のフローチャートを
示す。図5および図6に示すルーチンは、メインルーチ
ン中で上記ステップ152の処理が要求されることによ
り起動される。図5および図6に示すルーチンが起動さ
れると、先ずステップ154の処理が実行される。ステ
ップ154では、配管失陥判定において実行すべき処理
が第1配管失陥判定であるか否かを判別するための処理
が実行される。具体的には、センサ故障判定によって正
常状態またはpR異常状態が検出されているか否かが判
別される。その結果、正常状態およびpR異常状態の何
れも検出されていないと判別される場合は、以後、何ら
処理が進められることなく今回のルーチンが終了され
る。一方、正常状態およびpR異常状態の何れかが検出
されていると判別される場合は、次にステップ156の
処理が実行される。
【0062】ステップ156では、pMC=pREGが
未だ成立しているか否かが判別される。その結果、pM
C=pREGの関係が成立していると判別される場合
は、配管および配管〜に、それぞれ適正にレギュ
レータ圧PREおよびマスタシリンダ圧PM/C が導かれて
いると判断できる。この場合、配管、および〜
が正常であると判断できる。本ステップ156で上記の
判別がなされた場合は、以後、配管およびにもれ故
障が生じているか否かを判断すべくステップ158以降
の処理が実行される。
【0063】ステップ158では、SLA28が全開状
態とされる。本ステップ158の処理が実行されると、
配管から配管に向けてブレーキフルードが流入す
る。従って、本ステップ158の処理が実行されると、
REG センサ26の出力信号pREGに変化が生ずる。
ステップ160では、上記ステップ158の処理が実行
された後、所定時間の間に出力信号pREGに現れた変
化率ΔpREGが第1しきい値TH1に比して小さいか
否かが判別される。第1しきい値TH1は、配管およ
び配管が正常である場合に発生する変化率ΔpREG
に比して僅かに大きな値である。従って、本ステップ1
60でΔpREG<TH1が成立しないと判別される場
合は、配管およびの少なくとも一方にもれ故障が生
じていると判断できる。この場合、次にステップ162
の処理が実行される。一方、ΔpREG<TH1が成立
すると判別される場合は、配管およびが何れも正常
であると判断できる。この場合、ステップ162〜17
0がジャンプされ、次にステップ172の処理が実行さ
れる。
【0064】ステップ162では、配管と配管との
間に介在するRRH42を閉弁状態とする処理が実行さ
れる。本ステップ162の処理が実行されると、配管
と配管とが遮断される。ステップ164では、上記ス
テップ162の処理が実行された後に出力信号pREG
に現れた変化率ΔpREGを所定時間t1 わたって積分
する処理が実行される。本ステップ164で演算される
∫ΔpREGdt(t=0〜t1 )の値は、上記ステップ
162でRRH42が閉弁状態とされた後に配管側か
ら流出したブレーキフルードの量に対応している。
【0065】ステップ166では、上記ステップ164
で演算した∫ΔpREGdt(t=0〜t1 )が第2しき
い値TH2に比して小さいか否かが判別される。その結
果、∫ΔpREGdt<TH2が成立すると判別される場
合は、RRH42を閉弁状態とすることでブレーキフル
ードの流出が阻止されたと判断できる。上記の事態は、
配管にもれ故障が生じている場合に発生する。本ステ
ップ166で上記の判別がなされた場合は、次にステッ
プ168の処理が実行される。
【0066】ステップ168では、配管にもれ故障が
生じていることが記憶される。本ステップ168の処理
が終了すると、次にステップ172の処理が実行され
る。また、上記ステップ166において、∫ΔpREG
dt<TH2が成立しないと判別される場合は、RRH4
2を閉弁状態とすることでブレーキフルードの流出が阻
止されていないと判断できる。上記の事態は、配管に
もれ故障が生じている場合に発生する。本ルーチン中で
上記の判別がなされた場合は、ステップ166に次いで
ステップ170の処理が実行される。
【0067】ステップ170では、配管にもれ故障が
生じていることが記憶される。本ステップ170の処理
が終了すると、次にステップ172の処理が実行され
る。ステップ172では、上述した判定処理の結果、お
よび、後述する判定処理の結果に基づいてブレーキ液圧
制御装置の状態が特定される。本ステップ172では、
具体的には、ブレーキ液圧制御装置の状態が以下に示す
何れかの状態に特定される。本ステップ172の処理が
終了すると今回のルーチンが終了される。
【0068】・システムが正常に機能する状態(正常状
態)、 ・PR センサ34のみが故障している状態(PR センサ
故障状態)、および、 ・配管〜の何れかにもれ故障が生じている状態(配
管故障状態)。 図5および図6に示すルーチン中、上記ステップ156
でpMC=pREGが成立しないと判別される場合は、
センサ故障判定の実行された後に、配管、および
〜の少なくとも一か所にもれ故障が生じたと判断でき
る。この場合、次にステップ174の処理が実行され
る。
【0069】ステップ174では、出力信号pMCが出
力信号pREGに比して大きいか否かが判別される。そ
の結果、pMC>pREGが成立すると判別される場合
は、レギュレータ圧PREが適正にPREG センサ26に到
達していない、すなわち、配管またはにもれ故障が
生じていると判断できる。この場合、次にステップ17
6の処理が実行される。
【0070】ステップ176では、配管またはにも
れ故障が生じていることが記憶される。本ステップ17
6の処理が終了すると、以後、上記ステップ172の処
理が実行された後、今回のルーチンが終了される。図5
および図6に示すルーチン中、上記ステップ174でp
MC>pREGが成立しないと判別される場合は、マス
タシリンダ圧PM/C が適正にPM/C センサ86に導かれ
ていないと判断することができる。このような事態は、
配管〜の何れかにもれ故障が生じている場合に発生
する。本ルーチン中で上記の判別がなされた場合は、ス
テップ174に次いで図6に示すステップ178の処理
が実行される。
【0071】ステップ178では、SMC-188および
SMC-290が閉弁状態とされる。本ステップ178の
処理が実行されると、配管と、配管〜とが遮断さ
れる。ステップ180では、出力信号pMCが出力信号
pFに比して大きいか否かが判別される。すなわち、配
管の液圧が配管〜に蓄えられている液圧に比して
大きいか否かが判別される。その結果、pMC>pFが
成立しないと判別される場合は、SMC-188およびS
MC-290が閉弁され後もブレーキフルードの漏出が阻
止されていないと判断できる。上記の事態は、配管に
もれ故障が生じている場合に発生する。本ステップ18
0で上記の判別がなされた場合は、次にステップ182
の処理が実行される。
【0072】ステップ182では、配管にもれ故障が
生じていることが記憶される。本ステップ182の処理
が終了すると、以後、上記ステップ172の処理が実行
された後、今回のルーチンが終了される。また、上記ス
テップ180でpMC>pFが成立すると判別される場
合は、SMC-188およびSMC-290を閉弁状態とす
ることで、ブレーキフルードの漏出が阻止されたと判断
できる。上記の事態は、配管〜の何れかにもれ故障
が生じている場合に発生する。本ルーチン中で上記の判
