JP3753623B2 - 射出金型とそれを用いた射出成形方法 - Google Patents
射出金型とそれを用いた射出成形方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3753623B2 JP3753623B2 JP2001098318A JP2001098318A JP3753623B2 JP 3753623 B2 JP3753623 B2 JP 3753623B2 JP 2001098318 A JP2001098318 A JP 2001098318A JP 2001098318 A JP2001098318 A JP 2001098318A JP 3753623 B2 JP3753623 B2 JP 3753623B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mold
- movable
- product block
- plate
- fixed
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
- Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば薄肉平板状でかつその少なくとも片面に微細加工が施された成形品などの射出成形に適した新規な射出金型と、それを用いた射出成形方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば液晶表示素子の導光板、ICカード、メモリーカードなどの、薄肉平板状でかつその少なくとも片面に微細加工が施された成形品を射出成形によって製造する際には、例えば図5(a)に示した構造を有する射出金型が用いられる。
そしてこの射出金型を用いて、樹脂の充てん後に圧縮を行う工程を含む、いわゆる射出−圧縮成形を行うのが一般的である。
【0003】
図の射出金型は、固定側型部91と可動側型部92とを有している。
このうち固定側型部91は、可動側型部92とのパーティング面91aから、図中白矢印で示す型締め方向に凹入させたキャビティ91bの底面に、薄肉平板状の成形品Mの片面に対応した賦形面91cを形成したものである。
また可動側型部92は、固定側型部91とのパーティング面92aから上記型締め方向に突出させた、上記キャビティ91bに挿入されて型締めをするコア92bの頂面に、成形品Mの反対面に対応した賦形面92cを形成したものである。
【0004】
なお図において符号93は、上記キャビティ91bにコア92bを挿入して型締めをした際に、賦形面91c、92c間に形成される、成形品Mの形状に対応する成形空間94内に樹脂Pを注入、充てんするためのゲートである〔図5(b)(c)参照〕。
上記射出金型を用いた射出−圧縮成形は、下記の工程を経て行われる。
すなわち、まず射出成形機の固定盤(図示せず)に固定側型部91、可動盤(同じく図示せず)に可動側型部92を、それぞれ取り付ける。
【0005】
次に可動盤を動かすことで、可動側型部92を、図5(a)に白矢印で示す型締め方向に移動させて、そのコア92bを、固定側型部91のキャビティ91bに挿入する。
次に、コア92bの外周面92dとキャビティ91bの内周面91dとのすり合わせによって可動側型部92を案内しつつ、図5(b)に示すように両型部91、92のパーティング面91a、92aが互いに当接する直前まで型締め(1次型締め)した状態で、可動盤を一旦停止する。
【0006】
次にこの状態で、ゲート93から、成形空間94内に樹脂Pを注入、充てんしたのち、さらに可動側型部92を型締め方向に移動させて、成形空間94内に充てんした樹脂Pを圧縮しながら型締めを完了する〔図5(c)〕。
そして樹脂Pの冷却後、可動側型部92を、図5(c)に黒矢印で示す型開き方向に移動させて型開きをすると、図5(d)に示すように成形品Mを取り出すことができる。
【0007】
かかる射出−圧縮成形では、上記のように樹脂Pを圧縮することにより、成形空間94の隅々まで樹脂Pを行きわたらせるとともに、その樹脂圧を均一化することができる。
したがって、特に前述したように薄肉平板状で、かつその少なくとも片面が微細加工面とされた成形品Mを、
(1) 成形空間末端への樹脂の充てん不足によるショートショット、
(2) 金型の微細加工面に対応する賦形面への樹脂の追従不良による微細加工面の再現不良、
(2) 樹脂圧の不均一による成形品の歪み、
