JP3277615B2 - ガスバリヤ用表面処理用組成物 - Google Patents

ガスバリヤ用表面処理用組成物

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JP3277615B2
JP3277615B2 JP14795393A JP14795393A JP3277615B2 JP 3277615 B2 JP3277615 B2 JP 3277615B2 JP 14795393 A JP14795393 A JP 14795393A JP 14795393 A JP14795393 A JP 14795393A JP 3277615 B2 JP3277615 B2 JP 3277615B2
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哲也 山本
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスバリヤ性、透明性
かつ可撓性に優れた被膜を形成し得るガスバリヤ用表面
処理用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸素、窒素、炭酸ガス、水蒸気等の気体
の透過度が極めて小さいガスバリヤ材は包装用材料等の
分野において需要が増大している。ガスバリヤ性をプラ
スチックフィルムまたはシート等成形体材料に付与する
ためには、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩
化ビニリデン系共重合体、ポリメタキシリレンアジパミ
ド等の気体不透過性素材で成形体を作成する、これら
の気体不透過性素材を他の材料にラミネートまたはコー
ティングする、アルミ箔をフィルム状材料にラミネー
トする、金属酸化物を蒸着する等の方法が知られてい
る。
【0003】しかし、の気体不透過性素材の内、エチ
レン−ビニルアルコール共重合体やポリメタキシリレン
アジパミドは吸湿性が大きく、吸湿に伴ってガスバリヤ
性が大幅に低下するという問題があり、塩化ビニリデン
系共重合体は塩素原子を含んでいるため公害の原因とな
る恐れがある。また、のアルミ箔ラミネートフィルム
では、包装された内容物を外から見ることができず、
の金属蒸着フィルムは可撓性等を低下させるため、包装
時に蒸着層にクラックを生じ易く、ガスバリヤ性の低下
を引き起こすという問題があった。
【0004】これらの問題を解決するために、緻密な分
子構造を有し、耐候性、硬度、耐薬品性に優れたポリシ
ロキサンを用いて、プラスチックフィルムの表面処理を
行なうことが研究されている。しかしながらポリシロキ
サンの原料として用いられるテトラアルコキシシラン
は、加水分解縮合反応点が4つもあるため縮合時の体積
収縮率が大きく、クラックやピンホールのない被覆膜を
得ることは困難であった。
【0005】そこで加水分解縮合反応点が3つしかない
アルキルトリアルコキシシランを単独もしくはテトラア
ルコキシシランと共加水分解縮合を行なうことによっ
て、クラックやピンホールの発生を抑えることが提案さ
れた。しかしアルキルトリアルコキシシランは反応性が
低いので、アルキルトリアルコキシシランの単独使用で
は縮合せずに残存する単量体が多くなり、またテトラア
ルコキシシランとの併用ではなかなか均一な共加水分解
縮合ができないのが現状であった。さらにこれらのシラ
ン系表面処理用組成物は、プラスチックフィルム素材と
の親和性がなく濡れ性が悪いので、成膜性に劣るという
問題もあった。
【0006】また特開平2-286331号公報には、アルコキ
シシランを加水分解縮合し、プラスチックフィルムに被
覆することが示されているが、この方法ではアルコキシ
シラン成分のみをフィルムにコーティングするため、フ
ィルムの可撓性が著しく損なわれるものであった。
【0007】上記観点から、例えば特開平1-278574号公
報には、テトラアルコキシシシラン等のアルコキシシラ
ン加水分解物を反応性ウレタン樹脂と組み合わせること
によって表面処理被膜のクラックを抑えることが開示さ
れている。しかし、反応性ウレタン樹脂は溶媒として用
いられているアルコール類と反応するため、アルコキシ
シラン加水分解物と反応性ウレタン樹脂が充分複合化さ
れずに相分離を起こして、被膜が不透明になることがあ
った。
【0008】以上のように、一般にアルコキシシラン類
の加水分解の溶媒としては、アルコール等の極性有機溶
剤が広く用いられているが、有機溶剤による公害、作業
上の安全衛生、省資源等の面から、有機溶剤を含まない
か、あるいは、溶剤を極力少なくする水系への移行が望
まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は上記諸問
題を考慮して、ガスバリヤ性に優れ、透明であり、被処
理物の物性を損なわないような可撓性を有する表面処理
被膜を形成し得る水系のガスバリヤ用表面処理用組成物
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明はガスバリヤ用表
面処理用組成物が、下記一般式(I) で示されるシラン化
合物(A)、
【0011】
【化3】 [式中A1 はアルキレン基、R1 は水素原子、低級アル
キル基、または
【0012】
【化4】
【0013】(式中A2は直接結合またはアルキレン基
を、R5,R6は水素原子または低級アルキル基を示す)
で表わされる基、R2は水素原子または低級アルキル
基、R3は同一または異なる低級アルキル基、アリール
基または不飽和脂肪族残基、R4は水素原子、低級アル
キル基またはアシル基を意味し(ただしR1,R2
5,R6のうち少なくとも1つが水素原子である)、w
は0、1、2のいずれか、zは1〜3の整数を表わす
(ただしw+z=3である)]または該シラン化合物
(A)の加水分解縮合物(B)と、シラン化合物(A)
または該シラン化合物(A)の加水分解縮合物(B)の
1またはR2のうちの官能基および/またはSi(OR
4)基との反応性を持つ官能基を分子内に2個以上有す
る有機化合物(D)と、1種以上の重合性単量体を水中
で乳化重合して得られた水分散重合体とを含有するもの
であるところに要旨を有する。
【0014】
【作用】本発明において用いられるシラン化合物(A)
としては、下式(I) を満足するものであれば限定されず