別がなされた場合は、ステップ180に次いでステップ
184の処理が実行される。
【0073】ステップ184では、配管と配管との
間に介在するFRH70、および、配管と配管との
間に介在するFLH64が閉弁状態とされる。本ステッ
プ184の処理が実行されると、配管が、配管およ
びから遮断される。ステップ186では、上記ステッ
プ184の処理が実行された後、出力信号pFの変化率
ΔpFが“0”となったか否か、すなわち、配管の液
圧が一定値に保持されているか否かが判別される。その
結果、ΔpF=0が成立しないと判別される場合は、配
管が配管およびから遮断された後も、配管内の
ブレーキフルードが外部に漏出していると判断できる。
上記の事態は、配管にもれ故障が生じている場合に発
生する。本ステップ186で上記の判別がなされた場合
は、次にステップ188の処理が実行される。
【0074】ステップ188では、配管にもれ故障が
生じていることが記憶される。本ステップ188の処理
が終了すると、以後、上記ステップ172の処理が実行
された後、今回のルーチンが終了される。上記ステップ
186で、ΔpF=0が成立すると判別される場合は、
配管にもれ故障が生じていないと判断できる。従っ
て、この場合は、配管およびの何れかにもれ故障が
生じていると判断できる。本ルーチンにおいて上記の判
別がなされた場合は、上記ステップ186に次いでステ
ップ190の処理が実行される。
【0075】ステップ190では、SMC-188が開弁
状態とされる。本ステップ190の処理が実行される
と、配管と配管とを遮断状態としたまま、配管と
配管とが導通状態とされる。上記の如く配管が配管
と導通すると、配管から配管へブレーキフルード
が流入するため、PM/C センサ86の出力信号pMCは
減少側に変化する。
【0076】ステップ192では、上記ステップ190
の処理が実行された後、所定時間の間に出力信号pMC
に現れた変化率ΔpFが第3しきい値TH3に比して小
さいか否かが判別される。第3しきい値TH3は、配管
が正常である場合に発生する変化率ΔpMCに比して
僅かに大きな値である。従って、ΔpMC<TH3が成
立しない場合は、配管にもれ故障が生じていると判断
できる。本ステップ192で上記の判別がなされた場
合、次にステップ194の処理が実行される。
【0077】ステップ194では、配管にもれ故障が
生じていることが記憶される。本ステップ194の処理
が終了すると、以後、上記ステップ172の処理が実行
された後、今回のルーチンが終了される。上記ステップ
192で、ΔpMC<TH3が成立すると判別される場
合は、配管にもれ故障が生じていないと判断できる。
従って、この場合は、配管にもれ故障が生じていると
判断できる。本ルーチンにおいて上記の判別がなされた
場合は、上記ステップ192に次いでステップ196の
処理が実行される。
【0078】ステップ196では、配管にもれ故障が
生じていることが記憶される。本ステップ196の処理
が終了すると、以後、上記ステップ172の処理が実行
された後、今回のルーチンが終了される。上述の如く、
第1配管失陥判定によれば、全ての液圧センサが正常に
機能する状況下、または、PR センサ34を除く全ての
液圧センサが正常に機能する状況下で、配管〜が正
常であるか否かを正確に判定することができる。上述し
た第1配管失陥判定が終了すると、図2に示すステップ
226よりメインルーチンが続行される。
【0079】図4における(ii)欄に示す如く、センサ故
障判定によってセンサ複数故障状態が検出されている場
合は、配管失陥判定において実質的な処理が行われな
い。従って、センサ故障判定によってセンサ複数故障状
態が検出されている場合は、図2に示すメインルーチン
中ステップ150で配管判定条件が成立すると判別され
た後、ステップ152で実質的な処理が実行されること
なく、ステップ226の処理が実行される。
【0080】図4における (iii)欄に示す如く、センサ
故障判定によってpMC異常状態が検出されている場合
は、配管失陥判定において第2配管失陥判定が実行され
る。図7は、第2配管失陥判定の実行中にECU10が
行う一連の処理のフローチャートを示す。図7に示すル
ーチンは、メインルーチン中で上記ステップ152の処
理が要求されることにより起動される。図7に示すルー
チンが起動されると、先ずステップ198の処理が実行
される。尚、図7において、上記図5に示すステップと
同一の処理を実行するステップについては、同一の符号
を付してその説明を省略または簡略する。
【0081】ステップ198では、配管失陥判定におい
て実行すべき処理が第2配管失陥判定であるか否かを判
別するための処理が実行される。具体的には、センサ故
障判定によってpMC異常状態が検出されているか否か
が判別される。その結果、pMC異常状態が検出されて
いないと判別される場合は、以後、何ら処理が進められ
ることなく今回のルーチンが終了される。一方、pMC
異常状態が検出されていると判別される場合は、次にス
テップ200の処理が実行される。
【0082】ステップ200では、pF=pREGが未
だ成立しているか否かが判別される。その結果、pF=
pREGの関係が成立していると判別される場合は、配
管および配管〜に、それぞれ適正にレギュレータ
圧PREおよびマスタシリンダ圧PM/C が導かれていると
判断できる。この場合、配管、および〜が正常
であると判断できる。本ステップ200で上記の判別が
なされた場合は、以後、配管およびにもれ故障が生
じているか否かを判断すべく、上記ステップ158〜1
70の処理が実行される。
【0083】図7に示すルーチンにおいて、上記ステッ
プ160でΔpREG<TH1が成立する(すなわち、
全ての配管が正常である)と判別された後、上記ステッ
プ168で配管のもれ故障が記憶された後、および、
上記ステップ170で配管のもれ故障が記憶された後
には、ステップ202の処理が実行される。ステップ2
02では、上記の処理の結果、および、後述する処理の
結果に基づいてブレーキ液圧制御装置の状態が特定され
る。本ステップ202では、具体的には、ブレーキ液圧
制御装置の状態が以下に示す何れかの状態に特定され
る。本ステップ202の処理が終了すると今回のルーチ
ンが終了される。
【0084】・PM/C センサ86のみが故障している状
態(PM/C センサ故障状態)、 ・配管〜の何れかにもれ故障が生じている状態(配
管故障状態)、および、 ・発生箇所の特定できない故障が生じている状態(特定
不可状態)。 図7に示すルーチン中、上記ステップ200でpF=p
REGが成立しないと判別される場合は、センサ故障判
定の実行された後に、配管、および〜の少なく
とも一か所にもれ故障が生じたと判断できる。この場
合、次にステップ204の処理が実行される。
【0085】ステップ204では、出力信号pFが出力
信号pREGに比して大きいか否かが判別される。その
結果、pF>pREGが成立すると判別される場合は、
レギュレータ圧PREが適正にPREG センサ26に到達し
ていない、すなわち、配管またはにもれ故障が生じ
ていると判断できる。この場合、次に上記ステップ17
6の処理が実行される。
【0086】一方、上記ステップ204でpF>pRE
Gが成立しないと判別される場合は、マスタシリンダ圧
M/C が適正にPM/C センサ86に導かれていないと判
断することができる。このような事態は、配管〜の
