JP3867966B2 - 光学素子、成形用金型、及び光学素子の製造方法 - Google Patents

光学素子、成形用金型、及び光学素子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高精度な転写面(光学鏡面)を必要とする厚肉、偏肉形状のプラスチックレンズ等のプラスチック光学素子、とりわけレーザ方式のデジタル複写機、レーザプリンター、又はファクシミリ装置の光学走査系、ビデオカメラ等の光学機器等に適用されるプラスチック光学素子に適用される光学素子、該光学素子の成形用金型、及び光学素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レンズ、プリズム等の光学素子は、表面形状精度や内部の複屈折に高い精度が要求されるため、従来はガラス製のものが主であった。しかし、近年、形状の自由度や量産性に優れているなどの理由によりプラスチック製のものが増加してきている。この理由としては、低い複屈折特性の樹脂材料が開発されたことと、形状精度が良く低複屈折の成形品を製造可能にする成形技術の向上によるものである。従来、光学部品に用いられる樹脂材料としては、ポリカーボネートやアクリルが主であったが、ポリカーボネートは複屈折が大きく、一方、アクリルは吸水性に問題があるなどの理由から、使用範囲は限られていた。しかし近年、低吸水性でかつ低い複屈折特性の樹脂材料が開発され、使用範囲が拡大された。このような樹脂材料としては例えば、日本ゼオン社製Zeonex、三井石油化学製APEL、JSR社製アートンなどがある。また、成形技術としても、樹脂を低圧で充填し、金型全体もしくは入駒を介して圧縮を加える射出圧縮成形法などを用いることで、形状精度が良く、低複屈折のプラスチック成形品が得られるようになった。以上のような理由から光学素子のプラスチック化が一層促進される傾向にある。さらに、高精度なプラスチック成形品形状にはリブ構造が多く採用されており、リブ構造は、プラスチック成形品強度の向上、プラスチック成形品の取り扱い性の向上などの利点を提供する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、高精度な形状寸法及び低複屈折を要求される光学素子等のプラスチック成形品を射出成形によって製造する場合、転写性と内部の均質性を確保するために、高い温度(具体的には、使用樹脂材料が熱可塑性のプラスチック樹脂である場合、ガラス転移温度よりもわずかに低い温度)に保たれた金型に、低圧低充填で成形を行う。しかし、金型温度が高いと、レンズ面(転写面)の密着力が大きくなり、プラスチック成形品を取り出す際に、型開き時の「とられ」によるプラスチック成形品の変形が問題となる。また、低圧で成形を行うと、成形時にヒケが発生する。斯かる低圧成形の欠点を改善する方法として、特開平11−028745号公報に開示されているように、低圧低充填で成形を行い、転写面にひけを誘導し、内部歪みを低減しながら転写面の形状精度を確保する方法が提案されている。ところが、低圧低充填で成形を行うと、型開き前にキャビティ内の樹脂圧力が0になり、転写面にひけを誘導しても、尚、転写面のリブ沿いにひけが発生して高精度なプラスチック成形品が得られないという問題がある。また、エジェクトピンのクリアランスから空気がもれ、同様に転写面のリブ沿いにひけが発生するなどの問題がある。本発明は、前述の問題点を解決し、高精度な形状寸法で、且つ、内部歪みが非常に小さいプラスチック成形品及び該プラスチック成形品の成形用金型を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも1つ以上の被転写面を有する成形用金型のキャビティに溶融樹脂を射出充填してキャビティ内に樹脂圧力を発生させることにより、前記成形用金型の被転写面を樹脂に転写させて光学素子の転写面を形成させ、キャビティから該転写面の形成された光学素子を取り出すことにより製造される光学素子において、前記光学素子がリブを有し、かつ該リブと前記転写面との境界であり、前記成型用金型の離型時の突き出し位置より該転写面側に少なくとも1つ以上の凸形状部を有する光学素子を最も主要な特徴とする。リブ及び凸形状部の存在により、ひけ等の変形が転写面に形成されないこととなる。また、凸形状部の存在により、離型時に、可動側キャビティ駒にプラスチック成形品が密着した状態で型開きされるので、成形品のとられを防止できる。また、成形用金型の凸形状部が、離型時の突き出し位置より転写面側にあるため、突き出し用のエジェクタピンの摺動用クリアランスから空気がもれず、リブ沿いにひけが発生するのを防止できる。
