JP2000007978A - コーティング材及び積層体 - Google Patents

コーティング材及び積層体

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JP2000007978A
JP2000007978A JP10173749A JP17374998A JP2000007978A JP 2000007978 A JP2000007978 A JP 2000007978A JP 10173749 A JP10173749 A JP 10173749A JP 17374998 A JP17374998 A JP 17374998A JP 2000007978 A JP2000007978 A JP 2000007978A
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film layer
acrylic resin
inorganic thin
dyne
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Masaki Yaginuma
昌希 柳沼
Toshinori Machida
敏則 町田
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】基材とガスバリヤー性無機薄膜層の密着力の劣
化,及びガスバリヤー性無機薄膜層のクラックを防止す
るコーティング材、及び透明性を維持しながら高度な酸
素ガスバリヤー性及び水蒸気バリヤー性を有する積層体
の提供。 【解決手段】酸価0.5〜10mgKOH/g、25℃
における伸縮による振動周波数0.1Hz、10Hz及
び100Hzの貯蔵弾性率(E’)がそれぞれ6.8〜
10.0×109 、1.4〜2.1×1010及び2.0
〜2.5×1010dyne/cm2 かつ損失弾性率
(E'')がそれぞれ1.8〜3.1×109 、1.4〜
2.3×109 及び1.4〜1.8×109 dyne/
cm2 であるアクリル系樹脂及びシランカップリング剤
を含むコーティング材、該コーティング材による樹脂層
とガスバリヤー性無機薄膜層を積層した積層体、および
該積層体をプラスチックフィルムの片面もしくは両面に
積層した積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性を維持しな
がら高度な酸素ガスバリヤー性及び水蒸気バリヤー性の
劣化を防止することが可能なコーティング材及びそれを
用いた積層体に関する。特に、食品(レトルト等),医
薬品(PTP等),タバコ,電子材料(FPC、液晶、
EL等),化粧品,農業(ビニールハウス等)等の広域
な分野で用いられるあらゆる積層体の製造に用いられる
コーティング材、及び該コーティング材を用いて形成さ
れる樹脂層とガスバリヤー性無機薄膜層とを積層した積
層体に関する。
【0002】
【従来の技術】現在プラスチックフィルムにバリヤー性
能を付与させる薄膜層の研究がなされ、多岐の分野に於
いて幅広く使用されている。コーティング又はラミネー
トして有機または無機薄膜層を積層することによってバ
リヤー性能は向上しているが、薄膜層の密着力について
は満足のいくものはない。食品を中心とした包装分野で
は、プラスチックフィルムにけい素酸化物の蒸着薄膜層
のコーティングを行い「ハイガスバリヤーフィルム」と
して開発され、現在までに特開昭49−41469号公
報、特開昭59−51051号公報、特開昭61−33
936号公報、特開昭61−279134号公報、特開
昭62−103139号公報等に記載されるように、け
い素酸化物の蒸着フィルムに関して多くの発明が行われ
ている。
【0003】汎用性の高い透明バリヤーフィルムの中
で、けい素酸化物の蒸着フィルムは、高度な酸素と水蒸
気バリヤー性との両方の性能を有した大変バランスの良
いハイバリヤー性フィルムである。また、特開平8−1
04355号公報には、高分子フィルムの片面または両
面にケイ素酸化物及びアルカリ土類金属のフッ化物から
なる薄膜層を設けてなり、高度な酸素ガスバリヤー性と
プラスチックフィルムの可視光線の透過率を100%と
したときの蒸着フィルムの光線透過率が95%以上とな
る蒸着フィルムの発明が記載されている。しかし、次工
程での加工あるいは保存状態が過酷な工程,環境であっ
た場合、薄膜層の密着力が劣化し、これに起因してバリ
ヤー性も劣化する。
【0004】例えば、バリヤーフィルムに新たな性能を
付加するため多層構成とする方法の一つにエクストリュ
ージョン法があるが、300℃〜330℃に溶解したポ
リエチレンを薄膜層上にコーティングした場合、高分子
フィルムと無機薄膜層の熱膨潤係数の差から薄膜層の密
着力が劣化し、更にクラックが発生しバリヤー性が劣化
する。また、特開平7−331437号公報では、レト
ルト処理を行った後も薄膜層のバリヤー性及び密着力の
劣化が起こらない真空蒸着装置及び方法が開示されてい
るが、薄膜層が黄褐色に着色しており実用的ではない。
例えば、食品包装,医薬品包装,タバコ包装分野におけ
る蒸着フィルムの黄色い着色は、内容物である食品,医
薬品,タバコの「腐り」や「変色」に見え、更に食品包
装以外では、太陽電池の封止材として用いた場合、黄色
い着色があると太陽光から電気への変換効率が落ちると
いう問題がある。
【0005】特開平2−130139号公報には、ポリ