何れかにもれ故障が生じている場合に発生する。本実施
例のシステムにおいて、配管〜に発生しているもれ
故障の箇所を特定するためには、PM/C センサ86およ
びPF センサ62が共に正常に機能していることが必要
である。
【0087】上述の如く、第2配管失陥判定は、PM/C
センサ86の出力信号pMCに異常が生じている状況下
で実行される。従って、第2配管失陥判定が実行される
状況下では、配管〜に生じているもれ故障の箇所を
特定することができない。このため、上記ステップ20
4でpF>pREGが成立しないと判別される場合は、
ブレーキ液圧制御装置の配管に発生箇所の特定できない
もれ故障が生じていると認識することが必要である。本
ルーチン中で上記の判別がなされると、上記ステップ2
04に次いでステップ206の処理が実行される。
【0088】ステップ206では、ブレーキ液圧制御装
置に発生箇所の特定できない故障が生じていることが記
憶される。本ステップ206の処理が終了すると、以
後、上記ステップ202の処理が実行された後、今回の
ルーチンが終了される。上述の如く、第2配管失陥判定
によれば、PM/C センサ86を除く全ての液圧センサが
正常に機能する状況下で、配管〜に故障が生じてい
るか否か、および、配管〜に発生箇所の特定できな
い故障が生じているか否かを正確に判定することができ
る。上述した第2配管失陥判定が終了すると、図2に示
すステップ226よりメインルーチンが続行される。
【0089】図4における(iv)欄に示す如く、センサ故
障判定によってpREG異常状態が検出されている場合
は、配管失陥判定において第3配管失陥判定が実行され
る。図8は、第3配管失陥判定の実行中にECU10が
行う一連の処理のフローチャートを示す。図8に示すル
ーチンは、メインルーチン中で上記ステップ152の処
理が要求されることにより起動される。図8に示すルー
チンが起動されると、先ずステップ208の処理が実行
される。
【0090】ステップ208では、配管失陥判定におい
て実行すべき処理が第3配管失陥判定であるか否かを判
別するための処理が実行される。具体的には、センサ故
障判定によってpREG異常状態が検出されているか否
かが判別される。その結果、pREG異常状態が検出さ
れていないと判別される場合は、以後、何ら処理が進め
られることなく今回のルーチンが終了される。一方、p
REG異常状態が検出されていると判別される場合は、
次にステップ210の処理が実行される。
【0091】ステップ210では、SLA28が全開状
態とされる。本ステップ210の処理が実行されると、
配管と配管とが導通状態となり、PR センサ34に
レギュレータ圧PREが導かれる。ステップ212では、
出力信号pMCとpRとが等しいか否かが判別される。
その結果、pMC=pRが成立すると判別される場合
は、配管および配管〜に、それぞれ適正にレギュ
レータ圧PREおよびマスタシリンダ圧PM/C が導かれて
いると判断できる。上記の事態は、全ての配管が正常で
ある場合に発生する。本ステップ212で上記の判別が
なされた場合は、次にステップ214の処理が実行され
る。
【0092】ステップ214では、上記の処理の結果、
および、後述する処理の結果に基づいてブレーキ液圧制
御装置の状態が特定される。本ステップ214では、具
体的には、ブレーキ液圧制御装置の状態が以下に示す何
れかの状態に特定される。本ステップ214の処理が終
了すると今回のルーチンが終了される。 ・PREG センサ26のみが故障している状態(PREG
ンサ故障状態)、および、 ・配管〜の何れかにもれ故障が生じている状態(配
管故障状態)。
【0093】図8に示すルーチン中、上記ステップ21
2でpMC=pRが成立しないと判別される場合は、配
管および配管〜に、適正にレギュレータ圧PRE
よびマスタシリンダ圧PM/C が導かれていないと判断で
きる。この場合、次にステップ216の処理が実行され
る。ステップ216では、出力信号pMCが出力信号p
Rに比して大きいか否かが判別される。その結果、pM
C>pRが成立すると判別される場合は、レギュレータ
圧PREが適正に配管に導かれていないと判断できる。
この場合、配管〜の何れかにもれ故障が生じている
と判断することができる。
【0094】本実施例のシステムにおいて、配管また
は配管にもれ故障が生じている場合は、如何なる状態
を実現してもブレーキフルードの漏出を防ぐことができ
ない。一方、配管にもれ故障が生じている場合は、ブ
レーキ液圧制御装置を非制御状態とすることで、すなわ
ち、SLA28に最大のリリーフ圧PRELMAXを発生させ
ることで、ブレーキフルードの漏出を有効に防止するこ
とができる。このため、本実施例においては、後述の如
く、配管〜の何れかにもれ故障が発生していること
が特定できる場合は、フェール対応動作としてブレーキ
液圧制御装置を非制御状態に維持する。
【0095】ところで、本実施例のシステムにおいて、
配管にもれ故障が生じている場合は、ブレーキ液圧制
御装置を非制御状態としても、配管内部のブレーキフ
ルードが、そのもれ故障箇所から漏出するのを防止でき
ない。このため、配管にもれ故障が生じている場合
は、SLA29に最大のリリーフ圧PRELMAXを発生させ
ると共に、RRH42を閉弁状態とすることが適切であ
る。このため、本実施例においては、後述の如く、配管
にもれ故障が生じていることが特定できる場合は、フ
ェール対応動作として、ブレーキ液圧制御装置を非制御
状態としたうえで、更にRRH42を閉弁状態とする処
理を実行することとしている。
【0096】上述の如く、上記ステップ216でpMC
>pRが成立すると判別される場合は、配管〜の何
れかにもれ故障が生じていると判断できる。この場合、
もれ故障の発生箇所を配管〜の何れかに特定するこ
とはできない。このような状況下では、ブレーキフルー
ドの漏出量を最小限に止めるために、フェール対応動作
として配管にもれ故障が生じている場合と同様の処理
を行うことが望ましい。従って、上記ステップ216で
pMC>pRが成立すると判別される場合は、以後、配
管にもれ故障が生じているものとして処理を進めるこ
とが適切である。本ルーチンでは、上記ステップ216
でpMC>pRが成立すると判別された場合、次にステ
ップ218の処理が実行される。
【0097】ステップ218では、配管にもれ故障が
生じていることが記憶される。上記の処理によれば、配
管〜の何れかにもれ故障が生じている場合に、ブレ
ーキフルードの漏出量を最小限に止める上で最も有効な
フェール対応動作を実行させることができる。本ステッ
プ218の処理が終了すると、以後、上記ステップ21
4の処理が実行された後、今回のルーチンが終了され
る。
【0098】図8に示すルーチン中、上記ステップ21
6でpMC>pRが成立しないと判別される場合は、マ
スタシリンダ圧PM/C が配管〜に適正に導かれてい
ないと判断することができる。上記の事態は、配管〜
の何れかにもれ故障が生じている場合に発生する。本
実施例のシステムにおいて、PM/C センサ86およびP
F センサ62が共に正常に機能している場合は、上記図
6に示す一連の処理(ステップ178〜196)を実行
することで、配管〜の何れかに発生しているもれ故
障の箇所を特定することができる。第3配管失陥判定
は、PREG センサ26を除く液圧センサが正常に機能し
ている状況下で実行される。従って、第3配管失陥判定