請求項2に記載の発明は、前記凸形状部が前記転写面を取り囲むように形成されている光学素子を主要な特徴とする。光学面を包囲するように凸形状部が設けられているので、金型側のエジェクタピンのクリアランスから空気が漏れず、光学面のリブに沿ってひけが発生することを防止できる。請求項3の発明は、前記光学素子に設けたリブのうち、前記成型用金型の可動側に限り、前記凸形状部を有する光学素子を主要な特徴とする。離型時に、金型可動側に成形品が付着して型開きされるので、成形品のとられが防止される。
【0005】
請求項4に記載の発明は、前記凸形状部が、成形時に金型から離型される方向に抜き勾配を持たないことをプラスチック成形品を主要な特徴とする。離型性を通常レベルに保持する場合には、抜き勾配をもたせる必要は少ない。
請求項5に記載の発明は、前記凸形状部が、成形時に金型から離型される方向の少なくとも1つ以上の面に抜き勾配を持つプラスチック成形品を主要な特徴とする。離型性を高めたい場合には、抜き勾配を持たせればよい。
請求項6に記載の発明は、前記成型用金型の型開き前に、前記キャビティ内の樹脂圧力が0になるように成形されるプラスチック成形品を主要な特徴とする。このため、内部歪みの小さいプラスチック成形品を得ることができる。
請求項7に記載の発明においては、前記光学素子は、少なくとも1つ以上の転写面以外の被転写面に金型形状の不完全転写により発生する凹部を有するプラスチック成形品を主要な特徴とする。転写面以外の被転写面にひけとなる凹部を誘導するように成形を行うので、光学面等の転写面にひけが生じるのを防止でき、所望の光学面を短い成形サイクルにて忠実に転写できる。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至の何れか一項に記載の光学素子の成型用金型であって、前記凸形状部を形成するキャビティ駒と前記転写面を形成するキャビティ駒が一体で構成されている光学素子の成形用金型を主要な特徴とする。凸形状部を形成するキャビティ駒と光学面を形成するキャビティ駒が一体で構成されたキャビティ駒を備えた金型を用いることにより、エジェクタピンのクリアランスから空気がもれず、光学面のリブに沿いひけが発生するのを防止でき、高精度な走査レンズを製造できる。
請求項9に記載の発明は、少なくとも1つ以上の被転写面を有する成形用金型のキャビティに溶融樹脂を射出充填して該キャビティ内に樹脂圧力を発生させることにより、前記成形用金型の被転写面を樹脂に転写させて光学素子の転写面を形成させ、該キャビティから被転写面の形成された光学素子を取り出すことにより製造され、前被転写面側にリブを備えた光学素子の製造方法であって、前記転写面と前記リブとの境界であって前記成型用金型の離型時の突き出し位置より前記転写面側に少なくとも1つ以上の凸形状部を形成することを特徴とする。
請求項1〜7に記載の光学素子によれば、良好な転写面を有した高精度な形状寸法であり、且つ、内部歪みが非常に小さいという優れた効果を奏することかでき、また本発明の光学素子の成形用金型、光学素子の製造方法によれば、良好な転写面を有した高精度な形状寸法であり、且つ、内部歪みが非常に小さい光学素子を容易且つ確実に成形することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。図1〜図3は本発明の実施の形態の第一例であり、図1はプラスチック成形品(光学素子)がレーザプリンターに用いられる走査レンズである場合の概略斜視図、図2は走査レンズのレンズ高さ0における概略断面図、図3は図1、2に示す走査レンズの成形に用いる成形用金型の概略断面図である。図中、1は走査レンズで、図の上面には凸状の転写面である光学面2aが、また、下面には同じく転写面である光学面2bが形成されている。図2で明らかなように、走査レンズ1は光学面(転写面)2aの外周を包囲するように、その外周縁に沿って屹立したリブ3を有し、且つ、リブ3と光学面2aとの境界に凸形状部4を有している。また、使用する材質は例えば日本ゼオン社製のZeonex樹脂である。而して、走査レンズ1は、レーザプリンターに組み込まれて使用される場合には、下面から上面に向かってレーザビームが透過するようになっている。