エステルフィルムにオルガノシラン系化合物からなるプ
ライマーを塗布後SixOy(x=1,2,3,y=
1,2,3,4)のケイ素化合物の蒸着薄膜を設けたバ
リヤーフィルムの発明が開示され、125℃2時間のレ
トルト処理を行っても薄膜層のバリヤー性及び密着力の
劣化が起こらないことが記載されている。しかし、この
バリヤー層に他の基材を接着剤を介してラミネートする
場合、熱収縮を発生する接着剤であるとその応力によっ
て、バリヤー層が追従して基材フィルムとの密着力の劣
化、クラックが発生しバリヤー性が劣化してしまう。ま
た、接着剤によっては熱圧着を必要とする物があり、こ
の場合も基材フィルムとの密着力が劣化し、更にクラッ
クが発生しバリヤー性が劣化することがある。
【0006】更に、基材フィルムにガスバリヤー性無機
薄膜層を積層したフィルムの薄膜層上に架橋硬化型ハー
ドコート等のコーティングをする場合、ガスバリヤー性
無機薄膜層とハードコート層間の密着力不良、また、架
橋硬化時などに発生する応力によるガスバリヤー性無機
薄膜層とハードコート層間、及び基材とガスバリヤー性
無機薄膜層間の密着力劣化及びバリヤー性が劣化するこ
とがある。また、アクリル系の基材にガスバリヤー性無
機系薄膜層を積層したフィルムではガスバリヤー性無機
薄膜層の密着力が弱い問題が有る。
【0007】このように、プラスチックフィルムなどの
基材とガスバリヤー性無機薄膜層の密着力劣化、ガスバ
リヤー性無機薄膜層と他のコーティング層の密着不良、
更にガスバリヤー性無機薄膜層上に接着剤や他のコーテ
ィング層等を設ける場合のガスバリヤー性無機薄膜層の
劣化(クラック発生、及び密着力低下によるバリヤー性
低下)が問題になっていた。これに対し、ガスバリヤー
性能以外にも新たな機能を付加させるため複合フィルム
の研究が行われ、市場では層間の密着性が高く及び劣化
が起こらず、透明性はもちろんのこと、ガスバリヤー性
に優れている積層体が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プラ
スチックフィルム等の基材上またはガスバリヤー性無機
薄膜層上に積層され、当該基材と積層されるガスバリヤ
ー性無機薄膜層の密着力の劣化,及びガスバリヤー性無
機薄膜層のクラックを防止するコーティング材、及び透
明性を維持しながら高度な酸素ガスバリヤー性及び水蒸
気バリヤー性を有する積層体の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、適度な酸
価および動的粘弾性を有するアクリル系樹脂およびシラ
ンカップリングを含む樹脂層は、他の層、例えば接着剤
や架橋硬化性のコーティング材を積層する場合に発生す
る応力を緩和し、ガスバリヤー性無機薄膜層と該薄膜層
に隣接する層との密着力の劣化およびガスバリヤー性無
機薄膜層のクラック(レトルト処理等の加工、保存状態
が過酷な環境、熱収縮を発生する接着剤,熱圧着を必要
とする接着剤を用いてラミネートする場合の密着力の劣
化、また、架橋硬化型ハード等のコーティング層との密
着不良,硬化時の応力による密着力の劣化)を防止する
働きがあることを見出し、本発明に至った。
【0010】すなわち、本発明は、酸価0.5〜10m
gKOH/g、25℃における伸縮による振動周波数
0.1Hz、10Hz及び100Hzの貯蔵弾性率
(E’)がそれぞれ6.8〜10.0×109 、1.4
〜2.1×1010及び2.0〜2.5×1010dyne
/cm2 かつ損失弾性率(E'')がそれぞれ1.8〜
3.1×109 、1.4〜2.3×109 及び1.4〜
1.8×109 dyne/cm 2 であるアクリル系樹脂
及びシランカップリング剤を含むコーティング材に関す
る。
【0011】また、本発明は、酸価0.5〜10mgK
OH/g、25℃における伸縮による振動周波数0.1
Hz、10Hz及び100Hzの貯蔵弾性率(E’)が
それぞれ6.8〜10.0×109 、1.4〜2.1×
1010及び2.0〜2.5×1010dyne/cm2
つ損失弾性率(E'')がそれぞれ1.8〜3.1×10
9 、1.4〜2.3×109 及び1.4〜1.8×10
9 dyne/cm2 であるアクリル系樹脂及びシランカ
ップリング剤を含む樹脂層とガスバリヤー性無機薄膜層
を積層した積層体に関する。
【0012】また、本発明は、プラスチックフィルムの
片面もしくは両面にガスバリヤー性無機薄膜層を積層
し、その片面もしくは両面に、酸価0.5〜10mgK
OH/g、25℃における伸縮による振動周波数0.1
Hz、10Hz及び100Hzの貯蔵弾性率(E’)が
それぞれ6.8〜10.0×109 、1.4〜2.1×
1010及び2.0〜2.5×1010dyne/cm2
つ損失弾性率(E'')がそれぞれ1.8〜3.1×10
9 、1.4〜2.3×109 及び1.4〜1.8×10
9 dyne/cm2 であるアクリル系樹脂及びシランカ
ップリング剤を含む樹脂層を積層した積層体に関する。
【0013】また、本発明は、プラスチックフィルムの
片面もしくは両面に酸価0.5〜10KOHmg/g、
25℃における伸縮による振動周波数0.1Hz、10
Hz及び100Hzの貯蔵弾性率(E’)がそれぞれ
6.8〜10.0×109 、1.4〜2.1×1010
び2.0〜2.5×1010dyne/cm2 かつ損失弾
性率(E'')がそれぞれ1.8〜3.1×109 、1.
