JP3262987B2 - 光学部品の成形方法 - Google Patents

光学部品の成形方法

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JP3262987B2 JP12837896A JP12837896A JP3262987B2 JP 3262987 B2 JP3262987 B2 JP 3262987B2 JP 12837896 A JP12837896 A JP 12837896A JP 12837896 A JP12837896 A JP 12837896A JP 3262987 B2 JP3262987 B2 JP 3262987B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一端面に凹面の光学
面を有する光学部品の成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光学部品は、レンズ、ミラー、あ
るいはプリズムといった部品の種類にかかわらず、研磨
方法によって製造されてきたが、最近では生産性や非球
面形状が容易に作れるという点から型を用いて成形する
製造方法が利用されてきている。光学部品の素材として
はプラスチック、ガラス等が一般的であるが、最近では
ミラー等の成形では低融点金属を用いている例もある。
【0003】ここでは1つの例として、メニスカス形状
(一端面が凹面で他端面が凸面)のプラスチックレンズ
Lを成形する場合について説明する。
【0004】図2は、プラスチックレンズLの形状を示
した図である。
【0005】図2において1は凸面のレンズ面、2は凹
面のレンズ面で、3はツバ部である。このプラスチック
レンズLは、外径が40mm(有効径が30mm)で中
心部分の肉厚が4mmのメニスカスレンズであり、素材
はアクリル樹脂である。
【0006】図10は、このようなプラスチックレンズ
Lを成形するときに使用する型の構造を示した図であ
る。
【0007】溶融状態の樹脂材料を供給するためのスプ
ルー101が形成された固定型板102Lには、成形駒
103Lを保持する駒ホルダ104Lが一体的に取り付
けられており、成形駒103Lには、凹レンズ面2を成
形するための光学成形面105が形成されている。そし
て、これら固定型板102L、成形駒103L、駒ホル
ダ104Lなどの型部材によって固定側金型が構成され
ている。一方、固定型板102Lと対向する可動型板1
02Mには、成形駒103Mを保持する駒ホルダ104
Mが一体的に取り付けられており、成形駒103Mに
は、凸レンズ面1を成形するための光学成形面106が
形成されている。そして、これら可動型板102M、成
形駒103M、駒ホルダ104Mなどの成形部材によっ
て可動側金型が構成され、固定側金型及び可動側金型の
成形駒103L、103Mと駒ホルダ104L、104
MとでプラスチックレンズLと対応したキャビティCが
形成される。
【0008】固定型板102L及び駒ホルダ104L
と、可動型板102M及び駒ホルダ104Mとの間に
は、スプルー101からキャビティCに連通するランナ
107及びゲート108が形成され、これらランナ10
7及びゲート108を介してキャビティCがスプルー1
01と連通するようになっている。可動型板102Mに
は、駒ホルダ104Mを貫通して先端がプラスチックレ
ンズLのツバ部3と対応するキャビティCの部分に臨む
複数本のエジェクタピン109がキャビティC内に突出
可能に取り付けられており、同様に、この可動型板10
2Mを貫通して先端がスプルーロック111に臨むエジ
ェクタピン110も突出可能に取り付けられている。
【0009】また、固定側駒ホルダ104L及び、可動
側駒ホルダ104Mには、それぞれ温調媒体を流す溝1
12L、及び112Mが環状に設けられており、Oリン
グ114でシールされている。溝112L及び112M
には金型温調機113から水や油、エチレングリコール
などの温調媒体を流し、成形駒103L及び103M内
に設けた温度センサー115L、115Mでモニターし
ている。
【0010】つまり、図10に示すように、溝112
L,112Mに温調媒体を流している状態で、可動側金