等の成形不良を生じることなしに成形することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが図の射出金型では、1次型締めした成形空間94内に樹脂Pを注入する工程で、樹脂Pが、コア92bの外周面92dとキャビティ91bの内周面91dとの隙間を通して、型締め完了前のパーティング面91a、92a間に漏れ出してバリを生じやすいという問題があった。
これは、図の射出金型の構造では、上記両面91d、92d間のクリアランスを、バリが生じない程度に小さく仕上げるのが難しいためである。
【0009】
すなわち図の射出金型は、前述したように射出成形機の固定盤に固定側型部91、可動盤に可動側型部92を取り付けて使用される。このため射出金型の重みなどによる固定盤、可動盤の位置ずれや、とくに運転開始時の温度変化による、各部の膨張収縮率の違いによる歪みなどの微小な寸法変化が積み重なって、両型部91、92間に位置ずれを生じやすい。
それゆえ両面91d、92d間のクリアランスをバリが生じない程度に小さく仕上げると、両型部91、92間に、特に型締め方向と交差する方向や、あるいは型締め方向に対して回転する方向などの位置ずれが生じた場合、その位置ずれが微小なものであっても、キャビティ91bにコア92bを挿入する際に両者が衝突するなどして破損するおそれがある。
【0010】
そしてこれを防ぐには、両面91d、92d間のクリアランスをある程度大きくしなければならず、その結果としてバリが発生しやすくなるのである。
また成形後、得られた成形品を取り出す際には、成形品が歪んだり傷がついたりしないようにするために、例えばスプルーを把持して成形品を取り出す自動取り出し機等の通常の手段を用いて、できるだけスムースに成形品を取り出せることが求められる。
【0011】
この発明の目的は、特に薄肉平板状でかつその少なくとも片面に微細加工が施された成形品などを、ショートショット、微細加工面の再現不良、成形品の歪み、並びにバリなどを生じることなく良好に射出−圧縮成形しうる、新規な射出金型を提供することにある。
またこの発明の他の目的は、成形後の上記成形品をスムースに型間から取り出すことのできる射出成形方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、固定側型部と可動側型部とを有し、両型部の型締め完了前に成形空間を外部から遮断して1次型締めをした状態で、当該成形空間内に樹脂を充てんしたのち、樹脂を圧縮しながら型締めを完了して成形品を得る射出金型であって、
固定側型部は、
成形品の片面に対応した賦形面を有する固定側製品ブロックと、
この固定側製品ブロックを保持するための、可動側型部と対向する面がパーティング面とされた固定側プレートとを備え、
可動側型部は、
成形品の反対面に対応した賦形面を有する可動側製品ブロックと、
この可動側製品ブロックを保持するための受板と、
上記受板および可動側製品ブロックに対して型締め方向に沿って移動可能に設けた、固定側型部と対向する面がパーティング面とされ、型締め時に、当該パーティング面を固定側プレートのパーティング面に圧接することで、固定側製品ブロックと可動側製品ブロックとの間に形成される成形空間を外部から遮断して1次型締めするための可動側プレートと、
この可動側プレートを、受板から型締め方向に突出させるように付勢して、型締め時に、両型部の型締め完了前に、そのパーティング面を固定側プレートのパーティング面に圧接させることで1次型締めを行わせる1次型締め機構と、
可動側製品ブロックを、可動側型部に、受板および可動側プレートと別個に、型締め方向およびそれと反対の型開き方向に移動可能に保持させているとともに、上記可動側製品ブロックを型締め方向および型開き方向に任意に移動させる移動機構と、
を備えることを特徴とする射出金型である。
【0013】
上記請求項1の構成では、
まず可動側プレートのパーティング面を、1次型締め機構の付勢力によって、固定側プレートのパーティング面に圧接して1次型締めした状態で、成形空間内に樹脂を充てんしたのち、
上記1次型締め機構の付勢力を上回る射出成形機の型締め力によって、可動側型部の残りの部分、すなわち受板と可動側製品ブロックとを型締め方向にさらに移動させて、成形空間内に充てんした樹脂を圧縮しながら型締めを完了することで、
成形品が射出−圧縮成形される。
【0014】
このうち可動側プレートと固定側プレートとは、互いのパーティング面の当接によって1次型締めを行うものであり、両型部間に位置ずれを生じても、従来のコアとキャビティとの嵌め合いによる型締めのように衝突して破損したりするおそれがない。