が実行される状況下では、上記図6に示す一連の処理
(ステップ178〜196)を実行することで、配管
〜に発生しているもれ故障の箇所を特定することがで
きる。
【0099】図8に示すルーチン中、上記ステップ21
6でpMC>pRが成立しないと判別される場合は、以
後、上記図6に示すステップ178〜196の処理が実
行される。その後、上記ステップ214の処理が実行さ
れた後、今回のルーチンが終了される。上記の処理によ
れば、配管〜の何れかのもれ故障が生じている場合
に、そのもれ故障の箇所を正確に特定することができ
る。
【0100】上述の如く、第3配管失陥判定によれば、
REG センサ26を除く全ての液圧センサが正常に機能
する状況下で、配管(配管〜の何れか)に故障が
生じているか否か、および、配管〜に故障が生じて
いるか否かを正確に判定することができる。上述した第
3配管失陥判定が終了すると、図2に示すステップ22
6よりメインルーチンが続行される。
【0101】図4における (v)欄に示す如く、センサ故
障判定によってpF異常状態が検出されている場合は、
配管失陥判定において第4配管失陥判定が実行される。
図9は、第4配管失陥判定の実行中にECU10が行う
一連の処理のフローチャートを示す。図9に示すルーチ
ンは、メインルーチン中で上記ステップ152の処理が
要求されることにより起動される。図9に示すルーチン
が起動されると、先ずステップ220の処理が実行され
る。尚、図9において、上記図5に示すステップと同一
の処理を実行するステップについては、同一の符号を付
してその説明を省略または簡略する。
【0102】ステップ220では、配管失陥判定におい
て実行すべき処理が第4配管失陥判定であるか否かを判
別するための処理が実行される。具体的には、センサ故
障判定によってpF異常状態が検出されているか否かが
判別される。その結果、pF異常状態が検出されていな
いと判別される場合は、以後、何ら処理が進められるこ
となく今回のルーチンが終了される。一方、pF異常状
態が検出されていると判別される場合は、以後、上記ス
テップ156以降の処理が実行される。
【0103】図7に示すルーチンにおいては、上記ステ
ップ160でΔpREG<TH1が成立する(すなわ
ち、全ての配管が正常である)と判別された後、上記ス
テップ168で配管のもれ故障が記憶された後、上記
ステップ170で配管のもれ故障が記憶された後、お
よび、上記ステップ176で配管またはのもれ故障
が記憶された後に、ステップ222の処理が実行され
る。
【0104】ステップ222では、上記の処理の結果、
および、後述する処理の結果に基づいてブレーキ液圧制
御装置の状態が特定される。本ステップ222では、具
体的には、ブレーキ液圧制御装置の状態が以下に示す何
れかの状態に特定される。本ステップ222の処理が終
了すると今回のルーチンが終了される。 ・PF センサ62のみが故障している状態(PF センサ
故障状態)、 ・配管〜の何れかにもれ故障が生じている状態(配
管故障状態)、および、 ・発生箇所の特定できない故障が生じている状態(特定
不可状態)。
【0105】図9に示すルーチン中、上記ステップ17
4pMC>pREGが成立しないと判別される場合は、
マスタシリンダ圧PM/C が適正にPM/C センサ86に導
かれていないと判断することができる。このような事態
は、配管〜の何れかにもれ故障が生じている場合に
発生する。上述の如く、本実施例のステムにおいて、配
管〜に発生しているもれ故障の箇所を特定するため
にはPM/C センサ86およびPF センサ62が共に正常
に機能していることが必要である。
【0106】第4配管失陥判定は、PF センサ62の出
力信号pFに異常が生じている状況下で実行される。従
って、第4配管失陥判定が実行される状況下では、配管
〜に生じているもれ故障の箇所を特定することがで
きない。このため、上記ステップ174でpMC>pR
EGが成立しないと判別される場合は、ブレーキ液圧制
御装置の配管に発生箇所の特定できないもれ故障が生じ
ていると認識することが必要である。本ルーチン中で上
記の判別がなされると、上記ステップ174に次いでス
テップ224の処理が実行される。
【0107】ステップ224では、ブレーキ液圧制御装
置に発生箇所の特定できない故障が生じていることが記
憶される。本ステップ224の処理が終了すると、以
後、上記ステップ222の処理が実行された後、今回の
ルーチンが終了される。上述の如く、第4配管失陥判定
によれば、PF センサ62を除く全ての液圧センサが正
常に機能する状況下で、配管〜に故障が生じている
か否か、および、配管〜に発生箇所の特定できない
故障が生じているか否かを正確に判定することができ
る。上述した第4配管失陥判定が終了すると、図2に示
すステップ226よりメインルーチンが続行される。
【0108】図4における(vii) 欄に示す如く、センサ
故障判定によって特定不可状態が検出されている場合
は、配管失陥判定において実質的な処理が行われない。
従って、センサ故障判定によってセンサ複数故障状態が
検出されている場合は、図2に示すメインルーチン中ス
テップ150で配管判定条件が成立すると判別された
後、ステップ152で実質的な処理が実行されることな
く、ステップ226の処理が実行される。
【0109】図10は、上述したセンサ故障判定および
配管失陥判定によって特定される14の状態 (I)〜(XI
V) と、それぞれの状態に対応して選択される対応動作
の内容とを示す。ECU10は、図2に示すメインルー
チン中、ステップ226以降の処理を実行することで、
ブレーキ液圧制御装置の状態 (I)〜(XIV) に応じた対応
動作を実現する。
【0110】尚、図10に示す14の状態 (I)〜(XIV)
は、具体的には以下の判定結果が得られた場合に特定さ
れる。 (I) 正常:センサ故障判定により (i)正常状態が検出
された場合、 (II) センサ複数故障:センサ故障判定により(ii)セン
サ複数故障状態が検出された場合、 (III) PM/C センサ故障:センサ故障判定により (iii)
pMC異常状態(マスタシリンダ圧PM/C を検出する液
圧センサ86の異常)が検出され、かつ、配管失陥判定
により配管が正常であることが検出された場合、 (IV) PREG センサ故障:センサ故障判定により(iv)p
REG異常状態(レギュレータ圧PREを検出する液圧セ
ンサ26の異常)が検出され、かつ、配管失陥判定によ
り配管が正常であることが検出された場合、 (V) PF センサ故障:センサ故障判定により (v)pF
異常状態(左右前輪のホイルシリンダ圧PW/C を検出す
る液圧センサ62の異常)が検出され、かつ、配管失陥
判定により配管が正常であることが検出された場合、 (VI) PR センサ故障:センサ故障判定により(VI)pR
異常状態(左右後輪のホイルシリンダ圧PW/C を検出す
る液圧センサ34の異常)が検出され、かつ、配管失陥
判定により配管が正常であることが検出された場合、 (VII) 配管or故障:配管失陥判定により配管(リ
ザーバタンク16からレギュレータ14に至る配管)ま
たは配管(レギュレータ圧PREが導かれる配管)のも
れ故障が検出された場合、 (VIII)〜(XIII)配管故障〜配管故障:それぞれ、配
管(SLA28およびSLR36によって生成される
ブレーキ液圧が導かれる配管)、配管(PV48にブ