図3に示すように、成形用金型5は、凹状で鏡面状の被転写面6a及び被転写面6aの両側に形成されたリブ形成部6b並びにリブ形成部6bの上端に形成された凸形状部形成部6cを備えた可動側のキャビティ駒6と、キャビティ駒6の成形面に対し間隔をおいて対向配置され、且つ、凸状の鏡面状の被転写面7aが形成された固定側のキャビティ駒7と、キャビティ駒6の左右両側(外周)に配置された、成形品である走査レンズの可動側リブ形状を形成するキャビティ駒8と、走査レンズ側面(非光学面)を形成する左右一対のキャビティ駒9と、キャビティ駒7の左右両側に配置されたキャビティ駒10とを備え、キャビティ駒6〜10により包囲された空間によりキャビティ11が形成されている。また、成形用金型5は、キャビティ駒6とキャビティ駒8との間に配置されたエジェクタピン12、キャビティ11内と連通するようキャビティ駒9に穿設された通気口13、通気口13に接続されてキャビティ11内の成形品に圧縮気体を付与する図示しない気体供給装置を有している。さらに、図示してない金型ベースには、金型全体を加熱するために、カートリッジヒーターと熱電対とを具備し、カートリッジヒーターと熱電対は、金型外部に設置された温度制御装置に連結されている。
【0007】
次に本発明の実施の形態の第一例において成形用金型からプラスチック成形品(光学素子)として走査レンズ1を成形する場合の手順について説明する。前記成形用金型を図示しない射出成形機にセットし、プラスチック成形品として走査レンズ1の成形を行う。而して、成形に際しては溶融樹脂と接するキャビティ11の内側壁は使用する樹脂材料のガラス転移温度以下の所定温度になるようにカートリッジヒーターで加熱しておき、キャビティ11内に溶融樹脂を充填する。そして、キャビティ11内に樹脂圧力を発生させ、各キャビティ駒6、7の被転写面6a、7aの形状を、光学面2a、2bとして樹脂材料に転写させる。この際、樹脂冷却過程時の収縮に伴うひけが光学面2a、2bに発生しないように、通気口13から所定圧力の圧縮気体をキャビティ11内に付与し、キャビティ11内の樹脂と前記通気口13が設けられたキャビティ駒9との間に強制的に空隙を形成し、ひけをキャビティ駒9と接する面に誘導する。次いで、可動側のキャビティ駒6を外方へ移動させることにより金型を開き、エジェクタピン12により溶融樹脂が固化して形成されたプラスチック成形品をキャビティ11から突き出して金型から取り出し、取り出されたプラスチック成形品は室温に放置して自然冷却させる。
【0008】
本図示例では、溶融樹脂をガラス転移温度以下まで冷却するときに、通気口13から所定圧力の圧縮気体をキャビティ11内に供給することにより、前記通気口13が設けられたキャビティ駒9と樹脂との間に強制的に空隙を形成したため、冷却によって生じる樹脂の収縮を吸収し、非光学面(転写面以外の面)であるキャビティ駒9と接する面にひけ(凹部)を誘導でき、その結果、光学面2a、2bにひけが生じるのを防止することができ、所望の光学面2a、2bを短い成形サイクルで忠実に転写することができる。また、冷却時の光学面に作用する樹脂内圧を大気圧に近づける(金型を開く前にキャビティ内の樹脂圧力が0になるように成形する)ことができるため、内部歪みの小さいプラスチック成形品(光学素子)を得ることができる。なお、金型温度を樹脂のガラス転移温度以下にしているのは、プラスチック成形品の取り出し時にプラスチック成形品が変形するのを防止するためである。ここで、成形用金型からのプラスチック成形品の取り出しについて説明する。本図示例では、金型から離型される方向に抜き勾配を持たない凸形状部4を有するリブ3が、可動側のキャビティ駒6側に限って設けられているため、型開き時に、プラスチック成形品は可動側のキャビティ駒6側にのみ、凸形状部4に起因して転写面の密着力以外の力を受ける。そのため、プラスチック成形品は可動側のキャビティ駒6に密着した状態で、型開きされ、その結果、プラスチック成形品のとられを防止することができる。仮に、とられがあると走査レンズ1のような長尺のプラスチック成形品には、反りが発生し、形状寸法精度が悪くなる。
【0009】