型を固定側金型の方に駆動して固定型板102Lと可動
型板102Mとを当接させると共にエジェクタピン10
9,110を退避させた状態でスプルー101から溶融
樹脂をランナ107及びゲート108を介してキャビテ
ィC内に射出し、冷却・固化させた後に固定側金型から
可動側金型を引き離すように移動して可動型板102M
を固定型板102Lから引き離し、その後エジェクタピ
ン109,110を固定型板102L及び駒ホルダ10
4L側に突出させ、駒ホルダ104Mから射出成形され
たプラスチックレンズLをランナ107及びゲート10
8に対応した部分と共に抜き外すのである。
【0011】このとき固定型板112L及び可動型板1
12Mには同じ温度の温調媒体を流し、型全体が均一な
温度状態になる様にしていた。このアクリル樹脂の成形
においては、固定型板112L及び可動型板112Mに
90℃の水または油の温調媒体を金型温調機113より
流し、型全体が90℃に均一になる様にしていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この様
な凹レンズ面を有する光学部品を、上記のような成形方
法で成形しても凹レンズ面の精度が良好にならないとい
う問題点があった。
【0013】また、両凹レンズにおいても凹面の曲率が
異なる場合、曲率半径の大きな凹レンズ面はさほど問題
ないが、曲率半径の小さな凹レンズ面の方は、やはり精
度が低下する傾向にあった。
【0014】これは型を用いて成形した光学部品全般に
みられる傾向で、光学部品の素材がプラスチックであっ
ても、ガラスであっても、また、低融点金属であっても
同様であった。ここで図10に示した型を用い、前述し
た成形方法で成形した図2に示した形状のプラスチック
レンズLの凸レンズ面1及び凹レンズ面2のレンズ面精
度をレーザ干渉装置を用いて測定した結果を図11及び
図12に示す。
【0015】これらの図から明らかなように、干渉縞が
略平行に並んでいる図11に示す凸レンズ面1側のレン
ズ面精度は、比較的良好な状態となっているが、図12
に示す凹レンズ面2側は、干渉縞の数が非常に多く、所
望のレンズ面精度を得られていないことがわかる。
【0016】その原因としては、図10に示したキャビ
ティC中に射出された溶融樹脂の熱は溝112及び溝1
13を流れる温調媒体によって奪われてキャビティC内
の樹脂は冷却・収縮するが、樹脂の凸レンズ面1となる
部分は、キャビティCに対して引っ込んだ状態にある成
形駒103Mの光学成形面106から何ら拘束を受ける
ことなく、その曲率半径が小さくなるように収縮できる
のに対し、樹脂の凹レンズ面2となる部分は、その曲率
半径が小さくなるように収縮した場合、キャビティCに
対して突出状態にある成形駒103Lの光学成形面10
5に食い付く状態となる結果、固定側金型から可動側金
型を引き離してプラスチックレンズLを成形駒103
L、103M及び駒ホルダ104L、104Mから取り
外す際に、成形駒103Lに食い付いていた樹脂を無理
に取り外したことにより、凹レンズ面2には歪みがおこ
り、そのため、図12に示した様にレンズ面精度が悪化
してしまうと考えられる。
【0017】従って、本発明は上述した課題に鑑みてな
されたものであり、その目的は、凹面を有する光学部品
を成形する場合でも、面精度が低下することを防止でき
る光学部品の成形方法を提供することである。
【0018】
【0019】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決し目
的を達成するために、本発明に係わる光学部品の成形方
法は、少なくとも一端面に凹面の光学面を有し、前記一
端面と対向する他端面に凹面ではない面かあるいは前記
一端面の凹面よりも大きな曲率半径をもった凹面を有す
る光学部品を樹脂材料の射出成形により成形するための
光学部品の成形方法であって、前記一端面を形成するた
めの型部材を、前記他端面を形成する型部材よりも先に
冷却させることを特徴としている。
【0020】また、この発明に係わる光学部品の成形方
法において、前記他端面が光学面であることを特徴とし
ている。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】上記構成において、一端面の凹面の光学面