4〜2.3×109 及び1.4〜1.8×109 dyn
e/cm2 であるアクリル系樹脂及びシランカップリン
グ剤を含む樹脂層を積層し、その片面もしくは両面にガ
スバリヤー性無機薄膜層を積層した積層体に関する。
【0014】本発明において、コーティング材および樹
脂層に含まれるアクリル系樹脂の酸価は0.5〜10m
gKOH/gである。酸価が0.5mgKOH/g未満
であると耐溶剤性が劣り、10mgKOH/gを越える
と加水分解の恐れがある。また、酸価が0.5KOHm
g/g未満の場合、当該樹脂層上に更に塗工する接着剤
又はコーティング材の溶剤によっては、白化等の問題を
生ずることがある。
【0015】また、アクリル系樹脂の25℃における伸
縮による振動周波数0.1Hz、10Hz及び100H
zの貯蔵弾性率(E’)はそれぞれ6.8〜10.0×
10 9 、1.4〜2.1×1010及び2.0〜2.5×
1010dyne/cm2 かつ損失弾性率(E'')はそれ
ぞれ1.8〜3.1×109 、1.4〜2.3×10 9
及び1.4〜1.8×109 dyne/cm2 である。
貯蔵弾性率(E’)または損失弾性率(E'')が上記範
囲より低いアクリル系樹脂を含む樹脂層は、柔らかすぎ
て密着性が劣る。また、貯蔵弾性率(E’)または損失
弾性率(E'')が上記範囲より高いアクリル系樹脂を含
む樹脂層は堅すぎるため、接着剤や架橋硬化性のコーテ
ィング材等を積層する場合に発生する応力によって、当
該樹脂層が応力を受けガスバリヤー性無機薄膜層にクラ
ックが発生する。
【0016】また、アクリル系樹脂のガラス転移点は、
5〜80℃であることが好ましい。ガラス転移点が5℃
未満であるとブロッキングしやすくなり、後に加熱工程
がある場合にアクリル系樹脂が流動し寸法変化を起こ可
能性がある。他方、ガラス転移点が80℃を越えるアク
リル系樹脂は固くワニスが革張りしやすくなり、コーテ
ィング適性が悪化し、更に樹脂層と無機薄膜層との密着
力が低下する。さらに、アクリル系樹脂の数平均分子量
は10000〜120000、特に40000〜110
000であることが好ましい。数平均分子量が1000
0未満のアクリル系樹脂を含む樹脂層は溶剤耐性が劣
り、120000を越えるアクリル系樹脂は汎用溶媒に
溶解し難いためワニス化適正が悪く、コーティング材が
ゲル化しやすい。
【0017】アクリル系樹脂は最終的にカルボキシル基
が存在し、酸価0.5〜10mgKOH/gになればよ
く、モノマーは特に限定されるものではない。アクリル
系樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、
β−ビニルプロピオン酸等のカルボキシル基を有するモ
ノマー、もしくはカルボキシル基を生成可能な無水マレ
イン酸等の酸無水物基を有するモノマーと、他の非官能
性または官能性(メタ)アクリル酸モノマーとを共重合
することにより得られる。また、スチレン、α−メチル
スチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩
化ビニル、ビニルトルエン、エチレン、プロピレン等の
モノマーと共重合しても良い。
【0018】非官能性の(メタ)アクリル酸モノマーと
しては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリ
ル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−イソブ
チル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メ
タ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸アルキリ
ル、(メタ)アクリル酸トリデシシル、(メタ)アクリ
ル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ベン
ジル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アク
リル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸アリル、ジ
(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メ
タ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられ
る。
【0019】官能性の(メタ)アクリル酸モノマーとし
ては、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジ
メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミ
ノエチル、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミ
ド、ブトオキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メ
タ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプ
ロピル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、
ジ(メタ)アクリル酸エチレン、ジ(メタ)アクリル酸
1・3−ブチレン、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロ
ールプロパン、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル等が挙げら
れる。
【0020】酸無水物基を有するアクリル系樹脂を合成
した場合は、加水分解処理することによりカルボキシル
基を生成させても良い。また、水酸基を有するアクリル
系樹脂を合成後、酸無水物と反応させてカルボキシル基
を導入しても良い。アクリル系樹脂は、重合開始剤、紫
外線、イオン重合触媒等の作用により重合反応をおこさ
せるが、特に限定されるものではない。また重合形態と
しては、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、沈
殿重合等が代表的であるが、特に限定されるものではな
い。
【0021】本発明において、コーティング材および樹
脂層に含まれるシランカップリング剤としては、けい素
原子に直接または−O−もしくは−OCO−を介して結
合した炭化水素基を有し、これらの炭化水素基の少なく
とも一つが二重結合,ハロゲン原子,エポキシ基,酸無
水物基,アルコキシカルボニル基,アミノ基,アクロイ
ル基,メタクリロイル基,アクリルアミノ基,メタクリ
ルアミノ基またはハロアシルアミノ基を含む化合物が挙
げられる。なかでも、アミノ基及びまたはエポキシ基を
有するシランカップリング剤が有効である。具体的に
は、アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミ
ノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられ
る。
【0022】アクリル系樹脂とシランカップリング剤と
の重量比は、樹脂:シランカプリング剤=100:0.
1〜10、さらには100:1〜5であることが好まし
い。樹脂100重量部に対してシランカップリング剤が
0.1重量部未満の場合は樹脂層と無機薄膜層の密着力
が低下し、10重量部を越えると、コーティング材の安
定性が悪くゲル化しやすい。アクリル系樹脂及びシラン
カップリング剤を含むコーティング材をプラスチックフ
ィルムにコーティングする方法としては、グラビアコー
ティング,リバースコーティング,キスコーティング,
スピンコーティング,ワイヤーバーコーティング,ロー
ルコーティング,ナイフコーティング、ダイコーティン
グなどが挙げられるが、特に限定は無い。
【0023】アクリル系樹脂及びシランカップリング剤
を含む樹脂層の厚みは、0.01〜10μm、特に0.