また、本図示例では、凸形状部4が、プラスチック成形品(光学素子)離型時の突き出し位置であるエジェクタピン12より転写面側になるべく、図4の概略断面図に示すように、突き出し位置14を走査レンズ1のレンズ高さ0における太線位置イに設けてある。さらに、凸形状部4は図2に示すように、光学面2aを取り囲むように形成されているため、図3に示すエジェクタピン12のクリアランスから空気がもれず、光学面2aのリブ3に沿いひけが発生するのを防止でき、高精度な走査レンズ1を製造できる。この効果は、本実施例のように、凸形状部4を形成するキャビティ駒6と光学面2aを形成するキャビティ駒6が一体で構成されたキャビティ駒を備えた金型を用いることにより達成できる。また、離型性を向上させたい場合には、凸形状部4を金型から離型される方向の少なくとも一つ以上の面に抜き勾配を持たせることで達成できる。当然、本図示例のプラスチック成形品は、図1、2に示す走査レンズ1だけに限るものではなく、プリズム、カメラレンズ15(図5、6参照)等、種々な形状及び用途のプラスチック光学素子、厚肉で偏肉な形状及び用途のハウジング等のプラスチック成形品にも適用可能である。また、転写面形状も、平面、曲面、球面、非球面等、あらゆる形状を選択可能である。また、本発明は、射出成形法のほか、樹脂を低圧で充填し、金型全体もしくは入駒を介して圧縮を加える射出圧縮成形法などを用いることも可能である。
【0010】
図7〜図9は本発明の実施の形態の第二例で、図7は図1と同様、プラスチック成形品(光学素子)が走査レンズである場合の概略斜視図、図8は走査レンズのレンズ高さ0における概略断面図、図9は図7、8に示す走査レンズの成形に用いる成形用金型の概略断面図である。図1の場合と同様、図7中、1は走査レンズで、図の上面には凸状の光学面2aが、また、下面には光学面2bが形成されている。走査レンズ1は光学面2aを包囲するようリブ3を有し、且つ、リブ3と光学面2aとの境界に凸形状部4を有している。また、走査レンズ1の転写面である側面に形成された凹部16には、意図的にひけ(金型形状の不完全転写により発生する凹部)が誘導されている。凹部16は走査レンズ1に対する光学的な有効範囲に及んではおらず、走査レンズ1の性能に何等不都合を与えるものではない。走査レンズ1の材質は、例えばJSR社製アートン樹脂である。而して、走査レンズ1は、レーザプリンターに組み込まれて使用される場合には、下面から上面に向かってレーザビームが透過するようになっている。
【0011】
図9の金型断面図に示すように、成形用金型5は、凹状の被転写面6a及び被転写面6aの両側に形成されたリブ形成部6b並びにリブ形成部6bの上端に形成された凸形状部形成部6cを備えた可動側のキャビティ駒6と、キャビティ駒6の成形面に対し間隔をおいて対向配置され、且つ、凸状の被転写面7aが形成された固定側のキャビティ駒7と、キャビティ駒6の左右両側(外周)に配置された、成形品である走査レンズの可動側リブ形状を形成するキャビティ駒8と、走査レンズ側面(非光学面)を形成する左右に摺動可能な一対のキャビティ駒17と、キャビティ駒7の左右両側に配置されたキャビティ駒10とを備え、キャビティ駒6〜9、17により包囲された空間によりキャビティ11が形成されている。また、成形用金型5は、キャビティ駒6とキャビティ駒8との間に配置されたエジェクタピン12、キャビティ駒17に連結させてキャビティ駒17を左右に摺動させるための駆動装置を備えている。さらに、図示してない金型ベースには、金型全体を加熱するために、カートリッジヒーターと熱電対とを具備し、カートリッジヒーターと熱電対は、金型外部に設置された温度制御装置に連結されている。
【0012】
次に本発明の実施の形態の第二例において成形用金型からプラスチック成形品(光学素子)として走査レンズ1を成形する場合の手順について説明する。前記成形用金型を図示しない射出成形機にセットし、プラスチック成形品として走査レンズ1の成形を行う。而して、成形に際しては溶融樹脂と接するキャビティ11の内側壁は使用する樹脂材料のガラス転移温度以下の所定温度になるようにカートリッジヒーターで加熱しておき、キャビティ11内に溶融樹脂を充填する。この際、樹脂冷却過程時の収縮に伴うひけが光学面に発生しないように、キャビティ11内の樹脂圧力が0になったところで、樹脂レンズ側面(非光学面)を形成する摺動自在に設けられた一対のキャビティ駒17を樹脂から離隔するように摺動させ、樹脂とキャビティ駒17の間に強制的に空隙を形成し、ひけをキャビティ駒17と接する面に誘導する。次いで、金型を開き、エジェクタピン12によりプラスチック成形品を突き出し、固化した走査レンズ1を金型から取り出し、室温に放置して自然冷却する。
【0013】
