JP2017177544A - ガスバリア性アルミニウム蒸着フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】酸素及び水蒸気などのガス遮断性に優れ、印刷可能でボイル耐性を有するガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを提供する。【解決手段】ポリエステルフィルム基材の少なくとも片面に、アンカー金属蒸着層、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層、ガスバリア樹脂層が順次積層されているガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムであって、アンカー金属蒸着層の付着量が80〜120ng/cm2であり、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層が膜厚20〜150nmであり、ガスバリア樹脂層を構成する樹脂が、共重合体中に占める割合が、10〜30重量%の(a)不飽和ニトリル、共重合体中に占める割合が30〜70重量%の(b)水酸基を有する不飽和化合物、共重合体中に占める割合が20〜60重量%の(c)不飽和カルボン酸エステルとの3成分を単量体とする共重合体で構成される主剤と、イソシアネート基を有する化合物で構成される硬化剤とからなることを特徴とするガスバリア性アルミニウム蒸着フィルム。【選択図】なし
Description
本発明は、優れた酸素及び水蒸気遮断性能を有し、印刷可能でボイル耐性、ラミネート強度特性を有するアルミニウム箔代替のガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムに関する。
アルミニウム箔を用いた包装材料は、金属光沢による意匠性に加え、優れたガスバリア性能、光遮断性を有することから、レトルト食品用包装材料に幅広く用いられている。しかし、アルミニウム箔を用いた包装材料は、ピンホールが発生しやすいことからアルミニウム箔の取り扱いが難しく、焼却後の残渣のために焼却炉に対する負荷が大きいという問題がある。また、印刷が必要な場合に、アルミニウム箔には直接印刷できないため、あらかじめ印刷された他のプラスチックフィルムとの貼り合わせが必要となることで層構成が増えてしまい、重量が大きくなることやコスト高が問題となっている。
上記のアルミニウム箔の問題点を解消するため、ポリエステルフィルム等の熱可塑性フィルムに真空蒸着法等の物理気相成長法を用いたアルミニウム蒸着フィルムがアルミニウム箔代替品として使用することは従来から行われている。しかし、ボイル・レトルト食品用途にはガスバリア性能が不十分であり、さらにボイル・レトルト殺菌時に蒸着アルミニウム層が消失し、ガスバリア性能が大幅に悪化することから使用できるものではなかった。
また、アルミニウム箔と同様にアルミニウム蒸着フィルムに直接印刷することが難しいという問題もあった。
ボイル・レトルト食品用途のためのガスバリア性フィルムとして、プラスチックフィルムの少なくとも片面に、無機酸化物もしくは無機窒化物で構成される蒸着層と、特定の樹脂層を積層したガスバリア性フィルムが開示されているが、透明なガスバリア性フィルムであって、アルミニウム箔に代わるものではない(例えば特許文献1を参照)。
また、アルミニウム蒸着フィルムの耐アルカリボイル性、耐酢酸レトルト性を向上させ、アルミニウム蒸着層の外観変化を抑えるため、基材(a)、金属蒸着層(b)および保護層(c)がこの順序で積層されてなる積層体であり、保護層(c)が特定のダイマー酸系ポリアミド樹脂を含有するものが開示されているが、ガスバリア性能が十分なものではなかった(例えば特許文献2を参照)。
また、特許文献3に開示されているガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムは、ハム・ソーセージや板コンニャク等の一般的なボイル処理条件(90℃×30分間)では、ラミネート強度が1.0N/15mmとなっているが、大量の液体と共に包装されている山菜水煮等のボイル処理条件(95℃×60分間)ではデラミネーションを引き起こすという問題があった。
本発明は、酸素及び水蒸気などのガス遮断性に優れ、印刷可能でボイル耐性、ラミネート強度特性を有するガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討をした結果、ポリエステルフィルム基材の少なくとも片面に、アンカー金属蒸着層、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層、ガスバリア樹脂層が順次積層されたガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムであって、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層の膜厚が20〜150nmであり、ガスバリア樹脂層を構成する樹脂が、共重合体中に占める割合が10〜30重量%の(a)不飽和ニトリル、共重合体中に占める割合が30〜70重量%の(b)水酸基を有する不飽和化合物、共重合体中に占める割合が20〜60重量%の(c)不飽和カルボン酸エステルとの3成分を単量体とする共重合体で構成される主剤と、イソシアネート基を有する化合物で構成される硬化剤とからなることを特徴とするガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムとすることで、本発明を完成した。
本発明によれば、優れた酸素バリア性能と水蒸気バリア性能、印刷適性を有し、ボイル処理に対する耐性とラミネート強度特性をも有するガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムが得られる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のガスバリア性蒸着フィルムは、ポリエステルフィルム基材の少なくとも片面に、アンカー金属蒸着層、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層、ガスバリア樹脂層が順次積層されたガスバリア性蒸着フィルムである。
背景技術で述べたように、アルミニウム蒸着フィルムのガスバリア性能はアルミニウム箔に比べて不十分であるが、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層と特定のガスバリア樹脂層を設けることは、アルミニウム蒸着層の不完全なガスバリア性能を補うだけでなく、酸化アルミニウム蒸着層が、アルミニウム蒸着層とガスバリア樹脂層との密着強化層となる効果を発揮させ、ガスバリア層を構成する樹脂が本来有するガスバリア性能を機能させる。またこのガスバリア樹脂層を介してアルミニウム蒸着フィルムに直接印刷を施すことができるようになる。
ガスバリア性を有する樹脂の多くはポリマーの凝集力を高めるために極性基を含有する。このため、吸水性が見られることが多く、ボイル処理耐性の発現を困難にする。本発明においては、ボイル処理耐性を付与する目的で、特定の組成からなる樹脂組成物を用いてガスバリア樹脂層を形成する。これにより、吸水性の問題が解決される。
すなわち、ガスバリア樹脂層の形成に用いる樹脂を特定の機能を発現する複数のモノマーから合成することで、ガスバリア性及びボイル処理耐性を発現させることができる。具体的には、本発明では、ガスバリア性能を発現させるためのモノマーと、アルミニウム蒸着層に強固に密着し、かつボイル耐性を有するモノマーとを共重合させることで前記目的を達することができる。
[基材]
本発明のガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、基材はポリエステルフィルムである。使用できるポリエステルとしては、例えば、ポリアルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアルキレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレートなど)などのホモ又はコポリアルキレンアリレート、液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