1〜2μmが好ましい。形成される樹脂層は、最終的に
得られる層の必要機能が得られていれば、二重積層や三
重以上の多重積層でもよく、異種類のシランカップリン
グ剤を添加した異種類のアクリル系樹脂を積層しても構
わない。本発明において、積層体を構成するプラスチッ
クフィルムは、無機薄膜層を形成することにより、ガス
バリヤ−性が付与されるため、真空薄膜形成に使用でき
る基材であれば特に制限はない。また、プラスチックフ
ィルムは、一軸延伸フィルム等のように熱固定されたフ
ィルムでも良い。さらに、プラスチックフィルムは、接
着性付与のために予めコロナ処理やプラズマ処理、火炎
処理されているものでもよく、予め界面活性剤系や高分
子電解質系等の有機系の易接着剤が塗工されているもの
でも構わない。
【0024】プラスチックフィルムとしては、ポリエチ
レンテレフタレ−ト,ポリエチレン−2,6−ナフタレ
−ト,ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−酢酸
ビニル共重合樹脂(EVA),エチレン−アクリル共重
合樹脂,アイオノマー樹脂,ナイロン,ポリビニルアル
コール,エチレンビニルアルコール共重合体(EVO
H),ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリエ−
テルサルフォン,ポリアリレート,ポリカ−ボネ−ト,
ポリサルフォン,ポリエ−テルエ−テルケトン,ポリフ
ェノキシエ−テル,ポリアクリロニトリル,ポリイミ
ド,耐熱変性アクリル,フッ素樹脂,ノルボルネン系樹
脂等が用いられる。プラスチックフィルムの厚さは特に
制限されず、用途により種々であるが、6〜300μm
の範囲であれば良く、特に12〜200μmの範囲が好
ましい。
【0025】本発明において無機薄膜層は、ガスバリヤ
−性,水蒸気バリヤ−性を付与する層であり、けい素酸
化物と金属フッ化物及びまたはマグネシウム酸化物類か
らなることが好ましい。いずれの組み合わせにおいて
も、ガスバリヤ−性と水蒸気バリヤ−性は得られるが、
けい素酸化物と金属フッ化物からなる薄膜層は、特にガ
スバリヤ−性,水蒸気バリヤ−性にさらに高透明性をあ
わせて付加したい場合に有効である。また、けい素酸化
物とマグネシウム酸化物類からなる薄膜層は、特に水蒸
気バリヤ−性(寸法安定性)を高度にしたい場合に有効
である。無機薄膜層を構成するけい素酸化物は、SiO
X (X=1.5以上,2未満)である。中でもSiOX
のxが1.8より大きく、かつ2.0未満であると、け
い素酸化物は無色透明のSiO2 に近づくため、得られ
る無機薄膜層の光線透過性が高くなる。反対にSiOX
のxが1.8以下であると、けい素酸化物はやや褐色を
呈し、更にxが1.5未満になると完全に褐色を呈して
しまう。
【0026】無機薄膜層を構成する金属フッ化物として
は、アルカリ土類金属のフッ化物およびアルカリ金属の
フッ化物があげられる。具体的には、フッ化マグネシウ
ム,フッ化カルシウム,フッ化ストロンチウム,フッ化
バリウム,フッ化リチウム,フッ化ナトリウム,フッ化
カリウム,フッ化ルビジウム,フッ化セシウム,フッ化
フランシウム等があげられる。この中でも特にフッ化マ
グネシウム,フッ化カルシウムが優れている。金属フッ
化物がアルカリ土類金属のフッ化物である場合は、高度
なバリヤ−性と高透明性を両立できるが、アルカリ金属
のフッ化物である場合は、アルカリ土類金属のフッ化物
に比べ、透明性は同等であるがバリヤー性は若干劣る。
そのため、本発明ではアルカリ土類金属のフッ化物が好
適である。
【0027】無機薄膜層を構成するマグネシウム酸化物
類としては、酸化マグネシウム、酸化マグネシウムと二
酸化けい素との共酸化物(フォルステライトやステアタ
イトと呼称される共酸化物),酸化マグネシウムと金属
フッ化物との複合化合物が挙げられる。無機薄膜層を構
成するけい素酸化物:金属フッ化物またはマグネシウム
酸化物類の薄膜層の組成比は、それぞれ98〜80モル
%:2〜20モル%の範囲が望ましく、特に95〜90
モル%:5〜10モル%の範囲が望ましい。また、無機
薄膜層がけい素酸化物、金属フッ化物及びマグネシウム
酸化物類からなる場合は、けい素酸化物:金属フッ化
物:マグネシウム酸化物類の薄膜層の組成比は、それぞ
れ97.5〜80モル%:2〜19.5モル%:0.5
〜18モル%の範囲が望ましく、特に93〜88モル
%:5〜10モル%:2〜17モル%の範囲が望まし
い。
【0028】無機薄膜層の原料は、金属酸化物,金属フ
ッ化物,金属,有機金属化合物等の無機化合物,有機化
合物の単独または混合物の何れでも構わない。特に、け
い素酸化物と金属フッ化物の混合物、またはけい素酸化
物,金属フッ化物及び二酸化けい素と酸化マグネシウム
の共酸化物の混合物を原料とし、真空蒸着等により直接
プラスチックフィルム等上に無機薄膜層を形成する方法
が望ましい。その原料の組成比は、けい素酸化物と金属
フッ化物の場合、けい素酸化物:金属フッ化物=98〜
70モル%:2〜30モル%の範囲が望ましく、特に9
5〜85モル%:5〜15モル%の範囲が望ましい。ま
た、けい素酸化物,金属フッ化物及びマグネシウム酸化
物類の混合物の場合は、けい素酸化物:金属フッ化物:
マグネシウム酸化物類=97.5〜70モル%:2〜2
9.5モル%:0.5〜28モル%の範囲が望ましく、
特に95〜90モル%:4.5〜9.5モル%:0.5