本図示例では、溶融樹脂をガラス転移温度以下まで冷却するときに、一対のキャビティ駒17を樹脂から離隔するように摺動させることにより、キャビティ駒17と樹脂との間に強制的に空隙を形成したため、冷却によって生じる収縮を吸収し、非光学面(転写面以外の面)であるキャビティ駒17と接する面にひけ(凹部16)を誘導でき、その結果、光学面2a、2bにひけが生じるのを防止することができ、所望の光学面2a、2bを短い成形サイクルで忠実に転写することができる。また、冷却時の光学面に作用する樹脂内圧を大気圧に近づける(金型を開く前に、キャビティ内の樹脂圧力が0になるように成形する)ことができるため、内部歪みの小さいプラスチック成形品を得ることができる。
【0014】
次に上述の第一、第二の実施の形態例(実施例1、2)との比較例について説明する。図10は本発明の実施例と比較する比較例として成形したレーザプリンターに用いられる走査レンズのレンズ高さ0における概略断面図である。図10の走査レンズ1は、図1、図8に示す走査レンズ1と同様、凸状の光学面2a、凹状の光学面2b、光学面2aの左右に設けられたリブ3は備えているが、リブ3に突設されるよう形成された凸形状部4を備えていない点で前記形態例と相違している。また、比較例の走査レンズ1の材質は日本ゼオン社製のZeonex樹脂である。図11に示すように比較例に示す走査レンズ1を成形するための成形用金型5は、凹状の転写面6a及びリブ形成部6bが形成された可動側のキャビティ駒6と、キャビティ駒6に対し間隔をおいて対向配置され、且つ、凸状の被転写面7aが形成された固定側のキャビティ駒7と、キャビティ駒6の左右両側に配置された、成形品である走査レンズの可動側リブ形状を形成するキャビティ駒8と、走査レンズ側面(非光学面)を形成する左右一対のキャビティ駒9と、キャビティ駒7の左右両側に配置されたキャビティ駒10とを備え、駒6〜10により包囲された空間によりキャビティ11が形成されている。また、成形用金型5は、キャビティ駒6とキャビティ駒8との間に配置されたエジェクタピン12、キャビティ11内と連通するようキャビティ駒9に穿設された通気口13、通気口13に接続されてキャビティ11内の成形品に圧縮気体を付与する図示しない気体供給装置を有している。さらに、図示してない金型ベースには、金型全体を加熱するために、カートリッジヒーターと熱電対とを具備し、カートリッジヒーターと熱電対は、金型外部に設置された温度制御装置に連結されている。なお比較例の成形用金型により走査レンズ1を成形する際の手順は第一の実施の形態例と同様であるため、成形の手順の説明は省略する。
【0015】
上記、実施例1、2及び比較例により成形された走査レンズ1を触針式3次元測定機により形状測定し、入射側の光学面2a面及び出射側の光学面2bの主走査R1、R2と走査レンズ1の設計値とのずれ量を評価した。[表1]に走査レンズ1の形状を測定した結果を示す。
【表1】
Figure 0003867966
[表1]から、実施例1及び2と比べて、比較例の走査レンズ1では、入射側の光学面2aの主走査R1が大きくなる方向、出射側の光学面2bの主走査R2が小さくなる方向に変形していることが分る。このことによって、金型を開くときのとられにより、走査レンズ1の長手方向に図12に矢印で示す方向の反り18が発生し、その結果、形状寸法精度が劣化していると確認された。また、比較例の走査レンズ1では、転写面6aのリブ3に沿ってひけが発生していた。原因としては、図13のエジェクタピン12近傍の拡大概略図に示すように、点線矢印19の方向からエジェクタピン12のクリアランス20を介して、空気がもれためであった。本発明の図示例により成形されたプラスチック成形品は、良好な転写面を有した高精度な形状寸法であり、且つ、内部歪みが非常に小さい。尚、本発明のプラスチック成形品及び該プラスチック成形品の製造方法は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0016】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明のプラスチック成形品によれば、良好な転写面を有した高精度な形状寸法であり、且つ、内部歪みが非常に小さいという優れた効果を奏することができ、また本発明の光学素子の成形用金型、及び製造方法によれば、良好な転写面を有した高精度な形状寸法であり、且つ、内部歪みが非常に小さいプラスチック成形品を容易且つ確実に成形する、という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光学素子の実施の形態の一例で、光学素子がレーザプリンターに用いられる走査レンズである場合の概略斜視図である。