本発明のガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムにおいて、基材はポリエステルフィルムである。使用できるポリエステルとしては、例えば、ポリアルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアルキレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレートなど)などのホモ又はコポリアルキレンアリレート、液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
基材フィルムは、未延伸フィルムであってもよいが、通常、延伸(一軸又は二軸)されている。延伸フィルムとしては、二軸延伸フィルムが好ましい。延伸法としては、例えば、ロール延伸、圧延延伸、ベルト延伸、テンター延伸、チューブ延伸や、これらを組み合わせた延伸などの慣用の延伸法が適用できる。
基材の厚さは、特に制限はないが、1〜100μm、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜30μm程度であるのが実用的である。
[アンカー金属蒸着層]
本発明において、アルミニウム蒸着に先立ち、ポリエステル基材に80〜120ng/cm2のアンカー金属蒸着層を設けることが重要である。
本発明において、アルミニウム蒸着に先立ち、ポリエステル基材に80〜120ng/cm2のアンカー金属蒸着層を設けることが重要である。
アンカー金属蒸着層として使用できる金属としては、銅、アルミニウム、マグネシウム、チタンなどをあげることができるが、経済性やスパッタリングの効率が高いことから銅とすることが好ましい。
アンカー金属蒸着層を設ける方法としては、通常のロール・ツー・ロール型の真空蒸着機を用い、これに金属カソードを用いたマグネトロン電極を設け、高周波電源により供給された電流を投入することで放電を発生させ、基材フィルムを連続的に走行させながら、基材フィルム上にスパッタリングによりアンカー金属蒸着層を形成する方法を例示することができる。上記放電は、好ましくは、0.1〜100Paの真空下で、マグネトロン電極と基材フィルムを含む空間に、特定のガスを供給し、金属電極(カソード)とアノード(アース)間で放電する。圧力を0.1Pa以上とすることで安定な放電を得ることができる。また100Pa以下とすることで、プラズマ処理を効率よく行うことができる。より好ましくは、0.1〜50Pa、さらに好ましくは、0.1〜20Paである。特定のガスは、好ましくは酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、水蒸気から選ばれる少なくとも一つあるいは、それらの混合ガスであり、より好ましくは酸素である。
プラズマ発生のための高周波電源は、1k〜1000kHzの周波数の交流または、パルス波のものが好ましく、特に異常放電を抑えることができやすいことから、パルス波の電源をもちいることが好ましい。周波数は、より好ましくは10k〜800kHz、さらに好ましくは30k〜500kHzである。周波数が100kHzより小さいと、特殊なマッチング回路が必要ではなく、プラズマ中に存在し基材フィルムの表面処理に影響を及ぼすイオンのフィルムへの衝突効率を高く保つことができ、基材フィルムの表面処理を効率よく行うことができる。また、1kHz以上の交流とすることで、異常放電を抑えることができ、プラズマ中にイオンをフィルム近傍に局在させることができ、基材フィルムの表面処理を効率よく行うことができる。
上述の条件により、アンカー金属蒸着層を形成することができる。アンカー金属蒸着層の金属付着量は、80〜120ng/cm2とすることが好ましい。80ng/cm2未満になると基材フィルムと蒸着層の密着力が十分に得られないことからボイル処理耐性が不十分となることがある。また、120ng/cm2を超えるとプラズマ処理強度が強いため、基材フィルムが劣化し、外観が問題となることがある。
[アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層]
本発明においては、上記アンカー金属蒸着層上にアルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層を形成する。アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層とは、蒸着の初期にはアルミニウム金属層が形成され、膜が成長するにつれ酸化アルミニウムに変化する傾斜構造を有する蒸着層である。ところで、アルミニウム蒸着層は、蒸着後大気に取り出した段階でアルミニウム金属膜表面に薄い自然酸化膜が形成されるが、この自然酸化膜は高々5nm程度であり、本発明における酸化アルミニウム膜は、後述する分析法によれば10nm以上であることが好ましい。更に好ましくは15nm以上である。
本発明においては、上記アンカー金属蒸着層上にアルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層を形成する。アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層とは、蒸着の初期にはアルミニウム金属層が形成され、膜が成長するにつれ酸化アルミニウムに変化する傾斜構造を有する蒸着層である。ところで、アルミニウム蒸着層は、蒸着後大気に取り出した段階でアルミニウム金属膜表面に薄い自然酸化膜が形成されるが、この自然酸化膜は高々5nm程度であり、本発明における酸化アルミニウム膜は、後述する分析法によれば10nm以上であることが好ましい。更に好ましくは15nm以上である。
アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層の膜厚は、20〜150nmであることが重要である。膜厚が20nm未満では、目的とする酸素バリア性能、水蒸気バリア性能を発現することができなくなる。150nm以上では、蒸着層の凝集力が低下し、剥離が蒸着層内での凝集破壊によるものとなり、見かけのラミネート強度が低くなる。また、蒸着時の蒸着エネルギーが大きくなり、基材フィルムが熱で変形し、外観が実用に耐えない状態になる。
アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層の作成方法は、真空槽内でアンカー金属蒸着層が形成され、引き続きアルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層が形成されるものが好ましい。蒸着のための方式は蒸着やスパッタリング等の公知の方法により行えばよいが、蒸着によるものが生産性の点から好ましく、そのためのアルミニウムの加熱蒸発も抵抗加熱、高周波加熱、電子ビーム加熱などの方法が適用できる。これら蒸着による方法において、反応性蒸着によりアルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層を形成することが好ましい。すなわち、基材のポリエステルフィルムは一般に長尺であって、ロール状で供給され、真空槽中でロールから巻き出され蒸着が行われて再びロール状に巻き取られるが、蒸着の初期の段階で通常のアルミニウム金属層が形成され、蒸着の後半部分に酸素が導入され、金属アルミニウムと酸素の反応により酸化アルミニウムが形成される。蒸着の後半部分に導入した酸素は、フィルムの巻取り側から巻出し側に向って拡散するため、金属アルミニウム層と酸化アルミニウム層が厳密に分離して形成されるのではなく、ポリエステルフィルムが通過する蒸着ゾーンの位置に従って金属アルミニウム層から酸化アルミニウム層に酸素の反応が連続的に進み、組成が膜厚方向に連続的に変化する傾斜構造を形成する。