を形成するための成形駒の方を他端面を形成する他の型
部材よりも先に冷却させるので、その時点では凹面とな
る部分はキャビティに対して突出状態にある成形駒の光
学成形面に食い付く様に収縮して、光学部品は凹面とな
る側にベンディングした様な状態となるが、その後他端
面側が冷却されるに従い、他端面側が収縮し、それに伴
い一端面の凹面となる部分の成形駒の光学成形面に対す
る食い付きが弱まる方向に光学部品全体が、再びベンデ
ィングを起こすので、光学部品を型から取り出す際の離
型変形による一端面の凹面の面精度の悪化が緩和され、
面精度の優れた光学部品が成形できる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な一実施形態
について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0030】(第1の実施形態)以下に本発明の第1の
実施形態について説明する。
【0031】図1は、図2に示したメニスカス形状のプ
ラスチックレンズLを射出成形することができる第1の
実施形態にかかわる樹脂成形金型の構成を示した図であ
る。すなわち、溶融状態の樹脂材料を供給するためのス
プルー21が形成された固定側型板22Lには、固定側
成形駒23Lを保持する固定側駒ホルダ24Lが一体的
に取り付けられており、固定側成形駒23Lには、凹レ
ンズ面2を成形するための光学成形面25が形成されて
いる。そして、これら固定側型板22L、固定側成形駒
23L、固定側駒ホルダ24Lなどの型部材で固定側金
型が構成されている。一方、固定側型板22Lと対向す
る可動側型板22Mには、可動側成形駒23Mを保持す
る可動側駒ホルダ24Mが一体的に取り付けられてお
り、可動側成形駒23Mには、凸レンズ面1を成形する
ための光学成形面26が形成され、可動側駒ホルダ24
Mにはツバ部3を成形するための環状をなす成形面27
が形成されている。そして、これら可動側型板22M、
可動側成形駒23M、可動側駒ホルダ24Mなどの型部
材で可動側金型が構成され、固定側金型及び可動側金型
の成形駒23L、23Mと、固定側駒ホルダ24Lと可
動側駒ホルダ24MとでプラスチックレンズLと対応し
たキャビティCが形成される。
【0032】固定側型板22L及び固定側駒ホルダ24
Lと、可動側型板22M及び可動側駒ホルダ24Mとの
間には、スプルー21とキャビティCとに連通するラン
ナ28及びゲート29が形成され、これらランナ28及
びゲート29を介してキャビティCがスプルー21と連
通するようになっている。可動側型板22Mには、可動
側駒ホルダ24Mを貫通して先端がプラスチックレンズ
Lのツバ部3と対応するキャビティCの部分に臨む複数
本のエジェクタピン30がキャビティC内に突出可能に
取り付けられており、同様に、この可動側型板22Mを
貫通して先端がスプルーロック34に臨むエジェクタピ
ン31も突出可能に取り付けられている。
【0033】また、固定側駒ホルダ24L、及び、可動
側駒ホルダ24Mにはそれぞれ温調媒体を流す溝32
L、及び32Mが環状に設けてあり、Oリング33でシ
ールされている。溝32L及び32Mにはそれぞれ独立
に金型温調機35、36から水や油などの温調媒体を流
し、成形駒23L及び23M内に設けた温度センサ37
L及び37Mでモニターまたは温度センサ37L及び3
7Mで検出した温度を利用して金型温調機35、36を
コントロールしている。
【0034】さらに固定側金型と可動側金型の境、すな
わちパーティング面のところには断熱板38を設け、固
定側金型の熱と可動側金型の熱の出入りがない様にして
いる。
【0035】つまり、図1に示すように、溝32L及び
32Mに、金型温調機35及び36から温調媒体を流し
ている状態で、可動側金型を固定側金型の方に駆動して
固定側型板22Lと可動側型板22Mとを当接させると
共にエジェクタピン30、31を退避させた状態にて、
スプルー21から溶融樹脂をランナ28及びゲート29
を介してキャビティC内に射出し、冷却・固化させた
後、固定側金型から可動側金型を引き離すように移動し