また両パーティング面は、樹脂の充てん時には、1次型締め機構の付勢力によって隙間なく密着されている。しかも樹脂の充てん圧は、可動側プレートではなく、受板によって保持された状態で、射出成形機の巨大な型締め力によって、型締め完了前の所定位置に固定された可動側製品ブロックに主に加えられる。このため、上記両パーティング面が樹脂の充てん時に型開きし、樹脂が漏れ出してバリを生じるといったおそれもない。
【0015】
また、樹脂充てん後の圧縮時に型締め方向に相対移動する可動側プレートと可動側製品ブロックとは、同じ可動側型部上に配置されるため、両者の位置決めの精度をこれまでよりも高めることができる。このため、両者間のクリアランスをバリが生じない程度に小さく仕上げても、金型の動作に支障を生じるおそれがない。よって、両者間のクリアランスをバリが生じない程度に小さく仕上げることで、樹脂の充てん時にこの両者間の隙間に樹脂が漏れ出してバリが生じるのを防止することも可能となる。
【0016】
したがって請求項1の射出金型によれば、バリを生じることなしに射出−圧縮成形を行うことが可能となるため、特に薄肉平板状でかつその少なくとも片面に微細加工が施された成形品などを、ショートショット、微細加工面の再現不良、成形品の歪み、並びにバリなどを生じることなく良好に成形することができる。
【0017】
また、型開き時に、可動側製品ブロックを受板と同時に後退させた場合には、型開き開始後もしばらくの間は1次型締め機構の付勢力によって型締め位置に残っている可動側プレートとの摩擦によって、成形品が、後退する可動側製品ブロックと離型しやすい。そして可動側製品ブロックと離型した成形品は、ランナーやスプルーなどとともに、型開きによって固定側型部に残されて取り出しが困難になるおそれがある。
【0018】
これに対し請求項1の構成では、射出−圧縮成形後の型開き時に移動機構を動作させて、可動側製品ブロックを型締め位置に残したまま型開きを開始することができる。このため成形品は、型開きによって固定側製品ブロックと離型して、ランナーやスプルーとともに可動側型部についてくる。このため、例えばスプルーを把持して成形品を取り出す自動取り出し機等を用いた成形品の取り出しが容易になる。
【0019】
上記請求項1の構成は、特に液晶表示素子用の導光板を成形するための金型に好適に採用される。
請求項2記載の発明は、薄肉平板状で、かつその片面が光の選択的な反射および透過を行うための微細加工面、反対面が鏡面とされた液晶表示素子用の導光板を成形するための金型である請求項1記載の射出金型である。
型の微細加工面を保護するためには、導光板の微細加工面に対応した賦形面を固定側製品ブロックに形成するのが好ましい。
【0020】
請求項3記載の発明は、導光板の微細加工面に対応した賦形面を固定側製品ブロックに形成し、鏡面に対応した賦形面を可動側製品ブロックに形成してある請求項2記載の射出金型である。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の射出金型を用いて成形品を射出成形するための射出成形方法であって、
可動側型部を型締め方向に移動させて、固定側型部と可動側型部とによる型締め完了前に、1次型締め機構によって、可動側プレートのパーティング面を固定側プレートのパーティング面に圧接させて1次型締めをし、
次いでこの状態で型締めを停止して、固定側製品ブロックと可動側製品ブロックとの間に形成される成形空間に樹脂を充てんしたのち、可動側型部を型締め方向にさらに移動させて、成形空間内に充てんした樹脂を圧縮しながら型締めを完了し、
樹脂の冷却後、移動機構によって可動側製品ブロックを型締め方向に押圧しながら、可動側型部を型開き方向に移動させて型開きをして成形品を取り出す
工程を有することを特徴とする射出成形方法である。
【0021】
請求項1の構成による成形品の取り出しを、上記請求項4のタイミングで行うようにすると、前記のように成形品を、歪みや傷などを生じることなくできるだけスムースに取り出すことが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の射出金型の、実施の形態の一例を示す断面図である。なお図では、多数個取りである射出金型のうち、1つの成形品を成形するための成形空間Cと、その周囲の部分とを拡大して示している。
図に見るようにこの例の射出金型は、固定側型部Aと可動側型部Bとを有している。
【0023】
このうち固定側型部Aは、成形品の片面に対応した賦形面11を有する固定側製品ブロック1と、この固定側製品ブロック1を保持するための、可動側型部Bと対向する面がパーティング面2aとされた固定側プレート2とを備えている。
また固定側プレート2は、
その主体をなすプレート本体21と、