レーキ液圧を導く配管)、配管(マスタシリンダ圧P
M/C が導かれる配管)、配管(右前輪FRにブレーキ
液圧を導く配管)、配管(左前輪FLにブレーキ液圧
を導く配管)、または、配管(SLA28およびSL
R36によって生成されるブレーキ液圧を左右前輪F
L,FRに導く配管)についてもれ故障が検出された場
合、 (XIV) 特定不可:センサ故障判定により(vii) 特定不可
状態が検出された場合、および、配管失陥判定により故
障箇所の特定できないもれ故障が検出された場合。
【0111】図2に示すメインルーチンにおいて、ステ
ップ226では、通常制御条件が成立しているか否かが
判別される。通常制御条件は、ブレーキ液圧制御装置に
おいて1系統通常制御を実行するための条件である。本
ステップ226では、センサ故障判定および配管失陥判
定により、 (I)正常状態が検出されている場合に通常制
御条件が成立すると判別される。本ステップ226で通
常制御条件が成立すると判別されると、次にステップ2
28の処理が実行される。
【0112】ステップ228では、1系統通常制御を含
む回生協調制御が実現される。上述の如く、本実施例の
ブレーキ液圧制御装置は電気自動車において用いられる
装置である。電気自動車においては、車両の制動時に制
動エネルギを電気エネルギに変換してバッテリに回生さ
せる回生制御が実行される。回生制御の実行中は、駆動
輪に連結されたモータにより、駆動輪の回転を制動する
回生制動トルクが発生される。従って、電気自動車にお
いては、車両の制動中に、ブレーキ液圧制御装置が発生
する液圧制動トルクと、回生制御に伴う回生制動トルク
が発生する。本ステップ228では、液圧制動トルクと
回生制動トルクとを合わせたトルクが、運転者によるブ
レーキ操作量に応じた値となるように各車輪のホイルシ
リンダ圧PW/C を調圧する制御が実行される。
【0113】上記ステップ228における回生協調制御
では、具体的には、 (1)ブレーキペダル11の踏み込み
量に基づいて運転者の要求している制動トルクのトータ
ル値を演算する処理、 (2)回生制御に伴って発生する回
生制動トルクを演算する処理、 (3)上記のトータル値か
ら回生制動トルクを減ずることで液圧制動トルクの目標
値を演算する処理、 (4)その目標値に一致する液圧制動
トルクが生ずるように1系統通常制御によって各車輪の
ホイルシリンダ圧PW/C を調圧する処理が実行される。
上記ステップ228の処理が終了すると、今回のルーチ
ンが終了される。
【0114】図2に示すメインルーチン中、上記ステッ
プ226で通常制御条件が成立しないと判別された場
合、すなわち、センサ故障判定および配管失陥判定によ
り図10に示す(II)〜(XIV) の何れかの状態が検出され
ている場合は、次にステップ230の処理が実行され
る。ステップ230では、特定制御条件が成立するか否
かが判別される。本ステップ230では、センサ故障判
定および配管失陥判定により、図10に示す(II)、(II
I)、(IV)、 (V)、(VI)、(IX)、(X) 、(XI)、(XII) の状
態が検出されている場合に特定制御条件が成立すると判
別される。本ステップ230で特定制御条件が成立する
と判別されると、次にステップ232の処理が実行され
る。一方、特定制御条件が成立しないと判別される場合
は、ステップ232が実行されることなく今回のルーチ
ンが終了される。
【0115】ステップ232では、センサ故障判定およ
び配管失陥判定によって特定されたブレーキ液圧制御装
置の状態に応じた特定制御が実行される。本ステップ2
32の処理が終了すると、今回のルーチンが終了され
る。図10における(II)欄に示す如く、ブレーキ液圧制
御装置において(II)センサ複数故障が検出されている場
合は、上記ステップ232において2系統SLA制御が
実行される。
【0116】2系統SLA制御は、SS58、SMC-1
88およびSMC-2がオフ状態に維持された状況下で、
すなわち、SS58が閉弁状態に、また、SMC-188
およびSMC-2が開弁状態に維持された状況下で実行さ
れる。この場合、左右前輪FL,FRのホイルシリンダ
76,78にマスタシリンダ圧PM/C が導かれると共
に、左右後輪RL,RRのホイルシリンダ50,52
に、SLA28の下流に発生するブレーキ液圧が導かれ
る。従って、2系統SLA制御の実行中は、SLA28
およびSLR36を適当に制御することにより、左右後
輪RL,RRのホイルシリンダ圧PW/C をマスタシリン
ダ圧PM/C と同等以下の任意の液圧に調圧することがで
きる。
【0117】図11は、2系統SLA制御を実現すべく
ECU10が実行する制御ルーチンの一例のフローチャ
ートを示す。図11に示すルーチンは、メインルーチン
中で上記ステップ232の処理が要求されることにより
起動される。図11に示すルーチンが起動されると、先
ずステップ234の処理が実行される。ステップ234
では、基準信号p*が決定される。基準信号p*は、出
力信号pMC、pREGおよびpFのうち正常値である
ことが確定しているものに決定される。基準信号p*
は、ブレーキ操作量に対応している。このため、本ルー
チンにおいて基準信号p*は、ホイルシリンダ50,5
2,76,78に供給すべきブレーキ圧の目標値(目標
ブレーキ圧P* )として用いられる。
【0118】ステップ236では、インターバルカウン
タCINT の計数値が所定値αに達しているか否かが判別
される。後述の如く、2系統SLA制御は、SLA28
を断続的にデューティ駆動する制御である。インターバ
ルカウンタCINT は、SLA28のデューティ駆動が停
止された後の経過時間を計数するためのカウンタであ
る。また、所定値αは、デューティ駆動の停止を維持す
べき時間である。
【0119】従って、上記ステップ236でCINT ≧α
が成立しないと判別される場合は、未だSLA28のデ
ューティ駆動を再開すべき時期が到来していないと判断
できる。本ルーチンでは、この場合、ステップ236に
次いでステップ238の処理が実行される。一方、上記
ステップ236でCINT ≧αが成立すると判別される場
合は、既にSLA28のデューティ駆動を再開すべき時
期が到来していると判断できる。この場合、ステップ2
36に次いでステップ240の処理が実行される。
【0120】ステップ238では、インターバルカウン
タCINT がインクリメントされる。本ステップ238の
処理が終了すると、以後、後述するステップ254の処
理が実行された後、今回のルーチンが終了される。上記
の処理によれば、SLA28はオフ状態に維持される。
ステップ240では、ブレーキペダル11が踏み込まれ
ているか否かが判別される。その結果、ブレーキペダル
11が踏み込まれていないと判別される場合は、制動力
を発生する必要がないと判断できる。この場合、以後、
後述するステップ254の処理が実行された後、今回の
ルーチンが終了される。上記の処理によれば、SLA2
8はオフ状態に維持される。一方、本ステップ240で
ブレーキペダル11が踏み込まれていると判別される場
合は、次にステップ242の処理が実行される。
【0121】ステップ242では、基準信号p*の変化
率Δp*が正の値であるか否かが判別される。基準信号
p*の変化率Δp*は、ブレーキペダル11の踏み込み
が解除される過程で負の値となり、ブレーキペダル11
が踏み増される過程での値となる。従って、Δp*>