[ガスバリア樹脂層]
本発明において、ガスバリア樹脂層は、(a)不飽和ニトリル、(b)水酸基を有する不飽和化合物、(c)不飽和カルボン酸エステルとの3成分を単量体とする共重合体で構成される主剤と、イソシアネート基を有する化合物で構成される硬化剤とで構成される。
本発明において、ガスバリア樹脂層は、(a)不飽和ニトリル、(b)水酸基を有する不飽和化合物、(c)不飽和カルボン酸エステルとの3成分を単量体とする共重合体で構成される主剤と、イソシアネート基を有する化合物で構成される硬化剤とで構成される。
樹脂によって形成される薄膜層のガスバリア性を決定する因子としては、凝集エネルギー密度、自由体積、結晶化度、配向性等が挙げられる。これらの因子は、ポリマー構造中の側鎖官能基に起因するところが多い。すなわち、構造中に水素結合あるいは静電的相互作用等の分子間相互作用可能な官能基を含むポリマー鎖同士は、相互作用力を駆動力として強く凝集しようとする。その結果、凝集エネルギー密度、配向性は高まり、自由体積は減少し、ガスバリア性は向上する。逆に、同じくポリマー構造中に立体的に嵩高い官能基を含む場合には、ポリマーの凝集を妨げ、自由体積が大きくなるためにガスバリア性は低下すると考えられる。さらに、形成される分子間相互作用の数量が多くなれば、強く凝集し、自由体積空間を小さくしようという駆動力は大きくなり、結果的にポリマーの凝集密度は高まると考えることができる。
(主剤:(a)成分)
主剤の(a)成分である不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリルが好ましい。アクリロニトリルはその分子構造中にニトリル基を有し、ニトリル基が大きく分極した官能基であることに由来して強い水素結合形成能を持つ。すなわち、アクリロニトリルを構成成分とする共重合体により形成された塗膜には、アクリロニトリルのニトリル基の大きな寄与により、ガスバリア性が付与される。アクリロニトリルの含有量によって発現するガスバリア性は変化する。
主剤の(a)成分である不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリルが好ましい。アクリロニトリルはその分子構造中にニトリル基を有し、ニトリル基が大きく分極した官能基であることに由来して強い水素結合形成能を持つ。すなわち、アクリロニトリルを構成成分とする共重合体により形成された塗膜には、アクリロニトリルのニトリル基の大きな寄与により、ガスバリア性が付与される。アクリロニトリルの含有量によって発現するガスバリア性は変化する。
不飽和ニトリルの配合量は、共重合体中の10〜30重量%が好ましく、10〜25重量%がさらに好ましい。(a)成分の配合量が、10重量%よりも少ない場合には塗膜内において十分な数の水素結合が形成されずガスバリア性能が十分に発現しない。一方、(a)成分の配合量が、30重量%よりも多い場合には、共重合樹脂の有機溶剤に対する溶解性が低下するため、重合時の分子量増加を妨げるだけでなく塗料化が困難になる。さらには塗膜の造膜性も低下するなど実用的ではなくなる。
(主剤:(b)成分)
前述の通り、ガスバリア性能を高める観点からは共重合体中の(a)成分の含有量は高めた方が好ましい。しかし、ポリアクリロニトリルはガラス転移温度が約300℃と高く、造膜させるには高温が必要である。この課題を解決すべく、(a)成分と不飽和化合物を共重合する手段が有効である。さらに本発明のようにアルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層と強く密着させるため、また塗膜強度やボイル処理耐性を発現させる目的で硬化剤との間で架橋構造を形成させるため、主剤樹脂構造中に水酸基を含有させることが好ましい。すなわち、主剤の(b)成分は、水酸基を有する不飽和化合物である。
前述の通り、ガスバリア性能を高める観点からは共重合体中の(a)成分の含有量は高めた方が好ましい。しかし、ポリアクリロニトリルはガラス転移温度が約300℃と高く、造膜させるには高温が必要である。この課題を解決すべく、(a)成分と不飽和化合物を共重合する手段が有効である。さらに本発明のようにアルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層と強く密着させるため、また塗膜強度やボイル処理耐性を発現させる目的で硬化剤との間で架橋構造を形成させるため、主剤樹脂構造中に水酸基を含有させることが好ましい。すなわち、主剤の(b)成分は、水酸基を有する不飽和化合物である。
前記(a)成分と共重合させる(b)成分としては、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等の不飽和化合物の単量体が挙げられる。これらの水酸基を有する不飽和化合物は単独で、または2種類以上組み合わせて選択することができる。これらの水酸基を有する不飽和化合物のうち、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレートが、良好な重合安定性が得られること、イソシアネート基との反応性が良好なことから好ましく、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが特に好ましい。
共重合体中で、(b)成分の含有量によってガスバリア層の造膜性やガスバリア性は変化する。(b)成分の配合量は、共重合体中の30〜70重量%が好ましく、50〜70%がさらに好ましい。(b)成分の配合量が、30重量%よりも少ない場合には、水酸基に由来する樹脂鎖間の凝集力が十分に働かず、ガスバリア性の向上につながらないことがある。また、水酸基と硬化剤との間の架橋反応の進行により形成される架橋点の数が十分ではなく、樹脂層の耐熱性が十分に発現しないことがある。一方70重量%より多い場合には、共重合樹脂中に水酸基数が増加するため硬化剤配合量も増やす必要性が生じ、同時に硬化剤中のイソシアネート基が未反応で残存しやすくなり、ブロッキングなどの問題となることがある。
(a)不飽和ニトリルと(b)水酸基を有する不飽和化合物との共重合体中における質量比率としては、(a):(b)が1:7〜1:1であることが好ましい。さらに好ましくは、2:5〜3:5である。
(主剤(c)成分)
本発明において主剤を構成する(c)成分は、不飽和カルボン酸エステルである。
本発明において主剤を構成する(c)成分は、不飽和カルボン酸エステルである。
使用できる不飽和カルボン酸エステルとしてはメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。不飽和カルボン酸エステルのうちメチルメタクリレート、メチルアクリレートが特に好ましく、メチルメタクリレートがさらに好ましい。
(c)成分の配合量は、共重合体中の20〜60重量%である必要があり、25〜40重量%が好ましい。(c)成分の配合量が20重量%よりも少ない場合には塗膜の造膜性が十分に良化せず、塗膜表面を平滑に、また塗膜を透明に仕上げることが困難となる。一方、(c)成分の配合量が60重量%よりも多い場合には共重合樹脂中に占める(a)成分及び(b)成分の相対量が減少し、ガスバリア性が十分に発現しない、架橋構造の不足に伴う塗膜強度や耐熱性が不足するといった問題を生じる。
(共重合体の製造)
上記各成分(a)、(b)、(c)を配合し、公知の技術を用いて共重合させて、共重合体樹脂(主剤)を製造する。共重合体樹脂(主剤)は、例えば酢酸プロピル/プロピレングリコールモノメチルエーテル/n−プロピルアルコール混合溶液などに溶解させて、後述する硬化剤と混合する。
上記各成分(a)、(b)、(c)を配合し、公知の技術を用いて共重合させて、共重合体樹脂(主剤)を製造する。共重合体樹脂(主剤)は、例えば酢酸プロピル/プロピレングリコールモノメチルエーテル/n−プロピルアルコール混合溶液などに溶解させて、後述する硬化剤と混合する。
(その他の添加物)