その1種以上を使用できる。
【0015】
【化5】 (ただし、式中R1,R2,R3,R4,R5,R6 ,w, zの持
つ意味は前記と同じである)
【0016】これらのシラン化合物(A)の具体例とし
ては、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ
−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリブトキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノ
プロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルメチルジイソプロポキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチル
ジブトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノ
プロピルエチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−
β(アミノエチル)γ−アミノプロピルエチルジイソプ
ロポキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプ
ロピルエチルジブトキシシラン、γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、
γ−アミノプロピルトリブトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメ
チルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジイ
ソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジブト
キシシラン、γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−
アミノプロピルエチルジイソプロポキシシラン、γ−ア
ミノプロピルエチルジブトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリアセトキシシラン等が挙げられ、これらの1種
または2種以上を用いることができる。
【0017】本発明では、上記例示したシラン化合物
(A)より選択される1種または2種以上の化合物を予
め加水分解して縮(重)合した化合物(B)を用いるこ
ともできる。例えばシラン化合物(A)としてγ−アミ
ノプロピルトリメトキシシランを用いた場合、加水分解
縮合反応は次式で示される。 H2N-C3H6-Si(OCH3)3+3H2O → H2N-C3H6-Si(OH)3+3CH3OH (III) H2N-C3H6-Si(OH)3 → H2N-C3H6-SiO3/2 +3/2 H2O (IV) 加水分解縮重合は水溶液中で行なうことができる。
【0018】本発明のガスバリヤ用表面処理用組成物に
は有機金属化合物(C)を加えてもよい。有機金属化合
物(C)としては、下記一般式(II)で表わせるものであ
れば特に限定されない。 R7 mM(OR8n …(II) (式中Mは金属元素、R7 は同一または異なっていても
よく、水素原子、低級アルキル基、アリール基または不
飽和脂肪族残基を表わし、R8 は水素原子、低級アルキ
ル基またはアシル基を表わし、mは0または正の整数、
nは1以上の整数でかつm+nは金属元素Mの原子価と
一致する)
【0019】具体例としては、テトラメトキシシラン、
テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、
テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシ
ラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシ
シラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプ
ロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ジメチル
ジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチ
ルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラ
ン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシ
ラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジブ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン
類;チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトライ
ソプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド等のチタ
ニウムアルコキシド類;ジルコニウムテトラエトキシ
ド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウ
ムテトラブトキシド等のジルコニウムアルコキシド類;
アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプ
ロポキシド、アルミニウムトリブトキシド等のアルミニ
ウムアルコキド類;テトラアセトキシシラン、メチルト
リアセトキシシラン等のアセトキシラン類;トリメチル
シラノール等のシラノール類が挙げられ、これらの1種
または2種以上を用いることができる。
【0020】有機金属化合物(C)は被膜の耐薬品性、
耐熱性の向上に有効であり、シラン化合物(A)または
その加水分解縮合物(B)に対して0〜200モル%程
度、好ましくは0〜100モル%使用されることが望ま
れる。200%より多く使用すると、急にゲル化するこ
とがあるため好ましくない。
【0021】本発明のガスバリヤ用表面処理用組成物に
は、シラン化合物(A)および/または(B)のR1
たはR2のうちの官能基および/またはSi(OR4)基