〜5.5モル%の範囲が望ましい。
【0029】原料として用いるけい素酸化物の例として
は、けい素と二酸化けい素の混合物,一酸化けい素単
体、及びけい素と二酸化けい素と一酸化けい素の混合物
が挙げられる。けい素酸化物としてけい素(Si)と二
酸化けい素(SiO2 )の混合物を用いる場合、その組
成比は基本的には等モルが好ましいが、Si:SiO2
=40〜60モル%:60〜40モル%の範囲ならよ
い。また原料として用いるけい素酸化物が、Si、Si
O、SiO2 の混合物である場合は、Si:SiO 2
ほぼ等モルにすれば良く、(Si+SiO2 ):SiO
の比率は特に限定されない。
【0030】無機薄膜層を形成する真空薄膜形成技術の
方式としては巻き取り連続方式,枚葉方式のどちらでも
よく、また形成する方法としては、真空蒸着,イオンプ
レ−ティング,スパッタリングなどを用いることができ
る。さらに、真空蒸着の加熱方法としては、その蒸着中
にスプラッシュと呼称される蒸着飛沫が発生しなけれ
ば、あるいは支障なく取り除ける程度に少なければ特に
制限はなく、高周波誘導加熱,抵抗加熱,電子線加熱な
どの公知の加熱方法を用いることができる。この蒸着飛
沫が多量に発生すると、飛沫が蒸着フィルム上に異物と
して残り、後加工であるディスプレイの構成材料(透明
電極など)を積層する過程で問題が多く発生する。真空
蒸着の蒸発源としては一般的なルツボ方式でもかまわな
いが、異なる昇華点,融点の物質が常時均一に真空蒸着
できる特開平1−252768号公報や特開平2−27
7774号公報に記載される蒸発原料を連続的に供給排
出する方式が望ましい。
【0031】無機薄膜層を形成する場合、真空蒸着等の
方法により、原料組成をそのまま無機薄膜層の組成に反
映させてもよいが、反応蒸着により2種以上の原料を反
応させながら、無機薄膜層の組成としても良い。反応蒸
着による無機薄膜層の積層方法としては金属または有機
金属酸化物のような金属を含む化合物を酸化またはフッ
化させながら真空蒸着する方法、金属フッ化物をプラス
チックフィルム上に蒸着層として形成させ後工程でその
蒸着層を酸化処理する方法があげられる。酸化処理の方
法としてはプラスチックフィルムの使用可能温度範囲内
で処理を行う方法なら特に限定されず、蒸着中の酸素ガ
ス導入法,放電処理法,酸素プラズマ法,熱酸化法等が
挙げられる。無機薄膜層の組成は前述にあげられた化合
物がそれぞれ使用できる。
【0032】無機薄膜層の厚さは、片面あたり50〜5
000オングストロ−ム、特に200〜2000オング
ストロ−ムが望ましい。また、積層される無機薄膜層
は、最終的に得られる層の必要機能が得られていれば、
多重積層でも構わない。すなわち、積層を2回以上に分
けて行ってもよく、その時、異種類のけい素酸化物や金
属フッ化物,マグネシウム酸化物類を積層しても構わな
い。また、2層以上を積層する場合には、無機薄膜層の
間に有機物質の接着層を入れてもかまわない。
【0033】本発明の積層体は、プラスチックフィルム
(A)の片面もしくは両面に無機薄膜層(B)を積層
し、その片面もしくは両面にアクリル系樹脂及びシラン
カップリング剤を含む樹脂層(C)を積層することによ
り、またはプラスチックフィルム(A)の片面もしくは
両面にアクリル系樹脂及びシランカップリング剤を含む
樹脂層(C)を積層し、その片面もしくは両面に無機薄
膜層(B)を積層することにより製造される。アクリル
系樹脂及びシランカップリング剤を含む樹脂層を積層す
ることにより、プラスチックフィルム(A)と無機薄膜
層(B)との密着力劣化、無機薄膜層(B)と他の層と
の密着不良、更には無機薄膜層(B)の劣化(クラック
発生、及び密着力劣化によるバリヤー性低下)を防止す
ることができる。各層の積層順は、A/B/C、A/C
/B,A/B/C/B,A/C/B/Cでも構わない。
【0034】本発明の積層体の、プラスチックフィルム
の可視光線の透過率を100%としたときの可視光線の
透過率は、85%以上であることが好ましく、通常は1
10%を越えない。積層体の可視光線の透過率が85%
未満であると、肉眼で感じうる着色を帯びるため、前述
したように、包装フィルムとして用いた場合の内容物の
変色の点、および積層体に白色の印刷をした場合に若干
着色した白色となってしまう点で問題になることがあ
る。なお、可視光線は、380〜780nmの波長域の
光線を示す。
【0035】本発明の積層体のアクリル系樹脂及びシラ
ンカップリング剤を含む樹脂層または無機薄膜層の上に
は、エポキシアクリレートまたはウレタンアクリレート
を含む硬化樹脂層を積層することができる。硬化樹脂層
は、エポキシアクリレートまたはウレタンアクリレート
を電子線または紫外線により硬化された硬化物を含む樹
脂層である。硬化樹脂層には、他のモノマー、例えばジ
エチレンアクリレート、トリメチロールプロパンアクリ
レート、t−ブチルアクリレート、ジエチレングリコー
ルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、
β−エトキシエチルアクリレートなどを含有させること
ができる。
【0036】本発明の積層体は、アクリル系樹脂及びシ
ランカップリング剤を含む樹脂層または無機薄膜層の上
に接着剤層、更にその上に必要に応じてプラスチックを
積層することにより包装フィルムとすることもできる。
また、樹脂層または無機薄膜層と接着剤層の間、または