0が成立しないと判別される場合は、運転者が制動力の
増大を要求していないと判断できる。運転者が制動力の
増大を要求していない場合は、SLA28の下流に現れ
るブレーキ液圧を増圧する必要はない。従って、かかる
状況下では、SLA28のリリーフ圧を下げる必要はな
い。本ステップ242で上記の判別がなされた場合は、
以後、後述するステップ254の処理が実行された後、
今回のルーチンが終了される。上記の処理によれば、S
LA28はオフ状態に維持される。
【0122】上記ステップ242でΔp*>0が成立す
ると判別される場合は、運転者が制動力の増大を要求し
ていると判断することができる。運転者が制動力の増大
を要求している場合は、SLA28のリリーフ圧を下げ
てSLA28の下流に現れるブレーキ液圧を増圧するこ
とが適切である。本ルーチンにおいては、この場合、ス
テップ242に次いでステップ244の処理が実行され
る。
【0123】ステップ244では、SLA28の駆動に
用いられるデューティ比Dutyが演算される。Dutyは、基
準信号p*の変化率Δp*に定数Kを乗算することによ
り求められる。本ステップ244の処理によれば、変化
率Δp*が大きいほど、すなわち、ブレーキペダル11
が急激に踏み込まれるほど、Dutyを大きな値とすること
ができる。
【0124】ステップ246では、上記ステップ244
で演算されたデューティ比Dutyを用いてSLA28がデ
ューティ駆動される。本ステップ246では、具体的に
は、SLA28に対して、SLA28のリリーフ圧を
“0”とするための駆動信号がデューティ比Dutyで供給
される。上記の処理によれば、ブレーキペダル11が急
激に踏み込まれるほど、SLA28のリリーフ圧が
“0”となる期間を長期化することができる。従って、
上記の処理によれば、ブレーキペダル11が急激に踏み
込まれるほど、SLA28の下流に現れるブレーキ液圧
を、急激にレギュレータ圧PREに向けて上昇させること
ができる。
【0125】ステップ248では、積算カウンタCON
インクリメントする処理が実行される。積算カウンタC
ONは、SLA28のデューティ駆動が開始された後の経
過時間を計数するためのカウンタである。ステップ25
0では、積算カウンタCONの計数値が所定値βに達して
いるか否かが判別される。所定値βは、SLA28のデ
ューティ駆動の継続が許容される時間である。従って、
本ステップ250でCON≧βが成立しないと判別される
場合は、未だSLA28のデューティ駆動を継続し得る
と判断できる。この場合、以後、何ら処理が進められる
ことなく今回のルーチンが終了される。一方、CON≧β
が成立すると判別される場合は、SLA28のデューテ
ィ駆動を停止すべき時期が到来したと判断される。この
場合、次にステップ252の処理が実行される。
【0126】ステップ252では、積算カウンタCON
計数値およびインターバルカウンタCINT の計数値が
“0”にリセットされる。ステップ254では、SLA
28への駆動信号の出力が停止される。本ステップ25
4の処理が終了すると、今回のルーチンが終了される。
上記ステップ252の処理、すなわち、インターバルカ
ウンタCINT の計数値および積算カウンタCONの計数値
を“0”にリセットする処理が実行されると、その後、
インターバルカウンタCINT に所定値αが計数されるま
で、本ルーチンが起動される毎に上記ステップ234〜
238および254の処理が繰り返し実行される。この
ため、SLA28は、上記ステップ252の処理が実行
された後、すなわち、SLA28のデューティ制御が停
止された後、所定期間の間オフ状態に維持される。
【0127】本ルーチンが繰り返し起動される過程でイ
ンターバルカウンタCINT に所定値αが計数されると、
その後、積算カウンタCONに所定値βが計数されるま
で、本ルーチンが起動される毎に上記ステップ234、
236、240〜250の処理が繰り返される。この
間、SLA28は、運転者によってブレーキペダル11
が踏み増されている場合に限りデューティ駆動される。
従って、上述した2系統SLA制御によれば、SLA2
8が所定値βに対応する時間だけデューティ駆動される
毎に、SLA28を所定値αに対応する時間だけオフ状
態に維持することができる。
【0128】ブレーキ液圧制御装置のシステム構成によ
れば、SLA28を常に全開状態(リリーフ圧“0”の
状態)に制御することが可能である。SLA28が全開
状態に制御される場合、SLA28の下流側のブレーキ
液圧に、レギュレータ圧PREの変化を直接的に反映させ
ることができる。従って、SLA28を常に全開状態と
する処理は、運転者の意図を正確にホイルシリンダ圧P
W/C に反映させ得る点で有効である。
【0129】しかしながら、リリーフ圧を“0”とする
ための電流が長期にわたってSLA28に供給され続け
るとすれば、SLA28の使用可能期間を十分に確保す
ることが困難となる。これに対して、上述した2系統S
LA制御のように、SLA28を、Δp*に比例するデ
ューティ比Dutyで断続的にデューティ駆動することによ
れば、SLA28の使用可能期間を十分に確保しつつ、
運転者の意図をホイルシリンダ圧PW/C に反映させるこ
とが可能である。このため、本実施例のブレーキ液圧制
御装置によれば、複数の液圧センサに故障が生じた場合
においても、大きな不都合を伴うことなく、正常時に近
似したブレーキ制御を続行することができる。
【0130】図10における (III)欄に示す如く、ブレ
ーキ液圧制御装置において (III)P M/C センサ故障が検
出されている場合は、上記ステップ232において、
「PM/ C 対応1系統特定制御」が実行される。PM/C
応1系統特定制御は、PREG センサ26の出力信号pR
EGを基準信号p*として、ブレーキ液圧制御装置の全
てのソレノイドを1系統通常制御と同様に制御すること
で実現される。上記の制御によれば、PM/C センサ86
に故障が生じている場合においても、ブレーキ液圧制御
装置が正常である場合と同様に各車輪のホイルシリンダ
圧PW/C を制御することができる。
【0131】図10における(IV)欄に示す如く、ブレー
キ液圧制御装置において(IV)PREGセンサ故障が検出さ
れている場合は、上記ステップ232において、「P
REG 対応1系統特定制御」が実行される。PREG 対応1
系統特定制御は、PM/C センサ86の出力信号pMCを
基準信号p*として、ブレーキ液圧制御装置の全てのソ
レノイドを1系統通常制御と同様に制御することで実現
される。上記の制御によれば、PREG センサ26に故障
が生じている場合においても、ブレーキ液圧制御装置が
正常である場合と同様に各車輪のホイルシリンダ圧P
W/C を制御することができる。
【0132】図10における (V)欄に示す如く、ブレー
キ液圧制御装置において (V)PF センサ故障が検出され
ている場合は、上記ステップ232において、「PF
応1系統特定制御」が実行される。PF 対応1系統特定
制御は、PR センサ34の出力信号pRを、全ての車輪
のホイルシリンダ圧PW/C に相当する値と扱って、ブレ
ーキ液圧制御装置の全てのソレノイドを1系統通常制御
と同様に制御することで実現される。上記の制御によれ
ば、PF センサ62に故障が生じている場合において
も、ブレーキ液圧制御装置が正常である場合と同様に各