との反応性を持つ官能基を分子内に2個以上有する有機
化合物(D)が含まれる。従って、有機化合物(D)の
持つ官能基は、使用されるシラン化合物の構造に合わせ
て適切に選択されなければならない。例えば、シラン化
合物の官能基がアミノ基とSi(OR4)基である場合
には、有機化合物(D)中には水酸基、エポキシ基、カ
ルボキシル基等が存在する必要性がある。
【0022】有機化合物(D)の具体例としては、エチ
レングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリ
コールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコール
ジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグ
リシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ト
リプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6
−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチ
ルグリコールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリ
シジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、
グリセロールジグリシジルエーテル等のジグリシジルエ
ーテル類およびジグリシジルエステル類;グリセロール
トリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジ
ルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエ
チル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ
グリシジルエーテル等のトリグリシジルエーテル類;ペ
ンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のテト
ラグリシジルエーテル類;その他ポリグリシジルエーテ
ル類あるいはグリシジル基を官能基として有する重合体
類;酒石酸、アジピン酸等のジカルボン酸類;ポリアク
リル酸等の含カルボキシル基重合体;ヘキサメチレンジ
イソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のイソ
シアネート類;オキサゾリン含有重合体;脂環式エポキ
シ化合物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以
上を用いることができるが、反応性の面からグリシジル
基を2個以上有している化合物が好ましく用いられる。
【0023】上記有機化合物(D)の使用量は前記シラ
ン化合物(A)または(B)に対して官能基当量として
1〜300%、好ましくは200%以下とする。化合物
(D)の配合によって被膜の可撓性が向上するが、30
0%を超えて使用すると、ガスバリヤ性が低下する可能
性があるため好ましくない。
【0024】有機金属化合物(C)や有機化合物(D)
をガスバリヤ用表面処理用組成物中に加える場合には、
前記シラン化合物(A)と反応させた後、前述の方法で
加水分解縮合を行なったものを加えることが好ましい。
これは、有機金属化合物(C)の場合はそれ自身の加水
分解縮合、有機化合物(D)の場合はそれ自身の加水分
解反応が起こってしまうためである。
【0025】本発明のガスバリヤ用表面処理用組成物に
は水分散重合体が前記シラン化合物と共に含有されるこ
とが必須要件である。水分散重合体の配合によって組成
物の成膜性や可撓性が向上し、より均質なガスバリヤ被
膜を得ることができる。水分散重合体を構成するために
用いられる重合性単量体としては、例えば、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アク
リレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパ
ントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールト
リ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルアシッドホスフェート、アシッドホスホオキ
シポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキ
シエチルアシッドホスフェートモノエタノールアミンハ
ーフソルト等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンやそれらの
核置換誘導体等の芳香族ビニル化合物や塩化ビニリデン
等が非限定的に挙げられ、これらのうち1種以上を乳化
重合することによって水分散重合体を得ることができ
る。
【0026】乳化重合は、通常の乳化重合の条件下で行
なうことができ、例えば、水媒体中に上記重合性単量体
と乳化剤、重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤、pH
調製剤等を添加し、20〜100℃で0.5〜30時間
程度重合を行なえばよい。ここで用いられる乳化剤とし
ては、アニオン性、ノニオン性、アニオン性とノニオン
性の組み合わせ、カチオン性、両性等の乳化剤を用いる
ことができる。アニオン性乳化剤としては、例えば高級
アルコール硫酸エステルナトリウム塩、アルキルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム塩、コハク酸ジアルキルエステ
ルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテ
ルジスルホン酸等が挙げられ、ノニオン性乳化剤として
は、例えばポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル
等を挙げることができる。カチオン性乳化剤としては、
例えばアルキルピリジニルクロライド、アルキルアンモ
ニウムクロライド等が用いられる。両性乳化剤として
は、例えばラウリルペタイン等を用いることができる。