接着剤層とプラスチックの間に、一般的な包装材料に設
けられている印刷インキ層を設けてもよい。接着剤層と
しては、包装分野で使用されるドライラミネート用接着
剤、ウエットラミネート用接着剤やポリオレフィン押出
しラミネート用アンカーコート剤、ヒートシール剤、粘
着剤と称されるものであれば特に限定は無い。
【0037】具体的には、ドライラミネート用接着剤、
ウエットラミネート用接着剤の場合は、溶剤型,高固形
分塗工型,アルコール型,無溶剤型,水性型のどのよう
なタイプでも良く、1液硬化型,2液以上硬化型いずれ
でも良い。また、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹
脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニルをベ
ースにしたもののいずれでもよく、また硬化剤を必要と
する場合は脂肪族イソシアネート,芳香族イソシアネー
ト,エポキシアミンいずれでも良い。また、ポリオレフ
ィン押出しラミネート用アンカーコート剤としては、チ
タネート系,イミン系,ブタジエン系,ウレタン系いず
れでも良い。
【0038】ヒートシール剤としては、一般に包装に使
用されるものであれば特に問題はなく、その組成もドラ
イラミネート用接着剤と同様のものが使用できる。粘着
剤としては、アクリル系等が挙げられる。また、本発明
が積層体が包装分野以外で用いられる場合には、包装分
野以外のいずれの接着剤でも構わない。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下
の実施例に限定されるものではない。なお、実施例にお
ける試験方法は以下の通りである。動的粘弾性:動的粘
弾性測定装置(アイティー計測制御社製「DVA20
0」)を用いて測定した。アクリル系樹脂の10重量%
酢酸ブチル溶液を剥離性ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に塗工した後、アクリル系樹脂層をフィルムよ
り剥離し、厚さを測定した後サンプルをセットし、液体
窒素でサンプルを−150℃まで急冷した後、昇温速度
10℃/minで200℃まで昇温させながら、振動周
波数10Hzで、サンプルが弛まないように張力を調節
しながら伸縮させ、E’、E''の温度カーブを得た。温
度カーブにおける、25℃のE’、E''の値を読み、ア
クリル系樹脂の動的粘弾性のパラメータを求めた。
【0040】酸価:JIS K 0070に準拠しアク
リル系樹脂の酸価を測定した。 光線透過率:分光光度計(日本分光社製「U−best
30」)を用い、リファレンスを空気とし450nmで
の透過率を測定した。 酸素バリヤー性:ASTM D 3985に準拠し、米
国モダンコントロール社のOXTRAN−TWINを用
いて酸素ガス透過率を測定した。 密着力:JIS K 5400 8.5.2碁盤目テー
プ法に準拠し、実施例1〜5についてはアクリル系樹脂
を含む樹脂層上にテープを貼り、該樹脂層の残存率で示
した。なお、実施例4および5については、硬化樹脂層
をコーティングする前に、アクリル系樹脂を含む樹脂層
上にテープを貼り、密着力を評価した。また、実施例
6,比較例6,7については蒸着層上にテープを貼り、
該蒸着層の残存率で示した。 外観:目視による観察を行った。
【0041】〔実施例1〕アクリル系樹脂を酢酸ブチル
に40℃で溶解し常温に冷却後、シランカップリング剤
を添加し、表1に示す組成のコーティング材を得た。
【表1】
【0042】〔実施例2〕特開平1−252768に記
載された蒸発原料を連続的に供給排出する方式の連続巻
取り式抵抗加熱方式の真空蒸着装置を使い、厚さ12μ
mの二軸延伸ポリエステルフィルム(帝人社製PET)
の片面に、けい素と二酸化けい素とフッ化マグネシウム
の混合物(混合比44モル%:44モル%:12モル
%)を1350℃で加熱真空蒸着(厚みは約600オン
グストローム)し、無機薄膜層を積層した。その時の真
空度は、3×10-4torrであった。その後、無機薄
膜層上に、コーティング材Iをバーコーターにより塗布
乾燥し、2μm(ドライ)の厚みの樹脂層を積層して積
層体を得た。
【0043】〔実施例3〕実施例2の蒸着装置を使用
し、厚さ100μmのポリアリレート(PAr)フィル
ムの片面に、けい素と二酸化けい素とフッ化マグネシウ
ムの混合物(混合比45モル%:45モル%:10モル
%)を1370℃で加熱真空蒸着(厚みは約800オン
グストローム)し、無機薄膜層を積層した。その時の真
空度は、3×10-4torrであった。その後、無機薄
膜層上に、コーティング材IIをバーコーターにより塗布
乾燥し、1μm(ドライ)の厚みの樹脂層を積層して積
層体を得た。
【0044】〔実施例4〕厚さ100μmのポリカーボ
ネート(PC)フィルムの片面に、実施例2と同様にし
て無機薄膜層を積層した後、無機薄膜層上にコーティン
グ材Iをバーコーターにより塗布乾燥し、1μm(ドラ
イ)の厚みの樹脂層を積層した。更に、樹脂層上に、下
記の原料を50℃で攪拌してなる均一な溶液をバーコー
ターにより塗布し80℃で10分加熱した後、紫外線を
照射して硬化させ、1μm(ドライ)の厚みの硬化樹脂
層を積層して積層体を得た。 分子量1040、融点55℃のエポキシアクリレート 24.8重量部 (昭和高分子株式会社製「VR−90」) ジエチレンアクリレート 49.6重量部 酢酸エチル 24.8重量部 ベンゼンエチルエーテル 0.5重量部