このプレート本体21の、固定側製品ブロック1の保持位置に設けた凹部21aの底部に配置した、当該固定側製品ブロック1をその背後から支持するための敷板22と、
固定側製品ブロック1の周囲を囲む形状を有し、上記凹部21aに挿入、配置されて、固定側製品ブロック1を、固定側プレート2の、図中白矢印で示す型締め方向と直交する面方向に位置決めしつつ保持するための固定側ブロック23とを備えている。
【0024】
また固定側プレート2の、上記面方向のほぼ中央位置(図では上端位置)には、射出成形機のノズル(図示せず)が接続されるスプルーブッシュ24を設けている。
そしてこのスプルーブッシュ24の中心に形成したスプルー24aと、固定側プレート2のパーティング面2aに形成したランナー2bとを通して、スプルーブッシュ24の周囲に配置した、図示していないが複数の成形空間Cにノズルからの樹脂を供給することで、複数個の成形品が同時に成形される。
【0025】
なおランナー2bは、上記スプルーブッシュ24と、固定側ブロック23と、この両者の間に配置したランナーブロック25の、それぞれパーティング面2a側の表面に形成した溝を連通することで形成している。
またランナー2bは、可動側型部Bの可動側ブロック53の、パーティング面5a側の表面に形成したゲート5bを介して、成形空間Cに接続している。
可動側型部Bは、
成形品の反対面に対応した賦形面31を有する可動側製品ブロック3と、
この可動側製品ブロック3を保持するための、第1〜第3の3枚のプレート41〜43からなる受板4と、
上記受板4および可動側製品ブロック3に対して型締め方向に沿って移動可能に設けた、固定側型部Aと対向する面がパーティング面5aとされた可動側プレート5と
を備えている。
【0026】
このうち可動側プレート5は、
その主体をなすプレート本体51と、
このプレート本体51の、可動側製品ブロック3の保持位置に設けた通孔51aのうち、固定側型部A側に挿入配置された、それぞれ可動側製品ブロック3の周囲を囲む形状を有する敷板52および可動側ブロック53と
を有している。
【0027】
そして可動側ブロック53の内周面53aを、プレート5を型締め方向に沿って移動させる際に、可動側製品ブロック3の外周面32とすり合わされるすり合わせ面とするとともに、この両面32、53aのクリアランスを、前述したようにバリが生じない程度に小さく仕上げることによって、成形空間Cへの樹脂の充てん時に、両面32、53a間の隙間に樹脂が漏れ出してバリが生じるのを防止している。
【0028】
また可動側製品ブロック3の型締め方向の後方には、位置決めピンP1で面方向に位置決めした状態で、ネジN1によって可動受板6を固定している。またこの可動受板6は、型締め方向前方に突出させた位置決めピンP2と、可動側プレート5のプレート本体51に形成した通孔51b内に固定したブッシュB1とをすり合わせることで、プレート本体51を、型締め方向沿って移動可能としつつ面方向に位置決めしている。
【0029】
そして、これらの部材による面方向への位置決めによって、可動側製品ブロック3と可動側プレート5との位置決めの精度を確保しており、前記のように両面32、53aのクリアランスをバリが生じない程度に小さく仕上げても、金型の動作に支障を生じないようにしている。
可動側プレート5と受板4との間には、1次型締めを行うべく、可動側プレート5を受板4から型締め方向に突出させる方向に付勢するための1次型締め機構7を設けている。
【0030】
1次型締め機構7は、
受板4を構成する3枚のプレート41〜43のうち第2および第3プレート42、43に設けた収容部4a内に収容した、付勢力を発生するためのコイルバネ71と、
このコイルバネ71の付勢力を可動側プレート5に伝えるために、第1プレート41に設けた通孔41aを通して型締め方向の前方へ突出させ、その先端を、可動側プレート5の、パーティング面5aと反対面5cに当接させたピン72とを備えている。
【0031】
なお符号72aは、コイルバネ71の付勢力をピン72に伝える伝達部と、当該ピン72の過剰な突出を防止するために、第1プレート41の、型締め方向の後方側の面41bに当接するストッパとを兼ねるべく、ピン72に設けたフランジである。
また第1プレート41には、型締め方向前方にストッパS1を突設して、可動側プレート5の、プレート本体51の通孔51cに挿通してある。そして、このストッパS1のフランジS1aと、通孔51c内に設けた段部51dとの当接により、可動側プレート5の、受板4からの過剰な突出や、型開き時の脱落等を防止している。
【0032】
