JP5024710B2 - ショーケースカバーの製造方法 - Google Patents

Description

本発明は、宝石などの装飾品を含む比較的小型の物品を収容し展示するショーケースにおけるショーケースカバーの製造方法に係り、特に、当該装飾品の細部を拡大展示するためのレンズを備えたショーケースカバーの製造方法に関するものである。

宝石などの装飾品を含む比較的小型の物品を収容し展示するショーケースでは、収容した物品を保護しながら外部からの視認を可能にするため、通常透明なカバーが用いられる。
しかしながらカバー越しに肉眼で視認するだけでは、たとえカバーが透明であっても、物品の細部の詳細は見分け難い場合がある。

そこで、カバーの一部にレンズを備える構成が提案されている。ここで、レンズは拡大鏡の機能を果たすために、通常凸レンズである。
特許文献１には、カバー（蓋）の一部を刳り抜いて、そこにレンズを備えた物品保管箱が開示されている。
しかしながら、このような構成のレンズ付きカバーは、少なくとも２個の部品「カバー」と「レンズ」を要するので部品点数が多くなり、且つ少なくとも「カバー」本体の形成、刳り抜き加工、レンズの形成、レンズの嵌め込み・固定を要することから、加工工程数が多く、高コストになることは避けられない。

特開２００６−１０２１４９号公報

上記のようなレンズ付きのショーケースカバーの製造における諸問題を解決するためになされた本発明の目的は、部品点数、加工工程数を共に最小限に抑えた、低コストであるが、光学用レンズ級の高品質レンズを備えたショーケースカバーの製造方法を提供することにある。

上記の課題を解決するためになされた本発明は、請求項１に示すように、レンズ及び前記レンズの周縁から延伸された周辺部からなる天井部と、前記天井部の周辺部の周縁から延伸された側壁部を、プラスチックの一体成形によりショーケースカバーとするショーケースカバーの製造方法であって、
前記天井部のうち前記レンズに対応する第１部品と、前記天井部の前記レンズを除く部分と前記側壁部に対応する第２部品でなる凹型部品、および前記凹型部品との間に空洞を作って組み合わされる凸型部品からなり、前記凹型部品と前記凸型部品の前記空洞に面する表面が鏡面研磨仕上げされ、さらに前記第１部品と、前記凸型をなす部品の表面のうち前記第１部品に対応する部分の表面が光学的研磨仕上げされた成形型を用いて、
前記第１部品と前記第２部品が嵌合されて前記凹型部品が形成されると共に、前記凹型部品と前記凸型部品の間の空洞にプラスチックが圧入され、前記プラスチックが固まった後に前記第１部品、前記第２部品および前記凸型部品から離して形成されることを特徴とする。

また請求項２に示すように、前記レンズの周縁と前記天井部の周辺部の周縁が、同心円をなすことを特徴とする。

更に請求項３に示すように、前記レンズの周縁が円形で、前記天井部の周辺部の周縁が正方形であることを特徴とする。

加えて請求項４に示すように、前記レンズの周縁が円形で、前記天井部の周辺部の周縁が楕円形又は長方形をなし、前記レンズが複数個あり、前記複数個のレンズが前記天井部の長手方向に沿って配置されていることを特徴とする。

本発明の請求項１に係るショーケースカバーによれば、天井部のレンズと、天井部の周辺部と、側壁部とがプラスチックの一体成形により製造でき、部品点数が１点、製造工程数が成形工程１回と最小限に抑えられているので、低コストのショーケースカバーを提供できる。

しかも、一体成形のための成形型のうち、特に凹型については、凹型の内底部にあたる、レンズに接する部分の表面を、確実に光学的研磨仕上げできるので、光学用レンズに相
当する高品質のレンズに適う。

本発明の請求項１の製造方法によるショーケースカバーによれば、ショーケースカバーに一体に組み込まれているにも拘らず、光学用レンズに相当する高品質のレンズを備えているので、物品を収容したままの状態で物品の細部の詳細を拡大して正確に観察できるショーケースカバーを提供できる。

本発明の請求項２〜４の製造方法によるショーケースカバーによれば、多様な種類の装飾品を含む物品の収容に適した、シンプル、スマートでしかも多様な形状のショーケースカバーを提供できる。

本発明の製造方法による第１の実施形態で製造されたショーケースカバーの、（Ａ）断面図、および（Ｂ）平面図である。 第２の実施形態で製造されたショーケースカバーの、（Ａ）断面図、および（Ｂ）平面図である。 第３の実施形態で製造されたショーケースカバーの、（Ａ）断面図、および（Ｂ）平面図である。 第４の実施形態で製造されたショーケースカバーの、（Ａ）断面図、および（Ｂ）平面図である。 本発明のショーケースカバーの製造方法に用いられる成形型の部品の断面図である。 図５の各部品を組立てた成形型の断面図である。