て可動側型板22Mを固定側型板22Lから引き離し、
その後エジェクタピン30、31を固定側型板22L及
び固定側駒ホルダL側に突出させ、突出部3にエジェク
タピン30を突き当てることにより、可動側駒ホルダ2
4Lから射出成形されたプラスチックレンズLをランナ
28及びゲート29に対応した部分と共に抜き外す。
【0036】この時、本実施形態においては、固定側金
型温調機35は、温調媒体の温度を85℃に設定し、可
動側金型温調機36は温調媒体の温度を95℃に設定し
た。このプラスチックレンズLの材質は前述同様アクリ
ル樹脂である。
【0037】キャビティC内で溶融樹脂が冷却・収縮す
る際、樹脂の凸レンズ面1となる部分は、キャビティC
に対して引っ込んだ状態にある可動側成形駒23Mの光
学成形面26から何ら拘束を受けることなく、その曲率
半径が小さくなるように収縮できる。また、樹脂の凹レ
ンズ面2となる部分は、その曲率半径が小さくなるよう
に収縮した場合、キャビティCに対して突出状態にある
固定側成形駒23Lの光学成形面25に食い付く状態と
なる。
【0038】しかし、本実施形態では、固定側金型の方
が温度が低いので、先に凹レンズ面2となる部分が冷却
し、収縮し、固定側成形駒23Lの光学成形面25に食
い付くが、その後温度が高い可動側金型に設けられてい
る凸レンズ面1となる部分が遅れて冷却する時、反対側
の凹レンズ面2となる部分は、固定側成形駒23Lの光
学成形面25から引き離される様になる為、食い付きが
弱まるので、凹レンズ面2側の精度劣化を図12に示し
た従来のものより抑えることができる。
【0039】ここで、図2に示したプラスチックレンズ
Lを上述した本実施形態の樹脂成形金型を用いて射出成
形した場合の凸レンズ面1及び凹レンズ面2のレンズ面
精度について、レーザ干渉装置を用いて測定した結果を
図3及び図4に示す。これらの図から明らかなように、
図3に示す凸レンズ面1側のレンズ面精度は、図11に
示した従来のものとほぼ同じ良好な状態となっている
上、図4に示す凹レンズ面2側は、図12に示した従来
のものよりも干渉縞の数が著しく少なくなっており、良
好なレンズ面精度を得られることが判る。
【0040】上述した実施形態では、メニスカスレンズ
を対象としたが、平凹レンズに応用することも可能であ
る、このような本発明の別な実施形態の断面構造を図5
に示す。
【0041】図5のレンズL1において、一端面は凹の
光学面2であり、他端面は平面4となっている。この場
合でも凹の光学面2を形成する成形駒を有する側の型部
材を先に冷却し、平面4を形成する型部材を有する側は
遅れて冷却していく様に成形を行えば良い。
【0042】また、両凹レンズに関しても凹面の曲率が
異なっている場合には応用可能であり、この様な本発明
の別の実施形態の断面構造を図6に示す。図6のレンズ
L2において、一端面は凹の光学面2であり、他端面は
光学面2よりも曲率半径が大きい凹の光学面5である。
この場合でも成形駒への食い付きの大きい曲率半径が小
さい凹の光学面2を形成する成形駒を有する側の型部材
を先に冷却し、成形駒への食い付きが比較的小さい曲率
半径が大きい凹の光学面5を形成する成形駒を有する側
の型部材は遅れて冷却していく様に成形を行えば良い。
さらに以上はレンズ面が円形状のものについて述べた
が、レンズ面が長方形のトーリックレンズやシリンドリ
カルレンズにも同様なことが言える。
【0043】図7は他の実施形態であるトーリックレン
ズの図である。
【0044】図7のレンズL3において、一端面は凹の
光学面2であり、他端面は凸の光学面1である。この場
合でも凹の光学面2を形成する成形駒を有する側の型部
材を先に冷却して、凸の光学面1を形成する成形駒を有
する側の型部材は、遅れて冷却していく様に成形を行え
ば良い。
【0045】また、トーリックレンズのレンズ面は長手
方向の曲率と短手方向の曲率をもっている。図7には、
長手方向も短手方向も同じ凹凸をもった、トーリックレ
ンズの例を示したが、図8には他のトーリックレンズの
実施形態を示す。図8のレンズL4において、光学面6
は長手方向は凹面であるが、短手方向は凸面となってお
り、光学面7は長手方向は凸面であるが、短手方向は凹
面となっている。この様な場合には長手方向と短手方向