可動側製品ブロック3は、その型締め方向の後方側に固定された可動受板6とともに、可動側型部Bに、受板4および可動側プレート5と別個に、型締め方向およびそれと反対の型開き方向に移動可能に保持させている。
すなわち可動側製品ブロック3は、前述した両面32、53aのすり合わせと、位置決めピンP2とブッシュB1とのすり合わせによって、可動側プレート5に対して、型締め方向および型開き方向に移動可能とされる。
【0033】
また可動受板6は、受板4のうち第1プレート41の、型締め方向の前方側に設けた凹部41c内に、受板4に対して、型締め方向および型開き方向に移動可能な状態で収容される。
さらに可動側製品ブロック3の、型締め方向の後方側には、当該可動側製品ブロック3と、可動受板6とを、型締め方向および型開き方向に任意に移動させる移動機構8を設けている。
【0034】
移動機構8は、
可動側製品ブロック3の、型締め方向の後方側からさらに後方に突出させたピン81と、
このピン81を、受板4に対して型締め方向および型開き方向に任意に移動させるべく、第2および第3プレート42、43に設けた収容部4b内に収容したエアシリンダ82と
を有している。
【0035】
このうちピン81は、そのフランジ81aを、可動側製品ブロック3と可動受板6との間に挟むことで、可動側製品ブロック3に取り付けている。
なお図示していないが、両型部A、Bのいずれかに、射出成形時の成形空間Cからガス抜きを行うガス抜き機構を設けると、特にガスが溜まりやすい微細加工面側の賦形面への樹脂Pの追従性を良好にして、その再現性をさらに向上することができる。またこのため、傷がつきやすい賦形面の清掃作業を減らして、当該賦形面の傷による成形不良の発生を抑えることもできる。
【0036】
上記各部を備えた、この例の射出金型を用いて、例えば前述した液晶表示素子の導光板を射出−圧縮成形によって製造する際には、まず固定側製品ブロック1の賦形面11を、上記導光板の微細加工面に対応した賦形面とし、かつ可動側製品ブロック3の賦形面31を、導光板の鏡面に対応した賦形面とする。
次にこの両製品ブロック1、3を、それぞれ固定側型部Aと、可動側型部Bに組み込んだのち、射出成形機の固定盤に固定側型部A、可動盤に可動側型部Bをそれぞれ取り付ける。
【0037】
次に可動盤を動かすことで、可動側型部Bを、図1に白矢印で示す型締め方向に移動させる。そして同図に示すように型締め完了前に、1次型締め機構7の付勢力によって、可動側プレート5のパーティング面5aを、固定側プレート2のパーティング面2aに圧接させて1次型締めを行う。
この際、可動側製品ブロック3と可動受板6とは、移動機構8を作動させて、同図中に実線の矢印で示すように型締め方向に対して後退させることで、可動受板6の、型締め方向の後方側の面61が、凹部41cの底面と当接する位置に移動させておく。
【0038】
この状態では、固定側製品ブロック1と可動側製品ブロック3との間に形成された成形空間Cの厚みは、実際の製品である導光板の厚みより大きめに設定される。
次いで型締めを停止し、図示していないが、射出成形機の射出ユニットを前進させて、その先端のノズルをスプルーブッシュ24に接続したのち、ノズルから、スプルー24a、ランナー2bおよびゲート5bを通して成形空間C内に樹脂を注入、充てんする。
【0039】
この際、両製品ブロック1、3には、前述したように樹脂の充てん圧が加わるが、固定側製品ブロック1はその背後、すなわち型締め方向の前方側から、敷板22とプレート本体21とを介して、射出成形機の固定盤によって支持されている。また可動側製品ブロック3は、その背後、すなわち型締め方向の後方側から、可動受板6と、当該可動受板6の面61に凹部41cの底面を当接させた受板4とを介して、射出成形機の可動盤によって支持されている。このため両製品ブロック1、3には射出成形機の巨大な型締め力が加わっていることになり、型開きを生じるおそれはない。
【0040】
また可動側製品ブロック3と可動側プレート5とは、前記のように互いにすり合わされる外周面32と内周面53aとのクリアランスを、バリが生じない程度に小さく仕上げているため、両面32、53a間の隙間に樹脂が漏れ出してバリが生じるおそれがない。
さらに、固定側プレート2と可動側プレート5のパーティング面2a、5aは、1次型締め機構7の付勢力によって隙間なく密着されており、しかもこのパーティング面2a、5aには、前述した樹脂の充てん圧が直接的に作用しないため、この両者の隙間からバリを生じることもない。
【0041】
次に、射出成形機の可動盤を動かして、図2に示すように可動側型部Bを型締め方向にさらに移動させて、成形空間C内に充てんした樹脂Pを圧縮しながら型締めを完了する。