以下、本発明に係る実施の形態と効果を、図１ないし図６に従って具体的に説明する。

図１は本発明の製造方法による第１の実施形態で製造されたショーケースカバーであって、（Ａ）は断面図、（Ｂ）は平面図である。
ショーケースカバーは、レンズ１０と、レンズ１０の周縁から延伸された周辺部２０からなる天井部と、天井部の周辺部の周縁から延伸された円筒状の側壁部３０とを備え、天井部のレンズ１０と、天井部の周辺部２０と、側壁部３０とが一体に成形されて、なっている。

ショーケースカバーは、一点鎖線で示した基体９０と組み合わせてショーケースを形成し、ここで、基体９０は台座９１を備え、ショーケースカバーの側壁部３０は、その内面３０ｂで台座９１の側面９１ｂと褶動させながら嵌合すると、台座の下端に連なる基体の上面９０ｃに達して停止する。

台座９１の上面９１ａには収容すべき物品（図示せず）が静置され、これを外部（レンズ１０の上方）から観察すると、物品が拡大され、その細部が詳細に視認できる。
このようにして得られたショーケースは、一見ドーム型（釣鐘型）であり、シンプルかつスマートである。

拡大された像（虚像）を得るために、レンズと物品の距離、即ち、レンズの内面１０ｂと台座の上面９１ａの距離ａを、レンズ１０の焦点距離ｆよりも若干小さくとる。
例えば、焦点距離ｆ＝５ｃｍのレンズ１０を用いて、下方明視距離２５ｃｍに虚像を得
るためには、ａ＝（２５／６）ｃｍとする。これで実物の６倍の虚像が得られる。

図２は、第２の実施形態で製造されたショーケースカバーであって、（Ａ）は断面図、（Ｂ）は平面図である。
上記第１の実施形態とは、ショーケースカバーの側壁部３０が四角筒状であり、これに合わせて基体９０の平面形状が正方形である点が異なっている。
なお、レンズ１０の凸面は、第１の実施形態と異なり、内面側に凸である。この他、レンズの内外両面が凸であってもよい。このようにして、多様な形状のショーケースカバーが得られる。

図３は本発明の第３の実施形態で製造されたショーケースカバーであって、（Ａ）は断面図、（Ｂ）は平面図である。
第３の実施形態では、ショーケースカバーが複数個（２個）のレンズ１０、１０を両端部に備え、ショーケースカバー及び基体の平面形状が楕円状である点が第１の実施形態と異なる。
このようなショーケースは、例えばネックレースの如き長めの物品で、一端又は両端に特に拡大して展示したい宝石などがある場合に適している。

図４は本発明の第４の実施形態で製造されたショーケースカバーであって、（Ａ）は断面図、（Ｂ）は平面図である。
第４の実施形態では、ショーケースカバーが複数個（図では６個の場合を例示）のレンズ１０を長手方向に沿って備え、ショーケースカバー及び基体の平面形状が矩形状である点が第２の実施形態と異なる。
このようなショーケースは、例えば飾り櫛の如き長めの物品で、全体を拡大して展示したい場合に適している。

図５、６は、本発明のショーケースカバーの製造方法に用いられる成形型の断面図であって、図５は成形型の部品の断面図、図６は各部品を組立てた成形型の断面図である。
ショーケースカバーの製造に用いられる成形型は、以下の説明では第１の実施形態によるショーケースカバーの製造を想定しているが、他の、第２〜４の実施形態によるショーケースカバーに対応する成形型も同様にして作ることができる。

図５を参照すると、本実施形態の成形型は３個の部品、すなわち成形型の凹型部品である第１部品６０と第２部品７０、および成形型の凸型部品８０からなる。
第１部品６０は、その第１面（図で下面）６０ａが凹面をなす円柱状の部品であり、第１面６０ａが、製造すべきショーケースカバーのレンズ１０の外面１０ａ（図１参照）に対応する。

第２部品７０は、その内面が、第４面７０ｄ、第１面７０ａ、第２面７０ｂからなる円筒状の部品であり、第４面７０ｄに囲まれた空洞が、後で第１部品６０が嵌合できるようなサイズに設定される。
他方、第１面７０ａ、第２面７０ｂが、製造すべきショーケースカバーの、各々、天井の周辺部２０の外面２０ａ、側壁部の外面３０ａ（図１参照）に対応する。
そして、第１部品と第２部品が嵌合されて成形型の凹型部品が形成される

凸型部品８０は、凸部８１を有する円柱状の部品であり、凸部８１の第１面８１ａ、第２面８１ｂ、第３面８１ｃが、製造すべきショーケースカバーの、各々、レンズの内面１０ｂ、天井部の周辺部の内面２０ｂ、側壁部の内面３０ｂ（図１参照）に対応する。
凸型部品８０の上面８０ｄは、第２部品７０の第３面７０ｃに対応する。
また、凸型部品８０の上面８０ｄの一部には、凸部８１の第３面８１ｃに達する溝であるゲート８２が設けられる。