【0045】〔実施例5〕実施例2の蒸着装置を使用
し、厚さ100μmの二軸延伸ポリエステル(PET)
フィルムの片面に、けい素と二酸化けい素とフッ化マグ
ネシウムの混合物(混合比45モル%:45モル%:1
0モル%)を1390℃で加熱真空蒸着(厚みは約10
00オングストローム)し、無機薄膜層を積層した。そ
の時の真空度は、3×10-4torrであった。その
後、無機薄膜層上にコーティング材III をバーコーター
により塗布乾燥し、2μm(ドライ)の厚みの樹脂層を
積層した。更に、樹脂層上に、下記の原料を50℃で攪
拌してなる均一な溶液をバーコーターにより塗布し80
℃で10分加熱した後、紫外線を照射して硬化させ、3
μm(ドライ)の厚みの硬化樹脂層を積層して積層体を
得た。 分子量1040、融点55℃のエポキシアクリレート 24.8重量部 (昭和高分子株式会社製「VR−90」) ジエチレンアクリレート 49.6重量部 酢酸エチル 24.8重量部 ベンゼンエチルエーテル 0.5重量部
【0046】〔実施例6〕離型フィルム上にコーティン
グ材VIIIをブレードコーターにより塗布乾燥したのち離
型フィルムから剥がし、厚さ100μmのアクリル系樹
脂フィルムを作成した。その後、アクリル系樹脂フィル
ムの両面に、枚葉方式蒸着装置(ULVAC社製「EB
H6」)を用い、けい素と二酸化けい素とフォルステラ
イト(SiO2 ・2MgO:二酸化けい素と酸化マグネ
シウムの共酸化物)とフッ化マグネシウムの混合物(混
合比42モル%:42モル%:4モル%:12モル%)
を1380℃で加熱真空蒸着し(厚みは各面とも約15
00オングストローム)、無機薄膜層を積層して積層体
を得た。その時の真空度は、4.4×10-4torrで
あった。
【0047】〔実施例7〕厚さ100μmのポリカーボ
ネート(PC)フィルムの両面に、コーティング材Iを
バーコーターにより片面ずつ塗布乾燥し、各1.5μm
(ドライ)の厚みの樹脂層を積層した。更に、樹脂層の
上に、実施例2の蒸着装置を使用し、けい素と二酸化け
い素とフッ化マグネシウムの混合物(混合比45モル
%:45モル%:10モル%)を1390℃で加熱真空
蒸着し(厚みは各面とも約800オングストローム)、
両面に無機薄膜層を積層した。その時の真空度は、3×
10-4torrであった。更に、一方の樹脂層上に、下
記の原料を50℃で攪拌してなる均一な溶液をバーコー
ターにより塗布し80℃で10分加熱した後、紫外線を
照射して硬化させ、2μm(ドライ)の厚みの硬化樹脂
層を積層して積層体を得た。 分子量1040、融点55℃のエポキシアクリレート 24.8重量部 (昭和高分子株式会社製「VR−90」) ジエチレンアクリレート 49.6重量部 酢酸エチル 24.8重量部 ベンゼンエチルエーテル 0.5重量部
【0048】〔比較例1〕コーティング材Iをコーティ
ング材IVに代えた以外は、実施例2と同様にして積層体
を得た。 〔比較例2〕コーティング材Iをコーティング材Vに代
えた以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。 〔比較例3〕コーティング材Iをコーティング材VII に
代えた以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。
【0049】〔比較例4〕コーティング材Iを塗布せ
ず、樹脂層を積層しなかった以外は、実施例4と同様に
して積層体を得た。 〔比較例5〕コーティング材III を塗布せず、樹脂層を
積層しなかった以外は、実施例5と同様にして積層体を
得た。
【0050】〔比較例6〕離型フィルム上にコーティン
グ材IXをブレードコーターにより塗布乾燥したのち離型
フィルムから剥がし、厚さ100μmのアクリル系樹脂
フィルムを作成した。その後、アクリル系樹脂フィルム
の両面に、枚葉方式蒸着装置(ULVAC社製「EBH
6」)を用い、けい素と二酸化けい素とフッ化マグネシ
ウムの混合物(混合比45モル%:45モル%:10モ
ル%)を1380℃で加熱真空蒸着し(厚みは各面とも
約1500オングストローム)、無機薄膜層を積層して
積層体を得た。その時の真空度は、4.5×10-4to
rrであった。
【0051】〔比較例7〕離型フィルム上にコーティン
グ材Xをブレードコーターにより塗布乾燥したのち離型
フィルムから剥がし、厚さ100μmのアクリル系樹脂
フィルムを作成した。その後、アクリル系樹脂フィルム
の片面に、枚葉方式蒸着装置(ULVAC社製「EBH
6」)を用い、けい素と二酸化けい素とフォルステライ
ト(SiO 2 ・2MgO:二酸化けい素と酸化マグネシ
ウムの共酸化物)とフッ化マグネシウムの混合物(混合
比41モル%:41モル%:6モル%:12モル%)を
1380℃で加熱真空蒸着し(厚みは約1800オング
ストローム)、無機薄膜層を積層して積層体を得た。そ
の時の真空度は、4.8×10-4torrであった。
【0052】実施例及び比較例で得られた積層体の構
成、および樹脂層に含まれるアクリル系樹脂の酸価、貯
蔵弾性率、損失弾性率、Tg(ガラス転移点)、数平均
分子量を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】実施例及び比較例で得られた積層体につい