【図2】 図1に示す走査レンズのレンズ高さ0における概略断面図である。
【図3】 図1、2に示す走査レンズの成形に用いる光学素子の成形用金型の一例を示す概略断面図である。
【図4】 図2に示す走査レンズのレンズ高さ0における位置に示す凸形状部を説明するための概略断面図である。
【図5】 光学素子がカメラレンズである場合の斜視図である。
【図6】 図5の概略縦断面図である。
【図7】 本発明の光学素子の実施の形態の他の例で、光学素子がレーザプリンターに用いられる走査レンズである場合の概略斜視図である。
【図8】 走査レンズのレンズ高さ0における概略断面図である。
【図9】 図7、8に示す走査レンズの成形に用いる光学素子の成形用金型の一例を示す概略断面図である。
【図10】 実施の形態の第一例、第二例に示す走査レンズと比較するための比較例として用いた走査レンズの概略断面図である。
【図11】 比較例に示す走査レンズ1を成形するための成形用金型の一例を示す概略断面図である。
【図12】 比較例に示す走査レンズが反ることを説明するための斜視図である。
【図13】 比較例の示す走査レンズのリブに沿ってひけが生じる原因を説明するための可動側のキャビティ駒の概略断面図である。
【符号の説明】
1 走査レンズ(光学素子
2a 光学面(転写面)
3 リブ
4 凸形状部
6 キャビティ面
6a 被転写面
8 キャビティ駒
11 キャビティ
16 凹部

Claims (9)

  1. 少なくとも1つ以上の被転写面を有する成形用金型のキャビティに溶融樹脂を射出充填して該キャビティ内に樹脂圧力を発生させることにより、前記成形用金型の被転写面を樹脂に転写させて光学素子の転写面を形成させ、該キャビティから該転写面の形成された光学素子を取り出すことにより製造される光学素子において、
    前記光学素子がリブを有し、かつ該リブと前記転写面との境界であり、前記成型用金型の離型時の突き出し位置より該転写面側に少なくとも1つ以上の凸形状部を有することを特徴とする光学素子。
  2. 前記凸形状部が前記転写面を取り囲むように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記光学素子に設けたリブのうち、前記成型用金型の可動側に限り、前記凸形状部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。
  4. 前記凸形状部が、成形時に金型から離型される方向に抜き勾配を持たないことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学素子。
  5. 前記凸形状部が、成形時に金型から離型される方向の少なくとも1つ以上の面に抜き勾配を持つことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学素子。
  6. 前記成形用金型の型開き前に、前記キャビティ内の樹脂圧力が0になるように成形されたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の光学素子。
  7. 前記光学素子は、少なくとも1つ以上の転写面以外の面に金型形状の不完全転写により発生する凹部を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光学素子。
  8. 請求項1乃至の何れか一項に記載の光学素子の成型用金型であって、
    前記凸形状部を形成するキャビティ駒と前記転写面を形成するキャビティ駒が一体で構成されていることを特徴とする光学素子の成形用金型。
  9. 少なくとも1つ以上の被転写面を有する成形用金型のキャビティに溶融樹脂を射出充填して該キャビティ内に樹脂圧力を発生させることにより、前記成形用金型の被転写面を樹脂に転写させて光学素子の転写面を形成させ、該キャビティから該転写面の形成された光学素子を取り出すことにより製造され、前記転写面側にリブを備えた光学素子の製造方法であって、
    前記転写面と前記リブとの境界であって前記成型用金型の離型時の突き出し位置より前記転写面側に少なくとも1つ以上の凸形状部を形成することを特徴とする光学素子の製造方法。
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