さらに、反応性乳化剤等を用いてもよい。乳化剤の使用
量は、重合性単量体100重量部に対し、0.001〜
10重量部が望ましい。0.001重量部より少ないと
重合の際のミセルの安定性に劣り、10重量部より多い
とガスバリヤ被膜とした際の耐水性に劣ることがある。
【0027】重合開始剤としては、水溶性の過硫酸塩、
過酸化水素等を用いることができ、必要に応じて還元剤
と組み合わせて使用することも可能である。また、油溶
性の重合開始剤、例えば2,2’−アゾビスイソブチロ
ニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4
−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤、過
酸化ベンゾイル、過酸化ブチル等の有機過酸化物重合開
始剤等を用いることもできる。重合開始剤の使用量とし
ては、重合性単量体100重量部に対し、0.01〜5
重量部が好ましい。
【0028】本発明におけるシラン化合物(A)もしく
はその加水分解縮合物(B)と、水分散重合体との配合
比(シラン化合物/水分散重合体)は10〜0.1(但
し、シラン化合物(A)をR1 m−SiO4-m/2 とし、水
分散重合体を固形分に換算する)とすることが好まし
く、さらに好ましくは10〜0.5である。10より大
きいとガスバリヤ膜の可撓性に劣ることがあり、0.1
より小さいとガスバリヤ性が低下することがある。
【0029】本発明の組成物には、成膜性、濡れ性を向
上させるために有機溶剤を添加することも可能である。
ここで用いられる有機溶剤としては、具体的には、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノー
ル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル等のアルコール類;アセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン類の他、メチルアセテート
やテトラヒドロフラン等が挙げられ、これらの1種以上
を混合して用いることができる。これらの中でもアルコ
ール類が好ましく用いられる。これらの有機溶剤の使用
量は、全溶媒中の20重量部未満、好ましくは10重量
部未満、より好ましくは5重量部未満である。
【0030】本発明のガスバリヤ用表面処理用組成物に
は、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化触媒、濡れ
性改良剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤等の無機、有機系各
種添加剤を必要に応じて添加することができる。
【0031】本発明のガスバリヤ用表面処理用組成物に
よって被覆される基材としては樹脂成形体が使用され
る。成形体を形成する樹脂としては特に限定されない
が、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレートやこれらの共重合体
等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリ
アミド系樹脂;ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸
エステル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポ
リカーボネート、セロファン、ポリイミド、ポリエーテ
ルイミド、ポリフェニレンスルフォン、ポリスルフォ
ン、ポリエーテルケトン、アイオノマー樹脂、フッ素樹
脂等の熱可塑性樹脂;メラミン樹脂、ポリウレタン樹
脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステ
ル樹脂、アルキド樹脂、ユリア樹脂、珪素樹脂等の熱硬
化性樹脂等が挙げられる。
【0032】成形体の形状としては、フィルム状、シー
ト状、ボトル状等用途に応じて選択できる。特に加工の
し易さから、熱可塑性プラスチックフィルムが好まし
い。ガスバリヤ用表面処理用組成物を上記樹脂成形体に
被覆する方法は特に限定されず、ロールコーティング
法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ノ
ズルコーティング法あるいはこれらを組み合わせた方法
が採用される。なお、被覆を行なう前に樹脂成形体にコ
ロナ処理等の表面活性化処理や、ウレタン樹脂等の公知
のアンカー処理を行なうこともできる。また被覆処理後
の樹脂成形体にラミネート処理や他の公知の処理を行な
ってもよい。
【0033】被覆後は被膜の硬化および乾燥を行なう
が、本発明のガスバリヤ用表面処理用組成物は常温でも
硬化・乾燥する。より早く硬化・乾燥させる場合には、
樹脂成形体の耐熱温度以下で加熱するとよい。被膜の厚
みは、乾燥後で0.001〜20μm、より好ましくは
0.01〜10μmが適している。0.001μmより
薄いと被膜が均一にならずピンホールが発生し易くな
り、また20μmより厚くすると被膜にクラックが生じ
易くなるので好ましくない。
【0034】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。なお、特性試験の評価方法は次のように行なった。 〈酸素透過度〉JIS K 7126に従い、東洋精機製作所製の
ガス透過率測定装置により測定した。 〈可撓性〉表面処理用組成物を25μmポリエチレンテレ
フタレート(以下PETと略す)にディッピング法で所
定の厚さに塗布した後、乾燥した被覆フィルムを 180°
に折り曲げ、クラックが生じなかったものを○、クラッ
クが生じたものを×とした。 〈透明性〉可撓性評価試験と同様にして被覆処理したP
ETフィルムを未処理のものと目視によって比較し、透
明度に差がないものを○、白濁等の濁りが生じたものを
×とした。
【0035】実施例1 四つ口フラスコに撹拌機、温度計を取付け、水200
g,ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム0.6
g,過硫酸アンモニウム0.68gを仕込み、窒素ガス
で置換し80℃に昇温の後、アクリル酸ブチル47.9
g,メタクリル酸メチル49.6g,メタクリル酸2.