すなわち固定側型部Aを構成する固定側プレート2と、可動側型部Bを構成する可動側プレート5および受板4とを、図に見るようにすべて隙間なく密着させた状態とする。
【0042】
この圧縮の際、可動側製品ブロック3と可動受板6とは、前述した、可動受板6の、型締め方向の後方側の面61が、凹部41cの底面と当接する位置に維持された状態で、受板4を介して、射出成形機の固定盤からダイレクトに型締め力を受けて、成形空間C内の樹脂Pを圧縮する。
そしてこの圧縮により、樹脂Pを成形空間C内の隅々まで行きわたらせるとともに樹脂圧を均一化できるため、ショートショット、微細加工面の再現不良、成形品の歪み等がなく、しかも前記のようにバリを生じることもない導光板が得られる。
【0043】
また図2の型締め完了状態では、可動受板6が、上記面61と凹部41cの底面との当接によって受板4に対して型締め方向に位置決めされるとともに、受板4が、型締めによって可動側プレート5および固定側プレート2と隙間なく密着されて型締め方向に位置決めされる。したがって、上記のように型締めを完了させるだけで、成形空間Cの厚みを、導光板の設計厚みと一致できるため、導光板の厚みを正確に出すことも容易である。
【0044】
次に樹脂Pの冷却後、図3に実線の矢印で示すように、移動機構8をこれまでと反対方向に作動させて、可動側製品ブロック3を型締め方向に押圧しながら、図中黒矢印で示すように可動側型部Bを型開き方向に移動させて型開きをする。そうすると、1次型締め機構7の付勢力によって、可動側プレート5を固定側プレート2に圧接させた状態を維持しつつ、また移動機構8の押圧力によって可動側製品ブロック3の後退を防止して、型締め位置に残したまま、受板4が型開きする。
【0045】
次に図4に示すように可動側型部Bをさらに型開きすると、成形された導光板Mは固定側型部1と離型されて、ランナーRおよびスプルーSとともに、可動側型部Bについてくる。このため前記のように、スプルーを把持して取り出す自動取り出し機等を用いて、型間からスムースに取り出すことができる。
導光板Mの取り出しが完了したあとは、再び図1に戻って1次型締めをすることで、次の成形工程を開始することができる。
【0046】
以上、詳述したようにこの発明の射出金型によれば、液晶表示素子の導光板などの成形品を、ショートショット、微細加工面の再現不良、成形品の歪み、並びにバリなどを生じることなく良好に射出−圧縮成形することができる。またこの発明の射出成形方法によれば、成形後の成形品をスムースに取り出すことができる。
なおこの発明の構成は、以上で説明した図の例に限定されるものではない。
【0047】
例えば1次型締め機構7としては、図に示したコイルバネ71に代えて、同種の機能を有する種々の部材を用いたものを採用することができる。
同様に移動機構8としても、シリンダ82以外の同種の機能を有する種々の部材を用いたものを採用することができる。またシリンダ82などは、金型の外に設けてもよい。
またこの発明は、以上で説明した導光板の射出−圧縮成形用に限定されるものではなく、例えば前述したICカードやメモリーカードなどの成形に適用することも可能である。
【0048】
その他、この発明の要旨を変更しない範囲で、種々の設計変更を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の射出金型の、実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】上記射出金型を用いた射出−圧縮成形方法のうち、圧縮工程を示す断面図である。
【図3】上記射出−圧縮成形方法のうち、型開きの第1段階を示す断面図である。
【図4】上記射出−圧縮成形方法のうち、型開きの第2段階を示す断面図である。
【図5】同図(a)〜(d)はそれぞれ、従来の射出金型を用いた射出−圧縮成形の工程を示す断面図である。
【符号の説明】
A 固定側型部
1 固定側製品ブロック
11 賦形面
2 固定側プレート
2a パーティング面
B 可動側型部
3 可動側製品ブロック
31 賦形面
4 受板
5 可動側プレート
5a パーティング面
7 1次型締め機構
8 移動機構
C 成形空間
Claims (4)
- 固定側型部と可動側型部とを有し、両型部の型締め完了前に成形空間を外部から遮断して1次型締めをした状態で、当該成形空間内に樹脂を充てんしたのち、樹脂を圧縮しながら型締めを完了して成形品を得る射出金型であって、
固定側型部は、
成形品の片面に対応した賦形面を有する固定側製品ブロックと、
この固定側製品ブロックを保持するための、可動側型部と対向する面がパーティング面とされた固定側プレートとを備え、