車輪のホイルシリンダ圧PW/C を制御することができ
る。
【0133】図10における(VI)欄に示す如く、ブレー
キ液圧制御装置において(VI)PR センサ故障が検出され
ている場合は、上記ステップ232において、「PR
応1系統特定制御」が実行される。PR 対応1系統特定
制御は、PF センサ62の出力信号pFを、全ての車輪
のホイルシリンダ圧PW/C に相当する値と扱って、ブレ
ーキ液圧制御装置の全てのソレノイドを1系統通常制御
と同様に制御することで実現される。上記の制御によれ
ば、PR センサ34に故障が生じている場合において
も、ブレーキ液圧制御装置が正常である場合と同様に各
車輪のホイルシリンダ圧PW/C を制御することができ
る。
【0134】図10における(VII) 欄に示す如く、ブレ
ーキ液圧制御装置において(VII) 配管or故障が検出
されている場合は、上記ステップ230において、特定
制御条件が不成立であると判別される。この場合、ブレ
ーキ液圧制御装置は非制御状態に維持される。配管ま
たはにもれ故障が生じている場合は、SLA28の下
流側に高圧のブレーキ液圧を発生させることができな
い。かかる状況下でブレーキ液圧制御装置が非制御状態
に維持されると、少なくとも左右前輪FL,FRのホイ
ルシリンダ76,78にマスタシリンダ圧PM/C を導く
ことができる。
【0135】図10における(VIII)欄に示す如く、ブレ
ーキ液圧制御装置において(VIII)配管故障が検出され
ている場合は、上記ステップ230において、特定制御
条件が不成立であると判別される。この場合、ブレーキ
液圧制御装置は非制御状態に維持される。配管にもれ
故障が生じている場合は、配管に高圧のブレーキ液圧
を蓄えることができない。従って、この場合は、SLA
28およびSLR36を用いてホイルシリンダ圧PW/C
を調圧することができない。かかる状況下でブレーキ液
圧制御装置が非制御状態に維持されると、少なくとも左
右前輪FL,FRのホイルシリンダ76,78にマスタ
シリンダ圧PM/C を導くことができる。
【0136】図10における(IX)欄に示す如く、ブレー
キ液圧制御装置において(IX)配管故障が検出されてい
る場合は、上記ステップ232において、「2系統特定
制御」が実行される。2系統特定制御は、RRH42を
除く全てのソレノイドをオフ状態とし、RRH42のみ
をオン状態(閉弁状態)とすることで実現される。配管
にもれ故障が生じている場合は、SLA28の下流側
に現れるブレーキ液圧をホイルシリンダ50,52に供
給することができない。従って、この場合は、SLA2
8およびSLR36を用いて左右後輪RL,RRのホイ
ルシリンダ圧PW/C を調圧することができない。
【0137】また、配管にもれ故障が生じている場合
は、SLA28の下流側に高圧のブレーキ液圧が導かれ
た際に、その故障箇所からブレーキフルードが漏出する
事態が生ずる。SLA28は、オフ状態に維持されてい
ても、配管側に配管の液圧に比して最大リリーフ圧
RELMAXを超えて高圧のレギュレータ圧PREが発生する
と、配管側から配管側へ向けてブレーキフルードを
流通させる。このため、配管にもれ故障が生じている
場合に、フェール対応動作として単にブレーキ液圧制御
装置が非制御状態に維持されるとすれば、運転者がブレ
ーキペダル11を大きく踏み込んだ際に、配管の故障
箇所からブレーキフルードが漏出する事態が生ずる。
【0138】上述した2系統特定制御によれば、配管
にもれ故障が生じている状況下で、その配管を配管
から遮断すると共に、左右前輪FL,FRのホイルシリ
ンダ76,78をマスタシリンダ13に導通させること
ができる。従って、2系統特定制御によれば、配管に
もれ故障が生じている場合に、故障箇所からのブレーキ
フルードの漏出を防止しつつ、左右前輪FL,FRのホ
イルシリンダ76,78にマスタシリンダ圧PM/C を導
くことができる。
【0139】図10における (X)欄に示す如く、ブレー
キ液圧制御装置において (X)配管故障が検出されてい
る場合は、上記ステップ232において、「配管対応
1系統特定制御」が実行される。配管対応1系統特定
制御は、PREG センサ26の出力信号pREGを基準信
号p*として、ブレーキ液圧制御装置の全てのソレノイ
ドを1系統通常制御と同様に制御することで実現され
る。上記の制御が開始されると、配管と配管との間
に介在するSMC-188、および、配管と配管との
間に介在するSMC -290は共にオン状態(閉弁状態)
とされる。このため、上記の制御によれば、配管にも
れ故障が生じていても、各車輪のホイルシリンダ圧P
W/C をブレーキ液圧制御装置が正常である場合と同様に
制御することができる。
【0140】図10における(XI)欄に示す如く、ブレー
キ液圧制御装置において(XI)配管故障が検出されてい
る場合は、上記ステップ232において、「配管対応
1系統特定制御」が実行される。配管対応1系統特定
制御は、FRH70を除く全てのソレノイドを1系統通
常制御と同様に制御し、かつ、FRH70をオン状態
(閉弁状態)に維持することで実現される。上記の制御
によれば、もれ故障の生じている配管を他の配管から
遮断しつつ、左前輪FLのホイルシリンダ76、およ
び、左右後輪RL,RRのホイルシリンダ50,52
に、SLA28の下流側のブレーキ液圧を供給すること
ができる。従って、上記の制御によれば、配管にもれ
故障が生じている場合に、故障箇所からブレーキフルー
ドを漏出させることなく、右前輪FRを除く全ての車輪
のホイルシリンダ圧PW/C をブレーキ液圧制御装置が正
常である場合と同様に制御することができる。
【0141】図10における(XII) 欄に示す如く、ブレ
ーキ液圧制御装置において(XII) 配管故障が検出され
ている場合は、上記ステップ232において、「配管
対応1系統特定制御」が実行される。配管対応1系統
特定制御は、FLH64を除く全てのソレノイドを1系
統通常制御と同様に制御し、かつ、FLH64をオン状
態(閉弁状態)に維持することで実現される。上記の制
御によれば、もれ故障の生じている配管を他の配管か
ら遮断しつつ、右前輪FRのホイルシリンダ78、およ
び、左右後輪RL,RRのホイルシリンダ50,52
に、SLA28の下流側のブレーキ液圧を供給すること
ができる。従って、上記の制御によれば、配管にもれ
故障が生じている場合に、故障箇所からブレーキフルー
ドを漏出させることなく、左前輪FLを除く全ての車輪
のホイルシリンダ圧PW/C をブレーキ液圧制御装置が正
常である場合と同様に制御することができる。
【0142】図10における(XIII)欄に示す如く、ブレ
ーキ液圧制御装置において(XIII)配管故障が検出され
ている場合は、上記ステップ230において、特定制御
条件が不成立であると判別される。この場合、ブレーキ
液圧制御装置は非制御状態に維持される。配管と配管
との間、および、配管と配管との間には、配管
または配管から配管へ向かうブレーキフルードの流
れを許容する逆止弁66,72が配設されている。この
ため、配管にもれ故障が生じている場合は、配管お
よび配管に高圧のブレーキ液圧を蓄えることができな
い。従って、この場合は、左右前輪FL,FRのホイル
シリンダ76,78に高圧のホイルシリンダ圧PW/ C
発生させることはできない。かかる状況下でブレーキ液
圧制御装置が非制御状態に維持されると、少なくとも左