5g,水30g,ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリ
ウム0.7gを混合したものを3時間かけて連続的に滴
下した。滴下終了後、80℃で1時間加熱し、冷却の
後、200メッシュ金網で濾過し、乳化重合物1を得
た。得られた乳化重合物の平均粒径は103.7nmで
あった。
【0036】次に四つ口フラスコに攪拌機、温度計を取
付け、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン20gと
エチレングリコールジグリシジルエーテル4gを仕込
み、70℃で3時間撹拌しながら反応させた。23℃に
冷却した後、水80gを加え3時間撹拌し、さらに20
gの乳化重合物1を30分かけて滴下し、表面処理用組
成物1を得た。この表面処理用組成物1を厚み25μm
のPETフィルムにディッピング法で乾燥後に1.2μ
m厚となるように塗布し、80℃で1分乾燥した。得ら
れた表面処理フィルムは透明で可撓性は○、酸素透過度
は4.01cc/m2・24hrs・atmであった。
【0037】実施例2 エチレングリコールジグリシジルエーテルをm−キシリ
レンジイソシアネートに代えた他は、実施例1と同様の
操作を行ない、1.2μm厚に塗布された表面処理フィ
ルムを得た。このフィルムは透明で可撓性は○、酸素透
過度は4.20cc/m2・24hrs・atmであっ
た。
【0038】比較例1 乳化重合物1を厚み25μmのPETフィルムにディッ
ピング法で乾燥後に1.0μm厚となるように塗布し、
80℃で1分乾燥した。得られた表面処理フィルムは透
明で可撓性は○であったが、酸素透過度は69.03c
c/m2 ・24hrs・atmであった。
【0039】比較例2 γ−アミノプロピルトリエトキシシラン20gを水80
gに加え、23℃で3時間撹拌し、得られた透明な液体
を厚み25μmのPETフィルムにディッピング法で乾
燥後に1.0μm厚となるように塗布し、80℃で1分
乾燥した。得られた表面処理フィルムは透明で、酸素透
過度は8.11cc/m2 ・24hrs・atmであっ
たが、可撓性は×であった。
【0040】
【発明の効果】本発明のガスバリヤ用表面処理用組成物
は、水系であり環境汚染の心配がない上に、ガスバリヤ
性、可撓性に優れた透明な被膜を形成することができ
る。従って包装材料分野等でのガスバリヤ用に幅広く適
用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米田 忠弘 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒 中央研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 183/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で示されるシラン化合物
    (A) 【化1】 [式中A1はアルキレン基、R1は水素原子、低級アルキ
    ル基、または 【化2】 (式中A2は直接結合またはアルキレン基を、R5,R6
    は水素原子または低級アルキル基を示す)で表わされる
    基、R2は水素原子または低級アルキル基、R3は同一ま
    たは異なる低級アルキル基、アリール基または不飽和脂
    肪族残基、R4は水素原子、低級アルキル基またはアシ
    ル基を意味し(ただしR1,R2,R5,R6のうち少なく
    とも1つが水素原子である)、wは0、1、2のいずれ
    か、zは1〜3の整数を表わす(ただしw+z=3であ
    る)]または該シラン化合物(A)の加水分解縮合物
    (B)と、 シラン化合物(A)または該シラン化合物(A)の加水
    分解縮合物(B)のR1またはR2のうちの官能基および
    /またはSi(OR4)基との反応性を持つ官能基を分
    子内に2個以上有する有機化合物(D)と、 1種以上の重合性単量体を水中で乳化重合して得られた
    水分散重合体とを含有することを特徴とするガスバリヤ
    用表面処理用組成物。
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