以上の成形型部品の各面のうち、少なくとも、製造すべきショーケースカバーの表面に対応する面６０ａ、７０ａ、７０ｂ、８１ａ、８１ｂ、８１ｃは、鏡面研磨仕上げがなされる。
さらに、少なくとも、製造すべきショーケースカバーのレンズの表面に対応する面、６０ａ、８１ａは、光学的研磨仕上げがなされる。
第１部品６０を第２部品７０と分離して作り、後から嵌合して一体の成形型とする理由は、第１部品６０の第１面６０ａの光学的研磨仕上げを可能にするためである。
即ち光学的研磨仕上げに際しては、研磨ツールの研磨用先端を被研磨面の載る球面に沿って被研磨面の周縁外部まで運動させる必要があり、第１部品６０の第１面６０ａは、第２部品７０に嵌合されたような凹所にある場合、光学的研磨仕上げが不可能になるからである。

次に図６を参照すると、上記図５に示した３個の部品、すなわち第１部品６０、第２部品７０、および凸型部品８０が組み合わされて本実施例の成形型１００が完成する。
透明プラスチック、例えばメタクリル樹脂の原材料が、成形型１００のゲート８２を通じて空洞１０１に圧入され、プラスチックが固まった後で、第１部品６０、第２部品７０と凸型部品８０（凸部８１を含む）が離型すると、ショーケースカバー（この場合、上記第１実施形態に係るもの）が形成される。
この後実際には通常の、ゲートプラスチックの切断、バリとり、コーティングなどが行われるが、ここでは省略する。

上記のような成形型の表面の鏡面研磨仕上げを反映して、完成したショーケースカバーの表面は内外共に平滑であり、内部に収容する物品が歪み無く、汚れ無く観察できる。
特に、ショーケースカバーのレンズは、上記のような成形型の表面の光学的研磨仕上げを反映して、一層平滑であり、内部に収容する物品が歪み無く、汚れ無く、拡大されて観察できる。

１０；レンズ
１０ａ；レンズの外面
１０ｂ；レンズの内面
２０；周辺部
２０ａ；周辺部の外面
２０ｂ；周辺部の内面
３０；側壁部
３０ａ；側壁部の外面
３０ｂ；側壁部の内面
３０ｃ；側壁部の下端面
６０；（成形型の）第１部品
６０ａ；第１部品の第１面
７０；（成形型の）第２部品
７０ａ；第２部品の第１面
７０ｂ；第２部品の第２面
７０ｃ；第２部品の第３面
７０ｄ；第２部品の第４面
８０；（成形型の）凸型部品
８０ｄ；凸型部品の上面
８１；凸型部品の凸部
８１ａ；凸部の第１面
８１ｂ；凸部の第２面
８１ｃ；凸部の第３面
８２；ゲート
９０；（ショーケースの）基体
９０ｃ；基体の上面
９１；（ショーケースの）台座
９１ａ；台座の上面
９１ｂ；台座の側面
１００；成形型
１０１；空洞

Claims (4)

1. レンズと前記レンズの周縁から延伸された周辺部からなる天井部と、前記天井部の周辺部の周縁から延伸された側壁部を、プラスチックの一体成形によりショーケースカバーとするショーケースカバーの製造方法であって、
   前記天井部のうち前記レンズに対応する第１部品と、前記天井部の前記レンズを除く部分と前記側壁部に対応する第２部品でなる凹型部品、および前記凹型部品との間に空洞を作って組み合わされる凸型部品からなり、前記凹型部品と前記凸型部品の前記空洞に面する表面が鏡面研磨仕上げされ、さらに前記第１部品と、前記凸型をなす部品の表面のうち前記第１部品に対応する部分の表面が光学的研磨仕上げされた成形型を用いて、
   前記第１部品と前記第２部品が嵌合されて前記凹型部品が形成されると共に、前記凹型部品と前記凸型部品の間の空洞にプラスチックが圧入され、前記プラスチックが固まった後に前記第１部品、前記第２部品および前記凸型部品から離して形成されることを特徴とするショーケースカバーの製造方法。
2. 前記レンズの周縁と前記天井部の周辺部の周縁が、同心円をなすことを特徴とする請求項１に記載のショーケースカバーの製造方法。
3. 前記レンズの周縁が円形で、前記天井部の周辺部の周縁が正方形であることを特徴とする請求項１に記載のショーケースカバーの製造方法。
4. 前記レンズの周縁が円形で、前記天井部の周辺部の周縁が楕円形又は長方形をなし、前記レンズが複数個あり、前記複数個のレンズが前記天井部の長手方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項１に記載のショーケースカバーの製造方法。

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