て、光線透過率、酸素ガス透過率、密着力および外観を
評価した。結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】本発明により、高度な酸素バリヤー性、
非常に高い可視光線の透過率(優れた無色透明性)、各
層間の高い密着力を兼ね備えた積層体が得られるように
なった。本発明の積層体は、後工程で硬化性樹脂をコー
ティングする場合にも、光線透過率、酸素ガス透過率、
密着力が低下することがない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA00A AA00E AA05A AA05E AA18A AA18E AA20A AA20E AH06B AH06D AK01C AK25B AK25D AK25E AK41 AK51E AK52B AK52D AK53E BA02 BA05 BA06 BA10A BA10E BA13 CA30B CA30D EH46 EH66 GB01 GB23 GB41 GB66 JB20B JB20D JD02 JD02A JD02E JK06 JK07B JK07D JM02A JM02E JN01 JN08 4J038 CG031 CG081 CH031 CH041 CH121 CH131 CH141 CH171 CH201 CH221 GA06 JC34 JC35 NA08 PB01 PB02 PB03 PB04 PC08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸価0.5〜10mgKOH/g、25℃
    における伸縮による振動周波数0.1Hz、10Hz及
    び100Hzの貯蔵弾性率(E’)がそれぞれ6.8〜
    10.0×109 、1.4〜2.1×1010及び2.0
    〜2.5×10 10dyne/cm2 かつ損失弾性率
    (E'')がそれぞれ1.8〜3.1×109、1.4〜
    2.3×109 及び1.4〜1.8×109 dyne/
    cm2 であるアクリル系樹脂及びシランカップリング剤
    を含むコーティング材。
  2. 【請求項2】アクリル系樹脂のガラス転移点が5〜80
    ℃、数平均分子量が10000〜120000である請
    求項1記載のコーティング材。
  3. 【請求項3】アクリル系樹脂:シランカップリング剤の
    重量比が100:0.1〜10である請求項1または2
    記載のコーティング材。
  4. 【請求項4】シランカップリング剤がアミノ基及びまた
    はエポキシ基を有する請求項1ないし3いずれか1項に
    記載のコーティング材。
  5. 【請求項5】酸価0.5〜10mgKOH/g、25℃
    における伸縮による振動周波数0.1Hz、10Hz及
    び100Hzの貯蔵弾性率(E’)がそれぞれ6.8〜
    10.0×109 、1.4〜2.1×1010及び2.0
    〜2.5×10 10dyne/cm2 かつ損失弾性率
    (E'')がそれぞれ1.8〜3.1×109、1.4〜
    2.3×109 及び1.4〜1.8×109 dyne/
    cm2 であるアクリル系樹脂及びシランカップリング剤
    を含む樹脂層とガスバリヤー性無機薄膜層を積層した積
    層体。
  6. 【請求項6】プラスチックフィルムの片面もしくは両面
    にガスバリヤー性無機薄膜層を積層し、その片面もしく
    は両面に、酸価0.5〜10mgKOH/g、25℃に
    おける伸縮による振動周波数0.1Hz、10Hz及び
    100Hzの貯蔵弾性率(E’)がそれぞれ6.8〜1
    0.0×109 、1.4〜2.1×10 10及び2.0〜
    2.5×1010dyne/cm2 かつ損失弾性率
    (E'')がそれぞれ1.8〜3.1×109 、1.4〜
    2.3×109 及び1.4〜1.8×109 dyne/
    cm2 であるアクリル系樹脂及びシランカップリング剤
    を含む樹脂層を積層した積層体。
  7. 【請求項7】プラスチックフィルムの片面もしくは両面
    に酸価0.5〜10KOHmg/g、25℃における伸
    縮による振動周波数0.1Hz、10Hz及び100H
    zの貯蔵弾性率(E’)がそれぞれ6.8〜10.0×
    109 、1.4〜2.1×1010及び2.0〜2.5×
    1010dyne/cm2 かつ損失弾性率(E'')がそれ
    ぞれ1.8〜3.1×109 、1.4〜2.3×109
    及び1.4〜1.8×109 dyne/cm2 であるア
    クリル系樹脂及びシランカップリング剤を含む樹脂層を
    積層し、その片面もしくは両面にガスバリヤー性無機薄
    膜層を積層した積層体。
  8. 【請求項8】ガスバリヤー性無機薄膜層が珪素酸化物と
    金属フッ化物及びまたはマグネシウム酸化物からなる薄
    膜層である請求項5から7いずれか1項に記載の積層
    体。
  9. 【請求項9】アクリル系樹脂を含む樹脂層またはガスバ
    リヤー性無機薄膜層の上に、エポキシアクリレートまた
    はウレタンアクリレートを含む硬化樹脂層を積層してな
    る請求項5から8いずれか1項に記載の積層体。
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