上記共重合樹脂(主剤)コーティング液には、シランカップリング剤が添加されていても良い。シランカップリング剤は、分子中に有機官能基と加水分解性官能基を有し、無機物と有機物との密着力を向上させる効果がある。したがって、シランカップリング剤を添加すると、アルミニウム蒸着層とガスバリア樹脂層との密着力をボイル処理にも耐えうる程度に強固なものとすることができる。使用できるシランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が例示できる。これらのシランカップリング剤は、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
上記共重合樹脂(主剤)コーティング液には、シランカップリング剤が添加されていても良い。シランカップリング剤は、分子中に有機官能基と加水分解性官能基を有し、無機物と有機物との密着力を向上させる効果がある。したがって、シランカップリング剤を添加すると、アルミニウム蒸着層とガスバリア樹脂層との密着力をボイル処理にも耐えうる程度に強固なものとすることができる。使用できるシランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が例示できる。これらのシランカップリング剤は、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
シランカップリング剤の添加量はガスバリア樹脂層の形成に用いる主剤と硬化剤の和100重量部に対して0.1〜2重量部程度が好ましい。0.1重量部以下の添加量の場合にはシランカップリング剤の効果が薄く、十分な密着力が得られない。一方、2重量部より多く添加した場合にはシランカップリング剤がガスバリア層中で可塑剤のような働きをするため塗膜のガスバリア性が低下する。
さらに、本発明にかかる共重合樹脂(主剤)コーティング液には、その特性を損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化剤、顔料、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤などを添加してもよい。
使用できる熱安定剤、酸化防止剤及び劣化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、硫黄化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
使用できる強化剤としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。
本発明にかかる共重合樹脂(主剤)コーティング液には、無機層状化合物を混合してもよい。無機層状化合物の好ましい例としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、バーミキュライト、フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、レピドライト、マーガライト、クリントナイト、アナンダイト等が例示でき、膨潤性フッ素雲母又はモンモリロナイトが特に好ましい。これらの無機層状化合物は、天然に産するものであっても、人工的に合成あるいは変性されたものであってもよく、またそれらをオニウム塩などの有機物で処理したものであってもよい。
[硬化剤]
本発明では、硬化剤は、主剤である共重合樹脂と架橋させるために用いる。主剤として用いる共重合樹脂はそれを単独で塗布した場合、ガスバリア性能は発現するものの塗膜強度や熱水処理耐性といった物性は得られない。そこで、主剤である共重合樹脂が側鎖として有する水酸基と反応する、イソシアネート基を有する化合物を硬化剤として用いる。架橋剤の添加により、架橋構造が生成されるので、ガスバリア性能、塗膜強度およびボイル処理耐性といった物性を兼ね備えたガスバリア層が形成される。イソシアネート基を有する化合物としては、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
本発明では、硬化剤は、主剤である共重合樹脂と架橋させるために用いる。主剤として用いる共重合樹脂はそれを単独で塗布した場合、ガスバリア性能は発現するものの塗膜強度や熱水処理耐性といった物性は得られない。そこで、主剤である共重合樹脂が側鎖として有する水酸基と反応する、イソシアネート基を有する化合物を硬化剤として用いる。架橋剤の添加により、架橋構造が生成されるので、ガスバリア性能、塗膜強度およびボイル処理耐性といった物性を兼ね備えたガスバリア層が形成される。イソシアネート基を有する化合物としては、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
使用できる芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、m−又はp−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4′−、2,4′−又は2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等が例示できる。
使用できる芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,3−又は1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が例示できる。
使用できる脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、4,4’−、2,4’−又は2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−又は1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)等が例示できる。
使用できる脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−、2,3−又は1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示できる。
さらに、上記例示したイソシアネート化合物と水酸基を有する化合物等との部分縮合物や各種誘導体の1種またはこれらの2種以上を用いてもよい。例えば、各種低分子量のジオールからオリゴマーまで幅広いジオール類や必要に応じて3官能以上のポリオール類との部分縮合物等が挙げられる。
共重合体で構成される主剤と硬化剤の架橋反応生成物により形成されるガスバリア樹脂層のガスバリア性能を考慮すると、これらのイソシアネート基を有する化合物のうち、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)およびその部分縮合物が好ましい。架橋生成物の立体的構造は、ガスバリア性に大きく影響する。ガスバリア性能を発現させるためには、キシリレンジイソシアネート骨格を有すると好ましい。これらの化合物は、キシリレンジイソシアネート骨格を有する。
硬化剤の配合量は、主剤共重合樹脂に含まれる水酸基数(一般的にはOH価で表される)と硬化剤樹脂に含まれるイソシアネート基数(一般的にはNCO率で表される)が当量となるように算出するのが定法である。本発明もその例外ではないが、硬化剤配合量を主剤共重合樹脂重量比15%程度増量あるいは減量しても、発明の効果は失われない。硬化剤配合量を増量すると特に塗膜強度および基材フィルムに対する耐水密着性に優れた塗膜が形成される。
[コーティング層の製造]
上記共重合樹脂(主剤)溶液と、硬化剤とを、所定量配合して溶剤中に溶解して、ガスバリア樹脂層用のコーティング液を得る。使用できる溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、水等が挙げられる。
上記共重合樹脂(主剤)溶液と、硬化剤とを、所定量配合して溶剤中に溶解して、ガスバリア樹脂層用のコーティング液を得る。使用できる溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、水等が挙げられる。