可動側型部は、
成形品の反対面に対応した賦形面を有する可動側製品ブロックと、
この可動側製品ブロックを保持するための受板と、
上記受板および可動側製品ブロックに対して型締め方向に沿って移動可能に設けた、固定側型部と対向する面がパーティング面とされ、型締め時に、当該パーティング面を固定側プレートのパーティング面に圧接することで、固定側製品ブロックと可動側製品ブロックとの間に形成される成形空間を外部から遮断して1次型締めするための可動側プレートと、
この可動側プレートを、受板から型締め方向に突出させるように付勢して、型締め時に、両型部の型締め完了前に、そのパーティング面を固定側プレートのパーティング面に圧接させることで1次型締めを行わせる1次型締め機構と、
可動側製品ブロックを、可動側型部に、受板および可動側プレートと別個に、型締め方向およびそれと反対の型開き方向に移動可能に保持させているとともに、上記可動側製品ブロックを型締め方向および型開き方向に任意に移動させる移動機構と、
を備えることを特徴とする射出金型。 - 薄肉平板状で、かつその片面が光の選択的な反射および透過を行うための微細加工面、反対面が鏡面とされた液晶表示素子用の導光板を成形するための金型である請求項1記載の射出金型。
- 導光板の微細加工面に対応した賦形面を固定側製品ブロックに形成し、鏡面に対応した賦形面を可動側製品ブロックに形成してある請求項2記載の射出金型。
- 請求項1記載の射出金型を用いて成形品を射出成形するための射出成形方法であって、 可動側型部を型締め方向に移動させて、固定側型部と可動側型部とによる型締め完了前に、1次型締め機構によって、可動側プレートのパーティング面を固定側プレートのパーティング面に圧接させて1次型締めをし、
次いでこの状態で型締めを停止して、固定側製品ブロックと可動側製品ブロックとの間に形成される成形空間に樹脂を充てんしたのち、可動側型部を型締め方向にさらに移動させて、成形空間内に充てんした樹脂を圧縮しながら型締めを完了し、
樹脂の冷却後、移動機構によって可動側製品ブロックを型締め方向に押圧しながら、可動側型部を型開き方向に移動させて型開きをして成形品を取り出す
工程を有することを特徴とする射出成形方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001098318A JP3753623B2 (ja) | 2001-03-30 | 2001-03-30 | 射出金型とそれを用いた射出成形方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001098318A JP3753623B2 (ja) | 2001-03-30 | 2001-03-30 | 射出金型とそれを用いた射出成形方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002292686A JP2002292686A (ja) | 2002-10-09 |
JP3753623B2 true JP3753623B2 (ja) | 2006-03-08 |
Family
ID=18951975
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001098318A Expired - Fee Related JP3753623B2 (ja) | 2001-03-30 | 2001-03-30 | 射出金型とそれを用いた射出成形方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3753623B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20040036375A (ko) * | 2002-10-24 | 2004-04-30 | 주식회사 삼진엘앤디 | 캐비티의 가열 냉각에 의한 플라스틱 성형물의 사출압축성형방법 |
KR101058381B1 (ko) * | 2009-11-09 | 2011-08-22 | 레이젠 주식회사 | 압축성형을 이용한 액정표시장치용 도광판 제조방법 |
-
2001
- 2001-03-30 JP JP2001098318A patent/JP3753623B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002292686A (ja) | 2002-10-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