のどちらの面の方がより要求精度が高いかを考慮して成
形の方法を考えれば良い。本実施形態においては、短手
方向の精度の方が重要であったので、短手方向が凹の光
学面となっている7の面を形成する成形駒を有する側の
型部材の方を先行して冷却し、短手方向が凸の光学面と
なっている6の面を形成する成形駒を有する側の型部材
は遅れて冷却していく様にした。
【0046】なお、上記のレンズはすべてその素材はプ
ラスチックでもガラスでも良い。またレンズだけに限ら
ず、反射鏡として利用することも可能であり、この場
合、図5に示した凹レンズ面2に反射膜を形成した表面
鏡としたり、図2に示した凸レンズ面1に反射膜を形成
し、裏面鏡として利用することができる。表面鏡として
利用する場合には、その反対側の端面を光学平面4とし
て形成する必要は当然ない。
【0047】また反射鏡を形成しなくても、低融点金属
を用いて図5の様な反射鏡とすることももちろん可能で
あり、総じて一端面が凹面の光学面であれば、他端面
は、前記一端面と略同等より小さな曲率半径をもった凹
面でない限り、凸面であっても平面であっても、また、
前記一端面の凹面よりも大きな曲率半径をもった凹面で
あっても更に他の形状であっても良い。尚、凹面の光学
面とは、鏡面上の光学面だけでなく、フレネルレンズの
様に表面がのこぎり刃状になっている面も含む。また、
光学面とは一般に透過面及び反射面を含む。
【0048】さて、凹面側の一端面の方を他端面側より
も先に冷却させるやり方として、2台の金型温調機を用
いて、凹面の光学面を形成するための成形駒が収納され
ている型部材を流れる温調媒体の温度の方を、他端面を
形成する他の型部材を流れる温調媒体の温度よりも低く
設定する方法を一実施形態として示したが、その他に
も、各型部材の温調を水や油など媒体ではなくヒーター
で行い、その設定温度に差をつける方法や、また、同じ
温調媒体を同じ温度で流す場合においても、熱伝導率の
異なる型部材(例えば銅合金とセラミックなど)を用い
て、冷却速度に差をつける方法や、そのほかには温調媒
体の種類を変えて(例えば水と油など)、冷却速度に差
をつけたり、温調手段(媒体とヒーター)を変えたり、
温調手段のキャビティからの距離を変えたりしても、冷
却速度に差をつけることは可能である。さらに別の成形
方法として、樹脂が型内に射出される前に予め樹脂のガ
ラス転移点温度以上に金型温度を昇温し、その後ゆっく
りと金型温度を下げながら、キャビティ内の樹脂を冷却
して、その後金型から取り出すという成形法(一般にヒ
ートサイクル成形法と呼ぶ)があるが、この場合には、
図1において固定側駒ホルダ24L及び可動側駒ホルダ
24Mに温調媒体の流れる溝32L、32Mの他にヒー
ター(図示せず)を埋めこんで、金型温度を樹脂のガラ
ス転移点温度以上に昇温する時はヒーターに通電し、そ
の後は、ヒーターに電流を流すのを止めて、溝32L、
32Mを流れる温調媒体によって冷却を行うという方法
がある。
【0049】本実施形態ではアクリル樹脂を使用してお
り、アクリル樹脂のガラス転移温度は115℃であっ
た。
【0050】図9に本実施形態での金型温度の変化の様
子を示す。
【0051】図9でこのグラフは図1に示す成形駒23
L、23Mの中に挿入された温度センサ37L、37M
の検出温度の時間の経過ごとの変化を表わしたもので、
2本の曲線のうち、曲線8は凸面を形成する成形駒23
M内に挿入してある温度センサ37Mが検出した温度、
曲線9は凹面の光学面を形成する成形駒23L内に挿入
してある温度センサ37Lが検出した温度である。
【0052】前述と同様、固定側の温調媒体は85℃、
可動側の温調媒体は95℃になっている。成形の方法に
ついて説明すると、樹脂を型内に射出する前に予め12
0℃までヒーターで昇温(Iの部分)し、その後樹脂を
キャビティC内に射出した後は各々の温調媒体の温度に
各々の型部材の金型温度は近づいていって、キャビティ
内の樹脂は冷却される(IIの部分)。
【0053】図9に示す様に、曲線9の方が温度の下が
り方が速く、凹面の光学面を形成する成形駒23Lの方
が、凸面を形成する成形駒23Mより先に冷却している
ことがわかる。この様に成形すれば凹面2の面精度は図