右後輪RL,RRのホイルシリンダ50,52にレギュ
レータ圧PREに応じた液圧を導くことができる。
【0143】図10における (XIV)欄に示す如く、ブレ
ーキ液圧制御装置において (XIV)特定不可故障が検出さ
れている場合は、上記ステップ230において、特定制
御条件が不成立であると判別される。この場合、ブレー
キ液圧制御装置は非制御状態に維持される。上述の如
く、非制御状態によれば、左右前輪FL,FRのホイル
シリンダ76,78にマスタシリンダ圧PM/C を導き、
かつ、左右後輪RL,RRのホイルシリンダ50,52
にレギュレータ圧PREを導き得る状態が形成される。従
って、上記の制御によれば、ブレーキ液圧制御装置に特
定不可の故障が生じている場合に、各車輪のホイルシリ
ンダ圧PW/C を確実に増圧させることができる。
【0144】このように、本実施例のブレーキ液圧制御
装置によれば、センサ故障判定および配管失陥判定を行
うことでブレーキ液圧制御装置の状態を正確に特定し、
その特定内容に応じた最適な対応動作でホイルシリンダ
圧PW/C の調圧を行うことができる。このため、本実施
例のブレーキ液圧制御装置によれば、システムに故障が
生じた場合においても、広い状況下で正常時と同等また
は近似したブレーキ液圧制御を続行することができる。
【0145】尚、上記の実施例においては、レギュレー
タ14が前記請求項1記載の「液圧発生源」に、SLA
28が前記請求項1記載の「液圧制御弁」に、センサ複
数故障が前記請求項1記載の「特定の故障」にそれぞれ
相当していると共に、ECU10が、上記ステップ24
6の処理を実行することで前記請求項1記載の「制御弁
制御手段」が、上記ステップ234の処理を実行するこ
とにより前記請求項1記載の「目標値検出手段」が、上
記ステップ244の処理を実行することにより前記請求
項1記載の「デューティ比設定手段」がそれぞれ実現さ
れている。
【0146】また、上記の実施例においては、レギュレ
ータ14が前記請求項2記載の「レギュレータ機構」
に、SLA28の発生する最大のリリーフ圧PRELMAX
前記請求項2記載の「所定のリリーフ圧」に、SLA2
8に内蔵されるリリーフ機構が前記請求項2記載の「リ
リーフ機構」に、それぞれ相当している。更に、上記の
実施例においては、ECU10が上記ステップ236、
238、248〜254の処理を実行することで前記請
求項3記載の「デューティ期間制限手段」が実現されて
いる。
【0147】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、システムに故障が生じた場合であっても、適正なブ
レーキ制御を、すなわち、ブレーキ液圧の目標値の変化
に応じてホイルシリンダ圧を増減させるブレーキ制御を
続行させることができる。請求項2記載の発明によれ
ば、液圧制御弁の適正な作動を妨げる故障がシステムに
生じた場合であっても、少なくともブレーキ操作量に応
じた液圧(レギュレータ圧)から所定のリリーフ圧を減
じた液圧をホイルシリンダに供給することができる。
【0148】また、請求項3記載の発明によれば、液圧
制御弁が継続的にデューティ制御される期間を制限する
ことにより、液圧制御弁に、十分に長い使用可能期間を
付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるブレーキ液圧制御装置
のシステム構成図である。
【図2】図1に示すブレーキ液圧制御装置において実行
されるメインルーチンの一例のフローチャートである。
【図3】図1に示すブレーキ液圧制御装置において実行
されるセンサ故障判定ルーチンの一例のフローチャート
である。
【図4】センサ故障判定を実行することで得られる結果
と、配管失陥判定において実行すべき処理の内容との関
係を示す図である。
【図5】図1に示すブレーキ液圧制御装置において第1
配管失陥判定の実行中に行われる一連の処理の内容を表
すフローチャートである。
【図6】図1に示すブレーキ液圧制御装置において第1
配管失陥判定の実行中および第3配管失陥判定の実行中
に行われる一連の処理の内容を表すフローチャートであ
る。
【図7】図1に示すブレーキ液圧制御装置において第2
配管失陥判定の実行中に行われる一連の処理の内容を表
すフローチャートである。
【図8】図1に示すブレーキ液圧制御装置において第3
配管失陥判定の実行中に行われる一連の処理の内容を表
すフローチャートである。
【図9】図1に示すブレーキ液圧制御装置において第4
配管失陥判定の実行中に行われる一連の処理の内容を表
すフローチャートである。
【図10】配管失陥判定を実行することで得られる結果
と、各結果に対して実行すべき対応動作との関係を示す
図である。
【図11】図1に示すブレーキ液圧制御装置において2
系統SLA制御の実行中に行われる一連の処理の内容を
表すフローチャートである。
【符号の説明】
10 電子制御ユニット(ECU) 11 ブレーキスイッチ 13 マスタシリンダ 14 レギュレータ 26 液圧センサ(PREG センサ) 28 増圧用リニア制御弁(SLA) 34 液圧センサ(PR センサ) 36 減圧用リニア制御弁(SLR) 50,52,76,78 ホイルシリンダ 62 液圧センサ(PF センサ) 86 液圧センサ(PM/C センサ) 88 第1マスタカット弁(SMC-1) 90 第2マスタカット弁(SMC-2) 〜 配管 pREG,pMC,pR,pF 出力信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/88 B60T 17/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の液圧を発生する液圧発生源と、前
    記液圧発生源の発生する液圧を減圧制御してホイルシリ
    ンダに供給する液圧制御弁と、を備えるブレーキ液圧制
    御装置において、 システムに特定の故障が生じた場合に、前記液圧制御弁
    をデューティ制御する制御弁制御手段と、 ホイルシリンダに供給すべきブレーキ液圧の目標値を検
    出する目標値検出手段と、 前記目標値の変化率に基づいて前記液圧制御弁のデュー
    ティ制御に用いられるデューティ比を設定するデューテ
    ィ比設定手段と、 を備えることを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のブレーキ液圧制御装置に
    おいて、 前記液圧発生源が、ブレーキ操作量に応じた液圧を発生
    するレギュレータ機構を備えると共に、 前記液圧制御弁が、前記レギュレータ側の液圧が前記ホ
    イルシリンダ側の液圧に比して所定のリリーフ圧を超え
    て高圧である場合に、前記レギュレータ側から前記ホイ
    ルシリンダ側へ向かうブレーキフルードの流れを許容す
    るリリーフ機構を備えることを特徴とするブレーキ液圧
    制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のブレーキ液圧制御装置に
    おいて、前記制御弁制御手段による前記液圧制御弁のデューティ
    制御が継続される 期間を所定期間以下に制限するデュー
    ティ期間制御手段を備えることを特徴とするブレーキ液
    圧制御装置。
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