本発明においてガスバリア樹脂層を構成する主剤と硬化剤との配合比は特に制限されるものではないが、硬化剤が少なすぎると主剤との間で生じる架橋反応が不十分なものとなり、塗膜が硬化不良を起こすだけでなく塗膜強度が十分発現せずに熱水処理耐性、基材との密着性等も不足する。また硬化剤の配合量が多すぎる場合にはブロッキングを生じる原因となるだけでなく、余剰のイソシアネート化合物が他の層に移行するなどして後加工等において不都合を生じることがある。
本発明にかかるガスバリア樹脂層を製造する方法としては、特に制限はなく、基材フィルムに応じた方法で製造することができる。例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法などの印刷方式やロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法、ナイフエッジコーティング法、グラビアコーティング法、キスコーティング法、スピンコーティング法等やこれらを組み合わせた方法を用いて、コーティング液をコーティングすればよい。
アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層上に設けるガスバリア樹脂層の厚さは、好ましくは0.1〜3μm、より好ましくは0.2〜2μmである。ガスバリア樹脂層の厚さが、0.1μm以上であると、ガスバリア性能が発現し、コーティング時の膜切れやはじきなどの欠陥のないガスバリア層を形成することができる。一方、ガスバリア樹脂層の厚さが3μm以下であると、コーティング時の乾燥条件が低温、短時間であっても溶剤が十分に乾燥するので、フィルムにカール等の変形が生じることがなく、製造コストが高騰するといった問題点も起こらず好ましい。
本発明のガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムでは、ガスバリア樹脂層の上に、さらに別の樹脂層を設けてもよい。樹脂層は、例えばポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸、エステル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル重合体及びそれらの金属架橋物等のプラスチック材料により形成される。厚さは目的に応じて適宜決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。
上記樹脂層の形成方法としては、上記プラスチック材料からなるフィルム状のものに2液反応硬化型接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、無溶剤接着剤を用いて貼り合わせるノンソルベントラミネート法、上述したプラスチック材料を加熱溶融させカーテン状に押し出し、貼合わせるエクストルージョンラミネート法等のいずれも公知の積層方法により形成することができる。
本発明においてコーティングによりアルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層上にガスバリア樹脂層を形成して積層する場合において、コーティング液に使用する溶剤にもよるが好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上の温度で乾燥させることが好ましい。乾燥温度が70℃より低い場合には塗膜の乾燥が不十分となり、充分なガスバリア性を有するフィルムを得ることが困難となる。また、巻き取った中間製品に対して主剤と硬化剤との間の架橋反応を十分に進行させる目的でエージング処理をすることもできる。エージング処理により架橋反応はより進行し、十分な塗膜強度、ガスバリア性能、ボイル処理耐性等が発現する。
本発明のガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムは、ガスバリア性能を必要とする様々な分野に利用することができる。
以下本発明を詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[特性の評価方法]
本発明のガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムの特性は、以下の評価方法を用いて、評価した。
本発明のガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムの特性は、以下の評価方法を用いて、評価した。
(1)酸素透過率(cc/m2・24hr・atm)
(3)に説明する無延伸ポリプロピレンフィルムとラミネートした積層フィルムを用い、温度23℃、湿度0%RHの条件で、米国モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(OXTRAN 2/20)を使用して、JIS K7126(2000年版)に記載のB法(等圧法)に基づいて酸素透過率を測定した。また、測定は2回行い、2つの測定値の平均値を各実施例、比較例における酸素透過率の値とした。各実施例・比較例について2枚の試験片で行った結果を酸素透過率の値とした。酸素透過率の値は0.2cc/m2・24hr・atm以下を合格とした。
(3)に説明する無延伸ポリプロピレンフィルムとラミネートした積層フィルムを用い、温度23℃、湿度0%RHの条件で、米国モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(OXTRAN 2/20)を使用して、JIS K7126(2000年版)に記載のB法(等圧法)に基づいて酸素透過率を測定した。また、測定は2回行い、2つの測定値の平均値を各実施例、比較例における酸素透過率の値とした。各実施例・比較例について2枚の試験片で行った結果を酸素透過率の値とした。酸素透過率の値は0.2cc/m2・24hr・atm以下を合格とした。
(2)水蒸気透過率(g/m2・24hr)
(3)に説明する無延伸ポリプロピレンフィルムとラミネートした積層フィルムを用い、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率測定装置(PERMATRAN W3/31)を使用してJIS K7129(2000年版)に記載のB法(赤外センサー法)に基づいて水蒸気透過率を測定した。また、測定は2回行い、2つの測定値の平均値を各実施例、比較例における水蒸気透過率の値とした。各実施例・比較例について2枚の試験片で行った結果を水蒸気透過率の値とした。水蒸気透過率の値は0.2g/m2・24hr以下を合格とした。
(3)に説明する無延伸ポリプロピレンフィルムとラミネートした積層フィルムを用い、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率測定装置(PERMATRAN W3/31)を使用してJIS K7129(2000年版)に記載のB法(赤外センサー法)に基づいて水蒸気透過率を測定した。また、測定は2回行い、2つの測定値の平均値を各実施例、比較例における水蒸気透過率の値とした。各実施例・比較例について2枚の試験片で行った結果を水蒸気透過率の値とした。水蒸気透過率の値は0.2g/m2・24hr以下を合格とした。
(3)ラミネート強度(密着力(N/15mm))
東洋モートン(株)製ドライラミネート用接着剤AD−503タイプ20重量部、東洋モートン(株)製硬化剤CAT−10タイプ1重量部及び酢酸エチル20重量部を量り取り、30分攪拌して固形分濃度19重量%のドライラミネート用接着剤溶液を調整した。
東洋モートン(株)製ドライラミネート用接着剤AD−503タイプ20重量部、東洋モートン(株)製硬化剤CAT−10タイプ1重量部及び酢酸エチル20重量部を量り取り、30分攪拌して固形分濃度19重量%のドライラミネート用接着剤溶液を調整した。
次にフィルムの蒸着面あるいはその上にガスバリア樹脂層を形成した面にバーコート法により上記接着剤溶液を塗工し、80℃で45秒間乾燥して3.5μmの接着剤層を形成した。
次に、該接着剤層に、シーラントフィルムとして東レフィルム加工(株)製無延伸ポリプロピレンフィルム「トレファン」(登録商標)NO CPP3501タイプ(厚さ60μm)をコロナ処理面が接着剤層と向かい合うように重ね、富士テック(株)製ラミパッカー(LPA330)を用いてヒートロールを40℃に加熱して貼り合わせた。このラミネートフィルムを40℃に加熱したオーブン内で2日間エージングして積層フィルムを得た。次に該積層フィルムを幅15mm、長さ150mmに切断してカットサンプルを作成し、(株)オリエンテック製テンシロン(PTM50タイプ)を使用して該積層フィルムと無延伸ポリプロピレンフィルム間を界面として、Tピール法により引っ張り速度300mm/minで剥離し強度を測定した。得られた値を初期密着力(N/15mm)とした。
(4)耐ボイル性評価
上記(3)で説明した積層フィルム(150mm角)をそれぞれ2枚準備した。2枚の積層フィルムをシーラントフィルム面が対向するようにして重ね、ヒートシーラーを用いて3辺の端部を熱シールした。次いで、内容物として水道水100gを入れ、残りの1辺の端部を熱シールして15cm角のパッケージを作製した。各実施例、比較例について1つのパッケージを準備した。次にそのパッケージを、アルプ株式会社製レトルト試験機RK−3030を用いてボイル処理(95℃、60分間)した。処理後、パッケージを破いて水道水を抜き、一晩室温下で乾燥したのち前述の方法に従いボイル処理後のラミネート強度を測定した。
上記(3)で説明した積層フィルム(150mm角)をそれぞれ2枚準備した。2枚の積層フィルムをシーラントフィルム面が対向するようにして重ね、ヒートシーラーを用いて3辺の端部を熱シールした。次いで、内容物として水道水100gを入れ、残りの1辺の端部を熱シールして15cm角のパッケージを作製した。各実施例、比較例について1つのパッケージを準備した。次にそのパッケージを、アルプ株式会社製レトルト試験機RK−3030を用いてボイル処理(95℃、60分間)した。処理後、パッケージを破いて水道水を抜き、一晩室温下で乾燥したのち前述の方法に従いボイル処理後のラミネート強度を測定した。
ボイル処理前後のラミネート強度は、1N/15mm以上を合格とした。
(5)アンカー金属蒸着層の金属付着量(ng/cm2)
本発明のガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを幅10cm、長さ10cmに切断したカットサンプルを作成し、カットサンプルを硝酸20mlに24時間浸漬した後、得られた溶液のそれぞれの金属の吸光度(銅を例示すると324.8nm)を原子吸光分光光度計(島津製作所社製AA−6300タイプ)で測定して、付着量を算出した。これらの算出を異なる4枚のカットサンプルを使用して行い、得られた値の平均値を付着量(ng/cm2)とした。
本発明のガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを幅10cm、長さ10cmに切断したカットサンプルを作成し、カットサンプルを硝酸20mlに24時間浸漬した後、得られた溶液のそれぞれの金属の吸光度(銅を例示すると324.8nm)を原子吸光分光光度計(島津製作所社製AA−6300タイプ)で測定して、付着量を算出した。これらの算出を異なる4枚のカットサンプルを使用して行い、得られた値の平均値を付着量(ng/cm2)とした。
(6)蒸着膜厚測定
走査型オージェ電子分光装置(アルバックファイ社製SAM−670型)で深さ方向組成分析評価を行い、デプスプロファイルにより、酸化アルミニウム/金属アルミニウムの膜構成を確認した。Al濃度とO濃度に注目し、蒸着膜の表層からArイオンエッチングを行いながらデータを収集し、そのAl濃度とO濃度の濃度比率が、50%となる深さを界面と規定した時の酸化アルミニウム蒸着層とアルミニウム蒸着層の厚さを算出した。別途、透過電子顕微鏡による断面観察で厚さの分かっている金属アルミニウム膜を同様のエッチング方法でエッチングをし、エッチング速度を算出することで上記のデータのエッチング時間をエッチング深さの絶対値に変換した。
走査型オージェ電子分光装置(アルバックファイ社製SAM−670型)で深さ方向組成分析評価を行い、デプスプロファイルにより、酸化アルミニウム/金属アルミニウムの膜構成を確認した。Al濃度とO濃度に注目し、蒸着膜の表層からArイオンエッチングを行いながらデータを収集し、そのAl濃度とO濃度の濃度比率が、50%となる深さを界面と規定した時の酸化アルミニウム蒸着層とアルミニウム蒸着層の厚さを算出した。別途、透過電子顕微鏡による断面観察で厚さの分かっている金属アルミニウム膜を同様のエッチング方法でエッチングをし、エッチング速度を算出することで上記のデータのエッチング時間をエッチング深さの絶対値に変換した。
(7)印刷適性
サカタインクス(株)製ラミオール(色:シアン、マゼンダ、黄、白)を用いて、富士機械工業製印刷機でグラビア版を用いて60から100μmオーダーのドット印刷を行い、ドットの抜けの有無について、顕微鏡を用いて確認した。印刷抜けが無いものを良好、印刷にかからないもの、印刷抜けがあるもの、その他印刷により不具合の発生するものを不良とした。
サカタインクス(株)製ラミオール(色:シアン、マゼンダ、黄、白)を用いて、富士機械工業製印刷機でグラビア版を用いて60から100μmオーダーのドット印刷を行い、ドットの抜けの有無について、顕微鏡を用いて確認した。印刷抜けが無いものを良好、印刷にかからないもの、印刷抜けがあるもの、その他印刷により不具合の発生するものを不良とした。
(実施例1)
(コーティング液)
ガスバリア樹脂層用コーティング液は以下のように準備した。共重合体(主剤)は、アクリロニトリル(AN)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)及びメチルメタクリレート(MMA)の各モノマーをそれぞれ20、50、30重量%の割合で配合し、公知の技術により共重合して得た。得られた共重合樹脂を酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びn−プロピルアルコールの混合溶剤に溶解させて固形分濃度が30重量%の共重合樹脂溶液を得た。このようにして得られた共重合樹脂溶液10.0重量部、大日本インキ化学工業株式会社製イソシアネート硬化剤ディックドライX−75(XDI:キシリレンジイソシアネート)2.5重量部、メチルエチルケトン28.1重量部を30分間攪拌して固形分濃度12重量%のガスバリア樹脂層用のコーティング液を調整した。
(コーティング液)
ガスバリア樹脂層用コーティング液は以下のように準備した。共重合体(主剤)は、アクリロニトリル(AN)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)及びメチルメタクリレート(MMA)の各モノマーをそれぞれ20、50、30重量%の割合で配合し、公知の技術により共重合して得た。得られた共重合樹脂を酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びn−プロピルアルコールの混合溶剤に溶解させて固形分濃度が30重量%の共重合樹脂溶液を得た。このようにして得られた共重合樹脂溶液10.0重量部、大日本インキ化学工業株式会社製イソシアネート硬化剤ディックドライX−75(XDI:キシリレンジイソシアネート)2.5重量部、メチルエチルケトン28.1重量部を30分間攪拌して固形分濃度12重量%のガスバリア樹脂層用のコーティング液を調整した。
(アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層の製造)
アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層を設ける基材として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製“ルミラー”(登録商標)P60)を使用した。通常のフィルム搬送室および蒸着室からなるロール・ツー・ロール型の真空蒸着機により、フィルム搬送室においてプレーナーマグネトロン方式のプラズマ処置電極(材質:銅、プラズマ発生領域幅:2m)と基材フィルム間距離を10mmとし、フィルム搬送速度400m/min、放電ガスに酸素ガスを用いて0.4Paの圧力下、プラズマ処理電極に周波数50kHz、投入電力32kWの交流電力を投入し、40W/min/m2の処理強度でプラズマ処理し、アンカー金属蒸着層を120ng/cm2を設け、引き続き蒸着室でその上にるつぼ加熱方式のアルミニウム蒸発源を用い、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層を形成した。基材フィルムには、冷却された回転ドラム上で基材フィルム進行方向の一定幅のゾーン内でその位置に応じた組成の膜が厚さ方向に順次形成される。蒸着を最後に受ける位置から酸素を5.5L/minで供給することで、アルミニウム金属層25nm、酸化アルミニウム層25nm、総膜厚が50nmのアルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層を形成した。
アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層を設ける基材として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製“ルミラー”(登録商標)P60)を使用した。通常のフィルム搬送室および蒸着室からなるロール・ツー・ロール型の真空蒸着機により、フィルム搬送室においてプレーナーマグネトロン方式のプラズマ処置電極(材質:銅、プラズマ発生領域幅:2m)と基材フィルム間距離を10mmとし、フィルム搬送速度400m/min、放電ガスに酸素ガスを用いて0.4Paの圧力下、プラズマ処理電極に周波数50kHz、投入電力32kWの交流電力を投入し、40W/min/m2の処理強度でプラズマ処理し、アンカー金属蒸着層を120ng/cm2を設け、引き続き蒸着室でその上にるつぼ加熱方式のアルミニウム蒸発源を用い、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層を形成した。基材フィルムには、冷却された回転ドラム上で基材フィルム進行方向の一定幅のゾーン内でその位置に応じた組成の膜が厚さ方向に順次形成される。蒸着を最後に受ける位置から酸素を5.5L/minで供給することで、アルミニウム金属層25nm、酸化アルミニウム層25nm、総膜厚が50nmのアルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層を形成した。
(ガスバリア樹脂層の製造)
上記のアルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層上に、ワイヤーバーを用いてガスバリア樹脂層用コーティング液を塗布し、120℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が0.5g/m2となるようにガスバリア樹脂層を設けた。このようにしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを製造した。表1に評価結果を示す。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理前後のラミネート強度、印刷適性いずれも問題がなかった。
上記のアルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層上に、ワイヤーバーを用いてガスバリア樹脂層用コーティング液を塗布し、120℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が0.5g/m2となるようにガスバリア樹脂層を設けた。このようにしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを製造した。表1に評価結果を示す。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理前後のラミネート強度、印刷適性いずれも問題がなかった。
(実施例2)
フィルム搬送速度を低速に調整することで、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層をアルミニウム金属層50nm、酸化アルミニウム層50nm、総膜厚100nmとなるように設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理前後のラミネート強度いずれも問題がなかった。
フィルム搬送速度を低速に調整することで、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層をアルミニウム金属層50nm、酸化アルミニウム層50nm、総膜厚100nmとなるように設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理前後のラミネート強度いずれも問題がなかった。
(実施例3)
フィルム搬送速度をさらに低速に調整することで、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層をアルミニウム金属層75nm、酸化アルミニウム層75nm、総膜厚150nmとなるように設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理前後のラミネート強度いずれも問題がなかった。
フィルム搬送速度をさらに低速に調整することで、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層をアルミニウム金属層75nm、酸化アルミニウム層75nm、総膜厚150nmとなるように設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理前後のラミネート強度いずれも問題がなかった。
(実施例4)
アンカー金属蒸着層の金属付着量を100ng/cm2となるように設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理前後のラミネート強度いずれも問題がなかった。
アンカー金属蒸着層の金属付着量を100ng/cm2となるように設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理前後のラミネート強度いずれも問題がなかった。
(実施例5)
アンカー金属蒸着層の金属付着量を80ng/cm2となるように設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理前後のラミネート強度いずれも問題がなかった。
アンカー金属蒸着層の金属付着量を80ng/cm2となるように設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理前後のラミネート強度いずれも問題がなかった。
(比較例1)
蒸着層へ酸素を供給することなくアルミニウム蒸着層のみで膜厚を50nmとなるようにすること以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。ボイル処理後のラミネート強度が悪く、実用に耐えない状態になった。
蒸着層へ酸素を供給することなくアルミニウム蒸着層のみで膜厚を50nmとなるようにすること以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。ボイル処理後のラミネート強度が悪く、実用に耐えない状態になった。
(比較例2)
アンカー金属蒸着層を設けないこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。ボイル処理前後のラミネート強度が低く、実用に耐えない状態になった。
アンカー金属蒸着層を設けないこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。ボイル処理前後のラミネート強度が低く、実用に耐えない状態になった。
(比較例3)
ガスバリア樹脂層を設けないこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理後のラミネート強度が悪く、実用に耐えない状態になった。また印刷適性においては、印刷抜けが確認できたため、不良とした。
ガスバリア樹脂層を設けないこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理後のラミネート強度が悪く、実用に耐えない状態になった。また印刷適性においては、印刷抜けが確認できたため、不良とした。
(比較例4)
蒸着層へ酸素を供給することなくアルミニウム蒸着層のみで膜厚を50nmとなるようにし、さらにガスバリア樹脂層を設けないこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理後のラミネート強度が悪く、実用に耐えない状態になった。また印刷適性においては、印刷抜けが確認できたため、不良とした。
蒸着層へ酸素を供給することなくアルミニウム蒸着層のみで膜厚を50nmとなるようにし、さらにガスバリア樹脂層を設けないこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理後のラミネート強度が悪く、実用に耐えない状態になった。また印刷適性においては、印刷抜けが確認できたため、不良とした。
(比較例5)
蒸着を最初に受ける位置から酸素を供給することで、酸化アルミニウム蒸着層のみで膜厚を15nmとなるようにし、さらにガスバリア樹脂層を設けないこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理後のラミネート強度が悪く、実用に耐えない状態になった。また印刷適性においては、印刷抜けが確認できたため、不良とした。
蒸着を最初に受ける位置から酸素を供給することで、酸化アルミニウム蒸着層のみで膜厚を15nmとなるようにし、さらにガスバリア樹脂層を設けないこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理後のラミネート強度が悪く、実用に耐えない状態になった。また印刷適性においては、印刷抜けが確認できたため、不良とした。
(比較例6)
ガスバリア樹脂層用コーティング液を、共重合体(主剤)は、アクリロニトリル(AN)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)及びメチルメタクリレート(MMA)の各モノマーをそれぞれ5、65、30重量%の割合で配合したこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率が悪く、実用に耐えない状態になった。
ガスバリア樹脂層用コーティング液を、共重合体(主剤)は、アクリロニトリル(AN)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)及びメチルメタクリレート(MMA)の各モノマーをそれぞれ5、65、30重量%の割合で配合したこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率が悪く、実用に耐えない状態になった。
(比較例7)
フィルム搬送速度を高速に調整することで、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層をアルミニウム金属層8nm、酸化アルミニウム層7nm、総膜厚15nmとなるように設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率が悪く、実用に耐えない状態になった。
フィルム搬送速度を高速に調整することで、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層をアルミニウム金属層8nm、酸化アルミニウム層7nm、総膜厚15nmとなるように設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。酸素透過率、水蒸気透過率が悪く、実用に耐えない状態になった。
(比較例8)
フィルム搬送速度をさらに低速に調整することで、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層をアルミニウム金属層85nm、酸化アルミニウム層85nm、総膜厚を170nmとなるように設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。しかし、蒸着時の蒸着エネルギーが大きくなったため、基材フィルムが熱で変形し、外観が実用に耐えない状態になった。
フィルム搬送速度をさらに低速に調整することで、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層をアルミニウム金属層85nm、酸化アルミニウム層85nm、総膜厚を170nmとなるように設けた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムを得た。しかし、蒸着時の蒸着エネルギーが大きくなったため、基材フィルムが熱で変形し、外観が実用に耐えない状態になった。
表1に各実施例、比較例の構成要件、特性を示した。
以上の各実施例、比較例の結果より明らかなように、本発明のガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムは、酸素透過率、水蒸気透過率、ボイル処理前後のラミネート強度いずれも良好なものであった。
本発明のガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムは、優れた酸素バリア性能および水蒸気バリア性能にとどまらず、ボイル処理に対する耐性と印刷適性をも有するため、ガスバリア性が要求され、ボイル処理工程を経る食品包装用フィルムとしても有用である。
Claims (2)
- ポリエステルフィルム基材の少なくとも片面に、アンカー金属蒸着層、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層、ガスバリア樹脂層が順次積層されたガスバリア性アルミニウム蒸着フィルムであって、アルミニウム金属層から酸化アルミニウム層に連続的に組成変化する蒸着層の膜厚が20〜150nmであり、ガスバリア樹脂層を構成する樹脂が、共重合体中に占める割合が10〜30重量%の(a)不飽和ニトリル、共重合体中に占める割合が30〜70重量%の(b)水酸基を有する不飽和化合物、共重合体中に占める割合が20〜60重量%の(c)不飽和カルボン酸エステルとの3成分を単量体とする共重合体で構成される主剤と、イソシアネート基を有する化合物で構成される硬化剤とからなることを特徴とするガスバリア性アルミニウム蒸着フィルム。
- 前記アンカー金属蒸着層の金属付着量が80〜120ng/cm2であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性アルミニウム蒸着フィルム。
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DE102017114098A1 (de) | 2016-12-13 | 2018-06-14 | Hyundai Motor Company | Getriebehalterung für ein Fahrzeug, welche verteilte Stopper aufweist |
JP2019181941A (ja) * | 2018-03-30 | 2019-10-24 | 東レフィルム加工株式会社 | アルミニウム蒸着フィルム積層体およびその製造方法 |
-
2016
- 2016-03-30 JP JP2016068336A patent/JP2017177544A/ja active Pending
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