4の様になるが、固定側、可動側の温調媒体の温度を9
0℃にして、固定側も可動側も均一に冷却すると、凹面
2の面精度は図12の様になってしまう。
【0054】尚、ここでは、射出時の温度を固定側、可
動側で同一にしたが、温度差をつけることも有用であ
る。
【0055】また、断熱板38はこの様に固定側型部材
と可動側型部材の冷却速度も変える時に有用なものであ
るが、断熱部材としては断熱板以外の部材であっても良
い。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
一端面が凹面の光学面を有し、他端面が凹面ではないか
あるいは一端面の凹面よりも大きな曲率半径をもった凹
面を有する光学部品の型を用いた成形方法であって、一
端面の光学面を形成するための成形駒が収納されている
型部材の方を、他端面を形成する他の型部材よりも先に
冷却させることにより、凹面の精度低下を抑制すること
ができ、光学性能の優れたレンズ、ミラー等の光学部品
を成形することができる。
【0057】さらに、金型で、各々別々の温調手段で別
々の温度状態を作り出したり、別々の型部材の間に断熱
部材を有することにより、一端面の凹面の光学面を形成
する為の成形駒が収納されている型部材の方を、他端面
を形成する他の型部材よりも先に冷却させることがで
き、凹面の精度低下を抑制することができ、光学性能の
優れたレンズ、ミラー等の光学部品を成形することがで
きる。
【0058】さらにまた、別々の温度状態を作り出すた
めに、温調装置を具備することにより、一端面の凹面の
光学面を形成する為の成形駒が収納されている型部材の
方を、他端面を形成する他の型部材よりも先に冷却させ
ることができ、凹面の精度低下を抑制することができ、
光学性能の優れたレンズ、ミラー等の光学部品を成形す
ることができる。
【0059】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるメニスカスレンズを成形するため
の金型の一実施形態の断面図である。
【図2】図1で成形されるメニスカスレンズの図であ
る。
【図3】図2に示したメニスカスレンズの凸面側のレン
ズ面精度を表す干渉縞の様子を示した図である。
【図4】図2に示したメニスカスレンズの凹面側のレン
ズ面精度を表す干渉縞の様子を示した図である。
【図5】他の光学部品の形状を表す断面図である。
【図6】別の光学部品の形状を表す断面図である。
【図7】更に別の光学部品の形状を表す斜視図である。
【図8】更に別の光学部品の形状を表す斜視図である。
【図9】成形型の金型温度の変化の様子を表す図であ
る。
【図10】従来の成形金型の一例を表す断面図である。
【図11】従来の成形方法で成形されたときの図2に示
したメニスカスレンズの凸面側のレンズ面精度を表す干
渉縞の様子を示した図である。
【図12】従来の成形方法で成形されたときの図2に示
したメニスカスレンズの凹面側のレンズ面精度を表す干
渉縞の様子を示した図である。
【符号の説明】 1 凸レンズ面 2、5 凹レンズ面 4 平面 23L、23M 成形駒 24L、24M 駒ホルダ 25、26 光学成形面 C キャビティ L、L1、L2、L3、L4 レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/26 B29C 45/73 B29C 45/78 B29D 11/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一端面に凹面の光学面を有
    し、前記一端面と対向する他端面に凹面ではない面かあ
    るいは前記一端面の凹面よりも大きな曲率半径をもった
    凹面を有する光学部品を樹脂材料の射出成形により成形
    するための光学部品の成形方法であって、 前記一端面を形成するための型部材を、前記他端面を形
    成する型部材よりも先に冷却させることを特徴とする光
    学部品の成形方法。
  2. 【請求項2】 前記他端面が光学面であることを特徴と
    する請求項1に記載の光学部品の成形方法。
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