AU618801B2 (en) | Mold assembly, and methods of mounting and removing insert thereof, and ejecting the insert | |
JPH0534501A (ja) | プラスチツク成形光学素子およびその成形型 | |
US20070031533A1 (en) | Injection molding method and injection mold | |
KR20090013686A (ko) | 도광판의 성형 금형 및 도광판의 성형 방법 | |
JP3753623B2 (ja) | 射出金型とそれを用いた射出成形方法 | |
JP3867966B2 (ja) | 光学素子、成形用金型、及び光学素子の製造方法 | |
JP2005313564A (ja) | 射出金型 | |
JP3111015B2 (ja) | 射出・圧縮成形用金型 | |
JP3578725B2 (ja) | 厚みが一端部から他端部に向けて漸減するくさび形状の導光板の製造方法 | |
JPH04327921A (ja) | 樹脂成形品の製造方法 | |
JPH069826Y2 (ja) | 射出圧縮成形用金型の逆流防止装置 | |
JP3898015B2 (ja) | 導光板の成形装置 | |
JP3379400B2 (ja) | 射出圧縮成形金型 | |
JP2001310354A (ja) | 射出成形用金型 | |
JP3743031B2 (ja) | 射出成形方法及び射出成形用金型 | |
JP3369704B2 (ja) | 射出圧縮成形方法及び装置 | |
JP2896950B2 (ja) | 射出成形金型装置 | |
JP2001018273A (ja) | 3プレート金型を用いた射出圧縮成形方法およびその装置 | |
KR200360059Y1 (ko) | 선바이저 패널용 금형 | |
JPH0382514A (ja) | ディスク成形用金型 | |
JPH06278177A (ja) | 射出圧縮成形方法 | |
JP2003326557A (ja) | 射出圧縮成形用金型 | |
JP3327799B2 (ja) | 長尺の光学素子の成形方法及び成形型 | |
JPH08142135A (ja) | 射出成形用金型 | |
JP2545155Y2 (ja) | 射出成形金型 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040310 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050714 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050920 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20051108 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20051206 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20051213 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 3753623 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081222 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091222 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091222 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101222 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111222 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111222 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121222 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131222 Year of fee payment: 8 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |